(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015750
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】カーテンウォールユニット
(51)【国際特許分類】
E04B 2/96 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119706
(22)【出願日】2021-07-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示日 令和3年6月1日 展示場所 YKK60ビル 東京都墨田区亀沢3-22-1 YKK60ビル 1階
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
(72)【発明者】
【氏名】三宅 玲子
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB01
2E002NB02
2E002NC01
2E002NC04
2E002PA01
2E002QA08
2E002QB01
2E002SA01
2E002XA06
2E002XA09
(57)【要約】
【課題】カーテンウォールの取付作業を煩雑化することなく縦枠が互いに開くように変形する事態を防止する。
【解決手段】左右に並設されたカーテンウォールCの互いに隣接した2つの縦枠11の相互間に開き止め部品40が設けられたカーテンウォールユニットCUであって、開き止め部品40は、互いに別体となる室外側部材41A及び室内側部材41Bを有し、室外側部材41Aは、縦枠11に対して見込み方向に移動することにより第1位置及び第2位置に変位可能、かつ少なくとも第1位置に配置された場合に隣接する2つの縦枠11に係合することによりこれら2つの縦枠11が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止するものであり、室内側部材41Bは、第1位置に配置された室外側部材41Aと縦枠11とに係合することにより室外側部材41Aの第2位置への移動を阻止する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に並設されたカーテンウォールの互いに隣接した2つの縦枠の相互間に開き止め部品が設けられたカーテンウォールユニットであって、
前記開き止め部品は、互いに別体となる第1部材及び第2部材を有し、
前記第1部材は、前記縦枠に対して見込み方向に移動することにより第1位置及び第2位置に変位可能、かつ少なくとも前記第1位置に配置された場合に前記隣接する2つの縦枠に係合することによりこれら2つの縦枠が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止するものであり、
前記第2部材は、前記第1位置に配置された第1部材と前記縦枠とに係合することにより前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止することを特徴とするカーテンウォールユニット。
【請求項2】
前記第1部材及び前記第2部材は、前記第1部材が前記第1位置に配置された状態で互いに見込み方向に並設された場合に、それぞれが前記縦枠の互いに対向する見付け面に当接することによって前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォールユニット。
【請求項3】
前記第2部材は、前記第1部材に対して見込み方向に並設された場合に前記隣接する2つの縦枠に係合することにより、これら2つの縦枠が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止することを特徴とする請求項2に記載のカーテンウォールユニット。
【請求項4】
少なくとも前記縦枠の一方には、前記第1位置に配置された第1部材に当接することにより前記縦枠に対して長手に沿った相対移動を制限する一方、前記第1部材が前記第2位置に配置された場合に前記縦枠に対する前記第1部材の長手に沿った相対移動を許容する位置決め部材が互いに間隔をもった複数の位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォールユニット。
【請求項5】
前記隣接する2つの縦枠の互いに対向する部分には、見付け方向に沿って上下に延在する当接リブ部と、前記当接リブ部の先端縁部から互いに対向する状態で見込み方向に沿って上下に延在する係合リブ部とが設けられ、
前記第1部材は、基部と、前記基部の両側縁部に互いに同一方向に向けて延在する2つの係合板部とを有し、前記第1位置に配置された場合に前記係合板部がそれぞれ前記当接リブ部に当接し、かつ前記係合板部の互いに対向する内表面がそれぞれ前記係合リブ部に当接することによって前記縦枠の互いに離隔する方向への移動を阻止することを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォールユニット。
