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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157121
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/06 20060101AFI20231019BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20231019BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231019BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231019BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231019BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01L27/06 311B
H02M1/08 A
H01L29/78 301D
H01L27/06 102A
H01L29/06 301F
H01L29/91 D
H01L29/91 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066814
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100142158
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 啓
(72)【発明者】
【氏名】神田 良
(72)【発明者】
【氏名】土田 健祐
(72)【発明者】
【氏名】川村 明広
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
5H740
【Fターム(参考)】
5F048AA05
5F048AB10
5F048AC01
5F048AC06
5F048AC10
5F048BB05
5F048BB06
5F048BC03
5F048BC07
5F140AA25
5F140AC21
5F140AC22
5F140BF04
5F140CD08
5F140CD09
5F140DA01
5H740BA12
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
(57)【要約】
【課題】高耐圧領域の耐圧を高めた半導体装置を提供することである。
【解決手段】ハイサイド回路エリアに配置され、スイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、一端を前記ハイサイド駆動回路に接続され、他端をローサイド駆動回路に接続されたフィールドプレートと、前記フィールドプレートが配置された高耐圧ターミネーションに形成されたトランジスタと、前記トランジスタのドレインを、前記ハイサイド回路エリアから分離する分離領域と、前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間で、前記フィールドプレートによる電圧低下分に加えて前記フィールドプレートの電圧をさらに低下させる電圧低下部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイド回路エリアに配置され、スイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、
一端を前記ハイサイド駆動回路に接続され、他端をローサイド回路に接続されたフィールドプレートと、
前記フィールドプレートが配置された高耐圧ターミネーションに形成されたトランジスタと、
前記トランジスタのドレインを、前記ハイサイド回路エリアから分離する分離領域と、
前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間で、前記フィールドプレートによる電圧低下分に加えて前記フィールドプレートの電圧をさらに低下させる電圧低下部と、を有する、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電圧低下部は、前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間に形成されたダイオードである、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トランジスタは、レベルシフトMOSである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記フィールドプレートは、前記一端から前記他端までを渦巻状に周回させた環形状であり、
前記ハイサイド回路エリアは、環形状の前記フィールドプレートの内側に配置され、
前記ローサイド回路が配置されるローサイド回路エリアは、環形状の前記フィールドプレートの外側に配置される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電圧低下部は、前記フィールドプレートをゲートとし前記トランジスタのドレインをソースとし前記ハイサイド回路エリアをドレインとして前記分離領域に形成される寄生MOSのゲートに印加される電圧を低下する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFETやIGBTなどのパワー半導体デバイスを用いたスイッチング素子のオン/オフ制御を行うゲートドライバICが知られている。このゲートドライバICにおいては、高耐圧特性を得るためにフィールドプレートが用いられる(例えば特許文献1)。従来のフィールドプレートは、例えば一つの極性のポリシリコンによる抵抗性のものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-283716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような従来の半導体装置では、フィールドプレートの領域に形成される寄生素子について特に考慮されておらず、例えば分離領域において寄生素子が通電してしまうおそれがあるなど、寄生素子の影響について改善の余地があった。
