(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157226
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】経鼻配送装置及び経鼻配送方法
(51)【国際特許分類】
A61M 15/08 20060101AFI20231019BHJP
A61M 13/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A61M15/08
A61M13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066997
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】米川 亮
(72)【発明者】
【氏名】田野 貴大
(57)【要約】
【課題】エアロゾルを鼻腔内の所定の部位に正確に吐出することができる経鼻配送装置を提供する。
【解決手段】経鼻配送装置2は、鼻腔26に挿入されるノズル8であって、鼻腔26においてエアロゾルを吐出するための第1の吐出口22aを有するノズル8と、ノズル8に配置された第1の距離検出センサ12aと、第1の距離検出センサ12aの検出結果に基づいて、第1の吐出口22aが鼻腔26における上鼻道44に面した状態で、第1の吐出口22aからエアロゾルを吐出させる吐出制御部24とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルを使用者の鼻腔に吐出するための経鼻配送装置であって、
前記鼻腔に挿入されるノズルであって、前記鼻腔においてエアロゾルを吐出するための吐出口を有するノズルと、
前記ノズルに配置された距離検出センサと、
前記距離検出センサの検出結果に基づいて、前記吐出口が前記鼻腔における鼻道に面した状態で、前記吐出口からエアロゾルを吐出させる吐出制御部と、を備える
経鼻配送装置。
【請求項2】
前記距離検出センサは、前記吐出口が前記鼻道に面しているか否かを検出し、
前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記吐出口が前記鼻道に面していると検出された場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させる
請求項1に記載の経鼻配送装置。
【請求項3】
前記吐出口は、前記ノズルの長手方向に沿って間隔を置いて配置された第1の吐出口及び第2の吐出口を含み、
前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記第1の吐出口及び前記第2の吐出口の少なくとも一方が前記鼻道に面していると検出された場合に、前記第1の吐出口及び前記第2の吐出口の前記少なくとも一方からエアロゾルを吐出させる
請求項2に記載の経鼻配送装置。
【請求項4】
前記経鼻配送装置は、さらに、
前記第1の吐出口を開閉するための第1のシャッタと、
前記第2の吐出口を開閉するための第2のシャッタと、を有し、
前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記第1の吐出口が前記鼻道に面していると検出され、且つ、前記距離検出センサにより前記第2の吐出口が前記鼻道に面していないと検出された場合に、前記第1の吐出口を開放するように前記第1のシャッタを駆動し、且つ、前記第2の吐出口を閉塞するように前記第2のシャッタを駆動する
請求項3に記載の経鼻配送装置。
【請求項5】
前記距離検出センサは、光を発する発光部と、前記鼻腔において反射した光を受光する受光部と、を有する反射型光センサであり、
前記吐出制御部は、前記受光部が受光した光の強度の変化に基づいて、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したか否かを判定し、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したと判定した場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させる
請求項1に記載の経鼻配送装置。
【請求項6】
前記距離検出センサは、超音波を発信する送波器と、前記鼻腔において反射した超音波を受信する受波器と、を有する超音波センサであり、
前記吐出制御部は、前記受波器が受信した超音波に基づいて、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したか否かを判定し、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したと判定した場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させる
請求項1に記載の経鼻配送装置。
【請求項7】
前記ノズルは、さらに、前記ノズルの一部が前記鼻腔における鼻甲介に接触した状態で、前記ノズルを前記鼻腔に挿入する動作に連動して、前記鼻道に面する前記吐出口を開放する駆動機構を有し、
前記距離検出センサは、前記駆動機構により前記吐出口が開放されたことを検出し、
前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記吐出口が開放されたことが検出された場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させる
請求項1に記載の経鼻配送装置。
【請求項8】
前記ノズルは、さらに、
先端部に前記吐出口が形成された内側ノズルと、
前記内側ノズルの外周面を覆うように配置された外側ノズルと、を有し、
前記駆動機構は、
前記内側ノズルと前記外側ノズルとの間に配置され、前記内側ノズルに対して、前記吐出口を閉塞する第1の位置と、前記吐出口を開放する第2の位置との間を移動可能な駆動部材と、
前記駆動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記駆動部材が前記鼻甲介に接触した状態で、前記内側ノズル及び前記外側ノズルを前記鼻腔に挿入することにより、前記駆動部材が前記内側ノズルに対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動する
請求項7に記載の経鼻配送装置。
【請求項9】
前記駆動部材は、
筒状の本体部と、
前記本体部の一方の開口部の周縁部に取り付けられた、弾性復元力を有する複数のシャッタ片と、を有し、
前記本体部が前記第1の位置にある状態では、前記複数のシャッタ片は、前記吐出口に対向し、且つ、前記本体部の前記開口部を覆うように配置され、
前記本体部が前記内側ノズルに対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動した場合には、前記内側ノズルの前記先端部が、前記複数のシャッタ片を押し広げながら前記本体部の前記開口部を通過する
請求項8に記載の経鼻配送装置。
【請求項10】
前記ノズルは、さらに、前記外側ノズルの外周面から径方向外側に突出するように配置され、前記外側ノズルに対して前記外側ノズルの長手方向に沿って移動可能なリング部材を有する
請求項8又は9に記載の経鼻配送装置。
【請求項11】
前記ノズルは、外周面に前記吐出口が形成されたノズル本体を有し、
前記駆動機構は、
前記ノズル本体の前記外周面に配置され、前記ノズル本体に対して、前記吐出口を閉塞する第1の位置と、前記吐出口を開放する第2の位置との間を移動可能な駆動部材と、
前記駆動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、を有し、
前記駆動部材が前記鼻甲介に接触した状態で、前記ノズル本体を前記鼻腔に挿入することにより、前記駆動部材が前記ノズル本体に対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動する
請求項7に記載の経鼻配送装置。
【請求項12】
エアロゾルを使用者の鼻腔に吐出するための経鼻配送方法であって、
吐出口を有するノズルを前記鼻腔に挿入するステップと、
前記ノズルに配置された距離検出センサの検出結果に基づいて、前記吐出口が前記鼻腔における鼻道に面した状態で、前記吐出口からエアロゾルを吐出させるステップと、を含む
経鼻配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液等のエアロゾルを使用者の鼻腔に吐出するための経鼻配送装置及び経鼻配送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液を使用者の鼻腔に吐出するための点鼻スプレーが知られている(例えば、特許文献1参照)。点鼻スプレーは、薬液が充填されたポンプ容器と、ポンプ容器に連通されたノズルとを備えている。ノズルを外鼻孔から鼻腔に挿入した状態で、ポンプ容器内の薬液がノズルの先端部の吐出口から吐出されることにより、薬液が鼻腔内の所定の部位に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬液を吐出する部位は、薬液の種類によって予め定められており、薬液の中には、鼻腔における上咽頭(鼻腔の奥部且つ咽頭の最上部に位置する部位)に吐出する必要があるものが存在する。しかしながら、上述した従来の点鼻スプレーを用いて、薬液を上咽頭に吐出しようとした場合には、ノズルの吐出口から吐出された薬液の大部分が鼻甲介に付着してしまい、薬液を上咽頭に正確に吐出することが難しいという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、エアロゾルを鼻腔内の所定の部位に正確に吐出することができる経鼻配送装置及び経鼻配送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る経鼻配送装置は、エアロゾルを使用者の鼻腔に吐出するための経鼻配送装置であって、前記鼻腔に挿入されるノズルであって、前記鼻腔においてエアロゾルを吐出するための吐出口を有するノズルと、前記ノズルに配置された距離検出センサと、前記距離検出センサの検出結果に基づいて、前記吐出口が前記鼻腔における鼻道に面した状態で、前記吐出口からエアロゾルを吐出させる吐出制御部と、を備える。
