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特開2023-157143球根又は種苗テープ、その製造方法及びその製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157143
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】球根又は種苗テープ、その製造方法及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 1/04 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
A01C1/04 A
A01C1/04 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066854
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000229977
【氏名又は名称】日本プラントシーダー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾根田 知宏
【テーマコード(参考)】
2B051
【Fターム(参考)】
2B051AA02
2B051AA03
2B051AB03
2B051CB04
2B051CB22
2B051CB26
2B051CB29
2B051CB32
2B051CB33
2B051CC02
(57)【要約】
【課題】容易に品質の良い球根又は種苗テープを提供する。
【解決手段】球根又は種苗テープの製造方法は、第1テープを用意することと、前記第1テープの上に湿らせることによって糊状化する糊状化可能テープを重ねることと、前記第1テープの上の前記糊状化可能テープに水を噴霧することと、前記糊状化可能テープの上の所定位置に球根又は種苗を載置することと、前記水が浸透した前記糊状化可能テープと前記球根又は種苗の上に第2テープを重ねることと、重ねられた前記第1テープと前記第2テープとを圧着させることとを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1テープを用意することと、
前記第1テープの上面側に湿らせることによって糊状化する糊状化可能テープを重ねることと、
前記第1テープの上面側に重ねられた前記糊状化可能テープに水を噴霧することと、
前記第1テープの上面側の所定位置に球根又は種苗を載置することと、
前記第1テープ、前記水が浸透した前記糊状化可能テープ及び前記球根又は種苗の上面側に第2テープを重ねることと、
重ねられた前記第1テープと前記第2テープとを圧着させることと
を含む、球根又は種苗テープの製造方法。
【請求項2】
前記糊状化可能テープは、前記第1テープの上に重ねられ、
前記球根又は種苗は、前記糊状化可能テープの上に載置される、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記球根又は種苗は、前記糊状化可能テープに前記水を噴霧した後に、前記水が浸透した前記糊状化可能テープの上に載置される、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記糊状化可能テープは、オブラートテープ又はポリビニルアルコールテープである、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記第1テープ及び前記第2テープは、不織布のテープである、請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1テープ及び前記第2テープの目開きは、0.1mm~2mmである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1テープを、一部が互いに重ね合わされた第3テープ及び第4テープによって形成し、
前記第2テープを、一部が互いに重ね合わされた第5テープ及び第6テープによって形成する、
請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記第3テープ、前記第4テープ、前記第5テープ及び前記第6テープは、前記水が浸透した前記糊状化可能テープによって貼り合わせられる、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
第1テープを繰り出しながら供給するように構成された第1テープ供給部と、
前記第1テープを長手方向に搬送するように構成された搬送部と、
湿らせることによって糊状化する糊状化可能テープを繰り出しながら前記第1テープの上面側に当該糊状化可能テープを重ねるように構成された糊状化可能テープ供給部と、
前記第1テープの上面側に重ねられた前記糊状化可能テープに水を噴霧するように構成されたスプレーユニットと、
