(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157345
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】放射線撮影台
(51)【国際特許分類】
A61B 6/04 20060101AFI20231019BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A61B6/04 331Z
A61B6/00 300X
A61B6/04 332Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067196
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】390015521
【氏名又は名称】オリオン・ラドセーフメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中辻 博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆嗣
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA02
4C093CA08
4C093EC02
4C093EC32
4C093ED01
4C093FA32
4C093FA53
(57)【要約】
【課題】放射線受像部を天板の下方に配置した状態のまま、被検者と放射線受像部との間の距離を調整し得る放射線撮影台の提供。
【解決手段】放射線撮影台(1)は、上面に被検者を横臥可能に設けられた天板(10A)と、天板の下面より下方に配置された放射線受像部(11)と、放射線受像部(11)を支持すると共に、放射線受像部(11)を天板の下面に密着または近接させた第1状態と、放射線受像部を天板の下面に密着および近接させない第2状態との間を遷移可能に設けられた支持部(30)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に被検者を横臥可能に設けられた天板と、
前記天板の下面より下方に配置された放射線受像部と、
前記放射線受像部を支持すると共に、前記放射線受像部を前記天板の下面に密着または近接させた第1状態と、前記放射線受像部を前記天板の下面に密着および近接させない第2状態との間を遷移可能に設けられた支持部と、
を備える放射線撮影台。
【請求項2】
前記支持部は、
駆動力により軸を回転させる駆動部と、
雄ネジが切られた第1棒材と、
前記雄ネジと噛み合う雌ネジが切られた第2棒材と、
を有し、
前記駆動部の軸の回転を、前記第1棒材および前記第2棒材に伝えて上下方向の移動に変換する、請求項1に記載の放射線撮影台。
【請求項3】
前記第1棒材は、前記駆動部の軸に連結され、
前記第2棒材は、前記放射線受像部に連結され、
前記駆動部の軸の回転を前記第1棒材および前記第2棒材に伝え、前記放射線受像部を上下方向に移動させて前記第1状態と前記第2状態との間で遷移させる、請求項2に記載の放射線撮影台。
【請求項4】
前記放射線受像部は、水平面内で回転可能に設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の放射線撮影台。
【請求項5】
前記天板は、上面の長手方向に沿って前記被検者が横臥し、
前記放射線受像部の形状は、直方体であり、
前記放射線受像部は、前記放射線受像部の上面の1辺が前記長手方向に平行な第1回転位置と、前記放射線受像部の上面の対角線の一つが前記長手方向に平行な第2回転位置との間で前記放射線受像部を回転可能に設けられる、請求項4に記載の放射線撮影台。
【請求項6】
前記天板の上面の短手方向の長さは、少なくとも前記放射線受像部の上面の対角線の長さ以上である請求項5に記載の放射線撮影台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線撮影台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、放射線撮影台の上方からX線を曝射し、被検者を透過したX線をX線受像部で受像する放射線受像部付撮影台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、放射線撮影台の上方からX線を曝射し、被検者を透過したX線を放射線受像部で受像する方法では、被検者と放射線受像部との間が離れているため、半影が大きく被写体像の輪郭が不鮮鋭となり、また拡大率も大きくなり画質が低下するという問題がある。従来から、画質を向上させるため、被検者と天板との間に放射線受像部を挿入する等の撮影手法が行われており、検査技師や被検者の負担となっている。
