(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157262
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20231019BHJP
B60Q 1/52 20060101ALI20231019BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20231019BHJP
F21S 43/20 20180101ALI20231019BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20231019BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20231019BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/52
B60Q1/50 A
F21S43/15
F21S43/20
F21W103:00
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067051
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 英恵
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(72)【発明者】
【氏名】鷲 祐一郎
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA25
3K339AA29
3K339AA31
3K339AA39
3K339BA03
3K339BA23
3K339BA26
3K339CA21
3K339DA01
3K339EA05
3K339EA06
3K339EA10
3K339GB01
3K339GB11
3K339GB21
3K339HA04
3K339KA02
3K339KA04
3K339KA07
3K339KA10
3K339KA11
3K339MA01
3K339MA05
3K339MC13
3K339MC17
3K339MC36
3K339MC39
3K339MC41
3K339MC48
3K339MC58
3K339MC77
3K339MC90
(57)【要約】
【課題】少ない部品点数で簡易な構造としつつ、様々な図柄を形成することのできる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10は、表示領域40を有する灯具ユニット12と、灯具ユニット12の点灯制御を行う制御部14と、を備える。灯具ユニット12は、表示領域40において中心点Cで交差しつつ鉛直方向に対して傾斜する第1直線状発光部71および第2直線状発光部72と、中心点Cを中心とする円周方向に伸びる円弧状発光部73と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を有する灯具ユニットと、
前記灯具ユニットの点灯制御を行う制御部と、を備え、
前記灯具ユニットは、前記表示領域において中心点で交差しつつ鉛直方向に対して傾斜する第1直線状発光部および第2直線状発光部と、前記中心点を中心とする円周方向に伸びる円弧状発光部と、を有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記灯具ユニットは、前記第1直線状発光部の少なくとも一部分と、前記第2直線状発光部の少なくとも一部分と、前記円弧状発光部の少なくとも一部分と、に囲まれた少なくとも1つの区画発光部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記円弧状発光部は、前記中心点に対して上側に位置する上側円弧発光部と、前記中心点に対して右側に位置する右側円弧発光部と、前記中心点に対して下側に位置する下側円弧発光部と、前記中心点に対して左側に位置する左側円弧発光部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1直線状発光部と前記第2直線状発光部とは、前記円弧状発光部が設けられた円周の外側に配置された付加発光部を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1直線状発光部は、少なくとも、前記中心点の近傍から右上に向けてのびる右上直線発光部と、前記中心点の近傍から左下に向けてのびる左下直線発光部と、を有し、
前記第2直線状発光部は、少なくとも、前記中心点の近傍から左上に向けてのびる左上直線発光部と、前記中心点の近傍から右下に向けてのびる右下直線発光部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1直線状発光部は、前記上側円弧発光部と前記右側円弧発光部との間に位置する右上共有発光部と、前記下側円弧発光部と前記左側円弧発光部との間に位置する左下共有発光部と、を有し、
前記第2直線状発光部は、前記右側円弧発光部と前記下側円弧発光部との間に位置する右下共有発光部と、前記左側円弧発光部と前記上側円弧発光部との間に位置する左上共有発光部と、を有することを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1直線状発光部と前記第2直線状発光部とは、前記中心点に位置する中心発光部を共有することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第1直線状発光部と前記第2直線状発光部とは、鉛直方向に対して45度以下の傾斜とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記第1直線状発光部と前記第2直線状発光部と前記円弧状発光部とは、少なくとも一部が、第1発光色での点灯と、前記第1発光色とは異なる第2発光色での点灯と、が可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項10】
前記制御部は、車両の周辺の物体を検出する物体検出部が検出した前記物体の検出結果に応じて、前記灯具ユニットの点灯制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項11】
前記制御部は、車両の周辺の環境を検出する環境検出部が検出した環境の検出結果に応じて、前記灯具ユニットの点灯制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記灯具ユニットは、幅方向で対を為して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具は、車両の周辺の者に情報を知らせるために、様々な図柄を形成するものが考えられている(例えば、特許文献1等参照)。この車両用灯具は、発光面における所定の範囲に多数の発光部(LED)を縦横に並べることにより、様々な図柄の表示を可能としており、様々な表情の図柄を形成することにより周辺の者に対して様々な情報を知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した車両用灯具では、多数の発光部を縦横に並べて設けているので、複雑な構造でかつ部品点数が増大するとともに、この多くの各発光部を個別に点消灯させる複雑な制御が必要となる。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、少ない部品点数で簡易な構造としつつ、様々な図柄を形成することのできる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用灯具は、表示領域を有する灯具ユニットと、前記灯具ユニットの点灯制御を行う制御部と、を備え、前記灯具ユニットは、前記表示領域において中心点で交差しつつ鉛直方向に対して傾斜する第1直線状発光部および第2直線状発光部と、前記中心点を中心とする円周方向に伸びる円弧状発光部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の車両用灯具によれば、少ない部品点数で簡易な構造としつつ、様々な図柄を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示に係る実施例1の車両用灯具が搭載された車両を示す説明図である。
【
図2】車両用灯具の各構成を分解して示す模式的な斜視図である。
【
図3】車両用灯具を含む制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4】表示領域を正面から見た様子を示す説明図である。
【
図5】各発光部に対する各光源の位置関係を示す説明図である。
【
図6】
図5のI-I線に沿って得られた断面を示す説明図である。
【
図7】
図5のII-II線に沿って得られた断面を示す説明図である。
【
図8】変形例1の
図6と同様の断面を示す説明図である。
【
図9】変形例1の
図7と同様の断面を示す説明図である。
【
図10】変形例2の
図6と同様の断面を示す説明図である。
【
図11】変形例2の
図7と同様の断面を示す説明図である。
【
