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特開2023-157206配筋計測用の三次元配筋データ作成方法及び配筋計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157206
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】配筋計測用の三次元配筋データ作成方法及び配筋計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20231019BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20231019BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G01B11/02 H
E04G21/12 105Z
E04G21/12 ESW
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066959
(22)【出願日】2022-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593089046
【氏名又は名称】青木あすなろ建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000156204
【氏名又は名称】株式会社淺沼組
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(71)【出願人】
【識別番号】591169490
【氏名又は名称】北野建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000172813
【氏名又は名称】佐藤工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000207872
【氏名又は名称】大末建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510065067
【氏名又は名称】▲高▼松建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000235543
【氏名又は名称】飛島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000231198
【氏名又は名称】日本国土開発株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000112196
【氏名又は名称】株式会社ピーエス三菱
(71)【出願人】
【識別番号】591214804
【氏名又は名称】株式会社松村組
(71)【出願人】
【識別番号】000245852
【氏名又は名称】矢作建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304038149
【氏名又は名称】村本建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100213388
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 康司
(72)【発明者】
【氏名】八代 成美
(72)【発明者】
【氏名】安武 祐太
(72)【発明者】
【氏名】赤星 博仁
(72)【発明者】
【氏名】松本 賢二郎
(72)【発明者】
【氏名】上原 誠
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】市川 達也
(72)【発明者】
【氏名】村井 克綺
(72)【発明者】
【氏名】田野井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】依田 昌典
(72)【発明者】
【氏名】関口 友裕
(72)【発明者】
【氏名】長澤 新治
(72)【発明者】
【氏名】上田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】築城 寛行
(72)【発明者】
【氏名】柏木 隆男
(72)【発明者】
【氏名】河南 孝典
(72)【発明者】
【氏名】青木 信吾
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 一秀
(72)【発明者】
【氏名】高山 英伸
(72)【発明者】
【氏名】吉川 清峰
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲矢
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA21
2F065AA24
2F065CC14
2F065DD06
2F065FF04
2F065FF05
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065QQ03
2F065QQ06
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065SS01
(57)【要約】
【課題】本発明は、作業性に優れると共に、立体的な鉄筋の配置を計測することができる配筋計測装置10を提供する。
【解決手段】本発明に係る配筋計測装置10は、所定間隔dで配置された少なくとも2つの単眼カメラと、2つの単眼カメラで撮影された一組の配筋画像を複数組取得する画像取得部21と、配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データ40を作成する三次元配筋データ作成部22と、三次元配筋データに対して1つの仮想平面を設定し、仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41を三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループとしてグループ化するグループ化部23と、第1配筋グループを用いて各種寸法を計測する計測部24と、配筋1の設計情報と各種寸法とを表示する表示部38と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラで同時に撮影して得られる一組の配筋画像を複数組取得する工程と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する工程と、
前記三次元配筋データに対して1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化する工程と、
を含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記グループ化する工程は、前記三次元配筋データに対して前記仮想平面とは異なる相対位置にある複数の仮想平面を用いて複数回実行されて前記第1配筋グループとは異なる複数の第1配筋グループを得る、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、梁構造の一部を構成し、
前記複数の仮想平面は、それぞれ水平面であり、
前記第1配筋ラインは、主筋及び腹筋に対応し、
前記腹筋に対応する前記第1配筋ラインの水平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる幅止め筋に対応する複数の第2配筋ラインを1つの第2配筋グループとしてグループ化する工程と、
前記三次元配筋データに対して鉛直面を設定し、前記鉛直面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って延びるスターラップ筋に対応する複数の第3配筋ラインを1つの第3配筋グループとしてグループ化する工程と、
をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、柱構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、鉛直面であり、
前記第1配筋ラインは、帯筋に対応し、
略鉛直方向に延びる主筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、壁構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、鉛直面であり、
前記第1配筋ラインは、略鉛直方向に延びる縦筋に対応し、
前記縦筋と同じ前記鉛直面から所定の範囲内に位置し、かつ略水平方向に延びる横筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、床構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、水平面であり、
前記第1配筋ラインは、主筋に対応し、
前記主筋と同じ前記水平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる配力筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとして
グループ化する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項7】
請求項2において、
前記複数の第1配筋グループの中から最も離れた位置にある2つのグループを選択し、
前記2つのグループの間隔を計測し、
計測された前記間隔と前記配筋画像における配筋に用いられている鉄筋径とに基づいて前記配筋の全高または全幅を推定し、
前記配筋の設計情報と、推定された前記全高または前記全幅とを表示するための第1表示データを作成する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項8】
請求項1~請求項3のいずれか一項において、
前記配筋の設計情報と、前記第1配筋グループに含まれる前記配筋ラインの数とを表示するための第2表示データを作成する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項9】
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラと、
前記2つの単眼カメラで撮影された一組の配筋画像を複数組取得する画像取得部と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の第1配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する三次元配筋データ作成部と、
前記三次元配筋データに対して1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化するグループ化部と、
前記第1配筋グループを用いて各種寸法を計測する計測部と、
前記配筋画像における配筋の設計情報と前記各種寸法とを表示する表示部と、
を備える、配筋計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法及び配筋計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造、鉄骨造等の建築物の工事現場では、配筋された柱や梁、床、壁、基礎、その他の部位の配筋検査が行われる。配筋検査は、基本的には現場の作業員による手作業が一般的であり、この作業の効率化が求められている。このような配筋検査に用いる配筋検査システムとして、デジタルカメラで撮影された鉄筋の画像に基づいて検査対象の鉄筋の径や本数を計測するシステムが提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-001146号公報
【特許文献2】特開2021-085838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配筋検査は複数の鉄筋が立体的に組み立てられた各部位ごとに実施するため、特許文献1の発明では、鉄筋同士が重なり、奥行きのある鉄筋の配置を計測することが難しい。また、特許文献2の発明は、深度センサを有するTOF(Time-Of-Flight)カメラを採用することが提案されているが、太陽光下での使用には適していないため施工現場での利用に課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、作業性に優れると共に、立体的な鉄筋の配置を計測することができる配筋計測用の三次元配筋データ作成方法及び配筋計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0007】
[1]本発明に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様は、
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラで同時に撮影して得られる一組の配筋画像を複数組取得する工程と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する工程と、
前記三次元配筋データに対して1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化する工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
[2]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記グループ化する工程は、前記三次元配筋データに対して前記仮想平面とは異なる相対位置にある複数の仮想平面を用いて複数回実行されて前記第1配筋グループとは異なる複数の第1配筋グループを得ることができる。
【0009】
[3]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記配筋画像における配筋は、梁構造の一部を構成し、
前記複数の仮想平面及び前記他の仮想平面は、それぞれ水平面であり、
前記第1配筋ラインは、主筋及び腹筋に対応し、
前記腹筋に対応する前記第1配筋ラインの水平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる幅止め筋に対応する複数の第2配筋ラインを1つの第2配筋グループとしてグループ化する工程と、
前記三次元配筋データに対して1つの仮想平面である鉛直面を設定し、前記鉛直面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って延びるスターラップ筋に対応する複数の第3配筋ラインを1つの第3配筋グループとしてグループ化する工程と、
をさらに含むことができる。
【0010】
[4]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記配筋画像における配筋は、柱構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、鉛直面であり、
前記第1配筋ラインは、帯筋に対応し、
略鉛直方向に延びる主筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含むことができる。
【0011】
[5]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記配筋画像における配筋は、壁構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、鉛直面であり、
前記第1配筋ラインは、略鉛直方向に延びる縦筋に対応し、
前記縦筋と同じ前記鉛直面から所定の範囲内に位置し、かつ略水平方向に延びる横筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含むことができる。
【0012】
[6]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記配筋画像における配筋は、床構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、水平面であり、
前記第1配筋ラインは、主筋に対応し、
前記主筋と同じ前記水平面内で前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる配力筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含むことができる。
【0013】
[7]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記複数の第1配筋グループの中から最も離れた位置にある2つのグループを選択し、
前記2つのグループの間隔を計測し、
計測された前記間隔と前記配筋画像における配筋に用いられている鉄筋径とに基づいて前記配筋の全高または全幅を推定し、
前記配筋の設計情報と、推定された前記全高または前記全幅とを表示するための第1表示データを作成する工程をさらに含むことができる。
【0014】
[8]上記配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様において、
前記配筋の設計情報と、前記第1配筋グループに含まれる前記第1配筋ラインの数とを表示するための第2表示データを作成する工程をさらに含むことができる。
【0015】
[9]本発明に係る配筋計測装置の一態様は、
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラと、
前記2つの単眼カメラで撮影された一組の配筋画像を複数組取得する画像取得部と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する三次元配筋データ作成部と、
前記三次元配筋データに対して1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化するグループ化部と、
前記第1配筋グループを用いて各種寸法を計測する計測部と、
前記配筋画像における配筋の設計情報と前記各種寸法とを表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法及び配筋計測装置の一態様によれば、TOFカメラを用いていないので施工現場で配筋を計測する際の作業性に優れると共に、配筋ラインをグループ化することで立体的な鉄筋の配置を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る配筋計測装置のブロック図である。
