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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157169
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ダストボックス
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/00 20060101AFI20231019BHJP
   B65F 1/16 20060101ALI20231019BHJP
   B65F 1/06 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65F1/00 A
B65F1/16
B65F1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066906
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】515151033
【氏名又は名称】株式会社ワイ・ケイ・オー・ジャパン
(71)【出願人】
【識別番号】520246010
【氏名又は名称】株式会社Varias
(74)【代理人】
【識別番号】100087550
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 莞爾
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成壽
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 直理
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023AA02
3E023AA14
3E023GC05
3E023MB01
3E023MB03
3E023MC02
(57)【要約】
【課題】汚物に触れるおそれが無いと共に、内部の空気(エアロゾル)に晒される危険性を低減させた、利便性の良いダストボックスを提供する。
【解決手段】ダストボックス10は、不要な廃棄物を収容する容器本体1と、容器本体の上部開口を覆う蓋体2と、蓋体を開蓋するための二つのセンサ4,5と、蓋体を開閉する駆動手段3と、二つのセンサでの認識を選択的に切り替える切替スイッチ7とを備える。蓋体は、容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋21,22を備える。センサは、非接触で蓋体の開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであって、容器本体の正面下方と、容器本体の底部に形成された窪み30内部にそれぞれ設けられている。駆動手段は、センサから発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の上部開口を覆う蓋体と、
前記蓋体の開蓋要求を認識する開蓋要求受付手段と、
前記開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識に伴って前記蓋体を開閉する駆動手段と、
を備える蓋付きのダストボックスであって、
前記蓋体は、前記容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有し、
前記開蓋要求受付手段は、前記容器本体の下方に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、
前記駆動手段は、前記開蓋要求受付手段から発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉する、
ことを特徴とするダストボックス。
【請求項2】
収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の上部開口を覆う蓋体と、
前記蓋体の開蓋要求を認識する開蓋要求受付手段と、
前記開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識に伴って前記蓋体を開閉する駆動手段と、
を備える蓋付きのダストボックスであって、
前記蓋体は、前記容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有し、
前記開蓋要求受付手段は、容器本体の底部に形成された窪み内部に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、
前記駆動手段は、前記開蓋要求受付手段から発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉する、
