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特開2023-157220フィルム包装機およびフィルム包装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157220
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】フィルム包装機およびフィルム包装方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 11/04 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
B65B11/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066986
(22)【出願日】2022-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・販売日:令和3年7月30日
(71)【出願人】
【識別番号】591005637
【氏名又は名称】山川エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】石橋 邦弘
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA08
3E051AB09
3E051BA12
3E051CA02
3E051EA01
3E051EB09
3E051FA01
3E051FA06
3E051FA08
3E051KA03
3E051KB01
3E051LA02
3E051LA08
3E051LB04
(57)【要約】
【課題】複数の荷物が上下方向に積層された被包装物積層体を包装する場合であっても、荷崩れを起こすことなく各々の荷物をまとめて包装できるフィルム包装機およびフィルム包装方法を提供する。
【解決手段】
ステップS3において、包装用フィルムFを被包装物積層体Pの側面に供給させながらキャリッジ9を上昇させるとともにターンテーブル5を回転させ、包装用フィルムFを上向きの螺旋状に被包装物積層体Pの側面に巻き付ける。ステップS4では被包装物積層体Pより高い所定位置Htまでキャリッジ9を上昇させた状態で包装用フィルムFを供給し、被包装物積層体Pの上面の少なくとも一部を包装用フィルムFで覆わせる。ステップS5では所定位置Htからキャリッジ9を下降させつつターンテーブル5を回転させることによって、包装用フィルムFを下向きの螺旋状に被包装物積層体Pの側面に巻き付ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を載置させるターンテーブルと、
前記ターンテーブルから所定距離だけ離れた位置に立設される支柱と、
前記支柱に沿って昇降移動可能に構成され、帯状の包装用フィルムをロール状に巻いた原反ロールを回転自在に保持するロール保持機構、および前記原反ロールから繰り出される前記包装用フィルムを前記ターンテーブルに載置された前記被包装物に接近させるガイド機構を備えるフィルム供給機構と、
前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を統括制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記包装用フィルムを前記被包装物の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記ターンテーブルを回転させることにより、前記被包装物の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムにより覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物の側面に巻き付ける第3ステップと、
をその順に実行するように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御する
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム包装機において、
前記被包装物は、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体であり、
前記制御部は、前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムが前記被包装物積層体のうち最上段に積層された前記荷物の上面を覆うように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御する
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機において、
前記制御部は、前記第1ステップないし前記第3ステップを2回以上繰り返すように構成され、
水平方向における前記被包装物の一端側の上面が1回目の前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムに覆われ、水平方向における前記被包装物の他端側の上面が2回目以降の前記第2ステップのいずれかにおいて前記包装用フィルムに覆われるように、前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作が制御される
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機において、
前記ターンテーブルの回転角度を随時検知する回転センサを備え、
前記制御部は、前記回転センサが検知する前記ターンテーブルの回転角度に応じて前記フィルム供給機構の上昇速度または前記ターンテーブルの回転速度を制御する
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項5】
支柱に沿って昇降移動可能に構成されたフィルム供給機構から供給された包装用フィルムを用いて、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を包装するフィルム包装方法であって、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物積層体より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることにより、前記被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第3ステップと、
を備えることを特徴とするフィルム包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレット上に積み置かれた段ボール箱などを例とする被包装物にフィルムを例とする帯状の包装材によって包装するためのフィルム包装機およびフィルム包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
品物を入れたコンテナ、段ボール箱、または袋を例とする荷物をパレット上に多数積んで倉庫に保管する場合、当該荷物の荷崩れまたは汚損を防止するために、帯状の包装用フィルムを各々の荷物に巻き付けて包装するようにしている。
【0003】
荷物(被包装物)の各々を包装用フィルムで包装する作業を人力で行う場合、包装作業を行う作業者にとって負担が大きい。また、人力で被包装物を包装するには長い時間を要する。そのため、包装用フィルムを荷物に巻き付ける作業を自動化できるフィルム包装機が提案されている。従来のフィルム包装機は、荷物を載置するためのターンテーブルと、上下方向に延びる支柱と、当該支柱に沿って上下方向に移動可能なキャリッジとを備えている。
【0004】
キャリッジは包装用フィルムを供給するフィルム供給機構であり、帯状の包装用フィルムをロール状に巻いた原反ロールを保持するロール保持部材と、原反ロールから供給される包装用フィルムを荷物の側面に接近させるガイド機構とを備えている。ガイド機構が包装用フィルムを荷物の側面に接近させた状態で当該荷物を載置させるターンテーブルを鉛直軸周りに回転させることで、荷物の側面に包装用フィルムが巻き付けられていくように構成されている。
【0005】
なお上下方向における荷物の長さ(荷物の高さ)が包装用フィルムの幅よりも長い場合、キャリッジを下から上へ(あるいは上から下へ)と移動させつつ荷物の側面に包装用フィルムを供給することにより、包装用フィルムを螺旋状に荷物の側面へ巻き付けて包装する。下から上へ(あるいは上から下へ)と向かう螺旋の形状に包装用フィルムを巻き付けることにより、上下に長い荷物の側面全体を包装できる(例えば、特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2009-126557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来方法では次のような問題がある。すなわち、複数の不揃いの荷物が上下方向に積層された被包装物積層体を包装対象とする場合、包装したにも関わらず被包装物積層体において荷崩れが発生しやすいという問題が懸念される。すなわち被包装物積層体のうち、特に最上段に積まれた荷物が包装用フィルムによって精度良く固定することが困難な場合があり、その結果、当該最上段に積まれた荷物が崩れやすくなると考えられる。
【0008】
被包装物積層体の具体的な例として、比較的大型である第1の荷物の上に、当該第1の荷物に関連する物品が収納されており比較的小型である第2の荷物を搭載させた構成が挙げられる。この場合、第1の荷物に収納されている物品と第2の荷物に収納されている物品は関連性があるため、第1の荷物と第2の荷物とを個別に包装するより、第1の荷物および第2の荷物を纏めて包装することが望ましい。すなわち、第1の荷物の上に第2の荷物を搭載させることによって被包装物積層体を形成させ、当該被包装物積層体を包装用フィルムで包装することが望ましい。しかしながら従来のフィルム包装機では第1の荷物および第2の荷物を纏めて包装する場合、特に上側に積まれている第2の荷物が第1の荷物に比して小型であることから両者間に段差が生じ、第2の荷物を側面より十分に固定することが困難であり、第2の荷物が崩れて落下するという事態が懸念される。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、複数の荷物が上下方向に積層された被包装物積層体を包装する場合であっても、荷崩れを起こすことなく各々の荷物をまとめて包装できるフィルム包装機およびフィルム包装方法を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係るフィルム包装機は、被包装物を載置させるターンテーブルと、