第2テープを繰り出しながら、前記第1テープ、前記水が吹きかけられた前記糊状化可能テープ及び載置された球根又は種苗の上面側に当該第2テープを重ねるように構成された第2テープ供給部と、
重ねられた前記第1テープと前記第2テープとを圧着させるように構成された圧着部と
を備える球根又は種苗テープの製造装置。
【請求項10】
前記糊状化可能テープ供給部は、前記糊状化可能テープを前記第1テープの上に重ねるように構成されており、
前記スプレーユニットは、前記第1テープの上に重ねられた前記糊状化可能テープに水を噴霧するように構成されている、
請求項9に記載の製造装置。
【請求項11】
前記圧着部は、スポンジローラーを有する、請求項9又は10に記載の製造装置。
【請求項12】
前記第1テープ供給部は、前記第1テープとして第3テープ及び第4テープを繰り出しながら供給し、前記第3テープ及び前記第4テープの一部を互いに重ね合わせるように構成されており、
前記第2テープ供給部は、前記第2テープとして第5テープ及び第6テープを繰り出しながら供給し、前記第5テープ及び前記第6テープの一部を互いに重ね合わせるように構成されている、
請求項9又は10に記載の製造装置。
【請求項13】
目開きが0.1mm~2mmの第1不織布テープと、
目開きが0.1mm~2mmの第2不織布テープと、
前記第1不織布テープと前記第2不織布テープとの間に所定の間隔で配置された球根又は種苗と、
前記第1不織布テープと前記第2不織布テープとを貼り合わせているでんぷん又はポリビニルアルコールを含む接着剤と
を備える球根又は種苗テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球根又は種苗テープ、その製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばにんにくなどの栽培において、種にんにくなどを一つずつ手で植え付けるには、多大な労力を必要とする。そこで、テープ状のシートに所定間隔で種にんにくなどを固定し、当該シートを溝に埋めることで、多数の種にんにくなどを所定間隔で一遍に植え付けることが考えられる。例えば特許文献1には、所定間隔で種にんにくなどを固定したテープの製造方法の一例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5857349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
球根又は種苗等がテープに固定された球根又は種苗テープについて、特許文献1に開示されている方法に限らず、品質の良いものを容易に製造することが求められている。
【0005】
本発明は、容易に品質の良い球根又は種苗テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、球根又は種苗テープの製造方法は、第1テープを用意することと、前記第1テープの上面側に湿らせることによって糊状化する糊状化可能テープを重ねることと、前記第1テープの上面側に重ねられた前記糊状化可能テープに水を噴霧することと、前記第1テープの上面側の所定位置に球根又は種苗を載置することと、前記第1テープ、前記水が浸透した前記糊状化可能テープ及び前記球根又は種苗の上面側に第2テープを重ねることと、重ねられた前記第1テープと前記第2テープとを圧着させることとを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、容易に品質の良い球根又は種苗テープを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、一実施形態に係る球根又は種苗テープの模式的な平面図である。
図1B図1Bは、一実施形態に係る球根又は種苗テープの模式的な断面図である。
図2図2は、一実施形態に係る球根又は種苗テープの製造方法の概略を示すフローチャートである。
図3A図3Aは、一実施形態に係る球根又は種苗テープの製造時の各段階での様子を模式的に示す図である。
図3B図3Bは、一実施形態に係る球根又は種苗テープの製造時の各段階での様子を模式的に示す図である。
図4図4は、一実施形態に係る球根又は種苗テープの製造装置の概略を示す図である。
図5A図5Aは、第2の変形例に係る球根又は種苗テープの模式的な平面図である。
図5B図5Bは、第2の変形例に係る球根又は種苗テープの、図5Aに示すB-B線に沿った模式的な断面図である。
図5C図5Cは、第2の変形例に係る球根又は種苗テープの、図5Aに示すC-C線に沿った模式的な断面図である。