ことを特徴とするダストボックス。
【請求項3】
収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の上部開口を覆う蓋体と、
前記蓋体の開蓋要求を認識する第一及び第二の開蓋要求受付手段と、
前記開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識に伴って前記蓋体を開閉する駆動手段と、
前記第一の開蓋要求受付手段と前記第二の開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識を選択的に切り替える切り替え手段と、
を備える蓋付きのダストボックスであって、
前記蓋体は、前記容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有し、
前記第一の開蓋要求受付手段は、前記容器本体の下方に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、
前記第二の開蓋要求受付手段は、容器本体の底部に形成された窪み内部に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、
前記駆動手段は、前記開蓋要求受付手段から発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉する、
ことを特徴とするダストボックス。
【請求項4】
前記可動蓋片は、中央より左右に離反して開くと共に、左右から中央に向かって近接して閉じる、一組の蓋片から構成された両開き引き戸構造であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のダストボックス。
【請求項5】
前記可動蓋片は、一組の蓋片がさらに、連動する複数の蓋片によりそれぞれ構成された連動引き戸構造であることを特徴とする請求項4記載のダストボックス。
【請求項6】
ゴミ袋の開口状態を維持する支持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のダストボックス。
【請求項7】
前記支持部材は、環状体であることを特徴とする請求項6に記載のダストボックス。
【請求項8】
前記支持部材は、前記容器本体の開口縁部より段差を有して下がった内側に配されている、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のダストボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付きのダストボックスに係り、詳しくは、紙くずなどの不要なゴミだけではなく、使い切り衛生マスクや除菌シートといった衛生上の取り扱いに注意が必要なゴミを廃棄する際、蓋に手を触れることなく、自動で蓋を開閉できるようにしたダストボックスに関する。また、本発明のダストボックスには、トイレや手洗い場、パウダールーム、といった個室空間に設置されるサニタリーボックス(汚物入れ)と称される廃棄物収集容器も含むものである。
【背景技術】
【0002】
蓋付きのダストボックスにゴミを廃棄する際、利用者は、自ら手で蓋を引き上げて開ける必要がある。しかしながら、ダストボックスの蓋を引き上げる操作は、蓋に付着した汚物に触れるおそれがある。また、新型コロナウイルスが世界的な問題となっている昨今では、家庭で廃棄される使い切り衛生マスクや除菌シートなどにウイルスや細菌などが付着しているおそれがあることから、その後ただちに手を洗うなど注意を要する。
【0003】
そこで、蓋体の近傍にセンサを設け、ゴミを廃棄する際にこのセンサに手などをかざして検知させ、自動で蓋を開閉できるようにした、センサ付のダストボックスが従来知られている(たとえば、特許文献1又は2を参照)。
【0004】
ところが、このようなセンサ付のダストボックスは、確かに自動で蓋は開閉するものの、蓋は、倒伏状態から反転するように起立状態へ動作するものであるため、蓋の開動作によってダストボックス内の空気を巻き上げる(引き出される)ものとなってしまう。そのため、ダストボックス内の不快な臭いが周囲に拡散してしまうと共に、ダストボックス内のゴミにウイルスや細菌などが付着していた場合、感染の媒体となるエアロゾルを発生してしまうおそれがある。
【0005】
しかも、従来知られているセンサ付のダストボックスは、使い勝手を考慮してダストボックスの上部、すなわち、蓋の近傍にセンサが設けられているため、センサへ手をかざす際、センサが検知するまでゴミ捨て口となる蓋へ近づかなければならず、蓋の開動作によってダストボックス内から巻き上げられる空気(エアロゾル)に晒される危険性が高いものとなっている。
【0006】
特に、医療機関における廃棄物には、各種ウイルスや感染性細菌、血液、及び危険な薬剤などが付着するおそれが多いため、医療機関に設置されたダストボックスへのゴミの廃棄には、容器や袋などに手に触れないように注意しなければならない。