【0007】
本態様によれば、吐出制御部は、距離検出センサの検出結果に基づいて、吐出口が鼻道に面した状態で、吐出口からエアロゾルを吐出させる。これにより、吐出口から吐出されたエアロゾルは、鼻道を通して鼻腔内の所定の部位(例えば、上咽頭又は嗅上皮等)に到達するようになるので、吐出口から吐出されたエアロゾルの大部分が鼻甲介に付着してしまうのを抑制することができる。その結果、エアロゾルを鼻腔内の所定の部位に正確に吐出することができる。
【0008】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記距離検出センサは、前記吐出口が前記鼻道に面しているか否かを検出し、前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記吐出口が前記鼻道に面していると検出された場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させるように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、吐出口が鼻道に面しているか否かを検出するための距離検出センサを用いることにより、エアロゾルを鼻腔内の所定の部位により正確に吐出することができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記吐出口は、前記ノズルの長手方向に沿って間隔を置いて配置された第1の吐出口及び第2の吐出口を含み、前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記第1の吐出口及び前記第2の吐出口の少なくとも一方が前記鼻道に面していると検出された場合に、前記第1の吐出口及び前記第2の吐出口の前記少なくとも一方からエアロゾルを吐出させるように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、第1の吐出口及び第2の吐出口のうち、距離検出センサにより鼻道に面していないと検出された吐出口からエアロゾルを無駄に吐出してしまうのを回避することができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記経鼻配送装置は、さらに、前記第1の吐出口を開閉するための第1のシャッタと、前記第2の吐出口を開閉するための第2のシャッタと、を有し、前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記第1の吐出口が前記鼻道に面していると検出され、且つ、前記距離検出センサにより前記第2の吐出口が前記鼻道に面していないと検出された場合に、前記第1の吐出口を開放するように前記第1のシャッタを駆動し、且つ、前記第2の吐出口を閉塞するように前記第2のシャッタを駆動するように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、鼻道に面していない第2の吐出口からエアロゾルを無駄に吐出してしまうのをより確実に回避することができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記距離検出センサは、光を発する発光部と、前記鼻腔において反射した光を受光する受光部と、を有する反射型光センサであり、前記吐出制御部は、前記受光部が受光した光の強度の変化に基づいて、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したか否かを判定し、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したと判定した場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させるように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、反射型光センサの受光部が受光した光の強度の変化を検出することにより、吐出口が鼻道に面する位置に移動したタイミングで、吐出口からエアロゾルを効果的に吐出させることができる。
【0016】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記距離検出センサは、超音波を発信する送波器と、前記鼻腔において反射した超音波を受信する受波器と、を有する超音波センサであり、前記吐出制御部は、前記受波器が受信した超音波に基づいて、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したか否かを判定し、前記吐出口が前記鼻道に面する位置に移動したと判定した場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させるように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、超音波センサの受波器が受信した超音波に基づいて、吐出口が鼻道に面する位置に移動したタイミングで、吐出口からエアロゾルを効果的に吐出させることができる。
【0018】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記ノズルは、さらに、前記ノズルの一部が前記鼻腔における鼻甲介に接触した状態で、前記ノズルを前記鼻腔に挿入する動作に連動して、前記鼻道に面する前記吐出口を開放する駆動機構を有し、前記距離検出センサは、前記駆動機構により前記吐出口が開放されたことを検出し、前記吐出制御部は、前記距離検出センサにより前記吐出口が開放されたことが検出された場合に、前記吐出口からエアロゾルを吐出させるように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、ノズルを鼻腔に挿入する動作を利用して、鼻道に面する吐出口を容易に開放することができる。
【0020】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記ノズルは、さらに、先端部に前記吐出口が形成された内側ノズルと、前記内側ノズルの外周面を覆うように配置された外側ノズルと、を有し、前記駆動機構は、前記内側ノズルと前記外側ノズルとの間に配置され、前記内側ノズルに対して、前記吐出口を閉塞する第1の位置と、前記吐出口を開放する第2の位置との間を移動可能な駆動部材と、前記駆動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記駆動部材が前記鼻甲介に接触した状態で、前記内側ノズル及び前記外側ノズルを前記鼻腔に挿入することにより、前記駆動部材が前記内側ノズルに対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、内側ノズル及び外側ノズルを鼻腔に挿入する動作を利用して、駆動部材を内側ノズルに対して第1の位置から第2の位置に容易に移動させることができる。
【0022】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記駆動部材は、筒状の本体部と、前記本体部の一方の開口部の周縁部に取り付けられた、弾性復元力を有する複数のシャッタ片と、を有し、前記本体部が前記第1の位置にある状態では、前記複数のシャッタ片は、前記吐出口に対向し、且つ、前記本体部の前記開口部を覆うように配置され、前記本体部が前記内側ノズルに対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動した場合には、前記内側ノズルの前記先端部が、前記複数のシャッタ片を押し広げながら前記本体部の前記開口部を通過するように構成してもよい。
【0023】
本態様によれば、本体部の第1の位置から第2の位置への移動に連動して、吐出口を容易に開放することができる。
【0024】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記ノズルは、さらに、前記外側ノズルの外周面から径方向外側に突出するように配置され、前記外側ノズルに対して前記外側ノズルの長手方向に沿って移動可能なリング部材を有するように構成してもよい。
【0025】
本態様によれば、リング部材を使用者の外鼻孔に引っ掛けることにより、リング部材が外鼻孔に対して位置決めされた状態で、ノズルを鼻腔に安定して挿入することができる。
【0026】
