IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マルセンの特許一覧

<>
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図1
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図2
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図3
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図4
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図5
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図6
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図7
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図8
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図9
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図10
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図11
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図12
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図13
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図14
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図15
  • 特開-ピックアンドプレース装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157110
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ピックアンドプレース装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/90 20060101AFI20231019BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65G47/90 D
B65G47/248 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066798
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】591153754
【氏名又は名称】株式会社マルセン
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 直己
【テーマコード(参考)】
3F072
3F081
【Fターム(参考)】
3F072AA06
3F072JA03
3F072KD01
3F072KE10
3F081BE09
3F081CA16
3F081CE02
(57)【要約】
【課題】ワークの搬送軌跡を直線状としつつ、1つの駆動装置によりワークの姿勢を変更することができるピックアンドプレース装置を提供する。
【解決手段】ピックアンドプレース装置1,2,3は、第一方向へ直線移動可能な第一移動部材40と、第二方向へ直線移動可能であり二次元の曲線カム部51a,151aを備えるカム面51,151が形成された第二移動部材50,150と、カム面に沿って移動可能な従動部材60と、自身の駆動軸線L2回りの揺動回転により従動部材をカム面に沿って移動させるように構成されたカムアーム70と、カムアームを揺動回転駆動するように構成された駆動装置80,280と、第一移動部材と共にベース部材に対して第一方向に直線移動可能に構成され、かつ、ワークを着脱可能に構成された出力部材90を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期姿勢のワークを保持し、保持した前記ワークを基準直線方向に直線移動させながら前記ワークの姿勢を変更し、姿勢を変更した前記ワークを離脱するピックアンドプレース装置であって、
ベース部材と、
前記ベース部材に対して前記基準直線方向である第一方向へ直線移動可能となるようにガイドされる第一移動部材と、
前記ベース部材に対して前記第一方向に交差する第二方向へ直線移動可能となるようにガイドされ、二次元の曲線カム部を備えるカム面が形成された第二移動部材と、
前記カム面に沿って移動可能に構成され、前記カム面の位置に応じた姿勢を取る従動部材と、
アーム基端部が前記第二移動部材に対して前記第一方向および前記第二方向に直交する駆動軸線回りに揺動回転可能となるように前記第二移動部材に支持され、前記駆動軸線に対して偏心したアーム先端部にて前記従動部材を支持し、自身の前記駆動軸線回りの揺動回転により前記従動部材を前記カム面に沿って移動させるように構成されたカムアームと、
前記第二移動部材に取り付けられ、前記カムアームを前記第二移動部材に対して前記駆動軸線回りに揺動回転駆動するように構成された駆動装置と、
前記従動部材に取り付けられ、前記第一移動部材に対して前記第一方向および前記第二方向に直交する軸線回りに回転可能となるように前記第一移動部材に支持され、前記第一移動部材と共に前記ベース部材に対して前記第一方向に直線移動可能に構成され、かつ、前記ワークを着脱可能に構成された出力部材と、
を備える、ピックアンドプレース装置。
【請求項2】
前記カム面は、前記曲線カム部、および、前記曲線カム部に接続され前記第一方向に平行な直線カム部を備える、請求項1に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項3】
