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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157522
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】給湯装置及び給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20231019BHJP
   F24H 15/36 20220101ALI20231019BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20231019BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20231019BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H15/36
F24H15/238
F24H15/335
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067483
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 晃平
(72)【発明者】
【氏名】水野 翔太
【テーマコード(参考)】
3L073
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA13
3L073AC01
3L073AC06
(57)【要約】
【課題】給湯装置の即湯運転の終了条件を適切に設定する。
【解決手段】コントローラ10は、給湯栓200の給湯停止中に流体の温度低下に応じて即湯運転が開始されると、最小駆動時間が経過するまでの間、循環ポンプ80を一定出力で作動させるとともに燃焼機構30によって加熱する加熱機構を作動させる。最小駆動時間は、循環ポンプ80が予め定められた一定出力で作動して即湯循環経路が形成されている条件下での流量検出器75の流量検出値Qfに基づいて設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯先に対して給湯するための給湯装置であって、
流体を加熱する加熱機構と、
前記給湯先の給湯停止中に前記流体の温度が低下すると循環ポンプの作動を伴って実行される即湯運転において、前記給湯装置の外部で前記給湯装置の2個のポート間に前記給湯先を含まない様に形成される外部経路と併せて、流体が前記2個のポート及び前記加熱機構を通過する即湯循環経路を形成する内部経路と、
前記即湯循環経路内に配置された流量検出器と、
前記循環ポンプ及び前記加熱機構を制御する制御器とを備え、
前記制御器は、
前記即湯運転が開始されると、前記循環ポンプが予め定められた一定出力で作動して前記即湯循環経路が形成されている条件下での前記流量検出器の流量検出値に基づいて設定された最小駆動時間が経過するまでの間、前記循環ポンプを前記一定出力で作動させるとともに前記加熱機構を作動させる、給湯装置。
【請求項2】
前記即湯循環経路内に配置された温度検出器を更に備え、
前記即湯運転は、前記給湯停止中に、前記温度検出器による検出温度が、前記給湯先への給湯設定温度よりも低く設定された第1判定温度よりも低下すると開始され、
前記制御器は、前記循環ポンプの作動中において、前記加熱機構による加熱中に前記検出温度が前記第1判定温度より高く設定された第2判定温度よりも上昇すると前記加熱機構による加熱を停止する、請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御器は、前記循環ポンプの作動中において、前記加熱機構による加熱停止中に、前記検出温度が前記第2判定温度より低く設定された第3判定温度よりも低下すると前記加熱機構による加熱を再開する様に、前記加熱機構を制御する、請求項2記載の給湯装置。
【請求項4】
前記制御器は、前記即湯運転の開始から前記最小駆動時間が経過した際に、当該即湯運転中において前記温度検出器による検出温度が前記第2判定温度まで上昇した履歴が存在していない場合には、前記検出温度が前記第2判定温度に上昇するまで前記循環ポンプ及び前記加熱機構の作動を継続する、請求項2又は3に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記制御器には、前記即湯循環経路と配管径が同等であり、かつ、前記循環ポンプが前記一定出力で作動することで形成された、第1経路長の第1即湯循環経路及び第2経路長の第2即湯循環経路のそれぞれにおける第1流量値及び第2流量値が、前記第1経路長及び前記第2経路長と対応付けて予め格納され、
前記制御器は、前記循環ポンプが前記一定出力で作動する条件下での前記流量検出器の流量検出値と、前記第1流量値及び前記第2流量値との関係から、前記第1経路長及び前記第2経路長に基づいて前記給湯装置の前記即湯循環経路の経路長推定値を算出するとともに、前記経路長推定値から前記条件下において前記流体が前記即湯循環経路を一巡するための循環所要時間を算出し、算出された前記循環所要時間に従って前記最小駆動時間を設定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項6】
