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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157506
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04858 20160101AFI20231019BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20231019BHJP
   H01M 8/1009 20160101ALI20231019BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20231019BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20231019BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20231019BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/04701
H01M8/1009
H01M8/00 A
H01M8/04746
H01M8/0432
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067452
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】武田 恭英
(72)【発明者】
【氏名】武井 智行
(72)【発明者】
【氏名】仲曽根 歩
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB08
5H127AC05
5H127BA03
5H127BA48
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB37
5H127DA20
5H127DB47
5H127DC06
5H127DC09
5H127DC26
5H127DC74
5H127DC85
5H127DC90
5H127DC96
(57)【要約】
【課題】リフレッシュ制御が終了した後の燃料電池の出力を速やかに高めることができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム1は、液体燃料と酸化剤とを反応させることによって発電可能に構成された燃料電池2を有している。また、燃料電池システム1は、燃料電池2への液体燃料の供給と供給停止とを切り替え可能に構成された制御装置3と、燃料電池2、燃料電池2への液体燃料の供給経路及び燃料電池2への酸化剤の供給経路のうち少なくとも一部を加熱することができる位置に配置された発熱体4と、を有している。制御装置3は、燃料電池2への液体燃料の供給を停止している間、燃料電池2と発熱体4とを電気的に接続するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料と酸化剤とを反応させることによって発電可能に構成された燃料電池を有する燃料電池システムであって、
前記燃料電池への前記液体燃料の供給と供給停止とを切り替え可能に構成された制御装置と、
前記燃料電池、前記燃料電池への前記液体燃料の供給経路及び前記燃料電池への前記酸化剤の供給経路のうち少なくとも一部を加熱することができる位置に配置された発熱体と、を有し、
前記制御装置は、前記燃料電池への前記液体燃料の供給を停止している間、前記燃料電池と前記発熱体とを接続するように構成されている、燃料電池システム。
【請求項2】
前記発熱体は、前記液体燃料及び前記酸化剤のうち少なくとも一方を加熱することができる位置に設けられている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池システムは、前記燃料電池に前記液体燃料を供給する燃料供給配管及び前記燃料電池に前記酸化剤を供給する酸化剤供給配管を有しており、前記発熱体は、前記燃料供給配管及び前記酸化剤供給配管のうち少なくとも一方に取り付けられている、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記発熱体は前記燃料供給配管及び前記酸化剤供給配管のうち少なくとも一方に巻き付けられている、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池システムは、前記燃料電池に供給される前記液体燃料を保持する燃料タンクを有しており、前記発熱体は前記燃料タンクに取り付けられている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記発熱体は、前記燃料電池に取り付けられている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池は、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に介在するセパレータとを備えた単セルと、前記単セルを保持するホルダとを有しており、前記ホルダは前記発熱体から構成されている、請求項6に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池システムは、前記制御装置に接続され、前記燃料電池の温度を取得可能に構成された温度センサと、前記燃料電池から出力される電力の少なくとも一部を充電可能に構成された蓄電装置と、を有し、前記制御装置は、前記温度センサにより取得された前記燃料電池の温度が予め設定された温度目標値を超え、かつ、前記燃料電池への前記液体燃料の供給が停止されている間、前記燃料電池から出力される電力を前記蓄電装置に充電させるように構成されている、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記発熱体は、当該発熱体が取り付けられた部分を40℃以上70℃以下の温度に加熱することができるように構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池等の燃料電池は、電解質膜と、電解質膜の一方の面上に設けられたアノードと、電解質膜の他方の面上に設けられたカソードと、を含む膜電極接合体(いわゆるMEA)を有している。燃料電池は、MEAのアノードに燃料を供給するとともに、カソードに酸化剤を供給することにより、各電極において電極反応を生じさせることができる。そして、これらの電極反応の結果、アノードとカソードとの間に起電力を生じさせ、発電を行うことができる。