前記カム面は、山形弧形状の前記曲線カム部と、前記曲線カム部の両端のそれぞれに接続する一対の前記直線カム部と、を備えるU字状カム面であり、
前記ピックアンドプレース装置は、所定位置にて前記初期姿勢の前記ワークを保持し、保持した前記ワークを前記基準直線方向に直線移動させながら前記ワークの姿勢を反転させ、反転させた前記ワークを前記所定位置にて離脱するように構成された、請求項2に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項4】
前記カム面は、弧形状の前記曲線カム部と、前記曲線カム部の一端に接続する1つの前記直線カム部と、を備えるJ字状カム面であり、
前記ピックアンドプレース装置は、所定位置にて前記初期姿勢の前記ワークを保持し、保持した前記ワークを前記基準直線方向に直線移動させながら前記ワークの姿勢を回転させ、回転させた前記ワークを前記所定位置とは異なる位置にて離脱するように構成された、請求項2に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記カムアームを3以上の回転角度にて位置決め可能に構成され、
位置決め可能な前記回転角度は、前記従動部材の位置として前記カム面における一方端位置、他方端位置、および、中間位置のそれぞれに対応する回転角度を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、位置制御可能なモータである、請求項5に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項7】
前記駆動装置は、少なくとも3位置の位置決め可能な流体シリンダ装置である、請求項5に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項8】
前記第二方向は、前記第一方向に直交する方向である、請求項1または2に記載のピックアンドプレース装置。
【請求項9】
前記カム面は、溝カムにより構成されている、請求項1または2に記載のピックアンドプレース装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアンドプレース装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアンドプレース装置の1つとして、初期姿勢のワークを保持して、ワークの搬送中にワークの姿勢を変更して、変更した姿勢のワークを離脱させることができる装置が知られている。この種のピックアンドプレース装置として、1つの駆動装置を用いた構成が、特許文献1,2に記載されている。
【0003】
特許文献1には、U字状のカムを用いることによりワークの搬送中にワークを反転させるピックアンドプレース装置が記載されている。このピックアンドプレース装置は、ワークを初期位置にて保持し、初期位置からワークを上昇させつつ横方向に移動させながらワークを反転させて、初期位置とは異なる位置にてワークを離脱させる。詳細には、このピックアンドプレース装置は、ワークの搬送軌跡をU字状としており、ワークを初期位置とは異なる位置に搬送する際に、ワークを反転させることができる。
【0004】
特許文献2には、カム板およびゼネバ歯車を用いることにより、ワークの搬送中に反転させるピックアンドプレース装置が記載されている。このピックアンドプレース装置は、ワークを初期位置にて保持し、初期位置からワークを上昇させながらワークを反転させて、初期位置と同一位置にてワークを離脱させる。このピックアンドプレース装置は、ワークの搬送軌跡を直線状としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3225052号公報
【特許文献2】特開平4-101949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の駆動装置を用いてワークを上昇と反転をさせることは、簡易な構成にて可能となる。しかし、複数の駆動装置を用いることにより、高コスト化を招来し、電力消費量が多くなる問題が生じる。そこで、特許文献1,2に記載のような1つの駆動装置を用いて、ワークの姿勢を変更することは有用である。
【0007】
ところで、ワークの搬送軌跡として、特許文献1に記載のようなU字状の搬送軌跡や、特許文献2に記載のような直線状の搬送軌跡が存在する。特許文献2に記載のピックアンドプレース装置においては、カム板およびゼネバ歯車を有しており、複雑な構成となっている。特に、カム板とゼネバ歯車とが協働しており、両部材について高い加工精度および組立精度が必要となる。そのため、高コストを招来する。
【0008】
一方、特許文献1に記載のピックアンドプレース装置は、従動部材がU字状のカム面に沿って移動する構成を有しており、1つの駆動装置を有する構成としては、特許文献2に記載の装置に比べると簡易な構成である。しかし、特許文献1に記載のピックアンドプレース装置は、ワークの搬送軌跡が直線状ではなくU字状であるため、ワークの搬送軌跡を直線状とするニーズには対応できない。
【0009】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、ワークの搬送軌跡を直線状としつつ、1つの駆動装置によりワークの姿勢を変更することができるピックアンドプレース装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、初期姿勢のワークを保持し、保持した前記ワークを基準直線方向に直線移動させながら前記ワークの姿勢を変更し、姿勢を変更した前記ワークを離脱するピックアンドプレース装置であって、
ベース部材と、
前記ベース部材に対して前記基準直線方向である第一方向へ直線移動可能となるようにガイドされる第一移動部材と、
前記ベース部材に対して前記第一方向に交差する第二方向へ直線移動可能となるようにガイドされ、二次元の曲線カム部を備えるカム面が形成された第二移動部材と、
