(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157231
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】液体吐出装置、および液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
A61M 15/08 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
A61M15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067004
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】米川 亮
(57)【要約】
【課題】液体を鼻腔内の所定の部位により正確に吐出することができる液体吐出装置等を提供する。
【解決手段】液体吐出装置10は、一方の鼻腔3に挿入された状態で第1の液体を吐出する第1のノズル14と、他方の鼻腔4に挿入された状態で空気を吸い込むことによって一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる第2のノズル16とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の鼻腔に挿入された状態で第1の液体を吐出する第1のノズルと、
他方の鼻腔に挿入された状態で空気を吸い込むことによって前記一方の鼻腔から前記他方の鼻腔に流れる第1の気流を発生させる第2のノズルとを備える、
液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2のノズルは、前記他方の鼻腔に挿入された状態で、前記一方の鼻腔に挿入された状態の前記第1のノズルから吐出された前記第1の液体を吸い込み、
前記第2のノズルに吸い込まれた前記第1の液体を検出する液体検出部をさらに備える、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1のノズルが前記第1の液体を吐出してから前記液体検出部が前記第2のノズルに吸い込まれた前記第1の液体を検出するまでの時間を計測する時間計測部をさらに備える、
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1の気流の速度と前記時間計測部によって計測された前記時間とを乗算することによって距離を算出する算出部をさらに備える、
請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記算出部によって算出された前記距離に基づいて、前記第1の気流を制御する気流制御部をさらに備える、
請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1の気流が発生している状態で、前記第1のノズルから前記第1の液体を吐出させる吐出制御部をさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1のノズルは、前記一方の鼻腔に挿入された状態で空気を吸い込むことによって前記他方の鼻腔から前記一方の鼻腔に流れる第2の気流を発生させる、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第2のノズルは、前記他方の鼻腔に挿入された状態で第2の液体を吐出する、
請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記液体吐出装置を使用する使用者の脳波を計測する脳波計測部の計測結果に基づいて、前記第1の気流および前記第2の気流のうち少なくとも一方を制御する気流制御部をさらに備える、
請求項7または8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
一方の鼻腔に挿入された状態の第1のノズルから第1の液体を吐出させる吐出ステップと、
他方の鼻腔に挿入された状態の第2のノズルに空気を吸い込ませることによって前記一方の鼻腔から前記他方の鼻腔に流れる第1の気流を発生させる発生ステップとを備える、
液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を使用者に吐出するための液体吐出装置および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を使用者の鼻腔に吐出するための液体吐出装置等が知られている。液体吐出装置等の一例として、特許文献1には、薬物を同伴している気体流を鼻中隔の後周辺部に回り込んで患者の他方の鼻孔から出てくるような駆動圧で患者の一方の鼻孔に送り込むための送り込みユニットを備える鼻用の送り込み装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の鼻用の送り込み装置では、液体を鼻腔内の所定の部位に吐出することが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、液体を鼻腔内の所定の部位により正確に吐出することができる液体吐出装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、一方の鼻腔に挿入された状態で第1の液体を吐出する第1のノズルと、他方の鼻腔に挿入された状態で空気を吸い込むことによって前記一方の鼻腔から前記他方の鼻腔に流れる第1の気流を発生させる第2のノズルとを備える。
【0007】
本態様によれば、一方の鼻腔から他方の鼻腔に流れる第1の気流を発生させることができるので、第1のノズルから吐出された第1の液体を第1の気流に乗せることができ、第1の液体を第1の気流に乗せることによって第1の液体が拡散することを抑制できる。したがって、第1の液体を鼻腔内の所定の部位により正確に吐出することができる。
【0008】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記第2のノズルは、前記他方の鼻腔に挿入された状態で、前記一方の鼻腔に挿入された状態の前記第1のノズルから吐出された前記第1の液体を吸い込み、前記第2のノズルに吸い込まれた前記第1の液体を検出する液体検出部をさらに備えてもよい。
【0009】
本態様によれば、液体検出部によって第1の液体が検出されない場合、第1の液体が鼻腔内の所定の部位に付着したと推定できる。また、液体検出部によって第1の液体が検出された場合、第1の液体が鼻腔内の所定の部位に吐出していないと推定できる。このように、第1の液体が鼻腔内の所定の部位に付着したか否かを推定できるので、第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0010】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、前記第1のノズルが前記第1の液体を吐出してから前記液体検出部が前記第2のノズルに吸い込まれた前記第1の液体を検出するまでの時間を計測する時間計測部をさらに備えてもよい。
【0011】