図12】一対の車両用灯具が第1図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図13】一対の車両用灯具が第2図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図14】一対の車両用灯具が第3図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図15】一対の車両用灯具が第4図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図16】一対の車両用灯具が第5図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図17】一対の車両用灯具が第6図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図18】一対の車両用灯具が第7図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図19】一対の車両用灯具が第8図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図20】一対の車両用灯具が第9図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図21】一対の車両用灯具が第10図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図22】一対の車両用灯具が第11図柄を形成した様子を示す説明図である。
【
図23】変形例1の一方の表示領域を正面から見た様子を示す説明図である。
【
図24】変形例2の一方の表示領域を正面から見た様子を示す説明図である。
【
図25】変形例3の一方の表示領域を正面から見た様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る車両用灯具の実施例1の車両用灯具10について図面を参照しつつ説明する。
【実施例0010】
本開示に係る車両用灯具の一例としての実施例1の車両用灯具10を、
図1から
図22を用いて説明する。実施例1の車両用灯具10は、
図1に示すように、自動車等の車両1に用いられる灯具として用いられて、車両1の周辺にいる者や対向車の乗員等に向けて、様々な表情の図柄を形成する。以下の説明では、車両用灯具10において、搭載された車両1における直進時の進行方向を前後方向とし、車両1に搭載された状態での鉛直方向を上下方向とし、前後方向および上下方向に直交する方向を幅方向として説明する。実施例1の車両用灯具10は、車両1の前部において、幅方向で間隔を置きつつ対を為して設けられている。この2つの車両用灯具10は、取り付けられる位置が異なることを除くと、基本的に等しい構成とされている。このため、以下では、単に車両用灯具10と記載して一方の構成を説明する。
【0011】
車両用灯具10は、
図2に示すように、設置台11と灯具ユニット12とアウターレンズ13と制御部14とを備える。設置台11は、対応する灯具ユニット12を設置する箇所となるもので、前後方向に直交する板状の立板部11aと、その立板部11aに対して直交しつつ下端に設けられて幅方向に長尺な板状の底板部11bと、を有する。設置台11は、底板部11b上に灯具ユニット12が載せられつつその後述する収容箱部31が立板部11aに固定されることで、灯具ユニット12が設置される。なお、設置台11は、灯具ユニット12が設置されるものであれば、構造や設置の仕方は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0012】
この灯具ユニット12は、制御部14の制御下で適宜点灯されるものであり、車両1における幅方向の両端部で対を為して図柄を形成することにより、様々な表情を示すことができる。この灯具ユニット12の構成については、後に説明する。
【0013】
この設置台11では、立板部11aにおける幅方向の両端近傍に、支持腕部11cが上下で対を為して設けられている。この各支持腕部11cは、立板部11aから前後方向の前側に各灯具ユニット12よりも突出して設けられ、先端にアウターレンズ13が取り付けられる。すなわち、各支持腕部11cは、アウターレンズ13で灯具ユニット12の前後方向の前側を覆うように、アウターレンズ13を支持している。
【0014】
アウターレンズ13は、対応する灯具ユニット12を覆うものであり、実施例1では灯具ユニット12が消灯している状態において外側(実施例1では主に前後方向の前側)から見えなくすることができる。このアウターレンズ13は、対応する灯具ユニット12が点灯された際には、そこからの光を通すことのできる部材で形成されており、前後方向に直交する板状とされている。なお、アウターレンズ13は、消灯している状態の灯具ユニット12を透かして見えるものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0015】
制御部14は、一対の車両用灯具10の灯具ユニット12の点灯動作を統括的に制御する。この制御部14には、
図3に示すように、カメラ15と環境検出部16と車両情報検出部17と点灯スイッチ18とが接続されていて、それらからの信号(データ)を受け取ることが可能とされている。この接続は、カメラ15、環境検出部16、車両情報検出部17および点灯スイッチ18からの信号を受け取ることを可能とするものであれば、有線でもよく無線でもよい。制御部14は、カメラ15や環境検出部16や車両情報検出部17や点灯スイッチ18からの信号を用いて、一対の灯具ユニット12の点灯動作を統括的に制御する。この制御については後述する。
【0016】
カメラ15は、車両用灯具10が搭載された車両1の前方を含む周囲の画像を取得するもので、実施例1では車両1の前部に設けられている。カメラ15は、車両1の駆動システムが始動されると車両1の前側の周囲を撮影し、その画像を示す信号(画像データ)を制御部14に出力する。この信号(画像データ)は、後述するように、制御部14(その後述する情報処理部22)が画像解析することにより、車両1の前側の周囲に存在する物体を検出するために用いられる。このカメラ15は、後述する車両用灯具10の点灯動作のために専用に設けたものでもよいが、例えば、車両1の全周囲の画像を取得して俯瞰画像を形成するために車両1の前後左右に設けられたカメラのうちの車両1の前部に設けられたものでもよく、ドライブレコーダや衝突防止機構のために設けられたものでもよい。また、カメラ15は、車両用灯具10が搭載された車両1の周囲の画像を取得するものであれば、設ける位置は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。このため、カメラ15は、情報処理部22と協働して、車両1の周辺の物体を検出する物体検出部として機能する。
【0017】
環境検出部16は、車両用灯具10が搭載された車両1の周辺の環境を検出する。この周辺の環境とは、車両用灯具10の灯具ユニット12の点灯動作のための判断基準とするもので、例えば、車両1の周辺の明るさや車両1の周辺の天気があげられる。このため、環境検出部16は、明るさを検出する明るさセンサで構成したり、天気の情報を取得できる情報取得部で構成したりできる。なお、環境検出部16は、後述するように灯具ユニット12の点灯動作のための判断基準となる周辺の環境を検出するものであれば、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0018】
車両情報検出部17は、車両用灯具10が搭載された車両1の情報を検出する。この車両1の情報は、例えば、車両1の移動中であるか否かや、車両1に為された動作(例えば、パッシング動作や急ブレーキ等)や、車両1の状態(例えば、警告ランプが点灯しているか否か等)や、車両1が充電可能な構成である場合には車両1が充電中か否か、があげられる。このため、車両情報検出部17は、車速センサで構成したり、車両1の情報を取得できる情報取得部で構成したりすることができる。なお、車両情報検出部17は、後述するように灯具ユニット12の点灯動作のための判断基準となる車両1の情報を検出するものであれば、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0019】
点灯スイッチ18は、各車両用灯具10の灯具ユニット12を点灯させる、またはその灯具ユニット12の点灯動作を開始させるために操作される。この点灯スイッチ18は、運転者や乗員が操作可能な範囲に設けられたボタンやレバーやスイッチ等で構成することができる。なお、点灯スイッチ18は、運転者や乗員が操作をできるものであれば、他の構成でも良く、実施例1の構成に限定されない。また、点灯スイッチ18は、車両1の周辺の照度等を検知して自動で灯具ユニット12を点灯させる自動点灯スイッチであってもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0020】
制御部14は、点灯制御部21と情報処理部22とを有する。点灯制御部21は、灯具ユニット12の点灯駆動させるもので、灯具ユニット12における後述する各光源35(
図2参照)を個別に、または各光源35のうちの任意の数を任意に組み合わせて同時に点灯させることができる。また、点灯制御部21は、灯具ユニット12の各光源35を点灯させる色を選択することができる。点灯制御部21は、実施例1では、情報処理部22から入力された情報に応じて灯具ユニット12を点灯駆動させる。なお、
図3では、制御部14が、単一の灯具ユニット12に接続されて車両用灯具10を構成している様子を示しているが、2つの灯具ユニット12に接続されて双方を連携して制御してもよく、
図3に示す例に限定されない。
【0021】
