(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157557
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】化粧シート、及び化粧材
(51)【国際特許分類】
E04F 13/07 20060101AFI20231019BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20231019BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231019BHJP
C08L 23/12 20060101ALI20231019BHJP
C08K 3/01 20180101ALI20231019BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20231019BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20231019BHJP
E04F 15/16 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E04F13/07 B
B32B27/32 Z
B32B27/00 E
C08L23/12 ZAB
C08K3/01
E04F13/07 C
E04F13/08 A
E04F15/02 A
E04F15/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067539
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】野口 祥太
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 臣吾
(72)【発明者】
【氏名】橋本 彩加
(72)【発明者】
【氏名】明石 彩
(72)【発明者】
【氏名】桑村 健介
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
2E110AA26
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4F100AK01A
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4J002HA09
(57)【要約】
【課題】植物由来の材料を用いて形成した場合であっても、化粧シートとしての用途に適した物性を維持することが可能な化粧シート及び化粧材を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る化粧シート10は、少なくとも透明熱可塑性樹脂層である透明原反20を備え、透明原反20の表面側及び裏面側のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、透明原反20は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも透明熱可塑性樹脂層を備え、
前記透明熱可塑性樹脂層の表面側及び裏面側のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを5質量%以上含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記バイオマス由来のプロピレンを含み、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記透明熱可塑性樹脂層は、引張弾性率が400МPa以上1800MPa以下の範囲内である
ことを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記透明熱可塑性樹脂層は、厚みが50μm以上200μm以下の範囲内である
ことを特徴とする請求項4に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記透明熱可塑性樹脂層には、紫外線吸収剤またはナノサイズの造核剤のうち少なくとも一方が添加されている
ことを特徴とする請求項5に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記透明熱可塑性樹脂層は、透明スキン層、透明コア層、透明スキン層の順に、2種3層の構成となるように、前記樹脂組成物を用いて押出し成形により製造された単層シートである
ことを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記透明スキン層には、ナノサイズの造核剤が添加されている
ことを特徴とする請求項7に記載の化粧シート。
【請求項9】
前記透明コア層には、紫外線吸収剤が添加されている
ことを特徴とする請求項8に記載の化粧シート。
【請求項10】
前記透明熱可塑性樹脂層の裏面側に、絵柄を印刷した印刷絵柄層、着色層が順に形成され、前記透明熱可塑性樹脂層の表面側に、表面保護層が形成されている
ことを特徴とする請求項9に記載の化粧シート。
【請求項11】
前記透明熱可塑性樹脂層の裏面側に、前記印刷絵柄層と、前記着色層と、プライマー層とが順に形成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の化粧シート。
【請求項12】
前記透明熱可塑性樹脂層の表面側には、前記印刷絵柄層と同調させたエンボス部が形成されている
ことを特徴とする請求項11に記載の化粧シート。
【請求項13】
全体の比重が、0.88以上1.3以下である
ことを特徴とする請求項12に記載の化粧シート。
【請求項14】
全体の厚みが50μm以上200μm以下の範囲内である
ことを特徴とする請求項13に記載の化粧シート。
【請求項15】
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面に積層された請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の化粧シートと、を備えることを特徴とする化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シート、化粧部材、及び化粧シートの製造方法に関し、特に、建築内装用および外装用、建具の表面や枠材、家電製品の表面材、床材等々の建築用資材に用いられる化粧シート、及び化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼時のガスの問題から、近年ではポリ塩化ビニル製の化粧シートに代わる化粧シートとして、オレフィン系樹脂を使用した化粧シートが提案されている。(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-110929号公報
【特許文献2】特開2015-199313号公報
【特許文献3】特開2016-101663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、化粧シートは石油由来の材料を用いたものが大半であったが、近年では、環境問題の背景から、化粧シートの材料を、石油由来の材料から植物由来の材料へ代える要求がある。しかしながら、化粧シートに用いることが可能な植物由来の材料として、バイオマスポリエチレン等のバイオマスポリオレフィンを用いると、化粧シートとしての用途に適した物性の維持が困難であるという課題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を鑑み、植物由来の材料を用いて形成した場合であっても、化粧シートとしての用途に適した物性を維持することが可能な化粧シート及び化粧材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、少なくとも透明熱可塑性樹脂層を備え、前記透明熱可塑性樹脂層の表面側及び裏面側のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であることを特徴とする化粧シートである。
