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特開2023-157458情報処理装置、薬剤収納装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157458
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、薬剤収納装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20231019BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G16H50/30
A61J7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067395
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】延壽 和魂
(72)【発明者】
【氏名】加藤 達生
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼嶋 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】町田 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
(72)【発明者】
【氏名】西郷 栄子
【テーマコード(参考)】
4C047
5L099
【Fターム(参考)】
4C047NN02
4C047NN10
4C047NN20
5L099AA04
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】例えば、認知機能の低下に関する判断を行う。
【解決手段】通信を介して外部接続機器から服薬履歴情報を含む所定の情報を取得する通信部と、少なくとも所定の情報に含まれる服薬履歴情報に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部とを有する情報処理装置である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を介して外部接続機器から服薬履歴情報を含む所定の情報を取得する通信部と、
少なくとも前記所定の情報に含まれる前記服薬履歴情報に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記服薬履歴情報は、操作入力に応じて変化する第1服薬履歴情報と、実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報とを含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1服薬履歴情報は、前記操作入力に応じて計算される薬剤の残数であり、前記第2服薬履歴情報は、薬剤の実際の残数である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記認知機能判断部は、前記第1服薬履歴情報と前記第2服薬履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記認知機能判断部は、認知機能の低下の有無及び認知機能の低下の度合いの少なくとも一方を判断する
請求項1から3までの何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
通信を介して、薬剤収納装置又は入力用装置から、前記薬剤収納装置又は前記入力用装置への操作入力に応じて計算される薬剤の残数である第1服薬履歴情報と、薬局側コンピュータから、薬剤の実際の残数である第2服薬履歴情報と、を取得する通信部と、
前記第1服薬履歴情報と前記第2服薬履歴情報とに基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有する情報処理装置。
【請求項7】
薬剤を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられた操作入力部と、
前記薬剤を服用する服用タイミングを報知する報知部と、
通信部と
を有し、
前記服用タイミングの報知に対する前記操作入力部への操作入力結果を、前記通信部を介して外部装置に送信する
薬剤収納装置。
【請求項8】
前記通信部は、前記操作入力結果を入力用装置に送信し、
前記入力用装置を介して前記操作入力結果が前記外部装置に送信される
請求項7に記載の薬剤収納装置。
【請求項9】
前記入力用装置が装着される装着部を有する
請求項8に記載の薬剤収納装置。
【請求項10】
前記装着部に装着された前記入力用装置に対する操作入力を制限するカバー部を有する
請求項9に記載の薬剤収納装置。
【請求項11】
前記入力用装置が前記薬剤収納装置用の端末である
請求項8から10までの何れかに記載の薬剤収納装置。
【請求項12】
薬剤を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられた操作入力部と、
前記薬剤を服用する服用タイミングを報知する報知部と、
通信部と、
認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有し、
前記認知機能判断部は、前記操作入力部に対する操作入力に応じて変化する第1服薬履歴情報と、実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う
薬剤収納装置。
【請求項13】
薬剤を収納可能な筐体と、
前記薬剤の服用タイミングの報知に対して入力用装置でなされる操作入力の結果及び実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報を取得する通信部と、
認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有し、
前記認知機能判断部は、前記操作入力に応じて変化する第1服薬履歴情報と、前記第2服薬履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う
薬剤収納装置。
【請求項14】
通信部が、通信を介して外部接続機器から服薬履歴情報を含む所定の情報を取得し、
認知機能判断部が、少なくとも前記所定の情報に含まれる前記服薬履歴情報に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う制御を
コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、薬剤収納装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態、所謂、認知症の患者の増加が社会問題となっている。そこで近年、認知症の患者をサポートするための技術に関する様々な提案が行われている。例えば、下記の特許文献1は、薬箱に開閉可能な蓋と回転体とを設け、薬箱の回転を制御する装置を開示する。薬箱の回転が制御されることで、薬を1回取り出した後の所定時間は薬を取り出せないようにすることができる。係る装置により、認知症患者への薬取り出し動作の習慣づけを促し、また、認知症患者の服薬忘れや過剰服薬を防止できる旨が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-204744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
認知症は一度発症すると改善が困難であるが、初期段階で治療することで進行を遅らせ、自立した生活をおくれることが可能と言われている。すなわち、他の病と同様に、認知症も早期に発見することが重要と言われている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、自己申告による服薬数に基づく薬剤の残数と、実際の薬剤の残数(残薬数)とが合わない場合に患者に何が起きていたのか把握することはできなかった。このような場合、薬の使用者(患者)の認知機能が低下している虞があるが、従来の技術は、認知症がある程度進行したことを前提としており、認知症の虞を早期に捉える観点が欠如していた。
【0005】
そこで本発明は、認知機能の低下を判断することで認知症の虞を早期に把握できる情報処理装置、薬剤収納装置及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、
通信を介して外部接続機器から服薬履歴情報を含む所定の情報を取得する通信部と、
少なくとも所定の情報に含まれる服薬履歴情報に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有する情報処理装置である。
ここで、外部接続機器とは、通信の相手方であり、例えば、本明細書中における薬剤収納装置や入力用装置、薬局側コンピュータ、サーバー等が外部接続機器となり得る。
【0007】
本発明は、例えば、
通信を介して、薬剤収納装置又は入力用装置から、薬剤収納装置又は入力用装置への操作入力に応じて計算される薬剤収納装置内の薬剤の理論上の残数である第1服薬履歴情報と、薬局側コンピュータから、薬剤の実際の残数である第2服薬履歴情報と、を取得する通信部と、
