(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157362
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】電気車両の充電システム、充電装置、電力融通システム、電力料金清算システム、および電気車両
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20231019BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231019BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20231019BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20231019BHJP
B60L 53/51 20190101ALI20231019BHJP
G16Y 10/35 20200101ALI20231019BHJP
G16Y 20/10 20200101ALI20231019BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20231019BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20231019BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20231019BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20231019BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J7/00 P
B60L53/68
B60L55/00
B60L53/51
G16Y10/35
G16Y20/10
G16Y20/20
G16Y20/30
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】49
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067229
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】508278745
【氏名又は名称】NL技研株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】706000296
【氏名又は名称】田中 雅英
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅英
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CB16
5G503DA05
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC24
5H125BC22
5H125BC24
5H125BE01
5H125CA18
5H125CC04
5H125CD10
5H125DD02
5L049CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気料金精算の合理化等により充電インフラの整備を促進する電気車両の充電システム、充電装置、電力融通システム、電力料金清算システム及び電気車両を提供する。
【解決手段】個人住宅等電力消費部を有する建物10、18の駐車スペースで、任意のEVが充電されたとき、個人住宅へは充電料金を差し引いて電力料金を課金し、EV所有者の電力料金には充電料金を加算して課金するよう清算する。ETC電波又はナンバープレート画像により駐車スペースのEVを特定して、EV特定情報を記録するとともに充電電力を測定する。ユーザの緊急な充電需要に対応できる時間帯において個人住宅等をシステム加入者のカーナビに公開し、システム非加入EV又は充電中以外のEVを駐車スペースから排除する。また、充電電力清算を利用して自家発電電力を売電する。さらに、災害停電時等に、公的補償制度のもとで任意のEVから個人住宅等に支援給電する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力消費部を有する建物と、前記建物に付属する駐車スペースと、前記駐車スペースにおいて電気車両への充電を行う充電装置と、前記建物および前記充電装置に電力を供給する電力供給部とを有し、前記駐車スペースに任意の電気車両が駐車して前記充電装置から充電を受けたとき前記電力供給部に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算する電力融通システムを備えることを特徴とする電気車両の充電システム。
【請求項2】
前記建物は個人住居であり前記駐車スペースはその個人の自家用電気車両のための駐車スペースであるとともに、前記電力消費部は前記個人住居における電気設備であって、前記任意の電気車両は前記個人にとって他人の電気車両であることを特徴とする請求項1記載の電気車両の充電システム。
【請求項3】
前記建物は一般消費者用の事業設備であり前記駐車スペースは事業設備の顧客の電気車両のための駐車スペースであるとともに、前記電力消費部は前記事業設備における電気設備であって、前記任意の電気車両は前記顧客の電気車両であることを特徴とする請求項1記載の電気車両の充電システム。
【請求項4】
前記電力融通システムは電力供給システムおよび充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記任意の電気車両を特定するとともに充電電力の報告を受けて前記電力供給システムに報告し、前記電力供給システムは前記電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者の電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項5】
前記電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記任意の電気車両を特定するとともに充電電力の報告を受けて前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金について電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記特定された電気車両の管理者との間で電力融通に関する電力料金の清算を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、ナンバープレートの画像またはETC車載器からの電波に基づいて前記任意の電気車両の情報を取得し、前記充電管理システムに報告することを特徴とする請求項4記載の電気車両の充電システム。
【請求項7】
前記充電装置は、取得された前記電気車両の情報を記録することを特徴とする請求項6記載の電気車両の充電システム。
【請求項8】
電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が前記電力融通システムに加入していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項9】
前記充電装置は、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき、前記任意の電気車両への充電を禁止することを特徴とする請求項8記載の電気車両の充電システム。
【請求項10】
前記充電装置は、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないときにこれを前記駐車スペースから退去させる手段を講じることを特徴とする請求項8記載の電気車両の充電システム。
【請求項11】
前記電力融通システムは、前記充電装置の情報に基づいて前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき警察への通報を行うことを特徴とする請求項8記載の電気車両の充電システム。
【請求項12】
前記充電装置は、前記任意の電気車両が充電を行わずに所定時間以上前記駐車スペースに駐車しているとき前記駐車スペースから退去させる手段を講じることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項13】