【0003】
近年、アノードに供給される燃料として、メタノールやギ酸等の液体燃料を直接用いる燃料電池が開発されている。液体燃料は水素ガス等の気体に比べて、取り扱いが容易であり、単位体積当たりエネルギー密度を高くすることができるため、極めて有用である。
【0004】
燃料電池の出力を高めるためには、アノード及びカソードの温度を電極反応が効率よく起こる範囲に保つことが望ましい。例えば、特許文献1には、タンクから供給される液体燃料を加熱する昇温部と、前記昇温部で加熱された前記液体燃料が供給される燃料極電極、空気が供給される空気極電極、並びに、前記燃料極電極及び前記空気極電極に狭持される電解質膜を有するセル部と、を備え、前記昇温部は、前記セル部の前記燃料極電極側に設置され且つ前記セル部からの排熱により前記液体燃料を加熱するようにした燃料電池が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-63845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液体燃料が用いられる燃料電池においては、発電を継続して行うと、徐々に燃料電池の出力が低下する現象が生じる場合がある。このような出力の低下を回復させるため、液体燃料が用いられる燃料電池では、発電を所定の時間継続して行った後にリフレッシュ制御と呼ばれる動作が行われる。リフレッシュ制御では、燃料電池の正極と負極とを短絡させて燃料電池を放電させるとともに、MEAへの液体燃料の供給が一時的に停止される。
【0007】
しかし、リフレッシュ制御によりMEAへの液体燃料の供給が停止された場合であっても、燃料電池内には未反応の液体燃料が残存している。従って、リフレッシュ制御が開始された後、燃料電池内に残存した液体燃料が供給され続ける酸化剤と反応して消費されるまでの間は電極反応が継続する。ここで、液体燃料が用いられる燃料電池においては、アノードにおける電極反応は吸熱反応となり、カソードにおける電極反応は発熱反応となる。そして、これらの反応熱を合計すると、全体としてわずかに吸熱反応となる。それ故、リフレッシュ制御を行うと、燃料電池内に残存した液体燃料と、燃料電池に供給され続ける酸化剤との電極反応によってMEAの温度が低下し、リフレッシュ制御が終了した後、再度発電を開始する際に電極反応の反応効率が低下するおそれがある。その結果、リフレッシュ制御後の燃料電池の出力の低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、リフレッシュ制御が終了した後の燃料電池の出力を速やかに高めることができる燃料電池システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、液体燃料と酸化剤とを反応させることによって発電可能に構成された燃料電池を有する燃料電池システムであって、
前記燃料電池への前記液体燃料の供給と供給停止とを切り替え可能に構成された制御装置と、
前記燃料電池、前記燃料電池への前記液体燃料の供給経路及び前記燃料電池への前記酸化剤の供給経路のうち少なくとも一部を加熱することができる位置に配置された発熱体と、を有し、
前記制御装置は、前記燃料電池への前記液体燃料の供給を停止している間、前記燃料電池と前記発熱体とを電気的に接続するように構成されている、燃料電池システムにある。
【発明の効果】
【0010】
前記燃料電池システムは、リフレッシュ制御が行われ、燃料電池への前記液体燃料の供給が一時的に停止されている間、前記制御装置によって前記燃料電池が前記発熱体と電気的に接続されるように構成されている。前述したように、リフレッシュ制御により燃料電池への前記液体燃料の供給が停止された場合であっても、燃料電池内に残存する液体燃料及び酸化剤により、ある程度の時間は電極反応が継続する。
【0011】
前記燃料電池システムは、このリフレッシュ制御中に生じる電力を発熱体に供給して熱を発生させることができる。そして、発熱体によって燃料電池システムにおける前述した部分の少なくとも一部を加熱することにより、リフレッシュ制御中の燃料電池の温度の低下を抑制し、または発電を再開した際に速やかに燃料電池の温度を上昇させることができる。その結果、リフレッシュ制御が終了し、燃料電池に再び液体燃料及び酸化剤を供給した際に、電極反応の反応効率を速やかに向上させることができる。
【0012】
以上のごとく、上記態様によれば、リフレッシュ制御が終了した後の燃料電池の出力を速やかに高めることができる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態1における燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
図2図2は、実施形態1における燃料電池システムのブロック図である。
図3図3は、実施形態1における燃料電池システムのタイムチャートを示す説明図である。
図4図4は、実施形態2における燃料電池システムのブロック図である。
図5図5は、実施形態2における燃料電池システムの動作のフローチャートを示す説明図である。
図6図6は、実施形態3における燃料電池システムのブロック図である。
図7図7は、実施形態3における燃料電池システムの動作のフローチャートを示す説明図である。