本態様によれば、第1のノズルが第1の液体を吐出してから液体検出部が第1の液体を検出するまでの時間を計測できるので、当該時間に基づいて第1の気流の速度等を調整でき、第1の気流の速度等を調整することによって第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0012】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、前記第1の気流の速度と前記時間計測部によって計測された前記時間とを乗算することによって距離を算出する算出部をさらに備えてもよい。
【0013】
本態様によれば、第1の気流の速度と時間計測部によって計測された時間とを乗算することによって距離を算出できるので、当該距離に基づいて第1の気流の速度等を調整でき、第1の気流の速度等を調整することによって第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0014】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、前記算出部によって算出された前記距離に基づいて、前記第1の気流を制御する気流制御部をさらに備えてもよい。
【0015】
本態様によれば、第1の気流の速度と時間計測部によって計測された時間とを乗算することによって算出された距離に基づいて第1の気流を制御でき、第1の気流を制御することによって第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0016】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、前記第1の気流が発生している状態で、前記第1のノズルから前記第1の液体を吐出させる吐出制御部をさらに備えてもよい。
【0017】
本態様によれば、第1のノズルから吐出された第1の液体を第1の気流に乗せ易くなり、第1の液体が拡散することをさらに抑制できる。したがって、第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0018】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記第1のノズルは、前記一方の鼻腔に挿入された状態で空気を吸い込むことによって前記他方の鼻腔から前記一方の鼻腔に流れる第2の気流を発生させてもよい。
【0019】
本態様によれば、他方の鼻腔から一方の鼻腔に流れる第2の気流を発生させることができるので、第1のノズルから吐出された第1の液体を第2の気流によって鼻腔内に留めることができる。したがって、第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0020】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置において、前記第2のノズルは、前記他方の鼻腔に挿入された状態で第2の液体を吐出してもよい。
【0021】
本態様によれば、他方の鼻腔に挿入された状態の第2のノズルから第2の液体を吐出させることができるので、第1の液体を鼻腔内の所定の部位に吐出し難い場合であっても第2の液体を当該所定の部位に吐出することができ、第2の液体を鼻腔内の所定の部位により正確に吐出することができる。
【0022】
たとえば、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、前記液体吐出装置を使用する使用者の脳波を計測する脳波計測部の計測結果に基づいて、前記第1の気流および前記第2の気流のうち少なくとも一方を制御する気流制御部をさらに備えてもよい。
【0023】
本態様によれば、脳波計測部の計測結果に基づいて第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御でき、第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御することによって第1の液体を鼻腔内の所定の部位にさらに正確に吐出することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る液体吐出方法は、一方の鼻腔に挿入された状態の第1のノズルから第1の液体を吐出させる吐出ステップと、他方の鼻腔に挿入された状態の第2のノズルに空気を吸い込ませることによって前記一方の鼻腔から前記他方の鼻腔に流れる第1の気流を発生させる発生ステップとを備える。
【0025】
本態様によれば、上記の液体吐出装置と同様の作用効果を奏する。
【0026】
なお、本発明は、このような特徴的な処理部を備える液体吐出装置として実現することができるだけでなく、液体吐出装置に含まれる特徴的な処理部が実行する処理をステップとする制御方法として実現することができる。また、液体吐出装置に含まれる特徴的な処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラムまたは制御方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様に係る液体吐出装置等によれば、液体を鼻腔内の所定の部位により正確に吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る液体吐出装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1の液体吐出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1の液体吐出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態に係る液体吐出装置を示す模式図である。
【
図6】
図6は、
図5の液体吐出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図5の液体吐出装置の動作の一例を説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、第3の実施の形態に係る液体吐出装置を示す模式図である。
【
図9】
図9は、
図8の液体吐出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、
図8の液体吐出装置の動作の一例を説明するための第1の説明図である。
【
図12】
図12は、
図8の液体吐出装置の動作の一例を説明するための第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る液体吐出装置10を示す斜視図である。
図2は、
図1の液体吐出装置10を示す模式図である。なお、
図1および
図2において、液体吐出装置10の幅方向(左右方向)をX軸方向とし、液体吐出装置10の奥行き方向(前後方向)をY軸方向とし、液体吐出装置10の高さ方向(上下方向)をZ軸方向として説明する。また、
図2では、本体部12、第1のノズル14、および第2のノズル16を断面で示している。
【0031】
液体吐出装置10は、液体を使用者1の鼻腔2(
図2の二点鎖線を参照)に吐出するための点鼻用ディスペンサである。たとえば、液体吐出装置10は、エアロゾルを吐出して使用者1の鼻腔2にエアロゾルを配送する経鼻配送装置である。たとえば、液体吐出装置10によって吐出される液体は、薬液等であり、エアロゾルを含んでいる。鼻腔2は、一方の鼻腔3と、他方の鼻腔4とを含んでおり、一方の鼻腔3と他方の鼻腔4とは相互に連通している。
図1および