【0007】
また上記課題を解決するために、本発明の他の一態様は、基材と、前記基材の少なくとも一方の面に積層された前記化粧シートと、を備える化粧材である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、植物由来の材料を用いて形成した場合であっても、化粧シートとしての用途に適した物性を維持することが可能な化粧シート及び化粧材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係わる化粧シートの断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る化粧シートを適用した化粧材の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、以下に図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
<構成>
本発明の一実施形態に係る化粧シート10は、図示しないが、例えば建築内装および外装用に使用され、建具(室内ドア、玄関収納)・造作材(見切り、廻り縁、巾木、窓枠、ドア枠)などの表面に貼られ、家や部屋毎に建具・造作材の柄を合わせたりして使用される。また、家電製品の表面材、床材等々の建築用資材にも用いられる。
図1に示すように、化粧シート10は、次の各層を含み、各層が(1)から順に設けられる。
なお、次の(1)~(5)については後述する。
(1)プライマー層30
(2)着色層40
(3)印刷絵柄層50
(4)透明原反20
(5)表面保護層60
【0012】
なお、化粧シート10の各層は、上記した(1)~(5)に限定されず、少なくとも透明原反20を備えていればよい。すなわち、化粧シート10は、透明原反20の裏面側に、絵柄を印刷した印刷絵柄層50、着色層40、が順に形成され、透明原反20の表面側に、表面保護層60が形成された構成でもよい。また、化粧シート10は、透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50と着色層40と、プライマー層30とが順に形成されていてもよい。本実施形態による化粧シート10は、透明原反20の裏面側に印刷絵柄層50を設けることで、耐摩耗性が求められる床材用の化粧シートにも適用することができる。
化粧シート10は、例えば、
図1に示すように、プライマー層30の側に、(6)粘着剤層70と、(7)剥離紙80とを追加し、化粧タックシート11としても良いし、又、表面保護層60の表面側に、印刷絵柄層50の絵柄と同調させたエンボス部90を形成しても良い。また、図示しないが、透明原反20の表面側、すなわち透明原反20の表面保護層60側の面に、印刷絵柄層50の絵柄と同調させたエンボス部(不図示)を形成しても良い。具体的には透明原反20における後述の透明スキン層23の表面保護層60と接する側の面に、当該エンボス部を形成してもよい。当該エンボス部は、例えば、エンボス版を用いて目的の意匠、性能に見合った形状としてもよい。
【0013】
また、
図2に示すように、粘着剤層70及び剥離紙80を設けずに、プライマー層30の表面に接着剤層を介して基材91を接着し、化粧材12としても良い。
また、化粧シート10は、上記「(1)プライマー層30」を省略しても良い。すなわち、上記「(2)着色層40」にプライマー層としての機能があれば、プライマー層30を省略可能である。
さらに、化粧シート10は、上記「(2)着色層40」を省略しても良い。すなわち、着色層も必要がない場合、例えば隠蔽性を付与する必要が無い場合には、着色層40を省略可能である。
【0014】
<透明原反20>
透明原反20は、化粧シート10の支持体となるものであって、透明オレフィンシートからなる。詳しくは後述するが、透明オレフィンシートを構成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。すなわち、透明原反20は、熱可塑性樹脂で形成された透明なオレフィンシート、すなわち透明熱可塑性樹脂層である。
本実施形態において透明原反20は、バイオマス由来(植物由来)のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された透明熱可塑性樹脂層である。透明原反20にバイオマス由来のポリプロピレン樹脂を用いることで、植物由来の材料を用いて形成した場合であっても、従来の化石燃料由来の材料を用いて形成した化粧シートと遜色のない物性を備えた化粧シートを得ることができる。
また透明原反20は、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて形成された透明熱可塑性樹脂層であればよく、バイオマス由来のポリプロピレン以外に、化石燃料由来のポリプロピレンを含んでいてもよい。また詳しくは後述するが、透明原反20には、紫外線吸収剤またはナノサイズの増核剤のうち少なくとも一方が添加されていてもよい。
【0015】
(バイオマス由来のポリプロピレン)
本実施形態において、バイオマス由来のポリプロピレンは、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合してなるものである。バイオマス由来のプロピレンは、特に限定されず、従来公知の方法により製造されたプロピレンを用いることができる。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のプロピレンを用いているため、重合されてなるポリプロピレンはバイオマス由来となる。
なお、ポリプロピレンの原料モノマーは、バイオマス由来のプロピレンを100質量%含むものでなくてもよい。
【0016】
バイオマス由来のポリプロピレンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のプロピレンをさらに含んでもよい。
【0017】
バイオマス由来の原料であるプロピレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来の成分により製造することが可能となる。
【0018】
上記のポリプロピレン中のバイオマス由来のプロピレン濃度(以下、「バイオマス度」ということがある)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリプロピレン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本実施形態においては、ポリプロピレン中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
【0019】
本実施形態においては、理論上、ポリプロピレンの原料として、全てバイオマス由来のプロピレンを用いれば、バイオマス由来のプロピレン濃度は100%であり、バイオマス由来のポリプロピレンのバイオマス度は100となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリプロピレン中のバイオマス由来のプロピレン濃度は0%であり、化石燃料由来のポリプロピレンのバイオマス度は0となる。
【0020】
本実施形態において、バイオマス由来のポリプロピレンやそのポリプロピレンを含んで構成された化粧シートは、バイオマス度が100である必要はない。
【0021】
本実施形態において、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知の装置を用いることができる。以下、プロピレンを含むモノマーの重合方法の一例を説明する。
【0022】