情報処理部22は、カメラ15や環境検出部16から入力された信号に基づいて、車両1の周辺の物体や環境の情報を取得する。一例として、情報処理部22は、カメラ15が取得した画像の中の物体を識別する。この物体は、例えば、車両1の前を歩く歩行者や対向車や自転車等があげられる。情報処理部22は、カメラ15が画像の中の歩行者を識別し、その歩行者の位置の情報を点灯制御部21に出力する。また、他の一例として、情報処理部22は、環境検出部16からの信号に基づいて車両1の周辺の明るさを識別し、その明るさの情報を点灯制御部21に出力する。さらに、他の一例として、情報処理部22は、環境検出部16からの信号に基づいて車両1の周辺の天気を識別し、その天気の情報を点灯制御部21に出力する。加えて、他の一例として、情報処理部22は、車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1が充電状態であることを識別し、その充電状態であることの情報を点灯制御部21に出力する。他の一例として、情報処理部22は、車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1に為された動作を識別し、その動作の情報を点灯制御部21に出力する。
【0022】
次に、灯具ユニット12の構成について説明する。灯具ユニット12は、収容箱部31と基板32と複数のインナーレンズ33とインナーパネル34とを有する。収容箱部31は、基板32とインナーレンズ33とインナーパネル34とを収容するものであり、前後方向の前側を開放する直方体形状とされている。この収容箱部31は、設置台11に取り付けられることにより、灯具ユニット12を設置台11に設置させる。
【0023】
基板32は、収容箱部31の最も奥側に設けられた板状とされ、複数の光源35が設けられている。この光源35は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子で構成されている。光源35は、後述する21個の発光部(41から64(
図4参照))に個別に対応して設けられている。この各発光部に対する光源35の個数は適宜設定することができる。そして、実施例1の光源35は、少なくとも後述する円弧発光部42、44と区画発光部52、54とに対応するものが、白色光(第1発光色)とアンバー色光(第2発光色)との2種類での点灯が可能とされており、残りの発光部に対応するものが白色光(第1発光色)での点灯が可能とされている(
図6、
図8、
図10参照)。ここで、実施例1の光源35は、白色光(第1発光色)のLEDチップと、アンバー色光(第2発光色)のLEDチップと、が並列された構成とすることにより、2種類での発光色での点灯が可能とされている(
図7、
図9、
図11参照)。なお、各光源35は、色(波長帯域)や色の数および構成等は適宜設定すればよく、実施例1に限定されない。基板32は、収容箱部31に収容された状態において、点灯制御部21の制御下で駆動される点灯制御回路が接続されており、そこから電力を適宜供給して各光源35を点灯させることができる。
【0024】
インナーレンズ33は、各光源35から出射された光を一様な光として前後方向の前側へと進行させるもので、各光源35に個別に対応して設けられている。インナーレンズ33は、各発光部に対応する形状とされており、前後方向の後側すなわち対応する光源35に対向する入射面33aと、前後方向の前側すなわちインナーパネル34側に位置する出射面33bと、を有する(
図6等参照)。インナーレンズ33は、光源35から出射された光を入射面33aから入射させ、その光を散乱させつつ出射面33bへと進行させ、その光を出射面33bから出射させることにより、その出射面33b全体が一様に光るものとされている。ここで、インナーレンズ33は、細かな凹凸を出射面33bに設けることにより、光を散乱させるものとしてもよい。
【0025】
インナーパネル34は、前後方向の前側から灯具ユニット12を見た際に、インナーレンズ33(その出射面33b)を個別に区画するための仕切りを構成する。実施例1のインナーパネル34は、矩形状の板状部材に、複数の切欠き34aが設けられて構成されている。各切欠き34aは、各インナーレンズ33(その出射面33b)に対応する形状とされており、各インナーパネル34から出射された光を通過させる。
【0026】
このため、灯具ユニット12は、各光源35が点灯されると、そこからの光が対応するインナーレンズ33に導かれてその出射面33bから出射させる。そして、灯具ユニット12は、インナーパネル34により、各インナーレンズ33(その出射面33b)を個別に区画しているので、各インナーレンズ33(出射面33b)の形状すなわちインナーパネル34の各切欠き34aの形状で光らせることができる。このことから、灯具ユニット12では、各インナーレンズ33とインナーパネル34とが協働して、互いに位置と形状とが異なる複数の発光部(41から64(
図4等参照))を形成していることとなる。そして、灯具ユニット12では、インナーパネル34において各切欠き34aが設けられた領域が、各発光部が設けられて適宜光らせられる表示領域40となる。
【0027】
次に、灯具ユニット12の表示領域40における各発光部の構成について、
図4を用いて説明する。以下では、灯具ユニット12(表示領域40)を前後方向の前側から正面視した状態である
図4における上下左右を用いて説明する。先ず、灯具ユニット12では、表示領域40を、中心点Cを通る2つの境界線により、4つの領域に分けている。以下では、一方の境界線を第1境界線Lb1とし、他方の境界線を第2境界線Lb2とする。実施例1の表示領域40では、第1境界線Lb1が中心点Cを通る鉛直方向(鉛直方向を含む面)に対して右側に45度傾斜されて設定され、第2境界線Lb2が中心点Cを通る鉛直方向(鉛直方向を含む面)に対して左側に45度傾斜されて設定されている。このため、第1境界線Lb1と第2境界線Lb2とは、中心点Cで直交されている。
【0028】
そして、表示領域40では、中心点Cの上側で第1境界線Lb1と第2境界線Lb2とに挟まれた箇所を上側発光領域Auとし、中心点Cの右側で第1境界線Lb1と第2境界線Lb2とに挟まれた箇所を右側発光領域Arとする。また、表示領域40では、中心点Cの下側で第1境界線Lb1と第2境界線Lb2とに挟まれた箇所を下側発光領域Adとし、中心点Cの左側で第1境界線Lb1と第2境界線Lb2とに挟まれた箇所を左側発光領域Alとする。そして、表示領域40では、中心点Cを中心とする所定の半径とされた単一の円周Cfを設定している。
【0029】
灯具ユニット12は、表示領域40の円周Cf上において、上側発光領域Auに位置しつつ円周Cfに沿ってのびる上側円弧発光部41と、右側発光領域Arに位置しつつ円周Cfに沿ってのびる右側円弧発光部42と、を有する。また、灯具ユニット12は、表示領域40の円周Cf上において、下側発光領域Adに位置しつつ円周Cfに沿ってのびる下側円弧発光部43と、左側発光領域Alに位置しつつ円周Cfに沿ってのびる左側円弧発光部44と、を有する。
【0030】
灯具ユニット12は、表示領域40の中心点Cに位置する中心発光部45を有する。この中心発光部45は、略正方形状とされており、中心点Cを中心として45度傾けた姿勢とされている。このため、中心発光部45は、4つの辺が、それぞれ第1境界線Lb1と第2境界線Lb2とのいずれか一方と直交する位置関係とされている。
【0031】
灯具ユニット12は、表示領域40において、中心発光部45すなわち中心点Cの近傍から、第1境界線Lb1に沿って右上にのびる右上直線発光部46を有する。この右上直線発光部46は、上側発光領域Auと右側発光領域Arとの間に位置している。また、灯具ユニット12は、表示領域40において、中心発光部45すなわち中心点Cの近傍から、第2境界線Lb2に沿って右下にのびる右下直線発光部47を有する。この右下直線発光部47は、右側発光領域Arと下側発光領域Adとの間に位置している。さらに、灯具ユニット12は、表示領域40において、中心発光部45すなわち中心点Cの近傍から、第1境界線Lb1に沿って左下にのびる左下直線発光部48を有する。この左下直線発光部48は、下側発光領域Adと左側発光領域Alとの間に位置している。灯具ユニット12は、表示領域40において、中心発光部45すなわち中心点Cの近傍から、第2境界線Lb2に沿って左上にのびる左上直線発光部49を有する。この左上直線発光部49は、左側発光領域Alと上側発光領域Auとの間に位置している。
【0032】
灯具ユニット12は、表示領域40において、上側円弧発光部41と左上直線発光部49と右上直線発光部46とにより区画された位置に設けられた上側区画発光部51を有する。この上側区画発光部51は、実施例1では上側円弧発光部41と左上直線発光部49と右上直線発光部46との内側の辺に沿う(内側の各辺と略平行な)外形形状とされており、全体として上側が円弧状とされた略扇型とされている。また、灯具ユニット12は、表示領域40において、右側円弧発光部42と右上直線発光部46と右下直線発光部47とにより区画された位置に設けられた右側区画発光部52を有する。この右側区画発光部52は、実施例1では右側円弧発光部42と右上直線発光部46と右下直線発光部47との内側の辺に沿う(内側の各辺と略平行な)外形形状とされており、全体として右側が円弧状とされた略扇型とされている。さらに、灯具ユニット12は、表示領域40において、下側円弧発光部43と右下直線発光部47と左下直線発光部48とにより区画された位置に設けられた下側区画発光部53を有する。この下側区画発光部53は、実施例1では下側円弧発光部43と右下直線発光部47と左下直線発光部48との内側の辺に沿う(内側の各辺と略平行な)外形形状とされており、全体として下側が円弧状とされた略扇型とされている。そして、灯具ユニット12は、表示領域40において、左側円弧発光部44と左下直線発光部48と左上直線発光部49とにより区画された位置に設けられた左側区画発光部54を有する。この左側区画発光部54は、実施例1では左側円弧発光部44と左下直線発光部48と左上直線発光部49との内側の辺に沿う(内側の各辺と略平行な)外形形状とされており、全体として左側が円弧状とされた略扇型とされている。
【0033】
