(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157535
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 20/00 20160101AFI20231019BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20231019BHJP
F02D 29/06 20060101ALI20231019BHJP
H02P 9/04 20060101ALI20231019BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20231019BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20231019BHJP
H02P 101/25 20150101ALN20231019BHJP
H02P 101/45 20150101ALN20231019BHJP
H02P 103/20 20150101ALN20231019BHJP
【FI】
B60W20/00 ZHV
F02N11/04 A
F02D29/06 D
F02D29/06 E
H02P9/04 L
B60W10/06 900
B60W10/08 900
H02P101:25
H02P101:45
H02P103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067502
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 淳士
【テーマコード(参考)】
3D202
3G093
5H590
【Fターム(参考)】
3D202BB01
3D202BB11
3D202DD17
3D202DD25
3G093AA02
3G093BA14
3G093BA27
3G093CA01
3G093CA08
3G093DA01
3G093DA05
3G093DA06
3G093DA07
3G093DA12
3G093DB01
3G093EB08
3G093EC02
5H590CA07
5H590CC02
5H590CC24
5H590CD01
5H590CE05
5H590EA10
5H590FA08
5H590FB02
5H590FC14
5H590HA10
5H590HA18
5H590HA27
5H590JA02
5H590JB02
(57)【要約】
【課題】2つの制御装置の間の通信の遅延自体を許容し、内燃機関の幅広い回転数の領域で、他の制御装置から受信した内燃機関の基準回転位置に関する情報に基づき、発電電動機を適切に制御可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置100は、車両に搭載された内燃機関1を始動させるように内燃機関1を駆動すると共に内燃機関1により駆動されて発電する発電電動機110を制御する制御部132と、内燃機関1の回転位置における基準位置として予め設定された基準回転位置を検出する他方の制御装置50から、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信する受信部133と、発電電動機110の回転位置を検出する回転位置検出部134と、を備え、制御部132が、受信部133が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、回転位置検出部134が検出する発電電動機110の回転位置に基づき、発電電動機110を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された内燃機関を始動させるように前記内燃機関を駆動すると共に前記内燃機関により駆動されて発電する発電電動機を制御する制御部と、
前記内燃機関の回転位置における基準位置として予め設定された基準回転位置を検出する他方の制御装置から、前記基準回転位置を検出したことを示す信号を受信する受信部と、
前記発電電動機の回転位置を検出する回転位置検出部と、
を備えた車両制御装置であって、
前記制御部は、前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信したときに、前記回転位置検出部が検出する前記発電電動機の前記回転位置に基づき、前記発電電動機を制御することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信したときに、前記回転位置検出部が検出する前記発電電動機の前記回転位置に基づき、前記内燃機関の前記回転位置を推定する回転位置推定部を更に備え、
前記制御部は、前記回転位置推定部が推定した前記内燃機関の前記回転位置に基づき、前記発電電動機を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信したときに、前記発電電動機の前記回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサをから送出されている前記センサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに対応して、前記回転位置検出部は、前記発電電動機の前記回転位置を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記基準回転位置に対応する前記発電電動機の前記回転位置を基準とし、前記発電電動機の前記回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサをから送出された前記センサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに時系列的に順に対応するように規定された前記発電電動機の前記回転位置を示すデータが予め準備されており、
前記回転位置検出部は、前記データを参照し、前記センサ信号の前記電圧の前記立ち上がり及び前記立ち下がりの内で、前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信した時点よりも前であって、かつそれに最も近いものに対応して規定された前記回転位置を前記発電電動機の前記回転位置として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関し、特に、内燃機関と発電機兼電動機である発電電動機とを備えた車両に搭載され発電電動機を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両において、内燃機関のクランクシャフト(クランク軸)に連結されその回転に伴って駆動される界磁束発生用磁石を有する回転子及び発電出力発生用の固定子巻線が巻回された固定子を備える三相交流発電機を内燃機関の始動発電機と兼用して、車両に搭載された鉛バッテリ等の二次電池を充電するように制御すると共に、内燃機関のクランクシャフトを回転させることによりそれを始動するように制御する車両制御装置が提案されている。
【0003】
かかる状況下で、特許文献1は、車両制御装置に関し、内燃機関1及びこれに連結する発電電動機2と、内燃機関1の回転軸が所定角度回転する毎に信号を発するセンサの出力信号を受信して回転角度に関する情報を得るエンジンコントローラ01と、発電電動機2の回転軸の絶対的な回転角度を検出するセンサの出力信号を受信して回転角度に関する情報を得る発電機コントローラ02と、を備え、内燃機関1の回転速度(又は発電電動機2の回転速度)が所定値以下となったときに、発電機コントローラ02が知得する発電電動機2の回転軸の回転角度に関する情報をエンジンコントローラ01に送信し、エンジンコントローラ01において内燃機関1の回転軸の現在の回転角度を演算する、又はエンジンコントローラ01が知得する内燃機関1の回転軸の回転角度に関する情報を発電機コントローラ02に送信し発電機コントローラ02において内燃機関1の回転軸の現在の回転角度を演算する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示する構成では、エンジンコントローラ01と発電機コントローラ02とを接続するCAN等の電気通信回線の帯域幅が比較的狭いことに起因し両者の間の情報通信には遅延が発生し得ることを考慮して、その遅延が影響しない通信の間隔を確保するために、内燃機関1のクランクシャフトの回転速度(又は発電電動機2の回転軸の回転速度)が所定値以下に低下したことを条件として、発電機コントローラ02が知得する発電電動機2の回転軸の回転角度に関する情報をエンジンコントローラ01に送信し、エンジンコントローラ01において内燃機関1の回転軸の現在の回転角度を演算する、又はエンジンコントローラ01が知得する内燃機関1の回転軸の回転角度に関する情報を発電機コントローラ02に送信し発電機コントローラ02において内燃機関1の回転軸の現在の回転角度を演算する構成を有するものであるから、内燃機関1のクランクシャフトの回転速度(又は発電電動機2の回転軸の回転速度)が所定値を超えているときには、発電機コントローラ02が知得する発電電動機2の回転軸の回転角度に関する情報をエンジンコントローラ01に送信し、エンジンコントローラ01において内燃機関1の回転軸の現在の回転角度を演算する、又はエンジンコントローラ01が知得する内燃機関1の回転軸の回転角度に関する情報を発電機コントローラ02に送信し、発電機コントローラ02において内燃機関1の回転軸の現在の回転角度を演算することが不可能なものとなる。つまり、かかる構成では、車両制御装置が内燃機関1や発電電動機2を適切に制御可能な期間が、内燃機関1のクランクシャフトの回転速度(又は発電電動機2の回転軸の回転速度)が所定値以下であるときに限られてしまうため、この点で改良の余地があるものである。