前記ターンテーブルから所定距離だけ離れた位置に立設される支柱と、
前記支柱に沿って昇降移動可能に構成され、帯状の包装用フィルムをロール状に巻いた原反ロールを回転自在に保持するロール保持機構、および前記原反ロールから繰り出される前記包装用フィルムを前記ターンテーブルに載置された前記被包装物に接近させるガイド機構を備えるフィルム供給機構と、
前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を統括制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記包装用フィルムを前記被包装物の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記ターンテーブルを回転させることにより、前記被包装物の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムにより覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物の側面に巻き付ける第3ステップと、
をその順に実行するように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御することを特徴とするものである。
【0011】
(作用・効果)この構成によれば、被包装物を載置させるターンテーブルと包装用フィルムを被包装物に対して供給するフィルム供給機構とを統括制御する制御部は、第1ステップと第2ステップと第3ステップとをその順に実行するようにフィルム供給機構およびターンテーブルの動作を制御する。
【0012】
第1ステップでは被包装物が載置された前記ターンテーブルを回転させるとともに、包装用フィルムを被包装物の側面に供給させながらフィルム供給機構を上昇させることで包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように被包装物の側面に巻き付ける。ターンテーブルを回転させながらフィルム供給機構を上昇させることにより、被包装物の高さが高い場合であっても被包装物の側面全体を包装用フィルムで包装することができる。上向きの螺旋状に巻き付けられた包装用フィルムから被包装物に対して積層体全体に満遍なく中央に向かう方向に力が作用するので、水平方向における被包装物の荷崩れを好適に防止できる。
【0013】
第2ステップでは被包装物より高い所定位置までフィルム供給機構を上昇させた状態でターンテーブルを回転させることにより、被包装物の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆う。第1ステップに続いて第2ステップを行うことにより、被包装物の高さが高い場合であっても、上向きの螺旋状となるように被包装物の側面に巻き付けられた包装用フィルムを連続して被包装物の上面へと案内させることができる。フィルム供給機構を上昇させて包装用フィルムを被包装物の上面へと案内させることにより、被包装物の上面を包装用フィルムで包装できる。
【0014】
第3ステップでは所定位置からフィルム供給機構を下降させることによって、包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように被包装物の側面に巻き付ける。第2ステップに続いて第3ステップを行うことにより、被包装物の上面に巻き付けられた包装用フィルムを連続して被包装物の側面に案内させ、下向きの螺旋状になるように被包装物の側面に巻き付けることができる。また第2ステップに続いて第3ステップを行うことにより、被包装物の上面に巻き付けられた包装用フィルムは下降するフィルム供給機構によって下方に引っ張られる。そのため、被包装物の上面に巻き付けられた包装用フィルムから被包装物に対して、下向きの力が作用する。従って、被包装物の高さが高い場合であっても包装用フィルムによって上下方向に固定する力が作用するので、上下方向における被包装物の荷崩れについても確実に防止することができる。すなわち、被包装物における水平方向の荷崩れと上下方向の荷崩れとのいずれについても好適に防止できる。
【0015】
また、上述した発明において、前記被包装物は、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体であり、前記制御部は、前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムが前記被包装物積層体のうち最上段に積層された前記荷物の上面を覆うように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御することが好ましい。
【0016】
(作用・効果)この構成によれば、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を包装用フィルムによる包装対象としており、第2ステップにおいて包装用フィルムが被包装物積層体のうち最上段に積層された荷物の上面を覆うようにフィルム供給機構およびターンテーブルの動作を制御する。第1ステップ、第2ステップ、および第3ステップを順に実行することによって、被包装物積層体の側面は包装用フィルムによって上向き螺旋状および下向き螺旋状に巻き付けられる。すなわち被包装物積層体を構成する多段に積層された複数の荷物は一体となって水平方向および鉛直方向の各々に固定されるので、複数の荷物が上下に積層されている被包装物積層体において、下段の荷物と上段の荷物との間に水平方向または上下方向のズレが生じて荷崩れが起こることをより確実に防止できる。
【0017】
また、上述した発明において、前記制御部は、前記第1ステップないし前記第3ステップを2回以上繰り返すように構成され、水平方向における前記被包装物の一端側の上面が1回目の前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムに覆われ、水平方向における前記被包装物の他端側の上面が2回目以降の前記第2ステップのいずれかにおいて前記包装用フィルムに覆われるように、前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作が制御されることが好ましい。
【0018】
(作用・効果)この構成によれば、制御部は第1ステップないし第3ステップを2回以上繰り返すようにフィルム供給機構およびターンテーブルの動作を制御する。そして水平方向における被包装物の一端側の上面が1回目の第2ステップにおいて包装用フィルムに覆われ、水平方向における被包装物の他端側の上面が2回目以降の第2ステップのいずれかにおいて包装用フィルムに覆われる。この場合、被包装物の一端側および被包装物の他端側の両方について、被包装物の上面を包装用フィルムで覆わせるとともに下向きの力を作用させることができる。よって、被包装物の一端側のみに下向きの力が作用することに起因する被包装物の荷崩れを防止できる。
【0019】
また被包装物の上面を覆う過程を複数回に分割することにより、被包装物の上面についてより広い範囲を包装用フィルムで覆いつつ、複数回行われる第2ステップの各々において被包装物の上面を覆う包装用フィルムの長さを短くすることができる。そのため、被包装物の上面全体を1回の第2ステップで覆う場合に比べて、単位面積あたりについて、被包装物の上面に作用する下向きの力の大きさをより大きくすることができる。従って、被包装物の上面を覆う過程を複数回に分割することにより、上下方向に被包装物が荷崩れする事態をより確実に防止できる。
【0020】
また、上述した発明において、前記ターンテーブルの回転角度を随時検知する回転センサを備え、前記制御部は、前記回転センサが検知する前記ターンテーブルの回転角度に応じて前記フィルム供給機構の上昇速度または前記ターンテーブルの回転速度を制御することが好ましい。
【0021】
(作用・効果)この構成によれば、回転センサが検知するターンテーブルの回転角度に応じて、制御部はフィルム供給機構の上昇速度またはターンテーブルの回転速度を制御する。この場合、第2ステップにおいてフィルム供給機構が被包装物より高い所定位置に上昇するタイミングに合わせて、被包装物における所望の位置に包装用フィルムを接触させることができる。特に2回目の第2ステップを行うにあたり、被包装物の上面のうち未だ包装用フィルムによって包装されていない部分に包装用フィルムが接触するよう、被包装物の向きを調整できる。従って、被包装物の上面における同じ位置に重複して包装用フィルムが包装されることに起因して包装効率が低下することを回避できる。
【0022】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、本発明は、
支柱に沿って昇降移動可能に構成されたフィルム供給機構から供給された包装用フィルムを用いて、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を包装するフィルム包装方法であって、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物積層体より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることにより、前記被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第3ステップと、
を備えることを特徴とするものである。
【0023】
