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  • 特開-ニーエアバッグの取付構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157543
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ニーエアバッグの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/206 20110101AFI20231019BHJP
【FI】
B60R21/206
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067514
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三條 静男
(72)【発明者】
【氏名】平尾 優介
(72)【発明者】
【氏名】谷川 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 厚之
(72)【発明者】
【氏名】二村 栄史朗
(72)【発明者】
【氏名】金子 佳樹
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA08
3D054AA14
3D054BB10
3D054BB18
(57)【要約】
【課題】エアバッグをより適切に展開できるニーエアバッグの取付構造を提供する。
【解決手段】ニーエアバッグの取付構造は、エアバッグ26を折り畳んだ状態で収容するニーエアバッグケース22と、ドア本体32と、前記ドア本体32より面方向外側に張り出してインパネ10の裏側に隠れるフランジ部34と、前記ニーエアバッグケース22と連結される連結部36と、が一体形成されたニーエアバッグドア30と、前記フランジ部34を挟んでインパネ10の反対側に位置する挟持壁54を有するブラケット52と、を備え、前記フランジ部34には、突起42が形成されており、前記挟持壁54には、前記突起42が挿入される挿通孔56が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝突時に膨張展開するニーエアバッグを折り畳んだ状態で収容し、インストルメントパネルで囲まれるインパネ内部空間に配置されるニーエアバッグケースと、
前記インストルメントパネルに形成されたドア開口を塞ぐドア本体と、前記ドア本体より面方向外側に張り出して前記インストルメントパネルの裏側に隠れるフランジ部と、前記ニーエアバッグケースと連結される連結部と、が一体形成されたニーエアバッグドアと、
前記インパネ内部空間に固定されるブラケットであって、前記フランジ部を挟んで前記インストルメントパネルの反対側に位置する挟持壁を有するブラケットと、
を備え、前記フランジ部および前記挟持壁の一方には、他方に向かって突出する突起が形成されており、
前記フランジ部および前記挟持壁の他方には、前記突起が挿入される挿通孔が形成されている、
ことを特徴とするニーエアバッグの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のニーエアバッグの取付構造であって、
前記フランジ部に、前記突起が形成され、前記挟持壁に、前記挿通孔が形成されている、ことを特徴とするニーエアバッグの取付構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のニーエアバッグの取付構造であって、
前記突起または前記挿通孔は、前記フランジ部の上端近傍に形成されており、
前記挟持壁は、前記フランジ部の上端より上側位置から下方に向かって延びている、
ことを特徴とするニーエアバッグの取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載のニーエアバッグの取付構造であって、