例えば、本発明の一態様に係る経鼻配送装置において、前記ノズルは、外周面に前記吐出口が形成されたノズル本体を有し、前記駆動機構は、前記ノズル本体の前記外周面に配置され、前記ノズル本体に対して、前記吐出口を閉塞する第1の位置と、前記吐出口を開放する第2の位置との間を移動可能な駆動部材と、前記駆動部材を前記第2の位置から前記第1の位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、を有し、前記駆動部材が前記鼻甲介に接触した状態で、前記ノズル本体を前記鼻腔に挿入することにより、前記駆動部材が前記ノズル本体に対して前記第1の位置から前記第2の位置に移動するように構成してもよい。
【0027】
本態様によれば、ノズル本体を鼻腔に挿入する動作を利用して、鼻道に面する吐出口を容易に開放することができる。
【0028】
本発明の一態様に係る経鼻配送方法は、エアロゾルを使用者の鼻腔に吐出するための経鼻配送方法であって、吐出口を有するノズルを前記鼻腔に挿入するステップと、前記ノズルに配置された距離検出センサの検出結果に基づいて、前記吐出口が前記鼻腔における鼻道に面した状態で、前記吐出口からエアロゾルを吐出させるステップと、を含む。
【0029】
本態様によれば、距離検出センサの検出結果に基づいて、吐出口が鼻道に面した状態で、吐出口からエアロゾルを吐出させる。これにより、吐出口から吐出されたエアロゾルは、鼻道を通して鼻腔内の所定の部位(例えば、上咽頭又は嗅上皮等)に到達するようになるので、吐出口から吐出されたエアロゾルの大部分が鼻甲介に付着してしまうのを抑制することができる。その結果、エアロゾルを鼻腔内の所定の部位に正確に吐出することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様に係る経鼻配送装置等によれば、エアロゾルを鼻腔内の所定の部位に正確に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1に係る経鼻配送装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線による、実施の形態1に係る経鼻配送装置の概略断面図である。
【
図3】第1の吐出口、第2の吐出口及び第3の吐出口が開放された状態での、実施の形態1に係る経鼻配送装置の概略断面図である。
【
図4】実施の形態1に係る経鼻配送装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1に係る経鼻配送装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態1に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図7】実施の形態1に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図9】実施の形態2に係る経鼻配送装置の概略断面図である。
【
図10】実施の形態2に係る距離検出センサからの検出信号の強度と、ノズルの移動距離との関係を示すグラフである。
【
図11】実施の形態2に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図12】実施の形態3に係る経鼻配送装置を示す斜視図である。
【
図13】吐出口が開放された状態での、実施の形態3に係る経鼻配送装置を示す斜視図である。
【
図14】
図12のXIV-XIV線による、実施の形態3に係る経鼻配送装置の概略断面である。
【
図15】
図13のXV-XV線による、実施の形態3に係る経鼻配送装置の概略断面図である。
【
図16】実施の形態3の変形例に係るリング部材の構成を説明するための図である。
【
図17】実施の形態3に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図18】実施の形態3に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図19】実施の形態3に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図20】実施の形態4に係る経鼻配送装置を示す斜視図である。
【
図21】吐出口が開放された状態での、実施の形態4に係る経鼻配送装置を示す斜視図である。
【
図22】
図20のXXI-XXI線による、実施の形態4に係る経鼻配送装置の概略断面図である。
【
図23】
図21のXXII-XXII線による、実施の形態4に係る経鼻配送装置の概略断面図である。
【
図24】実施の形態4に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【
図25】実施の形態4に係る経鼻配送装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0033】
(実施の形態1)
[1-1.経鼻配送装置の構造]
図1~
図3を参照しながら、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の構造について説明する。
図1は、実施の形態1に係る経鼻配送装置2を示す斜視図である。
図2は、
図1のII-II線による、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の概略断面図である。
図3は、第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cが開放された状態での、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の概略断面図である。なお、
図3は、
図1のII-II線に対応する切断線による、経鼻配送装置2の概略断面図である。
【0034】
図1~
図3において、経鼻配送装置2の左右方向をX軸方向、経鼻配送装置2の前後方向をY軸方向、経鼻配送装置2の上下方向をZ軸方向として説明する。
【0035】
経鼻配送装置2は、例えば霧状の薬液(エアロゾルの一例)を使用者の鼻腔に吐出するための点鼻用ディスペンサである。なお、本明細書において、鼻腔とは、外鼻孔から咽頭までの領域を意味する。
図1~
図3に示すように、経鼻配送装置2は、筐体4と、制御ユニット6と、ノズル8と、第1のシャッタ10aと、第2のシャッタ10bと、第3のシャッタ10cと、第1の距離検出センサ12aと、第2の距離検出センサ12bと、第3の距離検出センサ12cと、吐出デバイス14とを備えている。
【0036】
なお、エアロゾルは、一般的に空気中に微細な固体又は液体の粒子が浮遊している状態のことを指すが、その視程や色の違いは様々であり、例えば霧、煙、粉塵等もエアロゾルの一種であり、その粒径は0.001μm~100μm程度と考えられている。
【0037】
筐体4は、中空状に形成されている。図示しないが、筐体4の側面には、経鼻配送装置2を操作するための操作スイッチや、経鼻配送装置2の動作状態を表示するための表示ランプ等が配置されている。
【0038】
制御ユニット6は、筐体4の内部に配置され、例えば制御基板等で構成されている。制御ユニット6は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号に基づいて、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの少なくとも1つに駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0039】
ノズル8は、薬液を吐出するための薬液吐出用ノズルである。ノズル8は、内側ノズル16と、外側ノズル18とを有している。
【0040】
内側ノズル16は、円筒状且つ長尺状に形成され、吐出デバイス14から筐体4の外部に突出している。内側ノズル16の基端部は、吐出デバイス14のカートリッジ(後述する)に接続されている。また、内側ノズル16の先端部(基端部と反対側の端部)は、閉塞されている。内側ノズル16の外周面には、内側ノズル16の内部と連通された第1の吐出口20a、第2の吐出口20b及び第3の吐出口20cが形成されている。第1の吐出口20a、第2の吐出口20b及び第3の吐出口20cは、内側ノズル16の長手方向(Z軸方向)に沿って、内側ノズル16の先端部側からこの順に間隔を置いて配置されている。
【0041】
外側ノズル18は、円筒状且つ長尺状に形成され、内側ノズル16の外周面に接触するように配置されている。外側ノズル18の基端部は、筐体4の上面に接続されている。また、外側ノズル18の先端部(基端部と反対側の端部)は、閉塞されている。外側ノズル18の外周面には、第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cが形成されている。第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cは、外側ノズル18の長手方向(Z軸方向)に沿って、外側ノズル18の先端部側からこの順に間隔を置いて配置されている。第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cはそれぞれ、内側ノズル16の第1の吐出口20a、第2の吐出口b及び第3の吐出口20cと連通している。なお、外側ノズル18の直径は、使用者の外鼻孔の外径よりも小さい。
【0042】