前記充電装置は、前記任意の電気車両に充電を許可する時間帯を設定して前記電力融通システムに通知し、記電力融通システムは前記任意の電気車両のカーナビゲーションシステムに充電可能な前記駐車スペースの位置情報を公開することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項14】
前記電力融通システムは、充電を許可する時間外に前記任意の電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき前記充電装置の情報に基づいて警察への通報を行うことを特徴とする請求項13に記載の電気車両の充電システム。
【請求項15】
前記充電装置は、前記建物の管理者の管理する自らの電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき、前記自らの車両の蓄電池から前記建物の前記電力消費部への給電を受けることができるとともに、前記駐車スペースに前記任意の電気車両が駐車しているときは原則として前記任意の車両の蓄電池から前記建物の前記電力消費部への給電を受けることができないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項16】
前記充電装置は、災害等の緊急時に限り、駐前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の蓄電池から前記建物の前記電力消費部への給電を受けることができることを特徴とする請求項15記載の電気車両の充電システム。
【請求項17】
電力融通システムは、前記災害等の緊急時において駐前記駐車スペースに駐車して前記建物の前記電力消費部に給電した前記任意の電気車両の管理者に対し、給電に要した電力料金の公的補償を受けることができるようにすることを特徴とする請求項16記載の電気車両の充電システム。
【請求項18】
前記電力消費部での消費および前記充電装置による前記電気車両の充電のために給電可能な自家発電システムを有し、前記電力融通システムは、前記自家発電システムから前記充電装置による前記電気車両の充電のために給電を行った場合であっても、前記電力供給部に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電気車両の充電システム。
【請求項19】
任意の電気車両が駐車できる駐車スペースにおいて前記任意の電気車両に給電するため商用電源に接続された充電装置であって、前記任意の電気車両の情報を取得する情報取得部と、前記任意の電気車両への充電電力の測定部と、前記商用電源の電力料金と前記任意の電気車両への充電に要する電力料金とを清算する電力融通システムに対して前記情報取得部が取得した前記任意の電気車両の情報および前記測定部が測定した前記任意の電気車両への充電電力を報告する通信部とを備えることを特徴とする電気車両の充電装置。
【請求項20】
前記電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記通信部からの電気車両の情報に基づいて前記任意の電気車両を特定するとともに前記充電電力の報告を受けて前記商用電源の管理者に報告し、前記商用電源の管理者は前記商用電源の電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者の電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金することを特徴とする請求項19記載の電気車両の充電装置。
【請求項21】
前記電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記通信部からの電気車両の情報に基づいて前記任意の電気車両を特定するとともに前記充電電力の報告を受けて前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金について電力供給側である前記充電装置の管理者と電力需要側である前記特定された電気車両の管理者との間で電力融通に関する電力料金の清算を行うことを特徴とする請求項19記載の電気車両の充電装置。
【請求項22】
前記情報取得部は、ナンバープレートの画像またはETC車載器からの電波に基づいて前記任意の電気車両の情報を取得し、前記充電管理システムに報告することを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項23】
前記取得された電気車両の情報を記録する記録部を有することを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項24】
電力供給側である前記充電装置の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が前記電力融通システムに加入していることを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項25】
前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき、前記任意の電気車両への充電を禁止することを特徴とする請求項24記載の電気車両の充電装置。
【請求項26】
前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないときにこれを前記駐車スペースから退去させる手段を有することを特徴とする請求項24記載の電気車両の充電装置。
【請求項27】
前記任意の電気車両が充電を行わずに所定時間以上前記駐車スペースに駐車しているとき前記駐車スペースから退去させる手段を有することを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項28】
前記充電装置は、前記任意の電気車両に充電を許可する時間帯を設定して前記電力融通システムに通知し、記電力融通システムは前記任意の電気車両のカーナビゲーションシステムに充電可能な前記駐車スペースの位置情報を公開することを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項29】
自らの電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき、前記自らの車両の蓄電池の放電による前記充電装置への給電を受けることができるとともに、前記駐車スペースに前記任意の電気車両が駐車しているときは原則として前記任意の車両の蓄電池の放電による前記充電装置への給電を受けることができないことを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項30】
災害等の緊急時に限り、駐前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の蓄電池の放電による前記充電装置への給電を受けることができることを特徴とする請求項29記載の電気車両の充電装置。
【請求項31】
電力融通システムは、前記災害等の緊急時において駐前記駐車スペースに駐車して前記建物の前記電力消費部に給電した前記任意の電気車両の管理者に対し、給電に要した電力料金の公的補償を受けることができるようにすることを特徴とする請求項30記載の電気車両の充電装置。
【請求項32】
前記充電装置は自家発電システムから給電可能であり、前記電力融通システムは、前記自家発電システムの給電にもとづいて前記充電装置による前記電気車両の充電のために給電を行った場合であっても、前記商用電源の電力料金と前記任意の電気車両への充電に要する電力料金とを清算することを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の電気車両の充電装置。
【請求項33】
建物に付属する駐車スペースに設けられた充電装置から任意の電気車両が充電を受けたとき、前記任意の電気車両の情報と充電電力の報告を前記充電装置から受け、前記建物の管理者に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算することを特徴とする電気車両の電力融通システム。
【請求項34】
電力供給システムおよび充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記充電装置からの情報に基づき前記任意の電気車両を特定するとともに前記充電電力とともに前記電力供給システムに報告し、前記電力供給システムは前記建物の管理者に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者の電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金することを特徴とする請求項33記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項35】
