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  • 特開-画像処理検査用同軸落射照明装置 図1
  • 特開-画像処理検査用同軸落射照明装置 図2
  • 特開-画像処理検査用同軸落射照明装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157087
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】画像処理検査用同軸落射照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231019BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20231019BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20231019BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231019BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21V7/00 570
F21V5/04 650
F21V5/04 200
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066758
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】392026888
【氏名又は名称】京都電機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】中山 雄三
(57)【要約】
【課題】より均一な照度の光を照射できる画像処理検査用同軸落射照明装置を提供する。
【解決手段】 画像処理検査用同軸落射照明装置1は、前後方向D1に光軸を有する単一光源3と、前後方向D1に対して傾斜するハーフミラー6と、単一光源3から発せられた光の配光角を縮小させる第1レンズ4と、第1レンズ4からの光をハーフミラー6に入射させるための第2レンズ5と、を備え、ハーフミラー6は、第2レンズ5からの光を下方D2に反射させて対象物Bに照射させると共に、対象物Bからの反射光を透過させ、単一光源3,第1レンズ4,第2レンズ5及びハーフミラー6は、前後方向D1に沿って、この順序で配列されている
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を撮像して検査する画像処理検査において用いられる画像処理検査用同軸落射照明装置であって、
第1方向に光軸を有する単一光源と、
前記第1方向に対して傾斜するハーフミラーと、
前記単一光源から発せられた光の配光角を縮小させる第1レンズと、
前記第1レンズからの光を前記ハーフミラーに入射させるための第2レンズと、を備え、
前記ハーフミラーは、前記第2レンズからの光を前記第1方向と直交する第2方向に反射させて対象物に照射させると共に、前記対象物からの反射光を透過させ、
前記単一光源,前記第1レンズ,前記第2レンズ及び前記ハーフミラーは、前記第1方向に沿って、この順序で配列されていることを特徴とする画像処理検査用同軸落射照明装置。
【請求項2】
前記第2レンズは、前記第1レンズからの光を平行光に変換して前記ハーフミラーに入射させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理検査用同軸落射照明装置。
【請求項3】
前記第2レンズは、前記第1レンズからの光を集束光に変換して前記ハーフミラーに入射させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理検査用同軸落射照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理検査において対象物を照明するために用いられる画像処理検査用同軸落射照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体等の工業製品の品質や商品パッケージに施される印字等を製造ライン上で検査する際に、CCDカメラ等による撮像を利用した画像処理検査が行われている。このような画像処理検査で用いる照明装置の一つとして、同軸落射照明装置が提案されている。同軸落射照明装置は、光源から発せられた光を拡散板で拡散させた後にハーフミラーで反射して照射面上の対象物に照射し、対象物からの反射光がハーフミラーを介してCCDカメラ等に到達するように構成されており、光源は面状に配置された複数個のLEDにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-140032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3に従来の同軸落射照明装置の一例を示す。図3(a)を参照して、ハーフミラー106で反射された光は筐体102に設けられた照射開口部(照射孔)121aを介して射出されるが、従来の同軸落射照明装置においては、図3(b)に示すように照射面T上の照射領域における光の照度にバラツキが生じることに加え、照射開口部121aの中心と照射領域における光の照度ピーク位置にズレが生じていた。これは、拡散板8で拡散された光の一部はハーフミラー106で反射されることなく照射面Tに直接到達することに起因するものであり、照度ピーク位置は照射開口部121aの中心よりも光源103から離れた位置となっている。
