(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157524
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】手摺
(51)【国際特許分類】
E04G 5/14 20060101AFI20231019BHJP
E04F 11/18 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E04G5/14 302A
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067487
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301FF05
2E301JJ02
2E301JJ05
2E301JJ09
2E301LL19
2E301MM01
(57)【要約】
【課題】天板部に対して手摺を容易にロックできるようにすることを目的とする。
【解決手段】作業台100の天板部110の端部に対して着脱可能な手摺であって、手摺本体32と、手摺本体32が端部に装着された状態をロックするロック部材55と、有し、ロック部材55は、天板部110の端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能であることを特徴とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業台の天板部の端部に対して着脱可能な手摺であって、
手摺本体と、
前記手摺本体が前記端部に装着された状態をロックするロック部材と、有し、
前記ロック部材は、
前記端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能であることを特徴とする手摺。
【請求項2】
前記ロック部材を前記端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能にガイドするガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載の手摺。
【請求項3】
前記手摺本体は、前記端部に対して鉛直方向への動きが規制された状態で装着され、
前記ガイド部材は、前記ロック部材を略鉛直方向に移動可能にガイドすることを特徴とする請求項2に記載の手摺。
【請求項4】
前記手摺本体は、略鉛直方向に沿って長い支柱部材を有し、
前記ロック部材は、前記支柱部材に前記ガイド部材を介して取り付けられることを特徴とする請求項2または3に記載の手摺。
【請求項5】
前記ロック部材は、
前記ガイド部材によってガイドされる被ガイド部と、
前記手摺本体が前記端部に装着された状態をロックするロック部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の手摺。
【請求項6】
前記ロック部材を前記移動可能な方向に沿って見たときに、前記被ガイド部と前記ロック部とが異なって位置することを特徴とする請求項5に記載の手摺。
【請求項7】
前記ロック部材を前記移動可能な方向に沿って見たときに、前記ロック部は、前記ガイド部材に対して前記被ガイド部よりも離れて位置することを特徴とする請求項6に記載の手摺。
【請求項8】
前記ロック部材を前記移動可能な方向に沿って見たときに、前記ロック部は、前記被ガイド部を中心とする軸回りに揺動可能であることを特徴とする請求項5ないし7の何れか1項に記載の手摺。
【請求項9】
前記ロック部材は、
作業者が前記端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に操作可能な操作部を有することを特徴とする請求項5ないし7の何れか1項に記載の手摺。
【請求項10】
前記ロック部材は、
前記被ガイド部と前記操作部との間で屈曲し、前記操作部と前記ロック部との間で屈曲していることを特徴とする請求項9に記載の手摺。
【請求項11】
前記ロック部材は、軸状であって、少なくとも一部が曲がっていることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の手摺。
【請求項12】
前記ロック部材は、所定の範囲内で前記端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能であることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載の手摺。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業台の天板部の端部に対して着脱可能な手摺が用いられている。特許文献1には、作業台の天板部の手摺用孔に挿入される挿入ピンを有する手摺が開示されている。作業者は、手摺を天板部に取り付けた状態で、手摺用孔に挿入ピンを挿入することで手摺が天板部から外れないようにロックすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された挿入ピンは、紐状部材によって手摺の支柱部材に繋がれているために、作業者が挿入ピンを手摺用孔に挿入する操作に手間取ってしまうことがあり、改善の余地がある。
本発明は、天板部に対して手摺を容易にロックできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、作業台の天板部の端部に対して着脱可能な手摺であって、手摺本体と、前記手摺本体が前記端部に装着された状態をロックするロック部材と、有し、前記ロック部材は、前記端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、天板部に対して手摺を容易にロックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】第1の実施形態の作業台システムの構成の一例を示す平面図である。
【
図1B】作業台システムの構成の一例を示す正面図である。
【
図1C】作業台システムの構成の一例を示す側面図である。
【
図2】作業台システムの構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】作業台システムの構成の一例を示す斜視図である。
【
図9】ロック部材の周辺の構成の一例を示す図である。
【
図10】長手手摺および短手手摺の取り付け方法を説明するための図である。
【
図11】長手手摺および天板部の構成の一例を示す断面図である。
【
図12】第2の実施形態の長手手摺の構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態に係る手摺および作業台システムについて図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1Aは、第1の実施形態の作業台システム10の構成の一例を示す平面図である。
図1Bは、作業台システム10の構成を前側から見た正面図である。
図1Cは、作業台システム10の構成を左側から見た側面図である。
図2は、作業台システム10の一部を左側から見た斜視図である。
図3は、作業台システム10の一部を前側から見た斜視図である。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、前側をFr、後側をRr、右側をR、左側をLとして示している。なお、前後方向と左右方向とは略直交する。
