(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157544
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】切り花用収納袋
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20231019BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20231019BHJP
B65D 30/28 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65D85/50 200
B65D33/00 C
B65D30/28 L
B65D30/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067515
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】508222106
【氏名又は名称】株式会社ファーストパック
(71)【出願人】
【識別番号】522154766
【氏名又は名称】株式会社M&U
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】魚住 大輔
【テーマコード(参考)】
3E035
3E064
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035BA08
3E035BB08
3E064AA03
3E064AD12
3E064AD16
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA54
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA01
3E064GA04
3E064HD02
3E064HE03
3E064HJ01
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】出荷時に収納された切り花を検査する際や、消費者が切り花の花弁よりも下側の部分の様子を確認する際に、上端際の部分を所望する分(量)だけ容易に引き裂くことが可能で実用的な切り花用収納袋を提供する
【解決手段】切り花用収納袋1は、延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)によって、逆台形の袋状(上部および下部を開口した袋状)に形成されている。そして、左端縁の溶着部M
1の上端際に、表フィルム2aと裏フィルム2bとの引き裂きを容易にするための引き裂き手段である裁断線5が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の表フィルムと裏フィルムとを重ね合わせて側縁を熱溶着することによって上部を開口した逆三角形状あるいは逆台形状にしてなる切り花の収納用の収納袋であって、
少なくとも左右いずれかの熱溶着部分の上端際に、表フィルムと裏フィルムとの引き裂きを容易にするための引き裂き手段が形成されていることを特徴とする切り花用収納袋。
【請求項2】
前記引き裂き手段が、前記溶着部と交差するように形成された裁断線であることを特徴とする請求項1に記載の切り花用収納袋。
【請求項3】
前記溶着部と前記裁断線との成す角が30°以下であることを特徴とする請求項1、または2に記載の切り花用収納袋。
【請求項4】
前記表フィルムの上端縁と前記裏フィルムの上端縁とが、5.0mm以上隔離していることを特徴とする請求項1、または2に記載の切り花用収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り花を収納するための収納袋に関するものであり、詳しくは、切り花を収納した後に容易に引き裂くことが可能な収納袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出荷された切り花や店頭に並べられた切り花が、互いに摩れ合って傷付いて商品価値を失ってしまう事態を防止するために、透明な合成樹脂フィルムによって形成された切り花用の収納袋が用いられる。かかる切り花用の収納袋としては、特許文献1の如く、逆台形状の合成樹脂フィルムを2枚積層し、その両縁部を溶断シーラー等で溶着することによって下窄みの筒状としたものが知られている。そして、切り花は、茎の部分を束ねた状態で、そのような切り花用収納袋内に収納された状態で、出荷、店頭への陳列に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如き切り花用収納袋に収納された切り花の出荷時には、検査の目的で、切り花の花弁よりも下側の部分を目視したい場合がある。また、消費者が、店頭に陳列された切り花を購入する際も同様に、切り花の花弁よりも下側の部分の鮮度等を確認したい場合もある。そのような場合に、特許文献1の如き従来の切り花用収納袋においては、ハサミ等の道具を用いて上端際を裁断しなければならず、検査や鮮度確認の作業が面倒であった。