前記突起は、断面十字形である、ことを特徴とするニーエアバッグの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、車両の衝突時に、膨張展開して乗員の下肢を保護するニーエアバッグの取付構造を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の衝突時に、乗員の下肢を保護するニーエアバッグが知られている。例えば、特許文献1には、ケース体の内部に、インフレータおよびエアバッグを収容し、このケース体を、カバー体で支持するニーエアバッグ装置が開示されている。インストルメントパネル(以下「インパネ」という)には、膨張展開するエアバッグを通すための開口が形成されており、カバー体は、この開口を覆っている。また、カバー体は、複数の嵌合爪を有しており、この嵌合爪により、インパネに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-160998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、エアバッグが展開する際、ケース体およびケース体を支持するカバー体には、大きな反力が作用する。この反力は、エアバッグの展開方向と逆向きであり、車両前向きである。この反力を受けて、カバー体が、インパネに対して、車両前側に動くと、カバー体と、インパネとの間に、隙間が生じることになる。この隙間に、エアバッグの一部が入り込むと、インパネの外側、すなわち、車室において、エアバッグが適切に展開できないおそれがあった。
【0005】
そこで、本明細書では、エアバッグをより適切に展開できるニーエアバッグの取付構造を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示するニーエアバッグの取付構造は、衝突時に膨張展開するニーエアバッグを折り畳んだ状態で収容し、インストルメントパネルで囲まれるインパネ内部空間に配置されるニーエアバッグケースと、前記インストルメントパネルに形成されたドア開口を塞ぐドア本体と、前記ドア本体より面方向外側に張り出して前記インストルメントパネルの裏側に隠れるフランジ部と、前記ニーエアバッグケースと連結される連結部と、が一体形成されたニーエアバッグドアと、前記インパネ内部空間に固定されるブラケットであって、前記フランジ部を挟んで前記インストルメントパネルの反対側に位置する挟持壁を有するブラケットと、を備え、前記フランジ部および前記挟持壁の一方には、他方に向かって突出する突起が形成されており、前記フランジ部および前記挟持壁の他方には、前記突起が挿入される挿通孔が形成されている、ことを特徴とする。
【0007】
挟持壁とインパネでフランジ部を挟むことで、フランジ部、ひいては、ニーエアバッグドアおよびニーエアバッグケースが、インパネから離れる方向に動くことが効果的に防止できる。さらに、フランジ部および挟持壁の一方に突起を、他方に挿通孔を設けることで、フランジ部の倒れ込みや撓みが効果的に防止でき、フランジ部が、インパネと挟持壁との隙間をすり抜けることが効果的に防止できる。そして、結果として、ニーエアバッグドアおよびニーエアバッグケースの変位が効果的に防止でき、エアバッグをより適切に展開できる。
【0008】
この場合、前記フランジ部に、前記突起が形成され、前記挟持壁に、前記挿通孔が形成されていてもよい。
【0009】
フランジ部に突起を形成することで、フランジ部の剛性が向上し、フランジ部の撓みを効果的に防止できる。そして、これにより、フランジ部が、インパネと挟持壁との隙間をすり抜けることをより確実に防止できる。なお、挟持壁を含むブラケットは、金属で構成され、剛性が高いことが多いため、挿通孔を形成しても、挟持壁の撓み等は生じにくい。
【0010】
また、前記突起または前記挿通孔は、前記フランジ部の上端近傍に形成されており、前記挟持壁は、前記フランジ部の上端より上側位置から下方に向かって延びていてもよい。
【0011】
かかる構成とすることで、ニーエアバッグが、ニーエアバッグドアとインパネとの隙間に入り込むことがより効果的に防止できる。すなわち、通常、ニーエアバッグは、インパネ内部空間から車室側に飛び出た後、上方に大きく広がっていく。そのため、展開途中のニーエアバッグは、ドア開口の下縁近傍の隙間よりも、上縁近傍の隙間に入り込みやすい。フランジ部の上端近傍に突起を設けることで、ドア開口の上縁近傍における、ニーエアバッグドアとインパネとの隙間の発生をより確実に防止できる。そして、これにより、エアバッグをより適切に展開できる。
【0012】
また、前記突起は、断面十字形であってもよい。
【0013】