充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記充電装置からの情報に基づき前記任意の電気車両を特定するとともに報告を受けた充電電力に基づき前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金について電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記特定された電気車両の管理者との間で電力融通に関する電力料金の清算を行うことを特徴とする請求項33記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項36】
電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が加入していることを特徴とする請求項33から35のいずれかに記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項37】
前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないことを前記充電装置に通知し、前記充電装置による前記駐車前記任意の電気車両への充電を禁止させることを特徴とする請求項36記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項38】
前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないことを前記充電装置に通知し、前記充電装置に対して前記任意の電気車両を前記駐車スペースから退去させる手段を講じさせることを特徴とする請求項36記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項39】
前記充電装置の情報に基づいて前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき警察への通報を行うことを特徴とする請求項36記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項40】
前記任意の電気車両に充電を許可する時間帯について前記充電装置からの情報を受け、前記任意の電気車両のカーナビゲーションシステムに充電可能な前記駐車スペースの位置情報を公開することを特徴とする請求項36記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項41】
充電を許可する時間外に前記任意の電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき前記充電装置の情報に基づいて警察への通報を行うことを特徴とする請求項40に記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項42】
災害等の緊急時において駐前記駐車スペースに駐車して前記建物に給電した前記任意の電気車両の管理者に対し、給電に要した電力料金の公的補償を受けることができるようにすることを請求項33から35のいずれかに記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項43】
前記建物は自家発電システムを有し、前記自家発電システムから前記任意の電気車両に充電した場合であっても、前記建物に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算することを特徴とする請求項33から35のいずれかに記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項44】
個人住居に付属する駐車スペースに設けられた充電装置により任意の電気車両への充電を可能とするとともに、電力供給側の前記個人住宅の管理者と電力需要側の前記任意の電気車両の管理者との間で電力料金の精算を行う充電管理システムを有し、前記充電管理システムは任意の電気車両への充電が可能な個人住居の位置情報を前記任意の電気車両に搭載されたカーナビゲーションシステムに公開することを特徴とする電気車両の電力融通システム。
【請求項45】
電力供給側である前記個人住宅の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が加入していることを条件に前記カーナビゲーションシステムへの前記個人住居の位置情報の公開を行うことを特徴とする請求項44記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項46】
前記個人住宅において充電が許可される時間帯に限り、前記カーナビゲーションシステムへの前記個人住居の位置情報の公開を行うことを特徴とする請求項44または45記載の電気車両の電力融通システム。
【請求項47】
個人住居に付属する駐車スペースに設けられた充電装置により充電可能であり、電力供給側の前記個人住宅の管理者との間で電力料金の精算を行う充電管理システムに加入しているとともに、前記充電管理システムに加入して任意の電気車両への充電が可能な前記個人住居の位置情報が公開されるカーナビゲーションシステムを有することを特徴とする電気車両。
【請求項48】
前記個人住居に付属する駐車スペースに駐車したときに前記電気料金の精算のため前記個人住宅に前記電気車両の情報を提供するETC車載器を有する請求項47記載の電気車両。
【請求項49】
建物に付属する駐車スペースに設けられた充電装置から任意の電気車両が充電を受けたとき、前記任意の電気車両の特定と充電電力の情報に基づき、前記建物の管理者への電力供給に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者前記建物の管理者への電力供給に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金することを特徴とする電力料金清算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車(EV)等の電気車両への充電システム、充電装置、および電気車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の電気車両の普及にとって、充電インフラの整備は不可欠である。具体的には、道路網への充電ステーションの配備により走行に支障がないようにする必要がある。その一助として、自動車ディーラー、コンビニエンスストア、駐車場など、電気自動車が立ち寄る諸施設においても充電ステーションを配備する努力が行われている。さらには一般家庭の駐車場にも充電システムを設ける要請も検討されている。そして、充電ステーションや充電システムの設置を促進するため、例えばその費用負担の検討等も行われている。(特許文献1)
【0003】
一方、集合住宅の駐車場や充電スペースで電気自動車を充電する場合、電気料金をなるべく低廉に抑える一方、ユーザの緊急な充電需要にも柔軟に対応できるようにする検討等も行われている。(特許文献2)
【0004】
しかしながら、充電ステーションや充電システムの設置を促進、ならびに電気料金の合理化については、さらに検討すべき課題が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-121148号公報
【特許文献2】特開2012-132636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記に鑑み、電気料金精算の合理化等により充電システムの設置を促進することができる電気車両の充電システム、充電装置、電力融通システム、電力料金清算システム、および電気車両を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため本発明は、電力消費部を有する建物と、前記建物に付属する駐車スペースと、前記駐車スペースにおいて電気車両への充電を行う充電装置と、前記建物および前記充電装置に電力を供給する電力供給部とを有し、前記駐車スペースに任意の電気車両が駐車して前記充電装置から充電を受けたとき前記電力供給部に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算する電力融通システムを備えることを特徴とする電気車両の充電システムを提供する。これによって、建物に付属する駐車スペースに電力需要側の電気車両を駐車させて充電を受けても、自宅で充電したのと同様の課金を受けることができ、電力供給側の建物の方でも他人の電気車両が充電を行っても実質的にその分の課金を受けることがない。従って電力融通システムに加入している電気車両は、自宅以外の外出先においても、電力融通システムに加入している他家庭の駐車スペースにおいて充電を受けることができる。
