IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカラトミーの特許一覧

<>
  • 特開-走行玩具 図1
  • 特開-走行玩具 図2
  • 特開-走行玩具 図3
  • 特開-走行玩具 図4
  • 特開-走行玩具 図5
  • 特開-走行玩具 図6
  • 特開-走行玩具 図7
  • 特開-走行玩具 図8
  • 特開-走行玩具 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157448
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】走行玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 29/22 20060101AFI20231019BHJP
   A63H 31/08 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A63H29/22 A
A63H29/22 F
A63H31/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067379
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】手塚 友浩
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 三郎
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150CA08
2C150DA06
2C150EB01
2C150EB41
2C150EC04
2C150EC26
2C150EC29
(57)【要約】
【課題】従来技術とは異なる新しい走行モードの切替え機構を有する走行玩具を提供すること。
【手段】 電池と、モータと、前記モータの動力を車輪に伝達する歯車機構とを備えた走行玩具であって、前記モータと、前記歯車機構における動力伝達経路の上流側の歯車とが組み付けられ、前記上流側の歯車と下流側の歯車とが互いに連結される第1位置と、前記上流側の歯車と下流側の歯車とが互いに連結を解除する第2位置とを取り得るように構成された可動ケースと、操作子を有し、前記操作子の操作により、前記可動ケースに前記第1位置と前記第2位置とを選択的に取らせる操作機構と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、モータと、前記モータの動力を車輪に伝達する歯車機構とを備えた走行玩具であって、
前記モータと、前記歯車機構における動力伝達経路の上流側の歯車とが組み付けられ、前記上流側の歯車と下流側の歯車とが互いに連結される第1位置と、前記上流側の歯車と下流側の歯車とが互いに連結を解除する第2位置とを取り得るように構成された可動ケースと、
操作子を有し、前記操作子の操作により、前記可動ケースに前記第1位置と前記第2位置とを選択的に取らせる操作機構と、
を備えた
ことを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記可動ケースは、軸を介して回動可能に設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の走行玩具。
【請求項3】
前記可動ケースには、前記電池が収容されている、ことを特徴とする請求項2記載の走行玩具。
【請求項4】
モータ回路を開閉するスイッチを含む回路構成部品が前記可動ケースに組み付けられ、前記スイッチは、前記操作子によって操作され、前記操作子が第1操作位置にあるときに前記モータ回路を閉成し、前記操作子が第2操作位置にあるときに前記モータ回路を開成する、ことを特徴とする請求項3記載の走行玩具。
【請求項5】
前記可動ケースは、前記走行玩具の前部または後部の幅方向に延在する軸を介して回動可能に設けられ、前記操作子は、前記走行玩具の外板の平坦部上方に突出し、前後方向にスライド操作可能に構成されている、ことを特徴とする請求項4記載の走行玩具。
【請求項6】
前記操作子は、第1操作位置と第2操作位置とを取り得、
前記可動ケースは、前記操作子が前記第1操作位置にあるときに所定の付勢力により前記第1位置を取り、前記操作子が前記第2操作位置にあるときに前記所定の付勢力に抗して前記第2位置を取るように構成されている、ことを特徴とする請求項1~請求項5いずれか一項に記載の走行玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転がし走行と、モータによる電動走行とを選択的に行うことができる走行玩具が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6-39758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この走行玩具は、機枠に軸支持された伝動歯車群の所定の歯車軸を、軸方向に移動自在に設けるとともにばねにより一方向に付勢し、歯車軸の付勢方向端部を、操作レバーの基端に形成した複数の係合段部を有する係合部に圧接させ、操作レバーを操作することにより、歯車軸を軸方向に移動させ、転がし走行と、モータによる電動走行とを選択的に行わせるように構成されている。
