(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157064
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】スタンド、鍵盤楽器セット
(51)【国際特許分類】
G10G 5/00 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
G10G5/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066720
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永妻 成之
【テーマコード(参考)】
5D182
【Fターム(参考)】
5D182BB07
(57)【要約】
【課題】良好なスタンド、鍵盤楽器セットを提供する。
【解決手段】スタンド100は、横架部材150と、多角形状部161を含み横架部材150に設けられる連結部材160と、多角形状部161の第1面161aに固定される、水平方向の断面Saが長方形状の第1脚本体111を含む第1脚部材と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横架部材と、
多角形状部を含み、前記横架部材が固定される連結部材と、
前記多角形状部の第1面に固定される、水平方向の断面が長方形状の第1脚本体を含む第1脚部材と、
を含むスタンド。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1面の下側に延設面を備える延設部を含み、
前記延設部と前記多角形状部の下面との間には、補強リブが設けられる、
請求項1に記載のスタンド。
【請求項3】
前記第1脚本体は、前記第1面と面当接して固定される固定面を含む、請求項1に記載のスタンド。
【請求項4】
前記第1脚本体における前記連結部材より下側の部分において、前記長方形状の断面積が下方に向けて漸次縮小する、請求項1に記載のスタンド。
【請求項5】
前記第1脚本体は、前記連結部材より下側の部分において、前記長方形状の短辺に対応する前記第1面側に設けられる脚内側面と、前記脚内側面と反対側の脚外側面と、を含み、
前記脚内側面が水平面となす角は、前記脚外側面が水平面となす角より小さい、請求項1に記載のスタンド。
【請求項6】
前記第1脚本体における前記連結部材より下側の部分において、前記長方形状の長辺の長さが下側に向けて漸次縮小する、請求項1に記載のスタンド。
【請求項7】
前記第1面は、垂直方向に平行に設けられる、請求項1に記載のスタンド。
【請求項8】
前記第1面は、前後方向に対するなす角が40度~45度に設けられる、請求項1に記載のスタンド。
【請求項9】
前記連結部材は前記横架部材の両端部に設けられ、
前記多角形状部は、前記第1面と略直交する第2面を含み、
前記第2面には、前記第1脚本体と略同形態の第2脚本体を含む第2脚部材が固定される、請求項8に記載のスタンド。
【請求項10】
前記第1脚本体と前記第2脚本体との間には、両者に亘って方杖部材が設けられる、請求項9に記載のスタンド。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10の何れかに記載のスタンドと、
前記スタンドの上側に配置される鍵盤楽器と、
を備える鍵盤楽器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンド、鍵盤楽器セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の装置に取り付けられる脚部としてのスタンドが開示されている。例えば、特許文献1には、電子鍵盤楽器の下面に設けられる雌ねじ部に螺合して取り付ける4本の脚を備えるスタンドが開示されている。このスタンドの脚は、互いに拡開するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスタンドは、例えば脚の下端を壁面等に押し当てて設置することがある。このとき、壁面等に強く押し当ててしまうことがあり、このため所定の剛性が要求されることがある。上記従来のスタンドのように、棒状の脚が螺合接続で筐体に取り付けられている場合には、雄ねじ部の直径を大きくしたり、筐体と脚の接続面を大きくしたりすることが考えられるが、そうすると、スタンド自体の大型化を招き、意匠性が低下してしまうことがある。
【0005】