図2】配筋と三次元配筋データを模式的に示す図である。
図3】本実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法のフローチャートである。
図4】本実施形態に係る三次元データ作成工程のフローチャートである。
図5】第1実施形態に係るグループ化工程のフローチャートである。
図6】第1実施形態に係るグループ化工程を説明する模式図である。
図7】表示部に表示された画像の一例である。
図8】第2実施形態に係るグループ化工程のフローチャートである。
図9】第2実施形態に係るグループ化工程を説明する模式図である。
図10】第3実施形態及び第4実施形態に係るグループ化工程のフローチャートである。
図11】第3実施形態に係るグループ化工程を説明する模式図である。
図12】第4実施形態に係るグループ化工程を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0019】
1.配筋計測装置
図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る配筋計測装置10について説明する。図1は、本実施形態に係る配筋計測装置10のブロック図であり、図2は、配筋1と三次元配筋データ40を模式的に示す図である。なお、図2で示す配筋1及びその三次元配筋データ40は一例であって、他の形態であってもよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る配筋計測装置10は、所定間隔dで配置された少なくとも2つの単眼カメラと、少なくとも2つの単眼カメラで撮影された一組の配筋画像を複数組取得する画像取得部21と、配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データ40を作成する三次元配筋データ作成部22と、三次元配筋データ40に対して1つの仮想平面を設定し、仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41を三
次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47としてグループ化するグループ化部23と、第1配筋グループ47を用いて各種寸法を計測する計測部24と、配筋1の設計情報と各種寸法とを表示する表示部38と、を備える。なお、2つの単眼カメラとしてステレオカメラ15を用いた例について以下では説明するが、後述するようにステレオカメラ15に限定するものではない。
【0021】
本実施形態に係る配筋計測装置10の一態様によれば、ステレオカメラ15の配筋画像を用いて三次元配筋データ40を作成するので作業性に優れる。また、グループ化することで配筋1の立体的な配置に関する計測や評価をすることができる。
【0022】
図1に示すように、配筋計測装置10は、例えば、演算部20及び記憶部37を備える本体11と、本体11に少なくとも通信可能な状態で接続されたステレオカメラ15及び表示部38とを備える。本体11とステレオカメラ15と表示部38とは一体化された筐体に設けられてもよいし、別々に設けられてもよく、例えば市販のタブレット端末のカメラをステレオカメラ15の一方の単眼カメラとしてタブレット端末に他方の単眼カメラを装着してもよいし、タブレット端末を演算部20、記憶部37及び表示部38としてもよい。また、演算部20及び記憶部37の一部が本体11に内蔵されなくてもよく、各部をネットワークに接続されたサーバに設けてもよい。
【0023】
本体11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体、液晶や有機ELなどのディスプレイ、高速データ通信を行う通信インターフェース、及びタッチパネルやキーボードなどのユーザインターフェースを備えることができる。配筋計測装置10は、工事現場において携帯可能な端末であることが好ましく、例えば、ノートパソコンやタブレット端末のような形態が好ましい。
【0024】
ステレオカメラ15は、所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラを備える。各単眼カメラは、同じ性能を備えるデジタルカメラである。ステレオカメラ15は、公知の光学系と撮像素子を有し、モノクロ画像またはカラー画像を撮影可能である。撮像素子は、例えば、CMOS(Complementary MOS)センサ又はCCD(Charge Coupled Device)センサである。ステレオカメラ15は、少なくとも一本以上の鉄筋を含む配筋1を撮影し、画像取得部21に撮影した一組の配筋画像を複数組提供する。ステレオカメラ15で撮影された画像の視差から、三角測量の原理でステレオカメラ15と鉄筋の距離を演算部20で算出して三次元配筋データを作成する。そのためTOFカメラのような太陽光下の施工現場で使いにくい装置を用いなくてよいので施工現場における作業性に優れる。ステレオカメラ15としては、三角測量の原理を利用するため最小構成として少なくとも2つの単眼カメラがあればよいが、各々所定間隔をあけて配置された複数の単眼カメラ例えば3つの単眼カメラで構成されてもよい。3台以上の単眼カメラを用いることで配筋計測装置10の検知精度を向上させることができる。
【0025】
演算部20は、例えばプロセッサであって、画像取得部21と、三次元配筋データ作成部22と、グループ化部23と、計測部24と、出力部25と、を含む。演算部20は、複数のプロセッサで構成されてもよい。演算部20は、さらに他の処理部を含んでもよい。
【0026】
画像取得部21は、例えば図2の上段に示す配筋1をステレオカメラ15によって同時に撮影された一組の配筋画像を複数組取得する。複数組の配筋画像は、配筋1に対して複数の異なる撮影位置にあるステレオカメラ15で撮影することで得られる。ステレオカメ
ラ15により複数回撮影を行うことで、複数組の配筋画像が得られる。また、ステレオカメラ15により動画撮影をして、その動画の中から複数組の配筋画像を選択し、取得してもよい。配筋1に対して複数の異なる撮影位置から撮影することで、配筋画像から推定できる配筋ラインを増やすことができる。すなわち、ステレオカメラ15に近い手前側にある鉄筋は写りやすく、奥側にある鉄筋は写りにくいが、異なる撮影位置から撮影することにより、奥側にある鉄筋も漏れなく撮影することができる。しかしながら、型枠や撮影角度が制限されるためステレオカメラ15の移動によっても配筋1における撮影対象の鉄筋の全てを完全に撮影することは難しいが、後述するグループ化により配筋1の計測を補助することにより作業性に優れる。
【0027】
三次元配筋データ作成部22は、ステレオカメラ15で撮影した複数組の配筋画像に基づいて、例えば図2の下段に示すような基準三次元座標系に複数の配筋ライン(第1配筋ライン41、第2配筋ライン42、第3配筋ライン43)が配置された三次元配筋データ40を作成する。三次元配筋データ作成部22は、例えば、図示しない画像較正処理部、推定部、マッチング部、三次元座標計算部、及び合成処理部を含むことができる。
【0028】
画像較正処理部は、ステレオカメラ15のキャリブレーション情報を推定し、記憶部37に保存する。キャリブレーション情報とは、例えば、ステレオカメラ15の固有パラメータである内部パラメータの推定値及びステレオカメラ15間の相対位置関係に係る外部パラメータの推定値を含む。内部パラメータとは焦点距離、主点座標、歪み係数などであり、外部パラメータは2つの単眼カメラの座標系、回転行列及び並進ベクトルの関係などである。
【0029】
推定部は、ステレオカメラ15の姿勢を推定する。ここで、「姿勢」とは、計測開始時の初期フレームのステレオカメラ15の三次元座標位置を基準とした場合の、現時点のステレオカメラ15の回転と並進移動の差分である。ステレオカメラ15の姿勢の推定に際しては、配筋1の任意の面(例えば正面)に立体マーカーを配置させた状態で配筋画像を取得してもよい。立体マーカーは、AR(Augumented Reality:拡張現実)マーカーである。立体マーカーが撮影対象である配筋1と共に配筋画像に含まれるように撮影されることによって、配筋画像に含まれる立体マーカーの位置及び角度を認識することができ、その結果、配筋1に対するステレオカメラ15の姿勢を推定することができる。
【0030】
また、推定部は、画像取得部21で取得した複数組の配筋画像に基づいて複数の配筋ラインを推定する。図2では、配筋ラインは、第1配筋ライン41、第2配筋ライン42及び第3配筋ライン43の三種類が推定される。配筋ラインは、配筋1における各鉄筋に沿って延びる仮想線であり、鉄筋上に重なるように推定され、好ましくは鉄筋の中心軸に合うように推定される。配筋ラインの推定は、鉄筋の特徴(例えば直線性、節、輝度、交差部など)を利用して行うことができる。推定部は、画像取得部21で取得した全ての配筋画像に対して、配筋1の検知及び配筋ラインの推定を行う。配筋ラインを推定する手法としては、例えば学習機能を有する形状検出アルゴリズムを利用することができる。さらに、推定部は、配筋画像から配筋1の各鉄筋の径を推定してもよい。鉄筋の径は、画像から得られる各鉄筋の特徴に基づいて推定することができる。推定部は、対象となる鉄筋の全部が確認できない場合において、当該の鉄筋の両端部など2点以上の特徴点を検知できていれば、それらの特徴点を結び、1本の配筋ラインとして推定することもできる。