本発明は、従来技術とは異なる新しい走行モードの切替え機構を有する走行玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
電池と、モータと、前記モータの動力を車輪に伝達する歯車機構とを備えた走行玩具であって、
前記モータと、前記歯車機構における動力伝達経路の上流側の歯車とが組み付けられ、前記上流側の歯車と下流側の歯車とが互いに連結される第1位置と、前記上流側の歯車と下流側の歯車とが互いに連結を解除する第2位置とを取り得るように構成された可動ケースと、
操作子を有し、前記操作子の操作により、前記可動ケースに前記第1位置と前記第2位置とを選択的に取らせる操作機構と、
を備えた
ことを特徴とする走行玩具である。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、前記可動ケースは、軸を介して回動可能に設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、前記可動ケースには、前記電池が収容されている、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第3の手段であって、
モータ回路を開閉するスイッチを含む回路構成部品が前記可動ケースに組み付けられ、前記スイッチは、前記操作子によって操作され、前記操作子が前記第1操作位置にあるときに前記モータ回路を閉成し、前記操作子が前記第2操作位置にあるときに前記モータ回路を開成する、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、前記可動ケースは、前記走行玩具の前部または後部の幅方向に延在する軸を介して回動可能に設けられ、前記操作子は、前記走行玩具の外板の平坦部上方に突出し、前後方向にスライド操作可能に構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第1~第5のいずれかの手段であって、
前記操作子は、第1操作位置と第2操作位置とを取り得、
前記可動ケースは、前記操作子が前記第1操作位置にあるときに所定の付勢力に抗して前記第1位置を取り、前記操作子が前記第2操作位置にあるときに前記所定の付勢力により前記第2位置を取るように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の手段によれば、モータと、歯車機構における動力伝達経路の上流側の歯車とが組み付けられた可動ケースを動作させるので、今までにない走行玩具が実現できる。
【0012】
第2の手段によれば、可動ケースが軸を中心に回動して走行モードの切替えを行うので、安定して可動ケースを動作させることができる。
【0013】
第3の手段によれば、前記可動ケースには電池が収容されているので、電池が固定部に設けられる場合に比べて配線の引き回しが容易となる。
【0014】
第4の手段によれば、モータ回路を開閉するスイッチを含む回路構成部品が前記可動ケースに組み付けられているので配線の引き回しが容易であり、配線切れなどを防止することができる。
【0015】
第5の手段によれば、外板上で操作子を前後方向にスライド操作することにより走行モードの切替えを行うので、操作性に優れたものとなる。
【0016】
第6の手段によれば、可動ケースは、操作子が第1操作位置にあるときに所定の付勢力に抗して第1位置を取り、操作子が第2操作位置にあるときに所定の付勢力により第2位置を取るので、操作性に優れた走行玩具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の走行玩具の斜視図である。
図2】外板を取り外した状態の動力車の斜視図である。
図3】外板を取り除いた状態の動力車の分解斜視図である。
図4】動力車の車台の斜視図である。
図5】可動ケースのモータ等収容部を示した斜視図である。
図6】車輪駆動装置の回路構成を示す斜視図である。
図7】可動ケースの側面図である。
図8】操作子を下方から見た斜視図である。
図9】連結器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る走行玩具を説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係る走行玩具100の斜視図である。
走行玩具1は、3両編成の列車玩具である。左側の車両が動力車10であり、残り2つの車両が従動車50、60である。隣り合う車両同士は連結器70によって互いに連結されている。
【0020】