本発明は、良好なスタンド、鍵盤楽器セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスタンドは、横架部材と、多角形状部を含み前記横架部材に設けられる連結部材と、前記多角形状部の第1面に固定される、水平方向の断面が長方形状の第1脚本体を含む第1脚部材と、を含む。
【0007】
本発明に係る鍵盤楽器セットは、上述のスタンドと、該スタンドの上側に配置される鍵盤楽器と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、良好なスタンド、鍵盤楽器セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るスタンドを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るスタンドの平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るスタンドの第1脚部材を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るスタンドの左側の連結部材周辺を上方前側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るスタンドの左側の連結部材周辺を上方後側から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るスタンドの左側の連結部材周辺を下方右側から見た斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るスタンドの左側の連結部材周辺を上方左側から見た斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るスタンドの左側の連結部材を示す左側面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るスタンドの左側の連結部材と第1脚部材、第2脚部材との接続部周辺を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1には、二点鎖線で示す略直方体形状の鍵盤楽器10を支持するスタンド100が示されている。鍵盤楽器セット1は、スタンド100と、スタンド100の上側に配置される鍵盤楽器10と、を備える。スタンド100には、3つのペダル210を備えるペダル装置200が設けられている。なお、以下の説明においては、ペダル210の前後方向(鍵盤楽器10の図示しない鍵の前後方向)を前後方向FBとして、前を前側F(演奏者側)、後を後側Bとし、ペダル210が配列する方向(鍵盤楽器10の図示しない鍵の配列方向)を左右方向LRとしてペダル装置200に向かって左を左側L、右を右側Rとする。また、ペダル装置200の上下方向ULにおいて上を上側Up、下を下側Loとする。なお、スタンド100が支持する対象は、本実施形態においては鍵盤楽器10としたが、他の楽器や、各種の装置等であってもよい。
【0011】
図1及び
図2に示すように、スタンド100は、左右方向LRに長い角筒状に設けられる横架部材150と、横架部材150の両端部に設けられる2つの連結部材160と、各連結部材160に設けられる第1脚部材110、第2脚部材120とを含む。連結部材160には、丸棒状のペダルフレーム250を介してペダル装置200が取り付けられている。
【0012】
右側Rの連結部材160は、左側Lの連結部材160と略対称に設けられる。また、右側Rの連結部材160に設けられる第1脚部材110、第2脚部材120は、左側Lの連結部材160に設けられる第1脚部材110、第2脚部材120と、要部において略同一形状とされている。従って、以下の説明においては、左側Lの連結部材160及び連結部材160に設けられる第1脚部材110、第2脚部材120に着目して説明する。
【0013】
図3に示すように、第1脚部材110は、第1脚本体111を含む。本実施形態においては、第1脚本体111は、木質部材からなる。第1脚本体111は、下端に設置面FLと当接する平板状の設置部材112が設けられている。第1脚本体111は、略長四角形状の棒状に設けられている。
【0014】
第1脚本体111は、上側Upに脚上面111aと、脚上面111aとなす角が鈍角に接続する外側(連結部材160と反対側)の脚外側面111bと、脚上面111aと直角に接続する内側(連結部材160側)の固定面111cとを含む。更に第1脚本体111は、固定面111cの下側Loでなす角が鈍角に接続する脚内側面111dを含む。更に第1脚本体111は、脚上面111a、脚外側面111b、固定面111c及び脚内側面111dと略直角に接続する2つの側面である第1脚側面111e、第2脚側面111fを含む。そして、脚底面111gは、脚外側面111b、脚内側面111d、第1脚側面111e、第2脚側面111fと接続し、設置面FL及び脚上面111aと平行とされ、設置部材112が設けられている。