【請求項6】
前記隣接する2つの縦枠の互いに対向する部分には、見付け方向に沿って上下に延在するとともに前記当接リブ部に対向する第2当接リブ部と、前記第2当接リブ部の先端縁部から互いに対向する状態で見込み方向に沿って上下に延在する第2係合リブ部とが設けられ、
前記第2部材は、第2基部と、前記第2基部の両側縁部に互いに同一方向に向けて延在する2つの第2係合板部とを有し、前記第1位置に配置された第1部材の基部に対して前記第2基部が当接した場合に前記第2係合板部がそれぞれ前記第2当接リブ部に当接することによって前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止し、かつ前記第2係合板部の互いに対向する内表面がそれぞれ前記第2係合リブ部に当接することによって前記縦枠の互いに離隔する方向への移動を阻止することを特徴とする請求項5に記載のカーテンウォールユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建築物の外壁を構成するカーテンウォールユニットは、カーテンウォールを構成する縦枠の互いに対向する部分にウインドバリア等の気密材が装着されており、これらの気密材を相互に圧接させた状態で設置されている。こうしたカーテンウォールユニットでは、相互間の気密性を確保することができるものの、気密材の反発力によって縦枠が互いに開くように変形する懸念がある。このため従来では、隣接する縦枠の内面リブにそれぞれ見込み方向に沿って係合片を設けるとともに、これらの係合片にわたって開き止め部品を装着するようにしている。開き止め部品は、例えば平板状を成す基板部と、基板部の両側縁部にそれぞれ互いに同一方向に向けて延在した係合板部とを有したもので、係合板部の互いに対向する内表面にそれぞれの係合片が当接する状態で縦枠の間に装着されている。開き止め部品を装着したカーテンウォールユニットでは、係合片が係合板部に当接することにより、縦枠の互いに離隔する方向の移動が阻止され、上述した変形を来すおそれがなくなる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-211309号公報(
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、係合片の先端部が互いに離反する方向に屈曲され、開き止め部品に設けた係合板部の先端部が互いに近接する方向に屈曲されており、縦枠の内面リブ、係合板部の屈曲した部分、係合片の屈曲した部分及び基板部が互いに層状に配置され、相互間が隙間なく接した状態となっている。このため、縦枠の相互間に開き止め部品を装着する際には、縦枠の内面リブと係合板部の屈曲した部分との間、係合板部の屈曲した部分と係合片の屈曲した部分との間、係合片の屈曲した部分と基板部との間が、それぞれ接触した状態で開き止め部品を縦枠の長手に沿って移動させなければならず、作業性を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。もちろん、互いの間に隙間を確保するように係合片及び開き止め部品を構成すれば、上述の問題を解決することは可能となるが、縦枠に装着した後の開き止め部品がガタ付く等の新たな問題を招来する懸念がある。また、縦枠の複数の位置に開き止め部品を装着する場合には、開き止め部品の装着に先立って位置決めネジ等の位置決め部材を予め複数の位置に設けておくことが困難であり、カーテンウォールを設置する際の作業が一層煩雑化するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、カーテンウォールの取付作業を煩雑化することなく縦枠が互いに開くように変形する事態を防止することのできるカーテンウォールユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るカーテンウォールユニットは、左右に並設されたカーテンウォールの互いに隣接した2つの縦枠の相互間に開き止め部品が設けられたカーテンウォールユニットであって、前記開き止め部品は、互いに別体となる第1部材及び第2部材を有し、前記第1部材は、前記縦枠に対して見込み方向に移動することにより第1位置及び第2位置に変位可能、かつ少なくとも前記第1位置に配置された場合に前記隣接する2つの縦枠に係合することによりこれら2つの縦枠が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止するものであり、前記第2部材は、前記第1位置に配置された第1部材と前記縦枠とに係合することにより前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開き止め部品が第1部材と第2部材とによって構成され、かつ第1部材を第1位置に配置して縦枠の互いに離隔する方向の移動を阻止した後に第2部材を第1部材及び縦枠に係合させることによって第1部材を第1位置に保持することができる。