ゆえに、各種ウイルスや細菌に触れるおそれが無く、かつ、各種ウイルスや細菌が無闇に拡散しないように、安全に廃棄することが可能なダストボックスが必要となっている。
【0007】
また、蓋の開動作によってウイルスや細菌が拡散してしまわないことを考慮したものではないが、蓋が、開口部上を平行にスライドすることによって、開口部を開放・閉鎖することができる廃棄物用容器も提案されている(たとえば、特許文献3を参照)。
【0008】
しかしながら、この廃棄物用容器は、自動で蓋が開閉するものではなく、手動で蓋を開閉操作しなければならないものであることから、やはり利用者は、廃棄物用容器の蓋に手が届く位置まで近づかなければならない。そのため、蓋の開閉動作の際、汚物に触れるおそれがあると共に、各種ウイルスや感染性細菌に対する危険に晒されるおそれが多分にあるといえる。
【0009】
しかも、従来のダストボックスにおいて、利用者は蓋の開閉動作の際、蓋の所定部に手が届く位置、もしくはセンサが検知する位置まで腰を屈めなければならならないと共に、両手が塞がっている際は、蓋に触れることもセンサに手をかざすことも難しく、利便性に欠けるという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭62-65402号公報
【特許文献2】実開平7-9806号公報
【特許文献3】特開平10-314242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、汚物に触れるおそれが無いと共に、内部の空気(エアロゾル)に晒される危険性を低減させた、利便性の良いダストボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一のダストボックスは、収容部を有する容器本体と、容器本体の上部開口を覆う蓋体と、蓋体の開蓋要求を認識する開蓋要求受付手段と、開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識に伴って蓋体を開閉する駆動手段と、を備える蓋付きのダストボックスであって、蓋体は、容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有し、開蓋要求受付手段は、容器本体の下方に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、駆動手段は、開蓋要求受付手段から発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第二のダストボックスは、収容部を有する容器本体と、容器本体の上部開口を覆う蓋体と、蓋体の開蓋要求を認識する開蓋要求受付手段と、開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識に伴って蓋体を開閉する駆動手段と、を備える蓋付きのダストボックスであって、蓋体は、容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有し、開蓋要求受付手段は、容器本体の底部に形成された窪み内部に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、駆動手段は、開蓋要求受付手段から発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第三のダストボックスは、収容部を有する容器本体と、容器本体の上部開口を覆う蓋体と、蓋体の開蓋要求を認識する第一及び第二の開蓋要求受付手段と、開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識に伴って蓋体を開閉する駆動手段と、第一の開蓋要求受付手段と第二の開蓋要求受付手段での開蓋要求の認識を選択的に切り替える切り替え手段と、を備える蓋付きのダストボックスであって、蓋体は、容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有し、第一の開蓋要求受付手段は、容器本体の下方に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、第二の開蓋要求受付手段は、容器本体の底部に形成された窪み内部に設けられた、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチであり、駆動手段は、開蓋要求受付手段から発せられる電気信号に基づいて蓋体を開閉することを特徴とする。
【0015】
本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスにおいて、蓋体の開蓋要求とは、容器本体に近接したことによる利用要求をいい、開蓋要求を認識とは、近接したことを検知することをいう。