【0008】
本発明の具体的な特徴によれば、前記建物は個人住居であり前記駐車スペースはその個人の自家用電気車両のための駐車スペースであるとともに、前記電力消費部は前記個人住居における電気設備であって、前記任意の電気車両は前記個人にとって他人の電気車両である。また他の具体的な特徴によれば、前記建物は一般消費者用の事業設備であり前記駐車スペースは事業設備の顧客の電気車両のための駐車スペースであるとともに、前記電力消費部は前記事業設備における電気設備であって、前記任意の電気車両は前記顧客の電気車両である。このように、本発明によれば、個人住宅における自家用電気車両用の充電装置を、電力料金の精算の手間なく任意の電気車両のための充電インフラとして活用できる。また、本発明は個人住宅だけでなく、一般消費者用の事業設備のための駐車場を電力料金の精算の手間なく任意の顧客の電気車両のための充電インフラとして活用できる。
【0009】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記電力融通システムは電力供給システムおよび充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記任意の電気車両を特定するとともに充電電力の報告を受けて前記電力供給システムに報告し、前記電力供給システムは前記電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者の電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金する。また他の具体的な特徴によれば、前記電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記任意の電気車両を特定するとともに充電電力の報告を受けて前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金について電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記特定された電気車両の管理者との間で電力融通に関する電力料金の清算を行う。
【0010】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置は、ナンバープレートの画像またはETC車載器からの電波に基づいて前記任意の電気車両の情報を取得し、前記充電管理システムに報告する。これによって例えば任意の電気車両を電気料金の精算のために特定することができる。より具体的な特徴によれば、前記充電装置は、取得された前記電気車両の情報を記録する。これにより、例えば個人住宅の駐車スペースに駐車して充電を行う任意の電気車両の素性を把握でき、電力料金の精算の手間なくかつ防犯上の対策も行ったうえで任意の電気車両のための充電インフラとして活用できる。
【0011】
本発明の他の具体的な特徴によれば、電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が前記電力融通システムに加入している。これにより例えばスムーズな電力の融通が可能となる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記充電装置は、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき、前記任意の電気車両への充電を禁止する。これによって任意の電気車両を対象とするにもかかわらず盗電などのトラブルを回避することができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記充電装置は、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないときにこれを前記駐車スペースから退去させる手段を講じる。これによって、給電を装った不法駐車を防止することができる。本発明の他の具体的な特徴によれば、前記電力融通システムは、前記充電装置の情報に基づいて前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき警察への通報を行う。これによっても、給電を装った不法駐車を防止することができる。
【0012】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置は、前記任意の電気車両が充電を行わずに所定時間以上前記駐車スペースに駐車しているとき前記駐車スペースから退去させる手段を講じる。これによって、充電を口実に車両が長時間駐車スペースに留まって他の車両の充電機会を奪うことを防止することができる。
【0013】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置は、前記任意の電気車両に充電を許可する時間帯を設定して前記電力融通システムに通知し、記電力融通システムは前記任意の電気車両のカーナビゲーションシステムに充電可能な前記駐車スペースの位置情報を公開する。これによって充電に急を要する車両が最寄りの充電可能スポットを知ることができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記電力融通システムは、充電を許可する時間外に前記任意の電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき前記充電装置の情報に基づいて警察への通報を行う。これによって、建物の管理者自身が必要とするにもかかわらず他人の車両により自身の駐車スペースを占められてしまう事態を解決できる。
【0014】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置は、前記建物の管理者の管理する自らの電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき、前記自らの車両の蓄電池から前記建物の前記電力消費部への給電を受けることができるとともに、前記駐車スペースに前記任意の電気車両が駐車しているときは原則として前記任意の車両の蓄電池から前記建物の前記電力消費部への給電を受けることができない。これによって車両の蓄電池を建物の補助電源として活用する際、任意の電気自動車の蓄電池から給電を受けてしまうことによる電力融通の混乱を防止できる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記充電装置は、災害等の緊急時に限り、駐前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の蓄電池から前記建物の前記電力消費部への給電を受けることができる。これによって、建物の管理者は、災害による停電等の緊急時において、電力融通の混乱回避に優先し、電力供給の支援をうけることができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、電力融通システムは、前記災害等の緊急時において駐前記駐車スペースに駐車して前記建物の前記電力消費部に給電した前記任意の電気車両の管理者に対し、給電に要した電力料金の公的補償を受けることができるようにする。これにより、災害等の緊急時において任意の車両は躊躇なく支援にあたることができるとともに、支援後において応分の補償を受けることができる。
【0015】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記電力消費部での消費および前記充電装置による前記電気車両の充電のために給電可能な自家発電システムを有し、前記電力融通システムは、前記自家発電システムから前記充電装置による前記電気車両の充電のために給電を行った場合であっても、前記電力供給部に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算する。これにより、任意の車両への電力供給量のうち自家発電システム提供された電力が、結果的に建物の管理者から電力会社に売電されたと同様の電力清算が可能となる。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、任意の電気車両が駐車できる駐車スペースにおいて前記任意の電気車両に給電するため商用電源に接続された充電装置であって、前記任意の電気車両の情報を取得する情報取得部と、前記任意の電気車両への充電電力の測定部と、前記商用電源の電力料金と前記任意の電気車両への充電に要する電力料金とを清算する電力融通システムに対して前記情報取得部が取得した前記任意の電気車両の情報および前記測定部が測定した前記任意の電気車両への充電電力を報告する通信部とを備えることを特徴とする電気車両の充電装置が提供される。これによって、駐車スペースに任意の電気車両が駐車して商用電源から充電を行っても、該当車両を特定してその充電に要した電力料金を電力融通システムにより正しく清算することができる。