灯具ユニット12は、表示領域40において、第1境界線Lb1上で上側円弧発光部41と右側円弧発光部42との間に位置する右上共有発光部55を有する。この右上共有発光部55は、上側円弧発光部41および右側円弧発光部42と同径の円弧を描くとともに、右上直線発光部46および左下直線発光部48と同じ直線を描くことができる。また、灯具ユニット12は、表示領域40において、第2境界線Lb2上で右側円弧発光部42と下側円弧発光部43との間に位置する右下共有発光部56を有する。この右下共有発光部56は、右側円弧発光部42および下側円弧発光部43と同径の円弧を描くとともに、右下直線発光部47および左上直線発光部49と同じ直線を描くことができる。さらに、灯具ユニット12は、表示領域40において、第1境界線Lb1上で下側円弧発光部43と左側円弧発光部44との間に位置する左下共有発光部57を有する。この左下共有発光部57は、下側円弧発光部43および左側円弧発光部44と同径の円弧を描くとともに、左下直線発光部48および右上直線発光部46と同じ直線を描くことができる。そして、灯具ユニット12は、表示領域40において、第2境界線Lb2上で左側円弧発光部44と上側円弧発光部41との間に位置する左上共有発光部58を有する。この左上共有発光部58は、左側円弧発光部44および上側円弧発光部41と同径の円弧を描くとともに、左上直線発光部49および右下直線発光部47と同じ直線を描くことができる。
【0034】
灯具ユニット12は、表示領域40において、第1境界線Lb1上で右上共有発光部55の外側すなわち上側円弧発光部41と右側円弧発光部42とが描く円周(円周Cf)の外側に配置された右上付加発光部61を有する。この右上付加発光部61は、右上直線発光部46および左下直線発光部48と同一の直線を描くことができる。また、灯具ユニット12は、表示領域40において、第2境界線Lb2上で右下共有発光部56の外側すなわち右側円弧発光部42と下側円弧発光部43とが描く円周(円周Cf)の外側に配置された右下付加発光部62を有する。この右下付加発光部62は、右下直線発光部47および左上直線発光部49と同一の直線を描くことができる。さらに、灯具ユニット12は、表示領域40において、第1境界線Lb1上で左下共有発光部57の外側すなわち下側円弧発光部43と左側円弧発光部44とが描く円周(円周Cf)の外側に配置された左下付加発光部63を有する。この左下付加発光部63は、左下直線発光部48および右上直線発光部46と同一の直線を描くことができる。そして、灯具ユニット12は、表示領域40において、第2境界線Lb2上で左上共有発光部58の外側すなわち左側円弧発光部44と上側円弧発光部41とが描く円周(円周Cf)の外側に配置された左上付加発光部64を有する。この左上付加発光部64は、左上直線発光部49および右下直線発光部47と同一の直線を描くことができる。
【0035】
上記した構成であるので、灯具ユニット12では、表示領域40において、右上付加発光部61と右上共有発光部55と右上直線発光部46と中心発光部45と左下直線発光部48と左下共有発光部57と左下付加発光部63とが、第1境界線Lb1上にのびる単一の直線を描いており、第1直線状発光部71を構成している。また、灯具ユニット12では、表示領域40において、左上付加発光部64と左上共有発光部58と左上直線発光部49と中心発光部45と右下直線発光部47と右下共有発光部56と右下付加発光部62とが、第2境界線Lb2上にのびる単一の直線を描いており、第2直線状発光部72を構成している。このことから、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72とは、中心発光部45を共有している。
【0036】
また、灯具ユニット12では、4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とが、単一の円周Cf(円周方向)に沿ってのびる円弧状発光部73を構成している。このことから、第1直線状発光部71と円弧状発光部73とは、右上共有発光部55および左下共有発光部57を共有している。また、第2直線状発光部72と円弧状発光部73とは、左上共有発光部58および右下共有発光部56を共有している。
【0037】
次に、灯具ユニット12において、各発光部(41から64)に対する各光源35の配置の一例について
図5を用いて説明する。実施例1の灯具ユニット12(車両用灯具10)は、
図5に示すように、各発光部(41から64)に対する光源35の数を、前後方向の前側から灯具ユニット12を見た際の各発光部の大きさに応じてバランスよく配置している。すなわち、灯具ユニット12は、各発光部(41から64)を構成するインナーレンズ33の出射面33bに対して、略均等に分布するように各光源35を配置している。詳細には、4つの円弧発光部(41から44)では、円周Cf(
図4参照)に沿って略等間隔に5つの光源35が並べられている。4つの直線発光部(46から49)では、それぞれが対応された第1境界線Lb1または第2境界線Lb2(
図4参照)に沿って略等間隔に3つの光源35が並べられている。4つの区画発光部(51から54)では、略扇型とされた3つの角部に対応する位置関係で3つの光源35が配置されている。中心発光部45と、4つの共有発光部(55から58)と、4つの付加発光部(61から64)とでは、それぞれの略中心位置に単一の光源35が配置されている。このため、各発光部(41から64)は、それぞれに対応された各光源35を一斉に点灯させることで、構成するインナーレンズ33の出射面33bの全域に亘って略均一に光らせることができる。
【0038】
加えて、灯具ユニット12では、対応する各光源35から出射された光で、各発光部(41から64)を全域に亘ってより均一に光らせるために、インナーレンズ33の入射面33aおよび出射面33bの形状が設定されている。この一例を
図6および
図7に示す。その
図6は、中心発光部45となるインナーレンズ33における断面を示しており、
図7は、右側円弧発光部42となるインナーレンズ33における断面を示している。ここで、インナーレンズ33の光源35に対する構成は、
図6と
図7とが略等しいことからも明らかなように、全ての発光部(41から64)で略等しいものとされている。インナーレンズ33では、
図6、
図7に示すように、入射面33aの中央部分がインナーレンズ33の内側(光源35とは反対側)に凹んでおり、その中央で外側に凸に湾曲された湾曲入射面部33cと、それを取り巻く環状入射面部33dと、を有する。また、入射面33aの周辺では、環状入射面部33dを取り囲む円錐台状の反射面33eが設けられている。
【0039】
湾曲入射面部33cは、軸線方向で光源35と対向しており、光源35から出射される光を軸線方向の前側に進行する光としてインナーレンズ33内に入射させる。環状入射面部33dは、光源35側へと突出して設けられており、光源35からの光のうち、湾曲入射面部33cへと進行しないものをインナーレンズ33内に入射させる。反射面33eは、環状入射面部33dからインナーレンズ33内に入射した光が進行する位置に形成されている。反射面33eは、環状入射面部33dから入射した光を反射すると、軸線方向の前側に進行する光とする。なお、反射面33eは、全反射を利用して光を反射してもよく、蒸着や塗装等によりアルミや銀等を接着させることで光を反射してもよい。
【0040】
出射面33bは、入射面33aから入射された光を、軸線方向の前側に出射させる。出射面33bは、全域に亘って細かな凹凸が形成された凹凸面33f(所謂プリズム)が設けられており、入射面33aから入射された光を拡散しつつ軸線方向の前側、すなわちインナーレンズ33の外側へと出射させる。ここで、各発光部(41から64)を構成するインナーレンズ33では、入射面33aにおける上記した構成が各光源35に対して個別に設けられているとともに、出射面33bにおける上記した構成が全域に亘るものとされている。このため、各発光部(41から64)は、それぞれに対応された各光源35からの光を効率よくインナーレンズ33内に入射させることができるとともに、出射面33bの全域から略均一に出射させることができる。
【0041】
そして、灯具ユニット12では、
図5、
図6に示すように、上下の2つの円弧発光部(41、43)と、4つの直線発光部(46から49)と、上下の2つの区画発光部(51、53)と、中心発光部45と、4つの共有発光部(55から58)と、4つの付加発光部(61から64)と、に対応する各光源35が、単一の白色光(第1発光色)のLEDチップで構成されている。また、灯具ユニット12では、
図5、
図7に示すように、左右の2つの円弧発光部(42、44)と、左右の2つの区画発光部(52、54)と、に対応する各光源35が、白色光(第1発光色)のLEDチップと、アンバー色光(第2発光色)のLEDチップと、が並列された構成とされている。
【0042】
この灯具ユニット12では、上記した各発光部(41から64)が、制御部14の制御下で対応する各光源35が点灯されることにより、一斉にまたは複数が同時にまたは個別に点消灯される。ここで、実施例1の灯具ユニット12では、全ての光源35が、白色光(第1発光色)での点灯が可能とされており、全ての発光部(41から64)を白色光(第1発光色)で光らせることができる。また、実施例1の灯具ユニット12では、右側円弧発光部42と左側円弧発光部44と右側区画発光部52と左側区画発光部54とに対応する光源35が、白色光(第1発光色)とアンバー色光(第2発光色)との2種類での点灯が可能とされている。このため、実施例1の灯具ユニット12では、右側円弧発光部42と左側円弧発光部44と右側区画発光部52と左側区画発光部54とを、一斉にまたは複数が同時にまたは個別に白色光(第1発光色)またはアンバー色光(第2発光色)の2種類で光らせることができる。そして、灯具ユニット12では、光源35を取り巻くように環状入射面部33dを設けているので、光源35からの出射角(出射光軸に対する角度)が大きい光であってもインナーレンズ33内に導いて出射面33bから出射させることができ、より効率よく光源35からの光を利用できる。