第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの各々は、例えば電子シャッタで構成されており、外側ノズル18の外周面上に配置されている。第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cはそれぞれ、制御ユニット6からの駆動信号に基づいて駆動されることにより、外側ノズル18の第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cを開閉する。具体的には、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cはそれぞれ、外側ノズル18の第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cを閉塞する閉位置(
図1及び
図2に示す位置)と、外側ノズル18の第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cを開放する開位置(
図3に示す位置)との間を移動可能である。
【0043】
第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cはそれぞれ、外側ノズル18の外周面上において、外側ノズル18の第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cの各近傍に配置されている。第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々は、例えば反射型光センサで構成されており、光を発する発光部と、鼻腔において反射した光を受光する受光部とを有している。第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cはそれぞれ、対応する受光部が受光した光の強度に基づいて、第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cと対象物との間の距離を検出することにより、第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cが鼻腔における鼻道に面しているか否かを検出する。なお、本明細書において、鼻道は、下鼻道、中鼻道及び上鼻道を含む。
【0044】
なお、本実施の形態では、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々を反射型光センサで構成したが、これに限定されず、超音波センサで構成してもよい。超音波センサは、超音波を発信する送波器と、鼻腔において反射した超音波を受信する受波器とを有している。この場合、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cはそれぞれ、受波器が受信した超音波に基づいて、第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cと対象物との間の距離を検出することにより、第1の吐出口22a、第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cが鼻腔における鼻道に面しているか否かを検出する。あるいは、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々を、反射型光センサ及び超音波センサ以外の任意の距離検出センサで構成してもよい。
【0045】
吐出デバイス14は、筐体4の内部に配置されている。吐出デバイス14は、カートリッジと、ヒータチップとを有している。カートリッジは、薬液を充填するための容器であり、筐体4に対して着脱可能である。ヒータチップは、カートリッジから供給された薬液を例えばサーマルインクジェット方式で加熱することにより、所定量(例えば数十μリットル程度)の霧状の薬液を生成する。吐出デバイス14は、制御ユニット6からの吐出信号に基づいて、霧状の薬液を内側ノズル16の基端部から内側ノズル16の内部に吐出する。
【0046】
図3に示すように、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの全てが開位置にある場合には、吐出デバイス14から内側ノズル16の内部に吐出された薬液は、内側ノズル16の第1の吐出口20a及び外側ノズル18の第1の吐出口22aを通してノズル8の外部に吐出され、且つ、内側ノズル16の第2の吐出口20b及び外側ノズル18の第2の吐出口22bを通してノズル8の外部に吐出され、且つ、内側ノズル16の第3の吐出口20c及び外側ノズル18の第3の吐出口22cを通してノズル8の外部に吐出される。
【0047】
なお、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cのうち、例えば第2のシャッタ10bのみが閉位置にある場合には、第2のシャッタ10bで閉塞された外側ノズル18の第2の吐出口22bから薬液は吐出されない。
【0048】
[1-2.経鼻配送装置の機能構成]
図4を参照しながら、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の機能構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の機能構成を示すブロック図である。
【0049】
図4に示すように、経鼻配送装置2は、機能構成として、第1の距離検出センサ12aと、第2の距離検出センサ12bと、第3の距離検出センサ12cと、吐出制御部24と、第1のシャッタ10aと、第2のシャッタ10bと、第3のシャッタ10cと、吐出デバイス14とを備えている。
【0050】
第1の距離検出センサ12aでは、第1の距離検出センサ12aの前方(すなわち、第1の吐出口22aの前方)に鼻甲介が存在する場合には、発光部からの光が鼻甲介で反射し、鼻甲介からの反射光が受光部で受光される。この場合、第1の距離検出センサ12aは、第1の吐出口22aが鼻道に面していないと検出し、ハイレベル(以下、「H」と表現する場合がある)の検出信号を吐出制御部24に出力する。一方、第1の距離検出センサ12aでは、第1の距離検出センサ12aの前方に鼻甲介が存在しない場合には、発光部からの光は鼻甲介で反射しないため、受光部は反射光をほとんど受光しない。この場合、第1の距離検出センサ12aは、第1の吐出口22aが鼻道に面していると検出し、ローレベル(以下、「L」と表現する場合がある)の検出信号を吐出制御部24に出力する。なお、本明細書において、鼻甲介は、下鼻甲介、中鼻甲介及び上鼻甲介を含む。
【0051】
同様に、第2の距離検出センサ12bの前方(すなわち、第2の吐出口22bの前方)に鼻甲介が存在する場合には、第2の距離検出センサ12bは、第2の吐出口22bが鼻道に面していないと検出し、ハイレベルの検出信号を吐出制御部24に出力する。また、第2の距離検出センサ12bの前方に鼻甲介が存在しない場合には、第2の距離検出センサ12bは、第2の吐出口22bが鼻道に面していると検出し、ローレベルの検出信号を吐出制御部24に出力する。
【0052】
また、第3の距離検出センサ12cの前方(すなわち、第3の吐出口22cの前方)に鼻甲介が存在する場合には、第3の距離検出センサ12cは、第3の吐出口22cが鼻道に面していないと検出し、ハイレベルの検出信号を吐出制御部24に出力する。また、第3の距離検出センサ12cの前方に鼻甲介が存在しない場合には、第3の距離検出センサ12cは、第3の吐出口22cが鼻道に面していると検出し、ローレベルの検出信号を吐出制御部24に出力する。
【0053】
吐出制御部24は、上述した制御ユニット6(
図2参照)により構成されている。吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号に基づいて、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの少なくとも1つに駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0054】
[1-3.経鼻配送装置の動作]
図5~
図8を参照しながら、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の動作について説明する。
図5は、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の動作の流れを示すフローチャートである。
図6~
図8は、実施の形態1に係る経鼻配送装置2の動作を説明するための図である。
【0055】
以下、経鼻配送装置2を用いて、薬液を使用者の鼻腔26における上咽頭28に吐出する場合について説明する。なお、上咽頭28は、鼻腔26の奥部、且つ、咽頭30の最上部に位置する部位である。
【0056】
図5に示すように、まず、使用者は、経鼻配送装置2の筐体4を手に持ち、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cが手前側(使用者側)を向くようにして、ノズル8の先端部を左右いずれかの外鼻孔32から鼻腔26に挿入する(S101)。なお、ノズル8の先端部が外鼻孔32を通過するまでの間は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号はローレベルとなる。この時、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの各々は、閉位置にあるものとする。