【0009】
作業台システム10は、所定数の作業台100、所定数のブリッジ台車200、所定数のブリッジ300、手摺部30、梯子部70等の複数の種類の構成機材からなる。所定数の作業台100、所定数のブリッジ台車200、所定数のブリッジ300を連結することで作業者が高所作業を行うことができる略矩形状の広い作業平面が形成される。
本実施形態の作業台システム10は、略矩形状の作業平面を形成する具体的な数量として、9台の作業台100(100a~100i)、6台(6枚)のブリッジ台車200(200a~200f)、30枚のブリッジ300を有する。本実施形態の作業平面は、前後方向の長さが例えば7700mm~7900mmであり、左右方向の長さが例えば5000mm~6100mmである。このような作業平面の大きさは、作業現場がビルである場合にフロア内に位置する柱間に作業平面が収まる寸法である。
【0010】
なお、9台の作業台100a~100iはそれぞれ同様の構成であり、区別する必要がない場合には以下では単に作業台100という。また、6台のブリッジ台車200a~200fはそれぞれ同様の構成であり、区別する必要がない場合には以下では単にブリッジ台車200という。また、30枚のブリッジ300はそれぞれ同様の構成である。
【0011】
具体的に、作業台システム10は前後方向に沿った3つの列ユニット20a~20cが作業台100とブリッジ台車200とから構成される。この列ユニット20a~20cは、作業台システム10を構成する上で基準となる。3つの列ユニット20a~20cはそれぞれ、後側から前側に向かって作業台100、ブリッジ台車200、作業台100、ブリッジ台車200、作業台100の順に配置される。本実施形態では、平面視において、作業台100とブリッジ台車200とは大きさが略同一であり、前後方向(長手方向)が左右方向(短手方向)よりも長い略矩形状である。より詳細には、作業台100およびブリッジ台車200は、前後方向の長さと左右方向の長さとの比が略3:2の関係である。
【0012】
また、作業台システム10は、左右方向に間隔を空けてそれぞれ平行に配置した3つの列ユニット20a~20cの間に隙間なく複数のブリッジ300を架け渡して構成される。本実施形態では、平面視において、ブリッジ300は前後方向(短手方向)が左右方向(長手方向)よりも短い略矩形状である。より詳細には、ブリッジ300は前後方向の長さと左右方向の長さとの比が略1:3の関係である。また、作業台100およびブリッジ台車200の前後方向の長さとブリッジ300の左右方向の長さとが略同一であり、作業台100およびブリッジ台車200の前後方向の長さとブリッジ300の前後方向の長さとの比が略3:1の関係である。したがって、離れて配置された作業台100の間に3枚のブリッジ300を架け渡すことができ、離れて配置されたブリッジ台車200の間に3枚のブリッジ300を架け渡すことができる。
結果として、列ユニット20aと列ユニット20bとの間に15枚のブリッジ300が配置され、列ユニット20bと列ユニット20cとの間に15枚のブリッジ300が配置される。
【0013】
手摺部30は、着脱可能であって、作業平面の外周縁に沿って装着することで作業平面の外周縁を取り囲む。作業者が作業平面で作業しているときに作業者の身体の一部が手摺部30に接触することで、作業者は作業平面の端であることを認識できる。手摺部30は、複数の手摺を有する。
本実施形態の手摺部30は、長手手摺31aと短手手摺31bとを有し、作業平面の外周縁を取り囲む具体的な数量として13台の長手手摺31aと7台の短手手摺31bとを有する。
【0014】
長手手摺31aは、平面視で、作業台100、ブリッジ台車200およびブリッジ300の長手方向の長さと略同一の長さである。長手手摺31aは、作業平面の外周に位置する作業台100、ブリッジ台車200およびブリッジ300のうちそれぞれ長手側の端部に装着される。ただし、
図1Aに示す作業台100cでは長手側の端部に梯子部70を取り付けるために長手手摺31aではなく短手手摺31bが装着される。
また、短手手摺31bは、平面視で、作業台100およびブリッジ台車200の短手方向の長さと略同一の長さである。短手手摺31bは、作業平面の外周に位置する作業台100およびブリッジ台車200のうちそれぞれ短手側の端部に装着される。
【0015】
梯子部70は、作業平面の外周縁に取り付けることで作業者が作業平面と床面との間を昇降可能にする。
本実施形態の作業台システム10は、具体的な数量として1台の梯子部70を有する。梯子部70は、平面視で、作業台100およびブリッジ300の短手方向の長さよりも適度に短い長さである。梯子部70は、作業平面の外周に位置する作業台100、ブリッジ台車200またはブリッジ300のうち長手側の端部あるいは短手側の端部に取り付けられる。
【0016】
次に、作業台100の構成について
図4を参照して説明する。
図4は、作業台100の構成の一例を示す平面図、正面図、側面図である。
作業台100は、天板部110と、脚部130と、回動部150と、走行部180と、補助接地部190とを有する。
天板部110は、高所作業を行う作業者の足場としての役割を担う。天板部110は、平面視で、前後方向に長い略矩形状である。本実施形態では、天板部110の前後方向(長手方向)の長さが例えば略1550mm(例えば1450mm~1550mm)であり、左右方向(短手方向)の長さが例えば略1010mm(例えば950mm~1050mm)である。また、天板部110は、床面から例えば略1000mm~略1500mmの高さである。なお、天板部110は、前後方向と左右方向との長さが略等しくてもよい。
【0017】
天板部110は、作業面となる表面に滑り止め用の複数の突起を有する。また、天板部110は、外周縁に近接した位置に連結部としての連結バー114を有する。連結バー114は、例えば、天板部110の4隅に位置する。また、天板部110は、表面のうち外周縁に近接した位置に被連結部としての連結孔118を有する。連結孔118は、天板部110の短手側の外周縁に例えば4つ、長手側の外周縁に例えば6つ形成される。連結孔118は、ブリッジ台車200の連結ピン221、ブリッジ300の連結ピン321、または、他の作業台100を直に隣接させたときに他の作業台100の連結バー114と連結するための孔である。
また、天板部110は、外周縁に近接した位置に、手摺部30を装着した状態にロックさせる被ロック部としての複数の手摺用孔125を有する。手摺用孔125は後述するロック部材55が挿入されることにより手摺部30が装着された状態でロックされる。手摺用孔125は、天板部110の長手側の端部(第1の端部)と短手側の端部(第2の端部)とにそれぞれ位置する。手摺用孔125は、長手側の端部に例えば6つ、短手側の端部に例えば2つ形成される。なお、
図4では、天板部110の長手側の端部に長手手摺31aをロックさせる2つの手摺用孔125のみを図示している。ここで、短手側の端部の2つの手摺用孔125のピッチは、長手側の端部の2つの手摺用孔125のピッチと異なっている。
【0018】
脚部130は、天板部110の荷重を支持したり、天板部110で作業する作業者の荷重を支持したりする役割を担う。また、脚部130は、天板部110の下側で連結され、天板部110に対して回動可能である。脚部130が回動することで、脚部130が天板部110と重なり合うようにして折り畳まれる。具体的に、脚部130は4本の脚部材131a~131dを有する。なお、
