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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157380
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】フッ素系界面活性剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/42 20220101AFI20231019BHJP
   C07C 235/12 20060101ALI20231019BHJP
   C07C 323/59 20060101ALI20231019BHJP
   C07C 237/06 20060101ALI20231019BHJP
   C07C 235/16 20060101ALI20231019BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20231019BHJP
   C09D 7/47 20180101ALI20231019BHJP
【FI】
C09K23/42
C07C235/12 CSP
C07C323/59
C07C237/06
C07C235/16 C
C09D201/00
C09D7/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067270
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000135265
【氏名又は名称】株式会社ネオス
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 篤志
(72)【発明者】
【氏名】西井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】市原 豊
【テーマコード(参考)】
4H006
4J038
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB68
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM71
4H006BP10
4H006BS10
4H006BV22
4H006TA04
4H006TB52
4H006TC34
4J038GA02
4J038GA09
4J038GA12
4J038JC43
4J038KA09
(57)【要約】
【課題】優れた表面張力低下能を示すフッ素系界面活性剤を提供する。
【解決手段】 式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩を含む、フッ素系界面活性剤。
式(1):
【化1】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~18の置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。nは1~3の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩を含む、フッ素系界面活性剤。
式(1):
【化1】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~18の置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。nは1~3の整数である。)
【請求項2】
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の分子量が400~1100の範囲である、請求項1に記載のフッ素系界面活性剤。
【請求項3】
mが1又は2である、請求項1に記載のフッ素系界面活性剤。
【請求項4】
前記Rが下記式(a)で表される基である、請求項1に記載のフッ素系界面活性剤。
式(a):
【化2】
(式中、Rは炭素数1~3の置換又は無置換の炭化水素基である。Arは炭素数6~15の置換又は無置換の芳香族炭化水素基である。*は結合手である。)
【請求項5】
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩の0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m未満である、請求項1に記載のフッ素系界面活性剤。
【請求項6】
式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミノ酸とを反応させる工程を含む、請求項1に記載のフッ素系界面活性剤の製造方法。
式(2):
【化3】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。)
【請求項7】
請求項1に記載のフッ素系界面活性剤を含む組成物。
【請求項8】
請求項1に記載のフッ素系界面活性剤を含む塗料。
【請求項9】
請求項1に記載のフッ素系界面活性剤を含む消火薬剤。
【請求項10】
式(1)で表される、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩。
式(1):
【化4】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~18の置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。nは1~3の整数である。)
【請求項11】
式(3)で表される、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩。
式(3):
【化5】
(式中、Rf、Rfは同一又は異なって、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~10の置換又は無置換の炭化水素基である。aは0~5の整数である。bは0~5の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素系界面活性剤は、表面張力低下能が高く、消火薬剤やコーティング用組成物等に混合することで、優れた浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等を実現する添加剤であり、これまでにも各種フッ素系界面活性剤が提案されている。一般に、フッ素系界面活性剤は表面張力低下能を実現するためのパーフルオロアルキル基と、各種組成物に対する親和性に寄与する親媒性基とを同一分子内に有する化合物から成るものである。
【0003】
従来のフッ素系界面活性剤には、表面配向、凝集性が高く、少ない添加量で表面張力を低下させることができる炭素数6以上の直鎖フッ素が用いられてきたが、フッ素規制に伴い、これらの代替が進められている。
【0004】
特許文献1では、ヘキサフルオロプロペンオリゴマーとヒドロキシ基を少なくとも1つ以上有する芳香族化合物との反応によって得られる化合物をスルホン化し、アミノ酸又はその塩もしくはそのエステル類と反応させた含フッ素界面活性剤が開示されている。しかし、フッ素化合物に対し芳香族スルホン酸塩の導入が必要であるため、多段化の反応を要し、簡便に合成することができなかった。
【0005】
また、炭化水素系界面活性剤として、特許文献2では、塩化カルボニルと脂肪酸を反応させて得られる脂肪酸クロライドとアミノ酸とをアルカリの存在下に縮合させることを特徴とするN-アシルアミノ酸型界面活性剤が開示されている。アミノ酸を用いることで比較的容易な反応によって得られるが、浸透・濡れ性、レベリング性、表面機能性等が充分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭57-164199号公報
【特許文献2】特開昭61-216724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた表面張力低下能を示すフッ素系界面活性剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物を用いると、優れた表面張力低下能を示すフッ素系界面活性剤が得られることを見出した。
【0009】
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す広い態様の発明を含むものである。
[項1]