図8図8は、実施形態4における燃料電池システムの動作のフローチャートを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
前記燃料電池システムに係る実施形態について、図1図3を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の燃料電池システム1は、液体燃料と酸化剤とを反応させることによって発電可能に構成された燃料電池2を有している。また、燃料電池システム1は、燃料電池2への液体燃料の供給と供給停止とを切り替え可能に構成された制御装置3と、燃料電池2、燃料電池2への液体燃料の供給経路及び燃料電池2への酸化剤の供給経路のうち少なくとも一部を加熱することができる位置に配置された発熱体4と、を有している。制御装置3は、燃料電池2への液体燃料の供給を停止している間、燃料電池2と発熱体4とを電気的に接続するように構成されている。以下、燃料電池システム1の具体的な構成の例を説明する。
【0015】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池2と、燃料電池2に供給される液体燃料を保持する燃料タンク5と、燃料タンク5から燃料電池2に液体燃料を送出する燃料ポンプ52と、燃料電池2に酸化剤を供給するブロア6と、を有している。燃料タンク5と燃料ポンプ52との間及び燃料ポンプ52と燃料電池2との間は燃料供給配管51、53により接続されている。ブロア6と燃料電池2との間は酸化剤供給配管61により接続されている。
【0016】
燃料電池システム1は、燃料電池2のアノードにおいて電極反応に用いられた液体燃料を回収する燃料回収タンク55を有していてもよい。本形態の燃料電池システム1において、燃料電池2と燃料回収タンク55との間は、燃料回収配管54により接続されている。
【0017】
また、燃料電池システム1は、燃料電池2のカソードにおいて電極反応により生じた生成水を回収するドレインタンク63を有していてもよい。本形態の燃料電池システム1において、燃料電池2とドレインタンク63との間は、水回収配管62により接続されている。
【0018】
燃料電池2は、電解質膜と、電解質膜の一方の面上に設けられたアノードと、電解質膜の他方の面上に設けられたカソードと、を備えたMEA21を有している。燃料電池2は、MEA21のアノードに液体燃料を供給するとともに、カソードに酸化剤を供給することにより発電することができるように構成されている。燃料電池2に供給される燃料としては、例えば、ギ酸やメタノールなどの液体燃料を使用することができる。また、酸化剤としては、例えば、大気や酸素ガス等の酸化性ガスを使用することができる。
【0019】
燃料電池2に供給される液体燃料は、ギ酸であることが好ましい。すなわち、燃料電池2は直接ギ酸形燃料電池であることが好ましい。ギ酸を液体燃料として用いる場合には、電極反応全体として失われる熱量が大きくなり、リフレッシュ制御中にMEA21の温度がより低下しやすい。このような状況においても、前述したように、リフレッシュ制御中に生じる電力によって燃料電池システム1の一部を加熱することにより、リフレッシュ制御が終了した後に、より確実に燃料電池2の出力を向上させることができる。
【0020】
本形態の燃料電池2は、図1に示すように、MEA21と、MEA21におけるアノード上に設けられたアノード側セパレータ22と、MEA21におけるカソード上に設けられたカソード側セパレータ23とを含む複数の単セル24を有している。単セル24におけるMEA21とアノード側セパレータ22との間には、図には示さない燃料流路が設けられている。燃料流路は、燃料タンク5から供給された液体燃料をアノードに接触させることができるように構成されている。また、単セル24におけるMEA21とカソード側セパレータ23との間には、図には示さない酸化剤流路が設けられている。酸化剤流路は、ブロア6から供給された酸化剤をカソードに接触させることができるように構成されている。
【0021】
燃料電池2が複数の単セル24を有する場合、これらの単セル24は、互いに積層されることによりセルスタック25を構成していてもよい。本形態の燃料電池システム1において、セルスタック25を構成する単セル24は、各単セル24のアノード側セパレータ22と、当該単セル24に隣接する単セル24のカソード側セパレータ23とが互いに当接するように配置されている。これにより、複数の単セル24がアノード側セパレータ22及びカソード側セパレータ23を介して電気的に直列に接続されている。
【0022】
セルスタック25における積層方向の両端には、単セル24を保持するための一対のホルダ251(251p、251n)が配置されていてもよい。本形態の燃料電池2においては、一対のホルダ251のうちカソード側セパレータ23と当接しているホルダ251pに締結部材252が挿入されている。締結部材252はセルスタック25を単セル24の積層方向に貫通しており、カソード側セパレータ23に当接しているホルダ251pと、アノード側セパレータ22に当接しているホルダ251nとが締結部材252によって締結されている。これにより、セルスタック25を構成する単セル24が一対のホルダ251の間に保持されている。
【0023】
また、一対のホルダ251のうちアノード側セパレータ22と接触しているホルダ251nには負極端子253nが設けられており、カソード側セパレータ23と接触しているホルダ251pには正極端子253pが設けられている。正極端子253p及び負極端子253nは、燃料電池2において生じた電力を外部負荷7(図2参照)や発熱体4に供給するために用いられる。
【0024】
図1及び図2に示すように、燃料電池システム1の燃料ポンプ52及びブロア6は、制御装置3に電気的に接続されている。制御装置3は、燃料ポンプ52及びブロア6の動作を制御することにより、燃料電池2への液体燃料及び酸化剤の供給と供給停止とを切り替えることができるように構成されている。
【0025】
