(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157038
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】発泡性洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20231019BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231019BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20231019BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q19/10
A61K8/36
A61K8/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066676
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】久保山 江未
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB432
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD472
4C083CC23
4C083DD16
4C083DD17
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】耐湿性及び高温安定性に優れた発泡性洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記(A)~(C)を含有し、(A)と(B)の合計と(C)の質量比((A)+(B):(C))が、40:60~90:10である発泡性洗浄剤組成物。
(A)炭酸塩
(B)有機酸
(C)アシルイセチオン酸塩
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)を含有し、(A)と(B)の合計と(C)の質量比((A)+(B):(C))が、40:60~90:10であることを特徴とする発泡性洗浄剤組成物。
(A)炭酸塩
(B)有機酸
(C)アシルイセチオン酸塩
【請求項2】
(A)として、炭酸ナトリウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の発泡性洗浄剤組成物。
【請求項3】
(D)アシルサルコシン塩を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の発泡性洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
使用時に炭酸ガスを発生する人体用の一剤式の発泡性洗浄剤が知られている(特許文献1、2)。これらの発泡性洗浄剤は、炭酸塩と有機酸とを含有する粉末状または顆粒状であり、水を加えると炭酸塩と有機酸とが反応して炭酸ガスが発生する。
発泡性洗浄剤において、炭酸ガスを十分に発生させるためには炭酸塩と有機酸を高配合する必要がある。しかし、発泡性洗浄剤に一般的に使われている炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩及びクエン酸、リンゴ酸等の有機酸は、吸湿性が高く、塊になってしまう場合がある。また、保管中等に吸湿や高温により予期せず発泡を開始してしまう場合があり、十分な発泡性を備え、かつ耐湿性と高温安定性に優れた発泡性洗浄剤組成物の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-116461号公報
【特許文献2】特開2016-169190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐湿性及び高温安定性に優れた発泡性洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決するための手段は以下の通りである。
1.下記(A)~(C)を含有し、(A)と(B)の合計と(C)の質量比((A)+(B):(C))が、40:60~90:10であることを特徴とする発泡性洗浄剤組成物。
(A)炭酸塩
(B)有機酸
(C)アシルイセチオン酸塩
2.(A)として、炭酸ナトリウムを含有することを特徴とする1.に記載の発泡性洗浄剤組成物。
3.(D)アシルサルコシン塩を含有することを特徴とする1.または2.に記載の発泡性洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明の発泡性洗浄剤組成物は、耐湿性に優れており、吸湿して塊になることを防ぐことができる。また、高温安定性にも優れており、保管中等の予期せぬ発泡を防ぐことができる。(D)アシルサルコシン塩を含有する本発明の発泡性洗浄剤組成物は、水溶けや起泡性、泡質・泡量などの使用性に優れる。本発明の発泡性洗浄剤組成物は、耐湿性及び高温安定性に優れているため、個包装とする必要がなく、複数回分を容器に充填した発泡性洗浄剤製品とすることができる。本発明の発泡性洗浄剤製品は、個包装ではないため、包装材の量を減らすことができ、環境への負荷を軽減することができる。本発明の発泡性洗浄剤製品は、使用者の好み等に応じて、所望量の発泡性洗浄剤組成物を取り出して使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の発泡洗浄剤組成物は、下記(A)~(C)を含有し、(A)と(B)の合計と(C)の質量比((A)+(B):(C))が、40:60~90:10である。
