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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157061
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ペダル装置及び電子鍵盤楽器
(51)【国際特許分類】
   G10H 1/32 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
G10H1/32 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066717
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 博
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478CC33
(57)【要約】
【課題】指等の進入を規制しつつ、ペダルケースを小型に設けることができるペダル装置及び電子鍵盤楽器を提供する。
【解決手段】ペダル装置50は、開口部53aを備えるペダルケース53と、開口部53aを介して外方に突出し、回動可能に設けられるペダル52と、ペダル52の上面に対してペダル52の先端側から基端側にかけて上方側がペダル52の上面側に傾くように傾斜する第1規制面を備え、少なくとも一部がペダルケース53内におけるペダル52の上面に設けられ、開口部53aに対向して設けられる規制部である規制部材140と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えるペダルケースと、
前記開口部を介して前記ペダルケースの外方に突出し、回動可能に設けられるペダルと、
前記ペダルの上面に対して前記ペダルの先端側から基端側にかけて上方側が前記ペダルの上面側に傾くように傾斜する第1規制面を備え、少なくとも一部が前記ペダルケース内における前記ペダルの上面に設けられ、前記開口部に対向して設けられる規制部と、を有するペダル装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記開口部を介して前記ペダルケースの外から視認可能に設けられる、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記第1規制面と鈍角状に接続して前記第1規制面の上方に設けられる第2規制面を有する、請求項1又は請求項2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記ペダルの最大踏み込み時における前記ペダルの上面から前記開口部の上縁までの高さは、前記ペダルの最大踏み込み時における前記ペダルの上面から前記第2規制面の突端部までの高さよりも小さい、請求項3に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記第1規制面は、下端が前記ペダルの最大踏み込み時の前記開口部の開口面よりも内側に位置するよう設けられる、請求項4に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記第1規制面と前記ペダルの上面とのなす角は40度~45度である、請求項5に記載のペダル装置。
【請求項7】
前記開口部の縁部は、前記ペダルケースの内側から外方に向けて拡開するテーパー状に設けられる、請求項6に記載のペダル装置。
【請求項8】
前記第1規制面は、前記ペダルの上面に沿って湾曲状に設けられる、請求項7に記載のペダル装置。
【請求項9】
前記ペダルの左右側方部に設けられ、垂直な前面を備える側部を有する、請求項8に記載のペダル装置。
【請求項10】
請求項9に記載のペダル装置を備える電子鍵盤楽器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダル装置及び電子鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、楽器から発音される音にダンパー等の効果を加えたり、所定の操作を行うためのペダル装置を備えたピアノや電子鍵盤楽器等の楽器が提供されている。このようなペダル装置は、ペダルを回動可能に支持する回動軸等のペダル機構部が収納されるペダルケースの開口部から突出して設けられている。このため、開口部とペダル上面との間に指等が挟まれないように、種々の構成が提案されている。例えば、特許文献1には、ペダルケース内におけるペダル上面に、開口部に近接して指詰め防止ブロックが設けられた楽器用ペダルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-212160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の楽器用ペダルでは、指詰め防止ブロックにより、開口部から指等を差し入れてもペダルケースの奥まで指等が入らないため、指等が挟まれることが防止される。しかしながら、指等が挟まれないようにするために開口部を大きく設定する必要があり、また、開口部からペダルケースの内部が見えないように指詰め防止ブロックを大きくする必要がある。すると、ペダルケースも大型に設ける必要がある。