プロピレン重合体の重合方法は、目的とするポリプロピレンの種類、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン等の違いにより、適宜選択することができる。例えば、重合触媒として、チーグラー・ナッタ触媒等のマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒等のシングルサイト触媒を用いて、気相重合、スラリー重合、溶液重合、および高圧イオン重合のいずれかの方法により、1段または2段以上の多段で行うことが好ましい。
【0023】
また、バイオマス由来のポリプロピレンとして、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンをそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0024】
(バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物)
本実施形態において、透明原反20を形成する樹脂組成物は、上記のポリプロピレンを主成分として含むものである。樹脂組成物は、バイオマス由来のプロピレンを樹脂組成物全体に対して5質量%以上、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~90質量%、最も好ましくは40~90%含んでなるものである。樹脂組成物中のバイオマス由来のプロピレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな化粧シートを実現できる。
【0025】
透明原反20を形成する上記の樹脂組成物は、異なるバイオマス度のポリプロピレンを2種以上含むものであってもよく、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のプロピレンの濃度が、上記範囲内であればよい。
【0026】
上記の樹脂組成物は、化石燃料由来のプロピレンをさらに含んでもよい。つまり、本実施形態においては、樹脂組成物は、バイオマス由来のポリプロピレンと、化石燃料由来のポリプロピレンとの混合物であってもよい。混合方法は、特に限定されず、従来公知の方法で混合することができる。例えば、ドライブレンドでもよいし、メルトブレンドでもよい。
【0027】
本実施形態によれば、樹脂組成物は、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~75質量%最も好ましくは40~90%含んでなるバイオマス由来のポリプロピレンと、好ましくは1~95質量%、より好ましくは25~75質量%、最も好ましくは40~90%含んでなる化石燃料由来のポリプロピレンとを含むものである。このような混合物の樹脂組成物を用いた場合でも、樹脂組成物全体として、バイオマス由来のプロピレンの濃度が、上記範囲内であればよい。
【0028】
上記の樹脂組成物の製造工程において製造された樹脂組成物には、その特性が損なわれない範囲において、主成分であるポリプロピレン以外に、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。これら添加剤は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは1~20質量%、好ましくは1~10質量%の範囲で添加される。
【0029】
以上のように、透明原反20は、バイオマス由来のプロピレンを透明原反20全体に対して5質量%以上、好ましくは5~99質量%、より好ましくは25~90質量%、最も好ましくは40~90%含んでなるものである。透明原反20中のバイオマス由来のプロピレンの濃度が5質量%以上であれば、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、カーボンニュートラルな化粧シートを実現できる。
【0030】
透明原反20は、0.90~0.96g/cm3、好ましくは0.90~0.91g/cm3の密度を有するものである。透明原反20の密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。透明原反20の密度が0.90g/cm3以上であれば、透明原反20の剛性を高めることができる。また、透明原反20の密度が0.96g/cm3以下であれば、透明原反20の透明性、押出適正や機械的強度を高めることができる。
【0031】
透明原反20全体のバイオマス度が10%以上90%以下の範囲内であってもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、透明原反20を構成するバイオマス由来の樹脂として、バイオマス由来のポリプロピレンについて説明したが、本発明はこれに限定させるものではない。例えば、上述したバイオマス由来のポリプロピレンに加えて、バイオマス由来のポリエチレンやバイオマス由来のポリブチレン等を用いてもよい。つまり、本実施形態においては、透明樹脂層5を構成するバイオマス由来の樹脂として、広くバイオマス由来のポリオレフィンを用いることができる。
【0033】
また、透明原反20の厚みは、50μmを超過し200μm以下の範囲内であることが好ましく、50μm以上180μm以下であることがより好ましく、70μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。これは、バイオマス由来のポリプロピレンからなる透明原反20の厚みが50μmを超える場合、下地となる床材等の凹凸や段差等を吸収して化粧シート10の施工仕上がりを良好にすることが可能であることに起因する。また、透明原反20の厚みが200μm以下である場合、透明原反20を必要以上に厚く形成することがなく、化粧シート10の製造コストを削減することが可能であることに起因する。
【0034】
また、本実施形態において透明原反20の引張弾性率は、400MPa以上1800MPa以下の範囲内であることが好ましく、500MPa以上1300MPa以下の範囲内であることがより好ましい。透明原反20の引張弾性率を400MPa以上1800MPa以下の範囲内とすることで、表面硬度がより高くなり耐傷性が向上するとともに曲げ加工時における白化や割れといった不具合が抑制され、耐傷性および曲げ加工について、それぞれ優れた状態で両立することができる。
【0035】
本実施形態において透明原反20は、
図1に示すように、印刷絵柄層50側から順に、透明スキン層21、透明のポリプロピレン製の透明コア層22、透明スキン層23の順に2種3層が積層されてなり、上記のバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて押し出し成形により形成される。
透明原反20は、図面上、透明コア層22、透明スキン層21と、23とが別層を形成する様に表現しているが、実際は透明コア層22、透明スキン層21、23は連続的であり、界面は存在しない単層シートである。透明原反20を単層シートとすることで、従来の複層フィルムと比較して、化粧シートの製造に用いる樹脂量を削減することができ、カーボンニュートラルな社会の実現へ貢献することができる。また、透明原反20に透明スキン層21、23を設けることで、透明性と柔軟性を維持しつつも、表面硬度の高い化粧シートを得ることができる。
【0036】
なお、透明原反20を、透明オレフィンシートから構成される単層フィルム(透明スキン層21/透明コア層22/透明スキン層23)から構成したが、これに限定されず、図示しないが、例えば透明オレフィンシートから構成される単層フィルム(透明層)から構成しても良い。このとき、単層フィルム(透明層)が透明原反20に相当する。
【0037】
上記単層フィルム(透明層)の「透明層」は、透明スキン層21と同様に、ナノサイズの添加剤として分散剤が添加されている。また、「透明層」には、透明コア層22と同様に、耐候剤もブレンドしている。
【0038】
<透明コア層22>