従って、縦枠との間に適宜隙間を確保した状態で第1部材及び第2部材を所望の位置まで移動させることが可能であり、第1部材及び第2部材を取り付ける際の作業性を向上させることができる。しかも、第2部材が第1部材及び縦枠に係合するように配置されるため、取り付けた後において第1部材及び第2部材がガタ付くような事態を招来する懸念がない。さらに、第2位置に配置された状態で第1部材を所望の位置に配置し、その後に第1部材を第1位置に配置した際に縦枠との位置決めを行えば良いため、予め工場等の設備が整った場所で縦枠に位置決め部材を配置しておくことが可能であり、カーテンウォールを設置する現場での作業を容易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態であるカーテンウォールユニットを構成するカーテンウォールが上下左右に並設された状態を室外側から見た図である。
【
図2】
図1に示したカーテンウォールユニットの要部縦断面図である。
【
図3】
図1に示したカーテンウォールユニットの要部横断面図である。
【
図4】
図1に示したカーテンウォールユニットを構成するカーテンウォールが左右に並設された状態を室内空間側から見た図である。
【
図5】
図1に示したカーテンウォールの縦枠を示す拡大横断面図である。
【
図6】
図1に示したカーテンウォールユニットで適用する開き止め部品の分解斜視図である。
【
図7】
図1に示したカーテンウォールユニットにおいて隣接するカーテンウォールの縦枠の間に開き止め部品を装着する手順を示したもので、(a)は第1部材を第2位置に配置した状態の要部横断面図、(b)は第1部材を第1位置に配置した状態の要部横断面図、(c)は第1部材に対して第2部材を見込み方向に並設させた状態の要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るカーテンウォールユニットの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、カーテンウォールユニットの奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、上枠や下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1~
図4は、本発明の実施の形態であるカーテンウォールユニットを適用した建築物を示したものである。ここで例示する建築物は、上層の床スラブS1と下層の床スラブS2との間に天井板材Pを設けることにより、天井板材Pよりも下方に室内空間を構成するとともに、天井板材Pよりも上方に天井裏空間を構成したものである。上下の床スラブS1,S2の室外側となる部分には、複数のカーテンウォールCを上下左右に並設することによってカーテンウォールユニットCUが構成してある。カーテンウォールCは、設備が整った製造工場で予め構成したもので、互いに同一の構成を有している。本実施の形態では、枠体10の内部に面材20を配設することよってそれぞれのカーテンウォールCが構成してある。
【0011】
枠体10は、左右の縦枠11の間に上枠12及び下枠13を設けることによって縦長の長方形状を成し、さらに左右の縦枠11の中間部間において天井板材Pに対応する部分に上枠12及び下枠13に対して平行となるように無目14を設けたものである。これら縦枠11、上枠12、下枠13、無目14は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。面材20は、無目14を境に上下個別に構成してある。図示の例では、左右の縦枠11、上枠12及び無目14によって囲まれる部分にそれぞれ押縁15を介して単層ガラス板が上方の面材20として配設してあり、左右の縦枠11、下枠13及び無目14によって囲まれる部分にそれぞれ押縁15を介して複層ガラスが下方の面材20として配設してある。
【0012】
図からも明らかなように、カーテンウォールCの外郭を構成する左右の縦枠11、上枠12及び下枠13には、それぞれの外周において見込み方向の位置が互いに同一となる部分に1次シール材31及び2次シール材32が装着してある。これらのシール材31,32は、カーテンウォールCの外周においてそれぞれが一連となるように設けたもので、建築現場においてカーテンウォールCを上下左右に並設する際にそれぞれが互いに接触し、室内外の気密性及び水密性を確保するように機能する。特に2次シール材32については、いわゆるウインドバリアと称されるもので、カーテンウォールCを並設した際に互いに圧接することにより、弾性変形した状態となるように設けてある。
【0013】