燃料電池システム1における発熱体4は、燃料電池2、燃料電池2への液体燃料の供給経路及び燃料電池2への酸化剤の供給経路のうち少なくとも一部を加熱することができる位置に配置されている。例えば、本形態における発熱体4はコイル状のヒータであり、図1に示すように、燃料電池2への液体燃料の供給経路のうち燃料ポンプ52と燃料電池2との間を接続する燃料供給配管53に巻き付けられている。また、発熱体4は、燃料電池2の正極端子253p及び負極端子253nに電気的に接続されている。発熱体4と正極端子253pとの間には、後述する回路切替器32が設けられている。
【0026】
発熱体4の具体的な態様は本形態の態様に限定されることはなく、配置される位置に応じて種々の態様をとり得る。
【0027】
例えば、発熱体4は、液体燃料及び酸化剤のうち少なくとも一方を加熱することができるように設けられていてもよい。この場合、例えば、発熱体4を、燃料供給配管51、53及び酸化剤供給配管61のうち少なくとも1つの部材に取り付けることができる。燃料供給配管51、53及び酸化剤供給配管61に取り付けられる発熱体4は、例えば、シート状、フィルム状、コイル状等の種々の態様をとり得る。また、これらの配管の一部または全部を発熱体4から構成することもできる。さらに、これらの配管を接続するためのコネクタを発熱体4としてもよい。
【0028】
また、発熱体4を燃料タンク5に取り付けることもできる。この場合、発熱体4は、燃料タンク5の外部に設けられていてもよく、内部に設けられていてもよい。燃料タンク5に取り付けられる発熱体4は、例えば、シート状、フィルム状、コイル状等の種々の態様をとり得る。また、燃料タンク5の一部または全部を発熱体4から構成することもできる。
【0029】
このように、発熱体4を液体燃料及び酸化剤のうち少なくとも一方を加熱できる位置に設けることにより、リフレッシュ制御中に液体燃料や酸化剤の温度を上昇させることができる。そして、リフレッシュ制御が終了した際に、発熱体4によって加熱された液体燃料及び/または酸化剤を燃料電池2に供給することができる。その結果、リフレッシュ制御が終了した後、発電を再開する際にMEA21の温度を速やかに上昇させ、ひいては燃料電池2の出力をより容易に上昇させることができる。
【0030】
液体燃料及び/または酸化剤の温度をより容易に上昇させるとともに、より確実に加温された状態の液体燃料及び/または酸化剤を燃料電池2に供給する観点からは、発熱体4は、燃料供給配管51、53及び酸化剤供給配管61のうち少なくとも一方に取り付けられていることが好ましく、燃料供給配管51、53及び酸化剤供給配管61のうち少なくとも一方に巻き付けられていることがより好ましい。また、燃料電池2の温度をより容易に上昇させる観点からは、発熱体4は、熱容量の大きい液体燃料を加熱できるように設けられていることが好ましく、燃料供給配管51、53または燃料タンク5に取り付けられていることがより好ましい。
【0031】
また、発熱体4は、燃料電池2に取り付けられていてもよい。燃料電池2に取り付けられる発熱体4は、例えば、シート状、フィルム状等の種々の態様をとり得る。また、燃料電池2のホルダ251等の、燃料電池2の構成部品の一部または全部を発熱体4から構成することもできる。
【0032】
このように、発熱体4を燃料電池2に取り付けることにより、リフレッシュ制御中の電極反応による燃料電池2の温度の低下を抑制することができる。その結果、リフレッシュ制御が終了した後、発電を再開する際の燃料電池2の出力の低下をより容易に回避することができる。かかる作用効果をより確実に得る観点からは、燃料電池2のホルダ251が発熱体4から構成されていることが好ましい。
【0033】
発熱体4は、当該発熱体4が取り付けられた部分を40℃以上70℃以下の温度に加熱することができるように構成されていることが好ましい。発熱体4が取り付けられた部分の温度を前記特定の範囲とすることにより、リフレッシュ制御が終了した後、燃料電池2に液体燃料が供給された際にMEA21における電極反応の反応効率を速やかに上昇させることができる。その結果、リフレッシュ制御後の燃料電池2の出力をより迅速に向上させることができる。
【0034】
本形態の燃料電池システム1の動作は、制御装置3によって制御される。図1及び図2に示すように、制御装置3は、燃料ポンプ52及びブロア6に電気的に接続され、これらの動作を制御可能に構成された発電制御部31と、燃料電池2の正極端子253pに電気的に接続された回路切替器32とを有している。発電制御部31は、燃料ポンプ52を動作させ、燃料電池2において液体燃料及び酸化剤を供給する発電モードと、燃料ポンプ52を停止させ、燃料電池2への液体燃料の供給を停止するリフレッシュ制御モードとを切り替えることができるように構成されている。また、発電制御部31は、燃料電池システム1を運転している間、ブロア6を動作させて燃料電池2に酸化剤を供給することができるように構成されている。発電制御部31の動作は、例えば、発電制御部31に設けられた電子回路や発電制御部31を動作させるためのプログラム等によって実現することができる。
【0035】
発電制御部31における発電モードとリフレッシュ制御モードとの切り替えは、予め設定された条件に基づいて行われる。例えば、本形態の発電制御部31は、発電モードの継続時間が予め設定された値に到達した場合に、発電モードからリフレッシュ制御モードへの切り替えを行うように構成されている。また、発電制御部31は、リフレッシュ制御モードの継続時間が予め設定された値に到達した場合に、リフレッシュ制御モードから発電モードへの切り替えを行うように構成されている。
【0036】
図2に示すように、回路切替器32は第1接点321と第2接点322との2つの接点を有している。回路切替器32の第1接点321には外部負荷7が電気的に接続される。また、第2接点322には発熱体4が電気的に接続されている。
【0037】