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩を含む、フッ素系界面活性剤。
【0010】
式(1):
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~18の置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。nは1~3の整数である。)
[項2]
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の分子量が400~1100の範囲である、項1に記載のフッ素系界面活性剤。
[項3]
mが1又は2である、項1に記載のフッ素系界面活性剤。
[項4]
前記Rが下記式(a)で表される基である、項1に記載のフッ素系界面活性剤。
【0013】
式(a):
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、Rは炭素数1~3の置換又は無置換の炭化水素基である。Arは炭素数6~15の置換又は無置換の芳香族炭化水素基である。*は結合手である。)
[項5]
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩の0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m未満である、項1に記載のフッ素系界面活性剤。
[項6]
式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミノ酸とを反応させる工程を含む、項1に記載のフッ素系界面活性剤の製造方法。
【0016】
式(2):
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。)
[項7]
項1に記載のフッ素系界面活性剤を含む組成物。
[項8]
項1に記載のフッ素系界面活性剤を含む塗料。
[項9]
項1に記載のフッ素系界面活性剤を含む消火薬剤。
[項10]
式(1)で表される、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩。
【0019】
式(1):
【0020】
【化4】
【0021】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~18の置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。nは1~3の整数である。)
[項11]
式(3)で表される、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩。
【0022】
式(3):
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、Rf、Rfは同一又は異なって、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~10の置換又は無置換の炭化水素基である。aは0~5の整数である。bは0~5の整数である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、優れた表面張力低下能を示すフッ素系界面活性剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るフッ素系界面活性剤は、式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩を含む。
【0027】
式(1):
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~18の置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。nは1~3の整数である。)
式(1)において、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であり、例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等が挙げられる。
【0030】
は炭素数1~18の置換又は無置換の2価の炭化水素基である。好ましくは炭素数1~10の置換又は無置換の2価の炭化水素基、より好ましくは炭素数1~8の置換又は無置換の2価の炭化水素基である。
【0031】
炭素数1~18の置換若しくは無置換の2価の炭化水素基としては、炭素数2~18の置換若しくは無置換のアルキレン基、炭素数2~18の置換若しくは無置換のアルケニレン基、炭素数4~18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、炭素数6~18の置換若しくは無置換のアリーレン基、又は、炭素数7~18の置換若しくは無置換のアラルキレン基等が挙げられる。
【0032】
好ましくは、炭素数2~10の置換若しくは無置換のアルキレン基、炭素数2~10の置換若しくは無置換のアルケニレン基、炭素数4~10の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、炭素数6~10の置換若しくは無置換のアリーレン基、又は、炭素数7~10の置換若しくは無置換のアラルキレン基であり、より好ましくは、炭素数2~8の置換若しくは無置換のアルキレン基、炭素数2~8の置換若しくは無置換のアルケニレン基、炭素数4~8の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、炭素数6~8の置換若しくは無置換のアリーレン基、又は、炭素数7~8の置換若しくは無置換のアラルキレン基である。
【0033】
本明細書において、「置換若しくは無置換の2価の炭化水素基」は、(i)置換基を有していても良い2価の炭化水素基と、(ii)ヘテロ原子で置換されていても良い2価の炭化水素基、(iii)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換された2価の炭化水素基を含む。
【0034】
また、「置換若しくは無置換のアルキレン基」は(iv)置換基を有していても良いアルキレン基と、(v)ヘテロ原子で置換されていても良いアルキレン基、(vi)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換されたアルキレン基を含む。
【0035】
また、「置換若しくは無置換のアルケニレン」は、(vii)置換基を有していても良いアルケニレンと、(viii)ヘテロ原子で置換されていても良いアルケニレン、(ix)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換されたアルケニレンを含む。
【0036】
また、「置換若しくは無置換のシクロアルキレン基」は(x)置換基を有していても良いシクロアルキレン基と、(xi)ヘテロ原子で置換されていても良いシクロアルキレン基、(xii)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換されたシクロアルキレン基を含む。
【0037】
また、「置換若しくは無置換のアリーレン基」は(xiii)置換基を有していても良いアリーレン基と、(xiv)ヘテロ原子で置換されていても良いアリーレン基、(xv)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換されたアリーレン基を含む。
【0038】
また、「置換若しくは無置換のアラルキレン基」は(xvi)置換基を有していても良いアラルキレン基と、(xvii)ヘテロ原子で置換されていても良いアラルキレン基、(xviii)置換基を有し、かつ、ヘテロ原子で置換されたアラルキレン基を含む。
【0039】
炭素数2~18の無置換のアルキレン基としては、例えば、炭素数2~18の直鎖アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基等);炭素数3~18の分岐アルキレン基(1 -メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチルプロピレン基、1-ヘキシルプロピレン基、1-ヘキシルブチレン基、1-オクチルエチレン基等)等が挙げられる。
【0040】
炭素数2~18の無置換のアルケニレン基としては、例えば、炭素数2~18の直鎖アルケニレン基(エテニレン基、プロペニレン基等);炭素数3~18の分岐アルケニレン基(1-エチルエテニレン基、1,2-ジメチルエテニレン基、1-ブチルエテニレン基、1-ヘキシルエテニレン基等)等が挙げられる。