【0043】
このインナーレンズ33の形状は、上記した例に限定されない。その他の一例としての変形例1のインナーレンズ33Aを
図8および
図9に示す。このインナーレンズ33Aは、
図6および
図7のインナーレンズ33と比較して、入射面33aAの構造が異なっている。この入射面33aAでは、全域に亘ってフレネルレンズ部33gが設けられている。このフレネルレンズ部33gは、光源35の出射光軸を中心とする同心状に分割された複数のレンズ部分からなるフレネルレンズを構成するもので、光源35(その発光面)の近傍(2つのLEDチップが並べられている構成(
図9)では両発光面の中央近傍)に焦点が設定されている。このため、インナーレンズ33Aは、光源35から出射された光を、フレネルレンズ部33gにより略出射光軸と平行に進行するものとしつつ入射面33aAから内部に入射させる。このインナーレンズ33Aは、出射面33bがインナーレンズ33と同様に全域に亘って凹凸面33fが設けられており、入射された光を出射面33bの全域から略均一に出射させることができる。そして、インナーレンズ33Aを有する灯具ユニット12では、インナーレンズ33を有する場合と同様に、全ての発光部(41から64)を白色光(第1発光色)で光らせることができるとともに、右側円弧発光部42と左側円弧発光部44と右側区画発光部52と左側区画発光部54とをアンバー色光(第2発光色)でも光らせることができる。この灯具ユニット12では、入射面33aAの全域に亘ってフレネルレンズ部33gが設けられているので、光源35から入射面33aAへと進行した光をインナーレンズ33A内で略出射光軸と平行に進行させて出射面33bから出射させることができ、より効率よく光源35からの光を利用できる。
【0044】
その他の一例としての変形例2のインナーレンズ33Bを
図10および
図11に示す。このインナーレンズ33Bは、上記したインナーレンズ33(
図6、
図7参照)やインナーレンズ33A(
図8、
図9参照)と比較して、入射面33aBの構造が異なっている。この入射面33aBは、平坦な面とされている。そして、インナーレンズ33Bは、入射面33aBと光源35との間隔を、インナーレンズ33(湾曲入射面部33cまでの間隔との比較)やインナーレンズ33Aよりも小さなものとしている。このため、インナーレンズ33Bは、光源35からの出射角が大きい光であっても入射面33aBに向かわせることができ、その入射面33aBから内部に入射させる。このインナーレンズ33Bは、出射面33bがインナーレンズ33と同様に全域に亘って凹凸面33fが設けられており、入射された光を出射面33bの全域から略均一に出射させることができる。このインナーレンズ33Bを有する灯具ユニット12では、インナーレンズ33、33Aを有する場合と同様に、全ての発光部(41から64)を白色光(第1発光色)で光らせることができるとともに、右側円弧発光部42と左側円弧発光部44と右側区画発光部52と左側区画発光部54とをアンバー色光(第2発光色)でも光らせることができる。そして、灯具ユニット12では、入射面33aBが平坦な面とされつつ光源35との間隔が狭められているので、光源35から出射された光を効率よく入射面33aBへと進行させることができ、そこからインナーレンズ33B内に入射させて出射面33bから出射させるので、より効率よく光源35からの光を利用できる。加えて、灯具ユニット12では、インナーレンズ33Bの構成を簡易なものにできるとともに、要求されるインナーレンズ33Bと光源35と位置決め精度を低くでき、簡易な構成とすることができる。
【0045】
この車両用灯具10は、灯具ユニット12が上記のように構成されているので、各発光部(41から64)の中からいくつかを選択して光らせることにより、様々な図柄を表示できる。特に、実施例1では、2つの車両用灯具10(灯具ユニット12)を幅方向で所定の間隔を置いて車両1に設けているので、両灯具ユニット12を人の眼に見立てることができ、その両灯具ユニット12が形成する図柄により様々な表情にできる。この図柄の一例としての第1から第11の図柄を
図12から
図22を用いて説明する。この各図柄の構成は、内部メモリ等に記憶されたプログラムに基づいて、制御部14が実行する。
【0046】
第1図柄は、
図12に示すように、円弧状発光部73すなわち4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とが、白色光で光るものとされている。このため、第1図柄は、眼を開いているように見せることができ、例えば、通常時の平穏な表情にできる。
【0047】
第2図柄は、
図13に示すように、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72とが、白色光で光るものとされている。すなわち、第2図柄は、右上付加発光部61と右上共有発光部55と右上直線発光部46と中心発光部45と左下直線発光部48と左下共有発光部57と左下付加発光部63と左上付加発光部64と左上共有発光部58と左上直線発光部49と右下直線発光部47と右下共有発光部56と右下付加発光部62とが、白色光で光るものとされている。このため、第2図柄は、眼がバッテン(罰点)とされているように見せることができ、例えば、めげている表情や何か良くない状態を示す表情にできる。
【0048】
第3図柄は、
図14に示すように、上側円弧発光部41と右上共有発光部55と左上共有発光部58とが、白色光で光るものとされている。このため、第3図柄は、眼が上側に凸の円弧を描いているように見せることができ、例えば、笑っている表情や嬉しい表情にできる。
【0049】
第4図柄は、
図15に示すように、下側円弧発光部43と右下共有発光部56と左下共有発光部57とが、白色光で光るものとされている。このため、第4図柄は、眼が下側に凸の円弧を描いているように見せることができ、例えば、泣いている表情や悲しい表情やがっかりした表情にできる。
【0050】
第5図柄は、
図16に示すように、円弧状発光部73すなわち4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とに加えて、左側区画発光部54が、白色光で光るものとされている。このため、第5図柄は、正面視して左側(車両1から見て右側)を見ているように見せることができ、例えば、左側(車両1から見て右側)を気にしているまたは注目している様子を表すことができる。
【0051】
第6図柄は、
図17に示すように、円弧状発光部73すなわち4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とに加えて、下側区画発光部53が、白色光で光るものとされている。このため、第6図柄は、正面視して下側または車両1の中央付近を見ているように見せることができ、例えば、下側または車両1の中央付近を気にしているまたは注目している様子を表すことができる。
【0052】
第7図柄は、
図18に示すように、円弧状発光部73すなわち4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とに加えて、右側区画発光部52が、白色光で光るものとされている。このため、第7図柄は、正面視して右側(車両1から見て左側)を見ているように見せることができ、例えば、右側(車両1から見て左側)を気にしているまたは注目している様子を表すことができる。
【0053】
第8図柄は、
図19に示すように、正面視して左側の灯具ユニット12が、円弧状発光部73すなわち4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とが白色光で光るものとされている。また、正面視して右側の灯具ユニット12が、右上付加発光部61と右上共有発光部55と右上直線発光部46と中心発光部45と右下直線発光部47と右下共有発光部56と右下付加発光部62とが、白色光で光るものとされている。このため、第8図柄は、正面視して右側の眼だけ瞑っているように見せることができ、例えば、ウインクしている表情にできる。なお、この第8図柄は、左側の灯具ユニット12と右側の灯具ユニット12の左右を反転させたものとしても、左右が反転した同様の表情にできる。
【0054】
第9図柄は、
図20に示すように、右上付加発光部61と右上共有発光部55と右上直線発光部46と中心発光部45と左上直線発光部49と左上共有発光部58と左上付加発光部64とが、白色光で光るものとされている。また、第9図柄は、右側円弧発光部42と右下共有発光部56と下側円弧発光部43と左下共有発光部57と左側円弧発光部44とが、白色光で光るものとされている。このため、第9図柄は、眼において瞼(眉毛)が下げられているように見せることができ、例えば、困っている表情にできる。特に、第9図柄は、右上付加発光部61と左上付加発光部64とを光らせているので、下側の円弧が眼であることを印象付けることができるとともに、V字状の線が瞼や眉毛であることを印象付けることができる。
【0055】
第10図柄は、
図21に示すように、正面視して左側の灯具ユニット12が、左上共有発光部58と左上直線発光部49と中心発光部45と右下直線発光部47と右下共有発光部56と下側円弧発光部43と左下共有発光部57と左側円弧発光部44とが、白色光で光るものとされている。また、正面視して右側の灯具ユニット12が、右上共有発光部55と右上直線発光部46と中心発光部45と左下直線発光部48と左下共有発光部57と下側円弧発光部43と右下共有発光部56と右側円弧発光部42とが、白色光で光るものとされている。このため、第10図柄は、両眼が外側に吊り上がっているように見せることができ、例えば、怒っている表情にできる。特に、第10図柄は、右上付加発光部61と左上付加発光部64とを光らせていないので、眼の形状として外側に吊り上がっていることを印象付けることができる。