図2は、外板12を取り外した状態の動力車の斜視図、図3は、動力車10の要部の分解斜視図、図4は、車台11の斜視図である。
【0021】
動力車10の車台11には前後に車輪13a,13bが設けられている。車輪13aは従輪で、車輪13bが動輪を構成している。
また、車輪13bの車軸14には平歯車15が固定して取り付けられている。
【0022】
また、車台11の上には、動力車10の略全長に亘るハウジング16が設けられ、ハウジング16の中には可動ケース17が設けられている。
ハウジング16は左右の枠体16L、16Rから構成され、互いが螺着されるとともに、全体が車台11に螺着されている。このハウジング16の前部には、後述の可動ケース17の電池収容部21Aを露出させる開口16aが形成されている。
【0023】
可動ケース17は、左右の枠体17L、17Rとから構成され、互いが螺着されるとともに、全体がハウジング16に軸17aを介して取り付けられている。この可動ケース17は、軸17aを中心に上下に回動可能に構成されており、車台11の床に設置されたコイルばね19によって上方に向けて付勢されている。
【0024】
図5は、可動ケース17の後部の内部構造を示した斜視図である。
可動ケース17には、車輪駆動装置の大部分が組み付けられている。車輪駆動装置は、電源となる電池B(図3参照)と、動力源となるモータMと、モータMの動力を車輪13bに伝達する動力伝達機構18と、から構成されている。動力伝達機構18は歯車機構から構成されている。可動ケース17は、前部に、上方に向けて開口する電池収容部21Aを、後部に、下方に向けて開口するモータ等収容部21Bを有する。
【0025】
電池収容部21Aは、上方に向けて開口する半円柱状の凹部から構成され、例えば単3の電池Bが1本収容される。この電池収容部21Aの後端にはマイナス側接点21aが、前端にはプラス側接点21bが配置されている(図6参照)。勿論、マイナス側接点21aとプラス側接点21bとは逆に配置されていてもよい。
【0026】
モータ等収容部21Bには、モータMと、動力伝達機構18の一部と、スイッチSWと、が組み付けられている。
モータMは、出力軸の軸先が前方を向くように設けられている。モータMの出力軸には、ウォーム歯車18aが固定して設けられている。
また、モータ等収容部21Bには、ウォーム歯車18aに噛合した傘歯車18bと、傘歯車18bと同軸に取り付けられクラッチ(符号省略)を介して当該傘歯車18bに連結された平歯車18cとが設けられている。
平歯車18cは、可動ケース17が下方回動位置にあるときに、上記平歯車15に噛合し、可動ケース17が上方回動位置にあるときに、平歯車15との噛合を解除する。なお、可動ケース17は、常態では、コイルばね19によって上方に向けて付勢され上方回動位置にあり、平歯車18cは平歯車15と噛合していない。
【0027】
可動ケース17内のモータMの上方には、モータ回路を開閉するスイッチSWが設置されている。スイッチSWは、ノーマルオープンスイッチであり、固定接片20aと可動接片20bとを有している。可動接片20bは弾性を有し、常態では、固定接片20aから離間している。
【0028】
図6は、車輪駆動装置の回路構成を示す斜視図である。
可動接片20bはモータMの一方の端子22aに接続され、可動ケース17の上壁に形成した開口17bから突出している。固定接片20aは電池収容部21Aのマイナス側接点21aに接続されている。また、モータMの他方の端子22bと電池収容部21Aのプラス側接点21bとは導線23により接続されている。
図7は、導線23の引き回し構造を示した側面図である。
すなわち、モータМの他方の端子22bには導線23の一端が接続されている。この導線23の他端は、可動ケース17の側面外側の溝17c内を通り、電池収容部21Aのプラス側接点21bに接続されている。
【0029】
図8は、スライド板24を下方側から見た斜視図である。
モータ等収容部21Bの上方には、可動ケース17とハウジング16との間に、スライド板24が設けられている。スライド板24の上面には操作子24aが立設され、操作子24aは、ハウジング16に設けられた開口16bや、動力車10の外板12の平坦部に形成したスリット12aから突出している。操作子24aは、スリット12aの中を前後にスライド可能となっており、この操作子24aの前後操作に伴って、スライド板24が前後動する。このとき、スライド板24の左右方向の縁は、ハウジング16の内面に前後方向に延在するように形成されたガイド溝(図示せず)に沿って前後動する。
【0030】
スライド板24の前端には、左右方向両端に、前方に向けて突出する弾性の棒状突出部24L、24Rが設けられている。右側の棒状突出部24Rの先端には爪24dが形成されている。
爪24dは、スライド板24が前方に動作したとき、ハウジング16の内面に形成した上記ガイド溝に形成された窪みに弾性にて係合し、スイッチSWがモータ回路を閉成した状態を維持する働きをする。