【0006】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、2つの制御装置の間の通信の遅延自体を許容し、内燃機関の幅広い回転数の領域で、他の制御装置から受信した内燃機関の基準回転位置に関する情報に基づき、発電電動機を適切に制御可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するべく、本発明は、車両に搭載された内燃機関を始動させるように前記内燃機関を駆動すると共に前記内燃機関により駆動されて発電する発電電動機を制御する制御部と、前記内燃機関の回転位置における基準位置として予め設定された基準回転位置を検出する他方の制御装置から、前記基準回転位置を検出したことを示す信号を受信する受信部と、前記発電電動機の回転位置を検出する回転位置検出部と、を備えた車両制御装置であって、前記制御部は、前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信したときに、前記回転位置検出部が検出する前記発電電動機の前記回転位置に基づき、前記発電電動機を制御することを第1の局面とする。
【0008】
また、本発明は、第1の局面に加えて、前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信したときに、前記回転位置検出部が検出する前記発電電動機の前記回転位置に基づき、前記内燃機関の前記回転位置を推定する回転位置推定部を更に備え、前記制御部は、前記回転位置推定部が推定した前記内燃機関の前記回転位置に基づき、前記発電電動機を制御することを第2の局面とする。
【0009】
また、本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信したときに、前記発電電動機の前記回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサをから送出されている前記センサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに対応して、前記回転位置検出部は、前記発電電動機の前記回転位置を検出することを第3の局面とする。
【0010】
また、本発明は、第1から第3のいずれかの局面に加えて、前記基準回転位置に対応する前記発電電動機の前記回転位置を基準とし、前記発電電動機の前記回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサをから送出された前記センサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに時系列的に順に対応するように規定された前記発電電動機の前記回転位置のデータが予め準備されており、前記回転位置検出部は、前記データを参照し、前記センサ信号の前記電圧の前記立ち上がり及び前記立ち下がりの内で、前記受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す前記信号を受信した時点よりも前であって、かつそれに最も近いものに対応して規定された前記回転位置を前記発電電動機の前記回転位置として検出することを第4の局面とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の本発明の第1の局面にかかる車両制御装置によれば、車両に搭載された内燃機関を始動させるように内燃機関を駆動すると共に内燃機関により駆動されて発電する発電電動機を制御する制御部と、内燃機関の回転位置における基準位置として予め設定された基準回転位置を検出する他方の制御装置から、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信する受信部と、発電電動機の回転位置を検出する回転位置検出部と、を備え、制御部が、受信部が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、回転位置検出部が検出する発電電動機の回転位置に基づき、発電電動機を制御するものであるため、2つの制御装置の間の通信の遅延自体は許容し、内燃機関の回転数が極めて低い領域に限定されることなく、内燃機関の幅広い回転数の領域で、他の制御装置から受信した内燃機関の基準回転位置に関する情報に基づき、発電電動機による駆動や発電といったその動作を適切に制御することができる。
【0012】
また、本発明の第2の局面にかかる車両制御装置によれば、受信部が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、回転位置検出部が検出する発電電動機の回転位置に基づき、内燃機関の回転位置を推定する回転位置推定部を更に備え、制御部が、回転位置推定部が推定した内燃機関の回転位置に基づき、発電電動機を制御するものであるため、推定した内燃機関の回転位置に基づき、発電電動機による駆動や発電といったその動作をより適切に制御することができる。
【0013】
また、本発明の第3の局面にかかる車両制御装置によれば、受信部が、前記基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、発電電動機の回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサをから送出されているセンサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに対応して、回転位置検出部が、発電電動機の回転位置を検出するものであるため、内燃機関の回転位置に対応した発電電動機の回転位置をより適切に検出することができる。
【0014】
また、本発明の第4の局面にかかる車両制御装置によれば、基準回転位置に対応する発電電動機の回転位置を基準とし、発電電動機の回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサをから送出されたセンサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに時系列的に順に対応するように規定された発電電動機の回転位置のデータが予め準備されており、回転位置検出部は、かかるデータを参照し、センサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりの内で、受信部が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信した時点よりも前であって、かつそれに最も近いものに対応して規定された回転位置を発電電動機の回転位置として検出するものであるため、内燃機関の回転位置に対応した発電電動機の回転位置を簡易かつ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における車両制御装置を、エンジン、エンジン制御装置及び三相交流始動発電機と共に示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における車両制御装置の回路構成及び機能ブロックの概略を、エンジン制御装置及び三相交流始動発電機と共に示す模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における車両制御装置の割り込み処理開始のタイミングやエンジンの回転位置における基準位置情報の受信のタイミングを、位相センサからの3相の出力信号、三相交流始動発電機のモータステージ、エンジンの360度ステージ、及びクランクセンサからの出力信号と共に一例として示すタイムチャートである。