回路切替器32は、正極端子253pと第1接点321とが電気的に接続された状態と、正極端子253pと第2接点322とが電気的に接続された状態とを切り替えることができるように構成されている。本形態の回路切替器32は、より具体的には、発電制御部31が燃料ポンプ52を動作させている間、つまり、発電モードが実行されている間は正極端子253pと第1接点321とを電気的に接続し、発電制御部31が燃料ポンプ52の動作を停止している間、つまり、リフレッシュ制御モードが実行されている間は正極端子253pと第2接点322とを電気的に接続するように構成されている。
【0038】
従って、本形態の燃料電池システム1においては、燃料ポンプ52及びブロア6が動作し、燃料電池2に液体燃料と酸化剤とが供給されている間は燃料電池2から生じる電力が外部負荷7に供給される。また、リフレッシュ制御が行われ、燃料電池2への液体燃料の供給が停止している間は燃料電池2から生じた電力が発熱体4に供給される。
【0039】
次に、本形態の燃料電池システム1の動作を、図3を参照しつつ説明する。本形態の燃料電池システム1は、制御装置3の発電制御部31により、燃料電池2への液体燃料及び酸化剤の供給を所定の時間継続する発電モードと、燃料電池2への液体燃料の供給を所定の時間停止するリフレッシュ制御モードとを繰り返し実施するように構成されている。発電モード及びリフレッシュ制御モードの継続時間は特に限定されるものではないが、例えば、発電モードの継続時間は5~20分の範囲から適宜設定することができる。また、リフレッシュ制御モードの継続時間は30~120秒の範囲から適宜設定することができる。
【0040】
図3に示すように、発電モードでは、燃料電池2に液体燃料及び酸化剤の両方が供給される。これにより、MEA21において電極反応が起き、燃料電池2から電力が生じる。また、発電モードにおいては、回路切替器32が燃料電池2と外部負荷7とを電気的に接続するため、燃料電池2で生じた電力を外部負荷7に供給し、外部負荷7を動作させることができる。しかし、発電モードにおいて電極反応を長時間継続させると、次第に電極反応の反応効率が低下し、図3に示すように燃料電池2の電圧及び電流が徐々に低下することがある。
【0041】
発電制御部31は、燃料電池2への液体燃料供給の継続時間が所定の時間に達したときに、発電モードを停止するとともにリフレッシュ制御モードを開始する。リフレッシュ制御モードが開始されると燃料ポンプ52の動作が停止するため、燃料電池2への液体燃料供給が停止される。また、液体燃料の供給停止とともに、回路切替器32が正極端子253pと発熱体4とを電気的に接続する。
【0042】
前述したように、燃料電池2への液体燃料供給が停止した場合であっても、燃料電池2内には未反応の液体燃料が残存している。また、リフレッシュ制御モードにおいてもブロア6は動作しているため、酸化剤は燃料電池2に供給される。そのため、図3に示すように、燃料電池2内に残存した液体燃料が酸化剤と反応して消費されるまでの間はMEA21において電極反応が起こり、燃料電池2から電力が発生する。この電力を発熱体4に供給することにより、発熱体4から熱を発生させることができる。本形態の燃料電池システム1においては、図1に示すように、発熱体4が燃料供給配管53に取り付けられているため、リフレッシュ制御の実施により燃料供給配管53内の液体燃料の温度を上昇させることができる。
【0043】
図3に示すように、燃料電池2への液体燃料の供給停止時間が所定の時間に達すると、発電制御部31は、リフレッシュ制御モードを停止し、再び発電モードを開始する。発電モードが開始されると、燃料ポンプ52が動作し、燃料電池2への液体燃料供給が再開される。この際、前述したように、燃料供給配管53内の燃料の温度が高くなっているため、温度の高い液体燃料と接触したMEA21の温度が速やかに上昇する。その結果、MEA21における電極反応の反応効率が高まり、燃料電池2の出力を速やかに向上させることができる。また、発電モードにおいては、液体燃料の供給再開とともに、回路切替器32が正極端子253pと外部負荷7とを電気的に接続する。これにより、燃料電池2から生じた電力が外部負荷7に供給される。
【0044】
以上のように、本形態の燃料電池システム1によれば、リフレッシュ制御が終了した後の燃料電池2の出力を速やかに高めることができる。
【0045】
(実施形態2)
本実施形態では、リフレッシュ制御中に燃料電池2から生じる電力を回収する蓄電装置42を備えた燃料電池システム102の例を説明する。なお、本形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0046】
本形態の燃料電池システム102は、図4に示すように、燃料電池2と、燃料タンク5と、燃料ポンプ52と、ブロア6と、を有している。燃料タンク5と燃料ポンプ52との間及び燃料ポンプ52と燃料電池2との間は燃料供給配管51、53により接続されている。ブロア6と燃料電池2との間は酸化剤供給配管61により接続されている。また、図には示さないが、燃料電池システム102は、燃料回収配管を介して燃料電池2に接続された燃料回収タンクと、水回収配管を介して燃料電池2に接続されたドレインタンクとを有している。
【0047】
また、燃料ポンプ52と燃料電池2との間の燃料供給配管53には発熱体4が取り付けられている。なお、図4においては、便宜上、発熱体4を燃料供給配管53とは異なる位置に示したが、図4における発熱体4の位置は、燃料電池システム102における発熱体4の実際の位置とは無関係である。
【0048】
図4に示すように、燃料ポンプ52及びブロア6は制御装置3の発電制御部31に電気的に接続されている。燃料ポンプ52及びブロア6の動作は発電制御部31によって制御される。また、燃料電池2の正極端子253pは制御装置3の回路切替器32に電気的に接続されている。回路切替器32の第1接点321は外部負荷7に電気的に接続される。また、回路切替器32の第2接点322には発熱体4が電気的に接続されている。
【0049】