【0016】
また、本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスにおいて、開蓋要求受付手段(非接触スイッチ)は、容器本体の正面中央の低位に設けられることが望ましい。すなわち、開蓋要求受付手段の検出方向は上向きではなく、横向きであること、詳しくは、容器本体の周側面から外方(水平方向に沿う所定角度領域)に向けて設けることを要する。
【0017】
また、本発明の第二及び第三のダストボックスにおいて、容器本体の下方に形成された窪み内部に設けられた開蓋要求受付手段(非接触スイッチ)は、窪み内部に侵入したことを検知する向きに設けられることを要する。例えば、窪み内部において、検出方向が対向するように二つ、具体的には、窪みを正面視して左右の内部に設けることができる。
【0018】
また、本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスにおいて、蓋体の可動蓋片は、中央より左右に離反して開くと共に、左右から中央に向かって近接して閉じる、一組の蓋片から構成された両開き引き戸(引き分け戸)構造であると望ましい。
この際、可動蓋片は、一組の蓋片がさらに、連動する複数の蓋片によりそれぞれ構成された連動引き戸構造であると一層望ましい。
【0019】
また、本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスは、ゴミ袋の開口状態を維持する支持部材をさらに備えるものとすることもできる。
この支持部材は、環状体であること、すなわち、ゴミ袋の開口を内側から外側に向けて折返すように巻き付け可能な形状であることが望ましい。
さらに、この支持部材は、容器本体の開口縁部より段差を有して下がった内側に配されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスは何れも、非接触で開蓋要求を受け付ける非接触スイッチと、この開蓋要求の認識に伴って蓋体を開閉する駆動手段とを備えているので、ダストボックスの開蓋作業を自動で行うことができる。ゆえに、蓋に付着した汚物に触れるおそれを無くすことができる。
【0021】
また、本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスは何れも、蓋体が、容器本体の上部開口に沿って水平方向に開閉する可動蓋片を有するものとなっている。ゆえに、可動蓋片の開閉動作によって、ダストボックス内の空気が舞い上がるおそれ、すなわち、各種ウイルスや感染性細菌による感染の媒体となるキャリアーを発生させる主要原因であるエアゾルの発生を低減することができる。
【0022】
さらに、本発明の第一のダストボックス乃至第三のダストボックスは、容器本体の低位に非接触スイッチが設けられているので、利用者が所定の距離に近づくことで脚元を検知することができる。ゆえに、腰を屈める動作や手をかざす動作が必要なく、利便性が向上したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るダストボックスを示す斜視図である。
図2図1に示すダストボックスの分解斜視図である。
図3図1に示すダストボックスの側面図である。
図4図1に示すダストボックスの底面図である。
図5図1に示すダストボックスの背面図である。
図6図1に示すダストボックスの蓋体の動作を説明する(A)可動蓋片が開蓋する前の状態を示す平面図、(B)可動蓋片が開蓋した後の状態を示す平面図である。
図7】本発明に係るダストボックスにおいて、支持部材へのゴミ袋の取り付け方を説明する(A)支持部材を取り出すためにカバーを上げた状態を示す部分断面正面図、(B)支持部材を容器本体から取り出した状態を示す部分断面正面図である。
図8】本発明に係るダストボックスにおいて、支持部材に対してゴミ袋の開口を巻き付けて取り付けた状態を示す正面図である。
図9】本発明に係るダストボックスにおいて、ゴミ袋を取り付けた支持部材を容器本体へ設置する状態を示す部分断面正面図である。
図10】本発明に係るダストボックスにおいて、ゴミ袋を取り付けた支持部材を容器本体へ設置後、容器本体の上部開口を蓋体で覆う状態を示す部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
本実施の形態では、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態におけるダストボックス10は、互いに着脱自在な容器本体1と蓋体2が組み合わさることにより構成されたものとなっている。つまり、蓋体2は、容器本体1に対して強固に固定されたものではなく、容器本体1の上縁部に載置されるように、蓋体2の下縁部が容器本体1の上部開口内に嵌着されたものとなっている。ゆえに、蓋体2は、例えば、ゴミを廃棄するときなど、必要に応じて容易に容器本体1から取り外し、また容易に組み合わせることが可能なものとなっている。