図4では、脚部材131bは脚部材131a、131dによって隠れるために図示されていない。脚部材131a~131dは、それぞれ天板部110の4隅に近接した位置から床面に向かって延びる。
【0019】
また、脚部材131aと脚部材131bとの間、および、脚部材131cと脚部材131dとの間には、水平方向に沿って横桟部材137が架け渡される。横桟部材137が脚部材131aと脚部材131bとの間、および、脚部材131cと脚部材131dとの間に架け渡されることで、脚部材131aと脚部材131bが一つのユニット、すなわち第1の脚体とし、脚部材131cと脚部材131dとが一つのユニット、すなわち第2の脚体として構成される。したがって、脚部130が天板部110に対して回動する場合には、脚部材131aと脚部材131bとが一体で回動し、脚部材131cと脚部材131dとが一体で回動する。
なお、脚部材131aと脚部材131b、および、脚部材131cと脚部材131dは、高さ方向に段階的に伸縮することができる。すなわち、天板部110は高さを段階的に調整することができる。
【0020】
また、本実施形態の作業台100は、開脚姿勢で脚部130が完全に鉛直方向に延出しているのではなく、安定性を向上させるために鉛直方向に対して傾斜している。すなわち、作業台100を左右方向に沿って見たときに、一対の脚体は上端から下端に向かうにしたがって、互いに離れるように傾斜している。
【0021】
回動部150は、脚部130を天板部110に対して回動させる役割を担う。脚部130が回動部150を介して天板部110に対して回動することで、脚部130が下側に向かって延びる開脚姿勢と、脚部130が天板部110に重なり合って折り畳まれる閉脚姿勢とに変化する。具体的には、回動部150は4つの回動体151a~151dを有する。なお、
図4では、回動体151b、151dはそれぞれ回動体151a、151cによって隠れるために図示されていない。回動体151a~151dは、それぞれ脚部材131a~131dと天板部110との間に配置される。
ここで、
図4に示すように、回動体151a、151bの回動支点P1は、回動体151c、151dの回動支点P2よりも上側、すなわち天板部110側にオフセットして位置する。
【0022】
走行部180は、天板部110および脚部130を支持しながら作業台100を任意の位置に移動させる役割を担う。走行部180は、脚部130の下側に連結される。具体的には、走行部180は4つのキャスター181a~181dを有する。なお、
図4では、キャスター181bはキャスター181a、181dによって隠れるために図示されていない。キャスター181a~181dは、それぞれ脚部材131a~131dの下端に旋回可能に連結される。また、キャスター181a~181dは、それぞれ作業者の操作に応じて車輪の回転を固定することができるストッパ付キャスターである。作業者は高所作業を行う場合には、走行部180のキャスター181a~181dのペダルを操作して車輪の回転を固定させることで、作業台100が移動せずに安全に高所作業を行うことができる。
【0023】
補助接地部190は、天板部110の外周縁に上側から力が掛かったときに、作業台100の傾倒を防止するアウトリガーの役割を担う。ここで、補助接地部190は、上側から見て天板部110の外周縁からはみ出して配置される。
具体的には、補助接地部190は4つの補助脚部材191a~191dを有する。補助脚部材191a~191dは、それぞれ脚部材131a~131dに取り付けられる。
【0024】
補助脚部材191a~191dは、それぞれ脚部材131a~131dに対して回動可能であって、上側から見て天板部110の外周縁からはみ出す第1の状態と、天板部110の外周縁からはみ出さない第2の状態とに遷移する。第1の状態は、補助脚部材191a~191dがそれぞれ脚部材131a~131dから床面に向かって斜めに延出した状態である。なお、第1の状態では、補助脚部材191a~191dは床面に接しておらず床面から離れた状態に保持される。一方、第2の状態は、
図4の側面図の二点鎖線で示すように、補助脚部材191a~191dがそれぞれ脚部材131a~131dに対して略平行になるように、鉛直方向に延出した状態である。なお、第2の状態では、補助脚部材191a~191dは、正面から見てそれぞれ脚部材131a~131dと重なり合うように配置される。
【0025】
補助脚部材191a~191dを第1の状態にすることで、天板部110の外周縁に上側から力が掛かった場合であっても、補助脚部材191a~191dが床面に接地することにより作業台100が傾倒するのを防止する。また、補助脚部材191a~191dを第2の状態にすることで、補助脚部材191a~191dが邪魔にならずに作業台100を移動させたり、嵩張らずにコンパクトに保管したりすることができる。
なお、補助脚部材191a~191dは、脚部材131a~131dと異なる色であって、ゴールド色や蛍光色などの周囲が暗くても目立つ色が付されている。
【0026】
次に、ブリッジ台車200の構成について
図5を参照して説明する。
図5は、ブリッジ台車200の構成の一例を示す平面図、正面図、側面図である。
ブリッジ台車200は、前後方向に離れて配置された作業台100の天板部110に架け渡される。また、ブリッジ台車200は、単に高所作業を行うための足場となるだけではなく、作業台システム10の構成機材を積載可能な運搬台車として機能する。ブリッジ台車200は、第1のブリッジの一例に対応する。
【0027】
ブリッジ台車200は、本体部210と、走行部230とを有する。
本体部210は、高所作業を行う作業者の足場としての役割を担う。また、本体部210は、ブリッジ台車200を運搬台車として機能させる場合に作業台100を積載するときの積載部としての役割を担う。本体部210は、平面視で、前後方向に長い略矩形状である。本実施形態では、本体部210の前後方向(長手方向)の長さが例えば略1550mm(例えば1450mm~1550mm)であり、左右方向(短手方向)の長さが例えば略1010mm(例えば950mm~1050mm)である。ブリッジ台車200の本体部210の大きさと、作業台100の天板部110の大きさとは略同一である。ただし、本体部210の大きさと天板部110の大きさとは、略同一である場合に限られない。また、本体部210は、前後方向と左右方向との長さが略等しくてもよい。
【0028】
本体部210は、作業面となる表面に滑り止め用の複数の突起213を有する。また、本体部210は、外周縁に近接した位置に複数の連結孔218を有する。連結孔218は、長手側の端部に例えば6つ形成される。連結孔218はブリッジ300の連結ピン321と連結するための孔である。
また、本体部210は、外周縁に近接した位置であって長手側の端部に、手摺部30を装着した状態にロックさせる被ロック部としての複数の手摺用孔225を有する。手摺用孔225は後述するロック部材55が挿入されることにより手摺部30が装着された状態でロックされる。手摺用孔225は、長手側の端部に例えば6つ形成される。なお、
図5では、本体部210の長手側の端部に長手手摺31aをロックさせる2つの手摺用孔225のみを図示している。ここで、
図5に示す長手側の端部の2つの手摺用孔225のピッチは、
図4に示す長手側の端部の2つの手摺用孔125のピッチと略同一である。