図5D図5Dは、第2の変形例に係る球根又は種苗テープの、図5Aに示すD-D線に沿った模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、球根又は種苗テープ、その製造方法及びその製造装置に関する。球根又は種苗テープは、球根又は種苗が所定間隔で配置されたテープ状の物である。球根又は種苗テープにおいて、球根又は種苗の上下は、テープの幅方向に対して揃えられて配置されている。圃場に所定幅の細長い溝を掘り、長手方向に沿ってこの溝内に球根又は種苗テープを配置して土をかぶせることで、球根又は種苗が所定間隔で所定の深さに一遍に植えつけられる。球根又は種苗テープによれば、球根又は種苗を一つずつ植え付けるよりも効率的に球根又は種苗を所定間隔で所定の深さに植えることができる。
【0010】
[球根又は種苗テープ]
図1Aは、球根又は種苗テープ10の模式的な平面図であり、図1Bは、球根又は種苗テープ10の模式的な断面図である。これら図に示すように、球根又は種苗テープ10は、接着剤16で貼り合わされた第1テープ12と第2テープ14との間に球根又は種苗18が所定方向を向いて配置された構成を有する。
【0011】
球根又は種苗18は、作物の球根、種子、苗などの何れであってもよい。球根には、鱗茎、球茎、塊根、塊茎、根茎、偽鱗茎、側枝などが含まれ得る。特に、本実施形態に係る球根又は種苗テープ10では、球根又は種苗18のそれぞれは、芽側18aが球根又は種苗テープ10の幅方向の一方側を向いて、また、根側18bが球根又は種苗テープ10の幅方向の反対側を向いて、並べられている。したがって、球根又は種苗18としては、植え付け時に方向性があるものが、本実施形態に特に適する。球根又は種苗18としては、具体的には例えば、にんにくなどの鱗茎や、ジャガイモなどの種芋や、枝豆、ソラマメ、インゲンマメ、落花生、トウモロコシ、カボチャ、ひまわりなどの種子などであり得る。図1A及び図1Bには、球根又は種苗18として、にんにくの鱗茎が図示されている。
【0012】
第1テープ12及び第2テープ14は、不織布、織物又は紙などでできたテープであり得る。第1テープ12及び第2テープ14は、土中で分解されやすいものであることが好ましい。本実施形態では、第1テープ12及び第2テープ14は、これに限らないが特に不織布であってよく、例えば、目開きが0.1mm~2mmである不織布であってもよい。
【0013】
第1テープ12と第2テープ14とを貼り合わせている接着剤16は、例えば、でんぷんを含む接着剤であり得る。本実施形態では、接着剤16に、でんぷんなどを用いて作られた薄膜状のオブラートに水を噴霧したものが用いられている。あるいは、接着剤16は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)を含む接着剤であり得る。この場合、PVAを薄膜テープ状にしたものに対して水を噴霧したものが用いられる。
【0014】
[球根又は種苗テープの製造方法]
図2は、本実施形態に係る球根又は種苗テープ10の製造方法の概略を示すフローチャートである。図3A及び図3Bは、球根又は種苗テープ10の製造時の各段階での様子を模式的に示す模式図である。
【0015】
まず、ステップS1において、下側に配置される、例えば不織布製の第1テープ12が台31の上に用意される。次に、ステップS2において、第1テープ12の上に、オブラートテープ22が重ね合わされる。続いて、ステップS3において、オブラートテープ22に対して水24が噴霧される。ステップS4において、噴霧された水24がオブラートテープ22に浸透するのを待つ。水分が浸透したオブラートは糊状に変化し、糊状のオブラートテープ26となる。ステップS5において、糊状のオブラートテープ26の上に、所定の間隔で球根又は種苗18が載置される。続いて、ステップS6において、糊状のオブラートテープ26と球根又は種苗18と覆うように、第1テープ12に合わせて第2テープ14が重ねられる。その後、ステップS7において、第1テープ12と第2テープ14とを圧着させる。この圧着は、例えばスポンジローラー32によって第2テープ14側から全体を押すことで行われる。最後に、ステップS8において、糊状のオブラートテープ26を乾かすことで、球根又は種苗18を間に挟んだ状態で第1テープ12と第2テープ14とが貼り合わされる。乾いたオブラートテープ26は、接着剤16として、第1テープ12と第2テープ14との間に残る。以上のようにして、球根又は種苗テープ10が完成する。
【0016】
なお、場合によっては、水24の噴霧は、球根又は種苗18の配置の前ではなく、球根又は種苗18の配置の後に行われてもよい。また、場合によっては、第1テープ12の上に球根又は種苗18が置かれ、その上にオブラートテープ26が重ねられてもよい。すなわち、オブラートテープ26と球根又は種苗18とは、第1テープ12の上面側に配置されていればよく、オブラートテープ26と球根又は種苗18との順序はいずれでもよい。いずれの場合も水24の噴霧は、オブラートテープ26が配置された後に行われる。
【0017】
[球根又は種苗テープの製造装置]