本開示の一態様は、放射線受像部を天板の下方に配置した状態のまま、被検者と放射線受像部との間の距離を調整し得る放射線撮影台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る放射線撮影台は、上面に被検者を横臥可能に設けられた天板と、前記天板の下面より下方に配置された放射線受像部と、前記放射線受像部を支持すると共に、前記放射線受像部を前記天板の下面に密着または近接させた第1状態と、前記放射線受像部を前記天板の下面に密着および近接させない第2状態との間を遷移可能に設けられた支持部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、被検者と放射線受像部との間の距離を調整し得る放射線撮影台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態1に係る放射線撮影台の上面図と側面図を示す図である。
【
図3】放射線撮影方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】放射線受像部を天板に密着させる機構の一例を示す概略図である。
【
図5】本開示の実施形態2に係る放射線撮影台の上面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
図1には、本開示の一実施形態に係る放射線撮影台1について、上面
図100Aと、側面
図100Bとが図示されている。上面
図100Aおよび側面
図100Bに示すとおり、放射線撮影台1は、天板部10と、放射線受像部11と、昇降部12と、フットスイッチ13とを備える。
なお、側面
図100Bでは、放射線撮影台1がX線撮影の検査室の床に設置され、その検査室の天井近傍にX線検査装置2が設置された様子が模式的に描かれている。ただし、放射線撮影台1とX線検査装置2との間の配置関係はこれに限られるものではない。
【0009】
上面
図100Aに示すとおり、天板部10は、天板10Aと、レール部10Bとを備える。天板10Aは、アクリル板、カーボン板等の素材から形成されている。以下の説明では、天板10Aは、アクリル板で形成されているものとして説明する。天板10Aの外周は、アルミ合金等で形成されたレール部10Bで囲われている。天板部10の上面は、X線撮影の被検者が横臥するために十分な広さを有する。天板部10は、その上面に載った被検者の荷重に耐えられる設計になっている。
図1に示す例では、天板10Aの上面の形状は、長方形になっており、長手方向に沿って被検者が横臥することが想定されている。以下、天板10Aの長手方向を前後方向、短手方向を左右方向と称する。
【0010】
側面
図100Bに示すとおり、天板部10の下面の下方には、放射線受像部11と、昇降部12とが設けられている。放射線受像部11は、カセッテトレイ20を有する。カセッテトレイ20は、その外形が直方体であり、その内部にFPD(Flat Panel Detector)21を収納することができる。放射線受像部11については、
図2を用いて後述する。
【0011】
天板部10は、手動で前後左右、すなわち水平方向に移動させることができる。天板部10を前後左右に移動させることにより、天板部10の上面に横臥した被検者と放射線受像部11との位置関係を変えることができる。また、放射線撮影台1は、ロック機構14を備え、X線撮影時に天板部10が水平方向に動かないように固定することができる。ロック機構14は、電磁ブレーキ、電磁マグネット等で構成される。
【0012】
昇降部12は、テーブルリフト機構を有する。昇降部12は、パンタアーム12A、蛇腹部12B、アクチュエータ12C、上部フレーム12Dおよび下部フレーム12Eを備える。上部フレーム12Dは、天板部10および放射線受像部11を支持する。下部フレーム12Eは、床に設置される基台、不図示のキャスタ等を含む。パンタアーム12Aは、上部フレーム12Dと下部フレーム12Eとを連結している。パンタアーム12Aには、開閉用のアクチュエータ12Cが連結されている。アクチュエータ12Cの軸が上方へ伸びると、パンタアーム12Aが閉じ、上部フレーム12Dが水平を保ちながら上昇する。アクチュエータ12Cの軸が縮むと、パンタアーム12Aが開き、上部フレーム12Dが水平を保ちながら下降する。昇降部12は、蛇腹部12Bで覆われている。フットスイッチ13は、昇降部12の操作に用いられる入力装置である。
【0013】
側面
図100Bに示すとおり、X線撮影の検査室では、放射線撮影台1の上部、より具体的には検査室の天井近傍にX線検査装置2が設置されている。X線検査装置2は、X線管2Aとガイド光源2Bとを有する。X線管2Aは、X線を下方へ曝射する。ガイド光源2Bは、X線管2Aの照射野を可視光で示す。放射線受像部11の上面には、FPD21の位置を示す基準線が設けられている。検査技師は、透明な天板10Aを通してその基準線を視認して、ガイド光源2Bにより示されるX線管2Aの照射野の位置を調整することができる。