また、本体部210は、作業台100と連結する側である短手側の端部に連結ピン221を有する。具体的には、連結ピン221は、短手側の端部(前端部および後端部)のそれぞれ両端に設けられる。連結ピン221は、本体部210の短手側の端部(前端部および後端部)からそれぞれ前側および後側に向かって延出する板状のブラケット222に取り付けられる。連結ピン221はブラケット222の下面から下側に向かって突出する。連結ピン221をそれぞれ作業台100の連結孔118に上側から挿入することにより、ブリッジ台車200と作業台100とが連結される。ここで、連結ピン221およびブラケット222は、連結部の一例に対応する。
【0029】
走行部230は、ブリッジ台車200を運搬台車として機能させる場合に本体部210および積荷の荷重を支持しながら床面を走行する役割を担う。走行部230は、本体部210の下側であって、4隅に配置される複数(4つ)のキャスター231a~231dを有する。なお、
図5では、キャスター231bはキャスター231a、231dによって隠れるために図示されていない。
キャスター231a~231dは本体部210の下側に取り付けられる。キャスター231a~231dは、鉛直方向に沿った旋回軸Oの軸線回りに旋回可能である。
図5では、車輪233が前後方向を向いた状態であるが、車輪233が旋回軸Oの軸線回りに旋回することで、ブリッジ台車200は前側に限られず、前後左右を含め任意の方向に走行することができる。
【0030】
キャスター231a~231dは、作業者の操作に応じてブレーキを掛けたり、ブレーキを解除したりすることができるブレーキ付キャスターである。具体的には、キャスター231a~231dは、車輪233と、支持部としてのフォーク部材234と、ブレーキペダル235を有する。フォーク部材234は、車輪233を回転可能に支持する。ブレーキペダル235は、フォーク部材234に対して上下方向に揺動可能である。ブレーキペダル235は、先端部に足で踏み込むための操作部236を有する。作業者がブレーキ時に操作部236を下側に踏み込むように操作することで、車輪233の外周面が押圧され、車輪233にブレーキが掛かる。なお、作業者は更に操作部236を踏み込むことで、車輪233はブレーキが掛かった状態に保持される。
【0031】
なお、
図5は、ブレーキが掛かっていない状態(ブレーキ解除時の状態)である。
図5に示すように、ブリッジ台車200を走行させたときに後側となるキャスター231a、231bは、ブレーキペダル235の操作部236が本体部210の後端よりも後側に位置して露出している。
また、操作部236は、ブレーキ解除時であって車輪233が前後方向を向いた状態では、平面視において連結ピン221およびブラケット222と重ならないように位置する。したがって、作業者はブレーキを掛ける必要がある場合には、連結ピン221およびブラケット222に干渉されることなく容易に操作部236を踏み込むことができる。
【0032】
次に、ブリッジ300の構成について
図6を参照して説明する。
図6は、ブリッジ300の構成の一例を示す平面図、正面図、側面図である。
ブリッジ300は、左右方向に離れて配置された作業台100の天板部110に架け渡される。また、ブリッジ300は、左右方向に離れて配置されたブリッジ台車200の本体部210に架け渡される。ブリッジ300は、第2のブリッジの一例に対応する。
【0033】
ブリッジ300は、本体部310を有する。
本体部310は、高所作業を行う作業者の足場としての役割を担う。本体部310は、平面視で、左右方向に長い略矩形状である。本実施形態では、本体部310の前後方向(短手方向)の長さが例えば略500mm(例えば450mm~550mm)であり、左右方向(短手方向)の長さが例えば略1530mm(例えば1450mm~1550mm)である。なお、本体部310は、前後方向と左右方向との長さが略等しくてもよい。
【0034】
本体部310は、作業面となる表面に滑り止め用の複数の突起313を有する。また、本体部310は、外周縁に近接した位置であって長手側の端部に、手摺部30を装着した状態にロックさせる被ロック部としての複数の手摺用孔325を有する。手摺用孔325は後述するロック部材55が挿入されることにより手摺部30が装着された状態でロックされる。手摺用孔325は、長手側の端部に例えば6つ形成される。なお、
図6では、本体部310の長手側の端部に長手手摺31aをロックさせる2つの手摺用孔325のみを図示している。ここで、
図6に示す長手側の端部の2つの手摺用孔325のピッチは、
図5に示す長手側の端部の2つの手摺用孔225のピッチおよび
図4に示す長手側の端部の2つの手摺用孔125のピッチと略同一である。
【0035】
また、本体部310は、作業台100あるいはブリッジ台車200と連結する側である短手側の端部に連結ピン321を有する。具体的には、連結ピン321は、短手側の端部(右端部および左端部)のそれぞれ両端に設けられる。連結ピン321は、本体部310の短手側の端部(右端部および左端部)からそれぞれ右側および左側に向かって延出する板状のブラケット322に取り付けられる。連結ピン321はブラケット322の下面から下側に向かって突出する。連結ピン321をそれぞれ作業台100の連結孔118あるいはブリッジ台車200の連結孔218に上側から挿入することにより、作業台100あるいはブリッジ台車200と連結される。ここで、連結ピン321およびブラケット322は、連結部の一例に対応する。
【0036】
次に、手摺部30の構成について
図7~
図9を参照して説明する。なお、長手手摺31aと短手手摺31bとは長さが異なるだけで略同一の構成であることから、長手手摺31aについて主に説明する。また、以下では長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着する場合を中心に説明するが、ブリッジ台車200の本体部210あるいはブリッジ300の本体部310に装着する場合も同様である。
図7(a)~(c)は、長手手摺31aの平面図、正面図、側面図である。なお、
図7(b)は、長手手摺31aを作業領域から見た図である。作業領域とは、作業平面の上方の空間であって、平面視で作業平面と重なり合う空間をいうものとする。
図8は、長手手摺31aの分解斜視図である。
【0037】
長手手摺31aは、手摺本体32、支持部材43、当接部材50、ロック部材55、ガイド部材60を有する。
手摺本体32は、長手手摺31aの主となる部位である。手摺本体32は、2つの支柱部材33、上桟部材36、中桟部材37、巾木部材38を有する。
【0038】
支柱部材33は、上桟部材36、中桟部材37、巾木部材38を支持する。支柱部材33は、略鉛直方向(略上下方向)に沿って直線状に延びる略棒状である。本実施形態では、支柱部材33の長さが例えば略1000mmである。また、長手手摺31aが天板部110に装着されたときに天板部110の表面から支柱部材33の上端までが例えば略800mm~略1000mmの高さである。支柱部材33は、上桟部材36および中桟部材37を支持する第1支柱部34と、巾木部材38を支持する第2支柱部35とを有する。第1支柱部34と第2支柱部35とは略鉛直方向に沿うように固定される。本実施形態では、第1支柱部34の長さは、第2支柱部34の長さよりも長い。
【0039】