【0005】
本発明は、指等の進入を規制しつつ、ペダルケースを小型に設けることができるペダル装置及び電子鍵盤楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る楽器用ペダルは、開口部を備えるペダルケースと、前記開口部を介して前記ペダルケースの外方に突出し、回動可能に設けられるペダルと、前記ペダルの上面に対して前記ペダルの先端側から基端側にかけて上るよう傾斜する第1規制面を備え、少なくとも一部が前記ペダルケース内における前記ペダルの上面に設けられ、前記開口部に対向して設けられる規制部と、を有する。
【0007】
本発明に係る電子鍵盤楽器は、上述のペダル装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、指等の進入を規制しつつ、ペダルケースを小型に設けることができるペダル装置及び電子鍵盤楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るペダル装置を備える電子鍵盤楽器の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るペダル装置のペダルケースの一部を断面とした斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るペダル装置のペダルケースと前板金部材を省略して示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るペダル装置の図2のIV-IV断面図である。
図5】本発明の実施形態に係るペダル装置の図2のIV-IV断面に相当する断面図であって、ペダルを踏み込んだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1に示す電子鍵盤楽器10は、基板やスピーカ等が内部に設けられる楽器ケース14を備える。楽器ケース14には、複数の白鍵11と黒鍵12を備えるフルサイズ(88鍵)の鍵盤13が設けられている。楽器ケース14(電子鍵盤楽器10)の下面には、4本の脚21を備える脚部20が接続されている。電子鍵盤楽器10は、脚部20により支持されている。なお、以下の説明においては、鍵盤13の手前側を前側、その反対側を後側とし、鍵盤13に向かって左側を左、右側を右とし、鍵盤側を上、脚部20側を下として説明する。
【0011】
電子鍵盤楽器10の左側の2本の脚21と右側の2本の脚21との間には、左右それぞれに接続杆51が設けられている。各接続杆51は、図示しないが、上端部を電子鍵盤楽器10の後面と接続し、下方に延びるようにして設けられている。左右の各接続杆51は、ペダル装置50の左右にそれぞれ接続されている。電子鍵盤楽器10に設けられるペダル装置50には、基板161やセンサユニット160、軸受部153等(後述)を覆うペダルケース53が設けられている。
【0012】
ペダルケース53は、前後面、上面及び左右側面を備えて下面側が開口する左右方向に長い略長矩形箱状に設けられている。ペダルケース53には、3つの開口部53aが設けられている。また、ペダル装置50には、左側、右側及び中央に3つ並んだペダル52(右ペダル52a、左ペダル52b、中ペダル52c)が設けられている。各ペダル52は、対応する各開口部53aを介して前方(外方)に突出して回動可能に設けられている。図4に示すように、各開口部53aの縁部53a1は、全周に亘って、外方(前方)に向けて拡開するテーパー状に設けられている。
【0013】
図2及び図3に示すように、ペダル装置50には、下ベース部材100が設けられている。下ベース部材100は、左右方向に長い平板状の下ベース部材本体部101と、各ペダル52に対応して下ベース部材本体部101から前方に向けて延在する3つのペダル対応部102が設けられている。左側と右側のペダル対応部102には、設置面に当接するよう調整可能なように、各ペダル対応部102に螺合接続されている調整部材103が設けられている。中央のペダル対応部102には、設置面に対向するパッド104が設けられている。調整部材103及びパッド104に対向する各ペダル対応部102の上面には、ペダル52の下面と当接してペダル52の下限位置を規制するクッション部材105(図4参照)が設けられている。クッション部材105は、フェルト材を用いることができる。