本形態の燃料電池システム102は、図4に示すように、制御装置3に接続され、燃料電池2の温度を取得可能に構成された温度センサ26と、燃料電池2から出力される電力の少なくとも一部を充電可能に構成された蓄電装置42と、を有している。また、制御装置3は、温度センサ26により取得された燃料電池2の温度が予め設定された温度目標値を超え、かつ、燃料電池2への液体燃料の供給が停止されている間、燃料電池2から出力される電力を蓄電装置42に充電させるように構成されている。
【0050】
蓄電装置42は、電力を貯蔵することができる装置であれば特に限定されることはない。蓄電装置42としては、例えばキャパシタや二次電池などを使用することができる。蓄電装置42によるリフレッシュ制御中の電力の回収方法は、種々の態様をとり得る。例えば、本形態の燃料電池システム102は、リフレッシュ制御中に発熱体4から生じた熱を再び電力として回収し、蓄電装置42に充電することができるように構成されている。
【0051】
より具体的には、図4に示すように、本形態の燃料電池システム102における発熱体4の近傍には熱電変換素子41が設けられている。熱電変換素子41は、発熱体4から生じた熱を電力に変換し、電力として回収することができるように構成されている。
【0052】
また、本形態の制御装置3は充電切替スイッチ33を有しており、熱電変換素子41は、充電切替スイッチ33を介して蓄電装置42に電気的に接続されている。充電切替スイッチ33は、蓄電装置42を熱電変換素子41と電気的に接続するオン状態と、蓄電装置42を熱電変換素子41から電気的に遮断するオフ状態とを切り替えることができるように構成されている。従って、充電切替スイッチ33をオン状態とすることにより、熱電変換素子41において回収された電力を蓄電装置42に充電することができる。
【0053】
蓄電装置42に充電された電力の用途は特に限定されることはない。例えば、蓄電装置42は、発電モードにおいて燃料電池2から生じた電力に蓄電装置42に充電された電力を重畳させて外部負荷7に供給することができるように構成されていてもよい。この場合、例えば図4に示すように、蓄電装置42と外部負荷7との間に、蓄電装置42を外部負荷7と電気的に接続するオン状態と、蓄電装置42を外部負荷7から電気的に遮断するオフ状態とを切り替えることができるように構成された放電切替スイッチ34を設け、蓄電装置42と外部負荷7とを放電切替スイッチ34を介して電気的に接続すればよい。なお、図には示さないが、必要に応じて、蓄電装置42から外部負荷7までの間に昇圧回路などを設けることもできる。蓄電装置42をこのように電気的に接続し、放電切替スイッチ34をオン状態とすることにより、蓄電装置42において回収された電力を外部負荷7に供給することができる。
【0054】
本形態の燃料電池システム102の動作を、図5を参照しつつ説明する。本形態の燃料電池システム102の運転が開始される(ステップS1)と、発電制御部31は、ブロア6を動作させるとともに発電モードを開始し、燃料電池2への液体燃料の供給を所定の時間継続する(ステップS2)。発電モードにおいては、燃料電池2に供給された液体燃料及び酸化剤によって燃料電池2から電力が発生する。発電モードにおいて燃料電池2から生じた電力は、回路切替器32の第1接点321を介して外部負荷7に供給される。
【0055】
発電モードの継続時間が所定の時間に達すると、発電制御部は、温度センサ26から燃料電池2の温度Tを取得する(ステップS3)。次いで、発電制御部31は、発電モードを終了するとともにリフレッシュ制御モードを開始する(ステップS4)。リフレッシュ制御モードが開始されると燃料ポンプ52の動作が停止される。これにより、燃料電池2への液体燃料供給が停止する。また、発電制御部31は、液体燃料の供給停止とともに、回路切替器32において正極端子253pと第2接点322とを電気的に接続する。これにより、燃料電池2と発熱体4とが電気的に接続され、燃料電池2内に残存した液体燃料と、ブロア6から継続して供給される酸化剤との反応によって生じた電力が発熱体4に供給される。その結果、発熱体4から熱が生じる。
【0056】
本形態の発電制御部31は、リフレッシュ制御モードが開始された際に、ステップS3において取得した燃料電池2の温度Tと予め設定された温度目標値Tthとを比較する(ステップS5)。そして、燃料電池2の温度Tが温度目標値Tth未満の場合(ステップS5、「Yes」)には、発電制御部31は燃料電池2の温度を上昇させる必要があると判断し、充電切替スイッチ33をオフ状態とする。これにより、燃料電池2内に残留した液体燃料とブロア6から継続して供給される酸化剤との反応によって発熱体4に電力が供給され、燃料供給配管51、53内の液体燃料が加熱される(ステップS51)。
【0057】
一方、燃料電池2の温度Tが温度目標値Tth以上の場合(ステップS5、「No」)には、燃料電池2の温度が十分に高いため燃料電池2の温度を上昇させる必要はないと判断し、充電切替スイッチ33をオン状態とする。この場合、燃料電池2から生じた電力は、発熱体4において一旦熱となった後に熱電変換素子41によって電力に変換される。そして、熱電変換素子41により変換された電力は蓄電装置42に充電される(ステップS52)。充電切替スイッチ33は、予め設定された条件が満たされるまでオン状態を継続し、条件が満たされた後にオフ状態となる。例えば、本形態の発電制御部31は、リフレッシュ制御モードが継続している間は充電切替スイッチ33をオン状態とし、リフレッシュ制御モードが終了した際にオフ状態とするように構成されている。
【0058】
燃料電池2への液体燃料の供給停止時間が所定の時間に達すると、発電制御部31は、再び発電モードを開始する(ステップS6)。発電モードが開始されると、燃料ポンプ52が動作し、燃料電池2への液体燃料供給が再開される。また、回路切替器32が正極端子253pと第1接点321とを電気的に接続する。これにより、燃料電池2から生じた電力が外部負荷7に供給される。
【0059】
