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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157519
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/20 20060101AFI20231019BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231019BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G21/00 530
G03G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067473
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇部 哲玄
【テーマコード(参考)】
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H171FA06
2H171GA24
2H171NA02
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB16
2H171QB32
2H171QC05
2H171QC22
2H171SA10
2H171SA12
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H270LA26
2H270LA28
2H270SA10
2H270SA11
2H270SA15
2H270SB23
2H270SB24
2H270SB25
2H270SC01
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】感光ドラム表面の結露を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】
画像形成装置1は、本体筐体2と、感光ドラム41Yと、定着装置8と、第1速度以上で回転可能なファン13と、湿度を測定可能な第1センサ11と、制御部14とを備える。制御部14は、湿度処理において、第1センサ11が測定した湿度Hが所定湿度H1以上である場合に、印刷処理を実行するときにファン13を第1速度よりも速い第2速度で回転させる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向における一方の外壁に排気口を有する本体筐体と、
感光ドラムと、
前記感光ドラムからシートに転写されたトナーを加熱により前記シートに定着させる定着装置と、
第1速度以上で回転し、前記排気口に向かう気流を発生させるファンと、
前記本体筐体の前記第1方向における前記一方の外壁の近傍に位置し、湿度を測定可能な第1センサと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1センサが測定した前記湿度に基づいて前記ファンの速度を制御する湿度処理を実行可能であって、
前記湿度処理において、前記湿度が所定値以上である場合に、印刷処理を実行するときに前記ファンを第1速度よりも速い第2速度で回転させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着装置よりも前記感光ドラムに近い位置の温度を測定可能な第2センサを、さらに備え、
前記第1センサは、温度を測定可能であって、
前記制御部は、
前記第1センサが測定した温度を第1雰囲気温度として処理し、前記第2センサが測定した温度に基づいて前記感光ドラム周辺の温度である第2雰囲気温度を推定するとともに、前記第1雰囲気温度及び前記第2雰囲気温度に基づいてファンの速度を制御する温度処理を実行可能であって、
前記温度処理を実行した後の前記ファンの回転速度が第2速度未満の場合に前記湿度処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度以上である場合、印刷処理を実行するときに前記ファンを前記第1速度よりも速い第3速度で回転させること特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が前記第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が第2温度未満である場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第1速度で回転させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第2温度以上の場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第2速度以上で回転させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第2温度以上であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第2温度よりも高い第3温度未満の場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第2速度で回転させることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第3温度以上の場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第2速度よりも速い第4速度で回転させることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
現像ローラを有し、前記感光ドラムにトナーを供給可能な現像ユニットを、さらに備え、