【0015】
連結部材160より下側Loの部分において、脚外側面111bが水平面である設置面FLとなす角θ1は、脚内側面111dが水平面である設置面FLとなす角θ2よりも大きい(θ1>θ2)。また、なす角θ1,θ2共に、90度以下の角度とされている。本実施形態においては、θ1は約73度であり、θ2は約69度とされている。よって、第1脚本体111は、第1脚本体111を第1脚側面111e、第2脚側面111f側から見ると、上側Upが太く、下側Loが細い形状とされている。また、第1脚本体111は、設置面FLに対して斜めに配置され、前後方向FB又は左右方向LRから見て、第1脚部材110、第2脚部材120が拡開するように配置されている。
【0016】
第1脚本体111は、連結部材160より下側Loの部分において、
図3のA-A断面を示す囲み図に示すように、A-A断面(すなわち、設置面FLと平行な水平方向の断面Sa)が長方形状とされている。ここで、第1脚本体111の脚外側面111bは、長方形状(断面Sa)の2つの短辺SL1,SL2のうち、固定面111c(すなわち第1面161a)と反対側に設けられる一方の短辺SL1に対応する。第1脚本体111の脚内側面111dは、長方形状(断面Sa)の2つの短辺SL1,SL2のうち、固定面111c(第1面161a)側に設けられる他方の短辺SL2に対応する。脚外側面111bは、脚内側面111dの反対側に配置されている。
【0017】
長方形状の断面Saの断面積は、連結部材160より下側Loの部分では、下側Loに向けて漸次縮小する。断面Saは、下側Loに向かって2つの短辺SL1,SL2は一定の長さとされている。一方、断面Saにおける2つの長辺LL1,LL2は、連結部材160より下側Loの部分では、下側Loに向けて漸次縮小している。なお、固定面111c(連結部材160)に対応する断面Saは、長辺LL1,LL2が下側Loに向けて漸次伸長し、短辺SL1,SL2、は上下方向ULにおいて一定なので、断面Saの断面積が漸次拡大する。
【0018】
第1脚本体111の固定面111cには、金属プレート111c1と、金属プレート111c1を介して突出する雄ねじ部111c2が設けられている。固定面111cの金属プレート111c1は、後述の連結部材160の第1面161aと面当接して固定される。
【0019】
図1及び
図2に戻り、第2脚部材120は、第1脚部材110の第1脚本体111と同形状・同形態の第2脚本体121を含む。すなわち、第2脚本体121は、
図3~
図7に示すように、脚上面121a、脚外側面121b、脚内側面121d、固定面121c、第1脚側面121e、第2脚側面121fを含み、
図1に示すように、脚底面121gを含む。また、第2脚部材120は第1脚部材110と同様に、第2脚本体121に設けられる設置部材122を含む。また、固定面121cには、金属プレート121c1と、雄ねじ部121c2が設けられている。
【0020】
図4、
図5及び
図7に示すように、連結部材160は、多角形状部161を含む。連結部材160は、アルミ合金等の金属材料によるダイキャストにより成形される。多角形状部161は、底板161dを備える略有底六角筒状とされ、外側に第1面161a、第2面161b及び第3面161cを含む。第1面161aには、第1脚部材110の第1脚本体111における固定面111c(金属プレート111c1)が面当接して固定される。同様に、第2面161bには、第2脚部材120の第2脚本体121における固定面121c(金属プレート121c1)が面当接して固定される。
【0021】
第1面161a~第3面161cは、上下方向UL(垂直方向)に対して略平行な面である。
図2のQ1部囲み図に示すように、第3面161cは、前後方向FBに平行な面とされている。第1面161a及び第2面161bは、第3面161c(すなわち、前後方向FB)に対して、なす角θ3,θ4が約44度とされている。従って、第1面161aと第2面161bが交差する角度θ5は、略直角とされている。なお、なす角θ3,θ4は、40度~45度に設けられると好ましい。
【0022】