流体を加熱する加熱機構を含む給湯装置と、
前記給湯装置の給湯先の給湯停止中に前記流体の温度低下に応じて実行される即湯運転において作動される循環ポンプと、
前記循環ポンプの作動時に、前記給湯装置の内部において前記流体が前記加熱機構を通過する様に前記給湯装置の2個のポートの間に形成される内部経路と、前記給湯装置の外部において前記2個のポート間に前記給湯装置の給湯先を含まない様に形成される外部経路とを含んで構成される即湯循環経路と、
前記即湯循環経路内に設けられた流量検出器と、
前記循環ポンプ及び前記加熱機構を制御する制御器とを備え、
前記制御器は、
前記即湯運転が開始されると、前記循環ポンプが予め定められた一定出力で作動して前記即湯循環経路が形成されている条件下での前記流量検出器の流量検出値に基づいて設定された最小駆動時間が経過するまでの間、前記循環ポンプを前記一定出力で作動させるとともに前記加熱機構を作動させる、給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置及び給湯システムに関し、より特定的には、即湯運転機能を有する給湯装置及び給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置の一型式として、給湯が長時間停止された後であっても給湯開始直後から適温の湯を出力する、いわゆる、即湯運転機能を具備するものがある。即湯運転を実現するためには、給湯停止(待機)中にも循環ポンプを作動させて、熱源を経由する循環流路を形成する必要がある。
【0003】
特開2021-183889号公報(特許文献1)には、エネルギ消費量が少ない即湯運転を実現するための、即湯運転の終了条件、即ち、循環ポンプのオフ及び燃焼バーナのオフの条件の設定が可能な給湯システムが記載される。
【0004】
具体的には、特許文献1の給湯システムでは、試運転時に即湯運転を実行する際に流量積算値をカウントして、当該即湯運転を開始してから温度センサの検出温度が上昇するまでのカウント値が、即湯運転における循環流路の容量の概略値として取得される。
【0005】
更に、実際の即湯運転では、即湯運転開始からの流量積算値が、試運転で得られた循環流路の容量の概略値を用いて設定された終了判定値に達すると、即湯運転が終了されることが記載される。特に、特許文献1では、上記概略値よりも小さい終了判定値を設定することで(例えば、1/2倍)、エコモードの即湯運転を実現することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-183889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、即湯運転の終了条件を設定するために試運転時に即湯運転を実行することが必要になり、試運転時間が長くなることが懸念される。更に、当該試運転の実行前の状態における、即湯運転時の循環経路内の温度分布によっては、循環流路の容量が過小に検出される虞がある。
【0008】
過小に検出された循環流路容量に従って測定運転の終了判定値を設定すると、循環経路内の流体の加熱が不十分な状態で即湯運転が終了されることが懸念される。反対に、この様なケースを回避するために、マージンを付与して当該終了判定値を設定すると、循環経路の全域の流体の加熱後にも即湯運転を継続することになって、無駄なエネルギ消費が発生することが懸念される。
【0009】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、即湯運転の終了条件を適切に設定することが可能な給湯装置及び給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面では、給湯装置が提供される。給湯装置は、給湯先に対して給湯するための給湯装置であって、流体を加熱する加熱機構と、内部経路と、流量検出器と、循環ポンプ及び加熱機構を制御する制御器とを備える。内部経路は、給湯先の給湯停止中に流体の温度が低下すると循環ポンプの作動を伴って実行される即湯運転において、給湯装置の外部で給湯装置の2個のポート間に給湯先を含まない様に形成される外部経路と併せて、流体が上記2個のポート及び加熱機構を通過する即湯循環経路を形成する。流量検出器は、即湯循環経路内に配置される。制御器は、即湯運転が開始されると、循環ポンプが予め定められた一定出力で作動して即湯循環経路が形成されている条件下での流量検出器の流量検出値に基づいて設定された最小駆動時間が経過するまでの間、循環ポンプを一定出力で作動させるとともに加熱機構を作動させる。
【0011】