第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報とに基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有する情報処理装置である。
【0008】
本発明は、例えば、
薬剤を収納可能な筐体と、
筐体に設けられた操作入力部と、
薬剤を服用する服用タイミングを報知する報知部と、
通信部と
を有し、
服用タイミングの報知に対する操作入力部への操作入力結果を、通信部を介して外部装置に送信する
薬剤収納装置である。
ここで、外部装置とは、通信の相手方であり、例えば本明細書中における入力用装置や認知機能判断装置、薬局側コンピュータ、サーバー等が外部装置となり得る。
【0009】
本発明は、例えば、
薬剤を収納可能な筐体と、
薬剤を服用する服用タイミングを報知する報知部と、
通信部と、
認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有し、
認知機能判断部は、操作入力部に対する操作に応じて変化する第1服薬履歴情報と、実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う
薬剤収納装置である。
【0010】
本発明は、例えば、
薬剤を収納可能な筐体と、
薬剤の服用タイミングの報知に対して入力用装置でなされる操作入力の結果及び実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報を取得する通信部と、
認知機能の低下に関する判断を行う認知機能判断部と
を有し、
認知機能判断部は、操作入力に応じて変化する第1服薬履歴情報と、第2服薬履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う
薬剤収納装置である。
【0011】
本発明は、例えば、
通信部が、通信を介して外部接続機器から服薬履歴情報を含む所定の情報を取得し、
認知機能判断部が、少なくとも所定の情報に含まれる服薬履歴情報に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う制御を
コンピュータに実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】システムの構成例を示す図である。
図2】薬剤収納装置の外観構成例を説明するための図である。
図3】薬剤収納装置の外観構成例を説明するための図である。
図4】薬剤収納装置の外観構成例を説明するための図である。
図5】薬剤収納装置の内部構成例を説明するための図である。
図6】入力用装置等の内部構成例を説明するための図である。
図7】電子薬歴管理機器の内部構成例を説明するための図である。
図8】認知機能判断装置の内部構成例を説明するための図である。
図9】サーバーの内部構成例を説明するための図である。
図10】システムで行われる処理の一つを説明するためのフローチャートである。
図11】システムで行われる処理の一つを説明するためのフローチャートである。
図12】システムで行われる処理の一つを説明するためのフローチャートである。
図13】システムで行われる処理の一つを説明するためのフローチャートである。
図14】GUI(Graphical User Interface)の一例を説明するためのである。
図15】GUIの一例を説明するためのである。
図16】変形例を説明するための図である。
図17】変形例を説明するための図である。
図18】変形例を説明するための図である。
図19】変形例を説明するための図である。
図20】変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態等について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態等は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容がこれらの実施形態等に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
<第1の実施形態>
<第2の実施形態>
<変形例>
なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものではない。特に、実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置、上下左右等の方向の記載等は特に限定する旨の記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがあり、また、図示が煩雑となることを防止するために、参照符号の一部のみを図示する場合や図示の一部を簡略化する場合もある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、重複する説明を適宜省略する。
【0014】
<第1の実施形態>
[システム構成例]
図1は、実施形態に係るシステム(システム1)の構成例を示す図である。システム1は複数の装置を有しており、これらの複数の装置がインターネット等のネットワークを介して互いに接続された構成を有している。
【0015】
システム1は、患者側で用いられる装置の一例として、薬剤収納装置11、及び、薬剤収納装置11用の端末である入力用装置12を有する。患者は、薬剤収納装置11及び入力用装置12のユーザーである。システム1は、薬局側(薬局のみではなく病院が含まれてもよい。)の装置の一例として、電子薬歴管理機器21、調剤機器22、及び、お薬手帳管理装置23を有する。また、この他にシステム1は、認知機能判断装置31、登録端末41、及び、サーバー51を有する。
【0016】
薬剤収納装置11と入力用装置12との間では、所定の通信規格に基づく通信を行うことにより、データの送受信やコマンドの送受信が可能とされている。無線の通信規格としては、例えば、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、WUSB(Wireless USB)等が挙げられる。本実施形態では、薬剤収納装置11と入力用装置12との間でBLE(Bluetooth Low Energy)に基づく通信が行われる。また、入力用装置12は、例えば、LTE(Long Term Evolution)や4G(Generation)(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)等の通信規格に基づいてサーバー51との通信が可能とされている。すなわち、薬剤収納装置11は、入力用装置12を介してサーバー51との通信が可能とされている。
【0017】
電子薬歴管理機器21、調剤機器22、及び、お薬手帳管理装置23は、薬の種類や服薬履歴を管理するコンピュータである。なお、以下の説明では、これらのコンピュータを薬局側コンピュータと適宜、総称する。薬局側コンピュータの具体例としては、スマートホンやタブレット型コンピュータ、据え置き型のコンピュータが挙げられる。薬局側コンピュータでは、医療作業を効率化するためのソフトウェアであるレセプトコンピュータに基づく処理が行われる。薬局側コンピュータによる調剤システムを連動させるための共有仕様としては、NSIPS(NewStandard Interface of Pharmacy-system Specifications)が知られている。勿論、調剤システムを連動させるための共有仕様は、NSIPSに限定されることはなく、独自のAPI(Application Programming Interface)であってもよい。薬局側コンピュータも、インターネット等を介してサーバー51との通信が可能とされている。
【0018】
認知機能判断装置31は、所定の患者の認知機能の低下に関する判断を行うコンピュータである。認知機能判断装置31は、例えば、医療サービスを提供する会社に設置され得る。勿論、認知機能判断装置31は、患者側や薬局側に設置されてもよいし、サーバー51と一体になったものでもよい。
【0019】
登録端末41は、見守りサービス(詳細は後述する。)を実行するにあたって事前に登録されたスマートホンである。登録端末41のユーザーとしては、例えば、薬剤収納装置11を使用する患者の家族や友人が挙げられる。
【0020】
サーバー51は、入力用装置12や薬局側コンピュータから送信されたデータを記憶する。また、サーバー51は、自身が記憶するデータを認知機能判断装置31や薬局側コンピュータに送信したり、見守りサービスに対応するメッセージを登録端末41に送信する。なお、説明の便宜上、一つのサーバー51のみが図示されているが、サーバー51は、機能毎に分散配置された複数のサーバーを含むものであってもよい。
【0021】
[薬剤収納装置の構成例]
(薬剤収納装置の外観構成例)
