(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157354
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】骨盤底筋群EMS運動器具
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20231019BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20231019BHJP
A63B 23/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/04
A63B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067216
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】522002146
【氏名又は名称】加治 初彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002882
【氏名又は名称】弁理士法人白浜国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加治 初彦
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB05
4C053BB23
4C053JJ13
4C053JJ18
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】尿漏れや便漏れ、子宮脱及び直腸脱を予防可能な骨盤底筋群EMS運動器具を提供し、骨盤底筋群を鍛えることにより、性機能の向上にもつながる骨盤底筋群EMS運動器具を提供する。
【解決手段】骨盤底筋群EMS運動器具1であって、前記器具1は防水構造をしており、一体型のUSB充電端子付きの電気刺激装置であり、複数の電極3が設置され骨盤底筋群に対応する位置に電気刺激を与えるEMS部2と、前記EMS部2の両側に左右の臀部を乗せる2つの臀部用くぼみ11、12とを備え、使用者が着座した時、使用者の骨盤底筋群に密着する構造とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨盤底筋群EMS運動器具であって、前記器具は防水構造をしており、一体型のUSB充電端子付きの電気刺激装置であり、複数の電極が設置され骨盤底筋群に対応する位置に電気刺激を与えるEMS部と、前記EMS部の両側に左右の臀部を乗せる2つの臀部用くぼみとを備え、使用者が着座した時、前記使用者の骨盤底筋群に密着する構造としたことを特徴とする骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項2】
前記電極は、カーボングラフェン電極である請求項1記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項3】
前記カーボングラフェン電極は、露出形の透明電極である請求項1又は請求項2記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項4】
前記EMS部は、傾斜構造の弾性部材である請求項1記載又は請求項2記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項5】
前記USB充電端子は、パワーデリバリー対応のタイプCである請求項1記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項6】
前記USB充電端子は、防水フタ付きである請求項1記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項7】
前記骨盤底筋群EMS運動器具は、弾性ゴム素材である請求項1記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【請求項8】