連結部材160には、多角形状部161の内側(第1脚部材110、第2脚部材120と反対側)に、肉盗み用の凹部160aを介して、横架部材150が接続して固定される横架部材固定部166が設けられている。横架部材固定部166は、凹溝状に設けられ、上側Upから2つのねじ部材33により横架部材150が連結部材160に固定されている。また、横架部材固定部166の前側Fの2箇所からも、樹脂製で筒状のスペーサ151を介してねじ部材(不図示)が挿通されて、横架部材150が連結部材160の横架部材固定部166に固定されている。
【0023】
横架部材固定部166の後側Bには、ペダルフレーム250の上端部が固定されるペダルフレーム固定部167が設けられている。ペダルフレーム250は、上端部がプレート167aによりペダルフレーム固定部167に押えられるように4つのねじ部材34が締め込まれて、連結部材160に固定される。
【0024】
また、ペダルフレーム固定部167の外側(第1脚部材110、第2脚部材120が配置される側)には、後側Bに張り出す後鍵盤楽器固定部168が設けられている。また、連結部材160には、横架部材150(横架部材固定部166)を挟んで後鍵盤楽器固定部168と対向する位置で前側Fに突出する前鍵盤楽器固定部169が設けられている。後鍵盤楽器固定部168及び前鍵盤楽器固定部169は、所定領域が上側Upに突出して設けられる当接面168a,169aを含む。当接面168a,169aは、鍵盤楽器10の下面と当接する面である。また、前鍵盤楽器固定部169の当接面169aの外側に配置される位置決めピン169bは、鍵盤楽器10の下面に設けられる凹部(不図示)と係合し、鍵盤楽器10の位置決めがなされる。また、後鍵盤楽器固定部168には、適宜略四角形状や三角形状の孔部168bが設けられている。
【0025】
図6に示すように、連結部材160には、多角形状部161の下側Loに二股状に延設される延設部162,163が設けられている。前側Fには延設部162が設けられ、後側Bには延設部163が設けられている。延設部162,163は、夫々、多角形状部161の下面161eとの間に補強リブ164,165が設けられている。補強リブ164,165は、夫々2枚の補強リブ164a,164b,165a,165bが設けられている。
【0026】
外側(前側Fの補強リブ164においては前側F、後側Bの補強リブ165においては後側B)の補強リブ164a,165aは、内側(前側Fの補強リブ164においては後側B、後側Bの補強リブ165においては前側F)の補強リブ164b,165bよりも大きく設けられている。鍵盤楽器スタンドに加えられる、例えば、ねじれ等の力に対抗する強度を考慮すると、連結部材160の外側に大きな補強リブが設けられていることが望ましい。なお、本実施例では連結部材160の最も外側からは少し内側に補強リブ164a,165aが設けられている。連結部材160の最も外側に大きな補強リブを配置すると外観上の美感が損なわれるためである。補強リブ164,165は、多角形状部161の下面161eから延設部162,163に向かって、板厚が漸次薄くなるよう設けられている。また、延設部162には、補強リブ164,165の下側Loに、夫々第1脚部材110の第1脚本体111、第2脚部材120の第2脚本体121と延設部162,163を固定するねじ部材31が設けられている。ねじ部材31は、延設部162,163に設けられる孔部162b,163b(
図8参照)に挿通されて、孔部162b,163bに対応して第1脚本体111、第2脚本体121に設けられる雌ねじ部(不図示)に螺合する。
【0027】
図8に示すように、延設部162,163は、略板状に設けられている。延設部162,163には、第1面161a及び第2面161bから外側(第1脚部材110、第2脚部材120側)に向けて屈折するように下側Loに連続する延設面162a,163aが設けられている。また、第1面161aの孔部161a1には、第1脚部材110の雄ねじ部111c2が挿通されて、多角形状部161の内側からナット32が螺合して(
図5参照)、第1脚部材110が連結部材160に固定される。同様に、第2面161bには、孔部161b1に第2脚本体121の雄ねじ部121c2が挿通されて、ナット32が螺合して(
図4参照)、第2脚部材120が連結部材160に固定される。なお、孔部161b1に隣接する孔部161b2には、第2脚部材120の金属プレート121c1から突出する突起(不図示)が挿通される。これにより、第2脚部材120の第1面161aへの取付が規制されている。
【0028】