発電制御部31は、発電モードが再開した後に、蓄電装置42が充電済みか否かを判断する(ステップS7)。蓄電装置42が充電済みであった場合(ステップS7、「Yes」)、発電制御部31は放電切替スイッチ34をオン状態とする。これにより、蓄電装置42を放電させる(ステップS71)。蓄電装置42から放電させた電力は、燃料電池2から発生した電力に重畳して外部負荷7に供給される。蓄電装置42からの放電が完了した後、発電制御部31は放電切替スイッチ34をオフ状態とする。一方、蓄電装置42が充電されていない場合(ステップS7、「No」)、発電制御部31は放電切替スイッチ34をオフ状態のまま維持する。
【0060】
その後、発電制御部31は、運転を停止するか否かを判断する(ステップS8)。燃料電池システム102の運転が継続される場合(ステップS8、「No」)、発電制御部31は、前述した発電モードとリフレッシュ制御モードとを繰り返し実施する。一方、燃料電池システム102の運転が停止される場合(ステップS8、「Yes」)、発電制御部31は、燃料ポンプ52及びブロア6を停止して燃料電池システム102の運転を停止する(ステップS100)。
【0061】
本形態の燃料電池システム102は、燃料電池2の温度に基づいて、リフレッシュ制御中に生じる電力を発熱体4または蓄電装置42のいずれかに供給することができるように構成されている。これにより、燃料電池2の温度の過度の上昇を回避するとともに、リフレッシュ制御中に生じる電力をより有効に利用することができる。
【0062】
(実施形態3)
本実施形態では、リフレッシュ制御中に燃料電池2から生じる電力を直接回収することができるように構成された燃料電池システム103の例を説明する。
【0063】
本形態の燃料電池システム103は、図6に示すように、燃料電池2と、燃料タンク5と、燃料ポンプ52と、ブロア6と、を有している。燃料タンク5と燃料ポンプ52との間及び燃料ポンプ52と燃料電池2との間は燃料供給配管51、53により接続されている。ブロア6と燃料電池2との間は酸化剤供給配管61により接続されている。また、図には示さないが、燃料電池システム103は、燃料回収配管を介して燃料電池2に接続された燃料回収タンク55と、水回収配管を介して燃料電池2に接続されたドレインタンクとを有している。
【0064】
また、燃料ポンプ52と燃料電池2との間の燃料供給配管53には発熱体4が取り付けられている。なお、図6においては、便宜上、発熱体4を燃料供給配管53とは異なる位置に示したが、図6における発熱体4の位置は、燃料電池システム103における発熱体4の実際の位置とは無関係である。
【0065】
図6に示すように、燃料ポンプ52及びブロア6は制御装置3の発電制御部31に電気的に接続されている。燃料ポンプ52及びブロア6の動作は発電制御部31によって制御される。また、燃料電池2の正極端子253pは制御装置3の回路切替器32に電気的に接続されている。回路切替器32の第1接点321は外部負荷7に電気的に接続される。また、回路切替器32の第2接点322には、発熱体4と蓄電装置42とが互いに並列に接続されている。
【0066】
本形態の燃料電池システム103における制御装置3は、第2接点322と発熱体4との間に設けられた加熱切替スイッチ35を有している。加熱切替スイッチ35は、発熱体4を第2接点322及び蓄電装置42と電気的に接続するオン状態と、発熱体4を第2接点322及び蓄電装置42から電気的に遮断するオフ状態とを切り替えることができるように構成されている。加熱切替スイッチ35をオン状態とすることにより、燃料電池2または蓄電装置42から発熱体4に電力を供給し、発熱体4から熱を発生させることができる。
【0067】
また、第2接点322と蓄電装置42との間には、制御装置3に設けられた充電切替スイッチ33が介在している。充電切替スイッチ33は、蓄電装置42を第2接点322及び発熱体4と電気的に接続するオン状態と、蓄電装置42を第2接点322及び発熱体4から電気的に遮断するオフ状態とを切り替えることができるように構成されている。充電切替スイッチ33をオン状態とすることにより、リフレッシュ制御中に燃料電池2から生じた電力を蓄電装置42に充電することができる。
【0068】
また、蓄電装置42は、放電切替スイッチ34を介して外部負荷7に電気的に接続される。
【0069】
本形態の燃料電池システム103の動作を、図7を参照しつつ説明する。本形態の燃料電池システム103は、運転が開始(ステップS1)されてから燃料電池2の温度Tと予め設定された温度目標値Tthとを比較するステップ(ステップS5)を行うまでの間は、実施形態2の燃料電池システム102と同様に動作する。
【0070】
発電制御部31において燃料電池2の温度Tと温度目標値Tthとが比較され(ステップS5)、燃料電池2の温度Tが温度目標値Tth未満である場合(ステップS5、「Yes」)、発電制御部31は燃料電池2の温度を上昇させる必要があると判断する。この場合、発電制御部31は、加熱切替スイッチ35をオン状態にするとともに、充電切替スイッチ33をオフ状態とする。これにより、燃料電池2内に残留した液体燃料とブロア6から継続して供給される酸化剤との反応によって発熱体4に電力が供給され、燃料供給配管53内の液体燃料の温度が上昇する(ステップS513)。加熱切替スイッチ35は、予め設定された条件が満たされるまでオン状態を継続し、条件が満たされた後にオフ状態となる。例えば、本形態の発電制御部31は、リフレッシュ制御モードが継続している間は加熱切替スイッチ35をオン状態とし、リフレッシュ制御モードが終了した際にオフ状態とするように構成されている。
【0071】
一方、燃料電池2の温度Tが温度目標値Tth以上の場合(ステップS5、「No」)には、発電制御部31は燃料電池2の温度が十分に高いため燃料電池2の温度を上昇させる必要はないと判断する。この場合、発電制御部31は、加熱切替スイッチ35をオフ状態にするとともに充電切替スイッチ33をオン状態とする。これにより、燃料電池2から生じた電力が蓄電装置42に直接供給され、蓄電装置42が充電される(ステップS523)。充電切替スイッチ33は、予め設定された条件が満たされるまでオン状態を継続し、条件が満たされた後にオフ状態となる。例えば、本形態の発電制御部31は、リフレッシュ制御モードが継続している間は充電切替スイッチ33をオン状態とし、リフレッシュ制御モードが終了した際にオフ状態とするように構成されている。