【0005】
本発明は、寄生素子の影響を改善した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る半導体装置は、ハイサイド回路エリアに配置され、スイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、一端を前記ハイサイド駆動回路に接続され、他端をローサイド回路に接続されたフィールドプレートと、前記フィールドプレートが配置された高耐圧ターミネーションに形成されたトランジスタと、前記トランジスタのドレインを、前記ハイサイド回路エリアから分離する分離領域と、前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間で、前記フィールドプレートによる電圧低下分に加えて前記フィールドプレートの電圧をさらに低下させる電圧低下部と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記の一態様の半導体装置において、前記電圧低下部は、前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間に形成されたダイオードであることを特徴とする。
【0008】
上記の一態様の半導体装置において、前記トランジスタは、レベルシフトMOSであることを特徴とする。
【0009】
上記の一態様の半導体装置において、前記フィールドプレートは、前記一端から前記他端までを渦巻状に周回させた環形状であり、前記ハイサイド回路エリアは、環形状の前記フィールドプレートの内側に配置され、前記ローサイド回路が配置されるローサイド回路エリアは、環形状の前記フィールドプレートの外側に配置されることを特徴とする。
【0010】
上記の一態様の半導体装置において、前記電圧低下部は、前記フィールドプレートをゲートとし前記トランジスタのドレインをソースとし前記ハイサイド回路エリアをドレインとして前記分離領域に形成される寄生MOSのゲートに印加される電圧を低下することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、寄生素子の影響を改善した半導体装置を提供することができる。
【0012】
本発明の一態様によれば、フィールドプレートの一端と分離領域との間でフィールドプレートの電圧を低下させる電圧低下部を有することで、分離領域に印加される電圧を下げ、分離領域に形成される寄生素子への影響を低減することができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、電圧低下部がフィールドプレートの一端と分離領域との間に形成されたダイオードであることで、電圧低下部を容易に組み込むことができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、トランジスタがレベルシフトMOSであることで、半導体装置がレベルシフトMOSを用いたゲートドライバICである場合に適用可能である。
【0015】
本発明の一態様によれば、電圧低下部は、分離領域に形成される寄生MOSのゲートに印加される電圧を低下することで、寄生MOSのドレイン、ソース間である分離領域の通電を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る半導体装置の平面図である。
図2図1のA-A′断面図である。
図3図1のB-B′断面図である。
図4図1のC-C′断面図である。
図5図1の半導体装置100の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る半導体装置について説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。また、以下の説明において半導体の極性は一例であって、逆の極性であってもよい。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の平面図である。本発明の実施形態に係る半導体装置100は、MOSFETやIGBTなどのパワー半導体デバイスを用いたスイッチング素子のオン/オフ制御を行うゲートドライバICを含む。ゲートドライバICは、ハイサイドのスイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路、及びローサイドのスイッチング素子を駆動するローサイド駆動回路を有する。
【0019】
ゲートドライバICのハイサイド駆動回路は、ハイサイド回路エリア120に配置される。ゲートドライバICのローサイド駆動回路は、ローサイド回路エリア130に配置される。フィールドプレート110は、ハイサイド回路エリア120を囲むように、起点112から終点113までを渦巻状に周回する環形状である。図1において、フィールドプレート110が巻き回されている回数は、見やすさのための概略であって実際の数はこれと異なるものであってもよい。フィールドプレート110は、ポリシリコンによる抵抗性のフィールドプレートである。フィールドプレート110は、半導体装置100が有する各素子の耐圧を高める。
【0020】
渦巻状に周回するフィールドプレート110は、高耐圧ターミネーション111を構成する。フィールドプレート110の起点112は、ハイサイド回路エリア120に配置されたハイサイド駆動回路に接続される。フィールドプレート110の終点113は、ローサイド回路エリア130に配置されたローサイド回路に接続される。ハイサイド回路エリア120は、環形状のフィールドプレート110の内側に配置され、ローサイド回路エリア130は、環形状のフィールドプレート110の外側に配置される。
【0021】
半導体装置100は、低電圧である入力信号を、ハイサイド駆動回路を制御する高電圧に変換するレベルシフトMOS115を有する。レベルシフトMOS115は、高耐圧ターミネーション111に設けられる。半導体装置100は、レベルシフトMOS115のドレインを、ハイサイド回路エリア120から分離する分離領域116を有する。この分離領域116には寄生素子の一例である寄生MOS117が形成される。