(作用・効果)この構成によれば、支柱に沿って昇降移動可能に構成されたフィルム供給機構から供給された包装用フィルムを用いて被包装物積層体を包装する場合について、第1ステップと第2ステップと第3ステップとをその順に実行する。
【0024】
第1ステップでは被包装物積層体とフィルム供給機構とを相対的に回転させるとともに、包装用フィルムを被包装物積層体の側面に供給させながらフィルム供給機構を上昇させることで包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように被包装物積層体の側面に巻き付ける。フィルム供給機構を上昇させることにより、被包装物積層体の高さが高い場合であっても被包装物積層体の側面全体を包装用フィルムで包装することができる。上向きの螺旋状に巻き付けられた包装用フィルムから被包装物積層体に対して中央に向かう方向に力が作用するので、水平方向における荷物の荷崩れを好適に防止できる。
【0025】
第2ステップでは被包装物積層体より高い所定位置までフィルム供給機構を上昇させた状態で被包装物積層体とフィルム供給機構とを相対的に回転させることにより、被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆わせる。第1ステップに続いて第2ステップを行うことにより、被包装物積層体の高さが高い場合であっても、上向きの螺旋状となるように被包装物積層体の側面に巻き付けられた包装用フィルムを連続して被包装物積層体の上面へと案内させることができる。フィルム供給機構を上昇させて包装用フィルムを被包装物積層体の上面へと案内させることにより、被包装物積層体の上面を包装用フィルムで包装できる。
【0026】
第3ステップでは所定位置からフィルム供給機構を下降させることによって、包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように被包装物積層体の側面に巻き付ける。第2ステップに続いて第3ステップを行うことにより、被包装物積層体の上面に巻き付けられた包装用フィルムを連続して被包装物積層体の側面に案内させ、下向きの螺旋状になるように被包装物の側面に巻き付けることができる。また第2ステップに続いて第3ステップを行うことにより、被包装物積層体の上面に巻き付けられた包装用フィルムは下降するフィルム供給機構によって下方に引っ張られる。そのため、被包装物積層体の上面に巻き付けられた包装用フィルムから被包装物積層体に対して、下向きの力が作用する。従って、被包装物積層体の高さが高い場合であっても包装用フィルムによって上下方向に固定する力が作用するので、上下方向における荷物の荷崩れについても確実に防止することができる。すなわち、被包装物積層体における水平方向の荷崩れと上下方向の荷崩れとのいずれについても好適に防止できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るフィルム包装機およびフィルム包装方法によれば、被包装物を載置させるターンテーブルと包装用フィルムを被包装物に対して供給するフィルム供給機構とを統括制御する制御部は、第1ステップと第2ステップと第3ステップとをその順に実行するようにフィルム供給機構およびターンテーブルの動作を制御する。
【0028】
第1ステップでは被包装物が載置された前記ターンテーブルを回転させるとともに、包装用フィルムを被包装物の側面に供給させながらフィルム供給機構を上昇させることで包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように被包装物の側面に巻き付ける。ターンテーブルを回転させながらフィルム供給機構を上昇させることにより、被包装物の高さが高い場合であっても被包装物の側面全体を包装用フィルムで包装することができる。上向きの螺旋状に巻き付けられた包装用フィルムから被包装物に対して中央に向かう方向に力が作用するので、水平方向における被包装物の荷崩れを好適に防止できる。
【0029】
第2ステップでは被包装物より高い所定位置までフィルム供給機構を上昇させた状態でターンテーブルを回転させることにより、被包装物の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆わせる。第1ステップに続いて第2ステップを行うことにより、被包装物の高さが高い場合であっても、上向きの螺旋状となるように被包装物の側面に巻き付けられた包装用フィルムを連続して被包装物の上面へと案内させることができる。フィルム供給機構を上昇させて包装用フィルムを被包装物の上面へと案内させることにより、被包装物の上面を包装用フィルムで包装できる。
【0030】
第3ステップでは所定位置からフィルム供給機構を下降させることによって、包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように被包装物の側面に巻き付ける。第2ステップに続いて第3ステップを行うことにより、被包装物の上面に巻き付けられた包装用フィルムを連続して被包装物の側面に案内させ、下向きの螺旋状になるように被包装物の側面に巻き付けることができる。また第2ステップに続いて第3ステップを行うことにより、被包装物の上面に巻き付けられた包装用フィルムは下降するフィルム供給機構によって下方に引っ張られる。そのため、被包装物の上面に巻き付けられた包装用フィルムから被包装物に対して、下向きの力が作用する。従って、被包装物の高さが高い場合であっても包装用フィルムによって上下方向に固定する力が作用するので、上下方向における被包装物の荷崩れについても確実に防止することができる。すなわち、被包装物における水平方向の荷崩れと上下方向の荷崩れとのいずれについても好適に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施例に係るフィルム包装機の概略構成を説明する平面図である。
図2】実施例に係るフィルム包装機の概略構成を説明する正面図である。
図3】実施例に係る被包装物積層体の斜視図である。
図4】実施例に係るフィルム包装機の動作を説明するフローチャートである。
図5】実施例に係るステップS2およびステップS3を説明する平面図である。(a)はステップS2が完了した後、ステップS3を開始する前の状態を示す図であり、(b)はターンテーブルがステップS3の開始後に180°回転した状態を示す図であり、(c)はターンテーブルがステップS3の開始後に360°回転した状態を示す図である。
図6】実施例に係るステップS3を説明する正面図である。
図7】実施例に係るステップS4について開始直後の状態を説明する正面図である。
図8】実施例に係るステップS4について開始直後の状態を説明する、背面方向から見た斜視図である。
図9】実施例に係るステップS4についてターンテーブルを90°回転させて包装を行った状態を説明する正面図である。
図10】実施例に係るステップS4についてターンテーブルを90°回転させて包装を行った状態を説明する、背面方向から見た斜視図である。
図11】実施例に係るステップS5を説明する正面図である。
図12】実施例に係るステップS5を説明する、背面方向から見た斜視図である。
図13】実施例に係るステップS5を説明する正面図である。
図14】実施例において、2回目のステップS3を実行している状態を説明する正面図である。
図15】実施例において、2回目のステップS4を実行している状態を説明する、背面方向から見た斜視図である。
図16】実施例に係るステップS4およびステップS5を説明する縦断面図である。(a)は図10におけるA-A断面図であり、(b)は図12におけるB-B断面図であり、(c)は図15におけるC-C断面図である。
図17】従来例に係る問題点を説明する縦断面図である。(a)は包装対象物の高さが高い場合に包装される範囲を示す図であり、(b)は上部に搭載される物体が小さい場合に包装される範囲を示す図であり、(c)はキャリッジを一方向に移動させつつフィルムを螺旋状に巻き付けた場合に包装される範囲を示す図である。
図18】ステップS3ないしステップS5において包装用フィルムが巻き付けられる軌跡を示す斜視図である。(a)は実施例に係る軌跡を示す図であり、(b)は第2の被包装物の上面の四辺にわたって包装用フィルムを巻き付ける変形例に係る軌跡を示す図であり、(c)は第2の被包装物の角部の一つを横断するように包装用フィルムを巻き付ける変形例に係る軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は実施例に係るフィルム包装機1の平面図であり、図2は実施例に係るフィルム包装機1の正面図である。なお以下の図において、フィルム包装機1の左右方向をx方向とする。さらに、フィルム包装機1の前後方向をy方向とし、フィルム包装機1の上下方向(鉛直方向)をz方向とする。また各図において、フィルム包装機1の正面視の方向を符号Waで示している。
【0033】
本発明に係るフィルム包装機1は、ベース部3と、ターンテーブル5と、支柱7と、キャリッジ9とを備えている。ターンテーブル5はベース部3の一端側に配設されており、支柱7はベース部3の他端側に立設されている。すなわち、支柱7はターンテーブル5から所定距離だけ離れた位置に立設されている。またベース部3の他端側には駆動装置21および操作装置23が配設されている。
【0034】
ターンテーブル5は、フィルム包装機1による包装対象である被包装物積層体Pを載置させるものであり、z方向の軸周りに回転移動可能に構成されている。本実施例において、ターンテーブル5の回転方向は図1などにおいて符号R1を用いて示されている。ターンテーブル5には載置台11と、チャッキング装置13とが配設されている。
【0035】
キャリッジ9は包装用フィルムFを供給するものであり、支柱7に沿って昇降移動可能に構成されている。キャリッジ9は、ロール保持機構15と、延伸機構17と、ガイドローラ19とを備えている。なお図1および図5の各図において、キャリッジ9は横断面図で示されている。キャリッジ9は本発明におけるフィルム供給機構に相当する。
【0036】