【
図4】
図4は、本実施形態における車両制御装置が用いる三相交流始動発電機のモータステージと、モータステージに関連付けられるエンジンの360度ステージと、の対応関係をデータ化したテーブルデータを示す模式図であり、
図4(a)、(b)及び(c)は、各々V相、U相及びW相用のテーブルデータに相当する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における車両制御装置につき、詳細に説明する。
【0017】
〔エンジンの構成〕
まず、
図1を参照して、本実施形態における車両制御装置が協働するエンジン制御装置の制御対象であるエンジンの構成について、詳細に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態における車両制御装置を、エンジン、エンジン制御装置及び三相交流始動発電機と共に示す模式図である。
【0019】
図1に示すように、エンジン1は、典型的には、図示を省略する二輪自動車等の車両に搭載されて、1サイクルが4ストロークの内燃機関であり、エンジン制御装置50によりその動作が制御されるもので、シリンダブロック2を備えている。シリンダブロック2の側壁内には、シリンダブロック2及びその内部等を冷却するための冷却水が流通する冷却水通路3が形成されている。冷却水通路3には、冷却水通路3を流通する冷却水の温度を検出するための水温センサ4が設けられている。
【0020】
なお、
図1中では、説明の便宜上、エンジン1を単気筒として示しているが、エンジン1は複数の気筒を有するものであってもよく、気筒の配列も直列、水平対向やV型等であってもよい。また、
図1中では、説明の便宜上、エンジン1を水冷式として示しているが、空冷式であってもよく、かかる場合には、水温センサ4の代わりにエンジン1の温度を検出自在な温度センサをシリンダブロック2等に装着してもよい。
【0021】
シリンダブロック2の内部には、ピストン5が配置されている。ピストン5は、コンロッド6を介して、回転軸を有するクランクシャフト7に連結されている。クランクシャフト7には、その回転軸と同軸にリラクタ7aが装着され、リラクタ7aの外周には、複数の歯部7bが基本的には一定の間隔で連続的に配設されているものであるが、それらの一部の所定区間には、歯部7bが存在しない歯欠け部7cが設定されている。リラクタ7aの近傍には、クランクシャフト7の回転軸回りの回転角度(回転位置)を検出するクランク角センサ8が、エンジン1の回転速度等が算出されるべく設けられている。シリンダブロック2の上部には、シリンダヘッド9が装着されている。ピストン5の上面と、シリンダブロック2及びシリンダヘッド9の各々の内面とが画成する内部空間は燃焼室10となる。
【0022】
シリンダヘッド9には、燃焼室10内の混合気に点火する点火プラグ11が設けられている。点火プラグ11の点火動作は、図示を省略する点火コイルへの通電が制御されることにより制御される。
【0023】
また、シリンダヘッド9には、燃焼室10と吸気通路12とを開閉自在に連通する吸気バルブ13が設けられている。吸気通路12は、シリンダヘッド9に装着される吸気管IM内に形成され、吸気管IMは、吸気通路12内に燃料を噴射する燃料噴射弁14及び燃料噴射弁14の上流側に配置されるスロットルバルブ15を備えている。スロットルバルブ15に対しては、その開度を検出するスロットル開度センサ106が設けられている。なお、燃料噴射弁14の燃料噴射動作(開弁動作)は、図示を省略するそのソレノイドバルブへの通電が制御されることにより制御される。また、燃料噴射弁14は、燃焼室10内に直接燃料を噴射するものであってもよい。
【0024】
シリンダヘッド9には、吸気管IMの反対側に排気管EMが装着され、排気管EM内には、燃焼室10と連通する排気通路16が形成されている。かかるシリンダヘッド9には、燃焼室10と排気通路16とを開閉自在に連通する排気バルブ17が設けられている。
【0025】
〔制御装置の構成及び動作〕
次に、更に
図2から
図4をも参照して、本実施形態におけるエンジン制御装置及び車両制御装置の構成について、それらの動作と共に、詳細に説明する。
【0026】
図2は、本実施形態における車両制御装置の回路構成及び機能ブロックの概略を、エンジン制御装置及び三相交流始動発電機と共に示す模式図である。
図3は、本実施形態における車両制御装置の割り込み処理のタイミングやエンジンの回転位置における基準位置情報の受信のタイミングを、位相センサからの3相の出力信号、三相交流始動発電機のモータステージ、エンジンの360度ステージ、及びクランクセンサからの出力信号と共に一例として示すタイムチャートであり、下から上に向かって順に、クランク角センサ8の出力信号(クランクパルス)の電圧の経時変化、エンジン1の回転位置を示す360度ステージのステージ値の経時変化、三相交流始動発電機110の回転位置を示すモータステージのステージ値の経時変化、位相センサ103のV相用位相センサの出力信号の電圧の経時変化、位相センサ103のU相用位相センサの出力信号の電圧の経時変化、及び位相センサ103のW相用位相センサの出力信号の電圧の経時変化を示している。また、
図4は、本実施形態における車両制御装置が用いる三相交流始動発電機のモータステージと、モータステージに関連付けられるエンジンの360度ステージと、の対応関係をデータ化したテーブルデータを示す模式図であり、
図4(a)、(b)及び(c)は、各々V相、U相及びW相用のテーブルデータに相当する。
【0027】
図2に示すように、エンジン制御装置50は、スタータスイッチ105がオン状態となって起動され、エンジン1の動作を制御するもので、クランク角センサ8、水温センサ4及びスロットル開度センサ106等から送出される出力信号等に基づき、主として、図示を省略する点火コイルへの通電を制御することにより点火プラグ11の点火動作を制御すると共に、燃料噴射弁14への通電を制御することにより燃料噴射弁14の燃料噴射動作(開弁動作)を制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)60を備えている。エンジンECU60は、マイクロコンピュータ等を含む演算処理装置であり、図示を省略するメモリやタイマを有している。かかるメモリには、必要な制御・処理プログラム及び制御・処理データが記憶され、エンジンECU60は、メモリから必要な制御・処理プログラム及び制御・処理データを読み出して、制御・処理プログラムを実行することにより、点火プラグ11や燃料噴射弁14等の動作を制御することになる。
【0028】
また、エンジンECU60は、クランク角センサ8から送出された出力信号に基づき、エンジン1の回転速度を算出することに加えて、エンジン1の回転位置において基準の位置となる基準回転位置がクランク角センサ8の近傍を通過したこと、つまりクランクシャフト7の回転角度において基準となる回転角度として予め設定された基準回転角度にある位置がクランク角センサ8の近傍を通過したことを判別することにより、かかる基準回転位置を検出すると共に、かかる基準回転位置を検出したことを示す出力信号を車両制御装置100に送出する。典型的には、かかる基準回転位置は、リラクタ7aの歯欠け部7cの位置に対応し、歯欠け部7cがクランク角センサ8の近傍を通過することにより、クランク角センサ8が歯欠け部7cを検知した出力信号、例えば複数の歯部7bが並んだ部分に対応する電圧よりも低い電圧が一定期間続く出力信号をエンジンECU60に送出し、エンジンECU60が、かかる出力信号に基づき基準回転位置を検出することになる。更に、基準回転位置を検出したエンジンECU60は、基準回転位置を検出したことを示す出力信号、例えば基準回転位置を検出した場合にはその電圧がローレベルからハイレベルになるような出力信号を始動発電ECU130に送出する。
【0029】
ここで、車両制御装置100は、発電電動機である三相交流始動発電機110の動作を制御するための始動発電ECU130を備えている。具体的には、始動発電ECU130は、スタータスイッチ105がオン状態となって起動され、二次電池である鉛バッテリ101を、三相交流始動発電機110を発電させることにより充電すると共に、三相交流始動発電機110をスタータモータとして機能させてエンジン1のクランクシャフト7を回転させることにより、エンジンECU60と協働しながら、エンジン1を始動する。二次電池としては、鉛バッテリ以外に、ニッケル水素バッテリやリチウムイオンバッテリも利用可能である。また、図中、符号102は、鉛バッテリ101に接続される負荷を示し、及び符号103は、三相交流始動発電機110の図示を省略する筐体等に装着された典型的にはホールセンサである位相センサを示している。