第1支柱部34および第2支柱部35は、例えば、断面が中空の略矩形状である。ここで、第1支柱部34と第2支柱部35とは異なる材質であって、第1支柱部34は第2支柱部35よりも撓み易い材質が用いられる。また、第1支柱部34は第2支柱部35よりも剛性が低い。具体的に、第1支柱部34は例えば合成樹脂製であり、第2支柱部35は例えばアルミニウム合金製である。第2支柱部35は、第1支柱部34内に外周が嵌め込まれた状態でネジやリベット(ブラインドリベットを含む)等により固定される。ただし、支柱部材33は、単一の部材により構成されていてもよい。この場合には、支柱部材33は、天板部110よりも撓み易い材質、例えば合成樹脂製にすることができる。また、支柱部材33は、間隔を空けて複数(2つ)配置される。また、支柱部材33の上端には、樹脂製の保護キャップが取り付けられる。
【0040】
上桟部材36は、間隔を空けた2つの支柱部材33によって支持される。上桟部材36は、横方向(略水平方向)に沿って直線状に延びる略棒状である。上桟部材36は、長さが天板部110の長手方向の長さと略等しい。上桟部材36は、例えば、断面が中空あるいは中実の略矩形状である。ここで、上桟部材36は、第1支柱部34と同じ材質であり、例えば合成樹脂製である。ただし、上桟部材36は、第1支柱部34よりも撓みにくい材質、例えばアルミニウム合金製であってもよい。また、上桟部材36は、支柱部材33の第1支柱部34の上端部に固定される。また、上桟部材36の両端には、それぞれ樹脂製の保護キャップが取り付けられる。
【0041】
中桟部材37は、間隔を空けた2つの支柱部材33によって支持される。中桟部材37は、横方向(略水平方向)に沿って直線状に延びる略棒状である。中桟部材37は、長さが天板部110の長手方向の長さと略等しい。すなわち、中桟部材37と上桟部材36との長さは略等しい。中桟部材37は、例えば、断面が中空あるいは中実の略矩形状である。ここで、中桟部材37は、第1支柱部34と同じ材質であり、例えば合成樹脂製である。ただし、中桟部材37は、第1支柱部34よりも撓みにくい材質、例えばアルミニウム合金製であってもよい。また、中桟部材37は、支柱部材33の上端部よりも下側に離れた位置に固定される。中桟部材37は、上桟部材36よりも下側であって、巾木部材38よりも上側に位置する。また、中桟部材37の両端には、それぞれ樹脂製の保護キャップが取り付けられる。
【0042】
上桟部材36および中桟部材37は、2つの支柱部材33に対して交差した状態で支柱部材33に固定される。また、
図7(b)に示すように、略鉛直方向および横方向と直交する方向から見て、上桟部材36および中桟部材37は、両端部が2つの支柱部材33の外側に位置する。
また、
図8に示すように、上桟部材36および中桟部材37は、第1支柱部34のうち作業領域の内側に面した側面34aと接した状態で取付部材40を用いてネジやリベット等で固定される。
【0043】
巾木部材38は、横方向(略水平方向)に沿って直線状に延びる略棒状である。巾木部材38は、長さが2つの支柱部材33の間隔と略等しい。すなわち、巾木部材38は、2つの支柱部材33の間に架け渡されるように固定される。巾木部材38は、例えば、断面が中空あるいは中実の略矩形状であり、アルミニウム合金製である。また、巾木部材38は、中桟部材37よりも下側であって、支柱部材33の下端部よりも上側に離れた位置に固定される。
【0044】
巾木部材38は、2つの支柱部材33の第2支柱部35に固定される。具体的には、
図8に示すように、巾木部材38は、間隔を空けた2つの支柱部材33の第2支柱部35のうち対向する側面35aと接した状態で、支持部材43およびL字状部材48を用いてネジやリベット等で固定される。
【0045】
支持部材43は、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着したときに、長手手摺31a全体の荷重を支持する。支持部材43は、支柱部材33の下部に位置する。支持部材43は、略直角に曲がった板状であり、略水平方向に延びる支持部44と、略鉛直方向に延び支柱部材33と巾木部材38とに接する起立部45とを有する。支持部材43は、例えば、アルミニウム合金製や鉄製である。支持部44は、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着したときに、天板部110の表面に載置することで長手手摺31a全体の荷重を支持すると共に、長手手摺31aの荷重を天板部110に伝達する。また、支持部44は、ロック部材55を挿入するための2つの挿入孔46a、46bが離れて形成される。ここで、挿入孔46a、46bは、上桟部材36および中桟部材37の長手方向に沿った長い長孔である。また、起立部45は、支柱部材33と巾木部材38との両者を結合するためのネジやリベット等を挿通させる複数の孔が形成される。
なお、挿入孔46aは、長手手摺31aを天板部110の長手側の端部に装着するときに、天板部110の長手側の端部に形成された手摺用孔125と連通する孔である。一方、挿入孔46bは、短手手摺31bを天板部110の短手側の端部に装着するときに、天板部110の短手側の端部に形成された手摺用孔125と連通する孔である。このように、支持部材43の支持部44に、長手手摺31aおよび短手手摺31bに挿入孔46a、46bを形成することで、支持部材43を長手手摺31aおよび短手手摺31bの何れにも用いることができ、部品の共通化を図ることができる。
【0046】
L字状部材48は、略L字状の板状であり、例えば、アルミニウム合金製や鉄製である。L字状部材48は、支柱部材33と巾木部材38との両者を結合するためのネジやリベット等を挿通させる複数の孔が形成される。
支持部材43およびL字状部材48によって巾木部材38が2つの支柱部材33に対して固定される。
【0047】
当接部材50は、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着するときに、天板部110に対して下側から当接する。当接部材50は、支柱部材33の下端部に位置する。当接部材50は、支柱部材33の下端部の側面に固定される2つの固定部51と、固定部51から略水平方向に延出する延出部52と、延出部52の先端に位置する当接部53とを有する。当接部材50は、例えば、アルミニウム合金製や鉄製である。2つの固定部51は、支柱部材33の第2支柱部35を両側から挟むような態様でネジやリベット等により支柱部材33の下端部に固定される。延出部52は、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着したときに、天板部110の端部と干渉せずに天板部110内まで到るように、固定部51から水平方向に延出した後に上方向に向かって斜めに延出される。当接部53は、延出部52の先端に位置し、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着したときに、天板部110内で下側から天板部110と当接する。
【0048】
図9(a)~(c)は、ロック部材55周辺の構成を示す平面図、正面図、側面図である。なお、
図9(b)は、作業領域から見た図である。また、
図9(a)~(c)は、ロック部材55の形状を容易に理解できるように、ロック部材55を上昇させた状態で示している。
ロック部材55は、手摺本体32が天板部110の端部に装着された状態をロックする。ロック部材55は、天板部110の端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能である。ロック部材55は、ガイド部材60を介して支柱部材33に取り付けられる。本実施形態のロック部材55は、軸状あるいはピン状であり、一部が曲がっている。ロック部材55は、被ガイド部56と、操作部57と、ロック部58とを有する。