次に、図2から図4までを参照しながら、本実施形態に係る薬剤収納装置11の外観構成例について説明する。薬剤収納装置11は、略直方体状の形状を成す筐体101を有する。薬剤収納装置11は、商用電源から供給される電力、USB(Universal Serial Bus)接続された装置やバッテリ等の外部給電機器から供給される電力、二次電池や乾電池等の一次電池から供給される電力等を使用して動作する。薬剤収納装置11は、例えば、可搬可能な程度の大きさ(例えばティッシュ箱程度の大きさ)である。なお、薬剤収納装置11の形状は箱状に限定されることなく、円筒形状や角柱状等の他の形状であってもよい。
【0022】
筐体101は、上面部102と上面部102と略直交し、相対的に面積が大きい側面部103A、103Bを有している。筐体101は、樹脂や金属等によって構成される。好ましくは、筐体101は、後述する薬剤収納空間の中が確認できるように、透明なプラスチック樹脂によって構成される。筐体101には、上面部102の箇所が開放された内部空間が形成されている。この内部空間が、錠剤や散剤等の薬剤を収納する薬剤収納部104として機能する。本実施形態に係る薬剤収納部104は、例えば、互いに区画された4つの薬剤収納空間(第1薬剤収納空間104A、第2薬剤収納空間104B、第3薬剤収納空間104C、及び、第4薬剤収納空間104D)を有している。勿論、薬剤収納空間の数は、4つに限定されることはない。仕切りを使用して一つの薬剤収納空間を分割できるようにしてもよいし、あるいは、1ヶ月の日数に対応する個数(例えば、31個)の薬剤収納空間をカレンダー状に設けて各日に服用すべき薬剤を個々に収納可能とした態様であってもよい。また、各薬剤収納空間に収納される薬剤は同じ種類の薬剤であってもよいし、異なる種類の薬剤であってもよい。本実施形態では、第1薬剤収納空間104Aには朝(例えば7:00)に飲むべき薬が収納され、第2薬剤収納空間104Bには昼(例えば12:00)に飲むべき薬が収納され、第3薬剤収納空間104Cには夕方(例えば17:00)に飲むべき薬が収納され、第4薬剤収納空間104Dには就寝前(例えば21:00)に飲むべき薬が収納される。
【0023】
筐体101の側面部103Aには発光ボタン部105が設けられている。発光ボタン部105は、LED(Light Emitting Diode)等の発光体と、押下可能なボタンとが一体となった構成を有する。本実施形態に係る発光ボタン部105は、薬剤収納空間に対応する数(本実施形態では4つ)の発光ボタン(第1発光ボタン105A、第2発光ボタン105B、第3発光ボタン105C、及び、第4発光ボタン105D)を有している。各発光ボタンと薬剤収納空間とが対応している。本実施形態では、第1発光ボタン105Aと第1薬剤収納空間104Aとが対応しており、第2発光ボタン105Bと第2薬剤収納空間104Bとが対応しており、第3発光ボタン105Cと第3薬剤収納空間104Cとが対応しており、第4発光ボタン105Dと第4薬剤収納空間104Dとが対応している。各発光ボタンの配設位置は特に限定されるものではないが、これらの対応関係が患者にとってわかりやすい位置に各発光ボタンが設けられることが好ましい。
【0024】
例えば、現在時刻が第1薬剤収納空間104Aには収納された薬剤を服用すべきタイミング(例えば朝7:00)になると、第1発光ボタン105Aが発光する。また、現在時刻が薬剤を服用すべきタイミングになった旨のアラーム音声が入力用装置12から再生される。患者は、第1発光ボタン105Aの発光を視認したり、アラーム音声を聴取することで、薬剤を服用すべきタイミング(本例では時刻)であることを認識する。そして、患者は、第1発光ボタン105Aに対応する第1薬剤収納空間104Aに収納された薬剤を取り出して服用する。薬剤を服用した患者は、第1発光ボタン105Aを押下する。押下された第1発光ボタン105Aが消灯する。このように、本実施形態に係る発光ボタン部105は、薬剤を服用すべき服用タイミング(服薬タイミング)を報知する報知部としても機能し、且つ、操作入力がなされる操作入力部としても機能する。
【0025】
各発光ボタンの発光色は、同じであってもよいが、発光ボタンに対応する時間帯をわかりやすくするためにも異なる発光色であることが好ましい。例えば、第1発光ボタン105Aの発光色は赤色、第2発光ボタン105Bの発光色は黄色、第3発光ボタン105Cの発光色は青色、第4発光ボタン105Dの発光色は緑色のように、異なる発光色で各発光ボタンが点灯する。
【0026】
また、上面部102の端部(側面部103B側の端部)には、装着部106が設けられている。装着部106は、例えば、上面部102に設けられた矩形状の開口部106Aと、側面部103Bに立てかけられるように立設された支持部106Bとを含む。開口部106Aの底部には端子(不図示)が設けられている、図3図4A及び図4Bに示すように、この端子に対して入力用装置12の外部に露出する端子が接触するようにして、開口部106Aに入力用装置12の一部が挿入される。一例として、入力用装置12のディスプレイ(後述するディスプレイ121)が側面部103A側となるようにして、入力用装置12が開口部106Aに挿入される。支持部106Bにより入力用装置12の背面(ディスプレイが設けられる面とは反対側の面)を支持することができるので、入力用装置12を安定した姿勢で薬剤収納装置11に装着できる。薬剤収納装置11と、当該薬剤収納装置11に装着された入力用装置12との間で、例えばBLEに基づく通信が行われる。なお、係る通信は、入力用装置12が薬剤収納装置11に装着されていない状態で、且つ、互いの機器が近接された位置に配置された状態でも行うことができる。
【0027】
(薬剤収納装置の内部構成例)
図5は、薬剤収納装置11の内部構成例を示すブロック図である。薬剤収納装置11は、例えば、制御部111、通信部112、及び、発光ボタン部105を有する。上述したように、発光ボタン部105は、第1発光ボタン105A、第2発光ボタン105B、第3発光ボタン105C、及び、第4発光ボタン105Dを有する。
【0028】
制御部111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ動作されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによって薬剤収納装置11全体の制御を行う。
【0029】
例えば、制御部111は、各発光ボタンの発光制御や、発光ボタンに対する押下操作に対応する処理(例えば、押下操作に対応したデータ生成処理)、通信部112に対する通信制御処理を行う。
【0030】
通信部112は、所定の通信規格により他の装置やインターネットと通信する通信モジュールである。本実施形態に係る通信部112は、BLEに対応する通信規格に基づく通信を入力用装置12と行う。
【0031】
[入力用装置の構成例]
入力用装置12は、例えば、公知のスマートホンと同様の外観構成例を有している。具体的には、筐体の一面にディスプレイ121が設けられた外観を有している。本実施形態では、ディスプレイ121がタッチパネルとして構成されている。図6に示すように、入力用装置12は、ディスプレイ121の他に、例えば、制御部122、入力部123、無線通信部124、無線通信部124に接続されるアンテナ125、近距離無線通信部126、近距離無線通信部126に接続されるアンテナ127、位置センサ部128、位置センサ部128に接続されるアンテナ129、メモリ部130、バイブレータ131、モーションセンサ132、音声処理部133、マイクロホン134及びスピーカ135を有している。
【0032】
制御部122は、例えばCPUから構成されており、入力用装置12の各部を統括的に制御する。また、制御部122は、タイマー122Aを有し、タイマー122Aによる計時機能を有している。
【0033】
入力部123は、入力用装置12が有する、操作入力を受け付けるための構成を総称したものである。入力部123としては、タッチパネル、ボタン、ダイヤル等が挙げられる。なお、入力部123は、音声認識を行うための音声入力を受け付ける構成でも良い。
【0034】
無線通信部124は、例えば、LTEや4G、5G等の通信規格に基づいて入力用装置12以外の外部装置(例えば、認知機能判断装置31や薬局側コンピュータ、サーバー51等)と通信を行う。無線通信部124は、通信規格に対応する変調/復調処理やエラー訂正処理等を行う。アンテナ125を介して上述した外部装置に対してデータが送信され、アンテナ125により外部装置からのデータが受信される。
【0035】
近距離無線通信部126は、BLEの規格に基づいて、薬剤収納装置11と無線通信を行う。アンテナ127を介して薬剤収納装置11に対してデータが送信され、アンテナ127により薬剤収納装置11からのデータが受信される。
【0036】
上述した例における無線通信部124及び近距離無線通信部126に係る構成が、入力用装置12が有する通信部に対応する。なお、無線通信部124が薬剤収納装置11と無線通信を行うようにし、近距離無線通信部126が入力用装置12以外の外部装置と無線通信を行うようにしてもよい。また、上述した例では、無線通信部124及び近距離無線通信部126が別個の構成であるものとして説明したが、両者の機能を有する1個の通信部として構成し、当該通信部が入力用装置12以外の外部装置や薬剤収納装置11と通信を行うようにしてもよい。
【0037】