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の切り花用収納袋における問題点を解消し、出荷時に収納された切り花を検査する際や、消費者が切り花の花弁よりも下側の部分の様子を確認する際に、上端際の部分を所望する分(量)だけ容易に引き裂くことが可能で実用的な切り花用収納袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、合成樹脂製の表フィルムと裏フィルムとを重ね合わせて側縁を熱溶着することによって上部を開口した逆三角形状あるいは逆台形状にしてなる切り花の収納用の収納袋であって、少なくとも左右いずれかの熱溶着部分の上端際に、表フィルムと裏フィルムとの引き裂きを容易にするための引き裂き手段が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記引き裂き手段が、前記溶着部と交差するように形成された裁断線であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、前記溶着部と前記裁断線との成す角が30°以下であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のいずれかに記載された発明において、前記表フィルムの上端縁と前記裏フィルムの上端縁とが、5.0mm以上隔離していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の切り花用収納袋は、左右いずれかの熱溶着部分の上端際に形成された引き裂き手段を利用して、表フィルムと裏フィルムとの熱溶着部分の上端際を引き剥がすことができるので、収納された切り花の取り出し、出荷時の検査、購入時の鮮度チェック等を容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に記載の切り花用収納袋は、引き裂き手段が溶着部と交差するように形成された裁断線であるため、表フィルムと裏フィルムとの熱溶着部分の上端際をより容易に引き剥がすことができる。
【0012】
請求項3に記載の切り花用収納袋は、溶着部と裁断線との成す角が所定の角度以下の鋭角状になっているため、大きな力を加えてなくても表フィルムと裏フィルムとの熱溶着部分の上端際をきわめて容易に引き剥がすことができる。
【0013】
請求項4に記載の切り花用収納袋は、表フィルムの上端縁と裏フィルムの上端縁とが揃っておらず所定の長さ以上隔離しているため、表フィルムと裏フィルムとの熱溶着部分の上端際を引き剥がす際に、容易に表フィルムと裏フィルムとを開口することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】切り花用収納袋を示す説明図(正面図)である。
【
図2】引き裂き手段を拡大して示す説明図(正面図:
図1におけるA部分の拡大図)である。
【
図3】切り花を収納した状態の切り花用収納袋を示す説明図(左側面図)である。
【
図4】引き裂き手段を利用して切り花用収納袋の溶着部を引き裂く様子を示す説明図(左側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<切り花用収納袋の構造>
以下、本発明に係る切り花用収納袋の一実施形態について、図面に基いて詳細に説明する。
図1、
図2は、切り花用収納袋を示したものであり、切り花用収納袋1は、延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)によって、逆台形の袋状(上端および下端を開口した袋状)に形成されている。
【0016】
すなわち、切り花用収納袋1は、厚さ約40μmのOPPフィルムからなる表フィルム2aと裏フィルムとを積層し、その積層体の左右を斜めに溶断シールすることによって、下窄みの袋状に形成されている。そして、左右の側縁に、上方から下方にかけて内側に入り込むように傾斜した溶着部M1,M2が形成されており、それらの2つの溶着部M1,M2が約30°の角度を成した状態になっている。また、それらの溶着部M1,M2は、溶断シーラーを用いて約380℃で溶断シールすることによって形成されており、約23.0N/15mmのヒートシール強度を有している。
【0017】
また、切り花用収納袋1は、上端および下端においては、表フィルム2aと裏フィルム2bとが閉じられておらず、開口した状態になっている。また、上端、下端とも、裏フィルム2bの端縁が、表フィルム2aの端縁より、8mm程度、外側に位置した状態になっている。さらに、切り花用収納袋1の右上部には、切り花を収納した状態で、手指により把持するための屈曲した楕円状の把持孔4が、表フィルム2aおよび裏フィルム2bを貫通するように設けられている。加えて、切り花用収納袋1には、内部と外部との間で、水蒸気、酸素、二酸化炭素等の交換を容易にするための透過孔3,3・・が、表フィルム2aおよび裏フィルム2bを貫通するように設けられている。
【0018】
さらに、切り花用収納袋1の左上端際には、表フィルム2aと裏フィルム2bとの引き裂きを容易にするためのを引き裂き手段としての裁断線5が形成されている。当該裁断線5は、表フィルム2aおよび裏フィルム2bの上端縁と直交するように設けられており、左側の溶着部と約15°の角度を成した状態になっている。そして、切り花用収納袋1の左上端際においては、約16mmに亘って、表フィルム2aと裏フィルム2bとが分離した部分(5a)が形成されている。
【0019】
<切り花用収納袋の作用>
上記の如く構成された切り花用収納袋1は、上端縁において、表フィルム2aと裏フィルム2bとを拡げて開口した状態で、内部に切り花(茎を束ねたもの等)を収納することができる(