【0031】
マッチング部は、推定部で推定された配筋ラインを各組の配筋画像ごとにマッチングする。マッチングは、2枚の画像を比較して「同じものを一致する」ことである。ここで、「もの」は画像中の「点」や「領域」である。マッチング部は、推定部で配筋ラインを推定する際に検知した鉄筋の特徴点をマッチングしてもよい。その場合、マッチングした鉄
筋に対応する配筋ラインであることを判定することで配筋ラインをマッチングしてもよい。マッチングの手法としては、特徴点マッチングを採用することができる。マッチングを行う前に、予め各画像に対して前処理を施すことができる。
【0032】
三次元座標計算部は、推定部で推定された各配筋ラインの三次元座標を計算する。三次元座標は、初めにステレオカメラ15で撮影する、あらかじめ取得した鉄筋位置を三次元座標の基準点とするか、もしくは、配筋1に設置した立体マーカーを三次元座標の基準点として計算することで取得できる。配筋ラインは、マッチング処理で用いられた複数の特徴点上を通るため、各特徴点とステレオカメラ15との距離を計測して配筋ラインの三次元座標を計算することができる。
【0033】
合成処理部は、複数の配筋ラインを含む三次元配筋データ40を得る。具体的には、合成処理部は、三次元座標計算部によって得られた各配筋ラインの三次元座標に基づいて、基準三次元座標系に配筋ラインを配置して三次元配筋データ40を合成する。すなわち、三次元座標が特定された全ての配筋ラインを共通の基準三次元座標系に関連付ける。これにより、配筋ラインを三次元データとして表現することができる。
【0034】
グループ化部23は、三次元配筋データに対して1つの仮想平面を設定し、仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41を三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47としてグループ化する。複数の仮想平面を設定して複数の第1配筋グループ47をグループ化してもよい。グループ化することにより、第1配筋グループ47の幅や高さ等を計測することができる。また、第1配筋ライン41の一部が欠損していた場合でも、第1配筋グループ47としてその欠損部分を推測できるので、計測が容易になる。仮想平面の設定は、グループ化に先立って行う。配筋が適切に施工されている場合には、多くの配筋ラインが水平方向または鉛直方向に近い状態で延在するため、仮想平面は水平面または鉛直面として設定することができる。また、仮想平面の設定は、グループ化部23が三次元配筋データ40の中から少なくとも2本の第1配筋ライン41を選択し、これらの第1配筋ライン41が含まれる1つの仮想平面を作成し、この仮想平面を第1配筋グループ47のグループ化に用いる仮想平面に設定する。仮想平面は、三次元配筋データ40に対して設計情報に基づく位置に設定してもよい。また、仮想平面は、最も多くの第1配筋ライン41をグループ化できる位置に設定してもよい。「仮想平面から所定の範囲内」とは、例えば許容施工誤差範囲内としてもよいし、配筋ごとに検査担当者があらかじめ距離を設定してもよく、第1配筋ライン41が仮想平面内にあってもよい。「所定の範囲」としては、例えば設定された仮想平面に対して±20mm以内の範囲であり、好ましくは設定された仮想平面に対して±15mmの範囲である。「所定の範囲」が±20mm以内であれば、隣接する他のグループの配筋ラインを含む可能性が低くなり、誤認識を抑えることができる。第1方向は仮想平面内に存在する。「第1方向に沿って延びる」とは、第1配筋ライン41と第1方向とが完全に一致することを要求するものではなく、施工誤差もあるため第1配筋ライン41は凡そ第1方向に沿っていればよい。例えば、第1方向に対して±12.5度以内に第1配筋ライン41があればよい。第1配筋グループ47以外のグループ化も同様に実行できる。
【0035】
図2に示す三次元配筋データ40では、グループ化部23は、例えば、X-Z面と平行な1つの水平面内にあるZ軸に平行な第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41を1つの第1配筋グループ47(符号47の破線で囲まれた配筋のグループ)としてグループ化する。グループ化部23は、少なくとも上端筋と下端筋についてそれぞれ第1配筋グループ47とすることができる。また、X-Z面と平行な別の水平面内にあるX軸に平行な第2方向に沿って延びる第2配筋ライン42を第1配筋グループ(符号48の破線で囲まれた配筋のグループ)としてもよいし、Y-Z面と平行な1つの水平面内にある1つ
鉛直面内にあるY軸に平行な第3方向に沿って延びる第3配筋ライン43を第1配筋グループ(符号49の破線で囲まれた配筋のグループ)としてもよい。グループ化部23の具体的な処理については第1実施形態~第4実施形態を用いて後述する。なお、後述する第1実施形態では、第1配筋ライン41のグループを第1配筋グループ47とした上で、第2配筋ライン42のグループを第2配筋グループ48、第3配筋ライン43のグループを第3配筋グループ49として説明する。
【0036】
計測部24は、第1配筋グループ47を用いて各種寸法を計測する。計測部24は、他のグループ化した配筋グループを用いて各種寸法を計測してもよく、また配筋グループの各種寸法と配筋1の設計情報との差を計測してもよい。グループ化した配筋グループにより配筋1における特徴的な各種寸法が計測されることにより、配筋検査において施工後の鉄筋の配置を構造設計リスト等の設計情報と比較しやすい。また、配筋グループを用いて計測することにより、立体的な鉄筋の配置を計測することができる。特に、一部の鉄筋に対応する配筋ラインが作成できない場合でもグループ化によって立体的な鉄筋の配置を計測しやすい。各種寸法は、例えば複数の第1配筋グループ47において最も離れた位置にある2つの第1配筋グループ47の間隔により求めることができる配筋1の全高または全幅であり、1つの第1配筋グループ47における第1配筋ライン41の本数であり、1つの第1配筋グループ47における隣り合う第1配筋ライン41の間隔等である。
【0037】
計測部24は、第1配筋グループ47を用いて計測した各種寸法を表示部38に表示するための表示データを作成することができる。表示データは、計測した各種寸法に加えて、配筋1の設計情報を含んでもよい。
【0038】
出力部25は、演算部20における各部の処理結果を外部例えば表示部38等に出力する。出力部25は、例えば三次元配筋データ40、グループ化されたデータ、計測結果等の各データを出力する。
【0039】
記憶部37は、例えばRAM等の記憶媒体であって、演算部20と通信可能に接続される。記憶部37は、配筋計測装置10の各処理部において実行されるプログラム及びプログラムに用いられる各種設定値が保存される。また、記憶部37は、計測対象である配筋1の設計情報や三次元配筋データ40等が保存される。
【0040】
表示部38は、例えば液晶画面であって、出力部25の指令により各種情報を表示する。表示部38は、配筋1の設計情報と各種寸法とを表示する。設計情報は、例えば鉄筋径や鉄筋の本数等であるが、配筋1の断面図を含んでもよく、計測部24で計測された情報に対応する情報であることが好ましい。このように設計情報と各種寸法の少なくとも一部とを表示することで検査結果が容易に識別できるようになる。また、このような表示データを記憶部37に保存することができる。
【0041】
2.配筋計測用の三次元配筋データ作成方法
図1図4を用いて、本発明の一実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の概要について説明する。図3は、本実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法のフローチャートである。本実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法は、図1に示す配筋計測装置10を用いて実行することができ、上述の説明と重複する部分については省略する。なお、以下の説明では、配筋計測装置10及び配筋1を用いた例について説明するが、これに限定されるものではない。
【0042】
図3に示すように、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様は、取得工程(S10)と、作成工程(S20)と、グループ化工程(S30)とを有する。各工程は、配筋計測装置10の記憶部37に記録された処理プログラムを用いて実行することができる
。なお、ここでは、取得工程(S10)及び作成工程(S20)について詳細に説明し、グループ化工程(S30)の詳細は第1実施形態~第4実施形態において説明する。
【0043】