前記第2雰囲気温度は、前記現像ローラ近傍の温度であることを特徴とする請求項2~請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記現像ユニットは、前記感光ドラムにトナーを供給する際の層厚を規制する層厚規制ブレードを、さらに備え、
前記第2雰囲気温度は、前記層厚規制ブレードの温度であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1センサおよび前記第2センサは、サーミスタである請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、本体筐体と、感光ドラムと、定着装置と、本体筐体内の空気を排気するためのファンとを備える。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、本体筐体内の温度が外気温よりも低い場合に、外気温と感光ドラムとの温度差が十分に小さくなるまでファンを停止させた状態で印刷し、感光ドラム表面の結露を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004―13015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置では、印刷用紙が定着装置によって加熱されることにより、印刷用紙に含まれていた水分が蒸発して水蒸気が発生する。
【0006】
そのため、ファンを停止させた状態での印刷において、印刷用紙から発生した水蒸気により、本体筐体内の湿度が過度に上昇する可能性がある。
【0007】
本体筐体内の湿度が過度に上昇した状態で、停止させていたファンを駆動させると、本体筐体内の高湿の空気が感光ドラムの表面に接触して、感光ドラム表面が結露する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、感光ドラム表面の結露を抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、第1方向における一方の外壁に排気口を有する本体筐体と、感光ドラムと、前記感光ドラムからシートに転写されたトナーを加熱により前記シートに定着させる定着装置と、第1速度以上で回転し、前記排気口に向かう気流を発生させるファンと、前記本体筐体の前記第1方向における前記一方の外壁の近傍に位置し、湿度を測定可能な第1センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1センサが測定した前記湿度に基づいて前記ファンの速度を制御する湿度処理を実行可能であって、前記湿度処理において、前記湿度が所定値以上である場合に、印刷処理を実行するときに前記ファンを第1速度よりも速い第2速度で回転させる。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記定着装置よりも前記感光ドラムに近い位置の温度を測定可能な第2センサをさらに備え、前記第1センサは、温度を測定可能であって、前記制御部は、前記第1センサが測定した温度を第1雰囲気温度として処理し、前記第2センサが測定した温度に基づいて前記感光ドラム周辺の温度である第2雰囲気温度を推定するとともに、前記第1雰囲気温度及び前記第2雰囲気温度に基づいてファンの速度を制御する温度処理を実行可能であって、前記温度処理を実行した後の前記ファンの回転速度が第2速度未満の場合に前記湿度処理を実行してもよい。
【0011】
また、前記制御部は、前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度以上である場合、印刷処理を実行するときに前記ファンを前記第1速度よりも速い第3速度で回転させてもよい。
【0012】
また、前記制御部は、前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が前記第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が第2温度未満である場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第1速度で回転させてもよい。
【0013】
また、前記制御部は、前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第2温度以上の場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第2速度以上で回転させてもよい。
【0014】
また、前記制御部は、前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第2温度以上であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第2温度よりも高い第3温度未満の場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第2速度で回転させてもよい。
【0015】
また、前記制御部は、前記温度処理において、前記第1雰囲気温度が第1温度未満であり、かつ、前記第2雰囲気温度が前記第3温度以上の場合、印刷処理を実行するときに、前記ファンを前記第2速度よりも速い第4速度で回転させてもよい。
【0016】
また、本発明の画像形成装置は、現像ローラを有し、前記感光ドラムにトナーを供給可能な現像ユニットを、さらに備え、前記第2雰囲気温度は、前記現像ローラ近傍の温度であってもよい。
【0017】
また、前記現像ユニットは、前記感光ドラムにトナーを供給する際の層厚を規制する層厚規制ブレードを、さらに備え、前記第2雰囲気温度は、前記層厚規制ブレードの温度であってもよい。
【0018】
また、前記第1センサおよび前記第2センサは、サーミスタであってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像形成装置によれば、感光ドラム表面の結露を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、画像形成装置の概略構成図である。