【0017】
本発明の具体的な特徴によれば、前記電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記通信部からの電気車両の情報に基づいて前記任意の電気車両を特定するとともに前記充電電力の報告を受けて前記商用電源の管理者に報告し、前記商用電源の管理者は前記商用電源の電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者の電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金する。本発明の具体的な他の特徴によれば、前記電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記通信部からの電気車両の情報に基づいて前記任意の電気車両を特定するとともに前記充電電力の報告を受けて前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金について電力供給側である前記充電装置の管理者と電力需要側である前記特定された電気車両の管理者との間で電力融通に関する電力料金の清算を行う。上記のいずれにおいても、充電装置側と充電を行った車両側との間における電力料金課金の清算が正しく行われる。
【0018】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記情報取得部は、ナンバープレートの画像またはETC車載器からの電波に基づいて前記任意の電気車両の情報を取得し、前記充電管理システムに報告する。これによって例えば任意の電気車両を電気料金の精算のために特定することができる。より具体的な特徴によれば、前記充電装置は、取得された前記電気車両の情報を記録する。これにより、例えば個人住宅の駐車スペースに駐車して充電を行う任意の電気車両の素性を把握でき、電力料金の精算の手間なくかつ防犯上の対策も行ったうえで任意の電気車両のための充電インフラとして活用できる。
【0019】
本発明の他の具体的な特徴によれば、電力供給側である前記充電装置の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が前記電力融通システムに加入している。従って電力融通システムに加入している電気車両は、自宅以外の外出先においても、電力融通システムに加入している充電装置の駐車スペースにおいて充電を受けることができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき、前記任意の電気車両への充電を禁止する。これによって任意の電気車両を対象とするにもかかわらず盗電などのトラブルを回避することができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないときにこれを前記駐車スペースから退去させる手段を有する。これによって、給電を装った不法駐車を防止することができる。
【0020】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記任意の電気車両が充電を行わずに所定時間以上前記駐車スペースに駐車しているとき前記駐車スペースから退去させる手段を有する。これによって、充電を口実に車両が長時間駐車スペースに留まって他の車両の充電機会を奪うことを防止することができる。
【0021】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置は、前記任意の電気車両に充電を許可する時間帯を設定して前記電力融通システムに通知し、記電力融通システムは前記任意の電気車両のカーナビゲーションシステムに充電可能な前記駐車スペースの位置情報を公開する。これによって充電に急を要する車両が最寄りの充電可能スポットを知ることができる。
【0022】
本発明の他の具体的な特徴によれば、自らの電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき、前記自らの車両の蓄電池の放電による前記充電装置への給電を受けることができるとともに、前記駐車スペースに前記任意の電気車両が駐車しているときは原則として前記任意の車両の蓄電池の放電による前記充電装置への給電を受けることができない。これによって車両の蓄電池を充電装置の補助電源として活用する際、任意の電気自動車の蓄電池から給電を受けてしまうことによる課金等の混乱を防止できる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、災害等の緊急時に限り、駐前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の蓄電池の放電による前記充電装置への給電を受けることができる。これによって、充電装置は、災害による停電等の緊急時において、課金等の混乱回避に優先し、電力供給の支援をうけることができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、電力融通システムは、前記災害等の緊急時において駐前記駐車スペースに駐車して前記建物の前記電力消費部に給電した前記任意の電気車両の管理者に対し、給電に要した電力料金の公的補償を受けることができるようにする。これにより、災害等の緊急時において任意の車両は躊躇なく支援にあたることができるとともに、支援後において応分の補償を受けることができる。
【0023】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置は自家発電システムから給電可能であり、前記電力融通システムは、前記自家発電システムの給電にもとづいて前記充電装置による前記電気車両の充電のために給電を行った場合であっても、前記商用電源の電力料金と前記任意の電気車両への充電に要する電力料金とを清算する。これにより、任意の車両の充電において、自家発電システムからの電力給電についても清算を行うことができる。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、建物に付属する駐車スペースに設けられた充電装置から任意の電気車両が充電を受けたとき、前記任意の電気車両の情報と充電電力の報告を前記充電装置から受け、前記建物の管理者に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算することを特徴とする電気車両の電力融通システムが提供される。これによって、建物に付属する駐車スペースに電力需要側の電気車両を駐車させて充電を受けても、自宅で充電したのと同様の課金を受けることができ、電力供給側の建物の方でも他人の電気車両が充電を行っても実質的にその分の課金を受けることがない。従って電力融通システムに加入している電気車両は、自宅以外の外出先においても、電力融通システムに加入している他家庭の駐車スペースにおいて充電を受けることができる。
【0025】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記電力融通システムは電力供給システムおよび充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記充電装置からの情報に基づき前記任意の電気車両を特定するとともに前記充電電力とともに前記電力供給システムに報告し、前記電力供給システムは前記建物の管理者に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者の電力供給部に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金する。また他の具体的な特徴によれば、電力融通システムは充電管理システムを含み、前記充電管理システムは、前記充電装置からの情報に基づき前記任意の電気車両を特定するとともに報告を受けた充電電力に基づき前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金について電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記特定された電気車両の管理者との間で電力融通に関する電力料金の清算を行う。