位置センサ部128は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)と称されるシステムを利用して、現在位置の測位を行う測位部である。これらの無線通信部124、近距離無線通信部126、位置センサ部128で得られたデータは、制御部122に供給される。そして、制御部122は、供給されたデータに基づく制御を実行する。
【0038】
メモリ部130は、制御部122が実行するプログラムが格納されるROMや制御部122がプログラムを実行する際のワークメモリとして使用されるRAMやデータ記憶用の不揮発性メモリ等を総称したものである。
【0039】
バイブレータ131は、例えば、入力用装置12全体を振動させる部材である。バイブレータ131による振動で、電話の着信や電子メールの受信等が通知される。
【0040】
モーションセンサ132は、例えば、入力用装置12の動きを検出する。モーションセンサ132としては、加速度センサ、ジャイロセンサ、電子コンパス、気圧センサ等が使用される。なお、入力用装置12は、モーションセンサ132以外のセンサを内蔵してもよい。例えば、入力用装置12を装着した患者の血圧、脈拍、汗腺(汗腺の位置でも良いし、汗腺からの発汗の程度でも良い)、体温等の生体情報を検出するバイオセンサが内蔵されていてもよい。
【0041】
音声処理部133には、マイクロホン134とスピーカ135とが接続され、音声処理部133が、無線通信部124による無線通信で接続された相手と通話の処理を行う。また、音声処理部133は、音声入力操作のための処理を行うこともできる。
【0042】
なお、図示は省略しているが、入力用装置12の各部に対しては、リチウムイオン二次電池等のバッテリから電力が供給される。
【0043】
なお、登録端末41も入力用装置12と同様の構成及び機能を有している。勿論、登録端末41と入力用装置12との間に、構成や機能の差異があっても構わない。
【0044】
[薬局側コンピュータの構成例]
図7は、薬局側コンピュータ(例えば、上述した電子薬歴管理機器21や調剤機器22、お薬手帳管理装置23)の内部構成例を示すブロック図である。以下では電子薬歴管理機器21の構成例について説明するが、以下に説明する構成例は調剤機器22やお薬手帳管理装置23に対しても適用可能である。
【0045】
図7に示すように、電子薬歴管理機器21は、バスにより相互接続されている制御部211、記憶部212、入力部213、通信部214及び出力部215を有している。
【0046】
制御部211は、例えば、CPU、RAM及びROM等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ動作されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによって電子薬歴管理機器21全体の制御を行う。
【0047】
記憶部212は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、半導体メモリ等により構成された記憶媒体である。記憶部212には、画像データ、動画データ、音声データ、テキストデータ等のコンテンツデータの他、プログラム(例えば、アプリケーション)等のデータが適宜、保存される。また、記憶部212には、第2服薬履歴情報が記憶される。第2服薬履歴情報とは、実際の服薬の履歴に基づく情報である。より具体的には、第2服薬履歴情報とは、例えば、予め配布された薬剤の数に対して、所定期間後に残っている薬剤の実際の残数である。例えば、薬剤師が所定の薬剤使用期間経過後に残っている薬剤の実際の残数を確認し、電子薬歴管理機器21に入力することにより、第2服薬履歴情報が記憶部212に記憶される。第2服薬履歴情報は、通信部214を介して、サーバー51にアップロードされる。
【0048】
入力部213は、電子薬歴管理機器21に対して各種情報(例えば、患者が服用した薬剤の履歴や、上述した第2服用履歴情報など)を入力するための装置である。入力部213により情報が入力されると、制御部211は、その入力情報に対応した各種処理を行う。入力部213は、マウス及びキーボードの他、マイクロホン、各種センサ、タッチパネル、モニタと一体に構成されたタッチスクリーン、物理ボタン等でもよい。なお、電子薬歴管理機器21への各種情報の入力は、通信部214を介して行われる構成であってもよい。
【0049】
通信部214は、所定の通信規格により他の装置やインターネットと通信する通信モジュールである。通信方法としては、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)等の無線LAN、LTE、5G、ブロードバンド、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0050】
出力部215は、電子薬歴管理機器21から各種情報を出力するための装置である。出力部215は、例えば、画像や映像を表示するディスプレイ(表示デバイス)、スピーカ等の音を出力する出力デバイスで構成されている。なお、電子薬歴管理機器21からの各種情報の出力は、通信部214を介して行われる構成であってもよい。
【0051】
制御部211は、例えば、記憶部212に記憶されているプログラム(例えば、アプリケーション)を読み出し実行することで各種処理を行う。つまり、電子薬歴管理機器21は、コンピュータとしての機能を有している。
【0052】
なお、プログラム(例えば、アプリケーション)及びデータは、記憶部212に記憶されていなくてもよい。例えば、電子薬歴管理機器21が読み取り可能な記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを読み出して使用するものでもよい。この記憶媒体としては、例えば、電子薬歴管理機器21に対して着脱自在な光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、HDDなどがあげられる。また、インターネット等のネットワークに接続された装置(例えば、クラウドストレージ)にプログラムやデータを記憶させておき、電子薬歴管理機器21がそこからプログラムやデータを読み出して実行するようにしてもよい。また、プログラムは、例えば、既存のアプリケーションに、処理の一部または全てを追加するプラグインプログラムであってもよい。
【0053】
[認知機能判断装置の構成例]
図8は、本実施形態に係る認知機能判断装置31の内部構成例を示すブロック図である。図8に示すように、認知機能判断装置31は、バスにより相互接続されている制御部311、記憶部312、入力部313、通信部314及び出力部315を有している。
【0054】
制御部311は、例えば、CPU、RAM及びROM等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ動作されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによって認知機能判断装置31全体の制御を行う。
【0055】
制御部311は、機能ブロックとして、認知機能判断部311Aを有している。認知機能判断部311Aは、通信を介して外部接続機器から取得される所定の情報に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う。ここで、所定の情報は、好ましくは、服薬の履歴に基づく服薬履歴情報を含む。認知機能判断部311Aによる詳細な処理については後述する。
【0056】
記憶部312は、例えば、HDD、SSD、半導体メモリ等により構成された記憶媒体である。記憶部312には、画像データ、動画データ、音声データ、テキストデータ等のコンテンツデータの他、プログラム(例えば、アプリケーション)等のデータが適宜、保存される。
【0057】
入力部313は、認知機能判断装置31に対して各種情報を入力するための装置である。入力部313により情報が入力されると、制御部311は、その入力情報に対応した各種処理を行う。入力部313は、マウス及びキーボードの他、マイクロホン、各種センサ、タッチパネル、モニタと一体に構成されたタッチスクリーン、物理ボタン等でもよい。なお、認知機能判断装置31への各種情報の入力は、通信部314を介して行われる構成であってもよい。
【0058】
通信部314は、所定の通信規格により外部接続機器やインターネットと通信する通信モジュールである。通信方法としては、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、LTE、5G、ブロードバンド、Bluetooth(登録商標)等が挙げられる。
【0059】
出力部315は、認知機能判断装置31から各種情報を出力するための装置である。出力部315は、例えば、画像や映像を表示するディスプレイ(表示デバイス)、スピーカ等の音を出力する出力デバイスで構成されている。なお、認知機能判断装置31からの各種情報の出力は、通信部314を介して行われる構成であってもよい。
【0060】
制御部311は、例えば、記憶部312に記憶されているプログラム(例えば、アプリケーション)を読み出し実行することで各種処理を行う。つまり、認知機能判断装置31は、コンピュータとしての機能を有している。
【0061】