前記カム面に沿って移動可能に構成され、前記カム面の位置に応じた姿勢を取る従動部材と、
アーム基端部が前記第二移動部材に対して駆動軸線回りに回転可能となるように前記第二移動部材に支持され、前記駆動軸線に対して偏心したアーム先端部にて前記従動部材を支持し、自身の前記駆動軸線回りの回転により前記従動部材を前記カム面に沿って移動するように構成されたカムアームと、
前記第二移動部材に取り付けられ、前記カムアームを前記第二移動部材に対して前記駆動軸線回りに回転駆動するように構成された駆動装置と、
前記従動部材に取り付けられ、前記第一移動部材に対して前記第一方向および前記第二方向に直交する軸線回りに回転可能となるように前記第一移動部材に支持され、前記第一移動部材と共に前記ベース部材に対して前記第一方向に直線移動可能に構成され、かつ、前記ワークを着脱可能に構成された出力部材と、
を備える、ピックアンドプレース装置にある。
【発明の効果】
【0011】
上記態様のピックアンドプレース装置によれば、駆動装置の駆動によって、カムアームが、第二移動部材に対して駆動軸線回りに回転する。カムアームの回転に伴って、アーム先端部に支持されている従動部材が、第二移動部材のカム面に沿って移動する。そして、出力部材は、従動部材に取り付けられている。従って、第二移動部材を基準とした場合において、出力部材は、第二移動部材のカム面に沿って移動しつつ、カム面の位置に応じた姿勢を取る。
【0012】
ただし、出力部材は、第一移動部材に回転可能に支持されており、第一移動部材は、ベース部材に対して基準直線方向である第一方向に直線移動するようにガイドされている。従って、出力部材は、ベース部材に対する移動方向を基準直線方向に制限されている。
【0013】
一方で、出力部材は、第二移動部材のカム面に沿って移動する。第二移動部材のカム面は、二次元の曲線カム部を備える。そのため、出力部材は、第二移動部材に対して一次元ではなく二次元の移動をする。
【0014】
そこで、第二移動部材は、ベース部材に対して第二方向に直線移動するようにガイドされている。つまり、出力部材は、第二移動部材に対して二次元の移動をするが、第二移動部材がベース部材に対して第二方向に直線移動するようにしている。そのため、出力部材の移動を、ベース部材に対して基準直線方向である第一方向への直線移動に制限することができる。つまり、出力部材に保持されたワークの搬送軌跡を基準直線方向としつつ、1つの駆動装置によりワークの姿勢を変更することができる。
【0015】
さらに、上記態様のピックアンドプレース装置によれば、カム面の他に、従来のようなゼネバ歯車を有しておらず、構成が簡易となる。従って、装置の低コスト化を図ることができる。
【0016】
以上のごとく、上記態様によれば、ワークの搬送軌跡を直線状としつつ、1つの駆動装置によりワークの姿勢を変更することができるピックアンドプレース装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1のピックアンドプレース装置の正面図である。
図2】実施形態1のピックアンドプレース装置の右側面図である。
図3】実施形態1のピックアンドプレース装置の背面図である。
図4図1のIV-IV断面図である。
図5】区画板を取り除いた状態のピックアンドプレース装置における図2のV-V断面図である。
図6図2のVI-VI断面図である。
図7図2のVII-VII断面図である。
図8】区画板を取り除いた状態のピックアンドプレース装置の正面図であって、従動部材がカム面の一方端に位置する状態を示す図である。
図9】区画板を含む状態のピックアンドプレース装置であって、図8のIX-IX断面図である。
図10】区画板を取り除いた状態のピックアンドプレース装置の正面図であって、従動部材がカム面の途中に位置する状態を示す図である。
図11】区画板を取り除いた状態のピックアンドプレース装置の正面図であって、従動部材がカム面の途中に位置する状態を示す図である。
図12】区画板を取り除いた状態のピックアンドプレース装置の正面図であって、従動部材がカム面の途中に位置する状態を示す図である。
図13】区画板を取り除いた状態のピックアンドプレース装置の正面図であって、従動部材がカム面の他方端に位置する状態を示す図である。
図14】実施形態2のピックアンドプレース装置の正面図であって、区画板を取り除いた状態を示し、従動部材がカム面の一方端に位置する状態を示す図である。
図15】実施形態2のピックアンドプレース装置の正面図であって、区画板を取り除いた状態を示し、従動部材がカム面の他方端に位置する状態を示す図である。
図16】実施形態3のピックアンドプレース装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
1.ピックアンドプレース装置1の構成
本形態のピックアンドプレース装置1の構成について図1図7を参照して説明する。以下において、左側は図1の左側とし、右側は図1の右側とし、前側は図1の正面側とし、奥側は図1の奥側として説明する。また、本形態では、基準直線方向を、図1の上下方向とし、姿勢回転軸線L1の方向を、図1の前後方向とする場合について説明する。
【0019】
ピックアンドプレース装置1は、初期姿勢のワークWを保持し、保持したワークWを基準直線方向に直線移動させながらワークWの姿勢を変更し、姿勢を変更したワークWを離脱するように構成されている。本形態では、ピックアンドプレース装置1は、所定位置としての置台T上にて初期姿勢のワークWを保持するように構成されている。さらに、ピックアンドプレース装置1は、保持したワークWを基準直線方向に直線移動させながらワークWの姿勢を反転させ、反転させたワークWを所定位置としての置台T(図2に示す)上にて離脱するように構成されている。ワークWの姿勢の反転は、ワークWを姿勢回転軸線L1回りに回転させて行われる。
【0020】