【0014】
図2を用いて放射線受像部11について説明する。
図2には、
図1の放射線受像部11近傍の領域Aの概略上面
図200Aと、領域Aの拡大
図200Bおよび200Cが図示されている。拡大
図200Bに示すように、放射線受像部11は、支持部30に支持されている。支持部30は、プレート31と、フレーム部32と、雌ネジ部33と、回転防止部34と、雄ネジ部35と、モータ36と、制御部37とを備える。支持部30のフレーム部32は、
図2には不図示の昇降部12の上部フレーム12Dに固定されている。支持部30は、昇降部12の上部フレーム12Dの上下動に合わせて、天板部10および放射線受像部11と共に上下方向に移動する。
【0015】
プレート31は、その上面が放射線受像部11の下面に連結されている。プレート31の下面には、雌ネジ部33と、回転防止部34とが下方へ突出している。雌ネジ部33は、例えば円柱形の棒材であり、プレート31の下面から突出した先端に雌ネジが切られた穴33Aを有する。この雌ネジの軸は、プレート31の下面の中心を通る。
【0016】
回転防止部34は、例えば円柱形であり、プレート31の下面から突出している。
図2では、支持部30は、回転防止部34を2つ備える。2つの回転防止部34は、雌ネジ部33を挟んで対称な位置に設けられている。
【0017】
雄ネジ部35は、側面に雄ネジが切られた円柱形の棒材である。雄ネジ部35の上部は、雌ネジ部33の穴33Aに挿入されており、穴33Aの雌ネジと螺合している。雄ネジ部35の底面には、モータ36のモータ軸36Aが連結されている。モータ36のモータ軸36A、雄ネジ部35および雌ネジ部33は、それらの回転軸が一直線に並んでいる。制御部37は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)であり、モータ36を制御する。本開示では、制御部37からモータ36への配線の図示を省略している。
【0018】
フレーム部32には、モータ36と制御部37とが固定されている。また、概略上面
図200Aに示されるとおり、フレーム部32の上面には、雌ネジ部33が通る穴32Aと、2つの回転防止部34が通る穴32Bおよび32Cとが設けられている。
【0019】
制御部37の制御の下、モータ36のモータ軸36Aが所定方向に回転すると、雄ネジ部35が回転する。雄ネジ部35の回転は、雄ネジ部35に螺合する雌ネジ部33に伝えられる。回転防止部34がフレーム部32の穴32Bおよび32Cに係止されることにより、雌ネジ部33は、雄ネジ部35と共に回転せずにねじ溝を滑る。これにより、雌ネジ部33が設けられているプレート31と、そのプレート31に連結されている放射線受像部11とを上下方向に直動させることができる。拡大
図200Cは、モータ36の駆動力により、放射線受像部11が天板10Aの下面に密着する位置まで持ち上げられた状態を示す。
【0020】
図3は、放射線撮影台1を用いたX線撮影方法の一例を示すフローチャートである。
図3を用いて説明するX線撮影方法では、前述したX線管2Aの照射野の位置調整は、検査技師が予め完了させているものとする。また、カセッテトレイ20にはFPD21が挿入されているものとする。
【0021】
X線検査の被検者が天板10Aの上に横臥すると、検査技師は、フットスイッチ13を操作し、昇降部12を駆動し、天板部10および放射線受像部11を撮影用の所定の高さに合わせる(S300)。
【0022】
次に、検査技師は、天板部10の水平方向の位置を調整する(S301)。検査技師は、天板部10を前後左右に移動させ、放射線受像部11に対する被検者の相対位置を変化させ、被検者の対象部位が放射線受像部11の上方に位置するように調整する。例えば被検者の大腿骨をX線撮影する場合、検査技師は、被検者の上腿が放射線受像部11の上方に位置するように天板部10を水平移動させる。S300およびS301の工程により、被検者の対象部位がX線管2Aの照射野の内側に配置される。検査技師は、フットスイッチ13等の所定の入力装置を操作して、ロック機構14により天板部10を固定する。これにより、X線撮影中に天板部10が水平方向に移動しない。
【0023】
次に、検査技師は、
図2の拡大
図200Cのように、天板10Aの下面に放射線受像部11を密着させる(S302)。例えば、検査技師は、フットスイッチ13等の所定の入力装置を操作して、制御部37にモータ36の制御開始を指示する。制御部37は、モータ36を制御し、放射線受像部11を上方へ所定距離移動させる。これにより、被検者とFPD21との距離が小さくなり、拡大率と半影が小さくなる。そのため、X線撮影画像の画質が向上する。