載置台11はターンテーブル5の上面に配設されており、載置台11の上に被包装物積層体Pが載置される。本実施例では、被包装物積層体Pと略同じ大きさの平坦なパレット14に搭載された被包装物積層体Pを一例として図1の符号Jで示す方向から搬入し、載置台11の上面に載置させる。載置台11は、ターンテーブル5および被包装物積層体Pの各々と比べて、平面視で小さくなるように構成されている。そのため、被包装物積層体Pとターンテーブル5との間であって載置台11の側面に相当する部分に間隙部12が形成される。すなわち、当該間隙部12にフォークリフトのフォーク部などを挿入することにより、包装用フィルムFで包装された被包装物積層体Pをパレット14ごと搬出できる。
【0037】
チャッキング装置13は、初期状態において載置台11とキャリッジ9との間に配置されている。チャッキング装置13は、ターンテーブル5に載置される被包装物積層体Pに対して進退移動可能に構成される。包装用フィルムFを被包装物積層体Pの側面に案内させた状態でチャッキング装置13が被包装物積層体Pに近接移動することにより、チャッキング装置13は包装用フィルムFを挟んで被包装物積層体Pに当接し、包装用フィルムFの下流側の末端部分は被包装物積層体Pの側面に固定される。チャッキング装置13は本発明におけるフィルム固定機構に相当する。
【0038】
チャッキング装置13は、カッタ案内板18とカッタ20とを備えている。カッタ案内板18はz方向に延伸するように配設されている。カッタ20はカッタ案内板18に沿ってz方向に往復移動可能に構成されており、z方向に移動することによって包装用フィルムFを幅方向に切断する。
【0039】
ロール保持機構15は、供給用ボビンを備えている。当該供給用ボビンは、包装用フィルムFが巻回された原反ロールを装填できるように構成されている。包装用フィルムFは、ロール保持機構15に配設されている供給用ボビンから繰り出される。包装用フィルムFが繰り出される方向は、各図において符号Taを用いて示されている。ロール保持機構15に設けられている供給用ボビンは、図示しない電磁ブレーキに連動連結されて適度の回転抵抗がかけられている。したがって、供給用ボビンから過剰な包装用フィルムFの繰り出しが防止されている。
【0040】
延伸機構17は包装用フィルムFを繰り出し方向Taおよび幅方向の各々に延伸させるものであり、一例として隣り合う一対の延伸ローラ17aおよび17bを備えている。延伸ローラ17aおよび17bの各々は、表面が凹凸面に形成されており各々の軸はz方向に延びている。延伸機構17は、延伸ローラ17aおよび17bの凹凸が互いに入り込むように構成されている。包装用フィルムFは、繰り出し方向Taおよび幅方向の各々に延伸するフィルム状の材料で構成されることが好ましく、包装用フィルムFの好ましい材料として、ポリエチレンフィルムなどが挙げられる。
【0041】
包装用フィルムFの繰り出し方向Taにおける下流側に位置する延伸ローラ17bの上端には図示しない電動モータが連動連結されている。また、延伸ローラ17aおよび17bの下端側同士が、図示しないチェーン式減速機構を介して所定の減速比で包装用フィルムFの供給方向上流側の回転が遅くなるように連動連結されている。このような構成により、ロール保持機構15から繰り出された包装用フィルムFが延伸ローラ17aおよび17bの間を通されるに伴い、当該包装用フィルムFは幅方向に延伸されるとともに、延伸ローラ17bによって繰り出し方向Taに引っ張られて延伸するように構成されている。
【0042】
ガイドローラ19はキャリッジ9の筐体部9aの外側に配設されている。また、ガイドローラ19の軸がz方向に延びるように、ガイドローラ19は配置されている。キャリッジ9の筐体部9aには開口部Kが設けられており、延伸機構17によって延伸された包装用フィルムFは開口部Kを経由してキャリッジ9の筐体の外部へと案内され、ガイドローラ19に巻回される。
【0043】
ガイドローラ19に巻回された包装用フィルムFは、ターンテーブル5に載置されている被包装物積層体Pへと案内されるように、包装用フィルムFの繰り出し方向Taが調整される。ガイドローラ19に巻回されることによって、包装用フィルムFは繰り出し方向Taにテンションが付与されており、皺が発生しないよう調整されている。ガイドローラ19は、本発明におけるフィルム案内機構に相当する。
【0044】
駆動装置21は、テーブル回転用モータおよびキャリッジ昇降用モータを収納する。テーブル回転用モータの駆動によって、ターンテーブル5はz方向の軸周りに回転移動する。またキャリッジ昇降用モータの駆動によって、キャリッジ9は支柱7に沿って昇降移動を行う。また駆動装置21は、チャッキング装置13の進退移動を行わせる駆動モータ(図示しない)を備えている。
【0045】
操作装置23は、フィルム包装機1の動作に関する操作者の指示内容を入力する操作盤23aを備えている。また操作装置23の内部には、中央処理演算装置(CPU:Central Processing Unit)などの情報処理手段を備えており、各種の演算処理を実行するプロセッサである制御部が収納されている。制御部は、ターンテーブル5およびキャリッジ9を例とするフィルム包装機1の各種構成を統括制御する。
【0046】
<被包装物積層体の構成>
図3は、本実施例においてフィルム包装機1による包装対象となる被包装物積層体Pの構成を示している。被包装物積層体Pは複数の被包装物が上下に積層された構成を有している。具体的には、第1の被包装物Laの上面に第2の被包装物Lbが搭載されており、全体として2段の積層体に相当する構成となっている。
【0047】
第1の被包装物Laは第2の被包装物Lbと比べて大型であり、一例としてコンテナまたは段ボール箱などが挙げられる。本実施例において、第1の被包装物Laはコンテナであるものとする。当該コンテナには、主要かつ大型の物品が収納されている。
【0048】
第2の被包装物Lbは、第1の被包装物Laと比べて小型であり、一例として段ボール箱または収納袋などが挙げられる。本実施例において、第2の被包装物Lbは図3に示すように、前後左右に配設された4つの段ボール箱であるものとする。第2の被包装物Lbを構成する4つの段ボール箱については、段ボール箱Lb1~Lb4として各々を区別する。段ボール箱Lb1~Lb4には、第1の被包装物Laには収納しきれなかった小型の物品が収納されている。第1の被包装物Laおよび第2の被包装物Lbの各々は本発明における荷物に相当する。
【0049】
なお図3は被包装物積層体Pの初期状態における位置を示している。すなわち初期状態において、段ボール箱Lb1は第2の被包装物Lbの左前側に位置しており、段ボール箱Lb2は第2の被包装物Lbの右前側に位置している。段ボール箱Lb3は第2の被包装物Lbの左後側に位置しており、段ボール箱Lb4は第2の被包装物Lbの右後側に位置している。
【0050】
<動作の概要>
ここで、実施例に係るフィルム包装機1の動作を説明する。図4は、フィルム包装機1を用いて包装対象である被包装物積層体Pを包装用フィルムFで包装する一連の過程を説明するフローチャートである。
【0051】
ステップS1(包装対象の搬入)
まず、フォークリフトなどを用いて、パレット14に搭載された状態の被包装物積層体Pをフィルム包装機1に搬入する。フィルム包装機1へ被包装物積層体Pを搬入する方向は図1において符号Jを用いて示されている。パレット14を被包装物積層体Pとともに載置台11に載置させることにより、被包装物積層体Pがフィルム包装機1に搬入される。包装対象である被包装物積層体Pを搬入させるとともに、駆動装置21においてキャリッジ昇降用モータが作動し、キャリッジ9を初期位置Hsへと移動させる。初期位置Hsに位置しているキャリッジ9は図2において実線で示されており、初期位置Hsは支柱7の下部に相当する。またキャリッジ9の初期位置Hsの高さは、被包装物積層体Pのうち最下段に積層されている第1の被包装物Laの下部の高さに相当する。
【0052】
ステップS2(フィルムの案内)
被包装物積層体Pがフィルム包装機1に搬入されると、包装対象物である被包装物積層体Pへ包装用フィルムFを案内させる。包装用フィルムFは、ロール保持機構15から繰り出された後、延伸機構17によって幅方向および繰り出し方向の各々に延伸され、キャリッジ9の開口部Kを経由してガイドローラ19に巻回される。
【0053】
延伸された状態でガイドローラ19に巻回された包装用フィルムFは、図5(a)に示すように繰り出し方向Taへ繰り出されて被包装物積層体Pの側面へ向かって案内される。そして包装用フィルムFの下流側の端部は、被包装物積層体Pの側面とチャッキング機構13との間に案内される。本実施例では、被包装物積層体Pのうち第1の被包装物Laの側面下部へ包装用フィルムFが案内される。
【0054】
被包装物積層体Pの側面へと包装用フィルムFが案内されると、図5(a)に示すように、チャッキング機構13は被包装物積層体Pに向けて近接移動を開始する。チャッキング機構13が近接移動することにより、チャッキング機構13は包装用フィルムFを挟んで被包装物積層体Pの側面に当接する。チャッキング機構13が当接することにより、包装用フィルムFはチャッキング機構13によって被包装物積層体Pの側面に固定される。
【0055】
ステップS3(上昇巻回過程)
チャッキング機構13を用いて包装用フィルムFを被包装物積層体Pの側面に固定させると、ターンテーブル5およびキャリッジ9を作動させ、被包装物積層体Pに包装用フィルムFを巻き付ける操作を開始する。すなわち、キャリッジ9から包装用フィルムFを新たに繰り出し供給させつつ、ターンテーブル5を回転方向R1に回転させる。そしてターンテーブル5の回転と同期的にキャリッジ9の上昇移動を開始させる。
【0056】
図5(b)および図5(c)は、ステップS3におけるフィルム包装機1の平面図を示している。被包装物積層体Pがターンテーブル5とともに回転方向R1に回転することにより、図5(b)および図5(c)に示すように、被包装物積層体Pの回転および包装用フィルムFの繰り出し供給によって、被包装物積層体Pの側面に包装用フィルムFが巻き付けられていく。被包装物積層体Pを一定以上回転させた後、図5(c)に示すようにチャッキング機構13を後退移動させて被包装物積層体Pから離間させる。チャッキング機構13を被包装物積層体Pから離間させることにより、チャッキング機構13による包装用フィルムFの固定が解除される。