ここで、上述のカーテンウォールCには、上下左右に並設した場合に縦枠11、上枠12、下枠13に対してそれぞれ2次シール材32の反発力が作用することになる。上枠12及び下枠13については、2次シール材32が設けられる部分の内周側に中空部を構成することが可能であり、2次シール材32の反発力によって変形を来すおそれはない。これに対して左右の縦枠11については、室内空間のガラスエリアを大きく確保する要望があり、見付け方向の寸法を大きく設定することができない場合が多い。このため、縦枠11については、2次シール材32の反発力によって変形を来す懸念がある。そこで本実施の形態のカーテンウォールユニットCUでは、左右に隣接するカーテンウォールCの縦枠11に開き止め部品40を装着し、上述の問題を未然に防止するようにしている。以下、縦枠11及び開き止め部品40の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。
【0014】
カーテンウォールCの縦枠11は、左右で互いに同一の断面形状を有するように構成したものである。本実施の形態では、
図5に示すように、見込み方向に沿って延在する平板状の縦枠本体部11aに、室外側から順次押縁装着部11b、1次シール受け部11c、2次シール受け部11d、内方見付け板部11eを設けることによって縦枠11が構成してある。これら押縁装着部11b、1次シール受け部11c、2次シール受け部11d、内方見付け板部11eは、カーテンウォールCを左右に並設させた場合にも相互間に隙間ができるように構成してある。
【0015】
押縁装着部11bは、縦枠本体部11aの室外側に位置する縁部から外周側に向けてほぼ直角に屈曲したものである。押縁装着部11bの延在縁部には、押縁15が装着してある。1次シール受け部11cは、縦枠本体部11aの外周側となる見込み面11a1において押縁装着部11bよりも室内側となる部分から外周に向けて互いにほぼ平行となるように延在した2つの板状を成すものである。1次シール受け部11cには、外周側に突出するように1次シール材31が装着してある。1次シール材31は、外周に向けて2つの接触片31aが突出したものである。この1次シール材31は、隣接するカーテンウォールCの1次シール材31に対して2つの接触片31aを見込み方向に接触させることにより互いの間に水密性及び気密性を確保するものである。
【0016】
2次シール受け部11dは、縦枠本体部11aの外周側となる見込み面11a1において1次シール受け部11cよりも室内側となる部分から外周に向けて互いにほぼ平行となるように延在した2つの板状を成すものである。2次シール受け部11dには、外周側に突出するように2次シール材32が装着してある。2次シール材32は、外周に向けて中空状を成す接触部32aが突出したものである。この2次シール材32は、隣接するカーテンウォールCの2次シール材32に対して接触部32aを互いに圧接させることにより弾性変形した状態に維持され、互いの間に水密性及び気密性を確保するものである。
【0017】
内方見付け板部11eは、縦枠本体部11aの室内側に位置する縁部から外周側に向けてほぼ直角に屈曲したものである。この内方見付け板部11eの延在縁部と2次シール受け部11dにおいて室内側に位置する部分の延在縁部との間には、見込み板部11fが設けてある。見込み板部11fは、見込み方向に沿って延在するもので、外周側となる見込み面に外方係合片11g及び内方係合片11hを有している。外方係合片11gは、見込み板部11fにおいて室外側となる部分から外周に向けてほぼ直角方向に延在する外方当接リブ部(当接リブ部)11g1と、外方当接リブ部11g1の延在縁部から室内側に向けてほぼ直角に屈曲した外方係合リブ部(係合リブ部)11g2とを有したものである。内方係合片11hは、見込み板部11fにおいて内方見付け板部11eの延長上となる部分から外周に向けてほぼ直角方向に延在する内方当接リブ部(第2当接リブ部)11h1と、内方当接リブ部11h1の延在縁部から室外側に向けてほぼ直角に屈曲した内方係合リブ部(第2係合リブ部)11h2とを有したものである。外方係合片11g及び内方係合片11hは、外方係合リブ部11g2と内方係合リブ部11h2との突出寸法が互いにほぼ同じであり、外方当接リブ部11g1と内方当接リブ部11h1とが互いに対向している。
【0018】
図2、
図4に示すように、内方見付け板部11eには、無目14よりも上方となる位置に、つまり天井板材Pによって覆われることにより室内空間に露出しない位置に、挿入用切欠16が設けてある。挿入用切欠16は、見込み板部11fから外周側に突出する内方係合片11hを切除することによって構成した外周側に開口する切欠であり、後述する開き止め部品40の長手に沿った寸法よりも大きな寸法を有するように構成してある。
【0019】
上述の縦枠11の間に設ける開き止め部品40は、互いに別体となる室外側部材(第1部材)41A及び室内側部材(第2部材)41Bを有して構成してある。室外側部材41A及び室内側部材41Bは、例えばアルミニウム合金との金属によって成形したものである。本実施の形態では、