本発明のある局面では、給湯システムが提供される。給湯システムは、流体を加熱する加熱機構を含む給湯装置と、循環ポンプと、即湯循環経路と、流量検出器と、循環ポンプ及び加熱機構を制御する制御器とを備える。循環ポンプは、給湯先の給湯停止中に流体の温度低下に応じて実行される即湯運転において作動する。即湯循環経路は、循環ポンプの作動時に、内部経路及び外部経路を含んで構成される。内部経路は、循環ポンプの作動時に、給湯装置の内部において流体が加熱機構を通過する様に給湯装置の2個のポートの間に形成される。外部経路は、給湯装置の外部で上記2個のポート間に給湯装置の給湯先を含まない様に形成される。流量検出器は、即湯循環経路内に設けられる。制御器は、即湯運転が開始されると、循環ポンプが予め定められた一定出力で作動して即湯循環経路が形成されている条件下での流量検出器の流量検出値に基づいて設定された最小駆動時間が経過するまでの間、循環ポンプを一定出力で作動させるとともに加熱機構を作動させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、即湯運転の終了条件を適切に設定することが可能な給湯装置及び給湯システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る給湯装置を含む給湯システムの構成を説明するブロック図である。
図2図1に示されたコントローラのハードウェア構成例を説明するブロック図である。
図3】実施の形態1に係る給湯装置による即湯運転の制御処理を説明するフローチャートである。
図4】即湯循環経路の経路長推定値の算出処理を説明する概念図である。
図5】流量検出値と循環所要時間との関係を示す概念図である。
図6】実施の形態2に係る給湯装置による即湯運転の制御処理を説明するフローチャートである。
図7】間欠加熱制御を説明する状態遷移図である。
図8】給湯装置及び給湯システムの他の構成例を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0015】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に係る給湯装置を含む給湯システム1Aの構成を説明するブロック図である。
【0016】
図1を参照して、給湯システム1Aは、給湯装置100と、低温水配管110と、高温水配管120と、循環配管130とを備える。給湯装置100は、入水ポート11と、出湯ポート12と、循環ポート13とを有する。
【0017】
低温水配管110には、低温水が供給される。低温水は、代表的には、図示しない水道管から供給される。低温水配管110は、給湯装置100の入水ポート11に対して接続される。高温水配管120は、給湯装置100の出湯ポート12と、給湯栓200との間に接続される。循環配管130は、高温水配管120から分岐して、給湯装置100の循環ポート13と接続される。
【0018】
給湯装置100は、コントローラ10と、入水経路20と、逆止弁21と、バイパス経路22と、循環経路23と、出湯経路25と、燃焼機構30と、熱交換器40と、循環ポンプ80と、流量調整弁90とを備える。
【0019】
入水経路20は、逆止弁21を経由して、入水ポート11と、熱交換器40の入力側(上流側)との間に形成される。燃焼機構30は、代表的には、ガス又は石油等の燃焼による熱量を発生するバーナによって構成される。
【0020】
熱交換器40は、燃焼機構30が発生した熱量を用いて、入水経路20によって導入された低温水(流体)を加熱して温度を上昇させる。燃焼機構30及び熱交換器40は、「加熱機構」の一実施例を構成する。
【0021】
出湯経路25は、熱交換器40の出力側(下流側)と、出湯ポート12との間に形成される。バイパス経路22は、熱交換器40を経由することなく、入水経路20及び出湯経路25の間を接続する。コントローラ10による流量調整弁90の制御によって、トータル流量(熱交換器40の流量及びバイパス経路22の流量の和)に対する、バイパス経路22の流量の比率(バイパス流量比)を調整することができる。
【0022】
このようなバイパス構成では、低温水の一部が熱交換器40をバイパスされて非加熱のまま、熱交換器40の下流で混合されることによって、出湯ポート12から高温水が供給される。これにより、熱交換器40(加熱機構)からの出力温度を高くすることができるので、燃焼機構30の排気が熱交換器40の表面で冷却されることによって発生するドレンの抑制に有利である。
【0023】
循環経路23は、循環ポート13及び入水経路20(接続点27)の間に形成される。循環経路23には、循環ポンプ80が介挿接続される。或いは、循環ポンプ80は、給湯装置100の外部で循環配管130に介挿接続されてもよい。循環ポンプ80の作動及び停止は、コントローラ10によって制御される。又、循環経路23には、流量センサ76が配置される。流量センサ76は、循環ポート13及び循環ポンプ80の間に配置することができる。
【0024】
入水経路20には、低温水の流量値を出力する流量センサ75が配置される。流量センサ75,76による流量検出値Qf,Qcrは、コントローラ10へ入力される。入水経路20には、温度センサ71が更に配置される。温度センサ71は、熱交換器40による加熱前の入水温度Twを検出する。
【0025】
出湯経路25には、温度センサ72,73が配置される。温度センサ72は、出湯経路25において、バイパス経路22との接続点26よりも下流側に配置されて、出湯温度Thを検出する。一方で、温度センサ73は、接続点26よりも上流側に配置されて、熱交換器40からの出力温度に相当する缶体温度Tbを検出する。温度センサ71~73によって検出された各流体温度は、コントローラ10へ入力される。