【0057】
図6はステップS3におけるフィルム包装機1の正面図を示している。なお図6以降の図面においては説明の便宜上、チャッキング機構13の記載を省略している。ステップS3においてはターンテーブル5を回転方向R1に回転させるとともに、キャリッジ9から包装用フィルムFを繰り出しつつ支柱7に沿ってキャリッジ9を上昇させる。キャリッジ9を上昇させつつ包装用フィルムFを繰り出させることにより、ガイドロール19を経由して被包装物積層体Pの側面へと案内される包装用フィルムFは図6に示すように、被包装物積層体Pからキャリッジ9に向かって斜め上向きとなる。
【0058】
そのため、キャリッジ9を初期位置Hsから上昇させつつ、回転している被包装物積層体Pの側面へ包装用フィルムFを繰り出し供給することにより、包装用フィルムFは上向きの螺旋状となるように被包装物積層体Pの側面に巻き付けられていく。具体的には、第1の被包装物Laの側面下部を始点とする上向きの螺旋状となるように、包装用フィルムFは第1の被包装物Laの側面に巻き付けられていく。なお、包装用フィルムFが上向き螺旋状に巻き付けられていく方向を符号D1で示している。ステップS3の工程、すなわち被包装物積層体Pの側面に対して包装用フィルムFを上向き螺旋状に巻き付ける工程は、本発明における第1ステップに相当する。
【0059】
ステップS4(上面包装過程)
包装用フィルムFを上向きの螺旋状となるように被包装物積層体Pの側面に巻き付けて包装するステップS3の工程に続いて、被包装物積層体Pの上面を包装用フィルムFで包装する工程を行う。すなわちターンテーブル5の回転を続けるとともに、包装用フィルムFを繰り出しつつキャリッジ9をさらに上昇させ、図7において符号Htで示されている所定の位置まで移動させる。所定位置Htは被包装物積層体Pの高さより高い位置である。また、キャリッジ9が所定位置Htへ移動した状態で包装用フィルムFを繰り出し供給した場合、包装用フィルムFの少なくとも一部が被包装物積層体Pの上面に供給されるように、所定位置Htの高さが予め定められる。
【0060】
キャリッジ9が所定位置Htまで上昇するとキャリッジ9の昇降移動を中断させる。そしてターンテーブル5の回転を続行させつつ、所定位置Htに位置しているキャリッジ9から包装用フィルムFを繰り出し供給させる。所定位置Htから包装用フィルムFを繰り出し供給を続けることにより、包装用フィルムFの幅方向における一端側(図7では上端側)が被包装物積層体Pの上面を包装する。本実施例の場合は図7および図8に示すように、包装用フィルムFが第2の被包装物Lbの角部Kd1に接触し、角部Kd1およびその近傍領域を始点として包装用フィルムFの上端部分が第2の被包装物Lbの上面および側面を覆う。
【0061】
図7および図8は、第2の被包装物Lbのうち段ボール箱Lb1およびLb2が被包装物積層体Pの前方に位置しているタイミングでキャリッジ9が所定位置Htへ上昇し、ステップS4が開始されている場合を例示している。この場合、被包装物積層体Pの右後方に位置している段ボール箱Lb4の角部に包装用フィルムFが接触し、段ボール箱Lb4の上面を始点として、第2の被包装物Lbの上面に対する包装用フィルムFの包装が開始される。
【0062】
包装用フィルムFが第2の被包装物Lbの角部Kd1に接触した後、キャリッジ9を所定位置Htに位置させた状態で、ターンテーブル5を回転させつつキャリッジ9から第2の被包装物Lbへ包装用フィルムFを供給させる。図9および図10は、図7および図8に示される状態からターンテーブル5を90°回転させた状態を示している。ステップS4ではキャリッジ9の高さを維持した状態で包装用フィルムFを繰り出すので、図9および図10に示すように、第2の被包装物Lbの上面および側面に対して包装用フィルムFが略水平に巻き付けられていく。ステップS4において包装用フィルムFが巻き付けられていく略水平な方向については、符号D2を用いて図9などに示されている。
【0063】
ターンテーブル5を90°回転させつつ包装用フィルムFを繰り出し供給することにより、第2の被包装物Lbの角部Kd1から当該角部Kd1に隣接する角部Kd2にわたって包装用フィルムFが第2の被包装物Lbの上面および側面に巻き付けられる。本実施例の場合、第2の被包装物Lbのうち段ボール箱Lb4の角部Kd1から段ボールLb2の角部Kd2にわたって、包装用フィルムFが第2の被包装物Lbの上面および側面に巻き付けられる。言い換えると、水平方向における第2の被包装物Lbの一端側G1の上面が包装用フィルムFによって包装される。
【0064】
図16(a)は、図10のA-A断面を示している。水平方向における第2の被包装物Lbの一端側G1において、第2の被包装物Lbの上面および側面が包装用フィルムFの幅方向の一端側によって包装される。なお本実施例におけるステップS4では、幅方向における包装用フィルムFの一端側が第2の被包装物Lbの上面および側面に巻き付けられると同時に、幅方向における包装用フィルムFの他端側が第1の被包装物Laの側面に巻き付けられている。
【0065】
第1の被包装物Laおよび第2の被包装物Lbに対して包装用フィルムFが同時に巻き付けられることにより、第1の被包装物Laおよび第2の被包装物Lbが固定されるので第1の被包装物Laに対して第2の被包装物Lbの位置が水平方向にずれることを防止できる。キャリッジ9が所定位置Htに上昇した状態で予め定められた回転角度についてターンテーブル5を回転させ、所定の領域について第2の被包装物Lbの上面が包装されることにより、ステップS4の工程を終了させる。本実施例ではキャリッジ9が所定位置Htに上昇させた状態で回転方向R1に90°回転させ、角部Kd1から隣接する角部Kd2までの一辺にわたって第2の被包装物Lbの上面が包装されることにより、ステップS4を終了させてステップS5へと移行させる。ステップS4の工程、すなわち被包装物積層体Pの上面に対して包装用フィルムFを巻き付ける工程は、本発明における第2ステップに相当する。
【0066】
ステップS5(下降巻回過程)
第2の被包装物Lbの上面のうち所定の領域が包装されると、ステップS5を開始する。すなわちターンテーブル5の回転を続行させるとともに、キャリッジ9を所定位置Htから下降させつつ包装用フィルムFを繰り出させる。キャリッジ9を下降させつつ包装用フィルムFを繰り出させることにより、ガイドロール19を経由して被包装物積層体Pの側面へと案内される包装用フィルムFは図11に示すように、被包装物積層体Pからキャリッジ9に向かって斜め下向きとなる。
【0067】
そのため、キャリッジ9を所定位置Htから下降させつつ、回転している被包装物積層体Pの側面へ包装用フィルムFを繰り出し供給することにより、図11および図12に示すように、包装用フィルムFは下向きの螺旋状となるように被包装物積層体Pの側面に巻き付けられていく。具体的には、第2の被包装物Lbの角部Kd2を始点とする下向きの螺旋状となるように、包装用フィルムFは第1の被包装物Laの側面に巻き付けられていく。なお、包装用フィルムFが下向き螺旋状に巻き付けられていく方向を符号D3で示している。
【0068】
図16(b)は、図12における被包装物積層体PのB-B断面を示している。ステップS4において第2の被包装物Lbの上面に対して略水平方向である方向D2に包装用フィルムFが巻き付けられた後、続いてステップS5において包装用フィルムFが下向き螺旋状の方向D3に巻き付けられることにより、第2の被包装物Lbの上面を包装する包装用フィルムFから第2の被包装物Lbに対して下向きの力Mdが作用する。当該下向きの力Mdによって、第2の被包装物Lbは上下方向について固定されるので第2の被包装物Lbが上下方向に荷崩れするという事態を確実に回避できる。
【0069】
さらにターンテーブル5の回転を続け、被包装物積層体Pの側面に対して包装用フィルムFを下向き螺旋状の方向D3に巻き付けつつ、キャリッジ9を所定位置Htから初期位置Hsまで下降させる。キャリッジ9が所定位置Htから初期位置Hsへ復帰した状態を図13に示している。回転している被包装物積層体Pの側面に向けてキャリッジ9を下降させながら包装用フィルムFを供給することにより、包装用フィルムFは下向き螺旋方向D3に沿って第1の被包装物Laの側面に巻き付けられる。
【0070】
なお図13では包装用フィルムFのうち、ステップS3において上向き螺旋方向D1に巻き付けられている包装用フィルムFについては符号F1を付している。また、ステップS4において略水平方向D2に巻き付けられている包装用フィルムFについては符号F1を付しており、ステップS5において下向き螺旋方向D3に巻き付けられている包装用フィルムFについては符号F3を付して各々を区別している。
【0071】
すなわちステップS5では図13に示すように、被包装物積層体Pの側面を覆う包装用フィルムF1をさらに覆うように、包装用フィルムF3が巻き付けられる。包装用フィルムFを下向き螺旋状に被包装物積層体Pの側面に巻き付けつつ、キャリッジ9が初期位置Hsへ復帰することによりステップS5の工程は完了する。ステップS5の工程、すなわち被包装物積層体Pの側面に対して包装用フィルムFを下向き螺旋状に巻き付ける工程は、本発明における第3ステップに相当する。
【0072】
ステップS3からステップS5までの工程により、被包装物積層体Pに対して包装用フィルムFが全体として襷状に巻き付けられる。すなわちステップS3において被包装物積層体Pの側面に包装用フィルムFが上向き螺旋状に巻き付けられ、続いてステップS4において被包装物積層体Pの上面の少なくとも一部に包装用フィルムFが略水平に巻き付けられ、ステップS5において被包装物積層体Pの側面に包装用フィルムFが下向き螺旋状に巻き付けられる。
【0073】