【0049】
被ガイド部56は、ガイド部材60によってガイドされる部位である。本実施形態の被ガイド部56は、略鉛直方向に沿って延出する軸状であって、具体的には円柱状である。本実施形態の被ガイド部56は、ガイド部材60によりガイドされることにより略鉛直方向に沿って移動可能であるとともに、ガイド部材60によりガイドされることにより自身が軸回りに回動可能である。
【0050】
操作部57は、作業者がロック部材55をロックする方向およびロックを解除する方向に操作可能な部位である。本実施形態の操作部57は、被ガイド部56から連続しており、被ガイド部56の下端から屈曲して略水平方向に沿って延出する軸状であって、具体的には円柱状である。本実施形態の操作部57は、作業者が容易に操作を行うことができるように外周面にローレット溝が施されている。作業者は、操作部57を把持してロック部材55を上昇させることができる。なお、ロック部材55は自重で下降するが、作業者は操作部57を把持してロック部材55を下降させてもよい。また、作業者は、操作部57を把持して被ガイド部56を中心として被ガイド部56を軸回りに回動させることによりロック部58を揺動させることができる。
【0051】
ロック部58は、手摺本体32が天板部110の端部に装着された状態をロックする部位である。本実施形態のロック部58は、操作部57から連続しており、操作部57のうち被ガイド部56側とは反対側から連続しており、該反対側から屈曲して略鉛直方向に沿って延出する軸状であって、具体的には円柱状である。本実施形態のロック部58は、上側から見て、被ガイド部56を中心とする軸回りに揺動可能である。本実施形態のロック部58は、手摺用孔125に挿入されることにより手摺本体32が天板部110の端部に装着された状態をロックする。
【0052】
このように、ロック部材55は、被ガイド部56とロック部58との間に屈曲部を介して操作部57が位置する。ロック部材55が屈曲することにより、ロック部材55を上側から見た場合に、被ガイド部56とロック部58とが異なって位置する。
【0053】
ガイド部材60は、ロック部材55を天板部110の端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能にガイドする。また、ガイド部材60は、ロック部材55を手摺本体32に取り付けるための取付部材として機能する。本実施形態のガイド部材60は、ガイド部61と、取付部62とを有する。
【0054】
ガイド部61は、ロック部材55をガイドする部位である。本実施形態のガイド部61は、略鉛直方向に沿って延出する筒状であって、具体的には円筒状である。本実施形態のガイド部61は、ロック部材55の被ガイド部56を略鉛直方向に沿ってガイドしたり、被ガイド部56を軸回りに回動するようにガイドしたりする。
取付部62は、ガイド部材60を手摺本体32に取り付けるための部位である。本実施形態の取付部62は、手摺本体32における支柱部材33のうち第2の支持部35に取り付けられる。ここでは、取付部62が支持部材43の上側の位置に取り付けられる。本実施形態の取付部62は、ガイド部61が第2の支持部35のうち作業領域の内側に面した側面に位置するように、第2の支持部35にネジやリベット等により固定されることにより取り付けられる。
【0055】
ロック部材55がガイド部材60を介して手摺本体32の支柱部材33に取り付けられた状態では、ロック部材55はガイド部材60によってガイドされることにより略鉛直方向に移動可能である。ロック部材55を上昇させた状態では、被ガイド部56を中心とする軸回りにロック部材55を揺動可能である。ロック部材55を揺動させることにより、ロック部58を支持部44の挿入孔46a、46b上に位置させることができ、ロック部材55を下降させることによりロック部58を挿入孔46a、46bに挿入することができる。
【0056】
また、ロック部材55は、所定の範囲内で略鉛直方向に沿って移動可能である。具体的には、ロック部材55を上昇させた場合には、操作部57がガイド部材60の取付部62に当接することにより、ロック部材55の上昇が規制される。一方、ロック部材55を挿入孔46a、46bに挿入するように下降させた場合には、操作部57が支持部44の上面に当接することにより、ロック部材55の下降が規制される。
なお、本実施形態のロック部材55は、一部が曲がった軸状である場合について説明したが、この場合に限られない。ロック部材55は、直線状の軸状あるいはピン状であってもよく、直線状の略板状あるいは屈曲する略板状であってもよい。本実施形態のロック部材55は、被ガイド部56とロック部58との間に操作部57が設けられる場合について説明したが、この場合に限られず、被ガイド部56の上端に操作部が設けられていてもよい。
【0057】
次に、上述した作業台システム10の組み立て方法について説明する。
まず、作業者は基準となる、前後方向に沿った3つの列ユニット20a~20cを組み立てる。具体的には、作業台100a~100c、作業台100d~100f、作業台100g~100iのそれぞれ長手方向を前後方向にして、前後方向(一方向)に一定の間隔で離して配置する。
【0058】
次に、作業者は前後に離れた作業台100の天板部110の間にブリッジ台車200を架け渡す。すなわち、作業台100a、100d、100gと作業台100b、100e、100hとの間にブリッジ台車200a、200c、200eを架け渡し、作業台100b、100e、100hと作業台100c、100f、100iとの間にブリッジ台車200b、200d、200fを架け渡す。
具体的には、ブリッジ台車200の本体部210の連結ピン221をそれぞれ、作業台100の連結孔118に挿入する。したがって、ブリッジ台車200が作業台100と連結される。このとき、ブリッジ台車200の走行部230、すなわちキャスター231a~231dと床面との間には空間が形成される。
【0059】
次に、作業者は左右方向(他方向)に一定の間隔で離して配置した3つの列ユニット20a~20cの間に複数のブリッジ300を架け渡す。すなわち、作業台100a、100b、100cと作業台100d、100e、100fとの間にブリッジ300を架け渡し、作業台100d、100e、100fと作業台100g、100h、100iとの間にブリッジ300を架け渡す。また、ブリッジ台車200a、200bとブリッジ台車200c、200dとの間にブリッジ300を架け渡し、ブリッジ台車200c、200dとブリッジ台車200e、200fとの間にブリッジ300を架け渡す。
具体的には、ブリッジ300の本体部310の連結ピン321をそれぞれ、作業台100の連結孔118あるいはブリッジ台車200の連結孔218に挿入する。したがって、ブリッジ300が隣接する作業台100およびブリッジ台車200と連結される。
このように作業台100、ブリッジ台車200、ブリッジ300を連結することにより、作業者が高所作業する作業平面が形成される。このとき、ブリッジ300と床面との間には空間が形成される。ここで、ブリッジ300は前後方向に15枚が配置されることから、15枚のブリッジ300と床面との間には前後方向に沿った長い空間が形成され、この長い空間を、仮設資機材を収容するための空間として利用することができる。