【0041】
炭素数4~18のシクロアルキレン基としては、例えば、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、2-メチルシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、1,3-ジメチルシクロヘキシレン基、1-エチルシクロペンチレン基、シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。
【0042】
炭素数6~18のアリーレン基としては、例えば、o-、p-又はm-フェニレン基、2,4-ナフチレン基、ビフェニレン基、トリレン基等が挙げられる。
【0043】
炭素数7~18のアラルキレン基としては、例えば、フェニルメチレン基、ジフェニルメチン基、1-フェニルエチレン基、o-フェニレンエチル基、ナフチルメチレン基等が挙げられる。
【0044】
において、炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基、アミド基、グアニジド基、ニトロ基、シアノ基、メチルアミノ基等のモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、メチルチオ基等のアルキルチオ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
上記置換基として挙げているモノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン化アルキル基、アルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基のアルキル部分としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチ基ル、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1-エチルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルへキシル基等の直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~12のアルキル基が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは炭素数1~8である。
【0046】
また、上記置換基として挙げているアリールオキシ基のアリール部分としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6~10のアリール基が挙げられる。
【0047】
また、Rにおいて、炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていても良い。ヘテロ原子の数は、好ましくは1~10個、より好ましくは1~6個、とすることができる。炭化水素基が、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等の少なくとも1種のヘテロ原子で置換されていている場合、炭化水素基は例えば、-O-、-N<、-S-、-SO-、-(C=O)-、-(C=O)O-、-O(C=O)-、-NH(C=O)-、-(C=O)NH-、-NH(C=O)O-、-O(C=O)NH-等の基の少なくとも1種を有し、炭化水素鎖がこれらの基により中断されている。Rにおいて、炭化水素基がヘテロ原子で置換されていることにより、Rがヘテロ環を有する構造となっていても良い。
【0048】
さらに別の態様として、Rは下記式(a)で表される基であることが好ましい。
【0049】
式(a):
【0050】
【化7】
【0051】
(式中、Rは炭素数1~3の置換又は無置換の炭化水素基である。Arは炭素数6~15の置換又は無置換の芳香族炭化水素基である。*は結合手である。)
【0052】
式(a)において、Rは炭素数1~3の置換又は無置換の3価の炭化水素基である。炭素数1~3の無置換の3価の炭化水素基であることが好ましい。
【0053】
Arは炭素数6~15の置換又は無置換の1価の芳香族炭化水素基である。好ましくは炭素数6~10の置換又は無置換の1価の芳香族炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6~8の置換又は無置換の1価の芳香族炭化水素基である。無置換の1価の芳香族炭化水素基としては、としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0054】
及びArにおける置換基としては、Rにおいて上記に定義されるものと同じである。
【0055】
としては、例えば以下に列挙するものが挙げられる。
【0056】
【化8】
【0057】
(式中、*は結合手である。)

この中でも、式(a)で表される以下の構造がRとして好ましい。
【0058】
【化9】
【0059】
(式中、*は結合手である。)
この中でも、Rが以下の構造であるとより好ましい。Rが以下の構造であると表面張力低下能がより優れる。
【0060】
【化10】
【0061】
(式中、*は結合手である。)
式(1)において、mは0~5の整数である。mは0~3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく。1が特に好ましい。mが上記範囲内であると、表面張力低下能に優れる。また、mが5を超えると、水溶性が低下する恐れがある。
【0062】
式(1)において、nは1~3の整数である。nは1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
【0063】
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の分子量は、400~1800であることが好ましく、400~1100がより好ましく、550~900がさらに好ましい。
【0064】
式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
【0065】
【化11】
【0066】
【化12】
【0067】
【化13】
【0068】
【化14】
【0069】
【化15】
【0070】
式(1)のアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物としては、式(2-1)、(2-3)、(2-6)、(2-7)、(2-9)、(2-11)、(2-16)、(2-17)、(2-18)、(2-19)、(2-21)、(2-22)、(2-23)で表される化合物が好ましい。また、式(2-16)、(2-19)で表される化合物がより好ましい。
【0071】
好ましい一実施形態において、式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の塩とすることができる。塩としては例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アミン塩等が挙げられる。この中でも、ナトリウム塩が好ましい。塩とすることにより、親水性を高めることができ、水中での安定性が高くなる。
【0072】
本発明の式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩は、例えば、下記式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミノ酸とを反応させる工程を含む方法により製造することができる。
【0073】
式(2):
【0074】
【化16】
【0075】
[式中、Rfは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは置換又は無置換の炭化水素基である。mは0~5の整数である。]
【0076】
式(2)におけるRf及びmは、式(1)において定義されるものと同じである。
【0077】
式(2)において、Rは置換又は無置換の炭化水素基である。好ましくは炭素数1~20の置換又は無置換の炭化水素基、より好ましくは炭素数1~12の置換又は無置換の炭化水素基、特に好ましくは炭素数1~6の置換又は無置換の炭化水素基である。
【0078】