図2に示すように、液体吐出装置10は、本体部12と、第1のノズル14と、第2のノズル16と、吐出部18と、吸引部20と、液体検出部22と、時間計測部24と、操作受付部26と、制御部28と、電源部30とを備えている。
【0032】
また、ここでエアロゾルは一般的に空気中に微細な固体または液体の粒子が浮遊している状態のことを指すが、その視程や色の違いは様々で、例えば霧、煙、粉塵等もエアロゾルの一種であり、その粒形は0.001μm~100μm程度と考えられている。本実施例では上記、液体吐出に加え、エアロゾルとして吐出するように構成しても同様な効果を有する。
【0033】
本体部12は、第1のノズル14と第2のノズル16とを連結する部材である。本実施の形態では、本体部12は、中空状の直方体状に形成されている。
【0034】
第1のノズル14は、一方の鼻腔3に挿入された状態で第1の液体を吐出する。本実施の形態では、第1のノズル14は、吐出部18から吐出された第1の液体を吐出する。たとえば、第1のノズル14から吐出される第1の液体は、霧状である。第1のノズル14は、本体部12から突出している。第1のノズル14は、筒状であり、第1のノズル14の内部の空間は、本体部12の内部の空間と連通している。
【0035】
第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で空気を吸い込むことによって一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる(
図2のドットを付した矢印を参照)。本実施の形態では、第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で吸引部20が空気を吸引することによって鼻腔2内における空気を吸い込み、一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる。本実施の形態では、第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出された第1の液体を吸い込むことができる。本実施の形態では、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出されて鼻腔2に付着しなかった第1の液体は、第1の気流に乗って他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16に吸い込まれる。第2のノズル16は、本体部12から突出しており、第1のノズル14と並んで設けられている。第2のノズル16は、筒状であり、第2のノズル16の内部の空間は、本体部12の内部の空間と連通している。
【0036】
吐出部18は、第1の液体を保持しており、保持している第1の液体を吐出する吐出機である。たとえば、吐出部18と第1のノズル14との間には、吐出部18から吐出された第1の液体が通る流路(図示せず)が形成されており、吐出部18から吐出された第1の液体は、当該流路を通って第1のノズル14から吐出される。本実施の形態では、吐出部18は、本体部12に収容されている。なお、たとえば、吐出部18は、第1のノズル14に収容されていてもよい。たとえば、吐出部18は、カートリッジ(図示せず)と、カートリッジに貯留されている第1の液体を吐出するためのヒータチップ(図示せず)とを含んで構成される。たとえば、吐出部18は、サーマルインクジェット方式によって、所定量(たとえば数十μリットル程度)の霧状の第1の液体を吐出する。
【0037】
吸引部20は、空気を吸引する吸引機である。たとえば、吸引部20と第2のノズル16との間には、流路(図示せず)が形成されており、鼻腔2内の空気は、吸引部20が空気を吸引することによって第2のノズル16に吸い込まれる。本実施の形態では、吸引部20は、本体部12に収容されている。なお、たとえば、吸引部20は、第2のノズル16に収容されていてもよい。たとえば、吸引部20は、ファン(図示せず)と、ファンを回転させるモータ(図示せず)とを含んで構成される。
【0038】
液体検出部22は、第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出するセンサである。つまり、液体検出部22は、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出されて他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出する。本実施の形態では、液体検出部22は、本体部12に収容されている。なお、たとえば、液体検出部22は、第2のノズル16に収容されていてもよい。たとえば、液体検出部22は、光センサであり、液体検出部22を通過した第1の液体に光が照射されることによって第1の液体を検出する。
【0039】
時間計測部24は、第1のノズル14が第1の液体を吐出してから液体検出部22が第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出するまでの時間を計測するタイマである。たとえば、吐出部18から第1の液体が吐出されるタイミングと第1のノズル14から当該第1の液体が吐出されるタイミングとは略同じであるので、時間計測部24は、吐出部18が第1の液体を吐出したタイミングで計測を開始し、液体検出部22が第1の液体を検出したタイミングで計測を終了することによって、第1のノズル14が第1の液体を吐出してから液体検出部22が第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出するまでの時間を計測する。本実施の形態では、時間計測部24は、本体部12に収容されている。なお、たとえば、時間計測部24は、本体部12の外部に設けられていてもよい。
【0040】
操作受付部26は、使用者1による操作を受け付ける。本実施の形態では、操作受付部26は、本体部12の側面に設けられている。本実施の形態では、操作受付部26が使用者1による操作を受け付けた場合、第1のノズル14は第1の液体を吐出し、第2のノズル16は液体吐出装置10の外部の空気を吸い込む。たとえば、操作受付部26は、プッシュボタン、タッチボタン、またはスイッチ等である。
【0041】
制御部28は、第1のノズル14からの第1の液体の吐出および第2のノズル16によって発生する第1の気流等を制御する。本実施の形態では、制御部28は、本体部12に収容されている。たとえば、制御部28は、第1のノズル14からの第1の液体の吐出および第2のノズル16によって発生する第1の気流等を制御するための制御回路等が実装された制御基板である。
【0042】
電源部30は、吐出部18、吸引部20、液体検出部22、時間計測部24、および制御部28等に電力を供給する。吐出部18、吸引部20、液体検出部22、時間計測部24、および制御部28等は、電源部30から供給された電力に基づいて稼働する。本実施の形態では、電源部30は、本体部12に収容されている。たとえば、電源部30は、バッテリ等であってもよいし、アダプタを介して外部電源から供給を受けた電力を供給する回路が実装された基板等であってもよい。
【0043】
図3は、
図1の液体吐出装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0044】
図3に示すように、制御部28は、吐出制御部32と、気流制御部34と、算出部36とを有している。
【0045】