【0060】
次に、作業者は手摺部30を作業平面の外周縁に装着する。具体的に、長手手摺31aを、作業台100a、ブリッジ台車200a、作業台100b、ブリッジ台車200bのそれぞれ左側の端部、作業台100g、ブリッジ台車200e、作業台100h、ブリッジ台車200f、作業台100iの右側の端部に装着する。また、長手手摺31aを、作業平面の前側に位置するブリッジ300の前端部、作業平面の後側に位置するブリッジ300の後端部に装着する。更に、短手手摺31bを、作業台100a、100d、100gの後端部、作業台100c、100f、100iの前端部、作業台100cの左側の端部に装着する。
【0061】
ここで、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着する場合について
図10および
図11を参照して説明する。
図10は、作業台100aの長手側の端部である左側の端部に長手手摺31aを装着し、作業台100aの短手側の端部である後側の端部に短手手摺31bを装着する場合を示す斜視図である。
図11は、
図10において作業台100aの長手側の端部である左側の端部に長手手摺31aを装着した状態でI-I線を略鉛直方向に切断して、矢印方向から見た断面図である。なお、作業者は装着作業前に、長手手摺31aのロック部材55を上昇かつ揺動させ、ロック部58の先端(下端)を支持部材43の支持部44の上面に当接させておき、ロック部58が支持部材43の挿入孔46a、46bに挿入しない状態にする。
【0062】
長手手摺31aを天板部110に装着するには、作業者は、長手手摺31aの下側を天板部110に近づけるように斜めにした状態で長手手摺31aを天板部110に近づける。次に、作業者は、当接部材50の先端を天板部110の下部に形成されたリブ126(
図11を参照)に挿入して引っ掛けた後に、当接部材50の先端を中心にして長手手摺31aを起こすように回動させる。長手手摺31aの支柱部材33が略鉛直方向になることで、支持部材43の支持部44が天板部110の表面に載置される。このとき、支持部44の挿入孔46aと手摺用孔125とが連通する。この状態では、長手手摺31aは、天板部110の端部に対する上側への移動が当接部材50により規制され、天板部110の端部に対する下側への移動が支持部材43によって規制される。すなわち、長手手摺31aは天板部110の端部に対して鉛直方向への動きが規制された状態で天板部110に装着される。一方、長手手摺31aは天板部110の端部に対する水平方向への移動、特に作業領域から離れる方向への移動が可能なために、外力が掛かることによって長手手摺31aは天板部110の端部から離れてしまう。
【0063】
次に、作業者は、挿入孔46aおよび手摺用孔125にロック部材55のロック部58を挿入することで、長手手摺31aの手摺本体32を天板部110に装着された状態にロックすることができる(
図11の二点鎖線に示すロック部58を参照)。すなわち、ロック部材55のロック部58を手摺用孔125に挿入することにより、長手手摺31aが端部から水平方向へ移動しようとしても、ロック部材55のロック部58が手摺用孔125と干渉することにより、長手手摺31aの天板部110の端部に対する水平方向への移動が規制される。なお、支持部44の挿入孔46aは長孔であることから、長手手摺31aが天板部110の外周縁に沿って幾分ズレていても、支持部44の挿入孔46aと手摺用孔125とを連通させることができる。
【0064】
ここでは、長手手摺31aを作業台100の天板部110に装着してロックする場合について説明したが、長手手摺31aまたは短手手摺31bを、作業台100の天板部110、ブリッジ台車200の本体部210、ブリッジ300の本体部310に装着してロックする場合も同様である。
【0065】
次に、作業者は梯子部70を作業平面の外周縁に取り付ける。具体的には、梯子部70を作業台100cの左側の端部に取り付ける。なお、梯子部70を取り付ける位置は適宜、変更することができ、梯子部70の取り付け位置に応じて短手手摺31bの取り付け位置を変更することができる。
【0066】
組み立てられた作業台システム10では、手摺部30により作業平面を取り囲むことができるので、作業者は安全に高所作業を行うことができる。
作業者は作業平面の端付近で作業している場合に、作業者の身体の一部が、上桟部材36および中桟部材37に接触することにより、早い段階で作業平面の端であることを認識できる。
【0067】
次に、作業者は、高所作業が終了した場合には、手摺部30を天板部110に装着した手順と逆の手順を行うことにより手摺部30を天板部110から離脱することができる。
ここでは、長手手摺31aを天板部110から離脱する場合について説明する。
作業者は、長手手摺31aにおけるロック部材55の操作部57を把持してロック部材55を上昇させ、挿入孔46aおよび手摺用孔125に挿入されたロック部材55のロック部58を引き抜くことで、ロック部材55によるロックを解除することができる。ロック部材55によるロックを解除することにより、長手手摺31aは天板部110の端部に対する水平方向への移動、特に作業領域から離れる方向への移動が可能となる。なお、作業者は、長手手摺31aのロック部材55を揺動させ、ロック部58の先端(下端)を支持部材43の支持部44の上面に当接させておき、ロック部58が支持部材43の挿入孔46a、46bに挿入しない状態にする。次に、作業者は、長手手摺31aを作業領域から離れる方向に移動させつつ、天板部110の上側が作業領域から離れるように斜めにして、当接部材50の先端が天板部110の端部に引っ掛からないように引き出すことで、長手手摺31aを天板部110から離脱させる。
【0068】
ここでは、長手手摺31aのロック部材55のロックを解除して、長手手摺31aを作業台100の天板部110から離脱する場合について説明したが、長手手摺31aまたは短手手摺31bを、作業台100の天板部110、ブリッジ台車200の本体部210、ブリッジ300の本体部310から離脱させる場合も同様である。
更に、作業者は、作業台システム10を組み立てた手順と逆の手順を行うことにより作業台システム10を分離することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、作業台システム10を分離した後、あるいは組み立てる前であって、作業台システム10の構成機材を倉庫等に保管する場合、ブリッジ台車200に構成機材を積載させた状態で保管することができる。各ブリッジ台車200a~200fには、作業者が取り扱い易いようにそれぞれ種類の異なる構成機材を振り分けて積載することが好ましい。このように、ブリッジ台車200に作業台システム10の構成機材を積載した状態で保管することで、ブリッジ台車200が運搬台車として機能することから、容易に倉庫から出庫することができる。また、倉庫内で作業台システム10の保管場所を変更する場合でも、容易に保管場所を変更することができる。
【0070】
このように本実施形態によれば、長手手摺31aおよび短手手摺31bのロック部材55は、天板部110の端部に対してロックする方向およびロックを解除する方向に移動可能である。したがって、作業者は天板部110に対して長手手摺31aおよび短手手摺31bを容易にロックすることができる。