無置換の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル、アリル基、ベンジル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、フェニル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基、tert-ブチル基、ベンジル基であり、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0079】
において、炭化水素基が置換基を有する場合、置換基としては、式(1)のRにおいて上記に記載されている置換基を、特に制限なく用いることができる。
【0080】
式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の具体例としては、例えば以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
【0081】
【化17】
【0082】
式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物は、市販品として入手することもでき、例えば、CAE-500、CAE-600、CAE-1000(いずれもシノケム社製)が使用可能である。
【0083】
式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミノ酸とを反応させる工程は、例えば、下記の反応式で表すことができる。
【0084】
【化18】
【0085】
上記反応式において、式(4)で表されるアミノ酸におけるR及びnは、式(1)において定義されるものと同じである。
【0086】
式(4)で表されるアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、チロシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、β-アラニン、γ―アミノ酪酸、フェニルグリシン、o-、p-又はm-アミノ安息香酸等が挙げられるが、これに限定されない。
【0087】
上記反応は、塩基存在下で行う。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機リチウム等が挙げられる。
【0088】
反応温度は、通常、0℃から100℃又は溶媒の沸騰する温度である。
【0089】
反応時間は通常、1~48時間であり、好ましくは1~20時間である。
【0090】
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0091】
溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物1質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは0.5~50質量部である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
【0092】
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0093】
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や反応液の濃縮等により、式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物を得ることができ、必要に応じ、公知の方法を用いてさらなる精製を行っても良い。
【0094】
また、式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の塩は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の各種塩基により中和することで得ることができる。
【0095】
上記の通り、式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩の合成には、多段階の反応を必要とせず、簡便に合成することができる。
【0096】
別の態様において、式(3)で表される、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩を含む、フッ素系界面活性剤を提供する。
【0097】
式(3):
【0098】
【化19】
【0099】
[式中、Rf、Rfは同一又は異なって、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である。Rは炭素数1~10の置換又は無置換の炭化水素基である。aは0~5の整数である。bは0~5の整数である。]
【0100】
式(3)において、Rf、Rfは同一又は異なって炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であり、例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基等が挙げられる。
【0101】
は炭素数1~10の置換又は無置換の3価の炭化水素基であり、炭素数1~5の置換又は無置換の炭化水素基であることが好ましい。Rにおいて、炭化水素基が置換基を有する場合、置換基としては、式(1)のRにおいて上記に記載されている置換基を、特に制限なく用いることができる。
【0102】
式(3)において、aは0~5の整数である。aは0~3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく。1が特に好ましい。aが上記範囲内であると、表面張力低下能に優れる。また、aが5を超えると、水溶性が低下する恐れがある。
【0103】
式(3)において、bは0~5の整数である。bは0~3の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく。1が特に好ましい。bが上記範囲内であると、表面張力低下能に優れる。また、bが5を超えると、水溶性が低下する恐れがある。
【0104】
式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の分子量は、700~2600であることが好ましく、1000~1600がより好ましい。
【0105】
式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
【0106】
【化20】
【0107】
【化21】
【0108】
【化22】
【0109】
【化23】
【0110】
式(3)のアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物としては、式(7-5)で表される化合物が好ましい。
【0111】
好ましい一実施形態において、式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の塩とすることができる。塩としては例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、アミン塩等が挙げられる。この中でも、ナトリウム塩が好ましい。塩とすることにより、親水性を高めることができ、水中での安定性が高くなる。
【0112】
式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩は、例えば、式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミノ酸とを反応させる工程を含む方法により製造することができる。
【0113】
式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物とアミノ酸とを反応させる工程は、例えば、下記の反応式で表すことができる。
【0114】
【化24】
【0115】
上記反応式において、式(5)で表されるアミノ酸におけるRは、式(3)において定義されるものと同じである。
【0116】
式(5)で表されるアミノ酸は、上記の通り、アミノ基を2個以上有するアミノ酸である。当該アミノ酸としては、例えば、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸、オルニチン、リシン、ジアミノヘキサン酸、ジアミノ安息香酸等が挙げられるが、これに限定されない。
【0117】
上記反応は、塩基存在下で行う。塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機リチウム等が挙げられる。