透明コア層22を構成する樹脂材料としては、上記のバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物が用いられる。
また透明コア層22には、上記のバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物に、耐候剤をブレンドしたものを使用してもよい。耐候剤としては、例えば紫外線吸収剤が添加されていてもよい。紫外線吸収剤を添加することで、防褪色性を保持させることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシラート系、シアノアクリレート系、ホルムアミジン系オキザニリド系及びヒンダードアミン系が使用できるが、特にベンゾトリアゾール系、オキザニリド系やヒンダードアミン系及びこれらの混合物が紫外線吸収性に優れ、またオレフィン樹脂などとの相溶性にも優れるため好ましい。
【0039】
耐候剤(紫外線吸収剤)以外にも、透明コア層22には、必要に応じて、例えば、充填剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防黴剤、減摩剤、光散乱剤及び艶調整剤等の各種の添加剤から選ばれる1種以上が添加されていても良い。
【0040】
<透明スキン層21、23>
透明スキン層21及び23は、透明コア層22と同様に、上記のバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて形成される。また透明スキン層21及び23は、上記のバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物に、ナノサイズの添加剤としての分散剤を添加して形成してもよい。また、透明スキン層21、23には、無機フィラー(以下、ナノサイズの造核剤ともいう。)が添加されていてもよい。透明スキン層21、23には、ナノサイズの添加剤としての分散剤または造核剤のうち少なくとも一方が添加されていてもよい。
【0041】
(ナノサイズの添加剤等(造核剤))
ナノサイズの造核剤は、単層膜の外膜を具備するベシクルに内包された、造核剤ベシクルの形でポリプロピレン樹脂に添加されて使用されることが好ましい。
また、透明スキン層21、23を構成する樹脂中の造核剤は、当該造核剤の一部を露出
させた状態で、ベシクルに内包されていても良い。透明スキン層21、23は造核剤を含むため結晶化度を向上でき、化粧シート10の耐擦傷性(耐傷性)を向上することができる。
ナノサイズの造核剤は、平均粒径が可視光の波長領域の1/2以下であることが好ましく、具体的には、可視光の波長領域が400nm以上750nm以下であるので、平均粒径が375nm以下であることが好ましい。
【0042】
ナノサイズの造核剤は、粒径が極めて小さいため、単位体積当たりに存在する造核剤の数と表面積とが粒子直径の三乗に反比例して増加する。その結果、各造核剤粒子間の距離が近くなるため、樹脂に添加された一の造核剤粒子の表面から結晶成長が生じた際に、結晶が成長している端部が直ちに、一の造核剤粒子に隣接する他の造核剤粒子の表面から成長している結晶の端部と接触し、互いの結晶の端部が成長を阻害して各結晶の成長が止まる。そのため、結晶性樹脂の結晶部における、球晶の平均粒径を小さく、例えば、球晶サイズを小さくして1μm以下とすることができる。
この結果、結晶化度の高い高硬度の樹脂フィルムとすることができると共に、曲げ加工時に生じる球晶間の応力集中が効率的に分散されるため、曲げ加工時の割れや白化を抑制した樹脂フィルムを実現することができる。
造核剤を単純添加した場合、樹脂中の造核剤が2次凝集することで粒径が大きくなる。
【0043】
一方、造核剤ベシクルを添加する場合、樹脂中における分散性が向上するため、造核剤を単純添加した場合と比較して添加した造核剤量に対しする結晶核の数が大幅に増加する。
このため、樹脂の結晶部における球晶の平均粒径が小さくなり、曲げ加工時の割れや白化の発生を抑制することができる。よって、造核剤ベシクルを添加することにより結晶化度をより高めることができ、弾性率向上と加工性をより両立可能となる。
【0044】
透明スキン層21、23は、例えば、主成分としての上記のバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物100質量部に対して好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上0.3質量部以下の範囲内で造核剤が添加された樹脂材料により形成される。
造核剤ベシクルを用いる場合、樹脂材料への造核剤の添加量は、造核剤ベシクル中の造核剤に換算した添加量である。
造核剤の添加量が0.05質量部未満の場合、ポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、透明スキン層21、23の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
また、造核剤の添加量が0.5質量部を超える場合、結晶核が過多のためポリプロピレンの球晶成長が逆に阻害され、結果的にポリプロピレンの結晶化度が十分に向上せず、透明スキン層21、23の耐傷性が十分に向上しないおそれがある。
ここで、「主成分」とは、透明スキン層21を構成する樹脂材料の50質量%以上を占める樹脂材料をいう。
【0045】
また、造核剤をナノ化する手法としては、例えば、造核剤に対して主に機械的な粉砕を行ってナノサイズの粒子を得る固相法、造核剤や造核剤を溶解させた溶液中でナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う液相法、造核剤や造核剤からなるガス・蒸気からナノサイズの粒子の合成や結晶化を行う気相法等の方法を適宜用いることができる。
固相法としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、ロッドミル、コロイドミル、コニカルミル、ディスクミル、ハンマーミル、ジェットミル等が挙げられる。
また、液相法としては、例えば、晶析法、共沈法、ゾルゲル法、液相還元法、水熱合成法等が挙げられる。更に、気相法としては、例えば、電気炉法、化学炎法、レーザー法、熱プラズマ法等が挙げられる。
【0046】
造核剤をナノ化する手法としては、超臨界逆相蒸発法が好ましい。超臨界逆相蒸発法と
は、超臨界状態又は臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素を用いて対象物質を内包したカプセル(ナノサイズのベシクル)を作製する方法である。
超臨界状態の二酸化炭素とは、臨界温度(30.98℃)及び臨界圧力(7.3773±0.0030MPa)以上の超臨界状態にある二酸化炭素を意味し、臨界点以上の温度条件下又は圧力条件下の二酸化炭素とは、温度だけ又は圧力だけが臨界条件を越えた条件下の二酸化炭素を意味する。
【0047】
また、超臨界逆相蒸発法による具体的なナノ化処理としては、まず超臨界二酸化炭素と外膜形成物質としてのリン脂質と内包物質としての造核剤との混合流体中に水相を注入し、攪拌することによって、超臨界二酸化炭素と水相のエマルジョンを生成させる。
つぎに、減圧することで、二酸化炭素が膨張・蒸発して転相が生じ、リン脂質が造核剤粒子の表面を単層膜で覆ったナノカプセル(ナノベシクル)を生成させる。
この超臨界逆相蒸発法を用いることにより、造核剤粒子表面で外膜が多重膜となる従来のカプセル化方法とは異なり、容易に単層膜のカプセルを生成することができるので、より小径なカプセルを調製することができる。
【0048】
なお、造核剤ベシクルは、例えば、Bangham法、エクストルージョン法、水和法、界面活性剤透析法、逆相蒸発法、凍結融解法、超臨界逆相蒸発法などによって調製される。造核剤ベシクルは、その中でも特に超臨界逆相蒸発法を用いて調整されることが好ましい。
造核剤ベシクルを構成する外膜は、例えば単層膜から構成される。また、その外膜は、例えば、リン脂質等の生体脂質を含む物質から構成される。