図2図2は、図1に示す画像形成装置において、第1センサ、第2センサ、ファン、および、制御部の配置を説明するための説明図である。
図3図3は、図1に示す画像形成装置の本体筐体の斜視図である。
図4図4は、図1に示す画像形成装置の制御を説明するためのブロック図である。
図5図5は、図1に示す画像形成装置の制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.画像形成装置1の概略
図1を参照して、画像形成装置1の概略について説明する。
【0022】
画像形成装置1は、本体筐体2と、シート収容部3と、複数のドラムユニット4Y,4M,4C,4Kと、複数の露光ヘッド5Y,5M,5C,5Kと、複数の現像ユニット6Y,6M,6C,6Kと、転写装置7と、定着装置8と、読取装置9とを備える。
【0023】
1.1 本体筐体2
本体筐体2は、シート収容部3と、ドラムユニット4Y,4M,4C,4Kと、露光ヘッド5Y,5M,5C,5Kと、現像ユニット6Y,6M,6C,6Kと、転写装置7と、定着装置8とを収容する。
【0024】
1.2 シート収容部3
シート収容部3は、シートSを収容可能である。シートSは、例えば、印刷用紙である。シートSは、ドラムユニット4Yの感光ドラム41Yに向かって搬送される。
【0025】
1.3 ドラムユニット4Y,4M,4C,4K
ドラムユニット4Yは、感光ドラム41Yと、帯電装置42Yとを備える。言い換えると、画像形成装置1は、感光ドラム41Yを備える。
【0026】
感光ドラム41Yは、円筒形状を有する。感光ドラム41Yは、第1方向に延びる。感光ドラム41Yは、軸A1について回転可能である。軸A1は、第1方向に延びる。
【0027】
帯電装置42Yは、感光ドラム41Yの表面を帯電させる。帯電装置42Yは、スコロトロン型帯電器である。帯電装置42Yは、帯電ローラであってもよい。
【0028】
ドラムユニット4Y,4M,4C,4Kは、第2方向に並ぶ。第2方向は、第1方向と交差する。好ましくは、第2方向は、第1方向と直交する。ドラムユニット4Y,4M,4C,4Kは、定着装置8に近づく方向において、ドラムユニット4Y、ドラムユニット4M、ドラムユニット4C、ドラムユニット4Kの順に並ぶ。ドラムユニット4M,4C,4Kについての説明は、ドラムユニット4Yと同様であるため、省略する。
【0029】
1.4 露光ヘッド5Y,5M,5C,5K
露光ヘッド5Yは、帯電装置42Yによって帯電された感光ドラム41Yの表面を露光する。露光ヘッド5Mは、帯電装置42Mによって帯電された感光ドラム41Mの表面を露光する。露光ヘッド5Cは、帯電装置42Cによって帯電された感光ドラム41Cの表面を露光する。露光ヘッド5Kは、帯電装置42Kによって帯電された感光ドラム41Kの表面を露光する。
【0030】
1.5 現像ユニット6Y,6M,6C,6K
現像ユニット6Yは、感光ドラム41Yにトナーを供給可能である。詳しくは、現像ユニット6Yは、露光ヘッド5Yによって露光された感光ドラム41Yの表面上にトナーを供給する。現像ユニット6Yは、現像筐体61Yと、現像ローラ62Yと、層厚規制ブレード63Yとを有する。
【0031】
現像筐体61Yは、トナーを収容可能である。
【0032】
現像ローラ62Yは、現像筐体61Y内のトナーを感光ドラム41Yの表面に供給可能である。現像ローラ62Yは、感光ドラム41Yと接触する。現像ローラ62Yは、所定の間隔をあけて感光ドラム41Yから離れていてもよい。現像ローラ62Yは、円柱形状を有する。現像ローラ62Yは、第1方向に延びる。現像ローラ62Yは、軸A2について回転可能である。軸A2は、第1方向に延びる。
【0033】
層厚規制ブレード63Yは、現像ローラ62Y上のトナーの層厚を規制する。
【0034】
現像ユニット6M,6C,6Kについての説明は、現像ユニット6Yと同様であるため、省略する。
【0035】
1.6 転写装置7
転写装置7は、ベルト71と、複数の転写ローラ72Y,72M,72C,72Kを有する。
【0036】
ベルト71は、シート収容部3からのシートSを定着装置8に向けて搬送する。ベルト71は、感光ドラム41Y、41M、41C、41Kと接触する。
【0037】
転写ローラ72Yは、感光ドラム41Y上のトナーを、ベルト71によって搬送されているシートSに転写する。転写ローラ72Mは、感光ドラム41M上のトナーを、ベルト71によって搬送されているシートSに転写する。転写ローラ72Cは、感光ドラム41C上のトナーを、ベルト71によって搬送されているシートSに転写する。転写ローラ72Kは、感光ドラム41K上のトナーを、ベルト71によって搬送されているシートSに転写する。
【0038】
1.7 定着装置8
定着装置8は、トナーが転写されたシートSを加熱および加圧する。定着装置8は、感光ドラム41Y,41M,41C,41KのそれぞれからシートSに転写されたトナーを、加熱により、シートSに定着させる。詳しくは、定着装置8は、加熱ローラ81と、ヒータ82と、加圧ローラ83とを有する。シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ83との間を通るときに、加熱ローラ81は、シートSを加熱する。ヒータ82は、加熱ローラ81内に位置する。ヒータ82は、加熱ローラ81を加熱する。シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ83との間を通るときに、加圧ローラ83は、シートSを加熱ローラ81に向けて加圧する。定着装置8を通過したシートSは、本体筐体2と読取装置9との間に排出される。
【0039】
1.8 読取装置9