ピックアンドプレース装置1は、ベース部材10、第一ガイド部材20、第二ガイド部材30、第一移動部材40、第二移動部材50、従動部材60、カムアーム70、駆動装置80、および、出力部材90を備える。
【0021】
ベース部材10は、設置面上に固定される部材である。本形態では、ベース部材10は、ベース部材本体11、一対の柱状部12、ガイド支持部13、および、区画板14を備える。本形態では、ベース部材10は、5個の要素11~14により構成されているが、5個の要素11~14を一体化した1つの要素により構成しても良いし、5個以外の複数個の要素により構成しても良い。
【0022】
ベース部材本体11は、例えば、右側方から見た場合に、L字状の板材により構成されている。ベース部材本体11は、L字状の他に、T字状、四角形状、三角形状など任意の形状としても良い。ベース部材本体11は、設置面上に取り付けられる。一対の柱状部12は、長尺状に形成されており、ベース部材本体11の前面に左右のそれぞれの端部付近に固定され、ベース部材本体11よりも上方に延在する。つまり、一対の柱状部12は、左右方向に対向しており、一対の柱状部12の間には、空間が形成されている。一対の柱状部12は、ベース部材本体11の奥側の面に固定しても良い。
【0023】
ガイド支持部13は、例えば、T字状に形成されている。ガイド支持部13は、一対の柱状部12の上端部分のうち奥側の面に固定されている。ガイド支持部13のT字状の左右方向に延在する部分は、一対の柱状部12のそれぞれよりも左右方向の外側に延在するように構成されている。
【0024】
区画板14は、平板状に形成されており、前側領域と奥側領域とを区画する。区画板14は、ワークWを移動させる前側領域と、ピックアンドプレース装置1のカム機構および駆動機構を構成する部材が配置される奥側領域とを区画する。区画板14は、作業者に対する安全カバーや意匠カバーの役割を有する。区画板14には、図1図4に示すように、基準直線方向である第一方向に長尺状の貫通孔14aが形成されている。本形態では、基準直線方向である第一方向は、図1の上下方向とする。
【0025】
第一ガイド部材20は、ベース部材10に取り付けられ、基準直線方向に一致する第一方向にガイドするための部材である。第一ガイド部材20は、第一固定要素21および第一スライド要素22を備える。
【0026】
第一固定要素21は、ベース部材10に固定される。本形態では、第一固定要素21は、ベース部材10のガイド支持部13の前面に固定される。詳細には、第一固定要素21は、ガイド支持部13のT字状の左右方向中央の第一方向延在部分に固定される。例えば、第一固定要素21は、複数個の短尺状の部材により構成されており、第一方向に配列される。第一スライド要素22は、第一固定要素21に対して、第一方向にガイドされながら、第一方向に直線移動(スライド)することができるように構成されている。本形態では、第一スライド要素22は、第一方向に延在する長尺状に形成されている。ただし、第一固定要素21を長尺状の部材とし、第一スライド要素22を短尺状の部材とすることもできる。
【0027】
第二ガイド部材30は、ベース部材10に取り付けられ、第一方向に交差する第二方向にガイドするための部材である。本形態では、第二方向は、第一方向に直交する方向とする。従って、第二方向は、図1の水平方向となる。第一方向と第二方向とを直交する方向とすることによって、第一ガイド部材20と第二ガイド部材30とを独立したガイド部材とすることができる。
【0028】
第二ガイド部材30は、第二固定要素31および第二スライド要素32を備える。第二固定要素31は、ベース部材10に固定される。本形態では、第二固定要素31は、ベース部材10のガイド支持部13の奥側の面に固定される。詳細には、第二固定要素31は、ガイド支持部13のT字状の上端の第二方向延在部分に固定される。例えば、第二固定要素31は、第二方向に延在する長尺状に形成されている。第二スライド要素32は、第二固定要素31に対して、第二方向にガイドされながら、第二方向に直線移動(スライド)することができるように構成されている。本形態では、第二スライド要素32は、複数個の短尺状の部材により構成されている。ただし、第二固定要素31を短尺状の部材とし、第二スライド要素32を長尺状の部材とすることもできる。
【0029】
第一移動部材40は、ベース部材10に対して基準直線方向である第一方向へ直線移動可能となるようにガイドされている。詳細には、第一移動部材40は、第一ガイド部材20の第一スライド要素22に固定されている。第一移動部材40は、第一ガイド部材20によって第一方向への直線移動をガイドされている。そして、第一移動部材40は、区画板14の貫通孔14aを挿通するように位置しており、貫通孔14a内において第一方向に移動可能となる。本形態では、第一移動部材40は、区画板14の前面から前方へ突出し、かつ、区画板14の奥面から奥方へ突出するように設けられている。さらに、第一移動部材40は、第一方向および第二方向に直交する方向の姿勢回転軸線L1を中心とした内周面を有する貫通孔40aが形成されている。本形態では、貫通孔40aの中心軸線は、姿勢回転軸線L1に一致するが、姿勢回転軸線L1から偏心するようにしても良い。ただし、貫通孔40aの中心軸線を姿勢回転軸線L1に一致させる方が、簡易な構成となる。
【0030】
第二移動部材50は、ベース部材10に対して第二方向へ直線移動可能となるようにガイドされている。詳細には、第二移動部材50は、第二ガイド部材30の第二スライド要素32に固定されている。第二移動部材50は、第二ガイド部材30によって第二方向へ直線移動をガイドされている。
【0031】
さらに、第二移動部材50には、カム面51が形成されている。本形態では、カム面51は、溝カムにより構成されている。カム面51は、少なくとも、二次元の曲線カム部51aを有する。二次元の曲線カム部51aは、第一方向および第二方向のそれぞれを座標軸とした場合の二次元座標系において曲線状に形成される。
【0032】