【0026】
図2は、コントローラ10のハードウェア構成例を説明するブロック図である。
図2を参照して、コントローラ10は、代表的にはマイクロコンピュータによって構成される。コントローラ10は、CPU(Central Processing Unit)15と、メモリ16と、入出力(I/O)回路17と、電子回路18とを含む。CPU15、メモリ16及びI/O回路17は、バス14を経由して、相互に信号の授受が可能である。電子回路18は、所定の演算処理を専用のハードウェアによって実行するように構成される。電子回路18は、CPU15及びI/O回路17との間で信号の授受が可能である。
【0027】
CPU15は、I/O回路17を通じて、温度センサ71~73及び流量センサ75,76を含む各センサからの出力信号(検出値)を受ける。更に、CPU15は、I/O回路17を通じて、リモートコントローラ92に入力された操作指示を示す信号を受ける。操作指示は、例えば、給湯装置100の運転スイッチのオンオフ操作、給湯設定温度、及び、各種の時刻予約設定(「タイマ設定」とも称する)を含む。CPU15は、当該操作指示に従って給湯装置100が動作するように、燃焼機構30及び循環ポンプ80を含む各構成機器を制御するための動作指令を生成する。又、リモートコントローラ92に設けられた、図示しない表示画面及びスピーカを用いて、ユーザに対して情報を出力することも可能である。
【0028】
再び図1を参照して、給湯装置100の動作を説明する。
給湯栓200が開放される給湯運転時には、低温水の供給圧力によって、入水経路20に低温水が導入される。給湯装置100の運転スイッチのオン中に、流量センサ75によって、最小作動流量(MOQ)を超える流量が検出されると、コントローラ10が燃焼機構30を作動させる。
【0029】
この結果、燃焼機構30及び熱交換器40によって加熱された高温水は、バイパス経路22を通過する低温水と混合された後、出湯ポート12を経由して、高温水配管120から給湯栓200へ出力される。尚、給湯栓200は、給湯装置100の「給湯先」の代表例に示されるものである。当該給湯先は、浴槽等への出湯をオンオフする電磁弁を含んでもよく、ユーザ操作によって直接開閉操作されるものに限定されない。
【0030】
通常の給湯運転時には、コントローラ10によって、循環ポンプ80は停止されるとともに、温度センサ72によって検出される流体温度(出湯温度Th)が、リモートコントローラ92に入力された給湯設定温度Trに制御される。具体的には、燃焼機構30(加熱機構)による加熱量(発生熱量)の制御と、流量調整弁90によるバイパス流量比の制御との組み合わせによって、出湯温度制御を行なうことができる。
【0031】
例えば、燃焼機構30で発生させるべき熱量Pset(単位時間当たり)は、下記の式(1)に従って設定することができる。尚、式(1)中のkは、熱量への変換係数である。
Pset=k×Qf×(Tr-Tw) …(1)
【0032】
又、流量調整弁90によるバイパス流量比は、出湯温度Th及び給湯設定温度Trの偏差に基づくフィードバック制御によって調整することができる。
【0033】
給湯運転の停止時には、出湯経路25及び高温水配管120内に滞留する流体の温度が低下するため、次回の給湯運転の開始後に、給湯栓200に対して適温の湯を供給するまでに時間を要することが懸念される。このため、給湯装置100には、給湯運転の開始後、速やかに高温水を供給するための即湯運転機能が設けられる。即湯運転は、給湯栓200の閉止等による給湯先の給湯停止中に、循環ポンプ80の作動によって、熱交換器40(加熱機構)を含む即湯循環経路を形成することで実現される。
【0034】
即湯循環経路は、循環ポート13から、循環経路23,入水経路20(接続点27よりも下流側)、熱交換器40、出湯経路25、出湯ポート12、及び、高温水配管120(接続点125よりも上流側)、及び、循環配管130を経由して、循環ポート13へ戻るループによって構成される。当該ループのうち、給湯装置100内の部分は「内部経路」の一実施例に対応し、循環配管130を含む給湯装置100の外部の部分は「外部経路」の一実施例に対応する。又、図1の例では、出湯ポート12及び循環ポート13が、即湯循環経路の流体が通過する「2個のポート」の一実施例に対応する。
【0035】
循環ポンプ80の作動により上記即湯循環経路が形成されると、流量センサ75の流量検出値QfがMOQを超えることによって、燃焼機構30が作動する。これにより、即湯循環経路内の湯水が加熱される。
【0036】
図1の構成において、温度センサ71~73及び流量センサ75,76は、即湯循環経路内に配置されていることが理解される。従って、流量センサ75,76は「流量検出器」の一実施例に対応する。温度センサ71~73は「温度検出器」の一実施例に相当するが、温度センサ72を「温度検出器」とする実施例を説明する。又、即湯運転中において、流量センサ75及び76によって検出される流量は同等となるが、本明細書では、流量センサ75は「流量検出器」とする実施例を説明する。
【0037】