【0014】
図2及び図3に示すように、下ベース部材100の下ベース部材本体部101の下面には、断面L字状(図4参照)の下板金部材110が設けられている。下板金部材110は、左右両端部において立設する固定部111を備える。各固定部111は、ねじ部材により、左右の各接続杆51の端部と固定されている。
【0015】
下ベース部材100の下ベース部材本体部101の上面には、上板金部材120が設けられている。図4に示すように、上板金部材120は、下ベース部材本体部101に平板状に配置される下板部121と、平板状の上板部123と、垂直方向に立設するようにして下板部121と上板部123を接続する接続板122とを有する。
【0016】
図2に示すように、ペダル装置50には、下板部121の上面から立設するように、上下端部が後方に向けて折り曲げられた前板金部材130が設けられている。前板金部材130は、下側の板部を下板部121及び下ベース部材本体部101とねじ部材により共締めして固定されている。前板金部材130の上側の板部は、ペダルケース53の上板部の下面に固定されている(図4参照)。前板金部材130には、各ペダル52に対応して開口し、下方側が開放された形状とされる開口部131が設けられている。各開口部131の周縁部には、リブ132が設けられている。なお、図2では、右ペダル52aに対応する開口部131(リブ132)のみ示しているが、開口部131(リブ132)は、各ペダル52に対応して設けられている。
【0017】
下ベース部材100の上方には、上板金部材120を介して上ベース部材150が設けられている。上ベース部材150は、下ベース部材100の各ペダル対応部102の基端部上方にばね保持部151が設けられている。ばね保持部151は、筒状に設けられて、内部にコイルばね54が配置される。図4に示すように、ばね保持部151の底面には、下ばね支持軸151aが設けられている。下ばね支持軸151aは、コイルばね54に挿入されている。このようにして、ばね保持部151により、コイルばね54の下端部が支持されている。コイルばね54の上端は、ペダル52の下面に設けられるばね受部材154により支持されている。ばね受部材154の上ばね支持軸154aは、コイルばね54に挿入されている。ペダル52は、コイルばね54により、上方に付勢されている。
【0018】
図3に示すように、上ベース部材150の各ばね保持部151の基端部は、上ベース部材本体部152と接続している。上ベース部材本体部152は、左右方向に長い板状に設けられている。上ベース部材本体部152の上面には、各ペダル52の基端部に設けられる回転軸55を回動自在に支持する軸受部153がそれぞれ設けられている。また、上ベース部材本体部152の上面は、左右方向に長い凹部152aとされている。凹部152aには、基板161が設けられている。基板161の上面には、センサユニット160が設けられている。センサユニット160には、可変抵抗器であるロータリボリュームが設けられている。センサユニット160は、ロータリボリュームの回転軸に取り付けられるカム部材164が後述の規制部材140のアーム部144のカム面と当接して係合することで、ペダル52の踏み込み量を検出することができる。
【0019】
図2図3及び図4に示すように、ペダルケース53の内部における、各ペダル52の基端部側(回転軸55側、ペダル52の後方側)の上面には、それぞれ、ブロック状の規制部材140が設けられている。各規制部材140は、それぞれ、上面にクッション部材143が設けられている。各規制部材140は、クッション部材143の下面側に設けられるねじ部材148(図3参照)により、各ペダル52の上面に固定されている。クッション部材143は、例えばフェルト材を用いることができる。
【0020】
各規制部材140は、ペダルケース53の開口部53aに対して後方側で対向して設けられる第1規制部141と、第2規制部142とを有する。各第1規制部141は、ペダル52の上面において、ペダル52を覆うように設けられている。換言すれば、第1規制面141aは、ペダル52の上面に倣って湾曲状に設けられている。第1規制部141の下端縁は、ペダル52の上面に沿うように設けられている。ここで、各第1規制部141の外表面は、第1規制面141aとされている。各第1規制面141a(各第1規制部141)は、各ペダル52の上面に対して上方がペダル52の基端側に傾斜するように設けられている。図4のP部拡大図に示す、第1規制面141aとペダル52の上面とのなす角θ1は、40度~45度で設定されている。
【0021】