その後、被包装物積層体Pに対する包装が完了したか否かによって工程が分岐される。本実施例では、被包装物積層体Pの上面における一端側と他端側とが包装用フィルムFで包装されたことによって、被包装物積層体Pに対する包装が完了したと判断する。なおステップS4を1回実行した状態では図16(a)に示すように、水平方向における第2の被包装物Lbの一端側G1において包装用フィルムFが巻き付けられている一方、水平方向における第2の被包装物Lbの他端側G2において包装用フィルムFが巻き付けられていない。そのため、ここでは被包装物積層体Pに対する包装が完了していないと判断し、再度ステップS3からステップS5までの工程を実行する。
【0074】
2回目のステップS3を開始すると、図14に示すようにキャリッジ9は再び初期位置Hsから所定位置Htへと上昇しつつ、回転している被包装物積層体Pの側面に向けて包装用フィルムFを繰り出し供給する。キャリッジ9は支柱7に沿って上昇しながら包装用フィルムFを繰り出すので、繰り出された包装用フィルムFは1回目のステップS5において下向き螺旋状に巻き付けられた包装用フィルムF3を覆うように上向き螺旋状に巻き付けられる。2回目のステップS3において被包装物積層体Pに巻き付けられる包装用フィルムFについては、図14において符号F4を付して示されている。
【0075】
キャリッジ9が再び所定位置Htへ上昇すると2回目のステップS4を開始する。2回目のステップS4を実行している状態は図15に示されている。本実施例では1回目のステップS4において、第2の被包装物Lbの角部Kd1から隣接する角部Kd2にわたって包装用フィルムFを巻き付けている。そのため本実施例では、2回目のステップS4では第2の被包装物Lbの角部Kd3から角部Kd4にわたって包装用フィルムFを巻き付ける。角部Kd3は、第2の被包装物Lbの上面の中心を挟んで角部Kd1に対向する位置にある角部である。角部Kd4は、第2の被包装物Lbの上面の中心を挟んで角部Kd2に対向する角部である。
【0076】
2回目のステップS4を行うにあたり、未だ包装フィルムFによって包装されていない角部Kd3に包装用フィルムFが接触するよう、キャリッジ9の上昇速度またはターンテーブル5の回転速度が調整される。一例として、ターンテーブル5の回転角度を随時検知する回転センサをフィルム包装機1に配設し、ターンテーブル5の回転角度に応じてキャリッジ9の上昇速度またはターンテーブル5の回転速度を制御することによって、キャリッジ9が所定位置Htに再度上昇した際に角部Kd3に包装用フィルムFを接触させることができる。
【0077】
包装用フィルムFが第2の被包装物Lbの角部Kd3に接触した状態で、さらにターンテーブル5の回転を続行させつつ、所定位置Htにおいて昇降移動を中断しているキャリッジ9から包装用フィルムFを繰り出し供給させる。ターンテーブル5を90°回転させつつ、所定位置Htから包装用フィルムFを繰り出し供給を続けることにより、角部Kd3から角部Kd4までの一辺にわたって第2の被包装物Lbの上面および側面が包装用フィルムFの幅方向の一端側によって覆われる。言い換えると、水平方向における第2の被包装物Lbの他端側G2の上面および側面が包装用フィルムFによって包装される。なおこのとき、包装用フィルムFの幅方向の他端側が第1の被包装物Laの上部側面を覆っていく。
【0078】
第2の被包装物Lbの他端側G2の上面に包装用フィルムFが巻き付けられると、ステップS4からステップS5へと移行する。すなわちターンテーブル5の回転を続行させるとともに、キャリッジ9を所定位置Htから初期位置Hsへ下降させつつ包装用フィルムFを繰り出させる。下降するキャリッジ9から繰り出される包装用フィルムFは、角部Kd4を始点とする下向き螺旋状に被包装物積層体Pの側面へと巻き付けられる。キャリッジ9が再び初期位置Hsに復帰することによって、2回目のステップS5は完了する。
【0079】
図16(c)は、図15のC-C断面を示している。1回目のステップS4において第2の被包装物Lbの一端側G1が包装用フィルムFで覆われ、2回目のステップS4において第2の被包装物Lbの他端側G2が包装用フィルムFで覆われる。ステップS5において角部Kd4を始点として包装用フィルムFが下向き螺旋状に巻き付けられることにより、第2の被包装物Lbの上面に巻き付けられている部分の包装用フィルムFは下向き螺旋状に巻き付けられる包装用フィルムFによって下方向に引っ張られる。特に角部Kd4の周辺において、比較的強く下向きに引っ張られる
【0080】
そのため、第2の被包装物Lbの一端側G1のみならず他端側G2においても、第2の被包装物Lbの上面を包装する包装用フィルムFから第2の被包装物Lbに対して下向きの力Mdが作用する。当該下向きの力Mdによって、第2の被包装物Lbは上下方向について固定される。よって、第2の被包装物Lbの他端側G2においても、第2の被包装物Lbが上下方向に荷崩れするという事態を確実に回避できる。また第2の被包装物Lbの一端側G1および他端側G2の両方において下向きの力Mdをバランス良く発生させることにより、第2の被包装物Lbの上面において下向きの力Mdが偏って作用することに起因して第2の被包装物Lbに荷崩れが発生することを回避できる。
【0081】
また、1回目のステップS4において第2の被包装物Lbの一端側G1の側面および第1の被包装物Laの一端側G1の側面に包装用フィルムFが巻き付けられ、一端側G1から被包装物積層体Pの中心に向かう水平方向の力Mk1が発生する。そして2回目のステップS4において第2の被包装物Lbの他端側G2の側面および第1の被包装物Laの他端側G2の側面に包装用フィルムFが巻き付けられ、他端側G2から被包装物積層体Pの中心に向かう水平方向の力Mk2が発生する。ステップS3ないしステップS5の工程を2回行って水平方向の力Mk1およびMk2の両方を発生させることにより、水平方向に
おける被包装物積層体Pの位置を固定できる。一例として、水平方向の力Mk1のみを作用させることに起因して第2の被包装物Lbの位置が他端側G2の方へずれることを回避できる。
【0082】
2回目のステップS5が完了することにより、水平方向における被包装物積層体Pの一端側G1および他端側G2について、最上段に積載されている第2の被包装物Lbの上面に包装用フィルムFが巻き付けられる。そして下向き方向の力Mdと水平方向の力Mk1およびMk2が被包装物積層体Pに作用するので、被包装物積層体Pを構成する第1の被包装物Laおよび第2の被包装物Lbは安定に固定される。そのため、被包装物積層体Pに対する包装が完了しているものと判断し、ステップS5からステップS6へと移行する。
【0083】
ステップS6(包装対象の搬出)
ステップS3ないしステップS5を所定回数繰り返して被包装物積層体Pに対する包装が完了すると、包装対象である被包装物積層体Pを搬出する工程を開始する。まず、チャッキング装置13に備えられているカッタ20はカッタ案内板18に沿ってz方向に移動させ、キャリッジ9から繰り出されている包装用フィルムFを幅方向に切断する。そしてフォークリフトのフォーク部を間隙部12に挿入し、パレット14の下面を支持することにより被包装物積層体Pを保持する。そして搬入方向Jとは逆向きにフォークリフトを移動させることにより、包装用フィルムFで包装された被包装物積層体Pをパレット14ごと搬出する。包装用フィルムFで包装された被包装物積層体Pを搬出することにより、一連の工程は完了する。
【0084】
<実施例の構成による効果>
実施例に係るフィルム包装機1では、包装対象である被包装物積層体Pを回転させつつキャリッジ9から繰り出される包装用フィルムFを被包装物積層体Pに巻き付ける構成において、包装用フィルムFを繰り出させつつキャリッジ9を初期位置Hsと所定位置Htとの間で往復移動させる。すなわちステップS3ないしステップS5の工程を連続して実行することにより、包装用フィルムFを全体として襷掛状に巻き付けることで被包装物積層体Pを包装する。
【0085】
初期位置Hsは被包装物積層体Pのうち最下段に積層される第1の被包装物Laの側方に相当する位置であり、所定位置Htは被包装物積層体Pのうち最上段に積層される第2の被包装物Lbより高い位置である。ステップS3において初期位置Hsから所定位置Htへとキャリッジ9を上昇させつつ包装用フィルムFを被包装物積層体Pへ供給することにより、最下段に積層される第1の被包装物Laを含めた被包装物積層体Pの側面に包装用フィルムFを上向き螺旋状に巻き付けることができる。すなわち、被包装物積層体Pの高さが高い場合であっても被包装物積層体Pの下部から上部にわたって側面を包装用フィルムで包装できる。そのため、水平方向について被包装物積層体Pを安定に固定できる。
【0086】
ステップS4では被包装物積層体Pより高い所定位置Htまでキャリッジ9を上昇させた状態で、被包装物積層体Pを搭載しているターンテーブル5を回転させつつキャリッジ9から被包装物積層体Pへ包装用フィルムFを供給する。ステップS3に続いてステップS4を行うことにより、上向きの螺旋状となるように被包装物積層体Pの側面に巻き付けられた包装用フィルムF(包装用フィルムF1)を連続して被包装物積層体Pの上面へと案内させ、被包装物積層体Pの上面を包装用フィルムFで覆うことができる。
【0087】
ステップS5では所定位置Htから初期位置Hsへとキャリッジ9を下降させつつ包装用フィルムFを被包装物積層体Pへ供給することにより、被包装物積層体Pの側面に包装用フィルムFを下向き螺旋状に巻き付ける。ステップS4に続いてステップS5を行うことにより、被包装物積層体Pの上面に巻き付けられた包装用フィルムF(包装用フィルムF2)は、下向き螺旋状に巻き付けられた包装用フィルムF(包装用フィルムF3)によって下方に引っ張られる。
【0088】
そのため図16(b)に示すように、被包装物積層体Pの上面を包装する包装用フィルムFから被包装物積層体Pに対して下向きの力Mdが作用する。当該下向きの力Mdによって、被包装物積層体Pは上下方向について固定されるので被包装物積層体Pが上下方向に荷崩れするという事態を確実に回避できる。すなわち、包装用フィルムFを供給するキャリッジ9を初期位置Hsから所定位置Htを経由して再度初期位置Hsへ復帰させるという上下に往復移動をさせることにより、水平方向および上下方向のいずれについても安定して固定できるよう、被包装物積層体Pを包装用フィルムFで包装することができる。
【0089】