即湯運転中に給湯栓200が開放されると、即湯運転は中止されて、循環ポンプ80の停止を伴って給湯運転が開始される。尚、給湯栓200が開放された場合には、流量センサ76による流量検出値Qcr(循環経路23)に対して、流量センサ75による流量検出値Qfが(入水経路20)が増加する。従って、コントローラ10は、即湯運転中において、流量検出値Qf及びQcrの差分(Qf-Qcr)を予め定められた判定値と比較することで、給湯栓200が閉止及び開放のいずれの状態であるかを監視することができる。
【0038】
図3には、実施の形態1に係る給湯装置による即湯運転の制御処理を説明するフローチャートが示される。図3に示された制御処理は、給湯運転の停止時に、コントローラ10によって繰り返し起動される。
【0039】
図3を参照して、コントローラ10は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110では、即湯運転の開始条件を判定する。S110は、S111~S114を含む。
【0040】
S111では、即湯運転モードがオンされているかが判定される。即湯運転モードは、例えば、ユーザのスイッチ操作に応じてオンオフされる。或いは、ユーザによるタイマ設定、又は、過去の履歴の学習によって、即湯運転モードのオン期間が設けられてよい。S111は、即湯運転モードのオン時にYES判定される一方で、オフ時にはNO判定とされる。
【0041】
S112では、流量検出値QfとMOQとの比較により、給湯停止中であるか否かが判定される。給湯栓200の閉止等によりQf<MOQであると、S112はYES判定とされて、給湯停止中と判定される。反対に、給湯装置100から湯又は水が出力されて流量検出値Qf≧MOQである場合には、S112はNO判定とされる。
【0042】
S113では、即湯循環経路での流体温度の検出値、例えば、温度センサ72による温度検出値である出湯温度Thが、判定温度T1と比較される。判定温度T1は、給湯設定温度Trよりもα[℃]低く設定される(T1=Tr-α)。例えば、α=10[℃]程度に設定することができる。S113は、Th<T1であればYES判定とされる一方で、Th≧T1のときにはNO判定とされる。判定温度T1は「第1判定温度」に対応する。
【0043】
S114では、即湯運転のインターバル時間Tint、即ち、前回の即湯運転の終了時からの経過時間が、判定時間Trstと比較される。Trstは、例えば、10分程度に設定することができる。S114は、Tint>TrstであればYES判定とされる一方で、Tint≦TrstのときにはNO判定とされる。
【0044】
コントローラ10は、S111~S114の全てがYES判定とされたときに、S110をYES判定として、即湯運転を開始する。一方で、S111~S114のいずれかがNO判定とさると、S110はNO判定とされて、即湯運転は開始されない。
【0045】
即湯運転が開始されると、コントローラ10は、S120により、循環ポンプ80を起動する。循環ポンプ80の出力(駆動トルク)は、予め定められた一定値とされる。更に、S130では、循環ポンプ80の作動時間Tmを計測するためのタイマが起動される。循環ポンプ80の作動によって上記即湯循環経路が形成されると、コントローラ10は、流量検出値QfがMOQを超えたことに応じて、加熱機構を作動させる(S140)。例えば、バーナの燃焼がオンされて、加熱が開始される。
【0046】
コントローラ10は、循環ポンプ80の作動後に、流量センサ75による流量検出値Qfに基づき、循環ポンプ80が予め定められた一定出力で作動する下で、給湯装置100の即湯循環経路を流体が一巡するのに要する時間(循環所要時間Tcr)を算出するためのS150を実行する。S150は、S152、S154、及び、S156を有する。
【0047】
尚、S150は、即湯運転の開始毎に実行する必要はなく、S150によって循環所要時間Tcrが一旦得られると、以降では、S150の実行を省略することができる。或いは、一定期間の経過毎、又は、一定回数の即湯運転の実行毎に、即湯運転の開始と連動して、S150を再度実行することも可能である。
【0048】
コントローラ10は、S152では、循環ポンプ80が一定出力で作動する下で、流量検出値Qfが安定したか否かを判定する。例えば、一定時間内での流量検出値Qfの最大値と最小値の差分が所定値以下になると、S152はYES判定とされる。
【0049】
コントローラ10は、流量検出値Qfが安定すると(S152のYES判定時)、S154により、流量検出値Qfから、給湯装置100の即湯循環経路の経路長推定値Lxを算出する。更に、S156では、S154で算出された経路長推定値Lxから循環所要時間Tcrを算出する。
【0050】
ここで、図4及び図5を用いて、S150による即湯循環経路の経路長推定値及び一巡所要時間の算出を詳細に説明する。
【0051】
即湯循環経路を構成する配管の径が一様であるとすると、循環ポンプ80の出力(駆動トルク)を一定とした下では、配管による圧損は、配管長に比例する。
【0052】
従って、図4に示される様に、規定の配管径a[m]で配管長の合計(即ち、経路長)が既知の循環経路にて、循環ポンプ80を予め定められた出力トルクTR1[N・m]で作動したときの、流量検出値を予め二点格納しておく。