なお、プログラム(例えば、アプリケーション)及びデータは、記憶部312に記憶されていなくてもよい。例えば、認知機能判断装置31が読み取り可能な記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを読み出して使用するものでもよい。この記憶媒体としては、例えば、認知機能判断装置31に対して着脱自在な光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、HDDなどがあげられる。また、インターネット等のネットワークに接続された装置(例えば、クラウドストレージ)にプログラムやデータを記憶させておき、認知機能判断装置31がそこからプログラムやデータを読み出して実行するようにしてもよい。また、プログラムは、例えば、既存のアプリケーションに、処理の一部または全てを追加するプラグインプログラムであってもよい。
【0062】
[サーバーの構成例]
図9は、本実施形態に係るサーバー51の内部構成例を示すブロック図である。図9に示すように、サーバー51は、バスにより相互接続されている制御部511、記憶部512、及び、通信部513を有している。
【0063】
制御部511は、例えば、CPU、RAM及びROM等で構成されている。ROMには、CPUにより読み込まれ動作されるプログラム等が記憶されている。RAMは、CPUのワークメモリとして用いられる。CPUは、ROMに記憶されたプログラムにしたがい、様々な処理を実行してコマンドの発行を行うことによってサーバー51全体の制御を行う。
【0064】
記憶部512は、例えば、HDD、SSD、半導体メモリ等により構成された記憶媒体である。記憶部512には、画像データ、動画データ、音声データ、テキストデータ等のコンテンツデータの他、プログラム(例えば、アプリケーション)等のデータが適宜、保存される。
【0065】
記憶部512には、例えば、所定の患者に対応する第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報が記憶されている。第1服薬履歴情報は、薬剤収納装置11の発光ボタン部105に対する操作入力に応じて変化する情報である。例えば、発光ボタン部105に対する操作入力がなされると、当該操作入力が服薬した履歴として入力用装置12からサーバー51に送信され、サーバー51の通信部513で受信される。受信された服薬履歴が記憶部512に記憶される。制御部511は、記憶部512に記憶された服薬履歴に基づいて第1服薬履歴情報を取得する。例えば、制御部511は、ある薬剤使用期間(数日や1週間、数週間単位)における薬剤配布数から服薬履歴に基づく薬剤使用数を差し引く計算を行うことで第1服薬履歴情報を取得する。薬剤配布数は、例えば、薬局側コンピュータから送信される。同じ薬剤使用期間中に再度、第1発光ボタン105Aに対する操作がなされると、現在の第1服薬履歴情報である薬剤数から薬剤使用数(例えば錠剤であれば1個、散剤であれば1包)が差し引かれる計算が行われることで第1服薬履歴情報が更新される。
【0066】
また、第2服薬履歴情報は、薬局側コンピュータ、例えば電子薬歴管理機器21の通信部214から送信され、サーバー51の通信部513で受信される。受信された第2服薬履歴情報が、制御部511の制御に応じて記憶部512に記憶される。
【0067】
通信部513は、所定の通信規格によりサーバー51以外の外部装置や薬剤収納装置11、インターネットと通信する通信モジュールである。
【0068】
制御部511は、例えば、記憶部512に記憶されているプログラム(例えば、アプリケーション)を読み出し実行することで各種処理を行う。つまり、サーバー51は、コンピュータとしての機能を有している。
【0069】
なお、プログラム(例えば、アプリケーション)及びデータは、記憶部512に記憶されていなくてもよい。例えば、サーバー51が読み取り可能な記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを読み出して使用するものでもよい。この記憶媒体としては、例えば、サーバー51に対して着脱自在な光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ、HDDなどがあげられる。また、インターネット等のネットワークに接続された装置(例えば、クラウドストレージ)にプログラムやデータを記憶させておき、サーバー51がそこからプログラムやデータを読み出して実行するようにしてもよい。また、プログラムは、例えば、既存のアプリケーションに、処理の一部または全てを追加するプラグインプログラムであってもよい。
【0070】
[システムの動作例]
次に、図10から図13までのフローチャートを参照しつつ、本実施形態に係るシステム1で行われる処理の一例について説明する。図10は、入力用装置12で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
(入力用装置に対する設定処理及び薬局側コンピュータで行われる処理)
一つのユースケースとして、患者が病院での診察を受けた後、薬剤を受け取るために薬局に出向く。薬局の薬剤師は、処方箋を確認しながら、薬剤収納装置11の各薬剤収納空間に対して、それぞれの時間帯で服用すべき薬剤を収納する。
【0072】
そして、薬剤師は入力用装置12に対する設定を行う。具体的には、図10のフローチャートのステップST11において、入力用装置12に対して、薬剤の服用タイミング(本例では服薬時刻とする。)が入力される。薬剤の服用タイミングは、所定の時間ではなく幅をもった時間帯でもよい。係る入力操作は、例えば入力部123を使用して行われる。入力部123に対する入力を受け付けた制御部122は、入力された服薬時刻を制御部122のRAM等の適宜なメモリに記憶する。これにより、入力用装置12に対する服薬時刻の設定が行われる。なお、服薬時刻だけでなく、当該服薬時刻になった場合に点灯させる発光ボタンも服薬時刻に対応付けられて設定される。この他にも薬の種類や錠剤数等の服用量が入力されて記憶されてもよい。また、一般に患者が高齢であるほど入力用装置12の操作が苦手と考えられ、入力ミスも起こりやすい観点から、入力用装置12に対する入力は薬剤師が行うことが好ましい。勿論、入力用装置12に対する入力を患者が行うようにしてもよい。患者は、薬剤が収納された薬剤収納装置11及び服薬時刻等の設定がなされた入力用装置12を持ち帰る。そして、患者は、薬剤収納装置11の装着部106に入力用装置12を装着する。
【0073】
患者は、次の病院の受診時(薬剤配布時期)が到来すると、薬局に薬剤収納装置11及び入力用装置12を持ち込む。薬剤師は、薬剤収納装置11の中に残された薬剤数をカウントし、その値を、所定の患者の服薬履歴として電子薬歴管理機器21等に入力する。ある薬剤使用期間(例えば、1週間)において実際に残っている薬剤の残数が、患者の実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報として蓄積される。患者の第2服薬履歴情報が、通信部214を介してサーバー51に送信され、サーバー51の記憶部512に記憶される。なお、実際に残っている薬剤の残数は薬剤師がカウントするのではなく、カウンター機器を用いて自動で計測され、計測された値が第2服薬履歴情報としてサーバー51に自動で送信されてもよい。このように、ある薬剤使用期間毎に第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報が蓄積されていく。
【0074】
(入力用装置で行われる処理)
次に、図11に示すフローチャートを参照して、入力用装置12で行われる処理の一例について説明する。以下に説明する処理は、特に断らない限り制御部122の制御に応じて行われる。
【0075】
ステップST21では、制御部122が、24時間以上、薬剤収納装置11に対する操作がないか否かを判断する。例えば、制御部122は、BLEに基づく通知を薬剤収納装置11から受けてから24時間以内に、BLEに基づく通知を薬剤収納装置11から受けた場合には薬剤収納装置11に対する操作があると判断する。また、制御部122は、BLEに基づく通知を薬剤収納装置11から受けてから24時間以内に、BLEに基づく通知を薬剤収納装置11から受けない場合には薬剤収納装置11に対する操作がないと判断する。判断結果がYesの場合は、処理がステップST22に進む。
【0076】
薬剤収納装置11に対する操作が24時間以上ない場合は患者が薬剤を全く服用しない、すなわち、薬剤を全く服用できないほど患者の体調に重体な異変が発生した虞がある。そこで、ステップST22では、見守り通知処理が行われる。見守り通知処理では、例えば、制御部122が無線通信部124を介してサーバー51に見守り通知用メッセージを送信する。メッセージを受信したサーバー51は、予め登録されている登録端末41に対して所定のメッセージを送信する。メッセージの内容は特に限定されるものではないが、入力用装置12のユーザーである患者に対して連絡することを促す内容のメッセージである。メッセージを受けた登録端末41のユーザーが患者に連絡することで、患者の安否確認が行われる。
【0077】