図6に示すように、長方形状の平板状を成す基板部41aと、基板部41aの両側縁部から互いに同一方向に向けてほぼ直角方向に延在した2つの係合板部41bとを一体に成形した互いに同一形状の室外側部材41A及び室内側部材41Bを適用している。
【0020】
基板部41aの短手に沿った寸法は、カーテンウォールCを左右に並設した場合に縦枠11に設けた見込み板部11fの相互間隔にほぼ一致するように形成してある。基板部41aの長手に沿った寸法は、縦枠11の長手に沿って複数個配置することができるように設定してある。室外側部材41Aの基板部41aには、長手に沿って2つのネジ孔41cが設けてあり、室内側部材41Bの基板部41aには、長手に沿って2つのネジ挿通孔41dが設けてある。これらのネジ孔41c及びネジ挿通孔41dは、室外側部材41Aの基板部41aと、室内側部材41Bの基板部41aとを重ね合わせた場合に、互いに軸心が合致するように形成してある。従って、ネジ挿通孔41dを介してネジ孔41cに連結ネジ42を螺合させることで、互いに基板部41aを当接させた状態で、室外側部材41Aと室内側部材41Bとを連結して一体化させることが可能である。係合板部41bの板厚は、見込み板部11fと外方係合リブ部11g2との間の距離とほぼ等しい寸法に設定してある。基板部41aの表面から係合板部41bの先端面までの距離は、外方当接リブ部11g1と内方当接リブ部11h1との相互間距離の1/2以下となる寸法に設定してある。
【0021】
図7は、隣接するカーテンウォールCの縦枠11の間に開き止め部品40を装着する手順を示したものである。以下、この図を適宜参照しながら、開き止め部品40をカーテンウォールCに装着する手順について説明する。
【0022】
まず、開き止め部品40を装着する場合には、室外側部材41A及び室内側部材41Bを分離した状態で準備する。カーテンウォールCの縦枠11には、少なくとも一方の見込み板部11fに位置決めネジ43を螺合しておく。位置決めネジ43は、基板部41aの下面に当接することにより縦枠11の長手方向において室外側部材41Aの取付位置を規定するものであり、縦枠11に複数の開き止め部品40を装着する場合、開き止め部品40の数だけ螺合しておく(
図2の例では4カ所)。位置決めネジ43を螺合するタイミングは、製造工場においてカーテンウォールCを構成するときで良い。図示の例では、位置決めネジ43の頭部43aが外方当接リブ部11g1と内方当接リブ部11h1との中間位置よりも室外側にのみ配置されるように、見込み板部11fの外周側から複数の位置決めネジ43を螺合するようにしている。このとき、位置決めネジ43の頭部43aと内方係合リブ部11h2との間に、基板部41aの表面から係合板部41bの先端面までの距離以上となる隙間が確保されるように、位置決めネジ43の頭部43aの寸法を予め設定しておくことが好ましい。
【0023】
床スラブS1に対してカーテンウォールCが左右に並設された後においては、まず隣接する縦枠11の相互間に開き止め部品40の室外側部材41Aを配置する。ここで、隣接する縦枠11の相互間には、室外側部材41A及び室内側部材41Bの幅よりも小さい寸法の隙間が確保された状態となっている。しかしながら、上述したように、縦枠11において無目14よりも上方となる部分には、挿入用切欠16が設けてある。従って、
図7(a)に示すように、隣接する縦枠11の間には、2つの挿入用切欠16が互いに対向して配置されることになり、天井板材Pを取り付ける以前においては、これら挿入用切欠16の間を通じて縦枠11の相互間に室外側部材41A及び室内側部材41Bを挿入することが可能となる。しかも、位置決めネジ43の頭部43aと内方係合リブ部11h2との間には、基板部41aの表面から係合板部41bの先端面までの距離以上となる隙間が確保してある。このため、基板部41aが内方係合リブ部11h2に当接するように室外側部材41Aを室内側に片寄った位置(第2位置)に配置すれば、予め螺合した位置決めネジ43の頭部43aに干渉することなく室外側部材41Aを縦枠11の長手に沿って任意の位置まで移動させることが可能となる。しかも、室外側部材41Aの移動に際しては、外方係合リブ部11g2と見込み板部11fとの間に係合板部41bが挿入されないため、移動する際に縦枠11と室外側部材41Aとが擦れ合って抵抗となるおそれもなく、作業性の点で有利となる。
【0024】
室外側部材41Aが所望の位置まで移動した後には、
図7(b)に示すように、縦枠11に対して室外側部材41Aを室外側に移動させ、係合板部41bの下端を位置決めネジ43の頭部43aに当接させれば、縦枠11の長手方向に対する室外側部材41Aの位置決めを行うことができる。このとき、室外側部材41Aの係合板部41bが見込み板部11fと外方係合リブ部11g2との間に挿入され、係合板部41bの互いに対向する内表面がそれぞれ外方係合リブ部11g2に当接、もしくは近接して対向することになる(第1位置)。
【0025】