【0057】
外側ノズル18の第1の吐出口22aが下鼻甲介34の下側の下鼻道36に面する位置に到達した場合には、第1の距離検出センサ12aからの検出信号はローレベルとなる(S102でNO)。この場合、使用者は、ノズル8をさらに鼻腔26に挿入する(S103)。その後、ステップS102に戻る。なお、第1の距離検出センサ12aからの検出信号がずっとハイレベルのままである場合には、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cが使用者と反対側を向いていると考えらえるため、使用者は、ノズル8の向きを適宜回転させる。
【0058】
図6の(a)に示すように、外側ノズル18の第1の吐出口22aが下鼻甲介34に面する位置に到達した場合には、第1の距離検出センサ12aからの検出信号はハイレベルとなる(S102でYES)。この時、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号は、ローレベルとなる。
【0059】
図6の(a)に示す状態から、使用者がノズル8をさらに鼻腔26に挿入し、外側ノズル18の第1の吐出口22aが中鼻甲介38と下鼻甲介34との間の中鼻道40に面する位置に到達した場合には、第1の距離検出センサ12aからの検出信号はローレベルとなる(S104でNO)。この場合、使用者は、ノズル8をさらに鼻腔26に挿入する(S105)。その後、ステップS104に戻る。
【0060】
図6の(b)に示すように、外側ノズル18の第1の吐出口22aが中鼻甲介38に面する位置に到達した場合には、第1の距離検出センサ12aからの検出信号はハイレベルとなる(S104でYES)。この時、外側ノズル18の第2の吐出口22bが下鼻甲介34に面する位置に到達しているため、第2の距離検出センサ12bからの検出信号はハイレベルとなる。なお、第3の距離検出センサ12cからの検出信号は、ローレベルとなる。
【0061】
図6の(b)に示す状態から、使用者がノズル8をさらに鼻腔26に挿入し、外側ノズル18の第1の吐出口22aが上鼻甲介42と中鼻甲介38との間の上鼻道44に面する位置に到達していない(すなわち、第1の吐出口22aが中鼻甲介38に面する位置にある)場合には、第1の距離検出センサ12aからの検出信号はハイレベルのままとなる(S106でNO)。この場合、使用者は、ノズル8をさらに鼻腔26に挿入する(S107)。その後、ステップS106に戻る。
【0062】
図7に示すように、外側ノズル18の第1の吐出口22aが上鼻道44に面する位置に到達し、且つ、外側ノズル18の第2の吐出口22bが中鼻道40に面する位置に到達し、且つ、外側ノズル18の第3の吐出口22cが下鼻甲介34に面する位置に到達した場合には、第1の距離検出センサ12a及び第2の距離検出センサ12bからの各検出信号はローレベルとなり(S106でYES、S108でYES)、第3の距離検出センサ12cからの検出信号はハイレベルとなる(S109)。
【0063】
この場合、吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号に基づいて、第1のシャッタ10a及び第2のシャッタ10bの各々に駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。具体的には、吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12aからの検出信号が2回ハイレベルとなった後にローレベルとなり、且つ、第2の距離検出センサ12bからの検出信号が1回ハイレベルとなった後にローレベルとなり、且つ、第3の距離検出センサ12cからの検出信号が1回ハイレベルとなった場合に、第1のシャッタ10a及び第2のシャッタ10bの各々に駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0064】
これにより、第1のシャッタ10a及び第2のシャッタ10bの各々が閉位置から開位置に移動し(S110)、薬液が外側ノズル18の第1の吐出口22aから上鼻道44に向けて吐出され、且つ、薬液が外側ノズル18の第2の吐出口22bから中鼻道40に向けて吐出される(S111)。なお、第3のシャッタ10cは閉位置にあるため、外側ノズル18の第3の吐出口22cから薬液は吐出されない。上鼻道44及び中鼻道40に吐出された薬液は、鼻腔26の奥部に向けて進み、上咽頭28に到達する。これにより、薬液が上咽頭28に吐出される。その後、
図5のフローチャートが終了する。
【0065】
ステップS106に戻り、以下、使用者の下鼻甲介34及び/又は中鼻甲介38の大きさが
図6及び
図7に示す大きさと異なる場合について説明する。
図8に示すように、外側ノズル18の第1の吐出口22aが上鼻道44に面する位置に到達し、且つ、外側ノズル18の第2の吐出口22bが中鼻甲介38に面する位置に到達し、且つ、外側ノズル18の第3の吐出口22cが下鼻道36に面する位置に到達した場合には、第1の距離検出センサ12aからの検出信号はローレベルとなり(S106でYES)、第2の距離検出センサ12bからの検出信号はハイレベルとなり(S108でNO)、第3の距離検出センサ12cからの検出信号はローレベルとなる(S112)。
【0066】
この場合、吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号に基づいて、第1のシャッタ10a及び第3のシャッタ10cの各々に駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。具体的には、吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12aからの検出信号が2回ハイレベルとなった後にローレベルとなり、且つ、第2の距離検出センサ12bからの検出信号が2回ハイレベルとなり、且つ、第3の距離検出センサ12cからの検出信号が1回もハイレベルになることなくローレベルとなった場合に、第1のシャッタ10a及び第3のシャッタ10cの各々に駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0067】
これにより、第1のシャッタ10a及び第3のシャッタ10cの各々が閉位置から開位置に移動し(S113)、薬液が外側ノズル18の第1の吐出口22aから上鼻道44に向けて吐出され、且つ、薬液が外側ノズル18の第3の吐出口22cから下鼻道36に向けて吐出される(S111)。なお、第2のシャッタ10bは閉位置にあるため、外側ノズル18の第2の吐出口22bから薬液は吐出されない。上鼻道44及び下鼻道36に吐出された薬液は、鼻腔26の奥部に向けて進み、上咽頭28に到達する。これにより、薬液が上咽頭28に吐出される。その後、
図5のフローチャートが終了する。
【0068】
[1-4.効果]
本実施の形態では、吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号に基づいて、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの少なくとも1つに駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0069】
これにより、外側ノズル18の第1の吐出口22aが上鼻道44に面する位置に到達したタイミングで、外側ノズル18の第1の吐出口22aから薬液を上鼻道44に向けて吐出することができる。その結果、薬液を上咽頭28に確実に吐出することができる。
【0070】
また、外側ノズル18の第2の吐出口22bが中鼻道40に面する位置に到達したタイミングで、外側ノズル18の第2の吐出口22bから薬液を中鼻道40に向けて吐出することができる。あるいは、外側ノズル18の第3の吐出口22cが下鼻道36に面する位置に到達したタイミングで、外側ノズル18の第3の吐出口22cから薬液を下鼻道36に向けて吐出することができる。外側ノズル18の第1の吐出口22aから薬液を吐出するとともに、外側ノズル18の第2の吐出口22b及び第3の吐出口22cの少なくとも一方から薬液を吐出することにより、薬液を上咽頭28により確実に吐出することができる。
【0071】
なお、外側ノズル18の第1の吐出口22aが上鼻道44に面する位置に到達し、且つ、外側ノズル18の第2の吐出口22bが中鼻道40に面する位置に到達し、且つ、外側ノズル18の第3の吐出口22cが下鼻道36に面する位置に到達する場合も考えられる。この場合には、吐出制御部24は、第1の距離検出センサ12a、第2の距離検出センサ12b及び第3の距離検出センサ12cの各々からの検出信号に基づいて、第1のシャッタ10a、第2のシャッタ10b及び第3のシャッタ10cの各々に駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信してもよい。
【0072】
(実施の形態2)
[2-1.経鼻配送装置の構造]
図9を参照しながら、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aの構造について説明する。
図9は、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aの概略断面図である。なお、