読取装置9は、原稿の画像を読み取り可能である。読取装置9は、本体筐体2の上に位置する。読取装置9が本体筐体2の上に位置することにより、画像形成装置1は、本体筐体2内に湿気が籠もりやすい構造を有している。なお、画像形成装置1は、読取装置9を備えていなくてもよい。
【0040】
2.画像形成装置1の詳細
2.1 本体筐体2の詳細
本体筐体2は、本体フレーム21と、本体カバー22とを有する。
【0041】
2.1.1 本体フレーム21
本体フレーム21は、ドラムユニット4Y,4M,4C,4K、転写装置7、および、定着装置8を支持する。本体フレーム21は、2つの側板211A,211Bと、2つのフレーム212A,212Bとを有する。
【0042】
側板211Aは、第1方向において、本体筐体2の一端部に位置する。側板211Aは、第2方向および上下方向に延びる。側板211Aは、例えば、鉄またはステンレスからなる板金である。
【0043】
側板211Bは、第1方向において、本体筐体2の他端部に位置する。側板211Bは、第1方向において、側板211Aから離れて位置する。側板211Bは、第2方向および上下方向に延びる。側板211Bは、例えば、鉄、ステンレスからなる板金である。
【0044】
フレーム212Aは、第1方向において、側板211Aと側板211Bとの間に位置する。フレーム212Aは、第2方向および上下方向に延びる。フレーム212Aは、例えば、樹脂成型品である。フレーム212Aは、側板211Aに取り付けられている。
【0045】
フレーム212Bは、第1方向において、側板211Aと側板211Bとの間に位置する。フレーム212Bは、第1方向において、フレーム212Aから離れて位置する。フレーム212Bは、第2方向および上下方向に延びる。フレーム212Bは、例えば、樹脂成型品である。フレーム212Bは、側板211Bに取り付けられている。
【0046】
ドラムユニット4Y,4M,4C,4K、転写装置7、および、定着装置8は、第1方向において、フレーム212Aとフレーム212Bとの間に位置する。ドラムユニット4Y,4M,4C,4K、転写装置7、および、定着装置8は、フレーム212Aとフレーム212Bとによって支持される。
【0047】
2.1.2 本体カバー22
本体カバー22は、画像形成装置1の外装を構成する。本体カバー22は、本体フレーム21を覆う。本体カバー22は、第1方向において、一方の外壁22Aと、他方の外壁22Bとを有する。
【0048】
外壁22Aは、第1方向において、本体カバー22の一端部に位置する。外壁22Aは、第1方向において、側板211Aに対して、側板211Bの反対側に位置する。外壁22Aは、側板211Aを覆う。外壁22Aは、上下方向および第2方向に延びる。図3に示すように、外壁22Aは、排気口23を有する。言い換えると、本体筐体2は、第1方向における一方の外壁22Aに排気口23を有する。これにより、本体筐体2は、ファン13によって排気口23を介して排気するように構成される。また、外壁22Aは、通気口221を有する。通気口221は、後述する第1センサ11周辺が外気と通気できるように構成される。
【0049】
図2に示すように、外壁22Bは、第1方向において、本体筐体2の他端部に位置する。外壁22Bは、第1方向において、外壁22Aから離れて位置する。外壁22Bは、第1方向において、側板211Bに対して、側板211Aの反対側に位置する。外壁22Bは、側板211Bを覆う。外壁22Bは、上下方向および第2方向に延びる。
【0050】
2.2 第1センサ11
第1センサ11は、第1方向において、本体筐体2の一方の外壁22Aの近傍に位置する。第1センサ11は、第1方向において、外壁22Aと側板211Aとの間に位置する。第1センサ11は、第2方向において、通気口221に近接して配置される。また、第1センサ11は、複数のドラムユニット4Y,4M,4C,4Kのうち、定着装置8から最も離れたドラムユニット4Y(図1参照)に対して、第1方向の一方側に位置する。
【0051】
第1センサ11は、第2方向において、定着装置8から離れて位置する。第1センサ11は、第2方向において、第2センサ12よりも定着装置8から離れて位置する。言い換えると、第2方向における第1センサ11と定着装置8との距離は、第2方向における第2センサ12と定着装置8との距離よりも長い。第1センサ11は、温度および湿度を測定可能である。第1センサ11は、サーミスタである。
【0052】
2.3 第2センサ12
第2センサ12は、第1方向において、本体筐体2の他方の側に配置される。詳しくは、第2センサ12は、第1方向において、本体筐体2の他方の外壁22Bの近傍に位置する。第2センサ12は、ファン13から離れて配置することにより、ファン13が起こす気流の影響を受けにくくしている。第2センサ12は、第1方向において、外壁22Bと側板211Bとの間に位置する。第2センサ12は、ドラムユニット4Mに対して、第1方向の他方側に位置する。第2センサ12は、第2方向において、定着装置8から離れて位置する。第2センサ12は、定着装置8よりも感光ドラム41M(図1参照)に近い位置の温度を測定可能である。第2センサ12は、サーミスタである。
【0053】
2.4 ファン13
ファン13は、本体筐体2内において、排気口23に向かう気流を発生させる。ファン13は、第1方向において、本体筐体2の一方の外壁22Aの近傍に位置する。ファン13は、第1方向において、外壁22Aと定着装置8との間に位置する。ファン13は、排気口23に対向して配置される(図3参照)。
【0054】
ファン13は、第1速度以上で回転可能である。
【0055】
2.5 制御部14
制御部14は、第1方向において、外壁22Bと側板211Bとの間に位置する。制御部14は、図4に示すように、第1センサ11、第2センサ12、および、ファン13と電気的に接続される。制御部14は、制御回路基板である。制御部14は、プロセッサとメモリとを有する。プロセッサとして、例えば、CPUが挙げられる。メモリは、揮発性メモリであってもよく、不揮発性メモリであってもよい。メモリとして、例えば、RAM、ROMが挙げられる。