ステップST21の判断結果がNoである場合は、処理がステップST23に進む。ステップST23では、制御部122が、タイマー122Aにより計時される現在時刻が、設定された服薬時刻(上述したステップST11で設定された服薬時刻)になったか否かを判断する。ステップST23の判断結果がNoである場合は、処理がステップST21に戻り、ステップST21以降の処理が繰り返される。ステップST23の判断結果がYesである場合は、処理がステップST24に進む。
【0078】
ステップST24では、制御部122が音声処理部133を制御することにより、スピーカ135からアラーム音声を再生する。例えば「朝の薬を服用する時間になりました」等のアラーム音声がスピーカ135から再生される。そして、処理がステップST25に進む。
【0079】
ステップST25では、制御部122が近距離無線通信部126を制御することで、BLEを使用した通知処理を行う。制御部122は、例えば、現在時刻に基づいて点灯すべき発光ボタンを識別する。現在時刻が7:00であれば、制御部122は、点灯すべき発光ボタンが第1発光ボタン105Aであると認識する。制御部122は、認識結果、すなわち、点灯すべき薬剤収納装置11の発光ボタンが記述されたコマンドを生成する。制御部122は、生成したコマンドを、近距離無線通信部126を介して薬剤収納装置11に送信する。そして、処理がステップST26に進む。
【0080】
ステップST26では、制御部122が、送信したコマンドに対して、薬剤収納装置11からの通知(応答)が有るか否かを判断する。薬剤収納装置11からの通知は、点灯された発光ボタンが押下されたことを示す通知である。ステップST26の判断結果がNoである場合は、処理がステップST27に進む。
【0081】
ステップST27では、制御部122が、コマンドを送信してから所定時間(例えば、30秒)経過したか否を判断する。ステップST27の判断結果がNoである場合は処理がステップST26に戻り、ステップST26の処理が繰り返される。ステップST27の判断結果がYesである場合は処理がステップST28に進む。
【0082】
ステップST28では、薬剤収納装置11からの通知がないことから、制御部122がアラーム音声の再生を停止させる制御を行う。薬剤収納装置11からの通知がない、すなわち、コマンドに応じて点灯された発光ボタンが押下されなかったことから、制御部122は、例えば朝に服用すべき薬剤が服用されなかったものと判断する。そして、処理がステップST21に戻り、ステップST21以降の処理が繰り返される。
【0083】
ステップST26の判断結果がYesの場合は、処理がステップST29に進む。ステップST29では、入力用装置12からの通知があったことから、点灯された発光ボタンが押下された、すなわち、朝に服用すべき薬剤が服用されたと制御部122が判断する。係る判断の後、制御部122は、アラーム音声の再生を停止する。そして、制御部122は、朝に服用すべき薬剤が服用されたことを示す服薬履歴を、患者と対応付けてサーバー51に送信する。なお、上述したように、サーバー51の制御部511は、入力用装置12から送信された服薬履歴に基づいて第1服薬履歴情報を計算し記憶する。そして、処理がステップST21に戻り、ステップST21以降の処理が繰り返される。
【0084】
(薬剤収納装置で行われる処理)
次に、図12に示すフローチャートを参照して、薬剤収納装置11で行われる処理の一例について説明する。以下に説明する処理は、特に断らない限り制御部111の制御に応じて行われる。
【0085】
ステップST31では、制御部111が、通信部112を介して入力用装置12からのコマンドを受信したか否か、すなわち、入力用装置12からのBLEに基づく通知が有るか否かを判断する。ステップST31の判断結果がNoの場合は、処理がステップST31に戻る。ステップST31の判断結果がYesの場合は、処理がステップST32に進む。
【0086】
ステップST32では、制御部111が、入力用装置12から送信されたコマンドの内容を解釈する。具体的には、制御部111が、入力用装置12からのコマンドに記述された、点灯すべき発光ボタンを解釈する。例えば、点灯すべき発光ボタンとして第1発光ボタン105Aがコマンドに記述されている場合は、制御部111は、第1発光ボタン105Aを点灯する制御を行う。この制御により第1発光ボタン105Aが点灯し、第1発光ボタン105Aに対応する第1薬剤収納空間104Aに収納された薬剤(朝用の薬剤)を服用すべき時間であることが患者に報知される。そして、処理がステップST33に進む。
【0087】
ステップST33では、制御部111が、服用タイミングの報知に対する操作入力部への操作入力結果を認識する。具体的には、制御部111は、点灯中の発光ボタン(本例では、第1発光ボタン105A)が押下されたか否かを判断する。ステップST33の判断結果がNoである場合は、処理がステップST34に進む。
【0088】
ステップST34では、制御部111が、第1発光ボタン105Aが点灯してから一定時間、経過したか否かを判断する。制御部111は、例えば、第1発光ボタン105Aが押下されない限り、第1発光ボタン105Aを所定時間(例えば、3時間)点灯させる制御を行う。入力用装置12から次のコマンドを受信するまで(次に薬剤を服用すべき時間になるまで)、第1発光ボタン105Aを点灯させるようにしてもよい。ステップST34の判断結果がNoの場合には、処理がステップST33に戻り、ステップST33の処理が繰り返される。ステップST34の判断結果がYesの場合には、処理がステップST36に進む。
【0089】
ステップST36では、一定時間、第1発光ボタン105Aが押されないことから、制御部111は、第1発光ボタン105Aを消灯する制御を行う。そして、処理がステップST31に戻り、ステップST31以降の処理が繰り返される。
【0090】
上述したステップST33の判断結果がYesの場合は、処理がステップST35に進む。ステップST35では、制御部111が、患者により第1発光ボタン105Aが押下されたことを入力用装置12に通知する。この通知は、入力用装置12で受信される(ステップST26の判断処理のYes)。そして、処理がステップST36に進む。
【0091】
ステップST36では、制御部111が、押下された第1発光ボタン105Aを消灯させる制御を行う。そして、処理がステップST31に戻り、ステップST31以降の処理が繰り返される。
【0092】
なお、本例では、操作入力結果として、発光ボタンに対する押下操作が有ったことを入力用装置12に通知するようにしたが、操作入力結果として、発光ボタンに対する押下操作の有無を入力用装置12に通知するようにしてもよい。
【0093】
(認知機能判断装置で行われる処理)
次に、図13に示すフローチャートを参照して、認知機能判断装置31で行われる処理の一例について説明する。以下に説明する処理は、特に断らない限り制御部311の制御に応じて行われる。
【0094】
ステップST41では、入力部313への所定の操作入力に応じて、制御部311が、所定の患者に対応する第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報が記憶部312に記憶されているか否かを判断する。所定の操作入力は、認知機能判断装置31に対して、所定の患者の認知機能の低下に関する判断処理を行わせるための操作である。所定の患者に対応する第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報が記憶部312に記憶されていない場合には処理がステップST42に進む。
【0095】
ステップST42では、制御部311が、通信部314を制御することによりサーバー51にアクセスする。サーバー51にアクセスする際にID(Identifier)やパスワードの入力が要求されてもよい。制御部311は、サーバー51にアクセスすることで、サーバー51に記憶されている所定の患者に対応する第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報を通信により取得する。ステップST41の判断結果がYesの場合、又は、ステップST42の処理が終了した後、処理がステップST43に進む。
【0096】
ステップST43では、認知機能判断部311Aが、所定の患者に対する認知機能の低下に関する判断を行う。例えば、認知機能判断部311Aは、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う。より具体的には、認知機能判断部311Aは、例えば、第1服薬履歴情報と前記第2服薬履歴情報との差異が閾値を超えた場合に、認知機能の低下(認知症の疑い)があると判断する。患者自身の発光ボタン部105への操作数から得られる薬剤の残数(申告に基づく、薬剤収納装置11内の理論上の薬剤の残数)と実際の薬剤の残数との差異が大きいということは、飲み忘れや過剰服薬の回数が多いと考えられる。そこで、認知機能判断部311Aは、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異が閾値を超えた場合に、認知機能の低下(認知症の疑い)があると判断する。
【0097】