本形態では、曲線カム部51aは、曲率中心が曲線の片側に位置するような湾曲した形状を有する。換言すると、曲線カム部51aは、弧形状を有する。特に、本形態では、曲線カム部51aは、山形弧形状を有する。ここでいう山形弧形状とは、弧の両端における接線が第一方向に一致する弧形状を意味する。曲線カム部51aは、一定の曲率を有する円弧としても良いし、曲率が変化する楕円弧としても良いし、円弧や楕円弧に類似した弧としても良い。
【0033】
カム面51は、二次元の曲線カム部51aに加えて、一対の直線カム部51b,51bを有する。一対の直線カム部51b,51bは、第一方向に平行に形成されている。従って、一対の直線カム部51b,51bは、相互に平行である。そして、一対の直線カム部51b,51bは、曲線カム部51aの両端のそれぞれに接続される。さらに、一対の直線カム部51b,51bの長さは、同一である。つまり、カム面51は、U字状カム面を構成し、上側がU字状の凸側とし、下側がU字状の開口側とする。さらに、カム面51は、第一方向において、第一移動部材40の貫通孔40aが移動する範囲に形成されている。
【0034】
第二移動部材50には、U字状のカム面51の中央付近に、貫通孔52が形成されている。貫通孔52は、第一方向および第二方向に直交する方向の駆動軸線L2を中心とした内周面を有する。貫通孔52は、第二方向において、第一移動部材40の位置に一致するように形成されている。つまり、貫通孔52は、第一移動部材40の奥側に位置する。
【0035】
従動部材60は、カム面51に沿って移動可能に構成され、カム面51の位置に応じた姿勢を取るように構成されている。従動部材60は、姿勢回転軸線L1回りの回転に伴う姿勢を取ることができる。従動部材60は、従動部材本体61、カムフォロア62、軸部63、および、軸受64を備える。
【0036】
従動部材本体61は、例えば長円形に形成されている。ただし、従動部材本体61は、円形など、任意の形状とすることができる。2個のカムフォロア62は、円筒外周面を有しており、従動部材本体61に回転可能に支持されている。さらに、2個のカムフォロア62は、カム面51を構成する溝カムに係入されている。つまり、2個のカムフォロア62が、カム面51に係入された状態でカム面51に沿って移動することにより、2個のカムフォロアの相対位置に応じて従動部材本体61の姿勢が変化する。
【0037】
本形態では、従動部材60は、2個のカムフォロア62を有する場合を例に挙げるが、カム面51に沿って姿勢が変化する1個の長尺状(例えば、長円形や弧状)のカムフォロア62を有することもできる。また、3個以上の円形のカムフォロア62を有するようにしても良い。ただし、長尺状のカムフォロア62や3個以上の円形のカムフォロア62の場合には、カム面51を構成する溝カムの形状に応じて、配置、形状、大きさなどを調整する必要がある。
【0038】
軸部63は、従動部材本体61に固定されており、軸部63の中心軸線が姿勢回転軸線L1を構成する。本形態では、軸部63は、2個のカムフォロア62の中央付近に位置する。軸受64は、軸部63の外周面に設けられており、軸受64の外輪は、軸部63に対して姿勢回転軸線L1回りに回転可能に構成されている。
【0039】
カムアーム70は、アーム基端部に位置するカムアーム基軸部71と、カムアーム基軸部71に一体的に設けられ径方向に延在するカムアーム本体部72とを備える。カムアーム基軸部71は、円柱状に形成されており、第二移動部材50の貫通孔52に軸受を介して回転可能に支持されている。従って、カムアーム基軸部71は、第二移動部材50に対して駆動軸線L2回りに揺動回転可能となるように、第二移動部材50に支持されている。
【0040】
カムアーム本体部72のアーム先端部は、駆動軸線L2に対して偏心した位置に位置する。従って、カムアーム本体部72は、駆動軸線L2回りに揺動回転する。さらに、カムアーム本体部72のアーム先端部は、従動部材60を支持する。詳細には、カムアーム本体部72のアーム先端部は、従動部材60の軸受64を介して、従動部材60の軸部63を回転可能に、かつ、スライド可能に支持する。さらに、カムアーム本体部72が駆動軸線L2回りに揺動回転する際に、カムアーム本体部72のアーム先端部は、従動部材60の軸受64に対して係合する。従って、カムアーム本体部72は、カムアーム本体部72の駆動軸線L2回りの揺動回転によって従動部材60をカム面51に沿って移動させるように構成されている。
【0041】
本形態では、カムアーム本体部72のアーム先端部は、径方向外側が開口するようなU字爪状に形成されている。U字爪状に形成することにより、従動部材60の軸受64を回転可能かつスライド可能に支持することができる。ただし、カムアーム本体部72のアーム先端部は、U字爪状の他に、リニアガイドなどを用いた任意の構成とすることができる。
【0042】
駆動装置80は、第二移動部材50に取り付けられ、カムアーム70を第二移動部材50に対して駆動軸線L2回りに揺動回転駆動するように構成されている。本形態では、駆動装置80は、ギヤ機構81、および、モータ82を備える。ギヤ機構81は、例えば、ベベルギヤにより構成される。ただし、ギヤ機構81は、種々の構成を採用することができる。ギヤ機構81は、カムアーム70のカムアーム基軸部71に連結されている。
【0043】
モータ82は、ギヤ機構81に連結されている。従って、モータ82は、ギヤ機構81を介して、カムアーム70を駆動軸線L2回りに揺動回転駆動する。モータ82は、位置制御可能である。つまり、モータ82は、揺動回転において任意の位置にて位置決め可能に構成されている。本形態では、駆動装置80は、ギヤ機構81を有する構成としたが、ギヤ機構81を有さずに、モータ82をカムアーム70のカムアーム基軸部71に直接連結するようにしても良い。
【0044】
出力部材90は、出力軸部91、および、出力機構92を備える。出力軸部91は、従動部材60の軸部63と同軸に取り付けられている。出力軸部91は、第一移動部材40に対して姿勢回転軸線L1回りに揺動回転可能となるように、第一移動部材40の貫通孔40aに軸受を介して支持されている。また、出力軸部91が第一移動部材40の貫通孔40aに支持されていることから、出力軸部91は、第一移動部材40と共にベース部材10に対して第一方向に直線移動可能に構成されている。