また、取得工程(S10)に先立って、事前準備処理として、キャリブレーションボードをステレオカメラ15で撮影し、キャリブレーションを行い、ステレオカメラ15の内部パラメータと外部パラメータを推定し、ステレオカメラ15のキャリブレーション情報を記憶部37に保存する処理を実行することが好ましい。次に、配筋計測装置10は、ステレオカメラ15で計測対象である配筋1を撮影する。推定部は、撮影された一組の配筋画像を用いて、ステレオカメラ15のそれぞれの内部パラメータ(焦点距離、主点座標、歪み係数)から歪を較正することが好ましい。推定部は、撮影された配筋画像を用いて、ステレオカメラ15のそれぞれの外部パラメータ(2つの単眼カメラの座標系、回転行列及び並進ベクトルの関係)から平行化変換することが好ましい。推定部は、現フレームのステレオカメラ15のそれぞれの姿勢を推定することが好ましい。「現フレーム」とは、撮影された配筋画像である。
【0044】
取得工程(S10):画像取得部21は、取得工程(S10)として、所定間隔dで配置された少なくとも2つの単眼カメラで同時に撮影して得られる一組の配筋画像を複数組取得する工程を実行する。撮影された配筋画像は、例えば図2の上段に示す配筋1のように撮影される。各撮影位置におけるステレオカメラ15の各レンズと配筋1における撮影対象の鉄筋との距離は、0.5m以上2.5m以下に設定されることが好ましい。また、撮影位置にあるステレオカメラ15の各単眼カメラの光軸に直交する仮想平面と撮影対象の鉄筋の中心軸線とが成す角度は、0度~30度であることが好ましい。
【0045】
作成工程(S20):三次元配筋データ作成部22は、取得した配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ライン(第1配筋ライン41、第2配筋ライン42、第3配筋ライン43)が配置された三次元配筋データ40を作成する工程を実行する。
【0046】
図4を用いて作成工程(S20)について、図2の例を参照しながら以下詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る作成工程(S20)における処理フローチャートである。作成工程(S20)は、例えば、推定工程(S21)、マッチング工程(S23)、計算工程(S25)、及び合成工程(S27)を含む。
【0047】
推定工程(S21):三次元配筋データ作成部22の推定部は、例えば図2の配筋1をステレオカメラ15が撮影したそれぞれの画像の中から第1配筋ライン41、第2配筋ライン42、第3配筋ライン43を推定する。ステレオカメラ15の配筋画像から三次元配筋データ40を得るので作業性に優れる。第1配筋ライン41は主筋1a及び腹筋1cの中心を通る仮想線として、第2配筋ライン42は幅止め筋1dのX軸に沿って延びる直線部分の中心を通る仮想線として、第3配筋ライン43は、スターラップ筋(以下、「STP筋」)1bのY軸に沿って延びる直線部分及びX軸に沿って延びる直線部分の中心を通る仮想線として推定部によって推定される。配筋1における各鉄筋の検知は、例えば、機械学習による形状検出アルゴリズムを用いて実行する。このアルゴリズムは、人間がタグ付けした教師データを用いて学習を行い、配筋画像の中の鉄筋の位置を検知するAI(artificial intelligence)を用いることができる。
【0048】
マッチング工程(S23):三次元配筋データ作成部22のマッチング部は、ステレオカメラ15で撮影された各組の配筋画像上の特徴点群同士をマッチングすることにより、各組の配筋画像間で対応する対応点群を検出する。検出された対応する特徴点群により、各組の配筋画像における鉄筋の対応関係を特定できる。そして、各配筋画像における第1配筋ライン41、第2配筋ライン42及び第3配筋ライン43が推定されていれば、これらの配筋ラインを配筋画像の各組ごとにマッチングさせることができる。
【0049】
計算工程(S25):三次元配筋データ作成部22の三次元座標計算部は、第1配筋ライン41、第2配筋ライン42及び第3配筋ライン43の三次元座標を計算する。三次元座標は、各組の配筋画像同士を比較して三角測量することで各配筋ラインの三次元座標を計算することができる。各配筋ラインは三次元座標が算出された特徴点を複数含むため、これらの特徴点の三次元座標に基づいて、各配筋ラインの三次元座標が算出される。
【0050】
合成工程(S27):三次元配筋データ作成部22の合成処理部は、三次元座標計算部で得られた各配筋ラインの三次元座標に基づいて、基準三次元座標系に全ての配筋ラインを配置して三次元配筋データ40を合成する。
【0051】
グループ化工程(S30):図6に示すように、グループ化部23は、三次元配筋データに対して1つの仮想平面(例えば水平面45)を設定し、仮想平面(例えば水平面45)から所定の範囲内に位置し、かつ仮想平面(例えば水平面45)内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41を三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47としてグループ化するグループ化工程(S30)を実行する。また、グループ化工程(S30)は、三次元配筋データに対して既に設定された仮想平面(例えば上から1段目の水平面45)とは異なる相対位置にある複数の仮想平面(例えば上から2段目~5段目の水平面45)を用いて複数回実行されて既に得られた第1配筋グループ47(例えば上から1段目)とは異なる複数の第1配筋グループ47(例えば上から2段目~5段目)を得る工程であってもよい。図2の例であれば、Z軸に平行な第1方向に沿って延びる第1配筋ライン41は、5つの水平面(Z-X面)について上から順にグループ化して5つの第1配筋グループ47を得ることができる。グループ化工程(S30)は、第1実施形態~第4実施形態を用いて詳細に説明する。
【0052】
本実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法によれば、グループ化することで配筋1の立体的な配置に関する計測や評価をすることができる。また、グループ化することで配筋1の幅や高さを計測でき、例えば第1配筋ライン41の一部が欠損した部分も推定しやすく計測が可能となる。
【0053】
2.1.第1実施形態
図1図5図7を用いて、第1実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法のグループ化工程(S30)について説明する。図5は第1実施形態に係るグループ化工程(S30)のフローチャートであり、図6は第1実施形態に係るグループ化工程(S30)を説明する模式図であり、図7は表示部38に表示された画像50の一例である。
【0054】
図5に示すように、第1実施形態に係るグループ化工程(S30)は、S31~S35を含み、S36及びS37を含むことができる。グループ化部23がS31~S36の各工程を実行し、出力部25がS37の工程を実行する。第1実施形態に係るグループ化工程(S30)は、配筋1が梁構造の一部を構成する場合に適用することができる。グループ化工程(S30)に先立って三次元配筋データ40の基準三次元座標系のX-Z面が施工現場の地面に平行となるように補正することが好ましい。
【0055】
S31及びS32:グループ化部23は、図6の上段に示す梁構造に基づく三次元配筋データ40に対して仮想平面として1つの水平面45を設定し、設定された水平面45から所定の範囲内に位置し、かつ水平面45内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41を三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47としてグループ化する工程(S31)を実行する。水平面45は網掛け処理で示すX-Z面に平行な仮想平面である。水平面45の設定は、グループ化部23が記憶部37に保存された設計情報に基づいて略水平方向に延びる主筋または腹筋の位置に合わせて三次元配筋データ40に対
して行われる。配筋は施工誤差により水平方向あるいは鉛直方向から若干ずれた鉄筋を含むため、「略水平方向」あるいは「略鉛直方向」とする。グループ化を一番上の水平面45から実行すると、まず上端筋に対応する4本の第1配筋ライン41を含む第1配筋グループ47がグループ化される。第1配筋ライン41は、主筋に対応する。第1配筋ライン41と水平面45とはグループ化部23によって「所定の範囲内に位置する」と認められる距離内にあり、第1配筋ライン41は第1方向に沿っていると認められる範囲内にあるものだけがグループ化される。
【0056】
次に、図5に示すように、グループ化部23は、S31が予め設定された所定回数を繰り返したか判定(S32)し、その判定結果に基づいて、グループ化する工程(S31)を複数の仮想平面である水平面45を用いて複数回実行して複数の第1配筋グループ47を得る。所定回数は、設計情報の主筋及び腹筋のY軸方向の段数に基づいて設定され、図6ではY軸方向に5段が設定される。最初のS31で一番上の水平面45についてグループ化が実行されたので、例えば、下方に向かって一番下まで各水平面45についてグループ化が実行される。第1配筋グループ47は、上から主筋に対応する4本、2本、腹筋に対応する2本、及び主筋に対応する2本、5本の第1配筋ライン41がグループ化される。
【0057】