前記骨盤底筋群EMS運動器具は、所定時間使用すると、自動的に電源オフする請求項1記載の骨盤底筋群EMS運動器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨盤底筋群EMS運動器具に関し、特に骨盤底筋群を簡単に鍛えるのに好適な骨盤底筋群EMS運動器具に関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤底筋群とは、人体の骨盤の底に位置する筋肉のことをいい、複数の膜のような筋肉で、ハンモックのように骨盤内にある膀胱、子宮、直腸などの臓器を支え正しい位置に保つ。また、排便や排尿をコントロールするなどの重要な役割を果たす。骨盤底筋群は表層・中層・深層の三層構造になっており、表層は坐骨海綿体筋、球海綿体筋、尿道括約筋、外肛門括約筋で構成されている。尿道括約筋は尿道を締める働きがある。外肛門括約筋は肛門を閉める働きがある。中層は、浅会陰横筋、深会陰横筋から構成されており、浅会陰横筋は内臓の位置を保持させたり、尿道を閉鎖させる働きがある。深会陰横筋も浅会陰横筋と同様の働きを有している。深層は肛門拳筋(恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、直腸尾骨筋)と尾骨筋で構成されている。肛門拳筋は内臓の位置を保持させる働きがある。尾骨筋は仙骨下部と尾骨外縁部との間に存在するもので、仙骨尖を起始とし、尾骨に付着する筋肉である。
【0003】
骨盤底筋群の主な機能としては、排尿や排便のコントロール、姿勢の安定性を高める、内臓を支え正しい位置に保つなどがある。
【0004】
骨盤底筋群は、加齢や妊娠・出産、肥満などによって、筋力が弱くなってしまう。骨盤底筋群の筋力(力)が弱くなってしまうと、骨盤がゆがんでしまう、姿勢が悪くなってしまう、尿もれや頻尿が起こりやすくなってしまう、内臓が下垂してしまうことで、ぽっこりお腹や便秘、生理不順や生理痛が酷くなってしまう、などの身体の不調につながる。
【0005】
そこで、従来からこれらの不調を予防するため、骨盤底筋群体操(骨盤底筋体操)が行われている。このような骨盤底筋体操は、例えば腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流性尿失禁、機能性尿失禁、混合性尿失禁などの予防対策として実施される。
【0006】
しかしながら、骨盤底筋群体操は、継続的に訓練を行わなければならず、面倒であった。
【0007】
骨盤底筋群(骨盤底筋)を簡単に鍛える方法としては、運動器具または訓練器具を使用する方法も盛んに行われている。
【0008】
振動マッサージタイプの運動補助具により骨盤底筋の運動を効果的に行う装置(特開2012-110459号公報(特許文献1))や、主に筋肉や運動神経への電気刺激により筋収縮を起こすことで、筋力増強や筋委縮の予防、痙縮抑制などを目的に行われるEMS運動器具(EMSトレーニング器具)が知られている。
【0009】
骨盤底筋群の筋力強化を簡単に行えるEMS運動器具として、陰部に挿入するタイプ、パンツ(ショーツ)の内部に電極を設置したタイプなど、種々のものが市販されているが、関連する特許文献としては、例えば、特開昭63-281662号公報(特許文献2)、特開2021-90820号公報(特許文献3)、特許第6041171号公報(特許文献4)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012-110459号公報
【特許文献2】特開昭63-281662号公報
【特許文献3】特開2021-90820号公報
【特許文献4】特許第6041171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1は、乗馬タイプの揺動型運動装置で、使用者が腰を載せるための着座部に着座した状態において使用者の骨盤底筋に対応する股下部分に接触する接触部を設け、接触部を装置に内蔵したエアバックにより変位させる機構を備えた構成をしている。上記特許文献1の揺動型運動装置は、装置が大型化し、コスト高となるものであった。また、運動量が大きくなり、高齢者等が家庭で1人で使用できるような装置ではなかった。
【0012】
上記文献2は、陰部に挿入するタイプの装置なので、装着が面倒であり、人間の重要な部位に装置を挿入するため、衛生管理が大変になるという課題があった。
【0013】
上記文献3は、ユーザが着衣時においても使用可能な骨盤底筋強化装置であるが、装置の操作機構が複雑となっており、女性や高齢者等が家庭で1人で使用できるような装置ではなかった。
【0014】
上記文献4は、尾骨用電極パットがユーザの尾骨側に密着されるようにする密着手段を設け、ユーザが座れる本体部に座った際、密着手段が変形して尾骨用電極パットがユーザの尾骨側に密着される骨盤底筋強化デバイスであるが、尾骨に対応するだけでは、十分ではなかった。
【0015】
