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  • 特開-映像編集システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157112
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】映像編集システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
H04N5/222
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066804
(22)【出願日】2022-04-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年12月10日 有限会社 吉浦ビル(樋井川村 工房)(映像編集システムのケースの構造と寸法を説明) 令和3年12月15日 城南市民センター ホール(映像編集システムの動作試験)
(71)【出願人】
【識別番号】522152555
【氏名又は名称】株式会社ミキヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 浩史
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122DA02
5C122EA42
5C122EA61
5C122GE09
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】容易に持ち運び、セッティングをすることができる映像編集システムを提供する。
【解決手段】取っ手5を有するケース4と、モニタ11と、複数の編集機器(スイッチャ12、ミキサ13、編集記録装置14)と、を備え、ケース4は、本体部2と蓋部3と、本体部2と蓋部3を繋ぐ連結手段9を備え、連結手段9の一端は、本体部2と回転自在に接続され、連結手段9の他端は、蓋部3と回転自在に接続され、閉状態で、本体部2の上部と蓋部3の下部が接し、開状態で、本体部2の後部と蓋部3の下部の一部が接し、モニタ11は、蓋部3の天板3aの内側に固定され、複数の編集機器は、本体部2に固定され、閉状態と開状態において、モニタ11と複数の編集機器が相互に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行手段を有するケースと、
モニタと、
複数の編集機器と、を備え、
前記ケースは、本体部と蓋部と、前記本体部と前記蓋部を繋ぐ連結手段を備え、
前記連結手段の一端は、前記本体部と回転自在に接続され、
前記連結手段の他端は、前記蓋部と回転自在に接続され、
閉状態で、前記本体部の上部と前記蓋部の下部が接し、
開状態で、前記本体部の後部と前記蓋部の下部の一部が接し、または、接する程度に近接し、
前記モニタは、前記蓋部の天板の内側に固定され、
複数の前記編集機器は、前記本体部に固定され、
前記閉状態と前記開状態において、前記モニタと複数の前記編集機器が相互に接続されている、映像編集システム。
【請求項2】
前記本体部に固定され、商用電源を直流電源に変換する変換装置を、さらに備え、
前記モニタと複数の前記編集機器の少なくともいずれかには前記変換装置から電力が供給される、請求項1に記載の映像編集システム。
【請求項3】
前記本体部に固定され、前記編集機器と接続された無線通信装置を、さらに備える、請求項1または2に記載の映像編集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラやマイクと接続して取得した映像を編集する持ち運び可能な映像編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人等が撮像した映像をインターネットで配信することが行われている。この映像は、カメラとマイクを一体的に備えたスマートフォンなどの機材で撮像することも可能である。しかし、複数のカメラと複数のマイクを使用して撮影した映像や音声を切り替えて臨場感のある映像に編集する場合は、複数のカメラが撮像した映像を切り換えるスイッチャ、複数のマイクが集音した音声などをミキシングするミキサ、映像データと音声データを記録するレコーダ、映像データと音声データを編集してインターネットで配信するためのストリーミングデータに変換するエンコーダなどの複数の編集機器を接続して構成する映像編集システムが必要となる。
【0003】
従来、複数の映像を収録し、編集する作業は、複数のカメラ、複数のマイク、映像編集システムが使用可能な状態で準備されているスタジオで行われている。また、スタジオ外で収録・編集するためのTV中継システムも使用されている。特許文献1には、TVカメラと、複数の編集機器を収納した機器ラックと、機器ラックを載せて移動可能な台車を貨物車両に積載するTV中継システムが開示されている。このTV中継システムは、スタジオ外の目的地まで移動した貨物車両からTVカメラや機器ラックを降ろして台車に載せ、屋内などの収録や中継を行う位置まで移動させ、その位置でTVカメラや機器ラックの複数の編集機器を接続してセッティングし、TV中継や収録を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-48068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のTV中継システムは、スタジオ外で映像の収録・編集が可能であるものの、機材一式の移動には専用の貨物車両が必要であり、また、機材の設営に多くの作業者と時間を要するという課題があった。