S33:グループ化部23は、第1配筋グループ47を除いた図6の中段に示す三次元配筋データ40に対して、腹筋に対応する第1配筋ライン41の水平面45から所定の範囲内に位置し、かつ第1方向に直交する第2方向に沿って延びる幅止め筋に対応する複数の第2配筋ライン42を1つの第2配筋グループ48としてグループ化する工程(S33)を実行する。第2配筋ライン42はX軸に沿った方向である。第2配筋ライン42を特定するために第1配筋ライン41を利用するため、S31において「所定の範囲」にあると認められる距離よりも例えば腹筋の半径分さらに長い距離が「所定の範囲」に設定される。第2配筋グループ48は3本の第2配筋ライン42を含む。幅止め筋がY軸方向に複数段ある場合にはS32と同様にS33を複数回実行してもよい。
【0058】
S34及びS35:グループ化部23は、第1、第2配筋グループ47,48を除いた図6の下段に示す三次元配筋データ40に対して1つの仮想平面である鉛直面46を設定し、鉛直面46から所定の範囲内に位置し、かつ第1方向及び第2方向に直交する第3方向に沿って延びるSTP筋に対応する複数の第3配筋ライン43を1つの第3配筋グループ49としてグループ化する工程(S34)を実行する。鉛直面46は網掛け処理で示すY-Z面に平行な仮想面である。鉛直面46は、S31と同様に設計情報に基づいて設定されてもよいし、残された第3配筋ライン43に対し平面推定処理を行って鉛直面46を設定してもよい。平面推定処理は、基準三次元座標系において最も多くの第3配筋ライン43がグループ化できそうな仮想平面、すなわち第3配筋ライン43が所定の範囲内に位置する仮想平面を推定する処理である。平面推定処理は、公知のアルゴリズム、例えばRANSAC(RANdom SAmple Consensus)アルゴリズムを利用して推定することができる。第3方向はY軸に沿った方向である。
【0059】
次に、グループ化部23は、S34が予め設定された所定回数を繰り返したか判定(S35)し、その判定結果に基づいて、グループ化する工程(S34)を他の仮想平面である鉛直面46を用いて複数回実行して複数の第3配筋グループ49を得ることができる。図6の下段の例では、S34は2度繰り返されて2つの鉛直面46を推定し、各鉛直面46における2組の第3配筋グループ49を得ることができる。ここでは略鉛直方向に延びるSTP筋の部分に対応する第3配筋ライン43を用いたが、上面及び/または下面にある略水平方向に延びるSTP筋の部分に対応する第3配筋ライン43を用いて配筋グループを作成してもよい。上面及び下面の配筋グループを用いれば、後述する間隔D1の計測に用いることができる。
【0060】
S36:計測部24は、表示データを作成する工程(S36)を実行する。計測部24は、例えば、複数の第1配筋グループ47の中から最も離れた位置にある2つのグループ(例えば上端筋と下端筋に対応する)を選択し、当該2つのグループの間隔を計測し、計測された間隔と配筋に用いられている鉄筋径とに基づいて配筋の全高または全幅を推定し、配筋の設計情報と、推定された全高または全幅とを表示するための第1表示データを作成する工程を実行する。図6の上段における配筋の全高の推定は、計測部24が最も離れた位置にある2つの第1配筋グループ47に対応する一番上の段の水平面45と一番下の段の水平面45との間隔D1を計測し、さらに計測部24が計測された間隔D1に設計情報から得た主筋の直径とSTP筋の直径の2倍とを加算することで実行する。配筋の全幅の推定は、計測部24が各段の水平面45における右端と左端の第1配筋ライン41の間隔D2を計測し、さらに計測部24が計測された間隔D2に設計情報から得た主筋の直径とSTP筋の直径の2倍とを加算することで実行できる。また、図6の下段において2つの第3配筋グループ49の間隔を計測して配筋の全幅にSTP筋の直径を加算することで推定してもよい。このように配筋ラインをグループ化することにより、立体的な鉄筋の配置を計測することができる。
【0061】
また、計測部24は、例えば、各第1配筋グループ47に含まれる第1配筋ライン41の数を計測し、配筋の設計情報と、第1配筋グループ47に含まれる第1配筋ライン41の数とを表示するための第2表示データを作成する工程を実行する。複数ある第1配筋グループ47のそれぞれに含まれる第1配筋ライン41の数を計測することで、第2表示データにおける設計情報と比較しやすい。計測部24は、第2配筋グループ48及び第3配筋グループ49についても同様の処理を実行できる。なお、第1表示データと第2表示データとをまとめた表示データとしてもよい。
【0062】
また、計測部24は、1つの第3配筋グループ49における隣り合う第3配筋ライン43(例えば端部)の間隔を計測することができる。そして、記憶部37に保存された設計情報の許容値に基づいて判定を行い、例えば許容値を超える間隔にはエラーフラグを付与した表示データを作成してもよい。計測部24は、配筋に含まれる鉄筋径を計測し、鉄筋径を含む表示データを作成する工程を実行してもよい。
【0063】
S37:出力部25は、計測部24で作成した表示データを表示部38へ出力する。図7に示すように、表示部38は、出力部25から出力された表示データに基づいて例えば液晶画面に画像50を表示する。図7に明示するように画像50は、例えば設計情報51と計測部24で計測した各種寸法の計測結果52とが含まれる。設計情報51は、例えば設計断面図、配筋寸法、上端筋の本数及び寸法、下端筋の本数及び寸法、STP筋の寸法、腹筋の本数及び寸法、幅止め筋の寸法等が含まれる。計測結果52は、例えば設計断面図に対応する配筋ラインに基づく計測断面図、設計情報51の寸法に対応する計測した寸法等が含まれる。設計情報51と計測結果52とを並べて表示することにより、検査結果を把握しやすい。配筋検査においては、図7のように配筋の全高及び全幅や鉄筋の本数等を記載して報告することがあるため、グループ化して配筋の全高及び全幅を計測した結果や配筋グループごとに鉄筋の本数を表示することが好ましい。
【0064】
2.2.第2実施形態
図1図8及び図9を用いて、第2実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法のグループ化工程(S30)について説明する。図8は第2実施形態に係るグループ化工程(S30)のフローチャートであり、図9は第2実施形態に係るグループ化工程(S30)を説明する模式図である。
【0065】
図8に示すように、第2実施形態に係るグループ化工程(S30)は、S41~S43
を含み、S44及びS37を含んでもよい。グループ化部23がS41~S44の各工程を実行し、出力部25がS37の工程を実行する。第2実施形態に係るグループ化工程(S30)は、配筋1が柱構造の一部を構成する場合に適用することができる。グループ化工程(S30)に先立って三次元配筋データ40の基準三次元座標系のX-Z面が施工現場の地面に平行となるように補正することが好ましい。
【0066】
S41:グループ化部23は、図9の左下に示すように、略鉛直方向(Y軸に沿った方向)に延びる主筋に対応する複数の第2配筋ライン42aを第2配筋グループ48aとしてグループ化する工程(S41)を実行する。柱構造において主筋は略鉛直方向に延在するため、三次元配筋データ40の中から略鉛直方向に延在する配筋ラインを第2配筋ライン42として推定してグループ化できる。図9の第2配筋グループ48aは8本の第2配筋ライン42aがグループ化されている。
【0067】
S42及びS43:グループ化部23は、第2配筋グループ48aを除いた図9の右下に示す三次元配筋データ40に対して仮想平面として少なくとも1つの鉛直面46を設定し、鉛直面46から所定の範囲内に位置し、かつ鉛直面46内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41aを三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47aとしてグループ化する工程(S42)を実行する。鉛直面46の設定は、S31と同様に設計情報に基づいて設定してもよいし、上述のRANSACアルゴリズム等の平面推定処理を行ってもよい。第1配筋ライン41aは、帯筋に対応する。第1配筋ライン41aと鉛直面46とはグループ化部23によって「所定の範囲」にあると認められる距離内にあり、第1配筋ライン41aは第1方向(Z軸に沿った方向)に沿っていると認められる範囲内にあるものだけがグループ化される。
【0068】
次に、図8に示すように、グループ化部23は、S42が予め設定された所定回数を繰り返したか判定(S43)し、その判定結果に基づいて、グループ化する工程(S42)を複数の仮想平面である鉛直面46を用いて複数回実行して複数の第1配筋グループ47aを得る。所定回数は、例えば設計情報の柱構造の側面の数に基づいて設定され、図8では4回に設定される。図9では前後の鉛直面46を省略して示すが、4つの第1配筋グループ47aは、それぞれ略水平方向に延びる第1配筋ライン41aが8本グループ化される。
【0069】
S44:計測部24は、表示データを作成する工程(S44)を実行する。計測部24は、S36と同様に、複数の第1配筋グループ47aにおける2つのグループの間隔D1を計測し、計測された間隔D1と鉄筋径とに基づいて配筋の全幅を推定し、配筋の設計情報と、推定された全幅とを表示するための表示データを作成する工程を実行することができる。計測部24は、例えば、第1配筋グループ47aにおける隣り合う第1配筋ライン41a(例えば端部)の間隔を計測することができる。そして、計測した間隔について記憶部37に保存された設計情報の許容値に基づいて判定を行い、例えば許容値を超える間隔にはエラーフラグを付与した表示データを作成してもよい。計測部24は、配筋に含まれる鉄筋径を計測し、鉄筋径を含む表示データを作成する工程を実行してもよい。このように配筋ラインをグループ化することにより、立体的な多段筋を含む柱構造における鉄筋の配置を計測することができる。