上述の製造方法により球根又は種苗テープ10を製造するための製造装置100について説明する。図4は、この製造装置100の概略を模式的に示す図である。この図において、テープは概して右から左に搬送され、製造装置100の左端で球根又は種苗テープ10が完成する。
【0018】
製造装置100は、テープを搬送する搬送部110を備える。製造装置100は、概して上流側から下流側に向けて、第1テープ供給部120と、オブラートテープ供給部130と、スプレーユニット140と、球根又は種苗供給部150と、第2テープ供給部160と、圧着部170とを備える。また、製造装置100は、制御装置180を備える。第1テープ供給部120は、第1テープ12を供給する。オブラートテープ供給部130は、オブラートテープ22を供給する。スプレーユニット140は、オブラートテープ22に水24を噴霧する。球根又は種苗供給部150において、搬送されるテープの上に球根又は種苗18が供給される。第2テープ供給部160は、第2テープ14を供給する。圧着部170は、第1テープ12と第2テープ14とを圧着する。制御装置180は、コンピューターを有し、製造装置100の各部の動作を制御する。
【0019】
本実施形態に係る製造装置100では、搬送部110は、球根又は種苗供給部150、第2テープ供給部160及び圧着部170の部分に設けられた搬送用のベルトコンベアー111を有する。ベルトコンベアー111は、一般的なコンベアーであり、一組のローラー112間にベルト113が巻かれるように張り渡されている。ベルトコンベアー111は、ローラー112の一つがモーター114によって回転することで、ベルト113が長手方向に回転するように構成されている。製造途中の球根又は種苗テープの第1テープ12は、水平に延びるベルト113上に載せられるように構成されており、テープはこのベルト113によって長手方向に搬送される。
【0020】
第1テープ供給部120には、第1テープ12が巻かれた第1テープロール12aが設置される。第1テープ12は、第1テープロール12aから繰り出されて製造装置100に供給される。第1テープ供給部120には、第1テープ12に適度な張力を与えながら第1テープ12が適切な向きに搬送されるように、複数のローラーが設けられている。第1テープロール12aから繰り出された第1テープ12は、台121上を介して、搬送部110のベルト113上へと送られる。
【0021】
オブラートテープ供給部130には、オブラートテープ22が巻かれたオブラートテープロール22aが設置される。オブラートテープ22は、オブラートテープロール22aから繰り出されて製造装置100に供給される。オブラートテープ供給部130には、オブラートテープ22に適度な張力を与えながらオブラートテープ22が適切な向きに搬送されるように、複数のローラーが設けられている。第1ローラー131は、台121との間に第1テープ12を挟むように設けられている。オブラートテープロール22aから繰り出されたオブラートテープ22は、第1ローラー131に掛けられており、第1ローラー131によって、第1テープ12の上に重ね合わされる。第1ローラー131から下流では、第1テープ12上にオブラートテープ22が重ねられた状態でこれらテープが搬送される。
【0022】
第1ローラー131の下流には、スプレーユニット140のスプレーノズル141が設けられている。スプレーノズル141は、第1テープ12上のオブラートテープ22に向けて水24を噴霧するように構成されている。スプレーノズル141から噴霧される水24の量は、オブラートテープ22を糊状化させるのに適切な量に調整される。
【0023】
水24が噴霧され、糊状になったオブラートテープ26が載った第1テープ12は、搬送部110のベルト113上に載せられ、さらに長手方向に搬送される。球根又は種苗供給部150では、ベルト113の周囲にスペースが設けられており、作業者が搬送されている第1テープ12及び糊状のオブラートテープ26の上に球根又は種苗18を載置することができるようになっている。球根又は種苗18を載置する間隔を作業者が認識できるように、ベルト113に一定間隔で目印が設けられてもよい。なお、球根又は種苗18の載置は、作業者によらず機械によって行われてもよい。
【0024】
球根又は種苗供給部150の下流には、第2テープ供給部160が設けられている。第2テープ供給部160には、第2テープ14が巻かれた第2テープロール14aが設置される。第2テープ14は、第2テープロール14aから繰り出されて製造装置100に供給される。第2テープ供給部160には、第2テープ14に適度な張力を与えながら第2テープ14が適切な向きに搬送されるように、複数のローラーが設けられている。第2ローラー161は、ベルト113上の球根又は種苗18が載置された第1テープ12等の上に第2テープ14を誘導するように設けられている。第2テープロール14aから繰り出された第2テープ14は、第2ローラー161に掛けられており、第2ローラー161を介して、球根又は種苗18が載置された第1テープ12等の上に重ね合わされる。