【0026】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記電力融通システムには電力供給側である前記建物の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が加入している。これにより例えばスムーズな電力の融通が可能となる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないことを前記充電装置に通知し、前記充電装置による前記駐車前記任意の電気車両への充電を禁止させる。これによって任意の電気車両を対象とするにもかかわらず盗電などのトラブルを回避することができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないことを前記充電装置に通知し、前記充電装置に対して前記任意の電気車両を前記駐車スペースから退去させる手段を講じさせる。これによって、給電を装った不法駐車を防止することができる。本発明の他の具体的な特徴によれば、前記充電装置の情報に基づいて前記駐車スペースに駐車している前記任意の電気車両の管理者が前記電力融通システムに加入していると確認できないとき警察への通報を行う。これによっても、給電を装った不法駐車を防止することができる。
【0027】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記任意の電気車両に充電を許可する時間帯について前記充電装置からの情報を受け、前記任意の電気車両のカーナビゲーションシステムに充電可能な前記駐車スペースの位置情報を公開する。これによって充電に急を要する車両が最寄りの充電可能スポットを知ることができる。本発明のさらに具体的な特徴によれば、充電を許可する時間外に前記任意の電気車両が前記駐車スペースに駐車しているとき前記充電装置の情報に基づいて警察への通報を行う。これによって、必要時に他人の車両により自身の駐車スペースを占められてしまう事態を解決できる。
【0028】
本発明の他の具体的な特徴によれば、災害等の緊急時において駐前記駐車スペースに駐車して前記建物に給電した前記任意の電気車両の管理者に対し、給電に要した電力料金の公的補償を受けることができるようにする。これにより、災害等の緊急時において任意の車両は躊躇なく停電状態にある建物への給電支援にあたることができるとともに、支援後において応分の補償を受けることができる。
【0029】
本発明の他の具体的な特徴によれば、前記建物は自家発電システムを有し、前記自家発電システムから前記任意の電気車両に充電した場合であっても、前記建物に対する電力料金について前記任意の電気車両への充電に要する電力料金が差し引かれたものが課金されるよう清算する一方、前記任意の電気車両への充電に要する電力料金については前記任意の電気車両の管理者に課金するよう清算する。これにより、任意の車両への電力供給量のうち自家発電システム提供された電力が、結果的に建物の管理者から電力会社に売電されたと同様の電力清算が可能となる。
【0030】
本発明の他の特徴によれば、個人住居に付属する駐車スペースに設けられた充電装置により任意の電気車両への充電を可能とするとともに、電力供給側の前記個人住宅の管理者と電力需要側の前記任意の電気車両の管理者との間で電力料金の精算を行う充電管理システムを有し、前記充電管理システムは任意の電気車両への充電が可能な個人住居の位置情報を前記任意の電気車両に搭載されたカーナビゲーションシステムに公開することを特徴とする電気車両の電力融通システムが提供される。これによって、充電に急を要する車両が最寄りの充電可能スポットを知ることができる。本発明の具体的な特徴によれば、電力供給側である前記個人住宅の管理者と電力需要側である前記任意の電気車両の管理者の双方が電力融通システムに加入していることを条件に前記カーナビゲーションシステムへの前記個人住居の位置情報の公開を行う。これによって電力融通システムに加入していない電気車両の駐車を招かないようにすることができる。本発明の他の具体的な特徴によれば、前記個人住宅において充電が許可される時間帯に限り、前記カーナビゲーションシステムへの前記個人住居の位置情報の公開を行う。これによって、建物の管理者自身が必要とするにもかかわらず他人の車両の駐車を招かないようにすることができる。
【0031】
本発明の他の特徴によれば、個人住居に付属する駐車スペースに設けられた充電装置により充電可能であり、電力供給側の前記個人住宅の管理者との間で電力料金の精算を行う充電管理システムに加入しているとともに、前記充電管理システムに加入して任意の電気車両への充電が可能な前記個人住居の位置情報が公開されるカーナビゲーションシステムを有することを特徴とする電気車両が提供される。これによって、充電に急を要するとき、車両は最寄りの充電可能スポットを知ることができる。本発明の具体的な特徴によれば、前記車両は、前記個人住居に付属する駐車スペースに駐車したときに前記電気料金の精算のため前記個人住宅に前記電気車両の情報を提供するETC車載器を有する。これにより充電料金の精算のために必要な自車両の特定を容易にすることができる。
【0032】
本発明の他の特徴によれば、建物に付属する駐車スペースに設けられた充電装置から任意の電気車両が充電を受けたとき、前記任意の電気車両の特定と充電電力の情報に基づき、前記建物の管理者への電力供給に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を差し引いて課金する一方、前記特定された電気車両の管理者前記建物の管理者への電力供給に対する電力料金について前記特定された電気車両への前記充電電力に対する電力料金を加算して課金することを特徴とする電力料金清算システムが提供される。これによって、充電装置側と充電を行った車両側との間における電力料金課金の清算が正しく行われる。
【発明の効果】
【0033】
上記のように、本発明によれば、電気料金精算の合理化等により充電システムの設置を促進することができる電気車両の充電システム、充電装置、電力融通システム、電力料金清算システム、および電気車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施例に関する充電システム全体を示すブロックの図面代用写真である。
【
図2】
図1における電力会社、充電管理会社およびA家庭の詳細を示すブロック図の図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0035】
図1は、本発明の実施例に関する充電システム全体を示すブロックであり、システムは商用電源となる電力供給システム(以下その代表として「電力会社」と称する)2、これと連携して電力の融通や電力料金の精算を行う充電管理システム(以下その代表として「充電管理会社」と称する)4、および通信網5を介してこれらを接続するインターネット6を含む。A区域8は、A家庭10やB家庭12等を含む一定の区域であり、電力会社2による送電網14の分枝15によりまとめられるものである。同様に、B区域16は、C家庭18やD家庭20等を含む一定の区域である。システムには他に多数の区域が含まれるが、簡単のため、A区域8とB区域16に代表させて説明する。また、A区域8には他に多数の家庭が含まれるが、簡単のため、A家庭10とB家庭12に代表させて説明する。B区域16についても、同様にして、C家庭18とD家庭20に代表させて説明する。
【0036】
A家庭10、B家庭12、C家庭18およびD家庭20は、それぞれの区域に応じた送電網14の分枝15により給電されており、A家庭10の駐車スペースには自宅用のA電気車両(電気自動車など、以下同様)22が駐車している。A区域8のB家庭12における駐車スペースは現在空いており、B家庭12を出たB電気車両24は、旅先のB区域16内にあるC家庭の駐車スペースに駐車して充電中である。また、C家庭18を出たC電気車両26は、同じB区域16内にある近隣のD家庭の駐車スペースに駐車して充電中である。D家庭20は現在車両を保有していないが、充電可能な駐車スペースを完備している。
【0037】