また本実施例ではステップS4において、第2の被包装物Lbの上面に加えて第2の被包装物Lbの側面に対しても包装用フィルムFが略水平に巻き付けられる。そのため図16(b)に示すように、第2の被包装物Lbの側面を包装する包装用フィルムFから第2の被包装物Lbに対して、水平方向の力Msが第2の被包装物Lbの中心部に向けて作用する。当該水平方向における内側向きの力Msによって、第2の被包装物Lbは水平方向についても固定される。従って、第2の被包装物Lbが水平方向に荷崩れするという事態も確実に回避できる。
【0090】
またステップS4では、包装用フィルムFの幅方向の一端側が第2の被包装物Lbに巻き付けられると同時に、包装用フィルムFの幅方向の他端側が第1の被包装物Lbに巻き付けられる。そのため、水平方向の力Msが第2の被包装物Lbに対して作用するとともに、水平方向の力Mpが第1の被包装物Laの中心部に向けて作用する。すなわち、水平方向の力Mpが作用するので、第1の被包装物Laが水平方向に荷崩れするという事態を回避できる。また、ステップS4において1枚の帯状の包装用フィルムFによって第1の被包装物Laと第2の被包装物Lbとを一体として包装するので、第1の被包装物Laに対して第2の被包装物Lbが水平方向に位置ズレするという事態を確実に回避できる。
【0091】
従来のフィルム包装機では、フィルムを供給するキャリッジを上方に向かって一方向に移動させることにより、包装対象物の側面に対してフィルムを螺旋状に巻き付けて包装する。しかしこのような従来の構成では、図17の各図に示すようにフィルムFmの包装対象物Qが複数の物体Q1およびQ2を上下に積層させた構成を有する場合、当該包装対象物Qを安定に固定することが困難である。
【0092】
一例として包装対象物Qの高さが高い場合、図17(a)に示すように上部に積層されている物体Q2にフィルムFmが届かず、物体Q2を安定に固定することができない。また、下部に積層されている物体Q1に比べて上部に積層されている物体Q2が小さい場合、図17(b)に示すように、包装対象物Qが高くなくともフィルムFmの上端が物体Q2に届かないという事態が懸念される。
【0093】
そして物体Q2にフィルムFmが届く場合であっても、キャリッジを一方向に移動させてフィルムFmを螺旋状に巻き付ける構成では図17(c)に示すように、物体Q1およびQ2の側面をフィルムFmで包装するに留まる。少なくとも、フィルムFmから包装対象物Qに対して下向きに力を作用させることができないので、フィルムFmは包装対象物Qを水平方向に固定することは可能であっても上下方向に固定することができない。よって、包装対象物Qにおいて荷崩れが発生することを確実に防止することが困難である。
【0094】
このような従来構成に対し、本発明に係るフィルム包装機1では初期位置Hsと被包装物積層体Pより高い所定位置Htとの間でキャリッジ9を上下に往復移動させつつ包装用フィルムFを巻き付けるので、被包装物積層体Pの上面に包装用フィルムFを巻き付けさせ、さらに当該包装用フィルムFから被包装物積層体Pの上面に対して下向きの力を作用させることができる。よって、被包装物積層体Pを上下方向についても安定に固定できるので被包装物積層体Pにおける荷崩れの発生をより確実に防止できる。
【0095】
<他の実施形態>
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
【0096】
(1)実施例では図18(a)に示すように、ステップS3において軌跡N1に沿って上向き螺旋状に包装用フィルムFを巻き付けた後にステップS4においてターンテーブル5を90°回転させ、第2の被包装物Lbの角部Kd1から隣接する角部Kd2までの一辺にわたって包装用フィルムFを巻き付ける(軌跡N2を参照)。そしてステップS5において下向き螺旋状に包装用フィルムFを巻き付ける(軌跡N3を参照)。ここで、実施例に係るステップS4において包装用フィルムFを巻き付ける対象範囲は、第2の被包装物Lbの一辺に限られない。
【0097】
一例として図18(b)に示すように、ステップS3において上向き螺旋状に包装用フィルムFを巻き付けた後にターンテーブル5を360°回転させ、第2の被包装物Lbの角部Kd1から角部Kd2、Kd3、およびKd4を経由して第2の被包装物Lbの四辺を一周するように包装用フィルムFを巻き付け(軌跡N4を参照)、ステップS5において角部Kd1を始点として下向き螺旋状に包装用フィルムFを巻き付ける構成が挙げられる。この場合、ステップS4を1回行うことによって第2の被包装物Lbの上面および側面の全周にわたって包装用フィルムFを巻き付けることができるので、ステップS3ないしステップS5の工程を1回行うことで第1の被包装物Laおよび第2の被包装物Lbを安定状態で包装できる。よって、被包装物積層体Pの包装に要する時間を短縮できる。
【0098】
他の例としては図18(c)に示すように、ステップS3において軌跡N1に沿って上向き螺旋状に包装用フィルムFを巻き付けた後、第2の被包装物Lbの角部Kd1を横断するように第2の被包装物Lbの上面に包装用フィルムFを巻き付け(軌跡N5を参照)、ステップS5において軌跡N3に沿って下向き螺旋状に包装用フィルムFを巻き付ける構成が挙げられる。この場合、第2の被包装物Lbの上面のうち角部Kd1の近傍領域に包装用フィルムFが巻き付けられる。すなわち、1回のステップS4において包装用フィルムFが巻き付けられる範囲を比較的狭くすることができるので、ステップS5において包装用フィルムFを下向き螺旋状に巻き付けることで、包装用フィルムFから第2の被包装物Lbの上面の単位面積あたりに対して包装用フィルムFから作用する下向きの力Mdの大きさを向上できる。そのため、被包装物積層体Pを上下方向についてより安定させることができる。
【0099】
(2)実施例に係るステップS4では図16(a)などに示すように、幅方向における包装用フィルムFの一端側が第2の被包装物Lbの上面および側面に巻き付けられ、幅方向における包装用フィルムFの他端側が第1の被包装物Laの上部側面に巻き付けられる構成を例示している。しかしステップS4は、包装用フィルムFを第1の被包装物Laの上部側面と第2の被包装物Lbの上面とに同時に巻き付ける構成に限らない。一例としてまず包装用フィルムFを第1の被包装物Laの上部側面と第2の被包装物Lbの側面とに巻き付けつつターンテーブル5を1周させ、2周目において包装用フィルムFを第2の被包装物Lbの側面および上面に巻き付けてもよい。
【0100】
(3)実施例に係るフィルム包装機1はチャッキング機構13を備える構成に限らない。すなわちチャッキング機構13を用いて自動的に包装用フィルムFの末端部を被包装物積層体Pの側面に固定させる代わりに、ステップS2において操作者が手動で包装用フィルムFの末端部を被包装物積層体Pの側面に固縛させてもよい。
【0101】
(4)実施例ではステップS3ないしステップS5の工程を2回繰り返す構成を例示したが、ステップS3ないしステップS5の工程を行う回数はこれに限ることはなく、1回行う構成でもよく3回以上行う構成でもよい。
【0102】
(5)実施例ではターンテーブル5を回転させることにより被包装物積層体Pを回転させる構成を例示したが、被包装物積層体Pとキャリッジ9とを相対的に回転させる構成であればこれに限らない。一例として、被包装物積層体Pを中心とする円周軌跡に沿って支柱7をキャリッジ9とともに回転移動させつつ、キャリッジ9を初期位置Hsの高さと所定位置Htの高さとの間でz方向に往復移動させてもよい。
【0103】
(6)実施例では被包装物積層体Pとして第1の被包装物Laと第2の被包装物Lbとが積層された構造体を例示したが、包装用フィルムFによる包装対象はこのような2段に積層された構造物に限られない。被包装物積層体Pは1つの被包装物からなる構造体であってもよいし、3以上の荷物が上下に積層された構造体であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 … フィルム包装機
3 … ベース部
5 … ターンテーブル
7 … 支柱
9 … キャリッジ(フィルム供給機構)
11 … 載置台
13 … チャッキング装置(フィルム固定機構)
15 … ロール保持機構
17 … 延伸機構
19 … ガイドローラ(案内機構)
21 … 駆動装置
23 … 操作装置
P … 被包装物積層体
La … 第1被包装物(荷物)
Lb … 第2被包装物(最上段に積層された荷物)
Ta … 繰り出し方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2022-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を載置させるターンテーブルと、
前記ターンテーブルから所定距離だけ離れた位置に立設される支柱と、
前記支柱に沿って昇降移動可能に構成され、帯状の包装用フィルムをロール状に巻いた原反ロールを回転自在に保持するロール保持機構、および前記原反ロールから繰り出される前記包装用フィルムを前記ターンテーブルに載置された前記被包装物積層体に接近させるガイド機構を備えるフィルム供給機構と、
前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を統括制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物積層体が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物積層体より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記ターンテーブルを回転させることにより、前記被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムにより覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物積層体が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第3ステップと、