かかる構成とすることで、突起の体積を小さく抑えつつ、突起の剛性を高く保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書で開示するニーエアバッグの取付構造によれば、エアバッグをより適切に展開できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ニーエアバッグ装置を、インパネ内部空間の内側からみた図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図2のB部拡大図である。
図4】エアバッグの展開時におけるストッパ部の動きを説明する図である。
図5】エアバッグの展開時における比較例のストッパ部の動きを説明する図である。
図6】エアバッグの展開時における比較例のニーエアバッグ装置の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してニーエアバッグの取付構造について説明する。図1は、ニーエアバッグ装置20を、インパネ内部空間12の内側からみた図である。また、図2は、図1のA-A断面図であり、図3は、図2のB部拡大図である。なお、以下の各図において、「Fr」、「Up」、「Rh」は、それぞれ、車両前方、上方、右側方を示している。
【0017】
図2に示す通り、車両の前部には、インパネ10が設けられている。このインパネ10で囲まれる空間が、インパネ内部空間12である。インパネ10からは、車両後方(すなわち、乗員に近づく方向)に向かってステアリングコラム16が突出しており、このステアリングコラム16の先端には、ステアリングホイール18が取り付けられている。インパネ10には、ステアリングコラム16を通すためのコラム開口17(図1参照)が形成されている。
【0018】
ステアリングコラム16より下側には、ニーエアバッグ装置20が設けられている。ニーエアバッグ装置20は、車両が障害物に衝突した際、インパネ内部空間12に収容されていたエアバッグ26を、乗員の下肢周辺で広がるように、膨張展開させ、これにより、乗員の下肢を保護する装置である。なお、当然ながら、ステアリングコラム16は、運転席の前方にのみ設けられているが、ニーエアバッグ装置20は、運転席および助手席の双方の前方に設けられている。
【0019】
かかるニーエアバッグ装置20は、ニーエアバッグケース22と、ニーエアバッグドア30と、を有している。ニーエアバッグケース22は、インパネ内部空間12に配置される。インパネ10のうち、ニーエアバッグケース22と車両前後方向に向かい合う箇所には、ドア開口14(図3参照)が形成されている。
【0020】
ニーエアバッグケース22は、図1図2に示すように、ケース本体24を有する。ケース本体24は、車両後方側の面、すなわち、ドア開口14との対向面が開口した略箱状の容器である。このケース本体24の内部には、インフレータ28およびエアバッグ26(図1では見えず、図2参照)が収容されている。インフレータ28は、車両衝突時に、ガス(例えば窒素ガス等)を発生させ、エアバッグ26を膨張展開させるもので、例えば、略円筒形状である。エアバッグ26は、袋状部材であり、平常時には、小さく折り畳まれた状態でケース本体24に収容されている。車両衝突時には、エアバッグ26は、ガスにより膨張展開しつつインパネ内部空間12の外側に飛び出して乗員の下肢の動きを制限し、これにより、乗員の下肢を保護する。図2における二点鎖線は、膨張展開したエアバッグ26の形状を示している。図2から明らかな通り、エアバッグ26は、インパネ10の外側に飛び出た後、上方に広がるような形状、すなわち、側方視で、略L字状に広がる。
【0021】
ニーエアバッグドア30は、ドア開口14を覆うとともに、ニーエアバッグケース22を保持する部品である。このニーエアバッグドア30は、図2に示すように、ドア本体32と、フランジ部34と、連結部36と、を一体成型した樹脂部品である。
【0022】
ドア本体32(図1では見えず、図2参照)は、ドア開口14を覆う部位である。ドア本体32の外面は、インパネ10の外面と滑らかに連なっている。このドア本体32には、板厚を局所的に小さくすることで形成されるラインであるティアライン(図示せず)が形成されている。本例におけるティアラインは、ドア本体32の車幅方向両端近傍において上下方向に延びる一対の縦線と、当該一対の縦線の上下方向中心同士を接続する横線と、を含む略「H」字状である。強い圧力を受けた場合、ドア本体32は、このティアラインに沿って破断する。したがって、エアバッグ26の膨張展開に伴い、ドア本体32に外向きの圧力が作用すると、ドア本体32は、略「H」字状のティアラインに沿って破断する。この破断により、ドア本体32には、上下に二つのフラップ32aが形成される。この二つのフラップ32aは、観音開き状に、外側方向に大きく揺動する。そして、これにより、エアバッグ26が通過するための開口が形成される。図2では、エアバッグ26が膨張展開した際の、フラップ32aを二点鎖線で図示している。