本明細書では、外膜がリン脂質のような生体脂質を含む物質から構成される造核剤ベシクルを、造核剤リポソームと称する。
【0049】
外膜を構成するリン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオピン、黄卵レシチン、水添黄卵レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質、スフィンゴミエリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール等のスフィンゴリン脂質が挙げられる。
ベシクルの外膜となるその他の物質としては、例えば、ノニオン系界面活性剤や、これとコレステロール類もしくはトリアシルグリセロールの混合物などの分散剤が挙げられる。
【0050】
このうち、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリグリセリンエーテル、ジアルキルグリセリン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリオキシエチレン共重合体、ポリブタジエン-ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリスチレン-ポリアクリル酸共重合体、ポリエチレンオキシド-ポリエチルエチレン共重合体、ポリオキシエチレン-ポリカプロラクタム共重合体等の1種又は2種以上を使用することができる。コレステロール類としては、例えば、コレステロール、α-コレスタノール、β-コレスタノール、コレスタン、デスモステロール(5、24-コレスタジエン-3β-オール)、コール酸ナトリウム又はコレカルシフェロール等を使用することができる。
また、リポソームの外膜は、リン脂質と分散剤との混合物から形成するようにしても良い。
【0051】
本実施形態の化粧シート10においては、造核剤ベシクルを、リン脂質からなる外膜を具備したラジカル捕捉剤リポソームとすることが好ましく、外膜をリン脂質から構成する
ことによって、化粧シート10の主成分である樹脂材料とベシクルとの相溶性を良好なものとすることができる。
造核剤としては、樹脂が結晶化する際に結晶化の起点となる物質であれば特に限定するものではない。造核剤としては、例えば、リン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩、ベンジリデンソルビトール、キナクリドン、シアニンブルー及びタルク等が挙げられる。特に、ナノ化処理の効果を最大限に得るべく、非溶融型で良好な透明性が期待できるリン酸エステル金属塩、安息香酸金属塩、ピメリン酸金属塩、ロジン金属塩を用いることが好ましいが、ナノ化処理によって材料自体の透明化が可能な場合には、有色のキナクリドン、シアニンブルー、タルクなども用いることができる。また、非溶融型の造核剤に対して、溶融型のベンジリデンソルビトールを適宜混合して用いるようにしても良い。
【0052】
(透明スキン層21、23の特徴)
上述のように、本実施形態1の化粧シート10は、透明スキン層21、23が樹脂材料と造核剤とを含有する点に特徴を有している。
また、本実施形態1の化粧シート10は、透明スキン層21、23を形成する際に、樹脂材料に対してベシクルに内包された造核剤を添加して樹脂材料を結晶化させる点に特徴を有している。造核剤をベシクルに内包させた状態で樹脂組成物に添加することで、樹脂材料中、すなわち透明スキン層21、23中への造核剤の分散性を飛躍的に向上するという効果が奏する。一方、ベシクルに内包された造核剤を、完成された化粧シート10の状態における物の構造や特性にて直接特定することが、状況により困難な場合も想定され、非実際的であるといえる。その理由は次の通りである。
【0053】
ベシクルの状態で添加された造核剤は、高い分散性を有して分散された状態になっており、作製された化粧シート10の前駆体である積層体の状態においても透明スキン層21、23に高分散されている。
しかしながら、化粧シート10の作製工程において、通常、積層体は圧縮処理や硬化処理などの種々の処理が施され、このような処理によって造核剤を内包するベシクルの外膜が破砕したり、化学反応する場合がある。
【0054】
このため、化粧シート10の処理工程によって、完成後の化粧シート10における造核剤の外膜が破砕したり、化学反応している状態がばらつき、造核剤が外膜で包含(包皮)されていない可能性も高い。
そして、造核剤が外膜で包含されていない場合、造核剤の物性自体を数値範囲で特定することが困難であり、また破砕された外膜の構成材料が、ベシクルの外膜なのか造核剤とは別に添加された材料なのか判定が困難な場合も想定される。
【0055】
このように、本発明は、従来に比して、化粧シート10に対し、造核剤が高分散で配合されている点で相違があるものの、造核剤を内包するベシクルの状態で添加されたためなのかどうかが、化粧シート10の状態において、その構造や特性を測定に基づき解析した数値範囲で特定することが非実際的である場合も想定される。
【0056】
<プライマー層30>
プライマー層30は、
図1に示すように、透明原反20の裏面側に形成されており、透明原反20を挟んで表面保護層60とは逆側に位置している。プライマー層30は、主として接着性改善を目的で設けられるものである。
なお、プライマー層30の機能には、接着性改善のほか、表面処理後の表面安定化、金属表面の防食、粘着性の付与、接着剤の劣化防止等も含まれる。
プライマー層30は、例えばグラビア印刷法により固形分量が1g/m
2となるようにウレタン系樹脂を塗工して形成している。
【0057】
<着色層40>
着色層40は、
図1に示すように、透明原反20の裏面側に形成されており、プライマー層30の表面に位置している。着色層40は、印刷方法を用いて形成され、主として隠蔽性を付与する目的で設けられるものである。
着色層40は、例えばグラビア印刷法により2液ウレタン系樹脂で印刷したものである。
【0058】
<印刷絵柄層50>
印刷絵柄層50は、
図1に示すように、透明原反20の裏面側に形成されており、着色層40の表面に位置している。印刷絵柄層50は、印刷方法を用いて形成され、化粧シート10に意匠性を付与する目的で設けられるものである。
印刷絵柄層50は、例えばグラビア印刷法によりウレタン系樹脂で絵柄を印刷したものである。
印刷方法としては、例えばグラビア印刷法を例示したが、これに限定されず、例えばオフセット印刷方法、凸版印刷方法、フレキソ印刷方法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、静電印刷法等の各種の印刷方法の適用可能である。
印刷絵柄層50の模様の種類は、使用目的や使用者の嗜好等により任意であり、例えば木目柄、石目柄、抽象柄等が一般的である。模様の種類は、上記例示した種類に限定されず、例えば全面ベタ印刷等であっても良い。
また、印刷絵柄層50は単色であってもよい。
【0059】
最近では、家や部屋毎の建具・造作材の柄に合わせるのではなく、単色が使われることがある。例えば新築の場合、建具扉などと造作材では組み込むタイミングが異なる。また例えば、ドア枠や窓枠は家自体に組み込む必要があるため、施工の早い段階から取り付けることになるが、ドア自体は後で取り付けたり、取り外したりすることが可能である。
枠材を単色にしておくことで、中のドア柄が何であっても事前に対応することが可能となるため、ドア柄を後で決めることが可能になったり、老朽化してドアを変更する際にも枠材から壊して取り変えなくてもドアだけの変更で対応することが可能になったりもする。もちろん、ドア自体も単色にしておくこともできる。
【0060】
また、本実施形態によれば、アパートなどでも全ての部屋を単色で統一することでロットを増やして生産性を上げることや単価を下げることもしやすくなるため、単色のシートを使うことによるメリットがある。