【0030】
三相交流始動発電機110は、その詳細な構成は省略するが、典型的にはPWM(Pulse Width Modulation)制御されるもので、U相のコイル110a、V相のコイル110b及びW相のコイル110cから成る3相の発電出力発生用のコイル(固定子巻線)が巻回された固定子と、これらの各相のコイル110a、コイル110b及び110cに対応する界磁束発生用の永久磁石が各々装着されると共に固定子の外周側を周回するように配設された回転子と、を備え、かかる回転子がエンジン1のクランクシャフト7に、図示を省略する減速ギヤ系を介して機械的に連結される。よって、かかるギヤ系を介して、三相交流始動発電機110の回転位置、つまり回転子の回転位置(模式的に
図1に示す回転軸112周りの回転位置)と、エンジン1の回転位置、つまりクランクシャフト7の回転位置と、は1対1の対応関係にある。位相センサ103は、U相用位相センサ、V相用位相センサ及びW相用位相センサを有し、U相用位相センサ、V相用位相センサ及びW相用位相センサは、典型的には回転子の永久磁石の回転位置の変化に対応して、回転子において各々対応するU相の回転位置、V相の回転位置及びW相の回転位置を示す出力信号を、始動発電ECU130に送出する。
【0031】
U相のコイル110aは、AC/DCコンバータ131の一方のU相のスイッチング素子131aの他方の端子と、AC/DCコンバータ131の他方のU相のスイッチング素子131bの一方の端子と、に電気的に接続する接続端子111aを有している。V相のコイル110bは、AC/DCコンバータ131の一方のV相のスイッチング素子131cの他方の端子と、AC/DCコンバータ131の他方のV相のスイッチング素子131dの一方の端子と、に電気的に接続する接続端子111bを有している。また、W相のコイル110cは、AC/DCコンバータ131の一方のW相のスイッチング素子131eの他方の端子と、AC/DCコンバータ131の他方のW相のスイッチング素子131fの一方の端子と、に電気的に接続する接続端子111cを有している。
【0032】
始動発電ECU130は、マイクロコンピュータ等を含む演算処理装置であり、図示を省略するメモリやタイマを有している。かかるメモリには、必要な制御・処理プログラム及び制御・処理データが記憶され、ECU130は、メモリから必要な制御・処理プログラム及び制御・処理データを読み出して、制御・処理プログラムを実行することにより、発電電動機である三相交流始動発電機110の動作を制御する。
【0033】
具体的には、始動発電ECU130は、電力変換器であるAC(Alternate Current)/DC(Direct Current)コンバータ131と、AC/DCコンバータ131の動作を制御すべくそれに制御信号を送出する制御部132と、エンジン1を始動させるようにエンジン1を駆動すると共にエンジン1により駆動されて発電するように三相交流始動発電機110を制御する制御部132と、エンジン1の基準回転位置を検出するエンジンECU60から、基準回転位置を検出したことを示す出力信号を、図示を省略する入力回路を介して受信する受信部133と、三相交流始動発電機110の回転位置を検出する回転位置検出部134と、を備えている。また、始動発電ECU130は、エンジン1の回転位置を推定する回転位置推定部135を更に備えていてもよい。なお、図中では、制御部132、受信部133、回転位置検出部134及び回転位置推定部135は、各々制御・処理プログラムを実行する際の機能ブロックとして示し、受信部133、回転位置検出部134及び回転位置推定部135は、制御部132の中に含まれるものとして示すが、これらは、制御部132の外にあって同等の機能を発揮するものでもよい。
【0034】
AC/DCコンバータ131は、典型的には3相ブリッジ接続されたスイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fを有し、制御部132からの制御信号に従って、スイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fの各々をオン状態又はオフ状態にして三相交流始動発電機110から供給された3相交流電流を直流電流に変換すると共に、直流電流を鉛バッテリ101に供給する。かかる場合には、三相交流始動発電機110は、エンジン1により駆動され、AC/DCコンバータ131を介して制御部132でいわゆる遅角制御される発電機として機能する。また、AC/DCコンバータ131は、制御部132からの制御信号に従って、スイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fの各々をオン状態又はオフ状態にして鉛バッテリ101から供給された直流電流を3相交流電流に変換すると共に、その三相交流電流を三相交流始動発電機110に供給する。かかる場合には、AC/DCコンバータ131は、DC/ACコンバータとして機能すると共に、三相交流始動発電機110は、その回転子の回転を、減速ギヤ系を介してエンジン1のクランクシャフト7に伝達することにより、エンジン1を駆動するスタータモータとして機能する。なお、スイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fは、典型的には各々トランジスタであり、
図2中では、一例として、N型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)として各々示している。なお、スタータモータとしては、三相交流始動発電機110を兼用品として用いるのではなく、発電機能を有さないスタータモータの専用品を別途用いてもかまわない。
【0035】
具体的には、AC/DCコンバータ131は、U相、V相及びW相の3相の各相に対して、一対のスイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fを各々対応して有している。
【0036】
つまり、AC/DCコンバータ131では、U相の一対のスイッチング素子131aとスイッチング素子131bとが電気的に接続されており、スイッチング素子131aがオン状態で、且つ、スイッチング素子131bがオフ状態の場合にU相の駆動電圧をハイレベルにし、スイッチング素子131aがオフ状態で、且つ、スイッチング素子131bがオン状態の場合にU相の駆動電圧をローレベルにする。
【0037】
また、AC/DCコンバータ131では、V相の一対のスイッチング素子131cとスイッチング素子131dとが電気的に接続されており、スイッチング素子131cがオン状態で、且つ、スイッチング素子131dがオフ状態の場合にV相の駆動電圧をハイレベルにし、スイッチング素子131cがオフ状態で、且つ、スイッチング素子131dがオン状態の場合にV相の駆動電圧をローレベルにする。
【0038】
更に、AC/DCコンバータ131では、W相の一対のスイッチング素子131eとスイッチング素子131fとが電気的に接続されており、スイッチング素子131eがオン状態、且つ、スイッチング素子131fがオフ状態の場合にW相の駆動電圧をハイレベルにし、スイッチング素子131eがオフ状態、且つ、スイッチング素子131fがオン状態の場合にW相の駆動電圧をローレベルにする。
【0039】
ここで、スイッチング素子131aは、制御部132に電気的に接続された制御端子と、鉛バッテリ101の高電位側に電気的に接続された一方の入力端子と、スイッチング素子131b及び三相交流始動発電機110の接続端子111aに電気的に接続された他方の入力端子と、を有している。かかるスイッチング素子131aは、その制御端子に対して制御部132から印加される所定の制御信号に従って、オン/オフ動作し、それがオン状態のときは、一方の入力端子から他方の入力端子へ電流が流れる。
【0040】
また、スイッチング素子131bは、制御部132に電気的に接続された制御端子と、スイッチング素子131a及び三相交流始動発電機110の接続端子111aに電気的に接続された一方の入力端子と、鉛バッテリ101の低電位側に電気的に接続された他方の入力端子と、を有している。かかるスイッチング素子131bは、その制御端子に対して制御部132から印加される所定の制御信号に従って、オン/オフ動作し、それがオン状態のときには、一方の入力端子から他方の入力端子へ電流が流れる。