吐出制御部32は、第1のノズル14からの第1の液体の吐出を制御する。本実施の形態では、吐出制御部32は、吐出部18を制御することによって、第1のノズル14からの第1の液体の吐出を制御する。たとえば、吐出制御部32は、操作受付部26が使用者1による操作を受け付けた場合、吐出部18から第1の液体を吐出させ、第1のノズル14から当該第1の液体を吐出させる。
【0046】
たとえば、吐出制御部32は、第1の気流が発生している状態で、第1のノズル14から第1の液体を吐出させる。たとえば、吐出制御部32は、操作受付部26が使用者1による操作を受け付けた場合に気流制御部34が吸引部20を稼働させているか否かを判定し、気流制御部34が吸引部20を稼働させているときに吐出部18を稼働させて第1のノズル14から第1の液体を吐出させることによって、第1の気流が発生している状態で第1のノズル14から第1の液体を吐出させる。
【0047】
気流制御部34は、第1の気流を制御する。本実施の形態では、気流制御部34は、吸引部20を制御することによって、第1の気流を制御する。たとえば、気流制御部34は、操作受付部26が使用者1による操作を受け付けた場合、吸引部20に空気を吸引させ、第2のノズル16に空気を吸い込ませて第1の気流を発生させる。
【0048】
たとえば、気流制御部34は、算出部36によって算出された距離に基づいて、第1の気流を制御する。たとえば、気流制御部34は、算出部36によって算出された距離が長い程第1の気流の発生期間が長くなるように吸引部20による吸引期間を制御し、第1の気流の発生期間を制御する。また、たとえば、気流制御部34は、算出部36によって算出された距離が長い程第1の気流の速度が速くなるように吸引部20による吸引力を制御し、第1の気流の速度を制御する。たとえば、第1の気流の発生期間は、第1の液体が吐出されてからの第1の気流の発生期間である。
【0049】
算出部36は、第1の気流の速度と時間計測部24によって計測された時間とを乗算することによって距離を算出する。たとえば、第1の気流の速度は、気流制御部34によって決定され、算出部36は、気流制御部34から第1の気流の速度を取得する。
【0050】
図4は、
図1の液体吐出装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0051】
図4に示すように、液体吐出装置10が使用者1に使用される場合、まず、第1のノズル14および第2のノズル16が、鼻腔2に挿入される(ステップS1)。具体的には、第1のノズル14が一方の鼻腔3に挿入され、第2のノズル16が他方の鼻腔4に挿入される。
【0052】
第1のノズル14および第2のノズル16が鼻腔2に挿入されると、操作受付部26が、使用者1による操作を受け付ける(ステップS2)。たとえば、操作受付部26がプッシュボタンである場合、操作受付部26は、使用者1によって押下される。
【0053】
操作受付部26が使用者1による操作を受け付けると、気流制御部34は、第1の気流を発生させる(発生ステップ)(ステップS3)。たとえば、気流制御部34は、吸引部20を制御して第2のノズル16に空気を吸い込ませることによって、第1の気流を発生させる。
【0054】
気流制御部34が第1の気流を発生させると、吐出制御部32は、第1のノズル14から第1の液体を吐出させる(吐出ステップ)(ステップS4)。たとえば、吐出制御部32は、吐出部18を制御することによって、第1のノズル14から第1の液体を吐出させる。たとえば、吐出制御部32は、第1の気流が発生してから所定の期間経過後に第1のノズル14から第1の液体を吐出させる。
【0055】
吐出制御部32が第1のノズル14から第1の液体を吐出させると、液体検出部22は、第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出する(ステップS5)。たとえば、第1のノズル14から吐出された第1の液体が第1の気流に乗って第2のノズル16に吸い込まれた場合、液体検出部22は、第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出する。
【0056】
液体検出部22が第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出すると、時間計測部24は、第1の液体を検出するまでの時間を計測する(ステップS6)。たとえば、時間計測部24は、吐出部18が第1の液体を吐出したタイミングで計測を開始し、液体検出部22が第1の液体を検出したタイミングで計測を終了することによって、第1のノズル14から第1の液体が吐出されてから液体検出部22が第1の液体を検出するまでの時間を計測する。
【0057】
時間計測部24が当該時間を計測すると、算出部36は、距離を算出する(ステップS7)。具体的には、算出部36は、第1の気流の速度と時間計測部24によって計測された時間とを乗算することによって当該距離を算出する。
【0058】
算出部36が当該距離を算出すると、気流制御部34は、算出部36によって算出された当該距離に基づいて、第1の気流の発生期間を決定する(ステップS8)。たとえば、気流制御部34は、鼻腔2における所定の部位5(
図2を参照)に液体を吐出したい場合、算出部36によって算出された距離に基づいて第1のノズル14から所定の部位5までの距離を推定し、推定された当該距離に基づいて第1の気流の発生期間を決定する。たとえば、気流制御部34は、当該距離が長い程第1の気流の発生期間が長くなるように、第1の気流の発生期間を決定する。より具体的には、時間計測部24により吐出開始からセンサ(液体検出部22)で検知するまで経過した時間Tと気流制御部34によって設定された速度Vより全体の距離RがR=T×Vで算出される。さらにたとえば、所定の部位5の場合は全体の距離の45%の距離とし、R×0.45=R1となる点をエアロゾルを到達させる好適な距離として求めることができる。
【0059】
たとえば、気流制御部34が第1の気流の発生期間を決定した後、液体吐出装置10は、上述したステップS1からステップS4を再度行う。上述したステップS1からステップS4が再度行われる場合、気流制御部34は、ステップS4で第1のノズル14から第1の液体が吐出されてからステップS8で決定した発生期間だけ第1の気流を発生させる。これによって、所定の部位5の位置に応じた期間だけ第1の気流を発生させることができ、第1のノズル14から吐出された第1の液体をより確実に所定の部位5に吐出することができる。
【0060】
なお、たとえば、液体吐出装置10は、ステップS1からステップS4のみを行ってもよい。この場合、たとえば、気流制御部34は、予め定められた発生期間だけ第1の気流を発生させる。
【0061】
また、たとえば、液体吐出装置10は、使用者1が第1の気流の発生期間および速度を設定するための操作を受け付ける操作受付部を備えていてもよい。
【0062】
上述したように、液体吐出装置10では、第1の液体を第1の気流に乗せることによって第1の液体が拡散することを抑制できるので、所定の部位5以外に第1の液体が付着することを抑制でき、第1の液体をより確実に所定の部位5に吐出することができる。また、液体吐出装置10では、所定の部位5の位置に応じて第1の気流を制御できるので、たとえば使用者1が大人である場合には第1の気流の発生期間をより長くし、たとえば使用者1が子供である場合には第1の気流の発生期間をより短くすることによって、第1の液体をさらに確実に所定の部位5に吐出することができる。