(A)炭酸塩
(B)有機酸
(C)アシルイセチオン酸塩
なお、本明細書において、「A~B」との数値範囲の記載は、両端を含む数値範囲、すなわち、「A以上B以下」を意味する。
【0008】
(A)炭酸塩
炭酸塩は、皮膚洗浄剤に使用されているものを特に制限することなく使用することができる。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム等から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。これらの中で、耐湿性及び高温安定性の点から、炭酸ナトリウムを含むことが好ましく、炭酸塩全量に対する炭酸ナトリウムの配合割合が25質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましい。
炭酸塩の配合量は、発泡性洗浄剤組成物全体に対して、10質量部以上30質量部以下であることが好ましく、12質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
【0009】
(B)有機酸
有機酸は、皮膚洗浄剤に使用されているものを特に制限することなく使用することができる。例えば、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、ピロリドンカルボン酸、サリチル酸、マレイン酸、フタル酸、グルタル酸、シュウ酸等から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。これらの中で、発泡性と使用性の点から、クエン酸またはリンゴ酸を含むことが好ましい。
有機酸の配合量は、発泡性洗浄剤組成物全体に対して、15質量部以上40質量部以下であることが好ましく、20質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。
(A)炭酸塩と(B)有機酸の質量比((A):(B))は、水に溶解したときに炭酸塩の全量から炭酸ガスが発生できることが好ましく、例えば、20:80~50:50であることが好ましく、30:70~45:55であることがより好ましい。
【0010】
(C)アシルイセチオン酸塩
アシルイセチオン酸塩は、脂肪酸のエチルエステルスルホン酸塩であり、界面活性剤として働き、洗浄性に寄与する。アシルイセチオン酸塩は、皮膚洗浄剤に使用されているものを特に制限することなく使用することができる。
アシルイセチオン酸塩のアシル基としては、炭素原子数8~22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖または分岐鎖のものを使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、耐湿性と使用性の点から、ヤシ油脂肪酸(ココイル)が好ましい。
【0011】
アシルイセチオン酸塩の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩またはカリウム塩がより好ましい。
【0012】
本発明の発泡性洗浄剤組成物は、(A)炭酸塩と(B)有機酸の合計と(C)アシルイセチオン酸塩の質量比((A)+(B):(C))が、40:60~90:10であることにより、耐湿性に優れている。この質量比((A)+(B):(C))は、50:50~90:10であることが好ましい。
アシルイセチオン酸塩の配合量は、発泡性洗浄剤組成物全体に対して、3質量部以上35質量部以下であることが好ましく、5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、8質量部以上25質量部以下であることがさらに好ましい。
【0013】
(D)アシルサルコシン塩
本発明の発泡性洗浄剤組成物は、アシルサルコシン塩を含有することが好ましい。
アシルサルコシン塩とは、脂肪酸のN-メチルグリシン塩であり、界面活性剤である。そのメカニズムは不明であるが、(C)アシルイセチオン酸塩と(D)アシルサルコシン塩とを併用することにより、水溶け、速泡性等を向上させることができる。
アシルサルコシン塩のアシル基としては、炭素原子数8~22の飽和または不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖または分岐鎖のものを使用できる。例えば、脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、使用性の点から、ラウリン酸(ラウロイル)が好ましい。
【0014】
アシルサルコシン塩の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛との塩等の無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩や、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち1種または2種以上を混合して使用することができる。これらの中で、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩またはカリウム塩がより好ましい。