【0070】
また、計測部24は、例えば、各第1配筋グループ47aに含まれる第1配筋ライン41aの数を計測し、配筋の設計情報と、第1配筋グループ47aに含まれる第1配筋ライン41aの数とを表示するための表示データを作成する工程を実行する。
【0071】
また、計測部24は、例えば、第2配筋グループ48aの第2配筋ライン42aに囲まれたY軸に沿ってみた状態で略矩形状となる仮想矩形60を作成し、仮想矩形60の各頂
点付近にある第2配筋ライン42aの間隔を計測する。仮想矩形60の作成に際しては、例えば、第2配筋グループ48aのY軸に沿ってみた状態で外周面となる4枚の仮想平面を作成して、X-Z面内でそれら4枚の仮想平面に囲まれた領域を仮想矩形60としてもよい。計測部24は、これらの間隔に主筋の直径と帯筋の2倍とを加算して柱構造の配筋の全幅を推定することができる。
【0072】
S37:出力部25は、計測部24で作成した表示データを表示部38へ出力する。表示部38は、第1実施形態と同様に図7のように出力部25から出力された表示データに基づいて設計情報51と計測結果52等を表示する。
【0073】
2.3.第3実施形態
図1図10及び図11を用いて、第3実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法のグループ化工程(S30)について説明する。図10は第3実施形態及び第4実施形態に係るグループ化工程(S30)のフローチャートであり、図11は第3実施形態に係るグループ化工程(S30)を説明する模式図である。
【0074】
図10に示すように、第3実施形態に係るグループ化工程(S30)は、S51~S54を含み、S55及びS37を含んでもよい。グループ化部23がS51~S55の各工程を実行し、出力部25がS37の工程を実行する。第3実施形態に係るグループ化工程(S30)は、配筋1が壁構造の一部を構成する場合に適用することができる。グループ化工程(S30)に先立って三次元配筋データ40の基準三次元座標系のX-Z面が施工現場の地面に平行となるように補正することが好ましい。
【0075】
S51及びS52:グループ化部23は、図11の上段に示す壁構造に基づく三次元配筋データ40に対して1つの仮想平面として鉛直面46を設定し、設定された鉛直面46から所定の範囲内に位置し、かつ鉛直面46内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41bを三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47bとしてグループ化する工程(S51)を実行する。鉛直面46は網掛け処理で示すX-Y面に平行な仮想平面である。鉛直面46の設定は、S31と同様に設計情報に基づいて設定してもよいし、上述のRANSACアルゴリズム等の平面推定処理を行ってもよい。第1配筋ライン41bは、略鉛直方向に延びる縦筋に対応する。第1配筋ライン41bと鉛直面46とはグループ化部23によって「所定の範囲」にあると認められる距離内にあり、第1配筋ライン41bは第1方向(Y軸に沿った方向)に沿っていると認められる範囲内にあるものだけがグループ化される。
【0076】
次に、図10に示すように、グループ化部23は、S51が予め設定された所定回数を繰り返したか判定(S52)し、その判定結果に基づいて、グループ化する工程(S51)を他の仮想平面である鉛直面46を用いて複数回実行して複数の第1配筋グループ47bを得る。所定回数は、設計情報の壁構造に基づいて設定され、図10では2回に設定される。図11左下に示すように、左右2段の第1配筋グループ47bは、それぞれ略鉛直方向に延びる第1配筋ライン41bが9本グループ化される。
【0077】
S53及びS54:グループ化部23は、S51で設定した縦筋の第1配筋ライン41bと同じ鉛直面46から所定の範囲内に位置し、かつ略水平方向に延びる横筋に対応する複数の第2配筋ライン42bを第2配筋グループ48bとしてグループ化する工程(S53)を実行する。S53及びS54をS51及びS52と入れ替えて、先に横筋をグループ化した後に縦筋をグループ化してもよい。
【0078】
次に、図10に示すように、グループ化部23は、S53が予め設定された所定回数を繰り返したか判定(S54)し、その判定結果に基づいて、グループ化する工程(S53
)を他の鉛直面46を用いて複数回実行して複数の第2配筋グループ48bを得る。所定回数は、設計情報の壁構造に基づいて設定され、図10では2回に設定される。左右2段の第2配筋グループ48bは、それぞれ略水平方向に延びる第2配筋ライン42bが8本グループ化される。
【0079】
S55:計測部24は、表示データを作成する工程(S55)を実行する。計測部24は、S36と同様に、複数の第1配筋グループ47bにおける2つのグループの間隔D1を計測し、計測された間隔D1と鉄筋径とに基づいて配筋の全幅を推定し、配筋の設計情報と、推定された全幅とを表示するための表示データを作成する工程を実行することができる。また、計測部24は、例えば、第1配筋グループ47bにおける隣り合う第1配筋ライン41b(例えば長手方向の中心点)の間隔を計測することができる。そして、計測した間隔について記憶部37に保存された設計情報の許容値に基づいて判定を行い、例えば許容値を超える間隔にはエラーフラグを付与した表示データを作成してもよい。計測部24は、配筋に含まれる鉄筋径を計測し、鉄筋径を含む表示データを作成する工程を実行してもよい。このように配筋ラインをグループ化することにより、立体的な壁構造における鉄筋の配置を計測することができる。
【0080】
また、計測部24は、例えば、第1配筋グループ47b及び第2配筋グループ48bに含まれる第1配筋ライン41b及び第2配筋ライン42bの数を計測し、配筋の設計情報と、第1配筋グループ47bに含まれる第1配筋ライン41b及び第2配筋ライン42bの数とを表示するための表示データを作成する工程を実行する。
【0081】
S37:出力部25は、計測部24で作成した表示データを表示部38へ出力する。表示部38は、第1実施形態と同様に図7のように出力部25から出力された表示データに基づいて設計情報51と計測結果52等を表示する。
【0082】
2.4.第4実施形態
図1図10及び図12を用いて、第4実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法のグループ化工程(S30)について説明する。図12は第4実施形態に係るグループ化工程(S30)を説明する模式図である。
【0083】
図10に示すように、第4実施形態に係るグループ化工程(S30)は、第3実施形態と同じである。第4実施形態に係るグループ化工程(S30)は、配筋1が床構造の一部を構成する場合に適用することができる。
【0084】
S51及びS52:グループ化部23は、図12の上段に示す床構造に基づく三次元配筋データ40に対して1つの仮想平面として水平面45を設定し、設定された水平面45から所定の範囲内に位置し、かつ水平面45内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ライン41cを三次元配筋データ40の中から1つの第1配筋グループ47cとしてグループ化する工程(S51)を実行する。水平面45の設定は、S31と同様に設計情報に基づいて設定してもよいし、上述のRANSACアルゴリズム等の平面推定処理を行ってもよい。最外側にある第1配筋ライン41cは、床構造の主筋に対応する。第1配筋ライン41cと水平面45とはグループ化部23によって「所定の範囲」にあると認められる距離内にあり、第1配筋ライン41cは第1方向(例えばZ軸に沿った方向)に沿っていると認められる範囲内にあるものだけがグループ化される。
【0085】
次に、第3実施形態と同様にS52を実行し、S51を所定回数繰り返す。所定回数は、設計情報の床の配筋構造に基づいて設定され、例えば2回に設定される。図12左下に示すように、上下2段の第1配筋グループ47cは、それぞれZ軸に沿った方向に延びる第1配筋ライン41cが8本グループ化される。
【0086】
S53及びS54:グループ化部23は、S51で設定した主筋と同じ水平面45から所定の範囲内に位置し、かつ第1方向に直交する第2方向に沿って延びる配力筋に対応する複数の第2配筋ライン42cを第2配筋グループ48cとしてグループ化する工程(S53)を実行する。S53及びS54をS51及びS52と入れ替えて、先に配力筋をグループ化した後に主筋をグループ化してもよい。
【0087】
次に、図10に示すように、グループ化部23は、S53が予め設定された所定回数を繰り返したか判定(S54)し、その判定結果に基づいて、グループ化する工程(S53)を他の鉛直面46を用いて複数回実行して複数の第2配筋グループ48cを得る。所定回数は、設計情報の床の配筋構造に基づいて設定され、図10では2回に設定される。上下2段の第2配筋グループ48cは、それぞれX軸に沿った方向に延びる第2配筋ライン42cが9本グループ化される。