また、本実施形態によれば、白で仕上げた後に木目調にしたくなった場合に、本実施形態に係る化粧シート10は、薄くても硬いことから、後で木目調に変えることも可能である。
印刷方法に用いられる印刷インキとしては、例えば塩酢ビ系インキ(シアン、マゼンタ、イエロー)を用いている。
なお、印刷インキとしては、ウレタン系樹脂を例示したが、これに限定されず、例えば有機又は無機の染料又は顔料等の着色剤等でも良いし、又、充填材、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、分散剤、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、乾燥剤等の適宜の添加剤や、溶剤又は希釈剤等と共に、合成樹脂等からなる結着剤中に分散してなるものである。
【0061】
<表面保護層60>
表面保護層60は、
図1に示すように、透明原反20の印刷絵柄層50とは逆側の面側、すなわち表面側に位置している。表面保護層60は、印刷方法を用いて形成され、耐磨耗性や耐水性等の表面物性を付与する目的で設けられるものである。
表面保護層60は単層でも良く、また複数の層を重ねて表面保護層60としても良い。
図1に示すように、本実施形態に係る化粧シート10では、表面保護層60として、第1表面保護層61及び第2表面保護層62の2層が設けられている。表面保護層60が一層から構成される構造(単層構造)の場合、第1表面保護層61が表面保護層60となる。
第1表面保護層61及び第2表面保護層62を含む表面保護層60は、それぞれの層を、硬化型樹脂の種類に応じて、既知のコーティング装置、熱乾燥装置及び紫外線照射装置を用いて塗布及び塗膜の硬化を行うことで形成する。
【0062】
表面保護層60は、曲げ加工性、耐候性、耐傷付性や清掃性に関してその優劣を左右する重要な役割をもつ。表面保護層60は、硬化型樹脂(硬化性樹脂)を主成分とする。すなわち樹脂成分が実質的に硬化型樹脂から構成されることが好ましい。実質的とは、例えば樹脂全体を100質量部とした場合に80質量部以上が硬化型樹脂であることを指す。表面保護層60には、必要に応じて、耐候剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、溶剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤等の各種添加剤等を含んでもよい。
【0063】
<第1表面保護層61>
第1表面保護層61は、表面保護層60を構成する層(第1表面保護層61、第2表面保護層62)のうち、最表面(最外面)に位置する層(最表層)である。本実施形態では、第1表面保護層61は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂のうち少なくとも1種を含んでいる。なお、電子線硬化型樹脂と紫外線硬化型樹脂とをまとめて電離放射線硬化型樹脂と記載する。第1表面保護層61は、一般的に反応性樹脂を塗工することにより塗膜形成をし、その後加熱や電離放射線照射により塗膜を硬化させる方法で形成することができる。第1表面保護層61においては、硬化方法の違いによる特性差もある。例えば、一般的に電離放射線硬化型樹脂で形成された第1表面保護層61は、硬化反応後の架橋度が高いことから硬度も高く、耐傷性に優れる傾向にある。一方で、熱硬化性樹脂で形成された第1表面保護層61は、比較的架橋度が低いために硬度が低く、折り曲げや基材への追従などの柔軟性に優れる傾向にある。
【0064】
第1表面保護層61は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂のいずれか1種を主成分としてもよい。つまり、第1表面保護層61の主成分は、熱硬化性樹脂単体であってもよいし、紫外線硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂単体であってもよい。
例えば、化粧シート10を部材として複雑な形状が多い建具に用いる場合は、柔軟性(例えば加工適正)が要求されることが多い。このため、例えば建具に用いる化粧シート1
0において、第1表面保護層61の主成分には、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。また、化粧シート10において柔軟性よりも耐傷性が求められる場合には、電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
【0065】
また、第1表面保護層61の主成分は、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂及び電子線硬化型樹脂の混合物であってもよい。当該混合物を主成分とする場合、使用用途によって、第1表面保護層61における熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂の比率をコントロールすることで、化粧シート10を各種用途の要求に応じて使い分けることができる。
例えば、化粧シート10を建具に用いる場合、第1表面保護層61の主成分となる熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との混合物は、熱硬化性樹脂を最も多く含有することが好ましい。具体的には、当該混合物において熱硬化性樹脂が50重量%を超えていればよく、70重量%以上を占めることが好ましく、75重量%以上を占めることがより好ましく、80重量%以上を占めることがさらに好ましい。
【0066】
また、例えば、化粧シート10に耐傷性が求められる場合、第1表面保護層61の主成分となる熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との混合物は、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂の少なくとも一方を最も多く含有することが好ましい。具体的には、当該混合物において電離放射線硬化性樹脂が50重量%を超えていればよく、70重量%以上を占めることが好ましく、75重量%以上を占めることがより好ましく、80重量%以上を占めることがさらに好ましい。
このように、表面保護層60のうちの最表層に当たる第1表面保護層61の主成分が、熱硬化性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との混合物とすることで、耐傷性を満足させると同時に曲げ加工においては表面保護層60の白化や割れが発生し難くなる。
【0067】
ただし、第1表面保護層61に用いる樹脂の硬化方法の違いのみで、上記のような耐傷付性や加工適性といった化粧シート10の性能が決まるわけではない。化粧シート10の性能(ここでは耐傷付性や加工適性)は、樹脂自体の材料設計やフィラーなどの添加剤の添加作用、つまり表面保護層60に含まれる各種成分の物性が性能に大きく寄与する。このため、表面保護層60全体としての設計が重要になってくる。
【0068】
〔電離放射線硬化型樹脂〕
ここで第1表面保護層61に用いる電離放射線硬化型樹脂(紫外線硬化型樹脂及び電子線硬化型樹脂を含む)としては、特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。電離放射線硬化型樹脂における硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
【0069】
具体的には、上述のプレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの分子量としては、通常250~100000程度が好ましい。
【0070】
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、
メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0071】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
また、上述のプレポリマーとして、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
【0072】
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常、190nm以上380nm以下の範囲が好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100keV以上1000keV以下の範囲のエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましく、100keV以上300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものがより好ましい。
【0073】
〔熱硬化性樹脂〕
ここで第1表面保護層61に用いる熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば2液硬化型ウレタン系樹脂が挙げられる。2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。また熱硬化性樹脂としてはこれらに限られず、1液反応硬化型のポリウレタン系樹脂や、1液又は2液反応硬化型のエポキシ系樹脂などを用いてもよい。
【0074】
また、第1表面保護層61は、界面活性剤が添加されている。界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤の少なくとも一種を含んでいる。界面活性剤が添加されていることにより、銀系抗ウイルス剤と第1表面保護層61のバインダ中の相溶性が良好となり、塗工中の抗ウイルス剤の沈殿等による濃度のばらつきが抑制された化粧シートを得ることができる。
また、第1表面保護層61の層厚は、3μm以上15μm以下の範囲内が望ましい。第1表面保護層61の厚さが3μm以上であれば、耐傷性、耐摩耗性、耐候性等、各種耐性が向上する。第1表面保護層61の厚さが15μm以下であれば、必要以上に多くの量の樹脂材料を使用する必要がなくコストを低減することができる。
【0075】
〔シリコン樹脂〕
第1表面保護層61にシリコン樹脂を用いる場合は、周囲との密着性や相溶性の問題から変性シリコンを用いることが好ましい。第1表面保護層61を構成する硬化型樹脂が紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂から形成される場合には、変性シリコンは、電離放射線反応性の変性シリコン樹脂であることが好ましい。また第1表面保護層61を構成する硬化型樹脂が熱硬化性樹脂から形成される場合には、変性シリコンは、熱反応性の変性シリコン樹脂であることが好ましい。また、第1表面保護層61を構成する硬化型樹脂が電離放射線硬化型樹脂及び熱硬化性樹脂の混合から形成される場合には、上記変性シリコンは、電離放射線反応
性及び熱反応性の少なくとも一方からなる変性シリコン樹脂であることが好ましい。
【0076】
変性シリコンは、反応性変性シリコンと非反応性シリコンとに分類できる。熱反応性の変性シリコンとしては、モノアミン変性シリコン、ジアミン変性シリコン、エポキシ変性シリコン、カルビノール変性シリコン、カルボキシ変性シリコン、メルカプト変性シリコン、シラノール変性シリコン、アルコール変性シリコン、ジオール変性シリコンが例示出来る。また、電離放射線反応性の変性シリコンとしては、アクリル変性シリコン、メタクリル変性シリコンが例示できる。また、非反応性変性シリコンであるポリエーテル変性シリコン、アラルキル変性シリコン、長鎖アルキル変性シリコン、高級脂肪酸エステル変性シリコンが例示出来る。
【0077】
〔フッ素樹脂〕
フッ素樹脂は最小レベルの表面張力を示すことが広く知られており、耐汚染材料として好適である。第1表面保護層61が含有するフッ素樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂、四フッ化エチレン―エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライドなどが挙げられ、これら以外にも多くの誘導体を用いることができる。またこれらのフッ素樹脂のメーカーとしてはダイキン工業株式会社、三井・デュポンフロロケミカル株式会社などが挙げられる。第1表面保護層61が含有するフッ素樹脂の量は、10質量部以上100質量部以下が好ましい。より好ましくは20質量部以上である。ここで、フッ素樹脂自体が硬化型樹脂であっても良い。すなわち、フッ素樹脂の一部が、表面保護層60(第1表面保護層61、第2表面保護層62)の主成分である硬化型樹脂の一部を兼ねていても良い。例えば、第2表面保護層62の樹脂成分全部がフッ素樹脂であっても良い。
【0078】
このように、本実施形態に係る化粧シート10において、表面保護層60の最表層、すなわち第1表面保護層61に、シリコン系成分又はフッ素系成分のうち少なくともいずれか一方が含まれていてもよい。これにより、化粧シート10の耐汚染性を向上することができる。耐汚染性が向上されると、ウイルスが化粧シート10の表面に長期間存在することを抑制することができ、結果として、抗ウイルス性をさらに向上させることができる。
また、化粧シート10の各層の接着強度を向上するために、透明原反20と表面保護層60との層間に、イソシアネート系硬化剤を使用する2液硬化型ウレタン系接着剤を含む接着層を設けてもよい。
【0079】
[第2表面保護層]
第2表面保護層62は、表面保護層60を構成する層(第1表面保護層61、第2表面保護層62)のうち、最表層と透明原反20との間に形成された層(内側層)である。本実施形態では、第2表面保護層62は、第1表面保護層61と同様に、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂のうち少なくとも1種を含んでいる。なお、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂については、第1表面保護層61に含まれる硬化型樹脂と同様であるため説明を省略する。
【0080】
第2表面保護層62は、第1表面保護層61と同様に界面活性剤を含んでいてもよい。
また表面保護層60において、最表層である第1表面保護層61を、内側層である第2表面保護層62と比較して艶の高い層としてもよい。つまり、表面保護層60は、下塗り層(第2表面保護層62)と、下塗り層と比較して艶の高い上塗り層(第1表面保護層61)とで構成されていてもよい。また上塗り層となる第1表面保護層61は、同じ樹脂で艶を高くしたものを塗布し、印刷絵柄層50と同調した絵柄で印刷することで、印刷絵柄層50の絵柄と同調した絵柄で印刷するようにしてもよい。すなわち、表面保護層60にグロス/マットコートをすることで、印刷絵柄層50の絵柄と同調させるようにしてもよい。
【0081】
また、第1表面保護層61の表面は、印刷絵柄層50の絵柄と同調させたエンボス部90を形成しても良い。
ここで、エンボス部というと、それなりの高低差のイメージを持つが、第2表面保護層62と印刷絵柄層50の絵柄と同調した第1表面保護層61との高低差は、実際には数μmオーダーの高低差しかなく、表面保護層60にグロス/マットコートをすることで、絵柄と同調させる、という表現と同様の意味である。
【0082】
<基材91>
基材91としては、南洋材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(以後MDF)、日本農林規格に規定される普通合板等の木質系基材が使用可能である。また、木紛添加オレフィン系樹脂からなる基材も使用可能である。基材91の厚さは3mm以上25mm以下程度が好適である。なお基材91は木質系基材に限られず、アルミなどの金属を材料とする金属板であってもよいし、プラスチックなどの樹脂、またはそれらの複合材料であっても良い。また、例えば不燃仕様の鋼板又は建設省告示1400号で定められた不燃材料から構成しても良い。