各規制部材140は、第2規制部142を有する。各第2規制部142は、開放側を下方に向けた略U字状とされ、傾斜する上側の第2規制面142aと、第2規制面142aから垂直下方に連続する前面を備えてペダル52の左右側方部に沿って設けられる側部142bとを有する。前述の各第1規制部141は、各第2規制部142の前面から突出するように設けられている。第2規制面142aは、第2規制部142の上方において、側面視直角台形状とされる前側の傾斜面とされている。換言すれば、第2規制面142aは、ペダル52の上面に対して上方がペダル52の基端側に傾斜するように設けられている。各第2規制部の第2規制面142aは、各第1規制部141の上方で各第1規制面141aと鈍角状(図4の角度θ2)に接続する。
【0022】
第2規制面142aの後側における規制部材140の上面には、クッション部材143が設けられている。クッション部材143は、前板金部材130の開口部131(リブ132)の上側の部分と当接し、ペダル52の上限位置を規制する。また、規制部材140には、センサユニット160側に突出し、センサユニット160のカム部材164と係合するアーム部144が設けられている。
【0023】
図4に示すように、規制部材140の第1規制部141の下端は、ペダルケース53の開口部53aの開口面53a2(開口部53aが設けられるペダルケース53の前側板の外表面と連続する面であって、開口部53aにより開口されている面)よりも内側に位置している。従って、規制部材140(第1規制部141、第2規制部142)は、少なくとも一部がペダルケース53内に位置している。規制部材140は、ペダルケース53の開口部53aからの指等の進入を規制して、開口部53aとペダル52の上面とにより指等が挟まれてしまうことを低減するものである。以下、規制部材140の動作・作用を説明する。
【0024】
図4は、ペダル52を踏み込んでいない状態である。このとき、傾斜する第1規制面141aにより、開口部53aへの指等の進入が規制されている。各ペダル52の左右の側方と開口部53aとの間には、規制部材140の側部142bが位置しており、指等の進入が規制されている。なお、ペダルケース53の開口部53aの縁部53a1の上側と第1規制面141aとの間、及び、ペダル52の左右の側方部と開口部53aの縁部53a1の左右側との間は、指が入らない程度に狭く設定されている。図4の状態においてもペダルケース53の開口部53aの縁部53a1の上側と第1規制面141aとの間に隙間を設けることで、ペダル52を踏み込んで弾くようにペダル52を解放しても、縁部53a1と第1規制面141aが接触することを低減することができる。
【0025】
図5は、ペダル52を最大に踏み込んだ状態である。この場合、第1規制面141aと共に、第2規制面142aによっても、指等をペダルケース53の奥に差し入れることができず、規制される。そして、図5の状態で第1規制面141aや第2規制面142aの前面側に指等が配置された場合に、ペダル52の踏み込みを解除して図4の状態に戻る際においては、傾斜する第2規制面142aとテーパー状の開口部53aの縁部53a1とにより、徐々に指等が押し戻される。そして、ペダル52がある程度上昇すると、傾斜する第1規制面141aと、テーパー状の開口部53aの縁部53a1により指等が押し戻される。
【0026】
そして、第1規制面141aの下端(第1規制部141がペダル52の上面と接している部分)は、ペダル52の最大踏み込み時(図5の状態)においても、開口部53aの開口面53a2よりも内側に位置する。すなわち、規制部材140は、ペダル52を踏み込んでいない状態(図4の状態)でも、ペダル52を踏み込んだ状態(図5の状態)であっても、開口部53aの開口面53a2よりも内側に位置している。
【0027】
また、ペダル52の最大踏み込み時におけるペダル52の上面から開口部53aの上側の縁部53a1(上縁)までの高さh1は、ペダル52の最大踏み込み時におけるペダル52の上面から第2規制面142aの突端部までの高さh2よりも小さい。
【0028】
そして、第1規制面141a及び第2規制部142の側部142bの前面は、ペダル52の上面だけでなく左右側方に亘って設けられており、開口部53aのテーパー状の縁部53a1もペダル52の左右側方側にも設けられるので、ペダル装置50は、各ペダル52の左右側方側にも指等を差し入れ難くされている。このようにして、規制部材140は、指等の進入を規制する規制部とされている。そして、この規制部としての規制部材140は、開口部53aを介してペダルケース53の前方側の外から視認可能に設けられている。
【0029】