A家庭10、B家庭12、C家庭18およびD家庭20は、それぞれ電力会社2およびこれと連携する充電管理会社4の管理する電力融通システムに加入しており、それぞれの所有する電気車両は、上記のように電力融通システムに加入している他家庭の空駐車スペースに自由に駐車して充電することができる。なお、各家庭同士は、電力融通システムに加入していること以外の情報は共有せず、互いのプライバシーは保護されている。また、他家庭から融通を受けた電力料金の精算も電力会社2およびこれと連携する充電管理会社4により管理される。この目的のため各家庭は通信網28を介したインターネット6により電力会社2および充電管理会社4と接続されている。電力の融通および電力料金の精算の詳細は後述する。
【0038】
図2は、
図1における電力会社2、充電管理会社4およびA家庭10の詳細を示すブロック図であり、システム全体の説明のため、併せて通信網5、インターネット6、送電網14、分枝15、C家庭18およびB電気車両24を図示している。なお、A家庭10の属するA区域8および、C家庭18が属するB区域16は、簡単のため図示を省略している。
図2に明らかなように、電力会社2は、供給する電力に対する料金の課金を制御する課金制御部30を有する。その機能は後述する。また、充電管理会社18は、電力の融通や電力料金の精算の管理を行う管理制御部32を有する。その機能についても後述する。
【0039】
図2において、A家庭10の家屋34にはスマートメータ36を介して送電網14の分枝15から給電が行われている。スマートメータ36は、通信網28を介したインターネット6により電力会社2および充電管理会社4と接続されており、A家庭10による使用電力(検針結果)を通信によって電力会社2に報告する。なおA家庭による使用電力にはA電気車両22の充電電力が含まれる他、B電気車両24等の他家庭の電気車両がA家庭10に駐車して給電を受けた場合の充電電力も含まれる。スマートメータ36は近距離無線通信38によりホーム・ エネルギー・マネジメント・システム(以下、「HEMS」と称する)と連携している。両者の連携は有線通信または電力線通信によってもよい。なお、図示は省略しているが、HEMS40は、近距離無線通信または有線通信または電力線通信によって分電盤42とも連携している。また、HEMS40は、通信網28を介したインターネット6により電力会社2および充電管理会社4と接続されている。
【0040】
分電盤42は、引込線41でスマートメータ36に接続されており、A家庭10内の電気設備(照明、空調、各種家電等があるが簡単のため家電44を代表として図示)に電力会社2から給電される電力を家庭内配線により供給する。また家屋34には自家発電システム(以下その代表としてソーラーシステム46として説明するが風力発電システム等も可能)が設けられており、家庭内配線により分電盤42に接続されている。ソーラーシステム46は蓄電部やDC-AC変換部を有し、交流出力を家庭内配線により分電盤42に供給してA家庭10内の電気設備に太陽光発電電力を給電するほか、余剰電力をスマートメータ36を介して電力会社2に売電する。また、ソーラーシステム46による太陽光発電電力は電気車両の充電にも供される。さらに、ソーラーシステム46は、その管理のため近距離無線通信38または有線通信または電力線通信によってHEMS40と接続されている。
【0041】
家屋34にはさらに家電制御部48が設けられており、LANケーブル50によって家電44、スマートメータ36、HEMS40等必要部分と接続され、これらとの通信により家屋34全体を統括制御している。なお、家電制御部48から家電44、スマートメータ36、HEMS40等への接続は、近距離無線通信38または電力線通信によっても可能である。また、家電制御部48は、HEMS40と協働し、ソーラーシステム46による太陽光発電中に他人の電気車両への充電が行われる際には、電力会社2から供給される電力よりもソーラーシステム46から給電される電力を優先して電気車両の充電に供するよう分電盤42を制御する。後述のように、この制御は結果的にソーラーシステム46から給電される電力を電力会社2に売電したことになる。
【0042】
充電ユニット52は、電気車両への充電およびその管理を行うユニットであり、家庭内配線54で分電盤42に接続されたAC-DC変換部56を有する。AC-DC変換部56は、分電盤42からの交流電力を直流電力に変換し、直流ケーブル57を介して充電コネクタ58から出力する。一方、AC-DC変換部56は、必要に応じ電気車両の蓄電池の放電により充電コネクタ58から逆流する直流電力の供給を受け、これを交流電力に変換して分電盤42に供給することができる。これにより、A家庭10は停電時等においても必要な電力を得ることができる。このようなAC-DC変換部56を介した電力のやりとりは電力メータ59により計測される。なお、AC-DC変換部56はその内部にスイッチ機能およびブレーカー機能を備え、後述する充電制御部78の制御により必要に応じ分電盤42との接続を断つことができる。
【0043】
図1では、C家庭18に他人のB電気車両24が駐車して充電中であることを例示したが、このように本発明では、他人の所有にかかる電気車両をA家庭10の充電コネクタ58に接続して充電することが可能である。しかしながら、他人の電気車両については原則として充電コネクタ58からの充電のみを行うもので、他人の電気車両から充電コネクタ58を介してA家庭10が電力供給を受けることはない。例外として、災害等の緊急時に限り他人の電気車両からの電力供給を受けることができ、その場合、A家庭10への電力提供に協力した他人は充電管理会社4からの申請に基づき公的に電力料金の補償を受けることができる。その詳細については後述する。なお、家屋34内において電力線通信が行われている場合、AC-DC変換部56は信号をブロックする機能を有しており、他人が充電コネクタ58をからA家庭内の有線通信に侵入できないようになっている。
【0044】
A家庭10の駐車スペース60にはEVコネクタ62を有するA電気車両22が駐車しており、充電ケーブル64でEVコネクタ62と充電コネクタ58を繋ぐことにより蓄電池66への充電が可能となる。EV駆動部68は蓄電池66の電力によりA電気車両22を駆動する。また、A電気車両22はエレクトロニック・トール・コレクション・システム(以下「ETC」と称する)のためのETC車載器70を搭載しており、有料道路料金所のアンテナ等と無線交信可能である。A電気車両22にはさらにV制御部74が設けられており、EV駆動部68、EVコネクタ62、ETC車載器70等と車内配線72で接続されることでA電気車両22全体を制御する。また、A電気車両22は通常のナンバープレート76を有する。
【0045】
充電ユニット52には充電制御部78が設けられており、充電メータ59の検針結果の情報を受け取る。充電ユニット52には、さらにETC・ID認識部80が設けられており、駐車スペース60に駐車しているA電気車両22のETC車載器70との無線交信によりA電気車用22を特定するETC・IDを認識して充電制御部78に報告する。また、充電制御部78のナンバープレート光学読取部82は、駐車スペース60に駐車しているA電気車両22のナンバープレート76を撮像することによりによりA電気車用22を特定する車両登録番号を光学的に読み取り、充電制御部78に報告する。このようにETC・ID認識部80とナンバープレート光学読取部82は、いずれによってもA家庭10の駐車スペース60に駐車している電気車両を特定する機能を有する。従って、電気車両の特定のためには、ETC・ID認識部80またはナンバープレート光学読取部82のいずれか一方のみでも足りるが、実施例ではクロスチェックのため両者を併用している。
【0046】
上記のようにして、ETC・ID認識部80またはナンバープレート光学読取部82のいずれか一方または双方により駐車スペース60に駐車しているのがA電気車両22であることが特定できた場合、充電制御部78は、充電コネクタ58からの充電を許可する。この場合、スマートメータ36は家屋34による電力消費に加えA電気車両22の充電による電力消費をインターネット6経由で電力会社2に報告し、電力会社2は報告された電力料金をA家庭10に課金する。なお、ソーラーシステム46の発電によりA電気車両22の充電が賄えた場合は、スマートメータ36経由の電力消費はないので充電に対する課金はない。因みに、家屋34の家電44等による電力消費を蓄電池66の放電により賄った場合も、スマートメータ36経由の電力消費はないのでその分に対する課金はない。
【0047】
次に、ETC・ID認識部80またはナンバープレート光学読取部82のいずれか一方または双方により駐車スペース60に駐車しているのが他人の所有になる電気車両であることが特定できた場合について説明する。これは、例えば、
図2に示すC家庭18にB電気車両24が駐車して充電を受けているような場合に相当する。なお、