【0056】
制御部14は、第1センサ11が測定した温度を、第1雰囲気温度T(out)として処理する。第1雰囲気温度T(out)とは、画像形成装置1が待機状態である場合における疑似的な本体筐体2外の温度を指す。上記したように第1センサ11は、本体筐体2内に位置するが、定着装置8から離れて位置し、かつ、外壁22Aの通気口221の近傍に位置するので、画像形成装置1が待機状態である場合には、第1センサ11が測定した温度を、本体筐体2外の温度とみなすことができる。
【0057】
制御部14は、第2センサ12が測定した温度に基づいて、第2雰囲気温度T(in)を推定する。第2雰囲気温度T(in)は、感光ドラム41K、41C、41M、41Y周辺の温度である。詳しくは、第2雰囲気温度T(in)は、現像ローラ62K、62C、62M、62Y近傍の温度である。より詳しくは、第2雰囲気温度T(in)は、層厚規制ブレード63K、63C、63M、63Yの温度である。
【0058】
制御部14は、以下の計算式により、第2雰囲気温度T(in)を計算する。
【0059】
第2雰囲気温度T(in)の計算式:
第2雰囲気温度T(in)=a×log(第2センサ12が測定した温度)+b×log(第2センサ12が測定した温度)+c
計算式(1)中、a、b、cは、実験値の重回帰分析によって求められた係数である。
【0060】
3.画像形成装置1の制御
次に、図5を参照して、画像形成装置1の制御について説明する。
【0061】
制御部16は、印刷処理を開始するとファン13を第1速度で回転させる(S1)。制御部16は、第1雰囲気温度T(out)、第2雰囲気温度T(in)、および、湿度Hを利用して、ファン13の回転速度を制御する。
【0062】
3.1 温度処理
制御部16は、第1雰囲気温度T(out)、第2雰囲気温度T(in)、を利用して、ファン13の回転速度を制御する温度処理(S2~S7)を実行する。
【0063】
温度処理において、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2以上、第3温度T3未満である場合(S3:NO、S4:YES)、制御部16は、ファン13の回転速度を第1速度から第2速度に変更する(S5)。
【0064】
言い換えると、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2以上、第3温度T3未満である場合(S3:NO、S4:YES)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第2速度で回転させる(S5)。
【0065】
第2速度は、第1速度よりも速い。
【0066】
第1温度T1は、例えば32℃である。第2温度T2は、例えば34℃である。第3温度T3は、第2温度T2よりも高い。第3温度T3は、例えば、40.5℃である。
【0067】
温度処理において、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第3温度T3以上である場合(S3:NO、S4:NO)、制御部16は、ファン13の回転速度を第1速度から第4速度に変更する(S6)。
【0068】
言い換えると、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第3温度T3以上である場合(S3:NO、S4:NO)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第4速度で回転させる(S6)。
【0069】
第4速度は、第2速度よりも速い。
【0070】
温度処理において、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1以上である場合(S2:NO)、制御部16は、ファン13の回転速度を第1速度から第3速度に変更する(S7)。
【0071】
言い換えると、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1以上である場合(S2:NO)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第3速度で回転させる(S7)。
【0072】
第3速度は、第2速度よりも速い。第3速度は、第4速度と同じ速度であってもよい。
【0073】
一方、温度処理において、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満である場合(S3:YES)、制御部16は、ファン13の回転速度を第1速度から変更しない。
【0074】
言い換えると、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満である場合(S3:YES)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第1速度で回転させる。
【0075】
3.2 湿度処理
制御部16は、湿度Hを利用してファン13の回転速度を制御する湿度処理(S9、S10)を実行する。
【0076】
制御部16は、温度処理の後に、ファンの回転速度が第1速度である(S8:YES)場合に、湿度処理を実行する。つまり、温度処理において、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満である(S3:YES)場合に、制御部16は、湿度処理を実行する。
【0077】
制御部16は、湿度処理において、湿度Hが所定湿度H1以上である場合(S9:NO)、制御部16は、ファン13の回転速度を第1速度から第2速度に変更する(S10)。
【0078】