上述したような課題を解決するため、本発明の目的は、尿漏れや便漏れ、子宮脱及び直腸脱を予防可能な骨盤底筋群EMS運動器具を提供し、性機能の向上にもつながる骨盤底筋群EMS運動器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の骨盤底筋群EMS運動器具は、以下の構成である。
【0017】
骨盤底筋群EMS運動器具であって、前記器具は防水構造をしており、一体型のUSB充電端子付きの電気刺激装置であり、複数の電極が設置され骨盤底筋群に対応する位置に電気刺激を与えるEMS部と、前記EMS部の両側に左右の臀部を乗せる2つの臀部用くぼみとを備え、使用者が着座した時、前記使用者の骨盤底筋群に密着する構造とした(請求項1対応)。
【0018】
前記構成に加え、前記電極はカーボングラフェン電極である(請求項2対応)。
【0019】
前記構成に加え、前記カーボングラフェン電極は露出形の透明電極である(請求項3対応)。
【0020】
前記EMS部は、傾斜構造の弾性部材である(請求項4対応)。
【0021】
前記USB充電端子は、パワーデリバリー対応のタイプCである(請求項5対応)。
【0022】
前記USB充電端子は、防水フタ付きである(請求項6対応)。
【0023】
前記骨盤底筋群EMS運動器具は、弾性ゴム素材である(請求項7対応)。
【0024】
前記骨盤底筋群EMS運動器具は、所定時間使用すると、自動的に電源オフする(請求項8対応)。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、尿漏れや便漏れ、子宮脱及び直腸脱を予防可能な骨盤底筋群EMS運動器具を実現することができ、骨盤底筋群を鍛えることにより、性機能の向上にもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は、本開示に係る本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の斜視図。
【
図2】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の上面図。
【
図3】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の使用状態説明図(背面図)。
【
図4】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の使用状態説明図。
【
図5】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の使用状態説明図。
【
図6】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具における充電用USB変換アダプタと接続用USBケーブルの構成図。
【
図7】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の機能ブロック図。
【
図8】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の充電動作フロー図。
【
図9】本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の運動動作フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照し、本発明に係る骨盤底筋群EMS運動器具の詳細を説明すると、以下のとおりである。また、以下の実施形態は、本発明の欠くことのできない要件を含む他に、選択的に採用することのできる要件及び適宜に組み合わせることのできる要件を含んでいる。
【0028】
<実施形態>
本実施形態は、骨盤底筋群EMS運動器具であって、前記器具は防水構造をしており、一体型のUSB充電端子付きの電気刺激装置であり、複数の電極が設置され骨盤底筋群に対応する位置に電気刺激を与えるEMS部と、前記EMS部の両側に左右の臀部を乗せる2つの臀部用くぼみとを備え、使用者が着座した時、使用者の骨盤底筋群に密着する構造としたものである。この構造により、使用者はお風呂上がり時などに臀部用くぼみに臀部を乗せて、EMS運動器具のスイッチを入れ、所定時間(例えば、10分間)待っているだけで、骨盤底筋群の筋肉トレーニングが実施できる。
【0029】
<構成>
本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具1は、
図1、