【0118】
反応温度は、通常、0℃から100℃又は溶媒の沸騰する温度である。
【0119】
反応時間は通常、1~48時間であり、好ましくは1~20時間である。
【0120】
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトニトリル、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量としては式(2)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物1質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは0.5~50質量部である。溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用することもできる。
【0121】
必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウム等の反応に影響を与えない不活性ガス雰囲気下で反応させてもよい。
【0122】
反応終了後は、有機溶媒を用いた洗浄による不純物(例えば、未反応の原料)の除去や反応液の濃縮等により、式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物を得ることができ、必要に応じ、公知の方法を用いてさらなる精製を行っても良い。
【0123】
また、式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物の塩は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の各種塩基により中和することで得ることができる。
【0124】
上記の通り、式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩の合成には、多段階の反応を必要とせず、簡便に合成することができる。
【0125】
式(1)又は式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩は、それ自体でフッ素系界面活性剤として使用できるが、水又は有機溶剤を含む組成物(界面活性剤組成物)としても用いることができる。当該組成物には、式(1)又は式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩のうちの1種を単独で含んでいても良く、2種以上を組み合わせて含んでいても良い。有機溶剤としては、例えば、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N―メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等を用いることができる。
【0126】
上記界面活性剤組成物における式(1)又は式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩の含有量は、組成物全量100質量部に対して、例えば1~60質量部程度、好ましくは30~50質量部程度である。
【0127】
本発明のフッ素系界面活性剤は、優れた表面張力低下能を有する。式(1)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩は、0.1質量%水溶液とした際の表面張力が30mN/m未満であることが好ましく、20mN/m未満であることがより好ましい。また、式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩についても、0.1質量%水溶液とした際の表面張力が30mN/m未満であることが好ましく、20mN/m未満であることがより好ましい。表面張力が30mN/m未満であると、表面張力低下能に優れる。また、20mN/m未満であると、炭素数6以上の直鎖フッ素系界面活性剤の代替として用いることができるため、より好ましい。なお、本明細書において、表面張力は、Wilhelmy法(液温20℃)で測定されるものである。
【0128】
また、本発明のフッ素系界面活性剤は、低濃度においても優れた表面張力低下能を有する。好ましくは、式(1)又は式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩の水溶液濃度が0.1質量%以下で、当該水溶液の表面張力が30mN/m未満となる。より好ましくは、水溶液濃度が0.05質量%以下で、当該水溶液の表面張力が30mN/m未満となる。このように低濃度においても優れた表面張力低下能を有すると、添加剤として本発明のフッ素系界面活性剤を使用する際に、添加量を低減することができ、好ましい。
【0129】
本発明のフッ素系界面活性剤は、上記の通り優れた表面張力低下能を有することから、水性溶媒や有機溶媒が用いられている各種材料、例えば、塗料、消火薬剤、工業用及び業務用の各種洗浄剤、コーティング材料、離型剤等の添加剤として好適に用いることができる。
【0130】
例えば、塗料用の添加剤として本発明のフッ素系界面活性剤を用いる場合、本発明のフッ素系界面活性剤の添加量は、塗料組成物100質量部に対して、式(1)又は式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩として0.01~10質量部含むことが好ましく、0.05~1質量部含むことがより好ましい。フッ素系界面活性剤の添加量が上記範囲内であれば、十分に表面張力を低下させることができ、目的とするレベリング性が得られ、塗工時の泡立ち等の不具合の発生を抑制できる。
【0131】
また、例えば、消火薬剤用の添加剤として本発明のフッ素系界面活性剤を用いる場合、本発明のフッ素系界面活性剤の添加量は、消火薬剤用組成物100質量部に対して、式(1)又は式(3)で表されるアミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物又はその塩として0.01~10質量部含むことが好ましく、0.05~1質量部含むことがより好ましい。フッ素系界面活性剤の添加量が上記範囲内であれば、十分に表面張力を低下させることができ、目的とする消火効果を得ることができる。
【実施例0132】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0133】
H-NMR分析条件)
装置:日本電子株式会社製JNM-ECZ400S
周波数:400MHz
重溶媒:重メタノール
基準ピーク:テトラメチルシランを0.00ppmとした。
【0134】
(使用材料)
末端メチルエステル化パーフルオロポリエーテル:
【0135】
【化25】
【0136】
CAE-500、シノケム社製:(m=0)分子量344.08
CAE-600、シノケム社製:(m=1)分子量510.10
CAE-1000、シノケム社製:(m=3)分子量842.15
【0137】
(合成例1)フッ素系界面活性剤1の製造
フッ素系界面活性剤1:
【0138】
【化26】
【0139】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-500(2.08g、0.00605mol)及びL-フェニルアラニン(1.00g、0.00605mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.13g、0.00742mol)、メタノール(2.08g、0.0650mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物1を2.60g(yield:90.0%)回収した。
【0140】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物1と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤1を得た。
【0141】
得られたフッ素系界面活性剤1のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):7.0-7.2(m,5H)、4.5(t,1H)、3.0(t,2H)
【0142】
(合成例2)フッ素系界面活性剤2の製造
フッ素系界面活性剤2:
【0143】
【化27】