【0056】
第11図柄は、
図22に示すように、第5図柄(
図16参照)と同じ個所が光るものとされている。そして、第11図柄は、正面視して左側の灯具ユニット12における左側円弧発光部44と左側区画発光部54とがアンバー色光(第2発光色)で光るものとされ、残りの発光部(41から43、55から58)が白色光で光るものとされている。また、第11図柄は、正面視して右側の灯具ユニット12が、第5図柄(
図16参照)と同じ個所が白色光で光るものとされている。このため、第11図柄は、正面視して左側(車両1から見て右側)を見ているように見せることができ、例えば、左側(車両1から見て右側)を気にしているまたは注目している様子を表すことができる。そして、第11図柄は、正面視して左側(車両1から見て右側)における左側円弧発光部44と左側区画発光部54とがアンバー色光とすることにより、正面視して左側(車両1から見て右側)の方向指示器(ウインカー)の信号のように見せることができ、方向指示器による指示を補助できる。
【0057】
次に、車両用灯具10が点灯される場面の一例について説明する。なお、以下に示す状況と形成する図柄との組み合わせは、あくまで一例を示したものであり、必ずしも実際の態様と一致するものではなく、以下に示す各例に限定されるものでもない。
【0058】
車両用灯具10は、通常の走行時には、例えば、情報処理部22がカメラ15や環境検出部16や車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1やその周囲に特に問題のない通常の状態であると判断すると、点灯制御部21の制御下で第1図柄(
図12参照)を形成する。これにより、車両用灯具10は、その第1図柄を周囲に見せることができ、車両1が特に問題のない通常の状態であることを周りに知らせることができる。
【0059】
車両用灯具10は、例えば、車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1が適切に充電している最中であることを検出すると、点灯制御部21の制御下で第1図柄(
図12参照)または第3図柄(
図14参照)を形成することとしてもよい。すると、車両用灯具10は、その第1図柄または第3図柄を周囲に見せることにより、車両1が適切に充電を行えていることを周りに知らせることができる。
【0060】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22がカメラ15からの信号に基づいて人の飛び出しを検出すると、点灯制御部21の制御下で第2図柄(
図13参照)を形成する。これにより、車両用灯具10は、その第2図柄を周囲、特に飛び出した人に見せることができ、危ない状況であることを周囲や飛び出した人に知らせることができる。
【0061】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22が車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1の充電量が少ない場合や充電動作が上手くいっていない場合であることを検出すると、点灯制御部21の制御下で第2図柄(
図13参照)、第4図柄(
図15参照)または第9図柄(
図20参照)を形成することとしてもよい。すると、車両用灯具10は、その第2図柄、第4図柄または第9図柄を周囲に見せることにより、車両1の充電量が少ないことや充電動作が上手くいっていないことを周りに知らせることができる。
【0062】
車両用灯具10は、例えば、環境検出部16からの信号に基づいて車両1の周辺の天気が良い(晴れ等)ことを検出すると、点灯制御部21の制御下で第1図柄(
図12参照)または第3図柄(
図14参照)を形成することとしてもよい。すると、車両用灯具10は、その第1図柄または第3図柄を周囲に見せることにより、天気が良いことで車両1の気分が良いような印象を与えることができ、車両1でのドライブを気持ち良いものとすることができる。
【0063】
車両用灯具10は、例えば、環境検出部16からの信号に基づいて車両1の周辺の天気が悪い(雨、雪等)ことを検出すると、点灯制御部21の制御下で第2図柄(
図13参照)または第4図柄(
図15参照)を形成することとしてもよい。すると、車両用灯具10は、その第2図柄または第4図柄を周囲に見せることにより、天気が悪いことを車両1が注意喚起しているような印象を与えることができ、車両1でのドライブの気持ちを引き締めることができる。
【0064】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22がカメラ15や車両情報検出部17からの信号に基づいて、車両1が横断歩道の手前で停車中であって、その横断歩道を歩行者が移動している場合に、点灯制御部21の制御下で第5図柄(
図16参照)、第6図柄(
図17参照)、第7図柄(
図18参照)を順に形成する。すなわち、車両用灯具10は、例えば、歩行者が車両1の右前にいるときには第5図柄を形成し、歩行者が車両1の正面まで移動すると第6図柄を形成し、歩行者が車両1の左前にまで移動すると第7図柄を形成する。これにより、車両用灯具10は、その歩行者が移動する様子を見守るように目線が移動する様子を歩行者や周囲に見せることができ、歩行者に安心感を与えるとともに周囲を和やかな雰囲気にできる。
【0065】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22がカメラ15や車両情報検出部17からの信号に基づいて、車両1が横断歩道の手前で停車中であって、その横断歩道を歩行者が移動している場合に、点灯制御部21の制御下で第8図柄(
図19参照)を形成する。すると、車両用灯具10は、その第8図柄を歩行者や周囲に見せることにより、その歩行者に移動を促すように合図を送っているような表情を歩行者や周囲に見せることができ、歩行者に安心感を与えるとともに周囲を和やかな雰囲気にできる。また、車両用灯具10は、例えば、情報処理部22が車両情報検出部17からの信号に基づいて歩行者や対向車に道を譲る(先に行かせる)動作(例えばパッシング操作)を検出可能とし、それを検出した場合に点灯制御部21の制御下で第8図柄を形成してもよい。この場合も、車両用灯具10は、第8図柄を歩行者や対向車(その乗員)に見せることにより、快く道を譲っている合図を送っているような表情を歩行者や周囲に見せることができ、歩行者や対向車の乗員に安心感を与えて和やかな雰囲気にできる。
【0066】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22が車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1の状態が悪いことを検出すると、点灯制御部21の制御下で第2図柄(
図13参照)、第4図柄(
図15参照)または第9図柄(
図20参照)を形成することとしてもよい。すると、車両用灯具10は、その第2図柄、第4図柄または第9図柄を周囲に見せることにより、車両1の状態が悪いことを周りに知らせることができる。
【0067】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22が車両情報検出部17からの信号に基づいて車両1が急ブレーキしたことを検出すると、点灯制御部21の制御下で第10図柄(
図21参照)を形成することとしてもよい。すると、車両用灯具10は、その第10図柄を周囲に見せることにより、急ブレーキの原因となった人等や周囲に対して、危険な状態であったことを知らせることができる。
【0068】
車両用灯具10は、例えば、情報処理部22が車両情報検出部17からの信号に基づいて、車両1が方向指示の動作が為された(ウインカーが点灯された)ことを検出すると、点灯制御部21の制御下で第11図柄(
図22参照)を形成することとしてもよい。この
図22の例の第11図柄は、車両1において、右折のための方向指示の動作が為された場面を示しており、全体に白色光で光るものとされるとともに、正面視して左側の灯具ユニット12の左側円弧発光部44と左側区画発光部54とがアンバー色光(第2発光色)とされている。このため、車両用灯具10は、第11図柄を周囲に見せることにより、車両1が右折しようとしていることを周りに知らせることができる。ここで、第11図柄は、点灯制御部21の制御下で、正面視して左側の灯具ユニット12の左側円弧発光部44と左側区画発光部54とを点滅させるものとしてもよい。
【0069】
上記のように、車両用灯具10における様々な場面で様々な図柄を形成する様子を説明したが、その他にも、例えば、環境検出部16からの信号に基づいて昼である場合と夜である場合とで形成する図柄(表情)を変化させたりしてもよい。また、車両用灯具10は、情報処理部22がカメラ15からの信号に基づいて検出した物体の種類(例えば、歩行者、対向車、自転車等)に応じて、形成する図柄(表情)を変化させてもよい。
【0070】
ここで、先行技術文献に記載の従来の車両用灯具は、多数の発光部(LED)を所定の範囲でマトリクス状に並べて構成した表示器を用いることにより、様々な図柄の表示を可能としている。この従来の車両用灯具は、表示器の各発光部適宜点消灯させることにより、所望の図柄を形成できる。しかしながら、従来の車両用灯具は、複雑な構造で多くの発光部を有する表示器が必要であるとともに、その表示器の各発光部を図柄に合わせて適宜点消灯させる複雑な制御が必要となる。
【0071】