図2に示すように、EMS部2と、カーボングラフェン電極3と、電源スイッチ4と、ON/OFFインジケータ5と、パルス強度(強・中・弱)切替スイッチ6と、強インジケータ7と、中インジケータ8と、弱インジケータ9と、防水用フタ付のUSB充電端子10と、臀部用くぼみ11、12を有する。この骨盤底筋群EMS運動器具1は、使用者13によりお風呂場の前室(脱衣所)などの設置台(すのこ)14やリビングの設置台(椅子)14aに設置される(
図4、
図5参照)。使用者13が臀部用くぼみ11、12に臀部(おしり)を乗せるだけで(
図3参照)、カーボングラフェン電極3に局部(陰部)が接触し、骨盤底筋群の筋肉トレーニングができる。使用者が男性、女性、大人、子供などが使用できるように、人間のおしりの大きさに合わせて、骨盤底筋群EMS運動器具1をS(小)、M(中)、L(大)、LL(特大)などのサイズを設けても良い。
【0030】
<構成の説明>
骨盤底筋群EMS運動器具1は、使用者13が
図3、
図4、
図5に示すような状態で、使用者13の臀部(おしり)を乗せてEMS部2に接触するように使用する(
図3参照)。
図4の例では、設置台14は例えば「すのこ」の例を示しており、設置台14の上に骨盤底筋群EMS運動器具を設置し、使用者13が器具1に着座し、使用者が全裸でバスタオルをかけて使用している状態を示す。
図5の例では、設置台14aは椅子の例を示し、設置台14aの上に骨盤底筋群EMS運動器具を設置し、使用者13が器具1に着座し、使用者が半身のバスローブでバスタオルをかけて使用している状態を示す。
図5の例は、下半身は何も付けておらず、直接局部にEMS部2が接触している。
【0031】
実際には、EMS部2上には、カーボングラフェン電極3が複数設置されている。
図1、
図2の例では、6個のカーボングラフェン電極3を左右3個ずつ配置したが、これに限定されるものではなく、骨盤底筋群全体に対して電気刺激(筋肉刺激)を与えられる配置であれば良い。カーボングラフェン電極3は、グラフェンシート(炭素同士の結合により、六角形を敷き詰めハニカム構造が二次元に広がった構造のシート)が多層になった透明電極のシート状に構成され、EMS部2が復元力を有する傾斜構造の弾性部材で、おしりを乗せることにより、変形し、ぴったりと使用者の骨盤底筋群と密着状態を保つ。すなわち、複数のカーボングラフェン電極3が、骨盤底筋群(坐骨海綿体筋、球海綿体筋、尿道括約筋、外肛門括約浅会陰横筋、深会陰横筋、肛門拳筋(恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋、直腸尾骨筋)、尾骨筋)全体に電気刺激(筋肉刺激)を与えられるように配置され、密着状態を保てるように構成されている。使用シーンとしては、お風呂上がり時などにお風呂場やリビングなどで使用することを想定している。使用時は、下半身は露出した状態で、局部(陰部)を直接カーボングラフェン電極3と接触させて使用する。このカーボングラフェン電極3の作用により使用者13の骨盤底筋群全体の筋力(筋肉)トレーニングを行う。使用者13は特に意識的にトレーニングをする必要がなく、テレビを見ながら、音楽を聴きながら、お風呂上がり時にリラックス状態で休憩しながら、筋力トレーニングができる。これにより、使用者の筋力トレーニングが簡単にできるので、トレーニングの継続性に寄与することができる。
【0032】
EMS部2は、使用者13の骨盤底筋群(全体)に電気刺激を与える複数のカーボングラフェン電極3を有し、おしりから股間にかけてなぞるような形状をしている。EMS部は復元力がある弾性材料(例えば、シリコンゴム)で構成されており、使用者13が臀部(おしり)を乗せると、変形し、弾性材料の復元力の作用により股間と密着する。カーボングラフェン電極3は、露出形の電極であり、露出形の電極にアトマイザーで霧状の水を噴きかけて、導電性を向上させて使用する。水に濡れてもタオルでさっと一拭きすれば、アルコール除菌などが簡単に行える材料であることが望ましい。この骨盤底筋群EMS運動器具1は、お風呂上がり時などの使用を想定しているので、体が濡れていても使用できるので、必ずしもアトマイザーで水を噴霧する必要はない。また、骨盤底筋群EMS運動器具1の全体は、弾性ゴム素材で構成し、防水構造(例えば、IP54)をしている。各種スイッチ類も防水仕様(例えば、IP54)とすることが望ましい。
【0033】
骨盤底筋群EMS運動器具1は、お風呂上がり時に使用を想定している理由は、器具を人体の局部(陰部)に直接当てるため、お風呂上がり時のタイミングが体を洗って清潔な状態になっているので、衛生的に良いと考えるからである。衛生上の理由から使用形態的には一人一台で使用するのが望ましい。
【0034】