【0053】
具体的には、経路長L1[m]の循環経路での流量値Q1[L/min]と、経路長L2[m]の循環経路での流量値Q2[L/min]とを示すデータが、コントローラ10に予め格納されている。流量値Q1,Q2は、配管径を同等に設計した循環経路を用いた実機実験等によって予め求めることが可能であり、当該実験結果を示すデータを、工場出荷の段階で、コントローラ10に書き込こむことができる。
【0054】
S154では、図4中の(L1,Q1)及び(L2,Q2)に対する、S152での安定後の流量検出値Qfを用いた線形補間によって、給湯装置100での即湯循環経路の経路長推定値Lxを算出することができる。例えば、図4によれば、下記の式(2)により、Q1,Q2,L1,L2から、経路長推定値Lxを算出することができる。
Lx=L1+(Qf-Q1)・(L1-L2)/(Q1-Q2) …(2)
【0055】
式(2)は、Qfを変数とする項と、Qfに依存しない定数項に分けると、式(3)で示される。
Lx=A・Qf+B …(3)
A=(L1-L2)/(Q1-Q2)
B=L1-Q1・(L1-L2)/(Q1-Q2)
【0056】
即湯循環経路の流体が通過する体積は、V=(π・a/4)・Lxとなるので、流量検出値Qfの下で、当該即湯循環経路を流体が一巡するのに要する時間は、V/Qfで求めることができる。
【0057】
従って、図5に示される様に、循環所要時間Tcrは、流量検出値Qf[L/min]に対して反比例することになり、具体的には、式(3)でのA,Bを用いた下記の式(4)にQf[L/min]を代入することよって求めることができる。
【0058】
Tcr=(π・a/4)・Lx[L/min]/(Qf・0.001[m/L])
=250π・a・(B/Qf+A) …(4)
【0059】
再び、図3を参照して、コントローラ10は、S160により、S150で算出された循環所要時間Tcrに従って、循環ポンプ80の作動時間Tmに係る終了判定値である最小駆動時間Tminを設定する。コントローラ10は、即湯運転中には、S170により、タイマによって計測された作動時間Tmを、S160で設定された最小駆動時間Tminと比較する。
【0060】
作動時間Tmが最小駆動時間Tminに達するまでの間(S170のNO判定時)、S180により、循環ポンプ80の作動が維持されて、即湯運転が継続される。一方、作動時間Tmが最小駆動時間Tminに達すると(S170のYES判定時)、S190により、循環ポンプ80が停止される。これに応じて、流量検出値QfがMOQよりも低下すると、燃焼機構30も停止される。これにより、即湯運転が終了する。
【0061】
最小駆動時間Tminは、例えば、循環所要時間Tcrと同等に設定することができる。この様にすると、加熱エネルギに無駄を生じることなく、即湯循環経路の略全域の流体を加熱することができる。或いは、循環所要時間Tcrを基準として、Tmin<Tcrの領域で最小駆動時間Tminを設定すると、特許文献1と同様の、エコモードの即湯運転を実現することができる。
【0062】
尚、コントローラ10は、即湯運転中には、上述した、S120~S190の処理と並行して、(Qf-Qcr)に基づく給湯栓200の監視を行っており、(Qf-Qcr)の上昇により給湯栓200の開放(給湯開始)が検知された場合には、割り込み処理によってS190に処理を進めることで、即湯運転を終了する。
【0063】
この様に、実施の形態1に係る給湯装置によれば、循環ポンプ80の作動によって形成される即湯循環経路の流体が一巡する所要時間を流量検出値から推定することによって、試運転時に即湯運転を実行することなく、即湯運転の終了条件を適切に設定することができる。
【0064】
尚、図3のS150では、即湯循環経路と同等の配管径で、かつ、既知の2個の経路長(L1,L2)での循環ポンプ80の同一条件下における既知の2個の流量値(Q1,Q2)を予め記憶することで、流量検出値Qfと、流量値Q1,Q2との関係から、経路長L1,L2に対する線形補間による演算処理例を説明したが、経路長推定値Lxの算出は、この内容に限定されるものではない。例えば、同等の配管径の即湯循環経路において、循環ポンプ80を出力トルクTR1[N・m]で作動したときの流量検出値Qf(S152)から、経路長推定値Lxを直接算出するルックアップテーブル又は演算式を、実機実験結果等に基づいて予め作成しておき、S150では、当該ルックアップテーブル又は演算式を用いて、経路長推定値Lxを算出することも可能である。又、図1の構成例では、流量センサ76の流量検出値Qcrを用いて、経路長推定値Lx及び循環所要時間Tcrを算出することも可能である。
【0065】
[実施の形態2]
実施の形態1で説明した様に、即湯循環経路が長い場合には、圧損の影響によって即湯運転での流量が小さくなる。これに対して、加熱機構では、安定的に発生可能な最小加熱量が存在する。例えば、燃焼機構30を構成するバーナにおいて、燃焼を安定状態に維持可能な燃料燃焼量には一定の下限値が存在するが、当該下限値の燃料燃焼時における流体の加熱量が、上述の最小加熱量に相当する。
【0066】