【0025】
第2テープ供給部160の下流の圧着部170には、スポンジローラー171が設けられている。スポンジローラー171は、ベルト113の上を移動する、第1テープ12、糊状のオブラートテープ26、球根又は種苗18及び第2テープ14が重ねられたテープを上から押さえつけ、これらを圧着させる。スポンジローラー171を通過して糊状のオブラートテープ26が乾くと、球根又は種苗テープ10が完成する。ベルト113の終端において、完成した球根又は種苗テープ10が、巻き取られるか、箱に畳入れられるかされ、球根又は種苗テープ10は出荷される。
【0026】
[球根又は種苗テープの製造について]
上述の本実施形態に係る球根又は種苗テープ10の製造では、第1テープ12及び第2テープ14の貼り合わせにフィルム状のオブラートテープ22が用いられる。オブラートテープ22は、例えば液体状のでんぷんなどの糊と比較して扱いやすい。すなわち、仮に液体状の糊を第1テープ12に塗布又は吹き付ける場合、製造装置の非動作時に糊が固まるなどするため、機器の洗浄などに手間がかかる。これに対して、本実施形態で用いるオブラートテープ22自体は、フィルム状の物質であるため扱いが簡単である。また、オブラートテープ22を糊状のオブラートテープ26するために噴霧するものも純粋な水24であるため、機器の管理にそれほど手間を要しない。
【0027】
また、オブラートテープ22を用いることで、第1テープ12に均一に糊を設けることが液状の糊を用いるよりも容易である。また、第1テープ12及び第2テープ14を貼り付ける均一な糊状のオブラートテープ26が乾燥すると、適度なこしを有する固化した接着剤16となる。第1テープ12及び第2テープ14に比較的薄い不織布等を用いても、接着剤16により、完成した球根又は種苗テープ10には適度な剛性が与えられ得る。球根又は種苗テープ10が適度な剛性を有していることで、球根又は種苗テープ10の使用時、すなわち植え付け時に、球根又は種苗18の芽側18a側を上側に、根側18b側を下側に配置することが容易になる。
【0028】
また、第1テープ12及び第2テープ14に不織布を用いる場合に、液体状の糊を用いるとメッシュ状の不織布の隙間から糊が裏側にしみ出し、製造装置を汚染したり、完成した球根又は種苗テープが互いに貼り付いたりするおそれがある。このような事態を防ぐためには、液体状の糊が裏側にしみ出さないように、糊の質や量を厳密に管理する必要がある。これに対して、オブラートテープ22を用いる本実施形態では、噴霧する水24の量を抑制することで、糊状のオブラートテープ26の裏へのしみ出しを容易に防ぐことができる。このような効果は、特に、第1テープ12及び第2テープ14に目開きが0.1mm~2mm程度の不織布を用いる場合に、顕著に得られる。
【0029】
また、糊状のオブラートテープ26の裏へのしみ出しが生じない程度に抑制的に水24を用いることで、素早い乾燥も実現される。乾燥の早さは、球根又は種苗テープ10の製造効率の向上につながる。
【0030】
[第1の変形例]
上述の球根又は種苗テープ10の製造に係る実施形態では、第1テープ12と第2テープ14とを貼り合わせる接着剤として、オブラートテープ22が用いられる場合を示した。オブラートテープ22に代えて、テープ状のポリビニルアルコール(PVA)が用いられてもよい。上述の実施形態と同様に、PVAテープに水が噴霧されることで、PVAが糊状化し、第1テープ12と第2テープ14とを貼り合わせる接着剤として機能する。このように、球根又は種苗テープ10の製造には、オブラートテープ22やPVAテープのように、湿らせることによって糊状化する各種の糊状化可能テープが同様の方法で用いられ得る。このように、でんぷんによるオブラートテープに限らず、PVAなど他の素材を用いても、同様の機能を果たし、同様の効果を得ることができる。
【0031】
[第2の変形例]
上述の球根又は種苗テープ10の製造に係る実施形態では、第1テープ12と第2テープ14とに、それぞれ1枚の不織布テープが用いられている。これに対して、本変形例では、第1テープ12と第2テープ14とに相当するテープの各々は、それぞれ2枚の不織布等のテープがその一部が互いに重ね合わされることで形成されている。
【0032】
本変形例に係る球根又は種苗テープ11の構造を図5A乃至図5Dに模式的に示す。上述の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。図5Aは、本変形例に係る球根又は種苗テープ11の模式的な平面図である。図5B図5C及び図5Dは、それぞれ本変形例に係る球根又は種苗テープ11の図5Aに示すB-B線、C-C線及びD-D線に沿った模式的な断面図である。
【0033】