骨盤底筋群EMS運動器具1の上面に操作系の各部材が防水仕様で設けられている。器具内部に図示しない充電式電池(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池等)を収納し、EMS部2に設けられたカーボングラフェン電極に電源供給を行う。ここで、カーボングラフェン電極と図示しない充電式電池とは、内部結線された電源ケーブル(図示省略)又は回路基板(図示省略)を介して接続され、電源供給される。
【0035】
電源スイッチ4は、ボタンを押下することにより、電源ON又はOFFすることができる。
【0036】
ON/OFFインジケータ5は、電源ON又はOFFの状態を視認できるように、LEDランプなどを備え、ランプ消灯、点灯表示、点滅表示などさせる。例えば、点灯表示で電源ON状態を示し、消灯で電源OFF状態を使用者に知らせる。
【0037】
パルス強度切替スイッチ6は、カーボングラフェン電極12に供給するパルスの強度を変更する押しボタン式のスイッチである。
図1、
図2の例では、「弱」・「中」・「強」などの切替モードがあり、パルス強度切替スイッチ6を押下するだけで、簡単に電気刺激強度を変更できるので、機器に不慣れな女性や高齢者が使用したとしても、簡単に操作することができる。現在のパルス強度は、強インジケータ7、中インジケータ8、弱インジケータ9を表示させることにより、使用者は視認することができる。強インジケータ7はパルス強度が高いことを示し、中インジケータ8はパルス強度が中程度、弱インジケータ9はパルス強度が弱いことを示す。
【0038】
充電式電池に充電中はLEDランプを点滅表示させ、充電完了になったとき、LEDランプを消灯させる充電インジケータを備えても良い。LEDランプの表示形態は、適宜変更して使用しても良い。例えば、充電中は点滅表示させ、充電完了で連続表示にさせたりしても良い。充電は、
図1に示す防水フタ(
図1の10中、斜線で示す)を外してUSB充電端子(例えば、USBタイプC)にUSBケーブル16の一端であるUSBタイプCコネクタ15を接続し、USBケーブル16の他端であるUSBコネクタ17をUSB電源変換アダプタ18に接続した状態で行う(
図6参照)。
図6の例は、USB電源変換アダプタ18からUSBケーブル16を取り外した状態を示し、接続状態は一般的な公知の方法なので、図示を省略する。このEMS部2へのパルス供給は、EMS運動器具1の内部にケーブルを通して器具内部に内蔵した充電池(図示省略)と接続し、充電式電池から行われる。充電完了後は、USBケーブルを取り外してEMS運動器具1を使用することができる。
【0039】
臀部用くぼみ11、12は、使用者の臀部(おしり)を器具にぴったりフィットするようにするためのくぼみである。これにより、使用者の股間部の骨盤底筋群とEMS部2のカーボングラフェン電極3の密着度がアップする。
【0040】
使用者13は、加齢により骨盤底筋群が衰えた高齢者であったり、出産後の女性、運動不足や肥満により骨盤底筋群が衰えた大人や子供でも良い。ただし、子供の場合はEMS運動器具1を適切に操作できる能力がある10歳前後であれば、利用できる。
【0041】
USB電源変換アダプタ18は、
図6に示すような形状をしており、AC電源の交流電圧を直流電圧、例えば5V電圧などに変換して、充電池への電源供給を行う。USB充電端子10は、パワーデリバリー対応のタイプCであり、複数の電圧を使用できる。骨盤底筋群EMS運動器具1の使用中は、水濡れする可能性があるので、USB充電端子10内に水の侵入を防止する防水フタ(例えば、シリコンゴム等で構成された防水キャップ)が付けられている(
図1中10の斜線で示す)。
【0042】
USBケーブル16の一端には24ピンのUSBタイプCコネクタ15を備えており、他端は通常のUSBコネクタ17を備えている。
【0043】
以下、
図8を用いて本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の充電動作について説明する。
【0044】
<骨盤底筋群EMS運動器具の充電動作>
まず、
図8に示すように、骨盤底筋群EMS運動器具1本体のUSBタイプCコネクタ充電端子10にUSBケーブル16の一端のUSBタイプCコネクタ15を接続し、他端のUSBコネクタ17をUSB電源変換アダプタ18に接続し、USB電源変換アダプタ18を商用電源コンセント(図示省略)に差し込むと(ステップ101)、充電が開始される(ステップ102)。充電中は充電インジケータ(図示省略)のLEDランプが点滅表示される。充電が完了すると、充電インジケータ(図示省略)が消灯したり、常時点灯させることにより、充電完了を使用者に知らせて確認する(ステップ103)。これにより、充電が完了し、EMS運動器具1が使用できるようになる。
