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  • 特開-自動走行電動作業機の管理システム 図1
  • 特開-自動走行電動作業機の管理システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157227
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】自動走行電動作業機の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231019BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066999
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】山下 智志
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK18
5H301KK19
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】本発明は、電動作業機を使用した作業で電力不足による作業中断を短時間として効率的な作業を継続出来る自動走行電動作業機の管理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】バッテリー8と電力計9と測位装置7と制御部6を搭載した自動走行電動作業機10を複数台用意すると共にこの自動走行電動作業機10を通信制御する作業機制御サーバ11を設け、自動走行電動作業機10に搭載の電力計9でバッテリー8の残存電力を管理し、残存電力が所定値より少なくなると作業を中断して測位装置7が認識する地図上の中断位置5を作業機制御サーバ11に報告して機体を充電場所4に移動し、作業機制御サーバ11は作業中断報告を受けると充電済みの自動走行電動作業機10を作業中断位置5へ移動させて作業を引継続行させることを特徴とする自動走行電動作業機の管理システムとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー(8)と電力計(9)と測位装置(7)と制御部(6)を搭載した自動走行電動作業機(10)を複数台用意すると共にこの自動走行電動作業機(10)を通信制御する作業機制御サーバ(11)を設け、自動走行電動作業機(10)に搭載の電力計(9))でバッテリー(8)の残存電力を管理し、残存電力が所定値より少なくなると作業を中断して測位装置(7)が認識する地図上の中断位置(5)を作業機制御サーバ(11)に報告して機体を充電場所(4)に移動し、作業機制御サーバ(11)は作業中断報告を受けると充電済みの自動走行電動作業機(10)を作業中断位置(5)へ移動させて作業を引継続行させることを特徴とする自動走行電動作業機の管理システム。
【請求項2】
自動走行電動作業機(10)の測位装置(7)で測位する機体の地図上位置と充電場所(4)までの充電復帰距離を算出し、自動走行電動作業機(10)が充電復帰距離を走行するに必要な復帰限界電力となると作業を中断して作業機制御サーバ(11)に作業中断の報告をすることを特徴とする請求項1に記載の自動走行電動作業機の管理システム。
【請求項3】
自動走行電動作業機(10)が直進往復移動作業を繰り返して作業を行う場合で、往復起点で直進往復移動に必要な電力が不足すると制御部(6)で判断すると作業機制御サーバ(11)に作業中断報告をして充電場所(4)に移動することを特徴とする請求項2に記載の自動走行電動作業機の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー電力を動力源とした自動走行電動作業機の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017―7608号公報に記載の芝刈り機はバッテリーの電力で駆動する電動作業機であるが、近年において電力を駆動源とした電動作業機が普及してきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017―7608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動作業機はバッテリーの電力で駆動するモータで走行するために排気ガスが出ず環境を汚染しないが、動力源として搭載するバッテリーは蓄電力が少なく広い農場などの農作業では電力消耗で作業中に走行が停止する場合がある。
【0005】
このために、本発明は、自動走行電動作業機を使用した作業で電力不足による作業中断を短時間として効率的な作業を継続出来る自動走行電動作業機の管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、バッテリー8と電力計9と測位装置7と制御部6を搭載した自動走行電動作業機10を複数台用意すると共にこの自動走行電動作業機10を通信制御する作業機制御サーバ11を設け、自動走行電動作業機10に搭載の電力計9でバッテリー8の残存電力を管理し、残存電力が所定値より少なくなると作業を中断して測位装置7が認識する地図上の中断位置5を作業機制御サーバ11に報告して機体を充電場所4に移動し、作業機制御サーバ11は作業中断報告を受けると充電済みの自動走行電動作業機10を作業中断位置5へ移動させて作業を引継続行させることを特徴とする自動走行電動作業機の管理システムとする。
【0008】
請求項2の発明は、自動走行電動作業機10の測位装置7で測位する機体の地図上位置と充電場所4までの充電復帰距離を算出し、自動走行電動作業機10が充電復帰距離を走行するに必要な復帰限界電力となると作業を中断して作業機制御サーバ11に作業中断の報告をすることを特徴とする請求項1に記載の自動走行電動作業機の管理システムとする。
【0009】