図9は、
図1のII-II線に対応する切断線による、経鼻配送装置2Aの概略断面図である。以下の各実施の形態では、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0073】
図9に示すように、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aでは、ノズル8Aの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、内側ノズル16Aの先端部近傍における外周面には、内側ノズル16Aの内部と連通された1つの吐出口20Aが形成されている。また、外側ノズル18Aの先端部近傍における外周面には、内側ノズル16Aの吐出口20Aと連通する1つの吐出口22Aが形成されている。吐出口20A及び吐出口22Aはそれぞれ、上記実施の形態1の第1の吐出口20a及び第1の吐出口22aに対応している。
【0074】
また、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aでは、シャッタ10A及び距離検出センサ12Aが1つずつ設けられている。
【0075】
シャッタ10Aは、例えば電子シャッタで構成されており、外側ノズル18Aの外周面上に配置されている。シャッタ10Aは、制御ユニット6Aからの駆動信号に基づいて駆動されることにより、外側ノズル18Aの吐出口22Aを開閉する。シャッタ10Aは、上記実施の形態1の第1のシャッタ10aに対応している。
【0076】
距離検出センサ12Aは、外側ノズル18Aの外周面上において、外側ノズル18Aの吐出口22Aの近傍に配置されている。距離検出センサ12Aは、例えば反射型光センサで構成されており、光を発する発光部と、鼻腔において反射した光を受光する受光部とを有している。距離検出センサ12Aは、上記実施の形態1の第1の距離検出センサ12aに対応している。なお、本実施の形態では、距離検出センサ12Aを反射型光センサで構成したが、これに限定されず、超音波センサで構成してもよい。
【0077】
また、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aでは、制御ユニット6Aにより構成される吐出制御部24Aの処理が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、吐出制御部24Aは、距離検出センサ12Aからの検出信号の強度の変化(すなわち、受光部が受光した光の強度の変化)に基づいて、外側ノズル18Aの吐出口22Aが上鼻道44に面する位置に移動したか否かを判定する。吐出制御部24Aは、外側ノズル18Aの吐出口22Aが上鼻道44に面する位置に移動したと判定した場合に、シャッタ10Aに駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0078】
[2-2.経鼻配送装置の動作]
図10及び
図11を参照しながら、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aの動作について説明する。
図10は、実施の形態2に係る距離検出センサ12Aからの検出信号の強度と、ノズル8Aの移動距離との関係を示すグラフである。
図11は、実施の形態2に係る経鼻配送装置2Aの動作を説明するための図である。
【0079】
以下、経鼻配送装置2Aを用いて、薬液を使用者の鼻腔26における嗅上皮46に吐出する場合について説明する。なお、嗅上皮46は、鼻腔26の上部に位置する部位である。
【0080】
まず、使用者は、経鼻配送装置2Aの筐体4を手に持ち、シャッタ10Aが手前側(使用者側)を向くようにして、ノズル8Aの先端部を左右いずれかの外鼻孔32から鼻腔26に挿入する。
【0081】
ノズル8Aが鼻腔26内を移動するのに伴い、距離検出センサ12Aは、a)外鼻孔32に面する位置、b)下鼻道36に面する位置、c)下鼻甲介34に面する位置、d)中鼻道40に面する位置、e)中鼻甲介38に面する位置、及び、f)上鼻道44に面する位置に順次移動する。この時、距離検出センサ12Aからの検出信号は、距離検出センサ12Aの受光部が受光する光の強度が変化することにより、
図10に示すように、ハイレベルとローレベルとを交互に繰り返すように変化する。
【0082】
吐出制御部24Aは、距離検出センサ12Aからの検出信号が3回目にハイレベルからローレベルに変化した際に、
図11に示すように外側ノズル18Aの吐出口22Aが上鼻道44に面する位置に移動したと判定する。そして、吐出制御部24Aは、当該判定結果に基づいて、シャッタ10Aに駆動信号を送信し、且つ、吐出デバイス14に吐出信号を送信する。
【0083】
これにより、シャッタ10Aが閉位置から開位置に移動し、薬液が外側ノズル18Aの吐出口22Aから上鼻道44に向けて吐出される。上鼻道44に吐出された薬液は、鼻腔26の上部に向けて進み、嗅上皮46に到達する。これにより、薬液が嗅上皮46に吐出される。
【0084】
なお、外側ノズル18Aの吐出口22Aが上鼻道44に面する位置に移動した際に、例えば経鼻配送装置2A(又は経鼻配送装置2Aと通信しているスマートフォン等)から出力される音、振動又は光等により、使用者にノズル8Aをそのまま動かさずに保持するように指示してもよい。この状態で、薬液が外側ノズル18Aの吐出口22Aから上鼻道44に向けて吐出される。この時、距離検出センサ12Aからの検出信号がローレベルからハイレベルに変化した場合は、ノズル8Aが鼻腔26から引き抜かれる方向に移動したと考えられるため、例えば経鼻配送装置2A(又は経鼻配送装置2Aと通信しているスマートフォン等)から出力される音、振動又は光等により、使用者にノズル8Aを再度鼻腔26に挿入するように指示してもよい。
【0085】
あるいは、使用者にノズル8Aを保持するように指示することなく、距離検出センサ12Aからの検出信号が3回目にハイレベルからローレベルに変化した際に、外側ノズル18Aの吐出口22Aから薬液を自動で吐出してもよい。この場合、検出信号のノイズを考慮して、検出信号が3回目にハイレベルからローベルに変化した後、ローレベルに1~2秒保持された際に、外側ノズル18Aの吐出口22Aから薬液を吐出するのが好ましい。
【0086】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(実施の形態3)
[3-1.経鼻配送装置の構造]
図12~
図15を参照しながら、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bの構造について説明する。
図12は、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bを示す斜視図である。
図13は、吐出口20Bが開放された状態での、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bを示す斜視図である。
図14は、
図12のXIV-XIV線による、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bの概略断面図である。
図15は、
図13のXV-XV線による、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bの概略断面図である。
【0088】
図12~
図15に示すように、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bでは、ノズル8Bの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、ノズル8Bは、内側ノズル16Bと、外側ノズル18Bと、駆動機構48と、距離検出センサ50と、リング部材52とを有している。
【0089】
内側ノズル16Bは、円筒状且つ長尺状に形成されている。
図14及び
図15に示すように、内側ノズル16Bの先端部は、外側ノズル18Bの先端部から外側(Z軸のプラス側)に突出している。内側ノズル16Bの基端部は、吐出デバイス14(
図12参照)のカートリッジに接続されている。内側ノズル16Bの先端部には、内側ノズル16Bの内部と連通された吐出口20Bが形成されている。
【0090】
外側ノズル18Bは、円筒状且つ長尺状に形成され、内側ノズル16Bの外周面を覆うように配置されている。外側ノズル18Bの内周面と内側ノズル16Bの外周面との間には、間隙54が形成されている。また、外側ノズル18Bの先端部は開口されている。
【0091】
駆動機構48は、ノズル8Bの一部である駆動部材56(後述する)が鼻腔における鼻甲介に接触した状態で、ノズル8Bを鼻腔に挿入する動作に連動して、内側ノズル16Bの吐出口20Bを開放するための機構である。駆動機構48は、駆動部材56と、付勢部材58とを有している。
【0092】
駆動部材56は、本体部60と、複数のシャッタ片62とを有している。本体部60は、円筒状に形成されており、内側ノズル16Bの外周面と外側ノズル18Bの内周面との間の間隙54に配置されている。複数のシャッタ片62の各々は、例えば扇形状に形成され、ゴム等の弾性復元力を有する材料で形成されている。複数のシャッタ片62は、本体部60の一方の開口部64(筐体4側とは反対側の開口部)の周縁部に取り付けられており、外力が加えられていない状態では、本体部60の開口部64を覆うように配置されている。