【0045】
出力機構92は、出力軸部91の前面に設けられており、ワークWを着脱可能に構成されている。出力機構92は、例えば、流体シリンダ装置により構成されており、供給される流体に応じてワークWを保持したり、離脱したりすることが可能となる。本形態では、出力機構92は、ワークWを保持可能なチャックを例に挙げる。なお、出力機構92は、チャックの他に、ワークWを保持可能な吸着部材などを用いることもできる。
【0046】
2.ピックアンドプレース装置1の動作
ピックアンドプレース装置1の動作について図8図13を参照して説明する。図8および図9に示すように、置台T(図9に示す)の上にて、初期姿勢のワークWが位置決めされている。ワークWが長尺形状を例に挙げており、初期姿勢のワークWは、例えば、長手方向が上下方向に一致する姿勢とされている。また、ワークWの姿勢の変化を明示するために、ワークWは長手方向の一端面に凸部を有し、他端面に凹部を有しており、初期姿勢のワークWは凸部が下方に位置する。
【0047】
そして、ピックアンドプレース装置1は、図8および図9に示す初期状態とする。詳細には、従動部材60のカムフォロア62は、U字状のカム面51の一方端に位置する。つまり、従動部材60のカムフォロア62は、カム面51の一方の直線カム部51bの端部に位置する。このとき、2個のカムフォロア62は、第一方向(上下方向)に並んだ状態となる。
【0048】
さらに、第一方向の移動範囲において、従動部材60がカム面51の最下端に位置することから、第一移動部材40も最下端に位置する。また、第二方向の移動範囲において、従動部材60がカム面51の右端に位置することから、第二移動部材50は左端に位置する。そして、出力部材90の出力機構92は、初期姿勢のワークWを保持することができる姿勢とされている。つまり、従動部材60の軸部63および軸受64は、駆動軸線L2に対して右下側に位置する。従って、カムアーム70のカムアーム本体部72のアーム先端が、駆動軸線L2に対して右下側を向く姿勢となる。
【0049】
そして、図10に示すように、駆動装置80のモータ82を駆動することにより、カムアーム70を図10の左回りに回転させる。カムアーム70が左回転することにより、カムアーム70のカムアーム本体部72のアーム先端部に係合している従動部材60が追従する。このとき、従動部材60の2個のカムフォロア62は、カム面51を構成する溝カムに係入されているため、カム面51に沿って移動する。
【0050】
まずは、2個のカムフォロア62は、カム面51の一方の直線カム部51bに沿って上方へ直線移動する。2個のカムフォロア62における位置関係(方向)は、変化しない。従って、従動部材60は、回転姿勢は変更せずに、上方へ直線移動する。このとき、従動部材60の軸部63は、カムアーム本体部72のアーム先端部に対して、回転しながら、スライドする。つまり、従動部材60の軸部63の中心軸線である姿勢回転軸線L1とカムアーム70の駆動軸線L2との距離は、逐次変化する。
【0051】
さらに、出力部材90は、従動部材60と共に移動し、かつ、第一移動部材40と共にベース部材10に対して第一方向に直線移動する。従って、従動部材60が回転せずに上方へ直線移動することに伴って、出力部材90は、回転せずにベース部材10に対して上方へ直線移動する。
【0052】
続いて、図11に示すように、駆動装置80のモータ82を駆動することにより、カムアーム70をさらに左回りに回転させる。カムアーム70が左回転することにより、カムアーム70のカムアーム本体部72のアーム先端部に係合している従動部材60が追従する。このとき、従動部材60の2個のカムフォロア62は、カム面51の曲線カム部51aに沿って曲線移動する。従って、2個のカムフォロア62における位置関係(方向)は、変化する。従動部材60は、第二移動部材50を基準とした場合に、曲線カム部51aに沿って移動しながら、左回転する。つまり、従動部材60は、第二移動部材50を基準とした場合に、上方成分および左方向成分を有する方向へ移動しながら、左回転する。
【0053】
ただし、出力部材90は、従動部材60と共に移動し、かつ、第一移動部材40と共にベース部材10に対して第一方向に直線移動する。つまり、第一移動部材40、従動部材60および出力部材90は、ベース部材10に対して第一方向に移動可能であるのに対して、第一方向に直交する方向への移動が規制されている。
【0054】
従って、従動部材60が第二移動部材50に対する上方成分の移動に伴って、第一移動部材40および出力部材90が、ベース部材10に対して上方へ直線移動する。さらに、従動部材60が第二移動部材50に対する左方向成分の移動に伴って、第二移動部材50が、ベース部材10に対して、第二方向のうち右方向へ移動する。さらに、従動部材60および出力部材90は、カムフォロア62が位置するカム面51の位置に応じた姿勢を取る。
【0055】
続いて、図12に示すように、駆動装置80のモータ82を駆動することにより、カムアーム70をさらに左回りに回転させる。カムアーム70が左回転することにより、カムアーム70のカムアーム本体部72のアーム先端部に係合している従動部材60が追従する。このとき、従動部材60の2個のカムフォロア62は、カム面51の曲線カム部51aに沿って曲線移動し、さらに、他方の直線カム部51bに進入する。従って、2個のカムフォロア62における位置関係(方向)は、変化する。従動部材60は、第二移動部材50を基準とした場合に、曲線カム部51aに沿って移動しながら、左回転する。つまり、従動部材60は、第二移動部材50を基準とした場合に、下方成分および左方向成分を有する方向へ移動しながら、左回転する。
【0056】