【0041】
また、スイッチング素子131cは、制御部132に電気的に接続された制御端子と、鉛バッテリ101の高電位側に電気的に接続された一方の入力端子と、スイッチング素子131d及び三相交流始動発電機110の接続端子111bに電気的に接続された他方の入力端子と、を有している。かかるスイッチング素子131cは、その制御端子に対して制御部132から印加される所定の制御信号に従って、オン/オフ動作し、それがオン状態のときには、一方の入力端子から他方の入力端子へ電流が流れる。
【0042】
また、スイッチング素子131dは、制御部132に電気的に接続された制御端子と、スイッチング素子131c及び三相交流始動発電機110の接続端子111bに電気的に接続された一方の入力端子と、鉛バッテリ101の低電位側に電気的に接続された他方の入力端子と、を有している。かかるスイッチング素子131dは、その制御端子に対して制御部132から印加される所定の制御信号に従って、オン/オフ動作し、それがオン状態のときには、一方の入力端子から他方の入力端子へ電流が流れる。
【0043】
また、スイッチング素子131eは、制御部132に電気的に接続された制御端子と、鉛バッテリ101の高電位側に電気的に接続された一方の入力端子と、スイッチング素子131f及び三相交流始動発電機110の接続端子111cに電気的に接続された他方の入力端子と、を有している。かかるスイッチング素子131eは、その制御端子に対して制御部132から印加される所定の制御信号に従って、オン/オフ動作し、それがオン状態のときには、一方の入力端子から他方の入力端子へ電流が流れる。
【0044】
更に、スイッチング素子131fは、制御部132に電気的に接続された制御端子と、スイッチング素子131e及び三相交流始動発電機110の接続端子111cに電気的に接続された一方の入力端子と、鉛バッテリ101の低電位側に電気的に接続された他方の入力端子と、を有している。かかるスイッチング素子131fは、その制御端子に対して制御部132から印加される所定の制御信号に従って、オン/オフ動作し、それがオン状態のときには、一方の入力端子から他方の入力端子へ電流が流れる。
【0045】
ここで、制御部132は、受信部133がエンジンECU60から基準回転位置を検出したことを示す出力信号を受信したときに、回転位置検出部134が検出する三相交流始動発電機110の回転位置に基づき、三相交流始動発電機110の動作、つまりその駆動や発電を、AC/DCコンバータ131への制御を介して、制御することになる。具体的には、制御部132は、回転位置検出部134が検出する三相交流始動発電機110の回転位置に基づき、スイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fの各々のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチング制御を行う。
【0046】
典型的には、エンジン1の始動時において、制御部132は、スタータスイッチ105がオン状態となってそれから送出されたエンジン1の始動指令信号が入力された際に、回転位置検出部134に検出される三相交流始動発電機110のU相、V相及びW相の各相に対応する回転子の回転位置に基づきながら、三相交流始動発電機110に印加する駆動制御信号のデューティを制御するように、スイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fの各々のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチング制御を行うことにより、三相交流始動発電機110の出力トルクを制御して、エンジン1のクランクシャフト7を回転させ、エンジン1の始動を制御する。この際、制御部132は、エンジン1を始動させるために、エンジン1を逆回転で回転させてから正回転で回転させるように三相交流始動発電機110の出力トルクを制御する。このように三相交流始動発電機110を逆回転で回転させることによりエンジン1を逆回転で回転させて一旦停止させる位置としては、エンジン1の動作サイクルの圧縮行程における典型的には圧縮上死点に近接した回転位置が好ましい。ここで、回転位置検出部134に検出される三相交流始動発電機110の回転子の1回転における回転位置は、エンジン1のクランクシャフト7の回転位置に1対1で対応しているため、かかる回転子の回転位置がエンジン1の動作サイクルの圧縮行程における圧縮上死点に近接した回転位置に相当することになるタイミングで、制御部132は、エンジン1の逆回転を一旦停止させるように三相交流始動発電機110の逆回転を一旦停止させる、つまり三相交流始動発電機110の出力トルクをゼロにするように、スイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fの各々のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチング制御を一旦停止することになる。よって、三相交流始動発電機110の回転位置が適切に検出されると、エンジン1を始動させるために、エンジン1を逆回転で回転させてから正回転で回転させる動作がより適切に実行されることになる。
【0047】
また、典型的には、エンジン1の始動時以外の運転時において、制御部132は、三相交流始動発電機110のU相、V相及びW相の各相のコイルの通電タイミング(遅角量)と、回転位置検出部134に検出される三相交流始動発電機110のU相、V相及びW相の各相に対応する回転子の回転位置(より好ましくは、制御部132が算出する回転子の回転位置の時間変化量である回転速度)と、に基づいて鉛バッテリ101への充電状態を推定し、この推定結果に基づいてスイッチング素子131a、131b、131c、131d、131e及び131fの各々のオン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチング制御を行って三相交流始動発電機110を制御することにより、鉛バッテリ101を充電することになる。よって、三相交流始動発電機110の回転位置や回転速度が適切に検出されると、鉛バッテリ101がより適切に充電されることになる。
【0048】
さて、受信部133が、エンジン1の基準回転位置を検出したエンジンECU60から出力された基準回転位置を検出したことを示す出力信号を受信したときに、回転位置検出部134が三相交流始動発電機110の回転位置を検出し、制御部132は、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置に基づくことにより、エンジン1のクランクシャフト7の回転速度(又は三相交流始動発電機110の回転子の回転速度)が所定値以下であることというような付加的な条件に制限されることなく、三相交流始動発電機110の動作を制御することが可能となる。以下、かかる三相交流始動発電機110の回転位置の検出処理について、詳細に説明する。
【0049】
図3に示すように、クランク角センサ8から送出されると共にエンジンECU60がエンジン1の基準回転位置を検出するために用いる出力信号が呈するクランクパルスは、時刻t1以前及び時刻t2以降では、その電圧がハイレベルとローレベルとを規則的に繰り返す波形を呈するが、時刻t1と時刻t2との間の期間では、その電圧がローレベルに維持されており、かかる期間で、リラクタ7aの歯欠け部7cがクランク角センサ8の近傍を通過していることが分かる。このため、一例として、リラクタ7aの歯欠け部7cの位置に対応して、エンジン1の基準回転位置を設定することにより、エンジンECU60は、その演算処理速度に依存した時刻t2の経過直後に、リラクタ7aの歯欠け部7cがクランク角センサ8の近傍を通過したことに対応して、エンジン1の基準回転位置を検出することが可能となる。
【0050】