この様な、低流量下での即湯運転では、流体を連続的に加熱することが困難になる可能性がある。実施の形態2では、この様なケースに対処するために、間欠加熱を組み合わせる制御を説明する。
【0067】
図6には、実施の形態2に係る給湯装置による即湯運転の制御処理を説明するフローチャートが示される。図6に示された制御処理についても、即湯運転の停止時に、コントローラ10によって起動される。
【0068】
図6を参照して、コントローラ10は、図3と同様のS110によって即湯運転の開始条件の成立を判定し、開始条件が成立すると(S110のYES判定時)、図3と同様のS120,S130により循環ポンプ80を起動するとともに、循環ポンプ80の作動時間Tmを計測するためのタイマを起動する。更に、実施の形態2では、即湯運転における温度上昇履歴を示すフラグFtが導入される。即湯運転の開始時には、例えば、S130により、当該フラグFt=0に初期化される。
【0069】
コントローラ10は、図3と同様に、循環ポンプ80の作動に応じて即湯循環経路の流量検出値QfがMOQを超えたことに応じて加熱機構を作動し(S140)。更に、必要に応じて、図3と同様のS150を実行して、給湯装置100の即湯循環経路の循環所要時間Tcrを算出する。即湯運転の開始時には、図3と同様のS160により、実施の形態1と同様に、最小駆動時間Tminを設定する。
【0070】
コントローラ10は、作動時間Tmが最小駆動時間Tminに達するまでの間(S170のNO判定時)、S200による間欠加熱制御を適用した上で、循環ポンプ80の作動を維持することで(S180)、即湯運転を継続する。
【0071】
図7には、S200での間欠加熱制御を説明する状態遷移図が示される。
図7を参照して、間欠加熱制御では、即湯運転の開始時に、フラグFt=0への初期設定を伴って、流量検出値QfがMOQを超えるのに応じて、燃焼機構30による燃焼がオンされる。即ち、加熱機構が「加熱中」の状態となる。
【0072】
燃焼オン時には、即湯循環経路での流体温度の検出値、例えば、温度センサ72による温度検出値(出湯温度Th)が、判定温度T1より高く設定された判定温度T2(T2>T1)よりも上昇すると、フラグFt=1に設定した上で、燃焼機構30による燃焼がオフされて、加熱機構が「加熱停止中」の状態となる。例えば、判定温度T2は、給湯設定温度Trよりも高く設定することが可能であり、T2=Tr+βとすると、β=3[℃]程度に設定することができる。但し、β<0として、判定温度T2が給湯設定温度Trより低く設定されてもよい。判定温度T2は「第2判定温度」に対応する。
【0073】
例えば、入水温度Tw及び流量検出値Qfに基づき式(1)に従って設定された燃焼機構30から発生すべき熱量が、上述した燃焼機構30の最小熱量よりも小さい場合に、当該最小熱量での加熱を継続することで、Th>T2となるケースが発生することになる。
【0074】
一方で、燃焼オンから燃焼オフへの遷移後には、即湯循環経路での流体温度の検出値、例えば、温度センサ72による温度検出値(出湯温度Th)が、判定温度T2より低く設定された判定温度T3(T3<T2)よりも低下すると、再び、燃焼がオン、即ち、燃焼機構30が作動される。この際に、フラグFtは「1」に維持される。即ち、フラグFtは、Th<T1(T1=Tr-α)である即湯運転の開始時に「0」に初期化され、Th>T2(T2=Tr+β)までの温度上昇が一旦生じると、当該即湯運転の終了まで「1」に維持される。
【0075】
例えば、判定温度T3は、給湯設定温度Trよりも低く、かつ、即湯運転の開始条件での判定温度T1より高い温度に設定することができる。但し、判定温度T3については、給湯設定温度Tr以上に設定されてもよく、或いは、判定温度T1以下に設定されてもよい。判定温度T3は「第3判定温度」に対応する。
【0076】
この様に、即湯循環経路での流体温度の検出値(例えば、出湯温度Th)の上昇及び低下に応じて、燃焼機構30の燃焼オンオフによる間欠加熱制御を適用することで、燃焼機構30から発生すべき熱量が最小熱量より小さい場合においても、流体温度を過上昇させることなく、作動時間Tmが最小駆動時間Tminに達するまで、即湯運転を継続することができる。
【0077】
間欠加熱制御中に、即湯運転の終了による循環ポンプ80の停止によって流量検出値QfがMOQよりも低下すると、間欠加熱制御が終了される。この場合には、即湯循環経路での流体温度の検出値が低下しても、燃焼オフ(加熱停止)から燃焼オン(加熱再開)への遷移は発生しない。
【0078】
再び図6を参照して、コントローラ10は、作動時間Tmが最小駆動時間Tminに達すると(S170のYES判定時)、S210により、間欠加熱制御で導入されたフラグFtの値を判定する。Ft=1、即ち、今回の間欠加熱において、即湯循環経路での流体温度の検出値(例えば、出湯温度Th)が判定温度T2まで上昇した履歴がある場合には(S210のYES判定時)には、S190に処理が進められて、循環ポンプ80の停止によって即湯運転が終了される。
【0079】