更に、延設部162,163には、孔部162b,163bが設けられている。孔部162b,163bには、夫々、第1脚部材110、第2脚部材120を固定する前述のねじ部材31が挿通される。なお、孔部162b,163bは、夫々延設部162,163の下端162c,163cからの高さを異ならせて配置されている。具体的には、孔部162bの方が孔部163bよりも長さH分、低い位置に設けられている。孔部162b,163bの位置が異なることで、第1脚部材110と第2脚部材120が間違いなく取り付けられるようされている。
【0029】
また、
図7に示すように、第1脚部材110の第1脚本体111と、第2脚部材120の第2脚本体121との間には、両者に亘って方杖部材130が設けられている。方杖部材130は、略長矩形板状であって、屈曲する両端部は固定板部131,132が設けられている。固定板部131は、第1脚本体111の第2脚側面111fと面当接し、ねじ部材(不図示)により固定される。固定板部132は、第2脚本体121の第1脚側面121eに面当接し、ねじ部材(不図示)により固定される。
【0030】
スタンド100について、
図2に示すように、後側Bの2本の第2脚部材120の下端を壁面WL1に当接させた状態で、鍵盤楽器10を前側Fから後側Bに力P1で押した場合の第2脚部材120(第2脚本体121)剛性について説明する。一般に、断面が長方形状の断面二次モーメントは、
bh
3/12・・・(1)
で表される。前側Fから力P1で押した場合には、
図9に示すように、第2脚本体121に掛かる力P1の分力ベクトルは、前後方向FBのベクトルh1と、左右方向LRのベクトルb1で表される。そして、第2脚本体121の断面二次モーメントは、(1)式中の「h」が、ベクトルh1方向に対応する第2脚本体121の水平方向の断面の長さ(以下、単に「断面長さ」という。)となり、(1)式中の「b」が、ベクトルb1方向に対応する第2脚本体121の断面長さとなる。そして、ベクトルh1方向に対応する第2脚本体121の断面長さは、第2脚本体121の板厚Tよりも長くなる。そして、(1)式中の「h」は、3乗される。従って、本実施形態のように、第2脚本体121(第2脚部材120)を前後方向FBに対して略45度で配置することで、第2脚本体121の剛性を高めることができる。なお、後側Bから力P1で押した場合における第1脚部材110についても同様である。
【0031】
また、スタンド100について、
図2に示すように、左側Lの第1脚部材110及び第2脚部材120の下端を壁面WL2に当接させた状態で、鍵盤楽器10を右側Rから左側Lに力P2で押した場合の第1脚部材110、第2脚部材120の剛性について説明する。ここで、壁面WL2は、高さが低い段状であって、鍵盤楽器10と壁面WL2は当接していないものとする。右側Rから力P2で押した場合には、
図9に示すように、第1脚本体111に掛かる力P2の分力ベクトルは、左右方向LRのベクトルh2と、前後方向FBのベクトルb2で表される。そして、第1脚本体111の断面二次モーメントは、(1)式中の「h」が、ベクトルh2方向に対応する第1脚本体111の断面長さとなり、(1)式中の「b」が、ベクトルb2方向に対応する第1脚本体111の断面長さとなる。そして、ベクトルh2方向に対応する第1脚本体111の断面長さは、第1脚本体111の板厚Tよりも長くなる。そして、(1)式中の「h」は、3乗される。従って、本実施形態のように、第1脚本体111(第1脚部材110)を前後方向FBに対して略45度で配置することで、第1脚本体111の剛性を高めることができる。第2脚部材120(第2脚本体121)についても同様である。
【0032】
なお、スタンド100について、
図2に示すように、左側Lの第2脚部材120が壁面WL1,WL2の交差部に当接させた状態で、右側Rの前側Fから左側Lの後側Bに、前後方向FBから略45度傾けた力P3で鍵盤楽器10を押した場合には、(1)式中の「h」がベクトルh3方向に対応する第2脚本体111の断面長さ、すなわち、長方形状における長辺LL1,LL2(
図3参照)となり、(1)式中の「b」はベクトルb3方向に対応する第2脚本体111の断面長さ、すなわち、第2脚本体121の板厚T(短辺SL1,SL2、
図3参照)となる。
【0033】
このように、前後方向FB(又は左右方向LR)に対して第1面161a及び第2面161bを夫々略45度で配置して、第1面161aと第2面161bとが略直角に交差するよう配置したことで、通常、力P1,P2で表される力を受けやすい前後方向FBや左右方向LRに対する第1脚部材110、第2脚部材120の剛性を高めることができる。そして、本実施形態のスタンド100は、単に太い脚部材を用いて前後方向FBに対して略45度で配置しただけではなく、長方形の断面積が下方に向けて漸次縮小した構成の第1脚本体111、第2脚本体121により、上方(鍵盤楽器10に近い側)では、特に剛性を高めつつ、意匠性を高めたスタンド100とすることができる。