【0023】
フランジ部34は、ドア本体32の周縁から面方向外側に張り出す部位である。このフランジ部34は、インパネ10より車両前側に位置しており、乗員からは、インパネ10の裏に隠れて見えない。このフランジ部34には、複数の締結孔40が形成されている。インパネ10の締結孔40に対応する箇所には、クリップ44が立脚している。そして、このクリップ44を、締結孔40に挿し込んで嵌合することで、ニーエアバッグドア30がインパネ10に取り付けられる。
【0024】
このフランジ部34の上端近傍には、車両前方側、すなわち、インパネ10から離れる方向に突出する突起42が設けられている。図1に示すように、突起42は、ニーエアバッグドア30の車幅方向の両端近傍に一つずつ、合計二つ設けられている。この突起42は、図1に示すように、断面略十字形状である。かかる形状とすることで、突起42の体積を小さく抑えつつ、強度を向上できる。後述する通り、フランジ部34のうち、突起42の周辺は、ブラケット52の挟持壁54と対向する。以下では、フランジ部34のうち、挟持壁54と対向する部分を、「ストッパ部35」と呼ぶ(図3参照)。
【0025】
ドア本体32の裏面(すなわち乗員から見えない面)からは、連結部36(図1では見えず、図2参照)が車両後方に向かって突出している。連結部36は、その末端にケース本体24が連結される壁部材である。例えば、連結部36の末端には、嵌合爪(図示せず)が形成されており、この嵌合爪が、ケース本体24に形成された孔に挿し込まれて嵌合される。
【0026】
ブラケット52は、インパネ内部空間12の内部に固定される板金部材である。このブラケット52は、例えば、インパネリーンフォースメント(以下「インパネR/F」という)50に、溶接等で固着されている。インパネR/F50は、車幅方向に長尺なパイプ材であり、その両端は、フロントピラーに溶接されている。
【0027】
ブラケット52は、ストッパ部35を挟んでインパネ10の反対側に位置する挟持壁54を有する。この挟持壁54は、図1図3に示すように、フランジ部34の上端より上側から下方に延びており、挟持壁54の下端は、突起42よりも下側に位置している。ストッパ部35は、この挟持壁54とインパネ10とで挟まれる。挟持壁54のうち、突起42に対応する箇所には、当該突起42を通すための挿通孔56が形成されている。この挿通孔56は、突起42よりも僅かに大きい。
【0028】
以上の説明から明らかな通り、本例では、インパネ10と協働してストッパ部35を挟み込む挟持壁54を設け、さらに、このストッパ部35および挟持壁54に、突起42および挿通孔56を形成している。かかる構成とする理由について、従来技術と比較して説明する。
【0029】
従来、ニーエアバッグドア30は、クリップ44等でインパネ10に嵌合されるものの、当該ニーエアバッグドア30を、インパネ10との間に挟み込む挟持壁54は、設けられていなかった。この場合、エアバッグ26が膨張展開する際、ニーエアバッグ装置20全体が、車両前方に動き、エアバッグ26が適切に広がらないおそれがあった。
【0030】
すなわち、エアバッグ26が膨張展開する際、ケース本体24およびケース本体24が連結されたニーエアバッグドア30には、車両前向き(すなわち、エアバッグ26の展開方向と逆向き)の大きな反力が作用する。この反力を受けて、ニーエアバッグドア30とインパネ10とのクリップ44による締結が解除され、ニーエアバッグドア30およびケース本体24が、車両前側に動くことがあった。この場合、ニーエアバッグドア30とインパネ10との間に隙間が発生する。そして、展開途中のエアバッグ26が、この隙間に入り込み、エアバッグ26が、所望の形状に広がらない場合があった。
【0031】
こうした問題を避けるために、図5に示すように、挟持壁54を設け、この挟持壁54とインパネ10との間に、フランジ部34の上端近傍(すなわち「ストッパ部35」)を挟むことが考えられる。かかる挟持壁54を設けることで、ニーエアバッグドア30の車両前向きの動きがある程度、抑制される。しかし、図5に示すように、フランジ部34に突起42を設けない構成の場合、当該フランジ部34は、車両前向きの反力を受けて、容易に、揺動したり、撓んだりする。