この際、エンジンECU60は、基準回転位置を検出したことを示す出力信号、例えば基準回転位置を検出した場合に電圧がローレベルからハイレベルになるような出力信号を始動発電ECU130に向けて送出することになるが、ここで一例として、エンジンECU60のかかる出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t5に完了したとする。すると、位相センサ103より送出される出力信号の内で受信部133の受信の時刻t5に最も接近してその前に送出されるものであるV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t4で、始動発電ECU130の制御部132制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出部134の回転位置検出処理を実行中であるため、回転位置検出部134は、三相交流始動発電機110の回転位置がモータステージ4の回転位置であると検出する。具体的には、かかるモータステージは、三相交流始動発電機110の回転軸112周りの1回転の角度である360度を6等分したステージ0から5を有し、かつエンジン1の回転位置における基準回転位置(リラクタ7aの歯欠け部7cの位置)の中央部においてその基準となるステージ0に規定されており、更にモータステージ0は、エンジン1の360度ステージの11に対応するように設定されている。また、かかるモータステージでは、360度ステージ11に対応したモータステージ0が、W相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりに対応しており、モータステージ0から時系列でそれ以降に向かっては、V相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応してモータステージ1、U相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりに対応してモータステージ2、W相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応してモータステージ3…というように順次設定されていると共に、モータステージ0から時系列でそれ以前に向かっては、U相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応してモータステージ5、V相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりに対応してモータステージ4、W相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応してモータステージ3…というように順次設定されている。更に、かかるモータステージは、予めデータ化されメモリ中に格納されている。そこで、V相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t4で、始動発電ECU130の制御部132の制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出処理を実行中である回転位置検出部134は、モータステージのデータをメモリから読み出して参照する。この際、回転位置検出部134は、始動発電ECU130の受信部133によりエンジンECU60からの基準回転位置を検出したことを示す出力信号が受信された時刻t5が、エンジンECU60からかかる出力信号が送出された時刻t3に接近しているとことを前提として、時刻t4におけるV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりが、エンジン1の回転位置における基準回転位置から最初の立ち上がりであると判別し、三相交流始動発電機110の回転位置が、時刻t4におけるV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりに対応したモータステージ4の回転位置であると検出する。そして、回転位置検出部134は、かかるモータステージ5の検出後、その後その処理を終了する。なお、この場合のモータステージ4は、エンジン1の360度ステージのステージ15に対応している。また、エンジン1の360度ステージは、エンジン1のクランクシャフト7の回転軸周りの1回転の角度である360度を36等分したステージ0から35を有するように予め規定されたものである。
【0051】
また、例えば、エンジンECU60の基準回転位置を検出したことを示す出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t7に完了したとする。すると、位相センサ103より送出される出力信号の内で時刻t7に最も接近してその前に送出されるものであるU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりの時刻t6で、始動発電ECU130の制御部132の制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出処理を実行中である回転位置検出部134は、U相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりが、エンジン1の回転位置における基準回転位置から最初のU相用位相センサの出力信号の立ち下がりであると判別し、モータステージのデータをメモリから読み出して参照し、三相交流始動発電機110の回転位置が、時刻t6におけるU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応したモータステージ5の回転位置であると検出する。そして、回転位置検出部134は、かかるモータステージ5の検出後、その後その処理を終了する。なお、この場合のモータステージ5は、エンジン1の360度ステージのステージ16に対応している。
【0052】
また、例えば、エンジンECU60の基準回転位置を検出したことを示す出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t9に完了したとする。すると、位相センサ103より送出される出力信号の内で時刻t9に最も接近してその前に送出されるものであるW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t8で、始動発電ECU130の制御部132の制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出処理を実行中である回転位置検出部134は、W相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりが、エンジン1の回転位置における基準回転位置から最初のW相用位相センサの出力信号の立ち下がりであると判別し、モータステージのデータをメモリから読み出して参照し、三相交流始動発電機110の回転位置が、時刻t8におけるW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりに対応したモータステージ0の回転位置であると検出する。そして、回転位置検出部134は、かかるモータステージ0の検出後、その処理を終了する。なお、この場合のモータステージ0は、エンジン1の360度ステージのステージ17に対応している。
【0053】
また、例えば、エンジンECU60の基準回転位置を検出したことを示す出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t11に完了したとする。すると、位相センサ103より送出される出力信号の内で時刻t11に最も接近してその前に送出されるものであるV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりの時刻t10で、始動発電ECU130の制御部132の制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出処理を実行中である回転位置検出部134は、V相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりが、エンジン1の回転位置における基準回転位置から最初のV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりであると判別し、モータステージのデータをメモリから読み出して参照し、三相交流始動発電機110の回転位置が、時刻t10におけるV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応したモータステージ1の回転位置であると検出する。そして、回転位置検出部134は、かかるモータステージ1の検出後、その処理を終了する。なお、この場合のモータステージ1は、エンジン1の360度ステージのステージ18に対応している。
【0054】