これに対して、車両用灯具10は、灯具ユニット12の表示領域40において、7つの発光部(45、46、48、55、57、61、63)で構成した第1直線状発光部71と、7つの発光部(45、47、49、56、58、62、64)で構成した第2直線状発光部72と、を設けている。また、車両用灯具10は、灯具ユニット12の表示領域40において、8つの発光部(41から44、55から58)で構成した円弧状発光部73と、4つの区画発光部(51から54)と、を設けている。そして、車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72とが中心発光部45を共有し、2つの直線状発光部71、72と円弧状発光部73とが4つの共有発光部(55から58)を共有している。これらのことから、車両用灯具10は、21個の発光部を上記のように適宜形状や位置を変えつつ並べて配置することで、様々な表情の図柄を形成することができ、周辺の者に対して様々な情報を知らせることができる。そして、車両用灯具10は、発光部を所定の範囲でマトリクス状に並べて構成した表示器を用いる従来の車両用灯具と比較して、構造の複雑化を抑制しつつ部品点数を抑制できるとともに、図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0072】
また、車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73とにおいて、共有する中心発光部45や4つの共有発光部(55から58)を設けているので、部品点数の増加を抑制しつつ、形成できる図柄の種類を効果的に増やすことができる。特に、車両用灯具10は、中心発光部45を略正方形状として、中心点Cを中心として45度傾けた姿勢としているので、4つの直線発光部(46から49)のうちの中心点Cを中心とする円周方向で隣り合う2つの直線発光部とともに中心発光部45を点灯させることで、V字状における頂点を適切に表現できる。
【0073】
実施例1の車両用灯具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
車両用灯具10は、表示領域40を有する灯具ユニット12が、表示領域40において中心点Cで交差しつつ鉛直方向に対して傾斜する第1直線状発光部71および第2直線状発光部72と、中心点Cを中心とする円周方向に伸びる円弧状発光部73と、を有する。このため、車両用灯具10は、形状や位置の異なる第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73とを個別にまたは適宜組み合わせて点灯させることにより、様々な表情の図柄を形成することができる。また、車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73とにより様々な表情の図柄を形成しているので、部品点数を抑制して簡易な構造にできるとともに、図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0074】
また、車両用灯具10は、灯具ユニット12が、第1直線状発光部71の少なくとも一部分と、第2直線状発光部72の少なくとも一部分と、円弧状発光部73の少なくとも一部分と、に囲まれた少なくとも1つの区画発光部(実施例1では符号51から54)を有する。このため、車両用灯具10は、区画発光部も適宜組み合わせて点灯させることにより、形成できる図柄の種類を増やすことができる。また、車両用灯具10は、少なくとも1つの区画発光部を加えているだけであるので、部品点数の増加数を抑制でき、構造の複雑化を抑制できるとともに図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0075】
車両用灯具10は、円弧状発光部73が、中心点Cに対して、上側に位置する上側円弧発光部41と、右側に位置する右側円弧発光部42と、下側に位置する下側円弧発光部43と、左側に位置する左側円弧発光部44と、を有する。このため、車両用灯具10は、4つの円弧発光部(41から44)を適宜組み合わせて点灯させることにより、円弧状発光部73を用いて形成できる図柄の種類を増やすことができる。また、車両用灯具10は、上下左右の4つの円弧発光部を有しているので、少ない部品点数で様々な表情を形成することができ、構造の複雑化を抑制できるとともに図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0076】
車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72とが、円弧状発光部73が設けられた円周の外側に配置された付加発光部(61から64)を有する。このため、車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72との全体を点灯させて形成するバッテン(罰点)を大きくすることができ、バッテンを用いた表情を強調できる。また、車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73とを適宜組み合わせて点灯させた際、各付加発光部の点消灯により円弧状発光部73に対する第1直線状発光部71や第2直線状発光部72の長さ(円弧状発光部73よりも突出するか否か)を調節できる。このため、車両用灯具10は、形成できる図柄が表現する表情を、より伝わり易くできる。
【0077】
車両用灯具10は、第1直線状発光部71が、少なくとも、中心点Cの近傍から、右上に向けてのびる右上直線発光部46と、中心点Cの近傍から左下に向けてのびる左下直線発光部48と、を有する。また、車両用灯具10は、第2直線状発光部72が、少なくとも、中心点Cの近傍から左上に向けてのびる左上直線発光部49と、中心点Cの近傍から右下に向けてのびる右下直線発光部47と、を有する。このため、車両用灯具10は、4つの直線発光部(46から49)を適宜組み合わせて点灯させることにより、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72とを用いて形成できる図柄の種類を増やすことができる。また、車両用灯具10は、上下左右の4つの直線発光部を有しているので、少ない部品点数で様々な表情を形成することができ、構造の複雑化を抑制できるとともに図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0078】
車両用灯具10は、第1直線状発光部71が、上側円弧発光部41と右側円弧発光部42との間に位置する右上共有発光部55と、下側円弧発光部43と左側円弧発光部44との間に位置する左下共有発光部57と、を有する。また、車両用灯具10は、第2直線状発光部72が、右側円弧発光部42と下側円弧発光部43との間に位置する右下共有発光部56と、左側円弧発光部44と上側円弧発光部41との間に位置する左上共有発光部58と、を有する。このため、車両用灯具10は、4つの共有発光部(55から58)を適宜組み合わせて点灯させることにより、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73とを用いて形成できる図柄の種類を増やすことができる。また、車両用灯具10は、4つの共有発光部(55から58)が、第1直線状発光部71や第2直線状発光部72と、円弧状発光部73と、をそれぞれ形成できるので、部品点数の増加を抑制できる。
【0079】
車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72とが、中心点Cに位置する中心発光部45を共有する。このため、車両用灯具10は、部品点数の増加を抑制しつつ、形成できる図柄の種類を効果的に増やすことができる。
【0080】
車両用灯具10は、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73との少なくとも一部(実施例1では、右側円弧発光部42、左側円弧発光部44、右側区画発光部52、左側区画発光部54)を、第1発光色での点灯と第2発光色での点灯とを可能としている。このため、車両用灯具10は、部品点数を抑制して簡易な構造にでき、図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにでき、形成できる図柄の種類を効果的に増やすことができる。
【0081】
車両用灯具10は、制御部14が、車両1の周辺の物体を検出する物体検出部(実施例1ではカメラ15)が検出した物体の検出結果に応じて、灯具ユニット12の点灯制御を行う。このため、車両用灯具10は、車両1の周辺の物体の位置や種類に合わせて、形成する図柄を変更することができ、車両1の周辺に対して効果的な情報を知らせることができる。
【0082】
車両用灯具10は、制御部14が、車両1の周辺の環境を検出する環境検出部16が検出した環境の検出結果に応じて、灯具ユニット12の点灯制御を行う。このため、車両用灯具10は、車両1の周辺の環境、例えば明るさや天気等に合わせて、形成する図柄を変更することができ、車両1の周辺に対して効果的な情報を知らせることができる。
【0083】
車両用灯具10は、幅方向で対を為して設けられることで、2つの灯具ユニット12を幅方向で対を為して配置させている。このため、両車両用灯具10は、両灯具ユニット12を連動させて図柄を形成することにより、人間の眼のように見せることができ、様々な表情をより適切に形成できる。
【0084】
したがって、本開示に係る車両用灯具としての実施例1の車両用灯具10は、少ない部品点数で簡易な構造としつつ、様々な図柄を形成することができる。
【0085】
以上、本開示の車両用灯具を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0086】