【0045】
以下、
図9を用いて本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の運動(トレーニング)動作について説明する。
【0046】
<骨盤底筋群EMS運動器具の運動動作>
まず、
図9に示すように、骨盤底筋群EMS運動器具1の事前準備を行う(ステップ201)。予め、充電されたEMS運動器具1を用意しておくものとする。
【0047】
図4又は
図5に示すような状態において、使用者13が
図3に示すようにEMS運動器具1上に臀部(おしり)を乗せる(ステップ202)。臀部(おしり)を乗せた状態から腕(図示省略)を伸ばして電源スイッチ4をオンすると、電源オンとなる(ステップ203)。パルス強度切替スイッチ6を押下してEMSモード設定を行う(ステップ204)。例えば、
図2に示すように、EMSモードにより、それぞれに対応したインジケータ7、8、9が表示される。所定時間(例えば、10分間)動作し、筋力強化運動(トレーニング)を行い、骨盤底筋群が鍛えられる。所定時間経過すると(ステップ205)、自動電源オフとなる(ステップ206)。ここで、所定時間は必ずしも10分間に限定する必要は無く、設定スイッチを設けて、時間を短くしたり、時間を長くしたり、使用者の体調に合わせて適宜変更しても良い。
【0048】
図7は、本実施形態の骨盤底筋群EMS運動器具の機能ブロック図である。
【0049】
図7に示すように、骨盤底筋群EMS運動器具は、操作部19と、制御部20と、通知部21と、電源部22と、パルス発生部23と、骨盤底筋用電極エリア24、25、26と、USB充電端子27と、充電式電池28と、充電制御部29と、ACアダプタ30とを有する。骨盤底筋用電極エリア24、25、26以外の機能は、公知の手段と同様なものを使用できる。
図7の例では、
図1又は
図2に示す6個のカーボングラフェン電極2を、上段部、中段部、下段部の3つの電極エリアにエリア分割し、骨盤底筋用電極エリア24、25、26のそれぞれを2個のカーボングラフェン電極3で構成した例を示している。この構成によれば、骨盤底筋群の特定箇所に電気刺激を与えたり、全体モード設定により、同時にパルス信号(EMS信号)を与えて筋力トレーニングができる。また、骨盤底筋用電極エリア24、25、26は、一体構成とし、カーボングラフェン電極を一体的に動作させても良い。EMSモードのパルスパターンは、周期的に変化させたり、適宜自動変更させても良い。
【0050】
上記実施形態においては、カーボングラフェン電極3は露出形の透明電極シートについて説明したが、カーボングラフェンを繊維に含有させた露出形の布製電極を作製し、EMS部2に設置しても良い。この場合は、骨盤底筋群EMS運動器具1におしりを乗せたときのフィット感を増大することができる。また、カーボングラフェン電極3は必ずしも透明電極シートで構成する必要は無く、赤、青、黒、オレンジなどのカラー色を採用しても良い。これにより、使用者による装置の識別性を上げることができる。
【0051】
単層ナノカーボンナノチューブ(CNT)をシリコンゴムに高分散させた、柔軟な導電性シリコンゴム複合材料(シート)を用いて電極パットを構成しても良い。なお、骨盤底筋群に対してEMS刺激を与えられる電極であれば、必ずしもカーボングラフェン電極である必要は無い。例えば、従来型の電極の上に導電性の良いパットを貼って防水性を確保した電極を使用しても良い。
【0052】
このように、上記した実施形態においては、骨盤底筋群全体が筋力トレーニングにより鍛えられるので、使用者の尿漏れや便漏れを予防することができ、子宮脱及び直腸脱の予防も図れ、ひいては性機能向上にもつながる。
【0053】
このように、本発明によれば、尿漏れや便漏れ、子宮脱及び直腸脱を予防可能な骨盤底筋群EMS運動器具を実現することができ、骨盤底筋群を鍛えることにより、性機能の向上にもつながる。
【符号の説明】
【0054】
1 骨盤底筋群EMS運動器具
2 EMS部
3 カーボングラフェン電極
4 電源スイッチ
5 ON/OFFインジケータ
6 パルス強度切替スイッチ
7 強インジケータ
8 中インジケータ
9 弱インジケータ
10 USB充電端子
11 臀部用くぼみ
12 臀部用くぼみ
13 使用者
14 設置台(すのこ)
14a 設置台(椅子)
15 USBタイプCコネクタ
16 USBケーブル
17 USBコネクタ
18 USB電源変換アダプタ