次いで、この状態から挿入用切欠16の間を通じて室内側部材41Bを縦枠11の相互間に挿入し、基板部41aが互いに対向する位置まで縦枠11の長手に沿って移動させる。このとき、室内側部材41Bの係合板部(第2係合板部)41bは、必ずしも内方係合リブ部11h2と見込み板部11fの間に挿入された状態で移動させる必要はない。
図7(c)に示すように、室外側部材41Aの基板部41aと室内側部材41Bの基板部41aとが互いに対向して当接した状態においては、室内側部材41Bの係合板部41bが内方係合リブ部11h2と見込み板部11fとの間に挿入され、さらに室外側部材41Aの係合板部41bが外方当接リブ部11g1に当接するとともに、室内側部材41Bの係合板部41bが内方当接リブ部11h1に当接することになる。従って、この状態からネジ挿通孔41dを介してネジ孔41cに連結ネジ42を螺合すれば、上述の状態が維持される。すなわち、開き止め部品40の室外側部材41A及び室内側部材41Bは、縦枠11に対して見込み方向の移動が阻止された状態となり、かつそれぞれの係合板部41bの内表面が外方係合リブ部11g2及び内方係合リブ部11h2に当接することになる。
【0026】
以降、上述の作業を繰り返し実施すれば、隣接する縦枠11の相互間の複数箇所に開き止め部品40を装着することができるようになる。上記のようにして、隣接する縦枠11の相互間に開き止め部品40を装着したカーテンウォールユニットCUによれば、2次シール材32の反発力が縦枠11に作用したとしても、開き止め部品40によって縦枠11の互いに離隔する方向への移動が阻止されることになり、縦枠11に変形を来す事態を招来するおそれがなくなる。
【0027】
なお、上述した実施の形態では、隣接するカーテンウォールの間に1次シール材31及び2次シール材32を設けたものを例示しているが、シール材の数や種類は実施例のものに限定されない。
【0028】
また、上述した実施の形態では、第1部材である室外側部材41Aと、第2部材である室内側部材41Bとが互いに対向する見付け面(外方当接リブ部11g1、内方当接リブ部11h1)に当接された場合に室内側部材41Bが室外側部材41Aの見込み方向の異動を阻止する開き止め部品40を例示しているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、縦枠11の外方係合片11gとの間に室外側部材41Aを挟持するように室内側部材41Bを構成することも可能である。なお、互いに対向する見付け面に第1部材及び第2部材を当接させることで第2部材が第1部材の見込み方向に沿った異動を阻止する場合に上述した実施の形態では室外側部材41Aと室内側部材41Bとが同一の形状を有するように構成してあるが、必ずしも同一の形状である必要はない。また、縦枠11に対して室内側部材41Bが見込み方向に移動可能となるように設けてあるが、室内側部材41Bは縦枠11に対して長手に沿って移動可能であれば、見込み方向の移動が制限されていても構わない。さらに、室外側部材41Aとしては、第2位置に配置されている場合にも隣接する2つの縦枠11の互いに離隔する方向への移動を制限できるように構成しても良い。
【0029】
以上のように、本発明に係るカーテンウォールユニットは、左右に並設されたカーテンウォールの互いに隣接した2つの縦枠の相互間に開き止め部品が設けられたカーテンウォールユニットであって、前記開き止め部品は、互いに別体となる第1部材及び第2部材を有し、前記第1部材は、前記縦枠に対して見込み方向に移動することにより第1位置及び第2位置に変位可能、かつ少なくとも前記第1位置に配置された場合に前記隣接する2つの縦枠に係合することによりこれら2つの縦枠が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止するものであり、前記第2部材は、前記第1位置に配置された第1部材と前記縦枠とに係合することにより前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止することを特徴としている。
この発明によれば、開き止め部品が第1部材と第2部材とによって構成され、かつ第1部材を第1位置に配置して縦枠の互いに離隔する方向の移動を阻止した後に第2部材を第1部材及び縦枠に係合させることによって第1部材を第1位置に保持することができる。従って、縦枠との間に適宜隙間を確保した状態で第1部材及び第2部材を所望の位置まで移動させることが可能であり、第1部材及び第2部材を取り付ける際の作業性を向上させることができる。しかも、第2部材が第1部材及び縦枠に係合するように配置されるため、取り付けた後において第1部材及び第2部材がガタ付くような事態を招来する懸念がない。さらに、第2位置に配置された状態で第1部材を所望の位置に配置し、その後に第1部材を第1位置に配置した際に縦枠との位置決めを行えば良いため、予め工場等の設備が整った場所で縦枠に位置決め部材を配置しておくことが可能であり、カーテンウォールを設置する現場での作業を容易化することが可能となる。なお、第1部材は、第1位置においても縦枠の互いに離隔する方向の移動を阻止することができるように構成されていても良い。また、第2部材は、縦枠に対して見込み方向に移動可能であっても良いし、移動が制限された状態であっても構わない。