認知機能判断部311Aが患者に認知症の疑いがあると判断した場合には、制御部311は、通信部314を介して、認知症の疑いがあることを示す認知症疑いデータをサーバー51に送信する。サーバー51は、認知症疑いデータを、患者に対応付けられた薬局側コンピュータに送信する。認知症疑いデータを受信した薬局側では、例えば、薬剤師が適宜なタイミングで該当する患者の近況を確認し、必要に応じて認知症のセルフチェックを行ったり、病院での検査を薦めることが行われる。認知症疑いデータが、該当する患者やその家族の携帯端末に送信されてもよい。以上説明したように、日頃の服薬行動から認知症の疑いを判断することが可能となる。
【0098】
患者の操作ミス(例えば、服薬したにも関わらず発光ボタンを押下し忘れた場合)に起因して、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異が一時的に閾値を上回る場合もある。そこで、複数の薬剤使用期間について、長期にわたって第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異を監視し、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異が閾値を上回る回数が所定以上となった場合に、患者に認知機能の低下がみられると認知機能判断部311Aが判断してもよい。また、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異が長期にわたって増加傾向を示す場合に、患者に認知機能の低下があると認知機能判断部311Aが判断してもよい。
【0099】
また、認知機能判断部311Aにより判断される認知機能の低下は、認知機能の低下の有無だけでなく、認知機能の低下の程度(度合)であってもよい。例えば、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異が閾値を上回る期間が短い場合には、認知機能の低下の程度が「小」と判断され、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異が閾値を上回る期間が長い場合には、認知機能の低下の程度が「大」と判断されるようにしてもよい。このように、認知機能判断部311Aは、認知機能の低下の有無及び認知機能の低下の度合いの少なくとも一方を判断する。
【0100】
[GUIの一例]
図14及び図15は、例えば、認知機能判断装置31で用いられるGUIの一例を示す。図14に示すように、GUIには、認知機能判断装置31がアクセス可能な患者として「東京一郎」と「神奈川花子」が表示され、それぞれの患者の連絡先が示される。また、ある薬剤服用期間における服用時間帯毎の薬剤の理論上の残数が、患者毎に示される。この残数の合計(「東京一郎」の場合は薬剤の理論上の残数は、28+30+30=88となる)が第1服薬履歴情報に対応する。一方、GUIには「確認の実数、電子薬歴」という項目が示される。この項目の値は、薬剤使用期間の終了後、例えば薬剤師によってカウントされた薬剤の実際の残数、すなわち、第2服薬履歴情報に対応する。例えば、患者「東京一郎」の第2服薬履歴情報は90である。GUIにおける「差異」という項目が、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異である。例えば、患者「東京一郎」の差異は2(90-88=2)であり、患者「神奈川花子」の差異は8(56-(18+30)=8)である。差異が閾値(例えば5)を超えた場合には、差異の数字が赤く表示される。
【0101】
GUIにおける「詳細」という項目がクリックされると、図14に示すGUIが図15に示すGUIに遷移する。図15にGUIでは、患者毎に、どの時間帯で薬剤が服薬されたか、すなわち、発光ボタンが押下された際の日時等の詳細な情報が示される。
【0102】
図14及び図15に示すGUIは、カスタマイズすることも可能である。例えば、図15に示すGUIに、服用した薬剤の種類とその服用日時とが対応付けられた表示が含まれてもよい。また、GUIに、認知機能判断部311Aによる判断結果が示されてもよい。
【0103】
[本実施形態により得られる効果]
本実施形態によれば、例えば、以下の効果が得られる。
患者の日頃の服薬行動に基づいて、当該患者の認知機能の低下を判断することが可能となる。認知機能の低下が有ると判断された患者に対して、認知機能の検査を促すことで、認知症の早期発見が可能となる。
薬剤収納装置や入力用装置が音や光によって薬剤の服用タイミングを報知できる。これにより、薬剤によって飲むタイミングが異なる場合や、患者が薬剤を服用する服用タイミングを忘れた場合や把握していない場合であっても、当該患者が適切なタイミングで薬剤を服用することができる。また、報知された光や音を患者が認識することで薬剤の服用タイミングに自ら気づくようにしむけることができ、服薬を促すことが可能となる。
薬剤を服用した患者に対して発光ボタン部を押下させることで、服薬の記録を付けることと自身の服薬行動との関係を患者に認識させることができ、患者の服薬に対する意識付けを行わせることができる。さらに、服薬のタイミング毎に患者に対して発光ボタン部の押下操作を行わせることで、患者の主体的な行動を習慣づけることが可能となる。これにより、当該患者の認知機能の低下を予防できる。
患者の服薬履歴を自動で記録することができる。これにより、薬剤師が患者の服薬履歴を聞き取って記録したり、聞き取った結果を入力する手間を省くことが可能となる。また、上述したGUIで示される服薬履歴を確認することで、どのタイミングで薬剤の服用を忘れやすいか等の患者の生活習慣も確認することができる。
例えば、訪問診療の場合は、薬剤師が患者の居所に出向き、薬剤の入れ替えや薬剤の残数のカウントを行う必要があり、手間がかかっていた。本実施形態では、次の薬剤使用期間における薬剤を詰めた薬剤収納装置を、患者が管理している薬剤収納装置と入れ替えるだけで、薬剤の交換を行うことができる。薬剤師は、患者が管理している薬剤収納装置内の残数を患者の居所ではなく薬局に持ち帰ってからカウントできる。従って、患者の居所に長時間滞在する必要がなくなるため、効率的な薬剤交換を行うことができ、さらに感染症の感染予防もできることになる。
高齢になるほど薬剤を服用することが恒常的になり、且つ、認知機能の低下も大きくなる。本実施形態では、それらを結びつけることで、高齢者が取りやすいと考えられる行動(服薬行動)に基づいて認知機能の低下に関する判断を行うので、特別な検査機器を用いることなく、且つ、患者への負担を最小限にしつつ、認知機能の低下に関する判断を行うことができる。
認知機能判断装置を薬剤師や患者の家族が使用することで、遠隔からも患者の認知機能の低下を知ることができる。これにより、かかりつけ薬局の薬剤師や、同居していない患者の家族であっても患者の認知機能の低下を認識できる。
薬剤収納装置の筐体を光透過性部材とすることで、残薬の有無を患者が容易に確認することができる。また、薬剤収納装置に対してUSBによる給電が行われる場合には、電池交換を不要とすることができる。
【0104】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態の説明において、上述した説明における同一または同質の構成については同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜、省略する。また、特に断らない限り、第1の実施形態で説明した事項は第2の実施形態に対して適用することができる。
【0105】
第2の実施形態は、概略的には、薬剤収納装置11が認知機能判断装置31の機能も有している点が第1の実施形態と異なる。
【0106】
図16は、本実施形態に係る薬剤収納装置(薬剤収納装置61)の外観構成例を示す図である。図16に示すように、薬剤収納装置61は、薬剤収納装置11と異なり、装着部106を有していない。
【0107】
図17は、薬剤収納装置61の内部構成例を示す図である。薬剤収納装置61が有する内部構成のうち薬剤収納装置11と異なる点は、制御部111が機能ブロックとして認知機能判断部111A及びタイマー111Bを有している点、第1履歴情報及び第2履歴情報が記憶され得る記憶部113を有する点、スピーカ等の出力部115を有する点である。
【0108】
例えば、薬剤収納装置61の制御部111は、服薬時刻等の情報を、通信部112を介して取得する。服薬時刻等の情報は、サーバー51から取得してもよいし、他(例えば、薬局側コンピュータ)から取得してもよい。タイマー111Bで計時される現在時刻が服薬時刻になった場合には、制御部111は、対応する発光ボタンを点灯させる。また、出力部115からアラーム音声が再生される。患者による薬剤の服用及びそれに伴う発光ボタンへの押下操作に基づいて計算される薬剤の理論上の残数が第1服薬履歴情報として記憶部113に記憶される。また、制御部111は、通信部112を介して、サーバー51から第2服薬履歴情報を取得して記憶部113に記憶する。制御部111の認知機能判断部111Aは、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異に基づいて、患者の認知機能の低下を判断する。認知機能判断部111Aで行われる処理は、認知機能判断部311Aで行われる処理と同一である。本実施形態のように、薬剤収納装置が認知機能の低下に関する判断を行うようにしてもよい。