請求項3の発明は、自動走行電動作業機10が直進往復移動作業を繰り返して作業を行う場合で、往復起点で直進往復移動に必要な電力が不足すると制御部6で判断すると作業機制御サーバ11に作業中断報告をして充電場所4に移動することを特徴とする請求項1に記載の自動走行電動作業機の作業管理システムとする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、自動走行電動作業機10は自動操縦で走行しながらバッテリー8の電力でモータを駆動しながら作業走行するが、電力計9で計測するバッテリーの残存電力が少なくなると作業を中断し、その地図上の中断位置5を作業機制御サーバ11に報告することで、作業機制御サーバ11が充電済みの自動走行電動作業機10を作業中断位置5へ移動させて作業を引継続行させるので、作業地での必要な作業を継続して迅速に行わらせることが出来る。
【0011】
請求項2の発明で、自動走行電動作業機10は、充電復帰距離を走行するに必要な限界電力になると作業を中断して充電場所4に移動するので、作業中断位置から充電場所4へ確実にたどり着き、充電済みの自動走行電動作業機10と作業を交代出来る。
【0012】
請求項3の発明で、自動走行電動作業機10は、直進往復移動作業を繰り返して作業を行うが、直進往復移動の途中で電力を消耗して停止することなく、往復起点で充電済みの自動走行電動作業機10と交代して、充電場所4に移動して充電を行うので、直進往復作業の途中経路が乱れることなく、作業を完結出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態にかかる自動走行電動作業機の作業管理システムの制御ブロック図である。
図2】同上自動走行電動作業機の作業状態を示す平面図である。
図3】同上複数の自動走行電動作業機で作業を行う状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。なお、実施例の説明において、自動走行電動作業機10は自動操縦トラクタで、作業は圃場Hの耕耘作業を行う場合として説明する。
【0015】
図1に示す如く、各自動走行電動作業機10は、制御部6と測位装置7とバッテリー8と電力計9を備え、測位装置7で機体の地図上位置を認識し、制御部6でバッテリー8の電力を計測する電力計9の電力で走行可能距離を判断し、作業機制御サーバ11との無線通信を行い、作業機制御サーバ11からの指示でバッテリー8の電力で走行し、操縦を自動制御する。
【0016】
図3に示す如く、充電場所4の周囲には広さの違う圃場H1,H2,H3,H4,H5があり、それぞれの圃場に自動走行電動作業機10A,10B,10C,10D,10Eを配置して耕耘作業を行うようにし、充電場所4には充電済みのバッテリー8F、8Gを搭載した自動走行電動作業機10F,10Gを待機させている。なお、自動走行電動作業機10とは、測位衛星からの電波を受けて機体の地図上位置を認識し、自動操縦で圃場Hを走行し、最短距離で出入口3を通って充電場所4と圃場Hの作業中断位置5に移動する。
【0017】
また、充電場所4には作業機制御サーバ11を設置して各自動走行電動作業機10A~10Gから作業中断報告やバッテリー8の残存電力、測位装置7で認識する作業中断の地図上機体位置を無線通信で受け管理する。さらに、各自動走行電動作業機10A~10Gに制御信号を送信する。なお、作業機制御サーバ11は作業管理者が持っているタブレット端末であっても良い。
【0018】
圃場H1では自動走行電動作業機10Aに搭載したバッテリー8Aが充電率92%から作業終了で25%になり、圃場H2では自動走行電動作業機10Bに搭載したバッテリー8Bが充電率99%から作業終了で18%になり、圃場H3では自動走行電動作業機10Cに搭載したバッテリー8Cが充電率95%から作業終了で44%になり、圃場H4では自動走行電動作業機10Dに搭載したバッテリー8Dが充電率92%から作業終了で32%になり、圃場H5では自動走行電動作業機10Eに搭載したバッテリー8Eが充電率95%から作業終了で60%になることを表示して、これらの圃場H1,H2,H3,H4,H5での作業では作業を中断することは無い。
【0019】
図2に示す如く、広い圃場H6で作業を行う自動走行電動作業機10Aは、バッテリー8Aが充電率99%から圃場H6内を直進往復しながら耕耘作業を行うが、バッテリー8Aが充電率7%になると作業を中断して作業機制御サーバ11に地図上作業中断位置5として作業中断を報告して出入口3を通って充電場所4に自動操縦で戻り、別の自動走行電動作業機10Bが作業機制御サーバ11の指示で作業中断位置5に向かい、耕耘作業を引き継いで開始する。
【0020】
なお、作業中断は、バッテリー8Aの充電率7%がきっかけではなく、自動走行電動作業機10Aの測位装置7Aで充電場所4と機体の距離がバッテリー8の限界電力で走行可能であるかを算出しながら決定し、また、直進往復しても充電場所4に戻れるかを往復起点5で判断して、戻れない場合は作業中断を作業機制御サーバ11に報告する。一方、作業中断の報告を受けた作業機制御サーバ11は待機する自動走行電動作業機10Bを往復起点5に向かわせて耕耘作業を引継で作業を続行する。
【0021】
この作業交代は、作業中断を予測して直前に余裕を持たせて自動走行電動作業機10Bを往復起点5に向かわせるようにすると、作業の引継がさらに迅速に行えるようになる。
【0022】
このように、各自動走行電動作業機10は、制御部6と測位装置7とバッテリー8と電力計9を備え、測位装置7で機体の地図上位置を認識していて、制御部6で直進往復作業を開始する前に往復起点5で往復作業を行っても充電場所4に戻る限界電力があるかを判断し、限界電力が無いと判断するとその往復起点5で作業中断して作業機制御サーバ11に報告して充電場所4に戻れるよう走行を制御する。
【0023】
自動走行電動作業機10の制御部6は、圃場H6の出入り口3を通って充電場所4に戻るルートを設定し、そのルートを走行するに必要な電力を算出する。
【0024】
既述の如く、バッテリー8の残存電力を作業機制御サーバ11に常時或いは所定間隔で報告し、復帰限界電力に近づくと充電済みの自動走行電動作業機10を作業中断位置5に向かわせて作業交代を迅速に行わせるようにするとさらに効率的な作業が行える。
【符号の説明】
【0025】
5 作業中断位置
6 制御部
7 測位装置
8 バッテリー
9 電力計
10 自動走行電動作業機
11 作業機制御サーバ
図1
図2
図3