【0031】
スライド板24の下面には、前後方向に延在する凸条24eが形成されている。凸条24eは、スライド板24が前方に動作する際に、可動ケース17の上壁傾斜面17d及びその前の開口17bの形成面17eに摺接し(図5参照)、可動ケース17を開口17bの形成面17eが水平となるまで押し下げる。これにより、可動ケース17が下方回動位置をとり、平歯車18cが平歯車15に噛合するとともに。凸条24eによって可動接片20bが下方に押されて固定接片20aに接触し、モータ回路が閉成される。
【0032】
(連結器70)
図9は、連結器70の側面図である。
連結器70は、雄具71と雌具72とから構成されている。
【0033】
雌具72は、動力車10の後部に、前後方向に動作可能に設けられている。この雌具72の先端部には円形の孔72aが形成されている(図4参照)。また、雌具72の基端部下面にはピン72bが垂設され、このピン72bは、車台11の長孔73aに挿入され、長孔73aの中を前後にスライド可能となっている。
雌具72は使用の際には車体から後方に引き出され、連結器70として機能する。一方、雌具72を前方に動作させたときには、雌具72の大部分が動力車10の後部に収容される。これにより、おもちゃ箱に収容する場合などに、雌具72が他の玩具に当たって欠けることが防止される。
【0034】
また、雄具71は、従動車50の前部に、軸71aを中心に上下方向に回動可能に設けられている。この雄具71の先端は丸フック71bとなっている。
雄具71は使用の際には車体から前方に倒され、雌具72の孔72aに係合する。一方、雄具71を上方に回動させたときには、起立状態で、従動車50の凹部50a内に収容される。これにより、おもちゃ箱に収容する場合などに、雄具71が他の玩具に当たって欠けることが防止される。
【0035】
なお、この連結器70は、従動車50と従動車60との間にも設けられている。この実施形態では、雌具72は従動車50の後部に、雄具71は従動車50の前部に設けられている。雌具72を前方に動作させたときには、雌具72の大部分が従動車50の後部に収容される。また、雄具71は上方に回動させたときには、起立状態で、従動車60の凹部60a内に収容される。
【0036】
(遊び方)
以下、実施形態の走行玩具100の遊び方の一例を説明する。
走行玩具100が止まっている状態では、操作子24aが後方に位置し、可動ケース17がコイルばね19の付勢力によって上方回動位置にある。この状態では、平歯車18cが平歯車15と噛合していないので、走行玩具100を手転がしすることができる。
【0037】
また、操作子24aを前方に操作すると、可動ケース17が凸条24eに押されてコイルばね19の付勢力に抗して可動回動位置をとるとともに、スライド板24の凸条24eがスイッチSWを動作させモータ回路が閉成される。この状態では、平歯車18cが平歯車15と噛合するとともにモータ回路が閉成されるので、走行玩具100を電動で走行させることができる。
【0038】
(実施形態の効果)
モータMと、歯車機構における動力伝達経路の上流側の歯車18a~18cとが組み付けられた可動ケース17を動作させるので、今までにない走行玩具100が実現できる。
【0039】
また、可動ケース17が軸17aを中心に回動して走行モードの切替えを行うので、安定して可動ケース17を動作させることができる。
【0040】
さらに、可動ケース17には電池Bや、スイッチSWを含む回路構成部品が組み付けられているので、配線の引き回しが容易であり、配線切れなどを防止することができる。
【0041】
また、可動ケース17は、操作子24aを前方に操作したときにコイルばね19の付勢力に抗して下方回動位置を取り、操作子24aを後方に操作したときにコイルばね19の付勢力によって上方回動位置を取るので、操作性に優れた走行玩具100を実現できる。
【0042】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、斯かる実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態では、車台11側の歯車を車軸14に固定された平歯車15だけとしたが、手転がしによる車輪13bの回転によって回転可能な範囲までの歯車までを含んでもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、可動ケース17を軸17aを中心に回動可能に構成したが、往復動作可能に構成されていればよい。
【符号の説明】
【0045】
1 走行玩具
10 動力車
15 平歯車
17 可動ケース
18 動力伝達機構
18a ウォーム歯車
18b 傘歯車
18c 平歯車
23 導線
24a 操作子
50、60 従動車
70 連結器
71 雄具
72 雌具
100 走行玩具
B 電池
M モータ
SW スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9