図2では図示を省略しているが、C家庭18はA家庭10と同様の構成を有し、B電気車両24はA電気車両と同様の構成を有しているものとする。
【0048】
混乱を避けるため、話をA家庭10に戻し、駐車スペース60にB電気車両24が駐車して充電を受ける場合について説明する。(以下の説明では、
図2のA電気車両22の構成をB電気車両24に読替えて説明する。)この場合、ETC・ID認識部80またはナンバープレート光学読取部82のいずれか一方または双方により駐車スペース60に駐車しているのがB電気車両24であることが特定されるので、充電制御部78の通信部84はその旨をインターネット6を介して充電管理会社4に報告する。報告を受けた充電管理会社4はB電気車両24が電力融通システムに加入しているかどうかチェックし、加入が確認されるとインターネット6を介してその旨を充電制御部78の通信部84に報告する。充電制御部78は、この報告により充電コネクタ58からB電気車両24への充電を許可する。
【0049】
電力メータ59は、AC-DC変換部56を介した分電盤42から充電コネクタ58への電力供給を計測し、これを充電制御部78に報告する。充電制御部78の通信部84は計測されたB電気車両24への電力供給量をインターネット6を介して充電管理会社4に報告する。報告を受けた充電管理会社4はインターネット6を介してB電気車両24への電力供給量を電力会社2に報告する。
【0050】
上記において、スマートメータ36から電力会社に報告されるA家庭の電力消費には、A家庭自身による電力消費だけでなくB電気車両24の充電による電力消費も加算されている。しかしながら、上記のようにB電気車両24への電力供給量は充電管理会社4から電力会社2に報告されているので、電力会社は、スマートメータ36から報告されるA家庭の電力消費からB電気車両24への電力供給量を差し引いた電力料金をA家庭10に課金する。一方、電力会社は、B電気車両24を所有するB家庭12(
図1参照)に対し、B家庭自身による電力消費に上記B電気車両24の充電による電力消費も加算して課金する。これによって、B電気車両24がA家庭10において充電を受けても、B家庭12で充電したのと同様の電力会社からの課金を受けることができ、A家庭10も、他人の電気車両への充電を行っても実質的にその分の課金を受けることがない。従って電力融通システムに加入している電気車両は、自宅以外の外出先においても、電力融通システムに加入している他家庭の駐車スペースにおいて充電を受けることができる。
【0051】
なお、B電気車両24への充電中において、スマートメータ36により把握される家屋A家庭10の消費電力がHEMS40により把握される家屋34内の総消費電力と電力メータ59により把握されるB電気車両24への供給電力の和より少ないときは、その差の電力はソーラーシステム46から給電されていることになる。この場合も、電力会社は、スマートメータ36から報告されるA家庭の電力消費からB電気車両24への電力供給量を差し引いた電力料金をA家庭10に課金し、B電気車両24を所有するB家庭12には、B家庭自身による電力消費に上記B電気車両24の充電による電力消費も加算して課金する。これは、B電気車両24への電力供給量のうちソーラーシステム46から提供された電力がA家庭10から電力会社2に売電されたことを意味する。
【0052】
なお、本発明の電力融通システムではシステム加入者といえども見ず知らずの他人が自宅の駐車スペースにおいて充電を行う状況となるので、防犯上の理由により、ETC・ID認識部80またはナンバープレート光学読取部82のいずれか一方または双方により取得した他人の電気車両の特定情報、および充電日時の情報は充電制御部78の記憶部79に記録され、A家庭10においてこれを閲覧把握することができる。本発明の電力融通システムでは、他家庭の電気車両の所有者も、このような記録が行われることをシステム加入者となるときに承知の上で他家庭の駐車スペースにおいて充電を受ける。
【0053】
A家庭10の駐車スペース60には、道路および駐車スペースから容易に目視可能な位置に、以下の目的のため、充電制御部78によって制御される駐車表示警告部86が設けられている。第一の目的は、駐車スペース60を空ける場合であっても、短時間でA電気車両22を戻す予定があり、他人の電気車両が充電のため駐車スペース60を占めてしまうと困る場合への対応である。この目的のため、充電制御部78では他人による充電可能時間帯を手動操作部88により記憶部79に設定することが可能であり、駐車表示警告部86は、駐車スペースが空いている状態において、充電可能時間帯であれば、「充電可能」の旨の表示を行うとともに、それ以外の時間帯では「駐車禁止」の表示を行う。
【0054】
充電制御部78による各家庭の充電可能時間帯の設定は通信部84からインターネット6を介して充電管理会社4に集結され、充電管理会社4はこの報告に従って「充電可能」設定をしている家庭を電気車両が搭載するカーナビ90の地図データとして公開する。なおこの公開は電力融通システムに加入している電気車両のカーナビ90に限られる。これにより道路を走っている電力融通システム加入の電気車両は、必要に応じて最寄りの充電可能な家庭を知ることができる。
【0055】
なお、駐車表示警告部86が「駐車禁止」の表示をおこなっているにもかかわらず他人の電気車両が駐車スペース60に駐車しているのを発見したとき、駐車表示警告部86は、音声でも退去を求めるアナウンスを行う。一方、「駐車禁止」の表示を行っているにもかかわらず他人の電気車両が駐車スペース60に駐車しているときは、充電ユニット52からの情報に基づき、充電管理会社4でも、警察にその旨を通報する。
【0056】
駐車表示警告部86が設けられている第二の目的は、電力融通システムに加入していない電気車両による盗電の企てまたは充電を装う駐車を防止することにある。具体的には、充電管理会社4は、ETC・ID認識部80またはナンバープレート光学読取部82からの報告のチェックに基づき駐車スペース60に駐車しているのが電力融通システムに加入していない電気車両であることを発見したとき、これを充電制御部78に通知する。充電制御部78は、この通知により充電コネクタ58からB電気車両24への充電を禁止するとともに、駐車表示警告部86に「駐車違反!」の旨を表示する。さらに、駐車表示警告部86は、音声でも退去を求めるアナウンスを行う。一方、充電管理会社4でも、駐車スペース60に駐車しているのが電力融通システムに加入していない車両であることを発見したとき、上記と並行して警察にもその旨を通報する。
【0057】
駐車表示警告部86が設けられている第三の目的は、他人の所有になる電気車両が必要以上の長期にわたり駐車スペース60に留まるのを防止することにある。充電管理会社4からの報告により駐車スペース60に駐車しているのが電力融通システムに加入している電気車両であることが確認された場合であっても、駐車後直ちに充電を開始しない場合や充電完了後も立ち退かない場合等、他家庭の駐車スペースを単なる駐車場代わりに無断借用するのは防止する必要がある。このため、他人の所有になる電気車両が、充電開始前または充電完了後の所定時間以上駐車スペース60に留まる場合は「無断駐車中」の表示を行うとともに音声でも速やかな充電開始を求める旨、または充電完了後の速やかな退去を求める旨の警告アナウンスを行う。また、この警告アナウンスの後も電気車両が所定時間以内に充電を開始しないかまたは退去を行わない場合、充電制御部78はその旨を充電管理会社に報告し、充電管理会社4はその報告に基づき警察にもその旨を通報する。
【0058】
なお、本発明の種々の特徴は上記の実施例に限られるものではなく、広く他の実施に応用可能なものである。例えば、上記実施例では電力融通の清算を電力会社4にて行っているが、これに代えて充電管理会社4により電力融通システムに加入している家庭間の電力融通の精算処理を各家庭の登録銀行口座を用いた引き落とし又は振込処理にて行うようにしてもよい。
【0059】
また、本発明は一般家庭間における電気車両充電電力の融通だけでなく、一般消費者用事業設備(飲食店やスーパーマーケット等)の駐車場における電気車両充電の際の清算においても実施することができる。これによって一般消費者用事業設備は電気車両の充電インフラの整備に協力しつつ顧客拡大を図ることができるとともに、顧客に提供する充電電力の清算およびソーラーシステムによる売電を充電管理会社に任せることができる。
本発明は、電気車両の充電システム、充電装置、電力融通システム、電力料金清算システム、および電気車両等に利用でき、電気料金精算の合理化等により充電システムの設置を促進することができる。