また、例えば、エンジンECU60の基準回転位置を検出したことを示す出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t13に完了したとする。すると、位相センサ103より送出される出力信号の内で時刻t13に最も接近してその前に送出されるものであるU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t12で、始動発電ECU130の制御部132の制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出処理を実行中である回転位置検出部134は、U相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりが、エンジン1の回転位置における基準回転位置から最初のU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりであると判別し、モータステージのデータをメモリから読み出して参照し、三相交流始動発電機110の回転位置が、時刻t12におけるU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりに対応したモータステージ2の回転位置であると検出する。そして、回転位置検出部134は、かかるモータステージ2の検出後、その処理を終了する。なお、この場合のモータステージ2は、エンジン1の360度ステージのステージ19に対応している。
【0055】
また、例えば、エンジンECU60のかかる出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t15に完了したとする。すると、位相センサ103より送出される出力信号の内で時刻t15に最も接近してその前に送出されるものであるW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりの時刻t14で、始動発電ECU130の制御部132の制御処理の割り込み処理として開始される回転位置検出処理を実行中である回転位置検出部134は、W相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりが、エンジン1の回転位置における基準回転位置から最初のW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりであると判別し、モータステージのデータをメモリから読み出して参照し、三相交流始動発電機110の回転位置が、時刻t14におけるW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりに対応したモータステージ3の回転位置であると検出する。これにより、回転位置検出部134は、かかるモータステージ2の検出後、その処理を終了する。なお、この場合のモータステージ3は、エンジン1の360度ステージのステージ20に対応している。
【0056】
このように、時刻t1と時刻t2との間の期間でクランク角センサ8の近傍を通過するリラクタ7aの歯欠け部7cの位置に対応してエンジン1の基準回転位置を設定する場合に、その後に引き続く3相用の制御信号の電圧の立ち上がり時刻又は電圧の立ち下がり時刻で各々開始される回転位置検出処理の実行期間中に、エンジンECU60から送出された出力信号の始動発電ECU130の受信部133による受信が完了した場合、その実行中の回転位置検出処理に対応して、始動発電ECU130の回転位置検出部134が三相交流始動発電機110の回転位置を検出することになる。
【0057】
また、始動発電ECU130に回転位置推定部135が設けられている場合には、回転位置推定部135は、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置に基づき、エンジン1の回転位置を推定すると共に、制御部132は、回転位置推定部135が推定したエンジン1の回転位置に基づき、三相交流始動発電機110の動作、つまりその駆動や発電を、AC/DCコンバータ131への制御を介して、制御することになる。以下、かかるエンジン1の回転位置の推定処理について、詳細に説明する。
【0058】
一例として
図3に示すように、エンジンECU60の出力信号の送出が時刻t3に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t5に完了し、三相交流始動発電機110のV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t4で、回転位置検出部134の回転位置検出処理が開始されている場合に、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置であるモータステージ4は、エンジン1の回転位置における360度ステージ15に対応している。そこで、
図4(a)のテーブルの一番上の行に示すように、モータステージ4に対応して360度ステージが15であることが予め規定されたデータをメモリ中に格納しておき、回転位置推定部135がかかるデータをメモリから読み出して参照することにより、回転位置推定部135は、エンジン1の回転位置は360度ステージ15の回転位置であると推定することになる。
【0059】
また、例えば、エンジンECU60の出力信号の送出が時刻t5に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t7に完了し、三相交流始動発電機110のU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりの時刻t6で、回転位置検出部134の回転位置検出処理が開始されている場合に、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置であるモータステージ5は、エンジン1の回転位置における360度ステージ16に対応している。そこで、
図4(b)のテーブルの一番上の行に示すように、モータステージ5に対応して360度ステージが16であることが予め規定されたデータをメモリ中に格納しておき、回転位置推定部135がかかるデータをメモリから読み出して参照することにより、回転位置推定部135は、エンジン1の回転位置は360度ステージ16の回転位置であると推定することになる。
【0060】
また、例えば、エンジンECU60の出力信号の送出が時刻t7に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t9に完了し、三相交流始動発電機110のW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t8で、回転位置検出部134の回転位置検出処理が開始されている場合に、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置であるモータステージ0は、エンジン1の回転位置における360度ステージ17に対応している。そこで、
図4(c)のテーブルの一番上の行に示すように、モータステージ0に対応して360度ステージが17であることが予め規定されたデータをメモリ中に格納しておき、回転位置推定部135がかかるデータをメモリから読み出して参照することにより、回転位置推定部135は、エンジン1の回転位置は360度ステージ17の回転位置であると推定することになる。
【0061】
また、例えば、エンジンECU60の出力信号の送出が時刻t9に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t11に完了し、三相交流始動発電機110のV相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりの時刻t10で、回転位置検出部134の回転位置検出処理が開始されている場合に、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置であるモータステージ1は、エンジン1の回転位置における360度ステージ18に対応している。そこで、
図4(a)のテーブルの上から4番目の行に示すように、モータステージ1に対応して360度ステージが18であることが予め規定されたデータをメモリ中に格納しておき、回転位置推定部135がかかるデータをメモリから読み出して参照することにより、回転位置推定部135は、エンジン1の回転位置は360度ステージ18の回転位置であると推定することになる。
【0062】
また、例えば、エンジンECU60の出力信号の送出が時刻t11に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t13に完了し、三相交流始動発電機110のU相用位相センサの出力信号の電圧の立ち上がりの時刻t12で、回転位置検出部134の回転位置検出処理が開始されている場合に、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置であるモータステージ2は、エンジン1の回転位置における360度ステージ19に対応している。そこで、