以上、本発明の実施形態では、ペダル装置50は、開口部53aを備えるペダルケース53と、開口部53aを介して外方に突出し、回動可能に設けられるペダル52と、ペダル52の上面に対してペダル52の先端側から基端側にかけて上方側がペダルの上面側に傾くように傾斜する第1規制面141aを備え、少なくとも一部がペダルケース53内におけるペダル52の上面に設けられ、開口部53aに対向して設けられる規制部である規制部材140と、を有する。
【0030】
これにより、少なくとも一部がペダルケース53内に配置されて傾斜する第1規制面141aにより指等の進入が規制されると共に、第1規制面141aの高さ寸法も低くすることができる。よって、開口部53aの高さも低くすることができ、ペダル装置50を小型に設けることができる。
【0031】
また、規制部(規制部材140)は、開口部53aを介してペダルケース53の外から視認可能に設けられる。これにより、ペダルケース53の内部を外から見えないよう隠すように規制部を設けることができる。
【0032】
また、規制部材140は、第1規制面141aと鈍角状に接続して第1規制面の上方に設けられる第2規制面142aを有する。これにより、ペダル52を踏み込んだ状態において、指等の進入を規制する規制面である第2規制面142aを開口部53aに接近させることができ、より確実に指等の進入を規制することができる。例えば、第1規制面141aと第2規制面142aとの間の角度θ2(図4参照)を180度に形成した場合に比べて、θ2を鈍角とすることで、第2規制面142aをより開口部53aに接近させた状態とすることができる。
【0033】
また、ペダル52の最大踏み込み時におけるペダル52の上面から開口部53aの上側の縁部53a1である上縁までの高さh1は、ペダル52の最大踏み込み時におけるペダル52の上面から第2規制面142aの突端部までの高さh2よりも小さい。これにより、ペダル52の最大踏み込み時においても、開口部53aと規制部材140との間に隙間が生じることが無く、更に確実に指等の進入を規制することができる。
【0034】
また、第1規制面141aは、下端がペダル52の最大踏み込み時の開口部53aの開口面53a2よりも内側に位置する。これにより、演奏時にペダル装置50を見下ろしても、開口部53aから第1規制面141a(規制部材140)が見え難く、見栄えの良いペダル装置50とすることができる。
【0035】
また、第1規制面141aとペダル52の上面とのなす角θ1は、40度~45度である。これにより、外側から第1規制面141aを視認し難くすることができ、見栄えの良いペダル装置50とすることができる。
【0036】
また、開口部53aの縁部53a1は、ペダルケース53の内側から外方に向けて拡開するテーパー状に設けられる。これにより、ペダル52の上昇時において、第1規制面141aや第2規制面142aと共に、効果的に指等を押し戻すことができる。
【0037】
また、第1規制面141aは、ペダル52の上面に沿って湾曲状に設けられる。これにより、見栄えも良く、ペダル52の左右の側方でも指等の進入を規制することができる。
【0038】
また、ペダル装置50は、ペダル52の左右側方部に設けられ、垂直な前面を備える側部142bを有する。これにより、ペダル52の左右側方部と開口部53aとの隙間から、ペダル装置50の内部が見え難くすることができ、更に見栄えの良いペダル装置50とすることができる。
【0039】
また、電子鍵盤楽器10は、ペダル装置50を有する。これにより、ペダル52と開口部53aとの間の隙間への指等の進入を規制しつつ、ペダルケースを小型に設けたペダル装置50を備える電子鍵盤楽器10を提供することができる。なお、ペダル装置50は、本実施形態においては電子鍵盤楽器10に設けたが、他の楽器や電子楽器にも設けることができる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0041】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]開口部を備えるペダルケースと、
前記開口部を介して前記ペダルケースの外方に突出し、回動可能に設けられるペダルと、
前記ペダルの上面に対して前記ペダルの先端側から基端側にかけて上方側が前記ペダルの上面側に傾くように傾斜する第1規制面を備え、少なくとも一部が前記ペダルケース内における前記ペダルの上面に設けられ、前記開口部に対向して設けられる規制部と、を有するペダル装置。
[2]前記規制部は、前記開口部を介して前記ペダルケースの外から視認可能に設けられる、前記[1]に記載のペダル装置。
[3]前記規制部は、前記第1規制面と鈍角状に接続して前記第1規制面の上方に設けられる第2規制面を有する、前記[1]又は前記[2]に記載のペダル装置。