【0109】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0110】
[変形例1]
上述した実施形態では、薬剤収納装置用の入力用装置を使用した例について説明したが、入力用装置は、薬剤収納装置用の装置に限定されることはなく、汎用性のある装置であってもよい。例えば、図18に示すように、個人が有するスマートホン12Aであってもよい。スマートホン12Aの内部構成やスマートホン12Aで行われる処理は、入力用装置12の内部構成や入力用装置12で行われる処理を適用できる。但し、スマートホン12Aは患者に携帯されることが多いと考えられることから、薬剤収納装置とスマートホン12Aとの間で行われる通信は、比較的長い距離での通信が可能な通信規格(例えば、無線LAN)であることが好ましいが、他の手段を用いることも適宜あり得る。
【0111】
[変形例2]
上述した入力用装置12に対して誤った操作がなされると、入力用装置12の設定(例えば、服薬時刻の設定)が消去されたり、書き換えられてしまう虞がある。特に患者が高齢であればあるほど誤操作が行われる虞が高くなる。そこで、薬剤収納装置が、入力用装置12(個人が有するスマートホンでもよい)に対する操作入力を制限するカバー部を有していてもよい。例えば、図19A及び図19Bに示すように、薬剤収納装置は、カバー部108を有する。カバー部108は、例えば、透明の樹脂部材により構成される。カバー部108は、入力用装置12のディスプレイ(タッチパネル部分)や側面のボタン部を覆いタッチ操作やボタン部への押下操作をできないようにすることで、入力用装置12に対する操作入力を制限する。
【0112】
[変形例3]
図20に示すように、実施形態で説明した装着部106は、支持部106Bを有さず開口部106Aのみを有する構成であってもよい。本変形例に係る開口部106Aの形状は、上面視が略矩形(長穴)の形状を有している。開口部106Aを介して、筐体101内に入力用装置12全体を収納できるようにしてもよい。入力用装置12全体を収納することで、上述したカバー部108がなくても入力用装置12に対する誤操作を防止することができる。
【0113】
[変形例4]
上述した認知機能判断部を認知機能判断装置ではなくサーバー(例えば、実施形態に係るサーバー51)が有する構成であってもよい。この場合、認知機能判断部を有するサーバーの通信部は、通信を介して、薬剤収納装置又は入力用装置から、薬剤収納装置又は入力用装置への操作入力に応じて計算される薬剤の理論上の残数である第1服薬履歴情報を取得する。また、認知機能判断部を有するサーバーの通信部は、通信を介して、薬局側コンピュータから、薬剤の実際の残数である第2服薬履歴情報を取得する。サーバーの認知機能判断部は、取得した第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報とに基づいて、実施形態と同様にして認知機能の低下に関する判断を行う。
【0114】
[その他の変形例]
患者が薬剤を服用した際に行われる操作入力は、押下操作に限定されることなく、音声入力やジェスチャー入力であってもよい。操作入力が音声入力である場合には操作入力部としてスピーカが考えられ、操作入力がジェスチャー入力である場合には操作入力部としてカメラが考えられる。
【0115】
また、薬剤収納装置が、タッチパネル機能を有するディスプレイを有していてもよい。発光ボタン部に対応するボタンをディスプレイに表示し、当該ボタンに対するタッチ操作が行われるようにしてもよい。また、服用すべき薬剤の個数等の患者の服薬行動を補助するメッセージがディスプレイに表示されてもよい。また、実施形態のように服用タイミングを報知する報知部と操作入力部とが一体であることが患者にとってのわかりやすさの観点から好ましいが、別々であってもよい。
【0116】
実施形態では、第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報をそれぞれ、薬剤の理論上の残数/薬剤の実際の残数として説明したが、残った薬剤の理論上の重量/残った薬剤の実際の重量等であってもよい。但し、計測のし易さや明確さの観点からは、第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報がそれぞれ、薬剤の理論上の残数/薬剤の実際の残数であることが好ましい。また、複数の種類の薬剤が使用される場合は、薬剤毎の第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報に基づいて認知機能の低下に関する判断がなされてもよいし、薬剤毎の第1服薬履歴情報及び第2服薬履歴情報に基づいて認知機能の低下を示す評価値を求め、それらの平均に基づいて認知機能の低下に関する判断がなされてもよい。
【0117】
発光ボタン部に対応するGUIを入力用装置に表示して、入力用装置を操作入力部として使用することも可能である。例えば、薬剤収納装置側の通信部は、薬剤の服用タイミングの報知に対して入力用装置でなされる操作入力の結果を取得する。取得した操作入力結果に応じて薬剤の理論上の残数の計算が薬剤収納装置側の制御部等で行われることにより第1服薬履歴情報が取得される。また、薬剤収納装置側の通信部により、実際の服薬の履歴に基づく第2服薬履歴情報が取得される。薬剤収納装置側の認知機能判断部は、取得された第1服用履歴情報と第2服用履歴情報との差異に基づいて、認知機能の低下に関する判断を行う。なお、薬剤の服用タイミングの報知は、薬剤収納装置側で行われてもよいし、入力用装置側で行われてもよいし、両方で行われてもよい。入力用装置側で服用タイミングの報知が行われる場合、薬剤収納装置側の制御部111から通信部112を通じて、入力用装置へ服用タイミングの報知に必要な処置(信号送信等)を行い、信号を受信した入力用装置が服用タイミングの報知を行う。
【0118】
実施形態で説明したGUIに表示される服薬履歴のうち、患者が自身の服薬履歴をスマートホン等によって確認できるようにしてもよい。これにより、所定の時間帯における薬剤を服用したか否かを患者自身が確認することができる。
【0119】
また、薬剤収納装置に外出ボタンが設けられてもよい。外出ボタンは、患者が外出したときに押下されるボタンである。外出ボタンが押されたときは、例えば、外出ボタンが点灯し薬剤収納装置への操作入力が無効になる。患者が外出から帰宅後に、再度、外出ボタンが押されることで外出ボタンが消灯し、薬剤収納装置への操作入力が有効になる。なお、外出ボタンが点灯しているにも関わらず発光ボタンが押下された場合には、当該操作をログとして記録してもよい。そして、認知機能判断装置が第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異だけでなく、当該ログを参照して認知機能の低下を判断するようにしてもよい。例えば、ログとして記録された回数が多い場合には、認知機能判断部は、患者が帰宅後の外出ボタンの押し忘れる回数が多く認知機能の低下が進んでいると判断する。このように、認知機能判断部は、第1服薬履歴情報と第2服薬履歴情報との差異以外の情報も参照して、認知機能の低下に関する判断を行うようにしてもよい。係る服薬履歴情報以外の情報(例えば、ログとして記録された回数)も、所定の情報に含まれる情報として、通信を介して認知機能判断装置に取得され得る。
【0120】
実施形態又は変形例で説明した処理の流れは、一部の処理の順序が入れ替わってもよいし、複数の処理が並列的に行われてもよい。また、上述した処理をどの装置や機能ブロックに分担させるかについては、適宜、変更可能である。
【0121】
上述した実施形態及び変形例の構成、方法、工程、形状、材料及び数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることや入れ替えることが可能である。また、1つのものを2つ以上に分けることも可能であり、2つ以上のものを1つに纏めることも可能である。さらに、一部を省略することも可能である。
【0122】
また、本発明は、装置、方法、プログラム、システム等、任意の形態により実現することもできる。例えば、上述した実施形態で説明した機能を行うプログラムをダウンロード可能とし、実施形態で説明した機能を有しない装置が当該プログラムをダウンロードしてインストールすることにより、当該装置において実施形態で説明した制御を行うことが可能となる。本発明は、このようなプログラムを配布するサーバーにより実現することも可能である。また、本明細書で例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0123】
11・・・薬剤収納装置
12・・・入力用装置
31・・・認知機能判断装置
51・・・サーバー
101・・・筐体
104・・・薬剤収納部
105・・・発光ボタン部
106・・・装着部
112・・・通信部
111A、311A・・・認知機能判断部
図1
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図5
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