【0026】
容器本体1は、図1及び図2に示すように、収容部11と、その下に配されたベース12とから構成されたものとなっている。
図において容器本体1は、平面視略蒲鉾形状をしたものとして示されているが、これは蓋体2が備える後述する可動蓋片20の開閉動作を考慮した一例を示すものであって、この形態に限定されるものではない。
【0027】
収容部11は、紙くずや使い切り衛生マスク、除菌シートといった不要なゴミを廃棄するための収容領域を構成するものであって、ダストボックス10を設置する部屋の広さやその用途、又は見栄えなどを考慮した好みに応じて、所望の大きさとすることができる。
【0028】
この収容部11へは直接ゴミを廃棄するようにしても良いが、廃棄したゴミを後で効率よく回収するため、収容部11にゴミ袋Gを設置しておくこと望ましい。そのため、本実施の形態において、容器本体1は、ゴミ袋Gの効果的な設置が可能な押さえリング9を備えている。この押さえリング9は、ゴミ袋Gの開口状態を維持する支持部材であって、例えば、ゴミ袋Gの開口部を巻き付けることが可能な環状部材とすることができる。
【0029】
また、押さえリング9は、収容部11の開口縁部より少し下がった位置の内側に、段差を有して着脱自在に配されるものとなっている。つまり、ゴミ袋Gは、開口部を収容部11の開口縁部に引っ掛けて設置することもできるが、そうするとゴミ袋Gの開口部が収容部11の外側に露呈して見栄えの悪いものとなってしまう。
ところが、本実施の形態のように、押さえリング9を用いてゴミ袋Gの開口部を支持するもの、すなわち、押さえリング9にゴミ袋Gの開口部を巻き付けるものとすれば、ゴミ袋Gの開口部が収容部11の外側に露呈しない見栄えの良いものとすることができるので望ましい。
【0030】
ベース12は、蓋体2の開口(すなわち、ゴミの廃棄するゴミ捨て口)を自動で開閉するために用いられる各種部品などを収容する領域であって、底部が部分的に内方へ向かって凹状に引っ込んだ窪み30を有する形状となっている。すなわち、ベース12は、底部側正面に窪み30が設けられたものとなっている。
【0031】
ベース12は、蓋体2を開閉する際のトリガーとなる第一の非接触スイッチ4及び第二の非接触スイッチ5を備える。また、ベース12は、第一の非接触スイッチ4及び第二の非接触スイッチ5から発せられる電気信号に基づいて、後述する駆動アセンブリ3に対して蓋体2を開閉する指示を行うコントロール回路基板31を備える。
【0032】
これら第一の非接触スイッチ4及び第二の非接触スイッチ5は、蓋体2の開蓋要求を認識(検知)する開蓋要求受付手段であって、非接触で開蓋要求を受け付ける。このような非接触スイッチは、近づいたり、手足などをかざしたりするだけで反応するので、衛生面に優れ、ウイルスや細菌の感染リスク軽減に配慮したスイッチといえる。
【0033】
第一の非接触スイッチ4は、人の接近を検知した検知信号を制御部であるコントロール回路基板31へ出力し、蓋体2を開閉する電動モータの駆動を開始させるものである。本実施の形態において、第一の非接触スイッチ4は、例えば、ベース12に設けられた窪み30の入り口近傍に露呈して設けられたものとすることができる。具体的には、図3に示すように、第一の非接触スイッチ4は、容器本体1の正面中央下方において、検出方向を外側(すなわち、図中の点線矢印で示すように、利用者が近づいてくる方向)に向けて設けることができる。
【0034】
また、第二の非接触スイッチ5は、人の存在を検知した検知信号を同じくコントロール回路基板31へ出力し、蓋体2を開閉する電動モータの駆動を開始させるものである。本実施の形態において、第二の非接触スイッチ5は、例えば、窪み30の内部に隠れるように設けられたものとすることができる。具体的には、図4に示すように、第二の非接触スイッチ5は、容器本体1の正面中央底部に形成された窪み30の内部において、検出方向が対向するように正面視して左右の側面にそれぞれ(すなわち、図中の点線矢印で示すように、検出方向が互いに向き合うものとなるように一対)設けることができる。
【0035】
第一の非接触スイッチ4又は第二の非接触スイッチ5から出力された検知信号は、コントロール回路基板31が受け、電動モータを正回転させて蓋体2(可動蓋片20)を自動的に開かせるように駆動アセンブリ3に対して指示を行う。また、第一の非接触スイッチ4又は第二の非接触スイッチ5が、物体の動きを一定時間感知しないと、すなわち、検知信号が出力されないと、コントロール回路基板31は、電動モータを逆回転させて蓋体2(可動蓋片20)を自動的に閉じさせるように駆動アセンブリ3に対して指示を行う。
【0036】