これら図に示すように、上述の実施形態の第1テープ12に相当する下側テープ13は、上述の実施形態に係る第1テープ12よりも幅が狭い第3テープ13a及び第4テープ13bが、幅方向中央付近の一部で重ね合わされることで形成されている。同様に、上述の実施形態の第2テープ14に相当する上側テープ15は、上述の実施形態に係る第2テープ14よりも幅が狭い第5テープ15a及び第6テープ15bが、幅方向中央付近の一部で重ね合わされることで形成されている。これに限らないが、例えば、第3テープ13a及び第4テープ13bの幅は50mm程度であり、これらが重ね合わされて、幅80mm程度の下側テープ13が形成されている。上側テープ15についても同様である。
【0034】
本変形例に係る球根又は種苗テープ11の製造方法も、上述の実施形態の球根又は種苗テープ10の製造方法と基本的に同じである。ステップS1において、1枚の第1テープ12が配置される代わりに、第3テープ13a及び第4テープ13bがそれらの一部が互いに重なるように配置される。このため、第1テープ供給部120は、上述の実施形態の第1テープ12に相当するテープとして第3テープ13a及び第4テープ13bを繰り出しながら供給し、それらの一部を互いに重ね合わせるように構成されている。
【0035】
ステップS2において、これらテープの上に、オブラートテープ22を重ねる。ステップS3において、オブラートテープ22に対して水24が噴霧される。ステップS4において、噴霧された水24がオブラートテープ22に浸透するのを待つ。水分が浸透したオブラートは糊状に変化し、糊状のオブラートテープ26となる。ステップS5において、糊状のオブラートテープ26の上に、所定の間隔で球根又は種苗18が載置される。
【0036】
ステップS6において、糊状のオブラートテープ26と球根又は種苗18と覆うように、1枚の第2テープ14が重ねられる代わりに、第5テープ15a及び第6テープ15bが互いに一部重なるように配置される。このため、第2テープ供給部160は、上述の実施形態の第2テープ14に相当するテープとして第3テープ13a及び第4テープ13bを繰り出しながら供給し、それらの一部を互いに重ね合わせるように構成されている。
【0037】
ステップS7において、例えばスポンジローラー32によって、第3テープ13a、第4テープ13b、第5テープ15a及び第6テープ15bが圧着させられる。オブラートテープ26の糊は、第3テープ13aと第4テープ13bとが重なっている部分にも浸み込むので、第3テープ13aと第4テープ13bと貼り合わせる。同様に、オブラートテープ26の糊は、第5テープ15aと第6テープ15bとが重なっている部分にも浸み込むので、第5テープ15aと第6テープ15bと貼り合わせる。ステップS8において、糊状のオブラートテープ26を乾かすことで、球根又は種苗18を間に挟んだ状態で第3テープ13a、第4テープ13b、第5テープ15a及び第6テープ15bが貼り合わされ、球根又は種苗テープ11が完成する。このように、下側テープ13及び上側テープ15にそれぞれ2枚のテープが用いられるものの、球根又は種苗テープ11の製造方法は、それらテープの位置合わせが必要な他は、上述の実施形態と同様であり、工程が増えるなどはない。
【0038】
下側テープ13及び上側テープ15を形成するためにそれぞれ2枚のテープを必要とするものの、比較的安価な幅が狭い第3テープ13a、第4テープ13b、第5テープ15a及び第6テープ15bを用いることで、幅広の第1テープ12及び第2テープ14を用いる上述の実施形態よりも、全体としては比較的安価に球根又は種苗テープ11を製造することが可能になる。
【0039】
本変形例においても、オブラートテープの代わりに第1の変形例のように、PVAテープなどその他の糊状化可能テープが用いられてもよいことはもちろんである。
【0040】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0041】
10 球根又は種苗テープ
12 第1テープ
14 第2テープ
11 球根又は種苗テープ
13 下側テープ
13a 第3テープ
13b 第4テープ
15 上側テープ
15a 第5テープ
15b 第6テープ
16 接着剤
18 球根又は種苗
18a 芽側
18b 根側
22 オブラートテープ
24 水
26 糊状のオブラートテープ
31 台
32 スポンジローラー
100 製造装置
110 搬送部
111 ベルトコンベアー
112 ローラー
113 ベルト
114 モーター
120 第1テープ供給部
12a 第1テープロール
121 台
130 オブラートテープ供給部
22a オブラートテープロール
131 第1ローラー
140 スプレーユニット
141 スプレーノズル
150 球根又は種苗供給部
160 第2テープ供給部
14a 第2テープロール
161 第2ローラー
170 圧着部
171 スポンジローラー
180 制御装置
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D