そのため、乗用車や電車を使って機材一式を運搬し、一人でも容易にセッティングをすることができるようにするためには、さらなる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、容易に持ち運び、セッティングをすることができる映像編集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の映像編集システムは、携行手段を有するケースと、モニタと、複数の編集機器と、を備え、前記ケースは、本体部と蓋部と、前記本体部と前記蓋部を繋ぐ連結手段を備え、前記連結手段の一端は、前記本体部と回転自在に接続され、前記連結手段の他端は、前記蓋部と回転自在に接続され、閉状態で、前記本体部の上部と前記蓋部の下部が接し、開状態で、前記本体部の後部と前記蓋部の下部の一部が接し、または、接する程度に近接し、前記モニタは、前記蓋部の天板の内側に固定され、複数の前記編集機器は、前記本体部に固定され、前記閉状態と前記開状態において、前記モニタと複数の前記編集機器が相互に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に持ち運び、セッティングをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態の映像編集システムを持ち運びする閉状態の斜視図
図2】本発明の一実施の形態の映像編集システムを載置して(a)蓋部を空ける前の閉状態の斜視図(b)蓋部を開けた開状態の斜視図
図3】本発明の一実施の形態の映像編集システムの蓋部を開けた開状態の平面図
図4】本発明の一実施の形態の映像編集システムの蓋部を開けた開状態の側面断面図
図5】本発明の一実施の形態の映像編集システムの使用状態を説明する概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、映像編集システムの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
まず図1図4を参照して、映像編集システム1の構成について説明する。映像編集システム1は、本体部2と蓋部3を備えたケース4と、ケース4の内部に固定して配置されたモニタ11と複数の編集機器を備えている。ケース4の本体部2と蓋部3は開閉可能である。
【0012】
以下、本体部2と蓋部3を閉じた状態(図1図2(a))を「閉状態」、本体部2と蓋部3を開けて映像編集システム1を使用する状態(図2(b)、図3図4)を「開状態」と称する。また、図2(a)に示す閉状態の映像編集システム1において、本体部2の底板2aが机の天板などに接するように載置した状態で、本体部2と蓋部3が開閉する側を「前」、反対側を「後」、蓋部3の天板3a側を「上」、本体部2の底板2a側を「下」、映像編集システム1を前から見た右側を「右」、左側を「左」と称する。
【0013】
図1において、ケース4の前面には、映像編集システム1を閉状態にして携行するための取っ手5が配置されている。映像編集システム1のオペレータは、ケース4の本体部2と蓋部3を合わせるようにして閉じ、ケース4の左右の側面に配置された一対の留め具10で本体部2と蓋部3を固定した状態で、手で取っ手5を持って運搬する。すなわち、取っ手5は、映像編集システム1を携行するためにケース4に設けられた携行手段である。なお、携行手段はオペレータが把持する取っ手5に限定されることはなく、例えば、オペレータが映像編集システム1を肩から下げるための肩掛けベルトであってもよい。また、留め具10はケース4の左右の側面に配置するものに限定されることはなく、例えば、ケース4の前面に配置するものであってもよい。
【0014】
図1図2において、ケース4の本体部2と蓋部3は、ケース4の左右の側面に配置された金属などの板状の剛体で形成された一対の連結部6によって、開閉自在に連結されている。連結部6の一端は、本体部2に配置された本体部側回転ヒンジ7によって左右方向を回転軸として本体部2と回転自在に接続されている。また、連結部6の一端とは反対側の他端は、蓋部3に配置された蓋部側回転ヒンジ8によって左右方向を回転軸として蓋部3と回転自在に接続されている。すなわち、連結部6、本体部側回転ヒンジ7、蓋部側回転ヒンジ8は、本体部2と蓋部3を繋ぐ連結手段9を構成する。
【0015】
図2(a)において、閉状態では、ケース4は本体部2の左側板2bの上部と、蓋部3の左側板3bの下部が接する。同様に閉状態では、ケース4は本体部2の前側板2c、右側板2d、後側板2eの上部と、蓋部3の前側板3c、右側板3d、後側板3eの下部がそれぞれ接する。すなわち、閉状態で、ケース4は本体部2の上部と蓋部3の下部が接する。
【0016】
図2(b)において、ケース4を開ける際は、オペレータは、蓋部3の前側板3cを後斜め上方に持ち上げ、蓋部3の後側板3eの下部、左側板3bと右側板3dの下部の一部が、本体部2の後側板2eの外側の面と接する、または、接する程度に近接するように蓋部3を移動させる。すなわち、開状態で、ケース4は本体部2の後部(後側板2eの外側の面)と蓋部3の下部の一部(後側板3e、左側板3b、右側板3dの下部の一部)が接し、または、接する程度に近接している。
【0017】
このように、開状態で蓋部3が直立している状態では、蓋部3の後側板3eの外側の面は下方を向いた状態となり、蓋部3の後側板3eの外側の面と本体部2の底板2aの外側の面がほぼ同一平面上に位置するようになる。開状態では、直立している蓋部3の下部の一部が本体部2の後部に接し、蓋部3の後側板3eが本体部2の底板2aの高さ位置に位置することで、直立した蓋部3の状態が安定する。また、開状態のケース4の本体部2の左側板2bと蓋部3の左側板3bの間の位置(図2(b)の楕円Aで示す位置)と、本体部2の右側板2dと蓋部3の右側板3dの間の位置に、蓋部3を本体部2に固定する固定手段を配置するようにしてもよい。これにより、直立した蓋部3の状態をより安定させることができる。