【0005】
また、従来の同軸落射照明装置においては、ワークディスタンスやワークサイズ(対象物の寸法)に応じて照射面上における照射領域を調整することはできなかった。
【0006】
本発明は、より均一な照度の光を照射できる画像処理検査用同軸落射照明装置の提供を目的とする。
【0007】
また、本発明は、ワークディスタンスやワークサイズに応じて照射領域を設定可能な画像処理検査用同軸落射照明装置の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像処理検査用同軸落射照明装置は、対象物を撮像して検査する画像処理検査において用いられるものであって、第1方向に光軸を有する単一光源と、前記第1方向に対して傾斜するハーフミラーと、前記単一光源から発せられた光の配光角を縮小させる第1レンズと、前記第1レンズからの光を前記ハーフミラーに入射させるための第2レンズと、を備え、前記ハーフミラーは、前記第2レンズからの光を前記第1方向と直交する第2方向に反射させて対象物に照射させると共に、前記対象物からの反射光を透過させ、前記単一光源,前記第1レンズ,前記第2レンズ及び前記ハーフミラーは、前記第1方向に沿って、この順序で配列されている。
【0009】
また、前記第2レンズは、前記第1レンズからの光を平行光または集束光に変換して前記ハーフミラーに入射させるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像処理検査用同軸落射照明装置によれば、単一光源,第1レンズ,第2レンズ及びハーフミラー第1方向に沿ってこの順序で配列されており、単一光源から発せられた光は第1レンズにより配光角が縮小され、第2レンズを介してハーフミラーに入射し、ハーフミラーにより反射された光が対象物を照射する。よって、単一光源からの光がハーフミラーを介さず照射面上の対象物を照射することがなく、これにより対象物をより均一な光量で照射することができる。また、単一光源を備えるので、面状に配置された複数個の光源を備える同軸落射照明装置と比較して、部品点数を減らすことができる。
【0011】
また、第2レンズが第1レンズからの光を平行光に変換してハーフミラーに入射させることにより、ハーフミラーにより反射されて対象物を照射する照射光も平行光となる。よって、ワークディスタンスが変動しても、対象物を均一な光量で照射することができる。
【0012】
或いは、第2レンズが第1レンズからの光を集束光に変換してハーフミラーに入射させることにより、ハーフミラーにより反射されて対象物を照射する照射光も集束光となる。よって、より狭い照射領域を効率的に照射でき、対象物をピンポイントで照明するのに好適に利用できる。また、集束光の集束度合いは、ワークディスタンスやワークサイズに応じて適宜設定することができ、集束光の集束度合いは第1レンズから第2レンズまでの距離を調整することで容易に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る画像処理検査用同軸落射照明装置を備える画像処理検査システムの全体構成を示す概略図。
図2】本発明の第2実施形態に係る画像処理検査用同軸落射照明装置を備える画像処理検査システムの全体構成を示す概略図。
図3】(a)は、従来の照明装置を備える画像処理検査システムの全体構成を示す概略図、(b)は従来の同軸落射照明装置における照射面上における照度分布を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態に係る画像処理検査用同軸落射照明装置を備える画像処理検査システムについて説明する。図1に示す画像処理検査システムSは、照射面T上の対象物Bに光を照射するための画像処理検査用同軸落射照明装置(以下、「照明装置」という。)1と、対象物Bを撮像するための撮像装置Cと、を備える。照明装置1は、筐体2と、筐体2に収容保持された光源3,第1レンズ4,第2レンズ5,及びハーフミラー6を備える。光源3は前後方向(第1方向)D1に光軸を有し、光源3,第1レンズ4,第2レンズ5,及びハーフミラー6は相互に間隔を空けてこの順序で前後方向D1に沿って配列されている。
【0015】
筐体2は直方体形状であって、下壁21と、上壁22と、前壁23と、後壁24と、一対の側壁(図示せず)と、を有する。下壁21には照射孔21aが開口され、上壁22には透過窓22aが設けられ、透過窓22aには透過部材22bが嵌め込まれている。光源3はLED素子31を1個のみ有する単一光源であって、LED素子31の光軸が前方に延びるように筐体2の後壁24の内面に配置されている。