従って、従動部材60が第二移動部材50に対する下方成分の移動に伴って、第一移動部材40および出力部材90は、ベース部材10に対して下方へ直線移動する。さらに、従動部材60が第二移動部材50に対する左方向成分の移動に伴って、第二移動部材50が、ベース部材10に対して第二方向のうち右方向へ移動する。さらに、従動部材60および出力部材90は、カムフォロア62が位置するカム面51の位置に応じた姿勢を取る。
【0057】
続いて、図13に示すように、駆動装置80のモータ82を駆動することにより、カムアーム70を左回りに回転させる。カムアーム70が左回転することにより、カムアーム70のカムアーム本体部72のアーム先端部に係合している従動部材60が追従する。このとき、従動部材60の2個のカムフォロア62は、カム面51の他方の直線カム部51bに沿って下方へ直線移動する。2個のカムフォロア62における位置関係(方向)は、変化しない。従って、従動部材60は、回転姿勢は変更せずに、下方へ直線移動する。このとき、従動部材60の軸部63は、カムアーム本体部72のアーム先端部に対して、回転しながら、スライドする。つまり、従動部材60の軸部63の中心軸線である姿勢回転軸線L1とカムアーム70の駆動軸線L2との距離は、逐次変化する。
【0058】
このようにして、ワークWは、初期姿勢に対して反転させた姿勢とされて、置台T(図9に示す)の上に位置決めされる。この間、ワークWは、第一方向へ移動するのに対して、第一方向に直交する方向へは移動しない。つまり、ワークWは、第一方向へ移動しながら反転する。
【0059】
ここで、モータ82は、任意の位置にて位置決めすることができる。モータ82は、図8および図13に示すように、カムアーム70を、従動部材60の位置としてカム面51における一方端位置および他方端位置のそれぞれに対応する回転角度にて、位置決め可能に構成されている。さらに、モータ82は、カムアーム70を、カム面51における中間位置に対応する回転角度にて、位置決め可能に構成されている。例えば、図10図11図12のそれぞれに示すように、モータ82は、カムアーム70を位置決めすることができる。ただし、モータ82は、図8図11および図13に示す3個の回転角度にて位置決め可能に構成しても良いし、図8図10図11図12および図13に示す5個の回転角度にて位置決め可能に構成しても良い。これらの他に、モータ82は、任意の回転角度にて位置決め可能である。
【0060】
3.効果
本形態のピックアンドプレース装置1によれば、上述したように、駆動装置80の駆動によって、カムアーム70が、第二移動部材50に対して駆動軸線L2回りに回転する。カムアーム70の回転に伴って、カムアーム本体部72のアーム先端部に支持されている従動部材60が、第二移動部材50のカム面51に沿って移動する。そして、出力部材90は、従動部材60に取り付けられている。従って、第二移動部材50を基準とした場合において、出力部材90は、第二移動部材50のカム面51に沿って移動しつつ、カム面51の位置に応じた姿勢を取る。
【0061】
ただし、出力部材90は、第一移動部材40に回転可能に支持されており、第一移動部材40は、ベース部材10に対して基準直線方向である第一方向に直線移動するようにガイドされている。従って、出力部材90は、ベース部材10に対する移動方向を基準直線方向である第一方向に制限されている。
【0062】
一方で、出力部材90は、第二移動部材50のカム面51に沿って移動する。第二移動部材50のカム面51は、二次元の曲線カム部51aを備える。そのため、出力部材90は、第二移動部材50に対して一次元ではなく二次元の移動をする。
【0063】
そこで、第二移動部材50は、ベース部材10に対して第二方向に直線移動するようにガイドされている。つまり、出力部材90は、第二移動部材50に対して二次元の移動をするが、第二移動部材50がベース部材10に対して第二方向に直線移動するようにしている。そのため、出力部材90の移動を、ベース部材10に対して基準直線方向である第一方向への直線移動に制限することができる。つまり、出力部材90に保持されたワークWの搬送軌跡を基準直線方向としつつ、1つの駆動装置80によりワークWの姿勢を変更することができる。
【0064】
さらに、本形態のピックアンドプレース装置1によれば、カム面51の他に、従来のようなゼネバ歯車を有しておらず、構成が簡易となる。従って、ピックアンドプレース装置1の低コスト化を図ることができる。
【0065】
また、本形態では、カム面51は、曲線カム部51a、および、曲線カム部51aに接続され第一方向に平行な直線カム部51b,51bを備える。直線カム部51bの方向を第一方向に平行な方向とすることで、カム面51は直線カム部51bを含むようにすることが可能となる。これにより、ワークWの第一方向への直線搬送距離を長くすることができ、自由度が高まる。
【0066】
特に、本形態では、カム面51は、山形弧形状の曲線カム部51aと、曲線カム部51aの両端のそれぞれに接続する一対の直線カム部51b,51bと、を備えるU字状カム面である。そして、ピックアンドプレース装置1は、所定位置にて初期姿勢のワークWを保持し、保持したワークWを基準直線方向である第一方向に直線移動させながらワークWの姿勢を反転させ、反転させたワークWを所定位置にて離脱するように構成されている。このように構成されることで、ワークWを基準直線方向である第一方向に直線移動させながら反転させることができる。つまり、ワークWを反転させて初期の所定位置に戻すことができる。
【0067】
また、本形態では、駆動装置80は、カムアーム70を3以上の回転角度にて位置決め可能に構成される。そして、位置決め可能な回転角度は、従動部材60の位置としてカム面51における一方端位置(図8に示す)、他方端位置(図13に示す)、および、中間位置(図10図12などに示す)のそれぞれに対応する回転角度を含むようにする。このように、ワークWを当該中間位置にて位置決めすることにより、ワークWが当該中間位置に位置決めされている際に、例えば、ワークWの搬入出などの種々の処理を行うことができる。
【0068】