図3参照)。なお、切り花用収納袋1は、下端縁が開口した状態になっているので、切り花が水分を含んでいる場合でも、下端縁から外部に排出することができ、内部に水が溜まったりしない。また、下端縁が開口した状態になっているので、切り花を収納した状態で、水の入ったバケツ等に収納すれば、切り花へ水分を補給することができる。
【0020】
また、消費者や出荷調査員等が切り花の状態を確認したい場合や、切り花の購入者が切り花用収納袋1の内部から切り花を取り出したい場合には、それらの消費者等が、手指により表フィルム2aの左上端際と裏フィルム2bの左上端際とを把持して、
図4の如く、引き裂き手段である裁断線5を利用して、表フィルム2aと裏フィルム2bとの溶着部M
1の上端際を容易に引き剥がすことができる。
【0021】
<切り花用収納袋の効果>
切り花用収納袋1は、上記の如く、左端縁の溶着部(熱溶着部分)M1の上端際に、表フィルム2aと裏フィルム2bとの引き裂きを容易にするための引き裂き手段(裁断線5)が形成されているため、当該引き裂き手段を利用して、表フィルム2aと裏フィルム2bとの溶着部M1の上端際を引き剥がすことができるので、収納された切り花の取り出し、出荷時の検査、購入時の鮮度チェック等を容易に行うことができる。
【0022】
また、切り花用収納袋1は、引き裂き手段が溶着部M1と交差するように形成された裁断線5であるため、表フィルム2aと裏フィルム2bとの溶着部M1の上端際をより容易に引き剥がすことができる。
【0023】
さらに、切り花用収納袋1は、溶着部M1と裁断線5との成す角が約15°であるため、大きな力を加えてなくても表フィルム2aと裏フィルム2bとの溶着部M1の上端際をきわめて容易に引き剥がすことができる。
【0024】
加えて、切り花用収納袋1は、表フィルム2aの上端縁と裏フィルム2bの上端縁とが揃っておらず、約8.0mm隔離しているため、表フィルム2aと裏フィルム2bとの溶着部M1の上端際を引き剥がす際に、容易に表フィルム2aと裏フィルム2bとを開口することができる。
【0025】
さらに、切り花用収納袋1は、裏フィルム2bの下端縁が表フィルム2aの下端縁より約8.0mm下側に位置しているので、切り花用収納袋1に収納された切り花を花瓶等に生ける際に、切り花を前側に傾けて生けることによって先端の茎の部分の損傷を抑制することが可能となる。
【0026】
<切り花用収納袋の変更例>
本発明に係る切り花用収納袋は、上記した実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、表フィルム、裏フィルムの材質、形状、構造、溶着部、引き裂き手段の形状、構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0027】
たとえば、本発明に係る切り花用収納袋は、上記実施形態の如く、全体が逆台形状になるように下端を開口したものに限定されず、下端を開口することなく全体を逆三角形状にしたもの等でも良い。また、本発明に係る切り花用収納袋は、上記実施形態の如く、OPPフィルムによって形成されたものに限定されず、ポリエステルやポリアミド等のポリプロピレン以外の合成樹脂からなるフィルム等によって形成されたものや、裏フィルムを紙系の部材で代替したもの等でも良い。さらに、切り花用収納袋を構成する合成樹脂製のフィルム(表フィルム・裏フィルム)の厚みは、上記実施形態の如く、40μmに限定されず、必要に応じて適宜変更することができる。なお、合成樹脂製のフィルムの厚みを、20μm~50μmの範囲に調整すると、熱溶着部分の不用意な剥離を防止できる上、熱溶着部分の上端際を容易に引き剥がすことが可能となるので好ましい。
【0028】
また、本発明に係る切り花用収納袋は、上記実施形態の如く、溶着部(引き裂き手段を設ける側の溶着部)のシール強度が23.0N/15mmに調整されたものに限定されず、溶着部のシール強度を必要に応じて適宜変更することができる。一方、本発明に係る切り花用収納袋は、上記実施形態の如く、引き裂き手段である裁断線と溶着部とが15°の角度を成したものに限定されず、引き裂き手段である裁断線と溶着部との成す角度を必要に応じて適宜変更することができる。なお、溶着部(引き裂き手段を設ける側の溶着部)のシール強度を10.0~35.0N/15mmに調整するとともに、引き裂き手段である裁断線と溶着部との成す角度を5~20°に調整した場合には、溶着部が不用意に裂けにくく、かつ、引き裂き手段を利用して引き裂き易いものとなるので好ましい。
【0029】
加えて、本発明に係る切り花用収納袋は、上記実施形態の如く、左右両端縁を溶着(ヒートシール)したものに限定されず、単一のシートを二つ折りして、片側縁(あるいは片側縁および下端縁)のみを溶着したもの等に変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る切り花用収納袋は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、切り花を収納するための収納袋として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
1・・切り花用収納袋
2a・・表フィルム
2b・・裏フィルム
M1,M2・・溶着部
5・・裁断線(引き裂き手段)