【0093】
本体部60は、内側ノズル16Bに対して、
図12及び
図14に示す第1の位置と、
図13及び
図15に示す第2の位置との間を移動可能である。第2の位置は、第1の位置よりも筐体4により近い位置である。
【0094】
図12及び
図14に示すように、本体部60が第1の位置にある状態では、複数のシャッタ片62は、内側ノズル16Bの吐出口20Bに対向し、且つ、本体部60の開口部64を覆うように配置される。
【0095】
図13及び
図15に示すように、本体部60が内側ノズル16Bに対して第1の位置から第2の位置に移動した際には、内側ノズル16Bの先端部は、複数のシャッタ片62を押し広げながら本体部60の開口部64を通過する。これにより、内側ノズル16Bの吐出口20Bが開放される。
【0096】
図14及び
図15に示すように、付勢部材58は、例えばコイルバネで構成され、内側ノズル16Bの外周面と外側ノズル18Bの内周面との間の間隙54に配置されている。付勢部材58は、駆動部材56の本体部60を第2の位置から第1の位置に向かう方向に付勢している。
【0097】
図14及び
図15に示すように、距離検出センサ50は、例えば反射型光センサ、超音波センサ又は圧力センサ等で構成され、外側ノズル18Bの内周面に支持されている。距離検出センサ50は、距離検出センサ50と駆動部材56の本体部60との間の距離に基づいて、駆動部材56の本体部60の第1の位置から第2の位置への移動を検出することにより、内側ノズル16Bの吐出口20Bが開放されたことを検出する。また、距離検出センサ50は、距離検出センサ50と駆動部材56の本体部60との間の距離に基づいて、駆動部材56の本体部60の第2の位置から第1の位置への移動を検出することにより、内側ノズル16Bの吐出口20Bが閉塞されたことを検出する。距離検出センサ50は、検出結果を吐出制御部24Bに出力する。
【0098】
リング部材52は、円環状に形成され、外側ノズル18Bの外周面から径方向外側に突出するように配置されている。リング部材52は、外側ノズル18Bに対して、外側ノズル18Bの長手方向(Z軸方向)に沿って、外側ノズル18Bの基端部と先端部との間を移動可能である。
図14に示すように、リング部材52が外側ノズル18Bの先端部に位置している状態では、駆動部材56は、リング部材の内側に配置されるようになる。また、
図15に示すように、リング部材52が外側ノズル18Bの基端部に位置している状態では、駆動部材56は、リング部材52の外部に露出されるようになる。リング部材52は、図示しないコイルバネにより、外側ノズル18Bの基端部側から先端部側に向けて付勢されていてもよい。なお、リング部材52の外径は、使用者の外鼻孔の内径よりも大きくなるように構成されている。
【0099】
リング部材52の外周部は、おおよそ外鼻孔32の断面積35mm2~124mm2相当の大きさを有しており、外鼻孔32の周縁部に係合できるように構成され、例えば外鼻孔32の断面積に対しておおよそ14mm2~36mm2広い大きさに構成してもよい。リング部材52の外周部が略円形の場合、リング部材52の直径は、おおよそ7.8mm~14.3mmとなる。
【0100】
一般的な人肌の硬度10°に対して、リング部材52の硬度が高い場合には、リング部材52の外周部は、左右いずれかの外鼻孔32の周縁部を変形させながら接触するように構成してもよい。一方、一般的な人肌の硬度10°に対して、リング部材52の硬度が低い場合は、リング部材52の外周部は、弾性変形しながら左右いずれかの外鼻孔32の周縁部に接触し係合される。
【0101】
リング部材52は、人体への害が少ない材料で形成されており、例えばシリコンゴムやEVA(Ethylen-Vinyl Acetate)等の柔らかい素材で形成されていてもよい。
【0102】
リング部材52は、外側ノズル18Bから取り外すことが可能である。リング部材52を外側ノズル18Bに取り付ける方式としては、例えばはめ込み式、ネジ式又はフック式等の嵌合方式を用いることが可能である。これにより、外側ノズル18Bから取り外したリング部材52を容易に洗浄することができ、リング部材52を清潔に保つことが可能である。
【0103】
より具体的は、はめ込み式の場合、外側ノズル18Bの外周面の直径に対して、リング部材52の内周面の直径を0.5mm~2.0mm小さくし、リング部材52を外側ノズル18Bの外周面に圧入して取り付けるように構成してもよい。
【0104】
ここで、ネジ式の構成について
図16を参照しながら説明する。
図16は、実施の形態3の変形例に係るリング部材52Baの構成を説明するための図である。ネジ式の場合、
図16の(a)に示すように、リング部材52Baの内周面には、雌ネジ部57が形成されている。また、
図16の(b)に示すように、外側ノズル18Baの外周面には、雄ネジ部59が形成されている。雌ネジ部57と雄ネジ部59とを互いに噛み合わせて、リング部材52Baを外側ノズル18Baに対して
図16の(b)の矢印Pで示す方向に回転させることにより、リング部材52Baを外側ノズル18Bに取り付けるように構成してもよい。なお、リング部材52Baを外側ノズル18Bから取り外す際には、リング部材52Baを外側ノズル18Baに対して
図16の(b)の矢印Qで示す方向(矢印Pで示す方向と反対方向)に回転させればよい。
【0105】
制御ユニット6Bにより構成される吐出制御部24Bは、距離検出センサ50により吐出口20Bが開放されたことが所定回数(例えば、2回)連続して検出された場合に、吐出デバイス14に吐出信号を出力して、内側ノズル16Bの吐出口20Bから液体を吐出させる。
【0106】
[3-2.経鼻配送装置の動作]
図17~
図19を参照しながら、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bの動作について説明する。
図17~
図19は、実施の形態3に係る経鼻配送装置2Bの動作を説明するための図である。
【0107】
以下、経鼻配送装置2Bを用いて、薬液を使用者の鼻腔26における嗅上皮46に吐出する場合について説明する。
【0108】
まず、
図17の(a)に示すように、使用者は、経鼻配送装置2Bの筐体4を手に持ち、外側ノズル18Bの先端部に位置しているリング部材52の外周部を、左右いずれかの外鼻孔32の周縁部に接触させる。これにより、リング部材52は、外鼻孔32の周縁部に引っ掛かることにより、外鼻孔32に対して位置決めされる。
【0109】
次に、
図17の(b)に示すように、使用者は、内側ノズル16B及び外側ノズル18Bを鼻腔26に挿入する。この時、リング部材52は、外鼻孔32に対して位置決めされた状態で、外側ノズル18Bに対して、外側ノズル18Bの長手方向に沿って外側ノズル18Bの先端部から基端部に向けて移動する。これにより、駆動部材56は、リング部材52の外部に露出されるようになる。
【0110】
図18の(a)に示すように、使用者が内側ノズル16B及び外側ノズル18Bをさらに鼻腔26に挿入すると、駆動部材56の本体部60の先端部が下鼻甲介34に引っ掛かるようになる。この状態で、使用者が内側ノズル16B及び外側ノズル18Bをさらに鼻腔26に挿入すると、
図18の(b)に示すように、駆動部材56の本体部60が、内側ノズル16Bに対して第1の位置から第2の位置に移動するようになる。これにより、内側ノズル16Bの先端部が、複数のシャッタ片62を押し広げながら本体部60の開口部64を通過することによって、内側ノズル16Bの吐出口20Bが開放される。この時、距離検出センサ50は、内側ノズル16Bの吐出口20Bが開放されたことを検出し、検出結果を吐出制御部24Bに出力する。
【0111】
その後、使用者が内側ノズル16B及び外側ノズル18Bをさらに鼻腔26に挿入すると、駆動部材56の本体部60の先端部が下鼻甲介34から外れて、本体部60が付勢部材58の付勢力により第2の位置から第1の位置に移動する。これにより、内側ノズル16Bの吐出口20Bが閉塞される。この時、距離検出センサ50は、内側ノズル16Bの吐出口20Bが閉塞されたことを検出し、検出結果を吐出制御部24Bに出力する。
【0112】
図19の(a)に示すように、使用者が内側ノズル16B及び外側ノズル18Bをさらに鼻腔26に挿入すると、駆動部材56の本体部60の先端部が中鼻甲介38に引っ掛かるようになる。この時、内側ノズル16Bの吐出口20Bは、上鼻道44に面する位置にある。この状態で、使用者が内側ノズル16B及び外側ノズル18Bをさらに鼻腔26に挿入すると、
図19の(b)に示すように、駆動部材56の本体部60が、内側ノズル16Bに対して第1の位置から第2の位置に移動するようになる。これにより、内側ノズル16Bの先端部が、複数のシャッタ片62を押し広げながら本体部60の開口部64を通過することによって、内側ノズル16Bの吐出口20Bが開放される。この時、距離検出センサ50は、内側ノズル16Bの吐出口20Bが開放されたことを検出し、検出結果を吐出制御部24Bに出力する。
【0113】
吐出制御部24Bは、距離検出センサ50により吐出口20Bが開放されたことが2回連続して検出されたことを受けて、吐出デバイス14に吐出信号を出力して、内側ノズル16Bの吐出口20Bから薬液を吐出させる。この時、内側ノズル16Bの吐出口20Bは、上鼻道44に面する位置にあるため、吐出口20Bからの薬液は、上鼻道44を通して嗅上皮46に到達する。これにより、薬液が嗅上皮46に吐出される。