【0018】
連結手段9を構成する連結部6のサイズ(長さ等)、本体部2における本体部側回転ヒンジ7の位置、蓋部3における蓋部側回転ヒンジ8の位置は、ケース4が適切に開状態と閉状態となるように設計される。
【0019】
図2(b)、図3図4において、蓋部3の天板3aの内側には、2つのモニタ11が固定して配置されている。モニタ11には、カメラで撮像された映像や編集機器で編集された映像が表示される。モニタ11は、開状態で映像編集システム1を操作するオペレータが表示された映像を正常に見ることができるように天板3aに配置される。また、開状態の蓋部3が安定するように、モニタ11の下部は本体部2の後側板2eの上部よりも下に位置するように配置されている(図4の矢印B)。なお、映像編集システム1が備えるモニタ11は2つである必要はなく、1つでも3つ以上でもよい。
【0020】
図2図4において、蓋部3の左側板3bと右側板3dは、後部が前後方向に水平となるように形成され、中間部から前側板3cに向かって幅が広くなるように斜めに形成されている。これにより、開状態の蓋部3の左側板3b、前側板3c、右側板3dは、モニタ11に光が写り込まないようにカバーする覆いとなる。また、本体部2の左側板2bと右側板2dは、中間部から前側板2cに向かって幅が狭くなるように斜めに形成されている。この形状により、後述する本体部2に配置される編集機器を容易に操作することができる。
【0021】
図2(b)、図3図4において、本体部2の内側には、映像や音声を編集する編集機器として、接続される複数のカメラが撮像した映像を切り換えるスイッチャ12、接続される複数のマイクの音声の大小、周波数特性などを編集してミキシングするミキサ13、映像データと音声データを編集してインターネットで配信するためのストリーミングデータ等に変換して記録する編集記録装置14が固定して配置されている。なお、編集機器はスイッチャ12、ミキサ13、編集記録装置14に限定されることはなく、編集される映像の用途等に応じて、適宜、追加変更される。
【0022】
本体部2の内側であって、編集機器よりも後側には、商用電源(交流電源)を直流電源に変換する変換装置15(AC-DCコンバータ)が固定して配置されている。また、変換装置15の横には無線LANルータなどの無線通信装置16が固定して配置されている。
【0023】
図2(b)、図3図4において、ケース4の内部に配置されるモニタ11、複数の編集機器(スイッチャ12、ミキサ13、編集記録装置14)、無線通信装置16のうち、直流電源が供給される装置には、変換装置15から直流電源が供給される。このように、モニタ11、複数の編集機器、無線通信装置16の少なくともいずれかには変換装置15から電力が供給される。これによって、装置毎のACアダプタが不要となり、映像編集システム1と商用電源との接続が簡素化されてセッティングが容易となる。なお、図2(b)、図3図4では、変換装置15から編集機器等への電源配線の記載は省略している。
【0024】
閉状態と開状態において、モニタ11、複数の編集機器、無線通信装置16は相互に接続されている。これによって、ケース4の蓋部3を開けて映像編集システム1をセッティングする際に、ケース4の内部の編集機器間等の接続は不要となり映像編集システム1を容易にセッティングすることができる。また、編集機器等と接続済みの無線通信装置16を使用することで、映像編集システム1で編集した映像をスマートフォンなどで容易に確認することができる。なお、図2(b)、図3図4では、編集機器等の間の信号配線の記載は省略している。
【0025】
次に、図5を参照して、映像編集システム1の使用状態の一例を説明する。オペレータは映像編集システム1を撮像対象Tの近くまで運搬した後、机の上などに載置し、左右の留め具10を外して蓋部3を開けて開状態とする。次いでオペレータは、撮像対象Tを撮像する位置に複数のカメラC1,C2をセットして、カメラC1,C2の出力端子とスイッチャ12の入力端子とを画像ケーブル17を介して接続する。また、オペレータは、撮像対象Tの音声を集音する位置に複数のマイクM1,M2をセットして、マイクM1,M2の出力端子とミキサ13の入力端子とを音声ケーブル18を介して接続する。また、オペレータは、変換装置15の電源ケーブル15a(図3)を商用電源のタップに接続する。これにより、映像編集システム1が使用可能な状態となる。
【0026】
上記説明したように、本実施の形態の映像編集システム1は、携行手段(取っ手5)を有するケース4と、モニタ11と、複数の編集機器(スイッチャ12、ミキサ13、編集記録装置14)と、を備え、ケース4は、本体部2と蓋部3と、本体部2と蓋部3を繋ぐ連結手段9を備え、連結手段9の一端は、本体部2と回転自在に接続され、連結手段9の他端は、蓋部3と回転自在に接続され、閉状態で、本体部2の上部と蓋部3の下部が接し、開状態で、本体部2の後部と蓋部3の下部の一部が接し、または、接する程度に近接し、モニタ11は、蓋部3の天板3aの内側に固定され、複数の編集機器は、本体部2に固定され、閉状態と開状態において、モニタ11と複数の編集機器が相互に接続されている。これによって、映像編集システム1を容易に持ち運び、容易にセッティングすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
容易に持ち運び、セッティングをすることができる映像編集システムを提供する。
【符号の説明】
【0028】
1 映像編集システム
2 本体部
3 蓋部
3a 天板
4 ケース
5 取っ手(携行手段)
9 連結手段
11 モニタ
12 スイッチャ(編集機器)
13 ミキサ(編集機器)
14 編集記録装置(編集機器)
15 変換装置
16 無線通信装置
図1
図2
図3
図4
図5