【0144】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(6.80g、0.0133mol)及びグリシン(1.00g、0.0133mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(2.03g、0.0133mol)、メタノール(6.80g、0.212mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物2を6.04g(yield:82.0%)回収した。
【0145】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物2と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びイソプロピルアルコールを加え30質量%濃度(水:イソプロピルアルコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤2を得た。
【0146】
得られたフッ素系界面活性剤2のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):3.5(s,1H)
【0147】
(合成例3)フッ素系界面活性剤3の製造
フッ素系界面活性剤3:
【0148】
【化28】
【0149】
スターラーを入れた100mLナスフラスコにCAE-600(3.00g、0.00587mol)及びDL-イソロイシン(0.702g、0.00535mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.50g、0.00984mol)、メタノール(5.99g、0.187mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物3を3.00g(yield:92.4%)回収した。
【0150】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物3と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びエチレングリコールを加え30質量%濃度(水:エチレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤3を得た。
【0151】
得られたフッ素系界面活性剤3のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):4.2(t,1H)、1.9(m,1H)、1.4(m,1H)、1.1(m、1H)、1.7-1.9(m,6H)
【0152】
(合成例4)フッ素系界面活性剤4の製造
フッ素系界面活性剤4:
【0153】
【化29】
【0154】
スターラーを入れた100mLナスフラスコにCAE-600(2.63g、0.00516mol)及びDL-メチオニン(0.700g、0.00470mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.10g、0.00724mol)、メタノール(5.26g、0.164mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物4を2.75g(yield:92.0%)回収した。
【0155】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物4と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びエチレングリコールを加え30質量%濃度(水:エチレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤4を得た。
【0156】
得られたフッ素系界面活性剤4のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):4.4(t,1H)、2.5(t,2H)、2.2(t,2H)、2.0(s、3H)
【0157】
(合成例5)フッ素系界面活性剤5の製造
フッ素系界面活性剤5:
【0158】
【化30】
【0159】
スターラーを入れた1LナスフラスコにCAE-600(185.33g、0.36mol)及びL-フェニルアラニン(59.94g、0.36mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(55.32g、0.36mol)、メタノール(185.70g、5.8mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物5を196.33g(yield:84%)回収した。
【0160】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物5と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤5を得た。
【0161】
得られたフッ素系界面活性剤5のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):7.0-7.2(m,5H)、4.5(t,1H)、3.1(d,2H)
【0162】
(合成例6)フッ素系界面活性剤6の製造
フッ素系界面活性剤6:
【0163】
【化31】
【0164】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(2.75g、0.00539mol)及びL-トリプトファン(1.00g、0.00490mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(0.820g、0.00539mol)、メタノール(5.50g、0.172mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物6を2.60g(yield:91.2%)回収した。
【0165】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物6と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びエチレングリコールを加え30質量%濃度(水:エチレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤6を得た。
【0166】
得られたフッ素系界面活性剤6のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):7.6(d,1H)、7.3(d,1H)、6.8-7.1(m,3H)、4.6(t,1H)、3.2(d,2H)
【0167】
(合成例7)フッ素系界面活性剤7の製造
フッ素系界面活性剤7:
【0168】
【化32】
【0169】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(4.08g、0.00800mol)及びL-アスパラギン(0.960g、0.00727mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.22g、0.00800mol)、メタノール(8.16g、0.255mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物7を3.60g(yield:71.6%)回収した。
【0170】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物7と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びイソプロピルアルコールを加え30質量%濃度(水:イソプロピルアルコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤7を得た。
【0171】
得られたフッ素系界面活性剤7のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):4.4(t,1H)、2.5(d,2H)
【0172】
(合成例8)フッ素系界面活性剤8の製造
フッ素系界面活性剤8:
【0173】
【化33】