アシルサルコシン塩は任意成分であり、その配合量は、発泡性洗浄剤組成物全体に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
【0015】
その他配合成分
本発明の発泡性洗浄剤組成物は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲内において、(A)~(C)、及び(D)以外の皮膚洗浄剤において用いられている任意の成分を使用することができる。例えば、(C)、(D)以外の界面活性剤、糖類、糖アルコール類、ロウ類、有機粉体、無機粉体、高分子類、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、香料、pH調整剤、乾燥剤、薬効成分、生理活性成分等を含有させることができる。
【0016】
他の界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤を配合することができる。アニオン界面活性剤としては、高級脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩、N-アシルメチルタウリン塩、モノアルキルリン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルケニルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、脂肪酸アミドアルキルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。両性界面活性剤としては、カルボベタイン型界面活性剤、スルホベタイン型界面活性剤、アミドベタイン型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等が挙げられる。
【0017】
糖類、糖アルコール類としては、グルコース、ソルビトール、マンノース、マンニトール、ガラクトース、ガラクチトール、マルトース、マルチトール、トレハロース、エリトロース、エリスリトール、キシロース、キシリトール、スクロース、ラクトース、ラクチトール、ダイフラクトースアンハイドライド等が挙げられる。
【0018】
ロウ類としては、コメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等が挙げられる。
有機粉体としてはポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、ポリメチル(メタ)アクリレート粉末、ナイロン粉末、ポリウレタン粉末、寒天粉末、コルク粉末、澱粉等を挙げることができる。
無機粉体としては、タルク、カオリン、シリカ、雲母、ゼオライト、ベントナイト、二酸化チタン等が挙げられる。
【0019】
高分子類としては、デキストリン、プルラン、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、クインスシード、デキストラン、カチオン化デキストラン、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチンメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。
【0020】
金属イオン封鎖剤として、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
薬効成分、生理活性成分としては、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸リン酸エステル、L-アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-グルコシド等のビタミンC類等、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ-オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、プロテアーゼやリパーゼ等の酵素、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。
【0021】
本発明の発泡性洗浄剤組成物は、粉末状または顆粒状であり、顔面、頭部や身体の洗浄に使用することができる。本発明の発泡性洗浄剤組成物は、使用する各剤を粉末状とし、均一に混合するだけで製造することができる。本発明の発泡性洗浄剤組成物において、各剤は、ふるい径が710μm以下(目開き710μmの篩で篩過する)であることが好ましい。ふるい径が710μmを超えるものが含まれると、洗浄時に刺激を生じる場合がある。各剤のふるい径は、500μm以下であることがより好ましく、425μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることがよりさらに好ましい。
【0022】
本発明の発泡性洗浄剤製品は、様々な容器での提供が可能であるが、上記したように、吸湿して固化しにくいため、一回の使用量毎に個包装する必要がなく、本体と蓋部を有する容器に5g以上の複数回の使用量をまとめて一つの容器に入れても、粉末状または顆粒状を維持することができる。