言い換えると、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満であり(S3:YES)、ファン13の回転速度が第1速度であり(S8:YES)、 かつ、湿度Hが所定湿度H1以上である場合(S9:NO)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第2速度で回転させる(S10)。
【0079】
所定湿度H1は、例えば、60%以上である。
【0080】
湿度Hが高い場合、印刷処理を実行する前から本体筐体2内の湿度が高い可能性がある。そのため、印刷処理を実行するときに、ファン13を第2速度で回転させる。これにより、感光ドラム4表面の結露を抑制できる。
【0081】
一方、制御部16は、湿度処理において、湿度Hが所定湿度H1未満である場合(S9:YES)、制御部16は、ファン13の回転速度を変更しない。
【0082】
つまり、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満であり(S3:YES)、ファン13の回転速度が第1速度であり(S8:YES)、 かつ、湿度Hが所定湿度H1未満である場合(S9:YES)、制御部16は、ファン13を第1速度で回転させる。
【0083】
その後、印刷ジョブが無くなると(S11:NO)、制御部16は、印刷処理を終了する。
【0084】
4.作用効果
画像形成装置1によれば、制御部16は、第1センサ11が測定した湿度Hを利用して第1速度以上で回転可能なファン13の回転速度を制御する湿度処理(S9、S10)を実行する。制御部16は、湿度処理において、湿度Hが所定湿度H1以上である場合(S9:NO)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第1速度よりも速い第2速度に変更する(S10)。
【0085】
これにより、本体筐体2内の水蒸気を排気口23を介して本体筐体2外に排気し、本体筐体2内の湿度が過度に上昇することを抑制して、感光ドラム41K、41C、41M、41Y表面の結露を抑制できる。
【0086】
画像形成装置1によれば、制御部16は、第1雰囲気温度T(out)、第2雰囲気温度T(in)、を利用して、ファン13の回転速度を制御する温度処理(S2~S7)を実行した後にファン13の回転速度が第2速度未満の場合に(S8:YES)、湿度処理(S9,S10)を実行する。
【0087】
ここで、温度処理(S2~S7)を実行した後のファン13の回転速度が第2速度未満の場合とは、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満(S2:YES)であり、かつ、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満(S3:YES)の場合である。
【0088】
すなわち、制御部16は、本体筐体2外の温度及び、本体筐体2内の温度が低いことで、感光ドラム41K、41C、41M、41Y表面の温度が低く、感光ドラム41K、41C、41M、41Y表面が結露する可能性が高いと予測される状況で、湿度処理(S9,S10)を実行することができる。
【0089】
画像形成装置1によれば、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1以上である場合(S2:NO)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第1速度よりも速い第3速度で回転させる(S7)。
【0090】
これにより、本体筐体2外の温度が高い場合に、ファン13の回転速度を速くすることにより、本体筐体2内を冷却できる。
【0091】
画像形成装置1によれば第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2未満である場合(S3:YES)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第1速度で回転させる。
【0092】
また、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第2温度T2以上、第3温度T3未満である場合(S3:NO、S4:YES)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第2速度で回転させる(S5)。
【0093】
さらに、第1雰囲気温度T(out)が第1温度T1未満であり(S2:YES)、第2雰囲気温度T(in)が第3温度T3以上である場合(S3:NO、S4:NO)、制御部16は、印刷処理を実行するときに、ファン13を第4速度で回転させる(S6)。
【0094】
第3温度T3は、第2温度T2よりも高い。第4速度は、第2速度よりも速い。
【0095】
これにより、第2雰囲気温度T2の上昇に応じて段階的にファン13の回転速度を速くすることにより、ファン13の駆動音を抑制しつつ、必要に応じて、本体筐体2内を冷却できる。
【0096】
5.変形例
第3温度T3は、第2温度T2と同じ温度であってもよい。この場合、第4速度は、第2速度と同じ速度であってもよい。このとき、第2温度T2及び第3温度T3は、例えば、50℃である。また、このとき、所定湿度H1は、例えば、55%以上である。
【0097】
実施例の画像形成装置は、温度および湿度を測定可能な第1センサ11を備えていたが、第1センサ11の代わりに、温度センサと湿度センサをそれぞれ1つずつ備えてもよい。この場合、温度センサと湿度センサは、第1センサ11とほぼ同じ位置に配置されることが好ましい。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
2 本体筐体
4 感光ドラム
6 現像ユニット
8 定着装置
11 第1センサ
12 第2センサ
13 ファン
14 制御部
22A 外壁
23 排気口
62 現像ローラ
H 湿度
H1 所定湿度
(out) 第1雰囲気温度
(in) 第2雰囲気温度
T1 第1温度
T2 第2温度
T3 第3温度
図1
図2
図3
図4
図5