【0030】
また本発明は、上述したカーテンウォールユニットにおいて、前記第1部材及び前記第2部材は、前記第1部材が前記第1位置に配置された状態で互いに見込み方向に並設された場合に、それぞれが前記縦枠の互いに対向する見付け面に当接することによって前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止することを特徴としている。
この発明によれば、縦枠の互いに対向する見付け面の間に第1部材及び第2部材を配置すれば、それぞれの見込み方向に沿った移動を阻止することができるため、第1部材及び第2部材を取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0031】
また本発明は、上述したカーテンウォールユニットにおいて、前記第2部材は、前記第1部材に対して見込み方向に並設された場合に前記隣接する2つの縦枠に係合することにより、これら2つの縦枠が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止することを特徴としている。
この発明によれば、第1部材及び第2部材の双方によって縦枠が相互に離隔する方向へ移動するのを阻止することができるため、縦枠に変形を来す事態をより確実に防止することが可能となる。
【0032】
また本発明は、上述したカーテンウォールユニットにおいて、少なくとも前記縦枠の一方には、前記第1位置に配置された第1部材に当接することにより前記縦枠に対して長手に沿った相対移動を制限する一方、前記第1部材が前記第2位置に配置された場合に前記縦枠に対する前記第1部材の長手に沿った相対移動を許容する位置決め部材が互いに間隔をもった複数の位置に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、縦枠の複数の位置に第1部材を設けることができ、縦枠に変形を来す事態をより確実に防止することが可能となる。しかも、予め縦枠に位置決め部材が設けられている状況であっても第2位置に配置させることで第1部材を任意の位置に配置することができる。これにより、工場等の設備が整った場所で縦枠の複数箇所に予め位置決め部材を配置しておくことが可能となり、カーテンウォールを設置する現場での作業を容易化することが可能となる。第1部材を複数箇所に設ける場合、第2部材は複数の第1部材で共用することも可能である。
【0033】
また本発明は、上述したカーテンウォールユニットにおいて、前記隣接する2つの縦枠の互いに対向する部分には、見付け方向に沿って上下に延在する当接リブ部と、前記当接リブ部の先端縁部から互いに対向する状態で見込み方向に沿って上下に延在する係合リブ部とが設けられ、前記第1部材は、基部と、前記基部の両側縁部に互いに同一方向に向けて延在する2つの係合板部とを有し、前記第1位置に配置された場合に前記係合板部がそれぞれ前記当接リブ部に当接し、かつ前記係合板部の互いに対向する内表面がそれぞれ前記係合リブ部に当接することによって前記縦枠の互いに離隔する方向への移動を阻止することを特徴としている。
この発明によれば、第1部材が単純化された形状であるため、縦枠の間に取り付ける際の作業を容易化することができる。
【0034】
また本発明は、上述したカーテンウォールユニットにおいて、前記隣接する2つの縦枠の互いに対向する部分には、見付け方向に沿って上下に延在するとともに前記当接リブ部に対向する第2当接リブ部と、前記第2当接リブ部の先端縁部から互いに対向する状態で見込み方向に沿って上下に延在する第2係合リブ部とが設けられ、前記第2部材は、第2基部と、前記第2基部の両側縁部に互いに同一方向に向けて延在する2つの第2係合板部とを有し、前記第1位置に配置された第1部材の基部に対して前記第2基部が当接した場合に前記第2係合板部がそれぞれ前記第2当接リブ部に当接することによって前記第1部材の前記第2位置への移動を阻止し、かつ前記第2係合板部の互いに対向する内表面がそれぞれ前記第2係合リブ部に当接することによって前記縦枠の互いに離隔する方向への移動を阻止することを特徴としている。
この発明によれば、第1部材及び第2部材が当接リブ部及び第2当接リブ部の間に配置されるため、外部から視認することが困難となり、外観品質の点で有利となる。
【符号の説明】
【0035】
11 縦枠、11g 外方係合片、11g1 外方当接リブ部、11g2 外方係合リブ部、11h 内方係合片、11h1 内方当接リブ部、11h2 内方係合リブ部、16 挿入用切欠、40 開き止め部品、41A 室外側部材、41B 室内側部材、41a 基板部、41b 係合板部、42 連結ネジ、43 位置決めネジ、43a 頭部、C カーテンウォール、CU カーテンウォールユニット