このような非接触スイッチは、検出対象に接触することなく検出する人体感知センサ(人感センサ)であって、例えば、一般的な赤外線検知による赤外線センサや、超音波により距離及び角度を検知する超音波センサなどの近接センサ、物体反射型(拡散反射型)光電センサ、透過型又は回帰反射(ミラー)型光電センサ、などとすることができる。
【0037】
これにより、ゴミを廃棄する利用者が容器本体1に近接したことによる利用要求を認識(検知)し、ゴミを廃棄する利用者が容器本体1の下方に形成された窪み30の内部に足先を挿入したことによる利用要求を認識(検知)することで、利用者は、蓋体2に直接触れることなく、蓋体2を自動で開閉操作することができる。
【0038】
また、図5に示すように、第一の非接触スイッチ4及び第二の非接触スイッチ5は、容器本体1の背面に設けられた切替スイッチ7での選択により、開蓋要求の受け付け(認識作動)の切り替えが可能なものとなっている。すなわち、切替スイッチ7は、第一の非接触スイッチ4と第二の非接触スイッチ5での開蓋要求の認識を、選択的に切り替える切り替え手段である。ゆえに、第一の非接触スイッチ4によって蓋体2の開蓋要求の認識を行うものとするか、第二の非接触スイッチ5によって蓋体2の開蓋要求の認識を行うものとするか、切替スイッチ7を切り替えることで自由に選択できるようになっている。
【0039】
これにより、例えば、普段は第一の非接触スイッチ4を選択して有効なものとし、ダストボックス10へ近づくことで自動的に蓋体2の開口が開蓋するものと設定することができる。一方、子供やペットが用もないのにダストボックス10へ近づくおそれがあるときは、第二の非接触スイッチ5を選択して有効なものとし、ダストボックス10へ近づいても無闇に蓋体2の開口が開蓋しないように設定することができる。そして、第二の非接触スイッチ5を選択したときは、ゴミを捨てる必要があるときに、窪み30の内部に足先を挿入することで、自動的に蓋体2の開口が開蓋するものとなる。
【0040】
蓋体2は、容器本体1の上部開口を覆う(閉塞する)部材であって、蓋体2に形成されたゴミ捨て開口領域を開閉自在に覆う可動蓋片20を備える。この可動蓋片20は、容器本体1の上部開口に沿って水平方向に開閉する。また、蓋体2は、可動蓋片20を自動で可動(開閉)するための駆動手段として、駆動アセンブリ3を備える。
【0041】
駆動アセンブリ3は、第一の非接触スイッチ4又は第二の非接触スイッチ5での開蓋要求の認識に伴って、蓋体2に形成されたゴミ捨て開口領域を開口させるように可動蓋片20を駆動するものである。すなわち、駆動アセンブリ3は、第一の非接触スイッチ4又は第二の非接触スイッチ5から発せられる電気信号に基づいて、可動蓋片20を自動で可動させる。
【0042】
可動蓋片20は、蓋体2に形成されたゴミ捨て開口領域を覆う、開閉自在な部材であって、一つの部材で構成されたものでもよいが、複数の部材で構成されたものでもよい。可動蓋片20は、例えば、中央より左右に離反して開くと共に、左右から中央に向かって近接して閉じる、一組(二つ)の可動蓋片20,20から構成された両開き引き戸(引き分け戸)構造とすることができる。このような両開き引き戸構造は、一組の可動蓋片20,20の開閉の際に、可動蓋片20の移動距離が少なくて(半分で)済み、短時間で開閉動作が行えるものとなるので望ましい。
【0043】
また、両開き引き戸構造とした一組の可動蓋片20,20はさらに、一方の可動蓋片20と他方の可動蓋片20が共に、連動する複数の蓋片によりそれぞれ構成された連動引き戸構造とすることができる。本実施の形態において連動引き戸構造とは、可動蓋片20が、それぞれ上下に重なることが可能な複数の蓋片により構成され、複数の蓋片同士の重なり状態を維持したまま一緒に可動したり、また、蓋片同士の重なり状態を徐々に解除しながら一つの蓋片だけが可動もしくは停止したりすることをいう。
【0044】
本実施の形態において、一組の可動蓋片20,20は共に、例えば、互いに上下に重なる二つの蓋片から構成されるものとすることができる。具体的には、図6(A)に示すように、一組の可動蓋片20,20はそれぞれ、上方に位置する第一可動蓋片21と、下方に位置する第二可動蓋片22とから共に構成された連動引き戸構造となっている。
【0045】
このような連動引き戸構造においては、開蓋する際、図6(A)において一点鎖線矢印で示すように、最初に第一可動蓋片21が可動して開き、第一可動蓋片21が第二可動蓋片22の上に重なるまで開く。引き続き連続して、図6(A)において二点鎖線矢印で示すように、第一可動蓋片21と第二可動蓋片22は重なり状態を維持したまま一緒に可動し、図6(B)に示すように、最後まで開くものとなる。
【0046】
一方、閉蓋する際は、図示しないが上述した開蓋動作とは逆になる。すなわち、最初に第一可動蓋片21と第二可動蓋片22は重なり状態を維持したまま途中まで(第二可動蓋片22の幅の分だけ)閉じる。引き続き連続して、第二可動蓋片22との重なり状態を解除するように、第一可動蓋片21だけが可動して完全に閉じるものとなる。