また、本形態では、駆動装置80は、位置制御可能なモータとしている。これにより、上記のように任意の位置での位置決めが容易に実現できる。
【0069】
また、本形態では、第二方向は、第一方向に直交する方向とすると良い。第一方向と第二方向とを直交させることにより、第一移動部材40と第二移動部材50に独立した動作をさせることができる。これにより、ピックアンドプレース装置1の構成が簡易な構成となる。
【0070】
また、本形態において、カム面51は、溝カムにより構成されている。つまり、従動部材60を溝カムに係入した状態で、従動部材60をカム面51に沿って移動させることができる。従って、従動部材60に種々の方向の力が作用したとしても、従動部材60の移動を所望の軌跡に規制することができる。
【0071】
(実施形態2)
本形態のピックアンドプレース装置2の構成について図14および図15を参照して説明する。本形態におけるピックアンドプレース装置2において、上記実施形態の構成と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
本形態のピックアンドプレース装置2は、所定位置にて初期姿勢のワークWを保持し、保持したワークWを基準直線方向に直線移動させながらワークWの姿勢を回転させ、回転させたワークWを所定位置とは異なる位置にて離脱するように構成されている。特に、ピックアンドプレース装置2は、ワークWを初期姿勢に対して90°回転させた姿勢とし、所定位置とは異なる位置にて離脱するように構成されている。ワークWの姿勢の回転は、ワークWを姿勢回転軸線L1回りに回転させて行われる。
【0073】
ピックアンドプレース装置2は、ベース部材10、第一ガイド部材20、第二ガイド部材30、第一移動部材40、第二移動部材150、従動部材60、カムアーム70、駆動装置80、および、出力部材90を備える。
【0074】
第二移動部材150には、カム面151が形成されている。本形態では、カム面151は、溝カムにより構成されている。カム面151は、弧形状の曲線カム部151aと、曲線カム部151aの一端に接続する1つの直線カム部151bとを備える。つまり、カム面151は、J字状カム面を構成する。本形態のカム面151は、実施形態のカム面51の一部を構成する。
【0075】
本形態のピックアンドプレース装置2の動作について説明する。図14に示すように、置台T(図9に示す)の上にて、初期姿勢のワークWが位置決めされている。ピックアンドプレース装置2は、図14に示す状態とする。このとき、従動部材60は、カム面151の一方端位置に位置する。この状態は、実施形態1の図8に示す状態に一致する。
【0076】
駆動装置80のモータ82を駆動することにより、従動部材60は、カム面151の他方端位置に位置する。この状態は、実施形態1の図11に示す状態に一致する。そして、出力部材90は、ワークWを図15に示す位置および姿勢にて離脱する。本形態では、離脱する際のワークWの姿勢は、初期姿勢に対して90°回転した姿勢とされている。
【0077】
このように、カム面151を例えばJ字状カム面とすることにより、保持したワークWを基準直線方向である第一方向に移動させながらワークWの姿勢を回転させ、ワークWを保持した初期位置とは異なる位置にてワークWを離脱することができる。
【0078】
(実施形態3)
本形態のピックアンドプレース装置3の構成について図16を参照して説明する。本形態におけるピックアンドプレース装置3において、上記実施形態の構成と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
本形態のピックアンドプレース装置3は、ベース部材10、第一ガイド部材20、第二ガイド部材30、第一移動部材40、第二移動部材50、従動部材60、カムアーム70、駆動装置280、および、出力部材90を備える。駆動装置280は、エアシリンダや油圧シリンダなどの流体シリンダ装置である。流体シリンダ装置である駆動装置280は、少なくとも3位置の位置決め可能に構成すると良い。本形態においても、実施形態1と同様の効果を発揮する。
【0080】
(その他)
上記実施形態においては、カム面51,151は、溝カムを構成する場合を例に挙げた。この他に、カム面51,151は、板カムにより構成されるようにしても良い。板カムは、溝カムを構成する両側の溝側面のうちの一方の溝側面のみにより形成されたカムに相当する。
【0081】
また、カム面51,151は、曲線カム部51a,151aおよび直線カム部51b,151bを備えることとした。この他に、カム面51,151は、曲線カム部51a,151a,のみを備え、直線カム部51b,151bを備えないようにすることもできる。
【0082】
また、従動部材60は、2個のカムフォロア62を備えるようにした。この他に、従動部材60は、2個のカムフォロア62に代えて、1個の非円形のカムフォロアを備えるようにすることもできる。非円形のカムフォロアは、例えば、長円形や弧形状などを採用できる。
【0083】
また、上記実施形態においては、基準直線方向を上下方向としたが、基準直線方向を水平方向としても良いし、上下方向および水平方向に対して傾斜した方向としても良い。この場合も、第一移動部材40、従動部材60および出力部材90が、基準直線方向に移動する。従って、ワークWは、基準直線方向に移動し、基準直線方向に直交する方向へは移動しない。
【0084】
また、上記実施形態においては、第一方向と第二方向とは、相互に直交する方向とした。この他に、第二方向を第一方向に傾斜した方向とすることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1,2,3 ピックアンドプレース装置
10 ベース部材
40 第一移動部材
50,150 第二移動部材
51,151 カム面
51a,151a 曲線カム部
60 従動部材
70 カムアーム
80,280 駆動装置
90 出力部材
W ワーク
L2 駆動軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16