また、本実施形態によれば、ロック部材55を移動可能な方向に沿って見たときに、ロック部58は、ガイド部材60に対して被ガイド部56よりも離れて位置する。したがって、長手手摺31aを保管するために同じ長手手摺31aを横にして(支柱部材33の長手方向を水平の状態にして)積載させた場合でも、下段の長手手摺31aのロック部材55が、上段の長手手摺31aに干渉するのを抑制することができる。また、ロック部材55を揺動させておくことにより、更に上段の長手手摺31aに干渉するのを抑制することができる。
【0071】
なお、本実施形態では、ロック部材55が自重で下降する場合について説明したが、この場合に限られず、ロック部材55はコイルスプリング等の弾性部材による付勢力によりロックする方向(下側)に付勢されていてもよい。
また、本実施形態では、ガイド部材60がロック部材55を略鉛直方向に移動可能にガイドする場合について説明したが、この場合に限られず、ロックする方向にガイドできればよい。例えば、ロック部材55が回動することによりロックする構造であれば、ガイド部材60は、ロック部材55を回動方向に移動可能にガイドするように構成することができる。
【0072】
また、本実施形態では、ロック部材55のロック部58が支持部材43の挿入孔46a、46bに挿入される場合について説明したが、この場合に限られず、ロック部58が支持部材43の挿入孔46a、46bに挿入されないように構成してもよい。例えば、支持部材43を巾木部材38に取り付けて、ロック部材55と支持部材43とを離して配置することにより、ロック部58が支持部材43の挿入孔46a、46bに挿入されないように構成することができる。
【0073】
また、上述した実施形態の長手手摺31aおよび短手手摺31bの手摺本体32は、上述した形態に限られず、どのような形態であってもよい。例えば、手摺本体32は、3つ以上の支柱部材33を有していたり、2つ以上の中桟部材を有していたりしてもよい。
また、上述した実施形態では、手摺部30が長手手摺31aと短手手摺31bとの2種類の手摺を有する場合について説明したが、この場合に限られず、1種類の手摺であってもよく、3種類以上の手摺を有していてもよい。
【0074】
また、上述した実施形態では、作業台100およびブリッジ台車200は、前後方向の長さと左右方向の長さとの比が略3:2の関係であったり、前後方向の長さと左右方向の長さが略等しい関係であったりする場合について説明したが、略2:1等の他の長さの比であってもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、作業台100あるいはブリッジ台車200の1つの長手側の端部に対して3枚のブリッジ300を連結する場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、ブリッジ300に替えて、3枚並べたブリッジ300を合わせた1枚のブリッジを用いてもよい。
【0076】
また、上述した作業台システム10では、略矩形状の作業平面を形成する場合について説明したが、例えば、作業現場に柱がある場合にはブリッジ300の一部を取り外し、取り外した位置に柱を挿通させることで柱との干渉を防ぐことができる。
また、上述したブリッジ台車200では、走行部230を有する場合について説明したが、この場合に限られず、走行部230を有さない単なるブリッジであってもよく、作業台100であってもよい。ブリッジ台車200を作業台100にした場合には、作業台100同士が隣接する。
【0077】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態の長手手摺531aの分解斜視図である。なお、第1の実施形態の長手手摺31aと同様の構成は、同一符号を付して適宜、説明を省略する。
長手手摺531aは、手摺本体532を有する。
本実施形態の手摺本体532は、2つの支柱部材33、上桟部材36、中桟部材37、巾木部材38、4つのスペーサ部材39を有する。
【0078】
スペーサ部材39は、長手手摺531aを保管するために同じ長手手摺531aを横にして(支柱部材33の長手方向を水平の状態にして)積載させた場合に、上段の長手手摺531aの重みにより下段の長手手摺531aの支柱部材33が変形しないように、上段の長手手摺531aと下段の長手手摺531aとの間に生じるスペースを埋める役割を担う。
【0079】
スペーサ部材39は、略鉛直方向に沿って直線状に延びる略棒状である。スペーサ部材39は、例えば、断面が中空の略矩形状である。ここで、スペーサ部材39は、支柱部材33の第2支柱部35とは異なる材質であって、第2支柱部35よりも撓み易い材質が用いられる。また、スペーサ部材39は第2支柱部35よりも剛性が低い。具体的に、スペーサ部材39は、支柱部材33の第1支柱部34と同一の材質であって、例えば合成樹脂製である。
【0080】
スペーサ部材39は、支柱部材33と重なり合うように支柱部材33に対して取付部材等を介してネジやリベット等により固定される。具体的には、スペーサ部材39は、手摺本体532のうち作業領域の内側に面した側面34aと接した状態で固定される。本実施形態では、上側の2つのスペーサ部材39が上桟部材36と中桟部材37との間に固定され、下側の2つのスペーサ部材39が中桟部材37の下側に固定される。このように、手摺本体532がスペーサ部材39を有することにより、手摺本体532のうち作業領域の内側に面した側面を広く面一にすることができる。具体的には、スペーサ部材39のうち作業領域の内側に面した側面、上桟部材36のうち作業領域の内側に面した側面、中桟部材37のうち作業領域の内側に面した側面を、ほぼ面一にすることができる。
【0081】
なお、下側の2つのスペーサ部材39は、ロック部材55が鉛直方向に移動するときに干渉しないように配置される。本実施形態では、ロック部材55が上昇したときに、ガイド部材60のガイド部61から上側に突出した被ガイド部56が中空のスペーサ部材39内に挿入されることで、ロック部材55とスペーサ部材39との干渉が防止される。
【0082】
このように本実施形態によれば、手摺本体532のうち作業領域の内側に面した側面が広く面一であることから、長手手摺531aを保管するために同じ長手手摺531aを横にして積載させた場合に、上段の長手手摺531aと下段の長手手摺531aとの間に生じる空間を少なくすることができる。具体的に、本実施形態では、上段の長手手摺531aの支柱部材33と、下段の長手手摺531aのスペーサ部材39とが接することで、上段の長手手摺531aと下段の長手手摺531aとの間に生じる空間をなくすことができる。したがって、上段側の複数の長手手摺531aの荷重を、スペーサ部材39が受けることができるので、長手手摺531aの支柱部材33の変形を抑制することができる。
ここでは、長手手摺531aの構成について説明したが、短手手摺も同様に構成することができる。
【0083】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、各実施例の構成の一部を他の実施例の構成に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0084】
30:手摺部 31a、531a:長手手摺 31b:短手手摺 32、532:手摺本体 33:支柱部材 55:ロック部材 56:被ガイド部 57:操作部 58:ロック部 60:ガイド部材 61:ガイド部 62:取付部 100(100a~100i):作業台 110:天板部