【0063】
以上、第1の実施の形態に係る液体吐出装置10について説明した。
【0064】
本実施の形態に係る液体吐出装置10は、一方の鼻腔3に挿入された状態で第1の液体を吐出する第1のノズル14と、他方の鼻腔4に挿入された状態で空気を吸い込むことによって一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる第2のノズル16とを備える。
【0065】
本態様によれば、一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させることができるので、第1のノズル14から吐出された第1の液体を第1の気流に乗せることができ、第1の液体を第1の気流に乗せることによって第1の液体が拡散することを抑制できる。したがって、第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5により正確に吐出することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10において、第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出された第1の液体を吸い込み、第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出する液体検出部22をさらに備える。
【0067】
本態様によれば、液体検出部22によって第1の液体が検出されない場合、第1の液体が鼻腔2内の所定の部位5に付着したと推定できる。また、液体検出部22によって第1の液体が検出された場合、第1の液体が鼻腔2内の所定の部位5に付着していないと推定できる。このように、第1の液体が鼻腔2内の所定の部位5に付着したか否かを推定できるので、第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10は、第1のノズル14が第1の液体を吐出してから液体検出部22が第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出するまでの時間を計測する時間計測部24をさらに備える。
【0069】
本態様によれば、第1のノズル14が第1の液体を吐出してから液体検出部22が第1の液体を検出するまでの時間を計測できるので、当該時間に基づいて第1の気流の速度等を調整でき、第1の気流の速度等を調整することによって第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0070】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10は、第1の気流の速度と時間計測部24によって計測された時間とを乗算することによって距離を算出する算出部36をさらに備える。
【0071】
本態様によれば、第1の気流の速度と時間計測部24によって計測された時間とを乗算することによって距離を算出できるので、当該距離に基づいて第1の気流の速度等を調整でき、第1の気流の速度等を調整することによって第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0072】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10は、算出部36によって算出された距離に基づいて、第1の気流を制御する気流制御部34をさらに備える。
【0073】
本態様によれば、第1の気流の速度と時間計測部24によって計測された時間とを乗算することによって算出された距離に基づいて第1の気流を制御でき、第1の気流を制御することによって第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0074】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10は、第1の気流が発生している状態で、第1のノズル14から第1の液体を吐出させる吐出制御部32をさらに備える。
【0075】
本態様によれば、第1のノズル14から吐出された第1の液体を第1の気流に乗せ易くなり、第1の液体が拡散することをさらに抑制できる。したがって、第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る液体吐出方法は、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から第1の液体を吐出させる吐出ステップ(ステップS4)と、他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16に空気を吸い込ませることによって一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる発生ステップ(ステップS3)とを備える。
【0077】
本態様によれば、上記の液体吐出装置10と同様の作用効果を奏する。
【0078】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態に係る液体吐出装置10aを示す模式図である。なお、
図5では、本体部12、第1のノズル14、および第2のノズル16を断面で示している。
【0079】
液体吐出装置10aは、第1のノズル14によって他方の鼻腔4から一方の鼻腔3に流れる第2の気流を発生させる点、および第2のノズル16から第2の液体を吐出する点において、液体吐出装置10と主に異なっている。以下では、液体吐出装置10との相違点を中心に説明する。
【0080】
図5に示すように、液体吐出装置10aは、本体部12と、第1のノズル14と、第2のノズル16と、流路形成部38,40と、吐出部42,44と、吸引部46と、液体検出部48,50と、時間計測部24とを備えている。また、図示は省略しているが、液体吐出装置10aは、操作受付部26と、制御部28と、電源部30とを備えている。本体部12、時間計測部24、操作受付部26、制御部28、および電源部30については、上述した第1の実施の形態における説明を参照することによって、ここでは詳細な説明を省略する。
【0081】
第1のノズル14は、一方の鼻腔3に挿入された状態で第1の液体を吐出する。本実施の形態では、第1のノズル14は、吐出部42から吐出された第1の液体を吐出する。
【0082】
第1のノズル14は、一方の鼻腔3に挿入された状態で空気を吸い込むことによって他方の鼻腔4から一方の鼻腔3に流れる第2の気流を発生させる。つまり、第1のノズル14は、第1の気流とは反対向きに流れる第2の気流を発生させる。本実施の形態では、第1のノズル14は、一方の鼻腔3に挿入された状態で吸引部46が第1のノズル14側から空気を吸引することによって(
図5の一点鎖線矢印を参照)鼻腔2内における空気を吸い込み、他方の鼻腔4から一方の鼻腔3に流れる第2の気流を発生させる。本実施の形態では、第1のノズル14は、一方の鼻腔3に挿入された状態で、他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16から吐出された第2の液体を吸い込むことができる。本実施の形態では、他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16から吐出されて鼻腔2に付着しなかった第2の液体は、第2の気流に乗って一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14に吸い込まれる。