【0034】
なお、多角形状部161は、前後方向FB(又は左右方向LR)に対して第1面161a及び第2面161bを例えば夫々略45度で配置されていればよい。すなわち、多角形状部161は、本実施形態で示す略六角筒状の他、略五角形筒状や略三角形筒状とすることもできる。また、多角形状部161は、底板161dを備えて有底筒状としたことで、多角形状部161自体の剛性を高くすることができる。
【0035】
また、
図7に示すように、第1脚部材110(第2脚部材120)に、捩じり力M1が掛かった場合には、第1脚部材110(第1脚本体111)、第2脚部材120(第2脚本体121)及び方杖部材130によりトラス構造TRが画成されているので、第1脚部材110(第2脚部材120)の破損が低減されている。
【0036】
また更に、第1脚側面111e,121eや第2脚側面111f,121f方向からの力P3に対しては、方杖部材130により第1脚部材110(第2脚部材120)を支持することで、第1脚部材110(第2脚部材120)の破損が低減されている。なお、方杖部材130は、脚上面111a,121aの近傍に配置されることで、上側Upから見ることが多い鍵盤楽器10が固定されたスタンド100において、鍵盤楽器10の陰に隠れて見え難くなる。
【0037】
以上、本発明の実施形態では、スタンド100は、横架部材150と、多角形状部161を含み横架部材150に設けられる連結部材160と、多角形状部161の第1面161aに固定される、水平方向の断面Saが長方形状の第1脚本体111を含む第1脚部材110と、を含む。
【0038】
これにより、前後方向FB及び左右方向LRの力P1,P2に対して、部材(第1脚本体111)の板厚T3以上の板厚T1,T2で力P1,P2を受けることができる。よって、高剛性な脚(第1脚部材110)を備えたスタンド100とすることができる。そして、略角棒状の第1脚部材110により、スタンド100の意匠性を高めることができる。
【0039】
また、連結部材160は、第1面161aの下側Loに延設面162aを備える延設部162を含み、延設部162と多角形状部161の下面161eとの間には、補強リブ164が設けられる。これにより、剛性の高い連結部材160で第1脚部材110を支持することができるので、第1脚部材110と連結部材160の接続をより高強度とすることができる。
【0040】
また、第1脚本体111は、第1面161aと面当接して固定される固定面111cを含む。これにより、面当接させてナット32で固定するだけの簡単な構成として、組立て易いスタンド100とすることができる。
【0041】
また、第1脚本体111における連結部材160より下側Loの部分において、断面Saである長方形状の断面積が下方に向けて漸次縮小する。これにより、上側Upが太く、下側Loが細い第1脚部材110とすることができるので、意匠性を備えつつ、連結部材160との接続部分は高強度とすることができる。
【0042】
また、第1脚本体111は、連結部材160より下側の部分において、長方形状の短辺SL1,SL2に対応する第1面161a側に設けられる脚内側面111dと、脚内側面111dと反対側の脚外側面111bと、を含み、脚内側面111dが水平面(設置面FL)となす角θ2は、脚外側面111bが水平面となす角θ1より小さい。これにより、意匠性の高い第1脚部材110とすることができる。
【0043】
また、第1脚本体111における連結部材160より下側Loの部分において、断面Saにおける長方形状の長辺LL1,LL2の長さが下側Loに向けて漸次縮小する。これにより、下側Loが細く見えるスタンド100とすることで、支持する鍵盤楽器10が宙に浮いているようなイメージとすることができる。
【0044】
また、第1面161aは、垂直方向に平行に設けられる。これにより、連結部材160と第1脚部材110との接続構造をシンプルな形態とすることができるので、意匠性を高めたスタンド100とすることができる。
【0045】
また、第1面161aは、前後方向FBに対するなす角θ3が40度~45度に設けられる。これにより、長方形状の断面Saを含む第1脚部材110の配置が、前後方向FB及び左右方向LRからの力P1,P2に強い配置(板厚T1,T2で力P1,P2を受ける配置)とすることができる。
【0046】