【0024】
次に、検査技師は、X線検査装置2を操作して、X線管2AからX線を曝射する(S303)。X線管2Aから曝射されたX線は、被検者を透過して、FPD21の受像部に至る。FPD21は、X線をデジタル信号に変換する。このようにすることで、被検者の目的部位がX線撮影される。
【0025】
次に、検査技師は、天板10Aの下面と放射線受像部11との密着状態を解除する(S304)。例えば、検査技師は、フットスイッチ13等の所定の入力装置を操作して、制御部37にモータ36の制御開始を指示する。制御部37は、モータ36を制御し、天板10Aを下方へ所定距離移動させる。これにより、検査技師が次の撮影のために天板部10を移動させる際に、密着面が擦れて放射線受像部11および天板10Aが傷つくこと、他の部品が放射線受像部11の側面に衝突することなどを防ぐことができる。その後、検査技師は、必要に応じてロック機構14による天板部10の固定を解除する。
【0026】
〔作用効果〕
以上説明した放射線撮影台1は、上面に被検者を横臥可能に設けられた天板10Aと、天板10Aの下面より下方に配置された放射線受像部11と、放射線受像部11を支持すると共に、拡大
図200Cに示すように放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させた状態と、拡大
図200Bに示すように放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させない状態との間を遷移可能に設けられた支持部30と、を備える。
上記構成によれば、放射線撮影台1を用いた撮影において、放射線受像部11を天板10Aの下方に配置した状態のまま、被検者と放射線受像部11との間の距離を調整することができる。
【0027】
〔変形例1〕
上記の実施形態1では、S302にて制御部37にモータ36を制御させて、天板10Aの下面に放射線受像部11を密着させることにしたが、これに限定されない。例えば、天板10Aの下面の近傍に放射線受像部11を移動させるだけでも、同様の効果を達成することができる。
【0028】
〔変形例2〕
上記の実施形態1では、モータ36の回転を回転防止部34、雌ネジ部33および雄ネジ部35により上方向の直動に変換し、放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させた。しかし、放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させる方法は、この方法だけに限定されない。例えば、モータ36のモータ軸36Aに雌ネジを切った穴を有する棒材を連結し、プレート31から雄ネジを切った円柱形の棒材を突出させることにしてもよい。また、モータ36のモータ軸36Aと、雄ネジ部35との間に複数対の歯車を介在させてもよい。更には、
図4に示す概略
図400A、400B、400Cおよび400Dのように、放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させることにしてもよい。
【0029】
概略
図400Aでは、放射線受像部11を複数のバネ41で上方向に付勢し、天板10Aの下面に密着させている。複数のバネ41は、それぞれ一端が放射線受像部11の下面に連結されたプレート41Aに接続されており、他端がフレーム部32に接続されている。プレート41Aは、電磁マグネット等で構成されるロック機構41Bを有し、バネ41を圧縮した状態でフレーム部32側に引き寄せられている。ロック機構41Bは、天板部10のロック機構14と連動しており、ロック機構14が天板部10を固定すると、プレート41Aを解放する。ロック機構41Bがプレート41Aを解放すると、概略
図400Aのとおり、複数のバネ41でプレート41Aが上方に付勢され、放射線受像部11が天板10Aの下面と密着する。
【0030】
概略
図400Bでは、ジャッキ42を用いて、放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させている。ジャッキ42は、その一端が放射線受像部11に連結され、他端が支持部30のフレーム部32に固定されている。概略
図400Bのジャッキ42は、パンタジャッキであり、制御部44に制御されるモータ43の回転によりアームが伸縮する。概略
図400Bでは、ジャッキ42をパンタジャッキとしたが、油圧ジャッキであってもよい。
【0031】
概略