をその順に実行するように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御し、
前記制御部は、前記第3ステップにおいて、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムが前記被包装物積層体の側面へ下向きの螺旋状に巻き付けられる部分の前記包装用フィルムによって下方に引っ張られることにより、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムから前記被包装物積層体に対して下向きの力が作用して前記荷物の各々が上下方向に固定されるように、前記フィルム供給機構の動作を制御する
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム包装機において
記制御部は、前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムが前記被包装物積層体のうち最上段に積層された前記荷物の上面を覆うように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御する
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機において、
前記制御部は、前記第1ステップないし前記第3ステップを2回以上繰り返すように構成され、
水平方向における前記被包装物積層体の一端側の上面が1回目の前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムに覆われ、水平方向における前記被包装物積層体の他端側の上面が2回目以降の前記第2ステップのいずれかにおいて前記包装用フィルムに覆われるように、前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作が制御される
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のフィルム包装機において、
前記ターンテーブルの回転角度を随時検知する回転センサを備え、
前記制御部は、前記第1ステップないし前記第3ステップを2回以上繰り返すように構成され、
前記制御部は、2回目以降の前記第2ステップにおいて、前記被包装物積層体の上面の角部のうち前記包装用フィルムによって覆われていない角部の少なくとも一つに前記包装用フィルムが接触するように、前記回転センサが検知する前記ターンテーブルの回転角度に応じて前記フィルム供給機構の上昇速度または前記ターンテーブルの回転速度を制御する
ことを特徴とするフィルム包装機。
【請求項5】
支柱に沿って昇降移動可能に構成されたフィルム供給機構から供給された包装用フィルムを用いて、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を包装するフィルム包装方法であって、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物積層体より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることにより、前記被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第3ステップと、
を備え
前記第3ステップでは、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムが前記被包装物積層体の側面へ下向きの螺旋状に巻き付けられる部分の前記包装用フィルムによって下方に引っ張られることにより、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムから前記被包装物積層体に対して下向きの力が作用して前記荷物の各々が上下方向に固定されるように、前記フィルム供給機構の動作が制御される
ことを特徴とするフィルム包装方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係るフィルム包装機は、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を載置させるターンテーブルと、
前記ターンテーブルから所定距離だけ離れた位置に立設される支柱と、
前記支柱に沿って昇降移動可能に構成され、帯状の包装用フィルムをロール状に巻いた原反ロールを回転自在に保持するロール保持機構、および前記原反ロールから繰り出される前記包装用フィルムを前記ターンテーブルに載置された前記被包装物積層体に接近させるガイド機構を備えるフィルム供給機構と、
前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を統括制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物積層体が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物積層体より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記ターンテーブルを回転させることにより、前記被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムにより覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物積層体が載置された前記ターンテーブルを回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第3ステップと、
をその順に実行するように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御し、
前記制御部は、前記第3ステップにおいて、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムが前記被包装物積層体の側面へ下向きの螺旋状に巻き付けられる部分の前記包装用フィルムによって下方に引っ張られることにより、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムから前記被包装物積層体に対して下向きの力が作用して前記荷物の各々が上下方向に固定されるように、前記フィルム供給機構の動作を制御することを特徴とするものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、上述した発明において、前記制御部は、前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムが前記被包装物積層体のうち最上段に積層された前記荷物の上面を覆うように前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作を制御することが好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
また、上述した発明において、前記制御部は、前記第1ステップないし前記第3ステップを2回以上繰り返すように構成され、水平方向における前記被包装物積層体の一端側の上面が1回目の前記第2ステップにおいて前記包装用フィルムに覆われ、水平方向における前記被包装物積層体の他端側の上面が2回目以降の前記第2ステップのいずれかにおいて前記包装用フィルムに覆われるように、前記フィルム供給機構および前記ターンテーブルの動作が制御されることが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
また、上述した発明において、前記ターンテーブルの回転角度を随時検知する回転センサを備え、前記制御部は、前記第1ステップないし前記第3ステップを2回以上繰り返すように構成され、前記制御部は、2回目以降の前記第2ステップにおいて、前記被包装物積層体の上面の角部のうち前記包装用フィルムによって覆われていない角部の少なくとも一つに前記包装用フィルムが接触するように、前記回転センサが検知する前記ターンテーブルの回転角度に応じて前記フィルム供給機構の上昇速度または前記ターンテーブルの回転速度を制御することが好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、本発明は、
支柱に沿って昇降移動可能に構成されたフィルム供給機構から供給された包装用フィルムを用いて、複数の荷物が上下に積層された被包装物積層体を包装するフィルム包装方法であって、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記フィルム供給機構を上昇させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを上向きの螺旋状となるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第1ステップと、
前記被包装物積層体より高い所定位置まで前記フィルム供給機構を上昇させた状態で前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることにより、前記被包装物積層体の上面の少なくとも一部を前記包装用フィルムが覆わせる第2ステップと、
前記包装用フィルムを前記被包装物積層体の側面に供給させながら前記所定位置から前記フィルム供給機構を下降させるとともに、前記被包装物積層体と前記フィルム供給機構とを相対的に回転させることによって、前記包装用フィルムを下向きの螺旋状になるように前記被包装物積層体の側面に巻き付ける第3ステップと、
を備え
前記第3ステップでは、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムが前記被包装物積層体の側面へ下向きの螺旋状に巻き付けられる部分の前記包装用フィルムによって下方に引っ張られることにより、前記被包装物積層体の上面を覆う部分の前記包装用フィルムから前記被包装物積層体に対して下向きの力が作用して前記荷物の各々が上下方向に固定されるように、前記フィルム供給機構の動作が制御される
ことを特徴とするものである。