【0032】
すなわち、エアバッグ26の膨張展開に伴い、ニーエアバッグドア30に車両前向きの反力が作用すると、フランジ部34は、車両前向きに動こうとする。フランジ部34が車両前向きに動くと、ストッパ部35は、挟持壁54に干渉する。ストッパ部35は、挟持壁54に比べて、剛性が乏しいため、その後、さらに反力が作用し続けると、ストッパ部35は、挟持壁54との干渉を解消するように、車両後側に倒れ込んだり、撓んだりする。そして、こうした、ストッパ部35の倒れや、撓みが連続的に生じることで、最終的に、ストッパ部35が、挟持壁54の下側をくぐり抜け、図6に示すように、ニーエアバッグ装置20全体が、車両前側に大きく動くおそれがあった。
【0033】
本例では、こうしたストッパ部35の倒れおよび撓みを防止するために、ストッパ部35に突起42を形成し、挟持壁54に突起42が挿通される挿通孔56を形成している。この構成において、エアバッグ26が膨張展開する場合のストッパ部35の動きを図4に示す。エアバッグ26の膨張展開に伴い、反力が作用すると、ストッパ部35は、車両前側に動くが、比較的、早期に、挟持壁54に干渉する。この干渉を解消するために、ストッパ部35が、車両後側に倒れ込もうとした場合、図4に示すように、突起42が、挿通孔56の周縁に干渉するため、ストッパ部35の更なる倒れ込みが規制される。結果として、突起42を設けた場合、ストッパ部35は、車両後側に殆ど倒れることができない。また、さらに、突起42を設けることで、ストッパ部35の剛性は大幅に向上するため、ストッパ部35は、撓みにくくなっている。つまり、突起42を設けることで、ストッパ部35の倒れおよび撓みが効果的に防止される。そして、これにより、ニーエアバッグ装置20が車両前側に動くことが効果的に防止され、結果として、エアバッグ26が適切に展開できる。
【0034】
また、上述した通り、本例では、突起42をニーエアバッグドア30の上端近傍に設けている。かかる構成とすることで、エアバッグ26をより適切に展開できる。すなわち、上述した通り、また、図2に示す通り、エアバッグ26は、インパネ内部空間12から車室側に飛び出た後、上方に大きく広がっていく。そのため、展開途中のエアバッグ26は、ドア開口14の下縁近傍の隙間よりも、上縁近傍の隙間に入り込みやすい。フランジ部34の上端近傍に、突起42を設けた場合、こうした上縁近傍の隙間が生じにくくなるため、エアバッグ26が隙間に入り込むことを効果的に防止でき、エアバッグ26をより適切に展開できる。
【0035】
なお、ここまで説明した構成は、一例であり、フランジ部34および挟持壁54の一方に突起42が形成され、他方に挿通孔56が形成されるのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、突起42の形状は、適宜、変更されてもよく、例えば、突起42は、円柱形状や、円錐形状、角柱形状等でもよい。また、フランジ部34に挿通孔56を、挟持壁54に突起42を形成してもよい。ただし、フランジ部34に挿通孔56を形成した場合、その分、フランジ部34の剛性が低下する。そこで、フランジ部34に挿通孔56を形成する場合は、さらに、フランジ部34にリブを形成する等、剛性確保のための構造を設けてもよい。
【0036】
また、上述の説明では、突起42を、フランジ部34の上端近傍に2つ設けているが、突起42の位置や個数は、適宜、変更されてもよい。例えば、突起42は、フランジ部34の上端近傍に加えて、または、替えて、下端近傍に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 インパネ、12 インパネ内部空間、14 ドア開口、16 ステアリングコラム、18 ステアリングホイール、20 ニーエアバッグ装置、22 ニーエアバッグケース、24 ケース本体、26 エアバッグ、28 インフレータ、30 ニーエアバッグドア、32 ドア本体、32a フラップ、34 フランジ部、35 ストッパ部、36 連結部、40 締結孔、42 突起、44 クリップ、52 ブラケット、54 挟持壁、56 挿通孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6