【0083】
第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で第2の液体を吐出する。本実施の形態では、第2のノズル16は、吐出部44から吐出された第2の液体を吐出する。たとえば、第2のノズル16から吐出される第2の液体は、霧状である。
【0084】
第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で空気を吸い込むことによって一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる。本実施の形態では、第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で吸引部46が第2のノズル16側から空気を吸引することによって(
図5の二点鎖線矢印を参照)鼻腔2内における空気を吸い込み、一方の鼻腔3から他方の鼻腔4に流れる第1の気流を発生させる。本実施の形態では、第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出された第1の液体を吸い込むことができる。本実施の形態では、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出されて鼻腔2に付着しなかった第1の液体は、第1の気流に乗って他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16に吸い込まれる。
【0085】
流路形成部38は、筒状であり、第1のノズル14の内部の空間と吸引部46とを繋ぐ流路を形成している。
【0086】
流路形成部40は、筒状であり、第2のノズル16の内部の空間と吸引部46とを繋ぐ流路を形成している。
【0087】
吐出部42は、第1の液体を保持しており、保持している第1の液体を吐出する吐出機である。たとえば、吐出部42は、吐出部18と同じようにして、第1の液体を吐出する。吐出部42は、流路形成部38によって形成されている流路に設けられており、吐出部42から吐出された液体は、当該流路を通って第1のノズル14から吐出される。
【0088】
吐出部44は、第2の液体を保持しており、保持している第2の液体を吐出する吐出機である。たとえば、吐出部44は、吐出部18と同じようにして、第2の液体を吐出する。吐出部44は、流路形成部40によって形成されている流路に設けられており、吐出部44から吐出された第2の液体は、当該流路を通って第2のノズル16から吐出される。
【0089】
吸引部46は、空気を吸引する吸引機である。たとえば、鼻腔2内の空気は、一方の鼻腔3に第1のノズル14が挿入された状態で吸引部46が流路形成部38によって形成されている流路内の空気を吸引することによって、第1のノズル14に吸い込まれる。また、たとえば、鼻腔2内の空気は、他方の鼻腔4に第2のノズル16が挿入された状態で吸引部46が流路形成部40によって形成されている流路内の空気を吸引することによって、第2のノズル16に吸い込まれる。たとえば、吸引部46は、ファン(図示せず)と、ファンを回転させるモータ(図示せず)とを含んで構成される。
【0090】
液体検出部48は、第1のノズル14に吸い込まれた第2の液体を検出するセンサである。つまり、液体検出部48は、他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16から吐出されて一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14に吸い込まれた第2の液体を検出する。本実施の形態では、液体検出部48は、本体部12に収容されている。なお、たとえば、液体検出部48は、第1のノズル14に収容されていてもよい。たとえば、液体検出部48は、液体検出部22と同じようにして、第2の液体を検出する。
【0091】
液体検出部50は、第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出するセンサである。つまり、液体検出部50は、一方の鼻腔3に挿入された状態の第1のノズル14から吐出されて他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16に吸い込まれた第1の液体を検出する。本実施の形態では、液体検出部50は、本体部12に収容されている。なお、たとえば、液体検出部50は、第2のノズル16に収容されていてもよい。たとえば、液体検出部50は、液体検出部22と同じようにして、第1の液体を検出する。
【0092】
吐出制御部32は、第1のノズル14からの第1の液体の吐出および第2のノズル16からの第2の液体の吐出を制御する。本実施の形態では、吐出制御部32は、吐出部42を制御することによって、第1のノズル14からの第1の液体の吐出を制御する。また、本実施の形態では、吐出制御部32は、吐出部44を制御することによって、第2のノズル16からの第2の液体の吐出を制御する。
【0093】
気流制御部34は、第1の気流および第2の気流を制御する。本実施の形態では、気流制御部34は、吸引部46を制御することによって、第1の気流および第2の気流を制御する。
【0094】
図6は、
図5の液体吐出装置10aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0095】
以下では、上述した液体吐出装置10の動作の一例との相違点を中心に説明する。
【0096】
図6に示すように、吐出制御部32が第1のノズル14から第1の液体を吐出させると(ステップS4)、気流制御部34は、第2の気流を発生させる(ステップS11)。たとえば、気流制御部34は、吸引部46による吸引の向きを反転させることによって、第1の気流を停止させるとともに、第1のノズル14に空気を吸い込ませることによって第2の気流を発生させる。たとえば、気流制御部34は、所定の部位5の位置に応じて、第2の気流の発生期間および速度等を決定してもよい。たとえば、第2の気流の発生期間は、第2の液体が吐出されてからの第2の気流の発生期間である。
【0097】
図7は、
図5の液体吐出装置10aの動作の一例を説明するための説明図である。
【0098】
たとえば、
図7の(a)に示すように、吐出制御部32は、第1の気流が発生している状態で、第1のノズル14から第1の液体6を吐出させる。
【0099】
図7の(b)に示すように、気流制御部34は、第1のノズル14から第1の液体6が吐出された後に、第1の気流を止めて第2の気流を発生させる。
【0100】
図7の(c)に示すように、第2の気流を発生させることによって、第1のノズル14から吐出された第1の液体6が所定の部位5を通り過ぎてしまうことを抑制でき、第1の液体6を所定の部位5に滞留させることができる。
【0101】
なお、たとえば、第1のノズル14からでは第1の液体6を吐出し難い所定の部位7については、第2のノズル16から第2の液体を吐出することによって容易に第2の液体を所定の部位7に吐出できる。
【0102】