また、連結部材160は、横架部材150の両端部に設けられ、多角形状部161は、第1面161aと直交する第2面161bを含み、第2面161bには、第1脚本体111と同形態の第2脚本体121を含む第2脚部材が固定される。これにより、左右それぞれに第1脚部材110、第2脚部材120を配置した、4本の脚を有するスタンド100を構成することができる。
【0047】
また、第1脚本体111と第2脚本体121との間には、両者に亘って方杖部材130が設けられる。これにより、更に強度を高めた脚を備えるスタンド100とすることができる。
【0048】
また、鍵盤楽器セット1は、スタンド100と、スタンド100の上側に配置される鍵盤楽器10とを備える。これにより、鍵盤楽器10を支持し、意匠性が高く、高強度、高剛性なスタンド100を備えた鍵盤楽器セット1を提供することができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0050】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]横架部材と、
多角形状部を含み、前記横架部材が固定される連結部材と、
前記多角形状部の第1面に固定される、水平方向の断面が長方形状の第1脚本体を含む第1脚部材と、
を含むスタンド。
[2]前記連結部材は、前記第1面の下側に延設面を備える延設部を含み、
前記延設部と前記多角形状部の下面との間には、補強リブが設けられる、
前記[1]に記載のスタンド。
[3]前記第1脚本体は、前記第1面と面当接して固定される固定面を含む、前記[1]に記載のスタンド。
[4]前記第1脚本体における前記連結部材より下側の部分において、前記長方形状の断面積が下方に向けて漸次縮小する、前記[1]に記載のスタンド。
[5]前記第1脚本体は、前記連結部材より下側の部分において、前記長方形状の短辺に対応する前記第1面側に設けられる脚内側面と、前記脚内側面と反対側の脚外側面と、を含み、
前記脚内側面が水平面となす角は、前記脚外側面が水平面となす角より小さい、前記[1]に記載のスタンド。
[6]前記第1脚本体における前記連結部材より下側の部分において、前記長方形状の長辺の長さが下側に向けて漸次縮小する、前記[1]に記載のスタンド。
[7]前記第1面は、垂直方向に平行に設けられる、前記[1]に記載のスタンド。
[8]前記第1面は、前後方向に対するなす角が40度~45度に設けられる、前記[1]に記載のスタンド。
[9]前記連結部材は前記横架部材の両端部に設けられ、
前記多角形状部は、前記第1面と略直交する第2面を含み、
前記第2面には、前記第1脚本体と略同形態の第2脚本体を含む第2脚部材が固定される、前記[8]に記載のスタンド。
[10]前記第1脚本体と前記第2脚本体との間には、両者に亘って方杖部材が設けられる、前記[9]に記載のスタンド。
[11]前記[1]乃至前記[10]の何れかに記載のスタンドと、
前記スタンドの上側に配置される鍵盤楽器と、
を備える鍵盤楽器セット。
【符号の説明】
【0051】
10 鍵盤楽器 31 ねじ部材
32 ナット 33 ねじ部材
34 ねじ部材 100 スタンド
110 第1脚部材 111 第1脚本体
111a 脚上面 111b 脚外側面
111c 固定面 111c1 金属プレート
111c2 雄ねじ部 111d 脚内側面
111e 第1脚側面 111f 第2脚側面
111g 脚底面 112 設置部材
120 第2脚部材 121 第2脚本体
121a 脚上面 121b 脚外側面
121c 固定面 121c1 金属プレート
121c2 雄ねじ部 121d 脚内側面
121e 第1脚側面 121f 第2脚側面
121g 脚底面 122 設置部材
130 方杖部材 131 固定板部
132 固定板部 150 横架部材
151 スペーサ 160 連結部材
160a 凹部 161 多角形状部
161a 第1面 161a1 孔部
161b 第2面 161b1 孔部
161b2 孔部 161c 第3面
161d 底板 161e 下面
162 延設部 162a 延設面
162b 孔部 162c 下端
163 延設部 163a 延設面
163b 孔部 163c 下端
164 補強リブ 164a 補強リブ
164b 補強リブ 165 補強リブ
165a 補強リブ 165b 補強リブ
166 横架部材固定部 167 ペダルフレーム固定部
167a プレート 168 後鍵盤楽器固定部
168a 当接面 168b 孔部
169 前鍵盤楽器固定部 169a 当接面
169b 位置決めピン 200 ペダル装置
210 ペダル 250 ペダルフレーム
FL 設置面
LL1,LL2 長辺
SL1,SL2 短辺
Sa 断面