【0022】
図2は、図1のA-A′断面図である。レベルシフトMOS115は、P型シリコンによる分離領域116によってハイサイド回路エリア120と分離されている。レベルシフトMOS115は、上面にフィールドプレート110を有することで耐圧を高めている。
【0023】
図3は、図1のB-B′断面図である。分離領域116には、フィールドプレート110をゲートとし、レベルシフトMOS115のドレインをソースとし、ハイサイド回路エリア120をドレインとした寄生MOS117が形成される。本実施形態では、フィールドプレート110がダイオード200を有することで、寄生MOS117のゲートに印加される電圧を低下し、寄生MOS117が通電することを防ぐことが出来る。ダイオード200は、フィールドプレート110の起点112と分離領域116との間でフィールドプレート110の電圧を低下させる電圧低下部として機能する。ダイオード200は、フィールドプレート110による電圧低下分に加えてフィールドプレート110の電圧をさらに低下させる。
【0024】
一方、フィールドプレート110がダイオード200を有しない単純な抵抗性のフィールドプレートである場合は以下のような問題が生じるおそれがある。例えば、分離領域116の不純物濃度が薄すぎると、フィールドプレート110の電圧により寄生MOS117がONすることになり、分離耐圧が低下してしまう。これに対し、寄生MOS117がONしにくくしようと分離領域116の不純物濃度を濃くすると、分離領域116の電界が強くなり、レベルシフトMOS115のブレークダウン電圧が低下してしまうという問題があった。本実施形態によれば、ダイオード200を有することで、寄生MOS117のゲートに印加される電圧を下げ、高耐圧領域の耐圧を高めることができる。
【0025】
図4は、図1のC-C′断面図である。本実施形態ではフィールドプレート110はN型のポリシリコンで構成されている。ダイオード200は、起点112と分離領域116との間で、フィールドプレート110にP型不純物をドーピングすることで形成することができる。なお、フィールドプレート110の起点112と分離領域116との間でフィールドプレート110の電圧を低下させる電圧低下部としては、他の如何なる方法でフィールドプレート110の電圧を低下させるものであってもよい。また、フィールドプレート110がP型の場合は、フィールドプレート110にN型不純物をドーピングすることでダイオード200を形成してもよい。
【0026】
図5は、図1の半導体装置100の回路図である。フィールドプレート110は、ハイサイド駆動回路の電源電圧と、寄生MOS117のゲートとの間に、ダイオード200を有する。ダイオード200は、ツェナーダイオードとしての機能を果たし、寄生MOS117のゲートに印加される電圧を下げる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、寄生MOS117のゲートに印加される電圧を低下することができるので、高耐圧領域の耐圧を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、フィールドプレート110にダイオード200を設けるという簡単な方法で、寄生MOS117のゲートに印加される電圧を低下することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、フィールドプレート110にダイオード200を設ける方法は、フィールドプレート110の極性と逆極性の不純物をドーピングするという簡単な方法で、寄生MOS117のゲートに印加される電圧を低下することができる。
【0030】
(付記1)
ハイサイド回路エリアに配置され、スイッチング素子を駆動するハイサイド駆動回路と、
一端を前記ハイサイド駆動回路に接続され、他端をローサイド回路に接続されたフィールドプレートと、
前記フィールドプレートが配置された高耐圧ターミネーションに形成されたトランジスタと、
前記トランジスタのドレインを、前記ハイサイド回路エリアから分離する分離領域と、
前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間で、前記フィールドプレートによる電圧低下分に加えて前記フィールドプレートの電圧をさらに低下させる電圧低下部と、を有する、
ことを特徴とする半導体装置。
【0031】
(付記2)
前記電圧低下部は、前記フィールドプレートの前記一端と前記分離領域との間に形成されたダイオードである、
ことを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0032】
(付記3)
前記トランジスタは、レベルシフトMOSである、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
【0033】
(付記4)
前記フィールドプレートは、前記一端から前記他端までを渦巻状に周回させた環形状であり、
前記ハイサイド回路エリアは、環形状の前記フィールドプレートの内側に配置され、
前記ローサイド回路が配置されるローサイド回路エリアは、環形状の前記フィールドプレートの外側に配置される、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0034】
(付記5)
前記電圧低下部は、前記フィールドプレートをゲートとし前記トランジスタのドレインをソースとし前記ハイサイド回路エリアをドレインとして前記分離領域に形成される寄生MOSのゲートに印加される電圧を低下する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか一つに記載の半導体装置。
【0035】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更を行ってもよい。加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
100…半導体装置、110…フィールドプレート、115…レベルシフトMOS、116…分離領域、117…寄生MOS、200…ダイオード

図1
図2
図3
図4
図5