たとえば、液体吐出装置10aは、操作受付部26が受け付けた操作に応じて、第1のノズル14から第1の液体を吐出させるか第2のノズル16から第2の液体を吐出させるかを決定してもよい。具体的には、たとえば、液体吐出装置10aは、操作受付部26がプッシュボタンの場合において、使用者1が操作受付部26を瞬間的に押下した場合、第1の気流を発生させた後に、第1のノズル14から第1の液体を吐出させ、その後に第2の気流が発生するようにしてもよい。また、たとえば、液体吐出装置10aは、操作受付部26がプッシュボタンの場合において、使用者1が操作受付部26を長押しした場合、第2の気流を発生させた後に、第2のノズル16から第2の液体を吐出させ、その後に第1の気流が発生するようにしてもよい。なお、たとえば、液体吐出装置10aは、第1のノズル14から第1の液体を吐出させるための操作を受け付ける第1操作受付部と、第2のノズル16から液体を吐出させるための第2の操作を受け付ける第2操作受付部とを備えていてもよい。
【0103】
また、たとえば、液体吐出装置10aは、使用者1が第1の気流の発生期間および速度を設定するための操作を受け付ける操作受付部を備えていてもよい。また、たとえば、液体吐出装置10aは、使用者1が第2の気流の発生期間および速度を設定するための操作を受け付ける操作受付部を備えていてもよい。
【0104】
また、たとえば、液体吐出装置10aは、第2のノズル16から第2の液体を吐出させない構成であってもよい。
【0105】
上述したように、液体吐出装置10aでは、第2の気流を発生させることによって、第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。また、液体吐出装置10aでは、第2のノズル16から第2の液体を吐出させることによって、第2の液体を鼻腔2内の所定の部位7により正確に吐出することができる。
【0106】
以上、第2の実施の形態に係る液体吐出装置10aについて説明した。
【0107】
本実施の形態に係る液体吐出装置10aにおいて、第1のノズル14は、一方の鼻腔3に挿入された状態で空気を吸い込むことによって他方の鼻腔4から一方の鼻腔3に流れる第2の気流を発生させる。
【0108】
本態様によれば、他方の鼻腔4から一方の鼻腔3に流れる第2の気流を発生させることができるので、第1のノズル14から吐出された第1の液体を第2の気流によって鼻腔2内に留めることができる。したがって、第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る液体吐出装置10aにおいて、第2のノズル16は、他方の鼻腔4に挿入された状態で第2の液体を吐出する。
【0110】
本態様によれば、他方の鼻腔4に挿入された状態の第2のノズル16から第2の液体を吐出させることができるので、第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5に吐出し難い場合であっても第2の液体を当該所定の部位5に吐出することができ、第2の液体を鼻腔2内の所定の部位5により正確に吐出することができる。
【0111】
(第3の実施の形態)
図8は、第3の実施の形態に係る液体吐出装置10bを示す模式図である。なお、
図8では、本体部12、第1のノズル14、および第2のノズル16を断面で示している。
【0112】
液体吐出装置10bは、液体吐出装置10bを使用する使用者1の脳波を計測する脳波計測部54(
図13を参照)の計測結果に基づいて第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御する点において、液体吐出装置10aと主に異なっている。以下では、液体吐出装置10aとの相違点を中心に説明する。
【0113】
図8に示すように、液体吐出装置10bは、取得部52をさらに備えている。
【0114】
取得部52は、液体吐出装置10bを使用する使用者1の脳波を計測する脳波計測部54の計測結果を取得する。たとえば、取得部52は、脳波計測部54と無線通信が可能な通信モジュールであり、脳波計測部54と無線通信を行うことによって脳波計測部54の計測結果を取得する。なお、たとえば、取得部52は、脳波計測部54と有線通信することによって脳波計測部54の計測結果を取得してもよい。たとえば、脳波計測部54は、脳波センサである。
【0115】
気流制御部34は、脳波計測部54の計測結果に基づいて、第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御する。たとえば、鼻腔2内に吐出された液体が付着した位置が嗅上皮の近い程、脳波計測部54によって計測される脳波レベルが高くなる傾向がある。したがって、所定の部位5が嗅上皮である場合つまり嗅上皮に液体を吐出する場合、気流制御部34は、使用者1の脳波レベルがより高くなるように、第1の気流の速度、第1の気流を発生させる期間、第2の気流の速度、および第2の気流を発生させる期間のうち少なくとも1つを制御する。ここで、脳波レベルとは、脳波計測部54によって計測される電位である。具体的には、たとえば、脳波計測部54は、使用者1の額に取り付けられる電極を有しており、脳波レベルとは、当該電極によって計測される電位である。
【0116】
図9は、
図8の液体吐出装置10bの動作の一例を示すフローチャートである。
【0117】
以下では、液体吐出装置10aの動作の一例との相違点を中心に説明する。
【0118】
図9に示すように、気流制御部34が第2の気流を発生させると(ステップS11)、取得部52は、脳波計測部54の計測結果を取得する(ステップS21)。たとえば、脳波計測部54の計測結果は、脳波レベルを示す値を含んでいる。
【0119】
取得部52が脳波計測部54の計測結果を取得すると、気流制御部34は、第2の気流の発生期間を変更する(ステップS22)。たとえば、気流制御部34は、第2の気流の発生期間を0.1秒だけ短くする。
【0120】
気流制御部34が第2の気流の発生期間を変更すると、液体吐出装置10bは、ステップS3からステップS21を再度行う。再度行われるステップS11では、気流制御部34は、ステップS22で変更した後の発生期間だけ第2の気流を発生させる。これを繰り返すことによって、複数の発生期間のそれぞれに係る脳波レベルを取得することができる。
【0121】
たとえば、液体吐出装置10bは、複数の発生期間のそれぞれに係る脳波レベルを取得した後、複数の発生期間のうち最も高い脳波レベルに係る発生期間を用いてステップS1からステップS11の動作を行う。これによって、所定の部位5である嗅上皮により確実に第1の液体を吐出することができる。
【0122】
図10は、
図8の液体吐出装置10bの動作の一例を説明するための表である。
図11は、
図8の液体吐出装置10bの動作の一例を説明するための第1の説明図である。
図12は、
図8の液体吐出装置10bの動作の一例を説明するための第2の説明図である。
【0123】
図10に示すように、たとえば、気流制御部34は、第2の気流の発生期間を0.1秒ずつ短く設定し、取得部52は、その設定値で吐出したときの脳波レベルを取得する。
【0124】
図11の(a)に示すように、たとえば、第2の気流の発生期間を0.4秒としたとき、鼻腔2内に第1の液体6が滞留する。
図11の(b)に示すように、取得部52は、
図11の(a)に示す位置に第1の液体6が滞留したときに計測された脳波レベル(H1)を取得する。
【0125】
図12の(a)に示すように、たとえば、第2の気流の発生期間を0.3秒としたとき、鼻腔2内に第1の液体6が滞留する。
図12の(b)に示すように、取得部52は、