なお、一組の可動蓋片20,20の閉蓋は、例えば、第一の非接触スイッチ4又は第二の非接触スイッチ5での開蓋要求の認識(検知)を終了して所定時間後、例えば、5秒後に開始するように、予め設定されたものとなっている。
【0047】
このように可動蓋片20が、それぞれ上下に重なる複数の蓋片により構成された連動引き戸構造であると、可動蓋片20が開いたときに複数の可動蓋片が互いに重なることでコンパクトになり、開いた可動蓋片20が蓋体2の上面領域を超えて周囲(平面視外方)へはみ出ることがないので望ましい。
【0048】
なお、蓋体2は、手動スイッチ6を備える。この手動スイッチ6は、第一の非接触スイッチ4又は第二の非接触スイッチ5での開蓋要求の認識によらないで、可動蓋片20を自動で開蓋させることを認識(検知)する開蓋要求受付手段である。すなわち、第一の非接触スイッチ4が選択された状況で、第一の非接触スイッチ4が検知できない方向(例えば、側面や背面方向)から近付いた場合、この手動スイッチ6を押圧することで、自動で蓋体2の可動蓋片20を可動させて開蓋させることができる。また、第二の非接触スイッチ5が選択された状況で、容器本体1の底部に形成された窪み30内部に足先を挿入できない場合(例えば、足を怪我していたり、車椅子を利用していたりするとき)、この手動スイッチ6を押圧することで、自動で蓋体2の可動蓋片20を可動させて開蓋させることができる。ゆえに、本発明のダストボックス10は、手動スイッチ6や切替スイッチ7を効率よく用いることで、ゴミを廃棄する状況や利用者の状態を制限することが無い。
【0049】
以上のように構成されたダストボックス10は、次のように利用するための準備を行う。
まず、容器本体1の上部開口を覆う蓋体2を取り外し、収容部11の中にゴミ袋Gを設置する。ゴミ袋Gの設置は上述したが、例えば、図7乃至図10に示すことができる。
蓋体2を取り外した後、図7(A)に示すように、リングカバー8を上向きに開く。次いで、図7(B)に示すように、収容部11から押さえリング9を取り外す。
次いで、図8に示すように、この押さえリング9にゴミ袋Gの開口部を巻き付ける。
引き続き、図9に示すように、ゴミ袋Gを巻き付けた押さえリング9を、収容部11の中へ設置し、上向きにしたリングカバー8を倒して元の状態とする。
そして、図10に示すように、容器本体1へ蓋体2を被せることで、ダストボックス10を利用するための準備が完了する。
【0050】
その後、切替スイッチ7を操作して、第一の非接触スイッチ4を有効なものとするか、第二の非接触スイッチ5を有効なものとするか選択する。
第一の非接触スイッチ4が選択された場合、ゴミを廃棄する利用者が、ダストボックス10に対して所定の距離まで近づくと、第一の非接触スイッチ4が人の存在を検知し(開蓋要求として認識し)、蓋体2が備える可動蓋片20は、容器本体1の上部開口に沿って水平方向に自動で開くものとなる。
この際、可動蓋片20は、容器本体1の上部開口を覆う状態から反転するように起立動作をするものではないので、可動蓋片20の開蓋に伴って、収容部11内の空気を巻き上げてしまうことが著しく抑制できるものとなっている。
【0051】
一方、第二の非接触スイッチ5が選択された場合、用もないのに子供やペットがダストボックス10に対して所定の距離まで近づいたとしても、反応しない(開蓋要求は認識しない)。そして、ゴミを廃棄する利用者がダストボックス10へ近づき、さらに、その容器本体1の底部に形成された窪み30内部に足先を挿入することで、第二の非接触スイッチ5が人の存在を検知し(開蓋要求として認識し)、自動で蓋体2の可動蓋片20を可動させて開蓋する。
【0052】
したがって、本発明のダストボックス10によれば、ゴミの廃棄の際、蓋を開けるために、蓋の所定部に手が届く位置、もしくはセンサが検知する位置まで腰を屈める必要が無く、自動で開蓋することができる。ゆえに、汚物に触れるおそれが無いと共に、内部の空気(エアロゾル)に晒される危険性を低減させたものとすることができる。
しかも、両手が塞がっていても、ダストボックス10近づくことや、底部に形成された窪み30内部に足先を挿入するといった、極めて簡易な動作だけで自動で開蓋することができるため、利便性に優れたものとなっている。
【符号の説明】
【0053】
1 容器本体、2 蓋体、3 駆動アセンブリ(駆動手段)、4 外センサ(開蓋要求受付手段)、5 内センサ(開蓋要求受付手段)、6 手動スイッチ、7 切替スイッチ、8 リングカバー、9 押さえリング(支持部材)、10 ダストボックス、11 収容部、12 ベース、20 可動蓋片、21 第一可動蓋片、22 第二可動蓋片、30 窪み、31 コントロール回路基板。
図1
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図10