【0016】
第1レンズ4は光源3から発せられた光の配光角を縮小させる配光制御レンズとして機能する。第2レンズ5は、第1レンズ4を通過した光を光源3の光軸と平行な平行光へ変換してハーフミラー6へ向けて射出するものであり、ここでは第2レンズ5としてフレネルレンズを用いている。第1レンズ4と第2レンズ5の光軸は一致し、前後方向D1に延びている。
【0017】
ハーフミラー6は、入射する光の半分を反射し、光の半分を透過するミラーであって、前後方向D1に対して45度に傾斜して(図1の例では後上方向に向けて斜めに)配置され、第2レンズ5からの光を対象物B(照射面T)に向かって下向(第2方向)D2に反射させると共に、対象物Bからの反射光を撮像装置Cに向けて上方に透過させる。撮像装置Cは上下方向に光軸を有し、ハーフミラー6を介して対象物Bに対向配置され、対象物Bからの反射光を取り込む。
【0018】
かかる構成において、光源3から発せられた光は、第1レンズ4により配光角が縮小され、第2レンズ5により更に配光角が制御されて平行光とされる。第2レンズ5からの平行光はハーフミラー6に入射し、ハーフミラー6によって撮像装置Cの光軸に沿った下方D2に反射される。このように下方D2に反射された光は照射孔21aを介して射出され、対象物Bを照射する。そして、対象物Bにより反射された反射光は、照射孔21aを介して筐体2内に入り、ハーフミラー6及び透過窓22aを透過して撮像装置Cに到達し、撮像装置Cによって撮像される。
【0019】
このように、光源3から発せられた光は第2レンズ5により光源3の光軸と平行な平行光とされることから、第2レンズ5からの光が対象物Bを直接照射することはない。よって、照射面T上の照射領域を均一に照射することができる。また、光源3から発せられた光の配光角が第1レンズ4により縮小されるので、光源3からの光を効率良く第2レンズ5へ入射させることができ、光のロスを抑制できる。
【0020】
更に、第2レンズ5からの平行光がハーフミラー6により反射されるので、ハーフミラー6により反射されて対象物Bを照射する照射光は平行光となる。よって、ワークディスタンスWD(即ち、照射孔21aから対象物Bまでの距離)が変動しても、対象物Bを均一な光量で照射することができる。
【0021】
本実施形態では単一光源を用いるので、複数個の光源を面状に配置させた面状光源と比較して部品点数を減らすことができる。
【0022】
なお、本実施形態における対象物Bとしては、ラベルや包装部品等、幅広のものが適している。また、光源3から第1レンズ4までの距離OD、及び第1レンズ4から第2レンズ5までの距離MDについては、まず最初に距離ODを設定し、その後に距離MDを設定する。
【0023】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る照明装置(画像処理検査用同軸落射照明装置)について図2を参照して説明する。本実施形態に係る照明装置1Aは、図1に示す照明装置1と実質同一であるが、第1レンズ4から第2レンズ5までの距離MDが図1におけるものよりも広く設定され、これにより第2レンズ5に入射した光は集束光に変換される。そして、第2レンズ5から射出された集束光はハーフミラー6により下方に反射されて対象物Bを照射する。
【0024】
本実施形態においても、光源3から発せられた光は第2レンズ5により集束光に変換されてハーフミラー6に入射することから、第2レンズ5からの光が対象物Bを直接照射することがない。よって、照射面T上の照射領域を均一に照射することができる。
【0025】
また、第2レンズ5からの集束光がハーフミラー6により反射されるので、ハーフミラー6により反射されて対象物Bを照射する照射光は集束光となる。よって、上述の第1実施形態と比較して、より狭い照射領域を効率的に照射でき、対象物Bをピンポイントで照明するのに好適であり、本実施形態における対象物Bとしては電子部品等の小さな物品が適している。
【0026】
ここで、第2レンズ5による光の集束度合いは、ワークディスタンスや照射領域の広さ(換言すると、対象物Bの寸法(ワークサイズ))に応じて適宜設定すれば良く、第2レンズ5による光の集束度合いは第1レンズ4から第2レンズ5までの距離MD(即ち、第1及び第2レンズ4,5からなる組み合わせレンズの焦点距離)を調整することで容易に設定できる。
【0027】
以上、本発明の実施形態に係る画像処理検査用同軸落射照明装置について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0028】
例えば、上記第1実施形態と第2実施形態では、第1レンズ4から第2レンズ5までの距離MDのみが異なるが、これに加えて単一光源3から第1レンズ4までの距離ODも異なるものとしても良い。
【符号の説明】
【0029】
1、1A 画像処理検査用同軸落射照明装置
3 単一光源
4 第1レンズ
5 第2レンズ
6 ハーフミラー
B 対象物
C 撮像装置
S 画像処理検査システム
図1
図2
図3