【0088】
S55:計測部24は、表示データを作成する工程(S55)を実行する。計測部24は、第3実施形態のS55における縦筋を主筋に横筋を配力筋に置き換えて同様に実行できる。
【0089】
S37:出力部25は、計測部24で作成した表示データを表示部38へ出力する。表示部38は、第1実施形態と同様に図7のように出力部25から出力された表示データに基づいて設計情報51と計測結果52等を表示する。S51では主筋を第1配筋ライン41cとしたが、これに限らず配力筋を第1配筋ライン41cとしてもよい。主筋と配力筋の配置は構造設計の指定により異なるため、設計情報51と比較することにより、主筋を第1配筋ライン41cとするか配力筋を第1配筋ライン41cとするかについて計測部24が自動的にあるいは操作者が逐次確認することが好ましい。
【0090】
第1実施形態~第4実施形態に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法によれば、配筋を計測する際の作業性に優れると共に、配筋ラインをグループ化することで立体的な鉄筋の配置を計測することができる。
【0091】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0092】
1…配筋、1a…主筋、1b…スターラップ筋(STP筋)、1c…腹筋、1d…幅止め筋、10…配筋計測装置、11…本体、15…ステレオカメラ、20…演算部、21…画像取得部、22…三次元配筋データ作成部、23…グループ化部、24…計測部、25…出力部、37…記憶部、38…表示部、40…三次元配筋データ、41,41a,41b,41c…第1配筋ライン、42,42a,42b,42c…第2配筋ライン、43…第3配筋ライン、45…水平面、46…鉛直面、47,47a,47b,47c…第1配筋グループ、48,48a,48b,48c…第2配筋グループ、49…第3配筋グループ、50…画像、51…設計情報、52…計測結果、60…仮想矩形、d,D1,D2…間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラで同時に撮影して得られる一組の配筋画像を複数組取得する工程と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する工程と、
前記三次元配筋データに対して設計情報に基づく位置に水平面または鉛直面の1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化する工程と、
を含み、
前記配筋ラインは、前記配筋画像における各鉄筋に沿って延びる仮想線であり、前記鉄筋上に重なるようにそれぞれ推定される、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記グループ化する工程は、前記三次元配筋データに対して前記仮想平面とは異なる相対位置にある複数の仮想平面を用いて複数回実行されて前記第1配筋グループとは異なる複数の第1配筋グループを得る、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、梁構造の一部を構成し、
前記複数の仮想平面は、それぞれ水平面であり、
前記第1配筋ラインは、主筋及び腹筋に対応し、
前記腹筋に対応する前記第1配筋ラインの水平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる幅止め筋に対応する複数の第2配筋ラインを1つの第2配筋グループとしてグループ化する工程と、
前記三次元配筋データに対して鉛直面を設定し、前記鉛直面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向に沿って延びるスターラップ筋に対応する複数の第3配筋ラインを1つの第3配筋グループとしてグループ化する工程と、
をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、柱構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、鉛直面であり、
前記第1配筋ラインは、帯筋に対応し、
略鉛直方向に延びる主筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、壁構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、鉛直面であり、
前記第1配筋ラインは、略鉛直方向に延びる縦筋に対応し、
前記縦筋と同じ前記鉛直面から所定の範囲内に位置し、かつ略水平方向に延びる横筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項6】
請求項1または請求項2において、
前記配筋画像における配筋は、床構造の一部を構成し、
前記仮想平面は、水平面であり、
前記第1配筋ラインは、主筋に対応し、
前記主筋と同じ前記水平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記第1方向に直交する第2方向に沿って延びる配力筋に対応する複数の第2配筋ラインを第2配筋グループとしてグループ化する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項7】
請求項2において、
前記複数の第1配筋グループの中から最も離れた位置にある2つのグループを選択し、
前記2つのグループの間隔を計測し、
計測された前記間隔と前記配筋画像における配筋に用いられている鉄筋径とに基づいて前記配筋の全高または全幅を推定し、
前記配筋の設計情報と、推定された前記全高または前記全幅とを表示するための第1表示データを作成する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項8】
請求項1~請求項3のいずれか一項において、
前記配筋の設計情報と、前記第1配筋グループに含まれる前記配筋ラインの数とを表示するための第2表示データを作成する工程をさらに含む、配筋計測用の三次元配筋データ作成方法。
【請求項9】
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラと、
前記2つの単眼カメラで撮影された一組の配筋画像を複数組取得する画像取得部と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の第1配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する三次元配筋データ作成部と、
前記三次元配筋データに対して設計情報に基づく位置に水平面または鉛直面の1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化するグループ化部と、
前記第1配筋グループを用いて各種寸法を計測する計測部と、
前記配筋画像における配筋の設計情報と前記各種寸法とを表示する表示部と、
を備え
前記配筋ラインは、前記配筋画像における各鉄筋に沿って延びる仮想線であり、前記鉄筋上に重なるようにそれぞれ推定される、配筋計測装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
[1]本発明に係る配筋計測用の三次元配筋データ作成方法の一態様は、
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラで同時に撮影して得られる一組の配筋画像を複数組取得する工程と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する工程と、
前記三次元配筋データに対して設計情報に基づく位置に水平面または鉛直面の1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化する工程と、
を含み、
前記配筋ラインは、前記配筋画像における各鉄筋に沿って延びる仮想線であり、前記鉄筋上に重なるようにそれぞれ推定されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
[9]本発明に係る配筋計測装置の一態様は、
所定間隔で配置された少なくとも2つの単眼カメラと、
前記2つの単眼カメラで撮影された一組の配筋画像を複数組取得する画像取得部と、
前記配筋画像に基づいて、基準三次元座標系に複数の配筋ラインが配置された三次元配筋データを作成する三次元配筋データ作成部と、
前記三次元配筋データに対して設計情報に基づく位置に水平面または鉛直面の1つの仮想平面を設定し、前記仮想平面から所定の範囲内に位置し、かつ前記仮想平面内の第1方向に沿って延びる複数の第1配筋ラインを前記三次元配筋データの中から1つの第1配筋グループとしてグループ化するグループ化部と、
前記第1配筋グループを用いて各種寸法を計測する計測部と、
前記配筋画像における配筋の設計情報と前記各種寸法とを表示する表示部と、
を備え
前記配筋ラインは、前記配筋画像における各鉄筋に沿って延びる仮想線であり、前記鉄筋上に重なるようにそれぞれ推定されることを特徴とする。