【0114】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0115】
(実施の形態4)
[4-1.経鼻配送装置の構造]
図20~
図23を参照しながら、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cの構造について説明する。
図20は、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cを示す斜視図である。
図21は、吐出口22Cが開放された状態での、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cを示す斜視図である。
図22は、
図20のXXI-XXI線による、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cの概略断面図である。
図23は、
図21のXXII-XXII線による、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cの概略断面図である。
【0116】
図20~
図23に示すように、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cでは、ノズル8Cの構成が上記実施の形態1と異なっている。具体的には、ノズル8Cは、ノズル本体66と、駆動機構48Cと、距離検出センサ50Cとを有している。
【0117】
ノズル本体66は、円筒状且つ長尺状に形成されている。ノズル本体66の基端部は、筐体4の上面に接続されている。また、ノズル本体66の先端部は、閉塞されている。ノズル本体66の先端部近傍における外周面には、ノズル本体66の内部と連通された吐出口22Cが形成されている。
【0118】
駆動機構48Cは、ノズル8Cの一部である駆動部材56C(後述する)が鼻腔における鼻甲介に接触した状態で、ノズル8Cを鼻腔に挿入する動作に連動して、ノズル本体66の吐出口22Cを開放するための機構である。駆動機構48Cは、駆動部材56Cと、付勢部材58Cとを有している。
【0119】
駆動部材56Cは、ノズル本体66の外周面上に配置されており、吐出口22Cを開閉する。具体的には、駆動部材56Cは、ノズル本体66の吐出口22Cを閉塞する第1の位置(
図20及び
図22に示す位置)と、ノズル本体66の吐出口22Cを開放する第2の位置(
図21及び
図23に示す位置)との間を移動可能である。
【0120】
図22及び
図23に示すように、付勢部材58Cは、例えばコイルバネで構成され、ノズル本体66の内部に配置されている。付勢部材58Cは、駆動部材56Cを第2の位置から第1の位置に向かう方向に付勢している。
【0121】
図22及び
図23に示すように、距離検出センサ50Cは、例えば反射型光センサ、超音波センサ又は圧力センサ等で構成され、ノズル本体66の内周面に支持されている。距離検出センサ50Cは、距離検出センサ50Cと駆動機構48Cとの間の距離に基づいて、駆動機構48Cの第1の位置から第2の位置への移動を検出することにより、ノズル本体66の吐出口22Cが開放されたことを検出する。また、距離検出センサ50Cは、距離検出センサ50Cと駆動機構48Cとの間の距離に基づいて、駆動機構48Cの第2の位置から第1の位置への移動を検出することにより、ノズル本体66の吐出口22Cが閉塞されたことを検出する。距離検出センサ50Cは、検出結果を吐出制御部24Cに出力する。
【0122】
制御ユニット6Cにより構成される吐出制御部24Cは、距離検出センサ50Cにより吐出口22Cが開放されたことが検出された場合に、吐出デバイス14に吐出信号を出力して、ノズル本体66の吐出口22Cから液体を吐出させる。
【0123】
[4-2.経鼻配送装置の動作]
図24及び
図25を参照しながら、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cの動作について説明する。
図24及び
図25は、実施の形態4に係る経鼻配送装置2Cの動作を説明するための図である。
【0124】
以下、経鼻配送装置2Cを用いて、薬液を使用者の鼻腔26における上咽頭28及び嗅上皮46に吐出する場合について説明する。
【0125】
まず、
図24の(a)に示すように、使用者は、経鼻配送装置2Cの筐体4を手に持ち、駆動部材56Cが手前側(使用者側)を向くようにして、ノズル本体66の先端部を左右いずれかの外鼻孔32から鼻腔26に挿入する。
【0126】
使用者がノズル本体66をさらに鼻腔26に挿入すると、駆動部材56Cが下鼻甲介34に引っ掛かるようになる。この状態で、使用者がノズル本体66をさらに鼻腔26に挿入すると、
図24の(b)に示すように、駆動部材56Cが、ノズル本体66に対して第1の位置から第2の位置に移動することにより、ノズル本体66の吐出口22Cが開放される。この時、ノズル本体66の吐出口22Cは、中鼻道40に面する位置にある。距離検出センサ50Cは、ノズル本体66の吐出口22Cが開放されたことを検出し、検出結果を吐出制御部24Cに出力する。
【0127】
吐出制御部24Cは、距離検出センサ50Cにより吐出口22Cが開放されたことが検出されたことを受けて、吐出デバイス14に吐出信号を出力し、ノズル本体66の吐出口22Cから薬液を吐出させる。これにより、吐出口22Cからの薬液は、中鼻道40を通して上咽頭28に到達し、上咽頭28に吐出される。
【0128】
その後、使用者がノズル本体66をさらに鼻腔26に挿入すると、駆動部材56Cが下鼻甲介34から外れて、付勢部材58Cの付勢力により第2の位置から第1の位置に移動する。これにより、ノズル本体66の吐出口22Cが閉塞される。この時、距離検出センサ50Cは、ノズル本体66の吐出口22Cが閉塞されたことを検出し、検出結果を吐出制御部24Cに出力する。
【0129】
図25の(a)に示すように、使用者がノズル本体66をさらに鼻腔26に挿入すると、駆動部材56Cが中鼻甲介38に引っ掛かるようになる。この状態で、使用者がノズル本体66をさらに鼻腔26に挿入すると、
図25の(b)に示すように、駆動部材56Cが、ノズル本体66に対して第1の位置から第2の位置に移動することにより、ノズル本体66の吐出口22Cが開放される。この時、ノズル本体66の吐出口22Cは、上鼻道44に面する位置にある。距離検出センサ50Cは、ノズル本体66の吐出口22Cが開放されたことを検出し、検出結果を吐出制御部24Cに出力する。
【0130】
吐出制御部24Cは、距離検出センサ50Cにより吐出口22Cが開放されたことが検出されたことを受けて、吐出デバイス14に吐出信号を出力し、ノズル本体66の吐出口22Cから薬液を吐出させる。これにより、吐出口22Cからの薬液は、上鼻道44を通して嗅上皮46に到達し、嗅上皮46に吐出される。
【0131】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0132】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~4に係る経鼻配送装置について説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0133】
上記各実施の形態では、経鼻配送装置2(2A,2B,2C)により使用者に吐出するエアロゾルを薬液としたが、これに限定されず、例えば、リラックス効果のある芳香性を有するエアロゾル、又は、覚醒効果のある刺激性を有するエアロゾル等であってもよい。
【0134】
上記実施の形態1では、ノズル8が3つの吐出口(第1の吐出口22a、第2の吐出口22b、第3の吐出口22c)を有するようにしたが、これに限定されず、2つの吐出口(第1の吐出口22a、第2の吐出口22b)を有するようにしてもよい。
【0135】
また、経鼻配送装置2(2A,2B,2C)から薬液を液体として吐出してもよいし、エアロゾルとして吐出してもよい。いずれの場合であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明に係る経鼻配送装置は、例えば薬液を使用者の鼻腔に吐出するための点鼻用ディスペンサとして適用することができる。
【符号の説明】
【0137】
2,2A,2B,2C 経鼻配送装置
4 筐体
6,6A,6B,6C 制御ユニット
8,8A,8B,8C ノズル
10a 第1のシャッタ
10b 第2のシャッタ
10c 第3のシャッタ
10A シャッタ
12a 第1の距離検出センサ
12b 第2の距離検出センサ
12c 第3の距離検出センサ
12A,50,50C 距離検出センサ
14 吐出デバイス
16,16A,16B 内側ノズル
18,18A,18B,18Ba 外側ノズル
20a,22a 第1の吐出口
20b,22b 第2の吐出口
20c,22c 第3の吐出口
20A,20B,22A,22C 吐出口
24,24A,24B,24C 吐出制御部
26 鼻腔
28 上咽頭
30 咽頭
32 外鼻孔
34 下鼻甲介
36 下鼻道
38 中鼻甲介
40 中鼻道
42 上鼻甲介
44 上鼻道
46 嗅上皮
48,48C 駆動機構
52,52Ba リング部材
54 間隙
56,56C 駆動部材
57 雌ネジ部
58,58C 付勢部材
59 雄ネジ部
60 本体部
62 シャッタ片
64 開口部
66 ノズル本体