【実施例0023】
以下に実施例、比較例を示し、本発明をさらに説明する。
表1に記載の配合で各成分を混合し、実施例1~17、比較例1~5の発泡性洗浄剤組成物を調製し、下記の評価方法で評価した。評価は、すべて専門の官能評価員2名により行い、評価結果が異なった場合は協議の上、評価を決定した。結果を表1に示す。
【0024】
(1)発泡性評価
試験試料を手の平に0.5gとり、水2mLを含ませた際の発泡性を評価した。評価基準は次のとおりである。
<評価基準>
〇:発泡が確認できる
×:発泡が確認できない
【0025】
(2)使用感(使用性)評価
試験試料を手の平に0.5gとり、水2mLを含ませながら泡立て、洗顔料としての適性を4段階評価した。評価基準および評価項目は次のとおりである。
<評価基準>
◎:非常に良い
○:良い
△:やや悪い
×:悪い
【0026】
<評価項目>
1)水溶け
2)速泡性
3)泡量
4)泡質(泡のキメ細かさ、泡の弾力性)
5)泡持続性
6)洗い流し性
【0027】
(3)耐湿性評価
試験試料8gを口径5φの透明PET容器に充填し、蓋部を開放した状態で40℃75%RHの条件下で24時間静置した。その後、25℃に戻した状態で、蓋を閉め容器を上下に振った際の試験試料の性状を評価した。評価基準は次のとおりである。
<評価基準>
〇:流動性あり
△:流動性はあるが、一部固化
×:固化
【0028】
(4)高温安定性評価
試験試料4gをアルミパウチに充填し、50℃の条件下で72時間静置した。その後、25℃に戻した状態でアルミパウチの外観を評価した。評価基準は次のとおりである。
<評価基準>
〇:変化なし
△:やや膨らんでいる(パウチの厚みが2倍未満)
×:膨らんでいる(パウチの厚みが2倍以上)
【0029】
【0030】
本発明である実施例1~17の発泡性洗浄剤組成物は、耐湿性、高温安定性に優れていた。なお、比較例5の組成物も耐湿性、高温安定性に優れているが、これは(A)炭酸塩と(B)有機酸とを含まないためである。それに対し、本発明の組成を満足しない比較例1~3の発泡性洗浄剤組成物は耐湿性に劣り、比較例4の発泡性洗浄剤組成物は耐湿性、高温安定性に劣っていた。
実施例1~17と比較例1~4の結果より、活性剤として(C)アシルイセチオン酸塩を(A)炭酸塩と(B)有機酸の合計に対して特定量含むことにより、耐湿性、高温安定性に優れた発泡性洗浄剤組成物が得られることが確かめられた。
実施例8と比較例5の結果より、(A)炭酸塩と(B)有機酸とにより、(C)アシルイセチオン酸塩が溶解しやすく、かつ泡立ちしやすくなることが確かめられた。
【0031】
(製品評価)
本発明である上記実施例5と、(A)炭酸塩と(B)有機酸とを含む市販の洗浄剤1~4との比較評価を行った。なお、市販品3は泡立たないことを謳う商品であり、市販品4のみが(C)ココイルイセチオン酸塩を含む。ただし、市販品4は、詳細な配合量は不明であるが、ラウロイルグルタミン酸塩を主たる活性剤とするものである。
上記の評価項目に加えて、炭酸ガス濃度の測定を行った。結果を表2に示す。
(5)炭酸ガス濃度測定
試験試料0.5gを水49.5gに加え溶解させた。その後、マグネチックスターラーを用いて攪拌しながら、炭酸ガス測定装置ポータブル炭酸ガス濃度計 CGP-31型 (東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて炭酸ガス濃度の測定を行い、5分間攪拌し、値が安定したところで測定値とした。
【0032】
【0033】
本発明である実施例5の発泡性洗浄剤組成物は、市販の発泡性洗浄剤と比較して耐湿性に優れていた。市販品4は(C)ココイルイセチオン酸塩を含むが、耐湿性に劣っていた。これは、市販品4はラウロイルグルタミン酸塩を主たる活性剤としているため、(A)と(B)の合計と(C)の質量比((A)+(B):(C))が本発明の範囲外であるためと推測される。このことは、市販品4の使用性評価の結果が、比較例1、2の結果と近似していることからも間接的に裏付けられる。
【0034】
以下に、処方例を示す。
処方例1洗顔パウダー 配合量(質量%)
クエン酸 27
炭酸Na 18
ラウロイルサルコシンNa 5
ココイルイセチオン酸Na 8
ミリストイルグルタミン酸Na 2
ラウロイルアスパラギン酸Na 4.8
ラウロイルグルタミン酸Na 10
プルラン 2
ヒドロキシプロピルデンプン 1
プロテアーゼ 0.02
リパーゼ 0.02
タルク 10.16
シリカ 12
【0035】
処方例2洗顔パウダー 配合量(質量%)
リンゴ酸 22.2
炭酸Na 17.8
ラウロイルサルコシンNa 3
ココイルイセチオン酸Na 6
オレフィン(C14-16)スルホン酸Na 8
ミリストイルグルタミン酸Na 0.3
ラウロイルアスパラギン酸Na 4.8
ラウロイルグルタミン酸Na 14
プルラン 1
タルク 10.9
シリカ 12
【0036】
処方例3洗顔パウダー 配合量(質量%)
リンゴ酸 12.2
クエン酸 10
炭酸Na 17.8
ラウロイルサルコシンNa 3.5
ココイルイセチオン酸Na 7
オレフィン(C14-16)スルホン酸Na 8
ミリストイルグルタミン酸Na 2
ラウロイルアスパラギン酸Na 5
ラウロイルグルタミン酸Na 12
プルラン 1
デキストリン 3
プロテアーゼ 0.02
リパーゼ 0.02
タルク 6.46
シリカ 12