[4]前記ペダルの最大踏み込み時における前記ペダルの上面から前記開口部の上縁までの高さは、前記ペダルの最大踏み込み時における前記ペダルの上面から前記第2規制面の突端部までの高さよりも小さい、前記[3]に記載のペダル装置。
[5]前記第1規制面は、下端が前記ペダルの最大踏み込み時の前記開口部の開口面よりも内側に位置するよう設けられる、前記[4]に記載のペダル装置。
[6]前記第1規制面と前記ペダルの上面とのなす角は40度~45度である、前記[5]に記載のペダル装置。
[7]前記開口部の縁部は、前記ペダルケースの内側から外方に向けて拡開するテーパー状に設けられる、前記[6]に記載のペダル装置。
[8]前記第1規制面は、前記ペダルの上面に沿って湾曲状に設けられる、前記[7]に記載のペダル装置。
[9]前記ペダルの左右側方部に設けられ、垂直な前面を備える側部を有する、前記[8]に記載のペダル装置。
[10]前記[9]に記載のペダル装置を備える電子鍵盤楽器。
【符号の説明】
【0042】
10 電子鍵盤楽器 11 白鍵
12 黒鍵 13 鍵盤
14 楽器ケース 20 脚部
21 脚 50 ペダル装置
51 接続杆 52 ペダル
52a 右ペダル 52b 左ペダル
52c 中ペダル 53 ペダルケース
53a 開口部 53a1 縁部
53a2 開口面 54 コイルばね
55 回転軸 100 下ベース部材
101 下ベース部材本体部 102 ペダル対応部
103 調整部材 104 パッド
105 クッション部材 110 下板金部材
111 固定部 120 上板金部材
121 下板部 122 接続板
123 上板部 130 前板金部材
131 開口部 132 リブ
140 規制部材 141 第1規制部
141a 第1規制面 142 第2規制部
142a 第2規制面 142b 側部
143 クッション部材 144 アーム部
148 ねじ部材 150 上ベース部材
151 ばね保持部 151a 下ばね支持軸
152 上ベース部材本体部 152a 凹部
153 軸受部 154 ばね受部材
154a 上ばね支持軸 160 センサユニット
161 基板 164 カム部材
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を備えるペダルケースと、
前記開口部を介して前記ペダルケースの外方に突出し、回動可能に設けられるペダルと、
前記ペダルケースにおける前記開口部側に前記ペダルの基端側から先端側にかけて下り勾配に傾斜する第1規制面を備え、少なくとも一部が前記ペダルケース内における前記ペダルの上面に設けられる規制部と、を有するペダル装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記開口部を介して前記ペダルケースの外から視認可能に設けられる、請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記規制部は、前記第1規制面と鈍角状に接続して前記第1規制面の上方に設けられる第2規制面を有する、請求項1又は請求項2に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記ペダルの最大踏み込み時における前記ペダルの上面から前記開口部の上縁までの高さは、前記ペダルの最大踏み込み時における前記ペダルの上面から前記第2規制面の突端部までの高さよりも小さい、請求項3に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記第1規制面は、下端が前記ペダルの最大踏み込み時の前記開口部の開口面よりも内側に位置するよう設けられる、請求項4に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記第1規制面と前記ペダルの上面とのなす角は40度~45度である、請求項5に記載のペダル装置。
【請求項7】
前記開口部の縁部は、前記ペダルケースの内側から外方に向けて拡開するテーパー状に設けられる、請求項6に記載のペダル装置。
【請求項8】
前記第1規制面は、前記ペダルの上面に沿って湾曲状に設けられる、請求項7に記載のペダル装置。
【請求項9】
前記ペダルの左右側方部に設けられ、垂直な前面を備える側部を有する、請求項8に記載のペダル装置。
【請求項10】
請求項9に記載のペダル装置を備える電子鍵盤楽器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係る楽器用ペダル装置は、開口部を備えるペダルケースと、前記開口部を介して前記ペダルケースの外方に突出し、回動可能に設けられるペダルと、前記ペダルケースにおける前記開口部側に前記ペダルの基端側から先端側にかけて下り勾配に傾斜する第1規制面を備え、少なくとも一部が前記ペダルケース内における前記ペダルの上面に設けられる規制部と、を有する。