なお、実施例1では、車両用灯具10の両灯具ユニット12(表示領域40)が、上記した形状および位置に設けた21個の発光部を有するものとしている。しかしながら、中心点Cで交差しつつ鉛直方向に対して傾斜する第1直線状発光部71および第2直線状発光部72と、中心点Cを中心とする円周方向に伸びる円弧状発光部73と、を有するものであれば、発光部の数や位置や形状は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。この変形例1としての車両用灯具10Aを
図23に示す。車両用灯具10Aは、車両用灯具10と比較して、4つの付加発光部(61から64)を設けていないものであり、その他の構成は車両用灯具10と等しくされている。このため、車両用灯具10Aは、右上共有発光部55と右上直線発光部46と中心発光部45と左下直線発光部48と左下共有発光部57とで、第1直線状発光部71Aを構成している。また、車両用灯具10Aは、左上共有発光部58と左上直線発光部49と中心発光部45と右下直線発光部47と右下共有発光部56とで、第2直線状発光部72Aを構成している。そして、車両用灯具10Aは、車両用灯具10と同様に、4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とで円弧状発光部73を構成している。この車両用灯具10Aは、17個の発光部で構成することができるとともに、車両用灯具10と略等しい図柄を形成できる。このため、車両用灯具10Aは、構造の複雑化をより抑制しつつ部品点数をより抑制できるとともに、図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0087】
次に、変形例2としての車両用灯具10Bを
図24に示す。車両用灯具10Bは、車両用灯具10と比較して、中心発光部45を設けていないものとするとともに、4つの直線発光部(46Bから49B)の形状を変更したものであり、その他の構成は車両用灯具10と等しくされている。その4つの直線発光部(46Bから49B)は、中心点C側の端部が、上下方向と幅方向とに沿って直交する頂点を有するものとされている。このため、車両用灯具10Bは、右上付加発光部61と右上共有発光部55と右上直線発光部46Bと左下直線発光部48Bと左下共有発光部57と左下付加発光部63とで、第1直線状発光部71Bを構成している。また、車両用灯具10Bは、左上付加発光部64と左上共有発光部58と左上直線発光部49Bと右下直線発光部47Bと右下共有発光部56と右下付加発光部62とで、第2直線状発光部72Bを構成している。そして、車両用灯具10Bは、車両用灯具10と同様に、4つの円弧発光部(41から44)と4つの共有発光部(55から58)とで円弧状発光部73を構成している。これにより、車両用灯具10Bは、中心発光部45を設けなくして20個の発光部で構成しても、車両用灯具10と略等しい図柄を形成できる。このため、車両用灯具10Bは、構造の複雑化をより抑制しつつ部品点数をより抑制できるとともに、図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0088】
次に、変形例3としての車両用灯具10Cを
図25に示す。車両用灯具10Cは、車両用灯具10Bと比較して、4つの共有発光部(55から58)と4つの付加発光部(61から64)とを設けていないものとするとともに、4つの円弧発光部(41Cから44C)の形状を変更したものであり、その他の構成は車両用灯具10Bと等しくされている。その4つの円弧発光部(41Cから44C)は、中心点Cを中心とする円周方向での長さが、車両用灯具10Bの各円弧発光部(41から44)よりも大きくされており、互いの端部を近接(円周方向で対向)させている。このため、車両用灯具10Cは、右上直線発光部46Bと左下直線発光部48Bとで第1直線状発光部71Cを構成し、左上直線発光部49Bと右下直線発光部47Bとで第2直線状発光部72Cを構成し、4つの円弧発光部(41Cから44C)で円弧状発光部73Cを構成している。これにより、車両用灯具10Cは、中心発光部45と4つの共有発光部(55から58)と4つの付加発光部(61から64)とを設けなくして12個の発光部で構成しても、車両用灯具10と略等しい図柄を形成できる。このため、車両用灯具10Cは、構造の複雑化をより抑制しつつ部品点数をより抑制できるとともに、図柄に合わせた点消灯の制御を容易なものにできる。
【0089】
実施例1(上記の各変形例を含む)では、運転手が運転する車両1に車両用灯具10を設けている。しかしながら、車両用灯具は、自動運転機能を有する車両に設けられてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0090】
また、実施例1(上記の各変形例を含む)では、車両用灯具10を車両1の前部に設けている。しかしながら、車両用灯具10を車両1の周辺に対して形成した様々な表情の図柄を見せるものであれば、車両1の側部や後部や他の箇所に設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0091】
さらに、実施例1(上記の各変形例を含む)では、第1発光色として白色光で、第2発光色としてアンバー色光で、それぞれ点灯が可能とされている。しかしながら、この第1発光色と第2発光色とは、適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、例えば、車両用灯具10を車両1の後部に設けた場合には、赤色光を第2発光色とすることにより、制動灯(バックランプ)の信号のように見せることができ、制動灯の表示を補助できる。
【0092】
実施例1(上記の各変形例を含む)では、右側円弧発光部42、左側円弧発光部44、右側区画発光部52、左側区画発光部54を、第1発光色での点灯と第2発光色での点灯とを可能としている。しかしながら、第1直線状発光部71と第2直線状発光部72と円弧状発光部73とにおけるいずれの発光部を第1発光色での点灯と第2発光色での点灯とを可能としてもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0093】
実施例1(上記の各変形例を含む)では、第1直線状発光部71(第1境界線Lb1)と第2直線状発光部72(第2境界線Lb2)とのそれぞれを、鉛直方向(鉛直方向を含む面)に対して45度傾斜させている。このため、上側発光領域Auと右側発光領域Arと下側発光領域Adと左側発光領域Alとを、互いに等しい大きさとしている。しかしながら、第1直線状発光部71(第1境界線Lb1)と第2直線状発光部72(第2境界線Lb2)とのそれぞれを、鉛直方向(鉛直方向を含む面)に対して45度よりも小さな角度で傾斜させるものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。すなわち、右側発光領域Arと左側発光領域Alとを、上側発光領域Auおよび下側発光領域Adよりも大きなものとしてもよく、実施例1の構成に限定されない。このように構成すると、右側円弧発光部42と左側円弧発光部44と右側区画発光部52と左側区画発光部54との面積を大きくできるので、幅方向すなわち表示領域40において左右を示すものを強調することができる。ここで、第1直線状発光部71(第1境界線Lb1)と第2直線状発光部72(第2境界線Lb2)とのそれぞれの鉛直方向(鉛直方向を含む面)に対する下限値は、上側発光領域Auと下側発光領域Adとの視認性を確保する、すなわち上側円弧発光部41と下側円弧発光部43と上側区画発光部51は下側区画発光部53との面積を確保できるものであればよく、適宜設定することができる。ここで、上記の下限値は、例えば20度とすることができ、好適には30度とすることができる。
【0094】
実施例1(上記の各変形例を含む)では、車両用灯具10が単一の灯具ユニット12を有するものとして、2つの車両用灯具10を車両1の前部において幅方向で間隔を置きつつ対を為して設けている。しかしながら、車両用灯具10は、一対の灯具ユニット12を有するものとしてもよい。この場合、例えば、設置台11を幅方向に長尺なものとして、その幅方向の両端近傍に灯具ユニット12を設置しつつ、アウターレンズ13も幅方向に長尺なものとして両灯具ユニット12を覆うものとすることができる。このような構成とすると、単一の車両用灯具10を車両1の前部に設けるだけで、両灯具ユニット12を人間の眼のように見せることができる。この構成の場合、設置台11では、両灯具ユニット12の間に他のものを設置できるので、この間の空間を利用することができる。なお、車両用灯具10は、単一の灯具ユニット12が設けられるものであっても、一対の灯具ユニット12が設けられるものであっても、構造や設置の仕方は適宜設定すればよく、上記した構成に限定されない。
10、10A、10B、10C 車両用灯具 12 灯具ユニット 14 制御部 15 (一例としての物体検出部を構成する)カメラ 16 環境検出部 40 表示領域 41 上側円弧発光部 42 右側円弧発光部 43 下側円弧発光部 44 左側円弧発光部 45 中心発光部 46 右上直線発光部 47 右下直線発光部 48 左下直線発光部 49 左上直線発光部 51 (区画発光部としての)上側区画発光部 52 (区画発光部としての)右側区画発光部 53 (区画発光部としての)下側区画発光部 54 (区画発光部としての)左側区画発光部 55 右上共有発光部
56 右下共有発光部 57 左下共有発光部 58 左上共有発光部 61 (付加発光部としての)右上付加発光部 62 (付加発光部としての)右下付加発光部 63 (付加発光部としての)左下付加発光部 64 (付加発光部としての)左上付加発光部 71 第1直線状発光部 72 第2直線状発光部 73 円弧状発光部 C 中心点