これに対して、フラグFt=0のとき(S210のNO判定時)には、S170のYES判定、及び、S210のNO判定の組み合わせにより、循環ポンプ80の作動が継続される(S180)。この場合には、間欠加熱制御(図7)を伴って、出湯温度Thが判定温度T2まで上昇した履歴が発生するまで、循環ポンプ80の作動継続により(S180)即湯運転が継続される。そして、Th>T2になると、S170のYES判定、及び、S210のYES判定の組み合わせにより、処理がS190に進められることで、即湯運転は終了される。
図6においても、即湯運転中には、(Qf-Qcr)の上昇により給湯栓200の開放(給湯開始)が検知されると、割り込み処理によってS190に処理が進められて、即湯運転は終了される。
【0080】
この様に、実施の形態2に係る給湯装置によれば、間欠加熱制御を組み合わせることで、実施の形態1と同様の終了条件に従う即湯運転を、低流量下でも円滑に実行することができる。
【0081】
次に、本実施の形態による給湯及び給湯システムの変形例について更に説明する。
図8には、本実施の形態の変形例に係る給湯装置及び給湯システムの構成の変形例を説明するブロック図が示される。
【0082】
図8を参照して、給湯システム1Bは、給湯装置100Xと、低温水配管110と、高温水配管120と、循環配管130と、循環ポンプ80とを備える。給湯装置100Xは、循環ポート13を具備することなく、入水ポート11及び出湯ポート12を有する。従って、給湯装置100Xの内部には、図1の給湯装置100とは異なり、循環経路23及び流量センサ76が設けられない。
【0083】
低温水の供給を受ける低温水配管110は、給湯装置100Xの入水ポート11と接続されるとともに、循環配管130とも接続される。即ち、給湯システム1Bでは、循環配管130は、低温水配管110及び高温水配管120の間に接続される。
【0084】
循環ポンプ80は、例えば、循環配管130に介挿接続される。循環ポンプ80は、図8に例示される様に給湯装置100Xの外部に配置されてもよく、給湯装置100Xの内部において、入水経路20に介挿接続されてもよい。
【0085】
給湯運転時には、循環ポンプ80が停止されることで、図1の給湯装置100と同様の流体経路を、給湯装置100Xの内部にも形成することができる。従って、給湯装置100Xにおいても、給湯装置100(図1)と同様の給湯運転を行うことができる。
【0086】
一方で、流量調整弁90を閉止した状態(流量=0)で循環ポンプ80を作動させることで、給湯装置100Xにおいても、熱交換器40(加熱機構)を含む即湯循環経路を形成することができる。
【0087】
具体的には、入水ポート11から、入水経路20、熱交換器40、出湯経路25、出湯ポート12、及び、高温水配管120(接続点125よりも上流側)、循環配管130、及び、低温水配管110(接続点127よりも下流側)を経由して、入水ポート11へ戻るループによって、即湯循環経路を構成することができる。図8の構成において、当該ループのうち、給湯装置100X内の部分は「内部経路」の一実施例に対応し、循環配管130を含む給湯装置100Xの外部の部分は「外部経路」の一実施例に対応する。図8の例では、入水ポート11及び出湯ポート12が、即湯循環経路の流体が通過する「2個のポート」の一実施例に対応する。
【0088】
給湯装置100Xにおいても、流量センサ75及び温度センサ71~73が、給湯装置100と同様に、即湯循環経路内に配置されるので、即湯循環経路の流量検出値Qfを用いて、実施の形態1又は2を適用した即湯運転を実行することが可能である。
尚、図8の構成例では、コントローラ10は、即湯運転中において、流量検出値Qfの挙動に基づいて、給湯栓200が閉止及び開放のいずれの状態であるかを監視することができる。即ち、循環ポンプ80が一定出力で作動する下で、予め定められた判定値を超えて流量検出値Qfが増加すると、給湯栓200の開放(給湯開始)を検知して、即湯運転を終了することができる。
【0089】
又、本実施の形態において、加熱機構での熱源は、燃料燃焼によって加熱する燃焼機構30に限定されるものでなく、任意の熱源を適用することが可能である。
【0090】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
1A,1B 給湯システム、10 コントローラ、11 入水ポート、12 出湯ポート、13 循環ポート、14 バス、15 CPU、16 メモリ、17 I/O回路、18 電子回路、20 入水経路、21 逆止弁、22 バイパス経路、23 循環経路、25 出湯経路、26,27,125,127 接続点、30 加熱機構、40 熱交換器、71~73 温度センサ、75,76 流量センサ、80 循環ポンプ、90 流量調整弁、92 リモートコントローラ、100,100X 給湯装置、110 低温水配管、120 高温水配管、130 循環配管、200 給湯栓、Ft フラグ(即湯運転温度上昇履歴)、L1,L2 経路長(既知)、Lx 経路長推定値、Q1,Q2 流量値(既知)、Qf 流量検出値、T1~T3 判定温度、Tb 缶体温度、Tcr 循環所要時間、Th 出湯温度、Tint インターバル時間、Tm 作動時間(循環ポンプ)、Tmin 最小駆動時間、Tr 給湯設定温度、Trst 判定時間(インターバル時間)、Tw 入水温度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8