【0174】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(4.86g、0.00953mol)及びL-セリン(1.00g、0.00951mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.67g、0.0110mol)、メタノール(4.86g、0.152mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物8を5.00g(yield:90.1%)回収した。
【0175】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物8と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤8を得た。
【0176】
得られたフッ素系界面活性剤8のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):4.3(d,1H)、3.5(d,2H)
【0177】
(合成例9)フッ素系界面活性剤9の製造
フッ素系界面活性剤9:
【0178】
【化34】
【0179】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(2.82g、0.00553mol)及びL-チロシン(1.00g、0.00552mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.64g、0.0108mol)、メタノール(2.82g、0.0881mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物9を3.61g(yield:99.0%)回収した。
【0180】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物9と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤9を得た。
【0181】
得られたフッ素系界面活性剤9のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):6.9(d,2H)、6.7(d,2H)、4.3(t,1H)、3.0(d,2H)
【0182】
(合成例10)フッ素系界面活性剤10の製造
フッ素系界面活性剤10:
【0183】
【化35】
【0184】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(4.29g、0.00841mol)及びL-トレオニン(1.00g、0.00841mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.48g、0.00974mol)、メタノール(4.29g、0.134mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物10を5.01g(yield:99.7%)回収した。
【0185】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物10と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤10を得た。
【0186】
得られたフッ素系界面活性剤10のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):4.3-4.5(m,2H)、1.5(d,3H)
【0187】
(合成例11)フッ素系界面活性剤11の製造
フッ素系界面活性剤11:
【0188】
【化36】
【0189】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(3.49g、0.00684mol)及びL-リシン(0.504g、0.00345mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.06g、0.00699mol)、メタノール(6.99g、0.218mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物11を3.90g(yield:97.6%)回収した。
【0190】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物11と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤11を得た。
【0191】
得られたフッ素系界面活性剤11のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):4.5(t,1H)、3.4(t,2H)、1.3-2.1(m,6H)
【0192】
(合成例12)フッ素系界面活性剤12の製造
フッ素系界面活性剤12:
【0193】
【化37】
【0194】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(3.37g、0.00661mol)及びL-フェニルグリシン(0.998g、0.00661mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.60g、0.0105mol)、メタノール(6.76g、0.211mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物12を3.55g(yield:85.5%)回収した。
【0195】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物12と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びエチレングリコールを加え30質量%濃度(水:エチレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤12を得た。
【0196】
得られたフッ素系界面活性剤12のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):7.1-7.4(m,5H)、3.8(s,1H)
【0197】
(合成例13)フッ素系界面活性剤13の製造
フッ素系界面活性剤13:
【0198】
【化38】
【0199】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(4.50g、0.00882mol)及びp-アミノ安息香酸(1.10g、0.00802mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(2.56g、0.0168mol)、メタノール(9.00g、0.281mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物13を3.23g(yield:57.6%)回収した。
【0200】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物13と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びイソプロピルアルコールを加え30質量%濃度(水:イソプロピルアルコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤13を得た。
【0201】
得られたフッ素系界面活性剤13のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):7.7-7.9(m,4H)
【0202】
(合成例14)フッ素系界面活性剤14の製造
フッ素系界面活性剤14:
【0203】
【化39】
【0204】
スターラーを入れた100mLナスフラスコにCAE-600(4.41g、0.00865mol)及びβ-アラニン(0.700g、0.00786mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.32g、0.00865mol)、メタノール(8.82g、0.275mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物14を4.44g(yield:98.9%)回収した。
【0205】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物14と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びエチレングリコールを加え30質量%濃度(水:エチレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤14を得た。