図400Cでは、制御部46により駆動制御される電動シリンダ45により放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させている。放射線受像部11の下面には、プレート45Bが連結されている。電動シリンダ45の本体は、フレーム部32に固定されている。電動シリンダ45のピストンロッド45Aの先端部がブラケット等を介してプレート45Bに連結されている。電動シリンダ45は、ピストンロッド45Aを上下方向に駆動することにより、プレート45Bおよび放射線受像部11を上下方向に移動させる。
【0032】
概略
図400Dでは、ラックギア機構を用いて、放射線受像部11を天板10Aの下面に密着させている。概略
図400Dでは、放射線受像部11の下面にラックギア47が設けられている。ラックギア47は、不図示のモータ等により回転する歯車48と噛み合わされている。制御部49の制御のもと歯車48を回転させることにより、ラックギア47と共に放射線受像部11を上下に移動させる。歯車48を回転させる不図示のモータ等は、フレーム部32に固定されている。
【0033】
〔変形例3〕
放射線受像部11は、カセッテトレイ20の上面の中心と、下面の中心とを通る回転軸を中心に回転可能に設けてもよい。
図5は、カセッテトレイ20が回転可能に設けられた放射線撮影台3の上面図である。
図5では、カセッテトレイ20およびFPD21は、それらの上面および下面の形状が正方形であり、カセッテトレイ20の上面の中心52を中心に回転可能に設けられている。
【0034】
図5には、カセッテトレイ20の回転位置として、初期位置P0と、初期位置P0から中心52を中心に45°回転した位置P1とが図示されている。初期位置P0は、カセッテトレイ20の上面の前後方向の辺が天板50Aの長手方向に平行である。位置P1は、カセッテトレイ20の上面の対角線が天板50Aの長手方向に平行である。
【0035】
大腿骨のように長い部位をX線撮影する場合に、FPD21の対角線上にその部位を配置して撮影することがある。特に大腿骨を撮影する場合には、股関節上縁と膝関節付近までが含まれるようにX線撮影が行われる。従来のように、FPD21を被検者と天板部50との間に挟み込む撮影方法では、被検者の臀部を浮かせながらFPD21の位置調整を行う必要があり、被検者と検査技師との負担が大きかった。
【0036】
図5に示すように、カセッテトレイ20を初期位置P0から位置P1に向けて45度回転させることで、天板部50を水平方向に移動させるだけで被検者51の上腿がFPD21の上面の対角線上に位置するように調整することが可能となる。
【0037】
また、放射線受像部11を天板50Aの下面に密着させることにより、大腿骨等からFPD21までの距離を低減することができ、撮影画像における拡大率と半影を小さくすることができる。そのため、大腿骨等について高い画質でX線撮影画像を行うことができる。
【0038】
なお、カセッテトレイ20を回転可能に設ける場合、被検者51を横臥させる天板50Aは、その短手方向の長さが少なくともカセッテトレイ20の上面の対角線よりも長いことが好ましい。天板50Aを最右に移動させたときの左辺と、天板50Aを最左に移動させたときの右辺との間に、位置P1のカセッテトレイ20の上面が含まれるように構成することがより好ましい。このようにすることで、レール部50B等がカセッテトレイ20の上面に干渉することを防ぐことができる。
【0039】
なお、
図5では、カセッテトレイ20の上面が正方形であるが、カセッテトレイ20の上面は正方形とは限らない。カセッテトレイ20の上面が正方形を除く長方形である場合は、カセッテトレイ20の上面の辺が天板50Aの長手方向に平行な回転位置と、カセッテトレイ20の上面の対角線が天板50Aの長手方向に平行な回転位置との間を回転可能に設けることにすればよい。
【0040】
〔変形例4〕
上記の実施形態および変形例では、天板10Aの上面の形状を長方形としたが、これに限定されない。天板10Aの上面の形状は、被検者が横臥可能な形状であれば、いかなる形状であってもよい。
【0041】
〔変形例5〕
上記の実施形態および変形例では、放射線受像部11のカセッテトレイ20にFPD21を挿入することにしたが、これに限定されずFPD21の代わりにフィルム又は蓄積性蛍光体シートを収容したカセッテを使用した場合でも、同様の効果を達成することができる。
【0042】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1、3 放射線撮影台
2 X線検査装置
2A X線管
2B ガイド光源
10、50 天板部
10A、50A 天板
10B、50B レール部
11 放射線受像部
12 昇降部
12A パンタアーム
12B 蛇腹部
13 フットスイッチ
14、41B ロック機構
20 カセッテトレイ
21 FPD
30 支持部
31、41A、45B プレート
32 フレーム部
33 雌ネジ部
34 回転防止部
35 雄ネジ部
36、43 モータ
36A モータ軸
37、44、46、49 制御部