【0072】
本形態の燃料電池システム103は、リフレッシュ制御モードが終了し、再度発電モードを開始(ステップS6)した後、運転を停止するか否かの判断(ステップS8)を行うまでの間は、実施形態2の燃料電池システム102と同様に動作する。運転を停止するか否かを判断するステップ(ステップS8)において、燃料電池システム103の運転が継続される場合(ステップS8、「No」)、発電制御部31は、前述した発電モードとリフレッシュ制御モードとを繰り返し実施する。一方、燃料電池システム103の運転が停止される場合(ステップS8、「Yes」)、発電制御部31は、燃料ポンプ52及びブロア6を停止して燃料電池システム103の運転を停止する(ステップS100)。
【0073】
本形態の燃料電池システム103は、リフレッシュ制御中に生じる電力を蓄電装置42に直接充電することができるように構成されている。そのため、リフレッシュ制御中に生じる電力の損失をより低減することができる。
【0074】
(実施形態4)
本実施形態では、リフレッシュ制御中に燃料電池2から生じる電力の分配方法の他の態様を説明する。本実施形態の燃料電池システムは、図6に示す実施形態3の燃料電池システム103と同様の構成を有している。
【0075】
本形態の燃料電池システムの動作を、図8を参照しつつ説明する。本形態の燃料電池システムの運転が開始される(ステップS1)と、発電制御部31は、ブロア6を動作させて燃料電池2に酸化剤を供給するとともに、発電モードを開始し、燃料電池2への液体燃料の供給を所定の時間継続する(ステップS2)。発電モードの継続時間が所定の時間に達すると、発電制御部31は温度センサ26から燃料電池2の温度Tを取得する(ステップS3)。次いで、発電制御部31は、発電モードを終了するとともにリフレッシュ制御モードを開始する(ステップS4)。リフレッシュ制御モードが開始されると燃料ポンプ52の動作が停止される。これにより、燃料電池2への液体燃料供給が停止する。
【0076】
本形態の燃料電池システムにおける発電制御部31は、リフレッシュ制御モードが開始された際に、加熱切替スイッチ35をオフ状態にするとともに充電切替スイッチ33をオン状態とする。これにより、燃料電池2内に残留した液体燃料とブロア6から継続して供給される酸化剤との反応によって生じた電力が、まず蓄電装置42に充電される(ステップS504)。
【0077】
リフレッシュ制御モードが開始してから所定の時間が経過した後、発電制御部31は、ステップS3において取得した燃料電池2の温度Tと予め設定された温度目標値Tthとを比較する(ステップS604)。例えば、発電制御部31は、リフレッシュ制御モードが開始した時点から、リフレッシュ制御モードの継続時間の1/2の時間が経過した時点で燃料電池2の温度Tと予め設定された温度目標値Tthとを比較するように構成されていてもよい。
【0078】
燃料電池2の温度Tが温度目標値Tth未満の場合(ステップS604、「Yes」)、発電制御部31は燃料電池2の温度を上昇させる必要があると判断し、加熱切替スイッチ35及び充電切替スイッチ33をオン状態にする。これにより、蓄電装置42に充電された電力が発熱体4に供給され、燃料供給配管53内の液体燃料の温度が上昇する(ステップS614)。
【0079】
一方、燃料電池2の温度Tが温度目標値Tth以上の場合(ステップS604、「No」)には、発電制御部31は燃料電池2の温度が十分に高いため燃料電池2の温度を上昇させる必要はないと判断し、加熱切替スイッチ35及び充電切替スイッチ33をオフ状態にする。これにより、蓄電装置42に充電された電力が維持される。
【0080】
燃料電池2への液体燃料の供給停止時間が所定の時間に達すると、発電制御部31は、再び発電モードを開始する(ステップS704)。発電モードが開始されると、発電制御部31は、加熱切替スイッチ35及び充電切替スイッチ33をオフ状態とする。
【0081】
また、発電モードが開始された後、発電制御部31は、蓄電装置42が充電済みか否かを判断する(ステップS804)。蓄電装置42が充電済みであった場合(ステップS804、「Yes」)、発電制御部31は放電切替スイッチ34をオン状態とする。これにより、燃料電池2から発生した電力に、蓄電装置42に回収された電力を重畳させて外部負荷7に供給することができる(ステップS814)。蓄電装置42からの放電が完了した後、発電制御部31は放電切替スイッチ34をオフ状態とする。一方、蓄電装置42が充電されていない場合(ステップS804、「No」)、発電制御部31は放電切替スイッチ34をオフ状態のまま維持する。
【0082】
その後、発電制御部31は、運転を停止するか否かを判断する(ステップS904)。燃料電池システムの運転が継続される場合(ステップS904、「No」)、発電制御部31は、前述した発電モードとリフレッシュ制御モードとを繰り返し実施する。一方、燃料電池システムの運転が停止される場合(ステップS904、「Yes」)、発電制御部31は、燃料ポンプ52及びブロア6を停止して燃料電池システムの運転を停止する(ステップS100)。
【0083】
本形態の燃料電池システムは、リフレッシュ制御中に生じる電力をまず蓄電装置42に充電した後、必要に応じて燃料電池2等の加熱に用いることができるように構成されている。そのため、リフレッシュ制御が終了した後、発電を再開する際の燃料電池2の温度をより容易に所望の範囲内とすることができる。
【0084】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1、102、103 燃料電池システム
2 燃料電池
3 制御装置
4 発熱体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8