図12の(a)に示す位置に第1の液体6が滞留したときに計測された脳波レベル(H2)を取得する。
【0126】
このように、第2の気流の発生期間を変更することによって第1の液体6が滞留する位置が変わり、脳波レベルも変わる。上述したように、脳波レベルが高い程嗅上皮に近い位置に第1の液体6が滞留していると推定できるので、たとえば、気流制御部34は、取得された複数の脳波レベルのうち最も高い脳波レベルが得られたときの第2の気流の発生期間を使用者1に対する最も適した発生期間であると推定し、第2の気流が当該発生期間だけ発生するように第2の気流を制御する。
【0127】
図13は、脳波計測部54等を示す模式図である。
図13の(a)は、脳波計測部54等を示し、
図13の(b)は、脳波計測部54によって計測された脳波レベルを示している。
【0128】
図13に示すように、たとえば、嗅覚神経に刺激(臭い)が与えられた時間を0ミリ秒としたとき、約500ミリ秒後から脳波レベルが大きくなっていることがわかる。嗅上皮により近い位置に第1の液体を付着させることによって、嗅覚神経により強い刺激を与えることができ、脳波レベルがより大きくなる。嗅上皮に第1の液体を吐出したい場合において、第1の気流の発生期間を0.3秒に設定したときに最も脳波レベルが高くなった場合、第1の気流の発生期間を0.3秒に設定したときに第1の液体が嗅上皮に最も近い位置に付着していることがわかり、0.3秒が最適値であることがわかり、0.3秒が最適値であることを記憶する。
【0129】
なお、たとえば、液体吐出装置10bは、第1の気流の速度を変更して各速度に係る脳波レベルを取得し、気流制御部34は、第1の気流の最も適した速度を推定し、第1の気流が当該速度で発生するように第1の気流を制御してもよい。また、たとえば、液体吐出装置10bは、第1の気流の発生期間を変更して各発生期間に係る脳波レベルを取得し、気流制御部34は、第1の気流の最も適した発生期間を推定し、第1の気流が当該発生期間だけ発生するように第1の気流を制御してもよい。また、たとえば、液体吐出装置10bは、第2の気流の速度を変更して各速度に係る脳波レベルを取得し、気流制御部34は、第2の気流の最も適した速度を推定し、第2の気流が当該速度で発生するように第2の気流を制御してもよい。たとえば、気流制御部34は、第1の気流の速度、第1の気流の発生期間、第2の気流の速度、および第2の気流の発生期間のうち少なくとも1つが最適になるように、当該少なくとも1つを制御する。
【0130】
上述したように、液体吐出装置10bでは、嗅上皮により正確に第1の液体を吐出することができる。
【0131】
以上、第3の実施の形態に係る液体吐出装置10bについて説明した。
【0132】
本実施の形態に係る液体吐出装置10bは、液体吐出装置10bを使用する使用者1の脳波を計測する脳波計測部54の計測結果に基づいて、第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御する気流制御部34をさらに備える。
【0133】
本態様によれば、脳波計測部54の計測結果に基づいて第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御でき、第1の気流および第2の気流のうち少なくとも一方を制御することによって第1の液体を鼻腔2内の所定の部位5にさらに正確に吐出することができる。
【0134】
(他の実施の形態等)
以上、本発明の実施の形態に係る液体吐出装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0135】
上記実施の形態では、使用者1に吐出される液体が、薬液である場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、使用者1に吐出される液体は、リラックス効果のある芳香性を有する液体、または覚醒効果のある刺激性を有する液体等であってもよい。
【0136】
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムとして構成されても良い。RAMまたはハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0137】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしても良い。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、たとえば、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムを含む。この場合、ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0138】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしても良い。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしても良い。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしても良い。
【0139】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしても良い。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしても良いし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしても良い。
【0140】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしても良い。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしても良い。
【0141】
また、本発明は、上記コンピュータプログラムまたは上記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしても良い。
【0142】
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしても良い。
【0143】
また、上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、または上記プログラムまたは上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしても良い。
【0144】
さらに、上記実施の形態および上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明に係る液体吐出装置は、たとえば薬液を使用者の鼻腔に吐出するための点鼻用ディスペンサとして適用することができる。
【符号の説明】
【0146】
1 使用者
2 鼻腔
3 一方の鼻腔
4 他方の鼻腔
5,7 所定の部位
6 第1の液体
10,10a,10b 液体吐出装置
12 本体部
14 第1のノズル
16 第2のノズル
18,42,44 吐出部
20,46 吸引部
22,48,50 液体検出部
24 時間計測部
26 操作受付部
28 制御部
30 電源部
32 吐出制御部
34 気流制御部
36 算出部
38,40 流路形成部
52 取得部
54 脳波計測部