【0206】
得られたフッ素系界面活性剤14のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):3.5(t,2H)、2.4(t,H)
【0207】
(合成例15)フッ素系界面活性剤15の製造
フッ素系界面活性剤15:
【0208】
【化40】
【0209】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-600(4.97g、0.00974mol)及びγ-アミノ酪酸(0.973g、0.00945mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.49g、0.00980mol)、メタノール(4.95g、0.155mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物15を5.37g(yield:97.9%)回収した。
【0210】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物15と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びへキシレングリコールを加え30質量%濃度(水:へキシレングリコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤15を得た。
【0211】
得られたフッ素系界面活性剤15のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):3.4(t,2H)、2.2(t,2H)、1.7-1.9(m,2H)
【0212】
(合成例16)フッ素系界面活性剤16の製造
フッ素系界面活性剤16:
【0213】
【化41】
【0214】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-1000(6.73g、0.00799mol)及びグリシン(0.600g、0.00799mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(2.43g、0.0160mol)、メタノール(13.5g、0.420mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物16を5.20g(yield:44.2%)回収した。
【0215】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物16と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びイソプロピルアルコールを加え30質量%濃度(水:イソプロピルアルコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤16を得た。
【0216】
得られたフッ素系界面活性剤16のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):3.5(s,1H)
【0217】
(合成例17)フッ素系界面活性剤17の製造
フッ素系界面活性剤17:
【0218】
【化42】
【0219】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-1000(4.43g、0.00526mol)及びL-アスパラギン酸(0.700g、0.00526mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.60g、0.0105mol)、メタノール(8.86g、0.276mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物17を4.70g(yield:66.5%)回収した。
【0220】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物17のmol数に対して、2mol部の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びイソプロピルアルコールを加え30質量%濃度(水:イソプロピルアルコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤17を得た。
【0221】
得られたフッ素系界面活性剤17のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):5.0(t,1H)、3.4(d,2H)
【0222】
(合成例18)フッ素系界面活性剤18の製造
フッ素系界面活性剤18:
【0223】
【化43】
【0224】
スターラーを入れた50mLナスフラスコにCAE-1000(4.73g、0.00562mol)及びp-アミノ安息香酸(0.700g、0.00510mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(1.63g、0.0112mol)、メタノール(9.46g、0.295mol)を加え、60℃で2時間撹拌した。反応液に塩酸及びメタキシレンヘキサフルオリドを入れ、反応液を分層させた。下層を分取した後、上層をメタキシレンヘキサフルオリドにて抽出した。下層及び抽出液をナスフラスコに入れ、ロータリーエバポレーターにて溶媒を留去し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物18を1.77g(yield:32.6%)回収した。
【0225】
その後、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物18と同mol数の水酸化ナトリウムを加えナトリウム塩とした後、水及びイソプロピルアルコールを加え30質量%濃度(水:イソプロピルアルコール=1:1、重量比)に調製し、フッ素系界面活性剤18を得た。
【0226】
得られたフッ素系界面活性剤18のH-NMRは、以下の通りである。
H-NMR(CDOD)δ(ppm):7.7-7.9(m,4H)
【0227】
(実施例1)
合成例1で合成したフッ素系界面活性剤1を水で希釈し、アミノ酸変性パーフルオロポリエーテル化合物1のナトリウム塩の濃度が0.01wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.5wt%となるよう調整した。その後、各濃度における表面張力を測定した。結果を表1に示す。
【0228】
(表面張力測定条件)
装置:表面張力計DY-300(協和界面科学株式会社製)
条件:Wilhelmy白金プレート法
液温:20℃
【0229】
評価基準
◎:20mN/m未満
〇:20mN/m以上30mN/m未満
△:30mN/m以上40mN/m未満
×:40mN/m以上
【0230】
(実施例2~18、比較例1~3)
表1に記載の界面活性剤を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして表面張力の測定を行った。
【0231】
なお、比較例1として用いた炭化水素系界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルは第一工業製薬株式会社製のノイゲンET-165を使用した。また、比較例2,3はアミノ酸(比較例2:グリシン、比較例3:フェニルアラニン)の水溶液での表面張力を測定した。結果を表1に示す。
【0232】
【表1】
【0233】
実施例1~18と炭化水素系界面活性剤である比較例1の結果から、炭化水素系界面活性剤と比べ本発明の界面活性剤は優れた表面張力低下能を有していることが分かる。また、比較例2、3に示したアミノ酸水溶液の表面張力の値から、実施例の表面張力低下能にはパーフルオロポリエーテル構造が寄与していることが分かる。
【0234】
実施例2~15と実施例1及び16~18の結果から、パーフルオロポリエーテルとしてCAE-600を用いることでより優れた表面張力低下能を示した。また、側鎖にフェニル基を有するアミノ酸を用いた実施例5及び12は、他の実施例と比較し低濃度での表面張力低下能が優れていた。側鎖フェニル基が臨界ミセル濃度を下げる働きに寄与しているものと推察される。