図4(a)のテーブルの上から4番目の行に示すように、モータステージ2に対応して360度ステージが19であることが予め規定されたデータをメモリ中に格納しておき、回転位置推定部135がかかるデータをメモリから読み出して参照することにより、回転位置推定部135は、エンジン1の回転位置は360度ステージ19の回転位置であると推定することになる。
【0063】
また、例えば、エンジンECU60の出力信号の送出が時刻t13に行われて、始動発電ECU130の受信部133のかかる出力信号の受信が時刻t15に完了し、三相交流始動発電機110のW相用位相センサの出力信号の電圧の立ち下がりの時刻t14で、回転位置検出部134の回転位置検出処理が開始されている場合に、回転位置検出部134が検出した三相交流始動発電機110の回転位置であるモータステージ3は、エンジン1の回転位置における360度ステージ20に対応している。そこで、
図4(a)のテーブルの上から4番目の行に示すように、モータステージ3に対応して360度ステージが20であることが予め規定されたデータをメモリ中に格納しておき、回転位置推定部135がかかるデータをメモリから読み出して参照することにより、回転位置推定部135は、エンジン1の回転位置は360度ステージ20の回転位置であると推定することになる。
【0064】
このように、時刻t1と時刻t2との間の期間でクランク角センサ8の近傍を通過するリラクタ7aの歯欠け部7cの位置に対応してエンジン1の基準回転位置を設定する場合であって、その後に引き続く3相用の制御信号の電圧の立ち上がり時刻又は立ち下がり時刻で各々開始される回転位置検出処理の実行期間中に、エンジンECU60から送出された出力信号の始動発電ECU130の受信部133による受信が完了した場合、その完了した際に実行されている回転位置検出処理に対応して、始動発電ECU130の回転位置検出部134により、三相交流始動発電機110の回転位置が検出される場合に、始動発電ECU130の回転位置検出部134により検出された三相交流始動発電機110の回転位置に対応するエンジン1の回転位置のデータに対応して、始動発電ECU130の回転位置推定部135により、エンジン1の回転位置が推定されることになる。
【0065】
また、このように360度ステージで示したエンジン1の回転位置を、エンジン1のクランクシャフト7の回転軸周りの2回転の角度である720度を72等分したステージ0から71を有するように予め規定された720度ステージで示すには、エンジン1の吸気圧やエンジン回転速度の変動を参照することが必要であり、これにより圧縮上死点と排気上死点とが判別され、かつ吸気下死点と膨張下死点とが判別されたエンジン1の全行程に亘る回転位置が720度ステージに示されることになる。720度ステージでエンジン1の回転位置を規定することにより、制御部132は、かかるエンジン1の回転位置に基づき、三相交流始動発電機110の動作、つまりその駆動や発電を、AC/DCコンバータ131への制御を介して、より適切に制御することになる。
【0066】
以上のように、本実施形態における車両制御装置100では、車両に搭載された内燃機関1を始動させるように内燃機関1を駆動すると共に内燃機関1により駆動されて発電する発電電動機110を制御する制御部132と、内燃機関1の回転位置における基準位置として予め設定された基準回転位置を検出する他方の制御装置50から、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信する受信部133と、発電電動機110の回転位置を検出する回転位置検出部134と、を備え、制御部132が、受信部133が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、回転位置検出部134が検出する発電電動機110の回転位置に基づき、発電電動機110を制御するものであるため、2つの制御装置50、100の間の通信の遅延自体は許容し、内燃機関1の回転数が極めて低い領域に限定されることなく、内燃機関1の幅広い回転数の領域で、他の制御装置50から受信した内燃機関1の基準回転位置に関する情報に基づき、発電電動機110による駆動や発電といったその動作を適切に制御することができる。
【0067】
また、本実施形態における車両制御装置100では、受信部133が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、回転位置検出部134が検出する発電電動機110の回転位置に基づき、内燃機関1の回転位置を推定する回転位置推定部135を更に備え、制御部132が、回転位置推定部135が推定した内燃機関1の回転位置に基づき、発電電動機110を制御するものであるため、推定した内燃機関1の回転位置に基づき、発電電動機110による駆動や発電といったその動作をより適切に制御することができる。
【0068】
また、本実施形態における車両制御装置100では、受信部133が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信したときに、発電電動機110の回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサ103をから送出されているセンサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに対応して、回転位置検出部134が、発電電動機110の回転位置を検出するものであるため、内燃機関1の回転位置に対応した発電電動機110の回転位置をより適切に検出することができる。
【0069】
また、本実施形態における車両制御装置100では、基準回転位置に対応する発電電動機110の回転位置を基準とし、発電電動機110の回転位置を示すセンサ信号を送出するセンサ103をから送出されたセンサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりに時系列的に順に対応するように規定された発電電動機110の回転位置のデータが予め準備されており、回転位置検出部134は、かかるデータを参照し、センサ信号の電圧の立ち上がり及び立ち下がりの内で、受信部133が、基準回転位置を検出したことを示す信号を受信した時点よりも前であって、かつそれに最も近いものに対応して規定された回転位置を発電電動機110の回転位置として検出するものであるため、内燃機関1の回転位置に対応した発電電動機110の回転位置を簡易かつ確実に検出することができる。
【0070】
なお、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明は、2つの制御装置の間の通信の遅延自体を許容し、内燃機関の幅広い回転数の領域で、他の制御装置から受信した内燃機関の基準回転位置に関する情報に基づき、発電電動機を適切に制御可能な車両制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から自動車に広く適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0072】
1…エンジン(内燃機関)
2…シリンダブロック
3…冷却水通路
4…水温センサ
5…ピストン
6…コンロッド
7…クランクシャフト
7a…リラクタ
7b…歯部
7c…歯欠け部
8…クランク角センサ
9…シリンダヘッド
10…燃焼室
11…点火プラグ
12…吸気通路
13…吸気バルブ
14…燃料噴射弁
15…スロットルバルブ
16…排気通路
17…排気バルブ
50…エンジン制御装置
60…エンジンECU(Electronic Control Unit)
100…車両制御装置
101…鉛バッテリ
102…負荷
103…位相センサ
105…スタータスイッチ
106…スロットル開度センサ
110…発電電動機(三相交流始動発電機)
110a…U相のコイル
110b…V相のコイル
110c…W相のコイル
111a、111b、111c…接続端子
112…回転軸
130…始動発電ECU
131…AC(Alternate Current)/DC(Direct Current)コンバータ
131a、131b…U相のスイッチング素子
131c、131d…V相のスイッチング素子
131e、131f…W相のスイッチング素子
132…制御部
133…受信部
134…回転位置検出部
135…回転位置推定部
EM…排気管
IM…吸気管