図2に示すように、基材91の一方の面(
図2では、上側の面)には、化粧シート10が積層されている。すなわち、化粧材12は、基材91と、基材91の一方の面に積層された化粧シート10とを備える。
なお、化粧材12の構成は、
図2に示す例に限定するものではない。すなわち、化粧材12の構成を、基材91の一方の面に加え、基材9の他方の面(
図1では、下側の面)に積層された化粧シート1を備える構成としてもよい。
【0083】
<接着剤層>
図示は省略するが、化粧シート10のプライマー層30において、着色層40とは反対の面側には、基材91との接着に用いられる接着剤が塗布される。この接着剤と基材91との密着性を向上させるために、プライマー層30と基材91との間に、必要に応じて接着剤層(不図示)を設けてもよい。例えば、基材91が木質系材料で形成されている場合には、プライマー層に塗布する接着剤として、酢酸ビニルエマルジョン系、2液硬化型ウレタン系等の接着剤が使用されるため、接着剤層は、これらの接着剤に合わせた樹脂設計とすることが望ましい。例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系等を用いることができる。特に、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの配合による2液硬化型ウレタン系のプライマー剤等が好ましい。また、例えば、シリカや硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機質粉末を添加すると、巻取保存時のブロッキングの防止や投錨効果による接着力の向上に有効である。
<化粧シート全体の比重>
本実施形態において、化粧シート10全体の比重は、0.88以上1.3以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、比重が0.88以上1.2以下の範囲内である。このようにすることによって、例えば、化石燃料由来のポリエチレン等を用いて形成した構成と同等程度の隠蔽性を有する化粧シート10を形成することが可能となる。
<化粧シート全体の総厚>
化粧シート1全体の厚みは、50μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、70μm以上150μm以下の範囲内である。このようにすることによって、例えば、化石燃料由来のポリエチレン等を用いて形成した構成と同等程度の隠蔽性を有する化粧シート1を形成することが可能となる。
【0084】
(化粧シート10の製造方法)
化粧シート10は、上記した構成を有するものであり、その製造方法は、次の第1の工程から第3の工程を有し、インラインで製造するものである。
ここで、「インライン」は、通常、複数の工程となる印刷を、一つのライン、すなわちワンラインで加工できることを意味する。本実施形態による化粧シート10の製造においては、フィルム同士をラミネートするラミネート工程が無いため、すなわち、印刷から表面保護層60を付与するまでの製造工程を1工程のインラインで行うことができる。
【0085】
(1)第1の工程
第1の工程は、熱接着性樹脂としてバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いた透明コア層22と、透明コア層22の表裏面側にそれぞれ位置し、透明コア層22と同様の上記樹脂組成物を用いた透明スキン層21、23と、を押出し成形した単層フィルムである透明原反20を製造する工程である。
なお、第1の工程において、透明コア層22を形成する上記樹脂組成物に紫外線吸収剤を添加してもよいし、透明スキン層21、23を形成する上記樹脂組成物にナノサイズの添加剤としての分散剤を添加してもよい。
また、第1の工程において、透明原反20の表面、すなわち後の工程で表面保護層60が形成される面に、エンボス版を用いて目的の意匠、性能に見合った形状のエンボス部(不図示)を賦形してもよい。
(2)第2の工程
第2の工程は、第1の工程で製造した透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50と、着色層40と、プライマー層30とを順に形成する工程である。
(3)第3の工程
第3の工程は、第2の工程の後、又は第2の工程に先立ち、前記第1の工程で製造した透明原反20の表面側に、表面保護層60を形成する工程である。
上記工程の順番は、第1の工程、第2の工程、第3の工程の順番と、第1の工程、第3の工程、第2の工程の順番との二通りである。
【0086】
<本実施形態の効果>
本実施形態の化粧シート10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)本実施形態に係る化粧シート10は、少なくとも透明熱可塑性樹脂層である透明原反20を備え、透明原反20の表面側及び裏面側のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、透明原反20は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層である。
このため、例えば、ポリエチレン等を用いる構成に比べて強度を高めることが可能となり、高い耐傷性等を有する透明熱可塑性樹脂層(透明原反20)を形成することが可能となる。
【0087】
その結果、植物由来の材料であるバイオマス由来のポリプロピレンを用いて形成した場合であっても、物性(例えば表面硬度など)の低減を抑制することが可能であり、さらに化粧シートとしての用途に適した物性を維持する化粧シート10を提供することが可能となる。
また、植物由来の材料であるバイオマス由来のポリプロピレンを用いた構成であっても、例えば、ポリエチレン等を用いて形成した構成と同等である高い透明度を有する透明熱可塑性樹脂層(透明原反20)を形成することが可能となる。
また、化粧シート10の製造時に、他のシートのラミネート工程がないため、製造工程を1工程のインラインで行うことができる。
【0088】
(2)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20は、透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、バイオマス由来のポリプロピレンを5質量%以上含有する。
これにより、さらに環境適正の高い化粧シート10を形成することが可能となる。
(3)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20は、バイオマス由来のプロピレンを含み、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有する。
これにより、高い耐傷性を有し、化粧シートとしての用途に適した物性を確実に維持することが可能な化粧シート10を形成することができる。
【0089】
(4)透明熱接着性樹脂層である透明原反20は、引張弾性率が400МPa以上1800MPa以下の範囲内である。
これにより、さらに高い耐傷性を有し、化粧シートとしての用途に適した物性をより確実に維持することが可能な化粧シート10を形成することができる。
(5)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20は、厚みが50μm以上200μm以下の範囲内である。
これにより、化粧シート10の施工仕上がりを良好にし、且つ製造コストを削減することが可能となる。
(6)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20は、紫外線吸収剤またはナノサイズの造核剤のうち少なくとも一方が添加されている。
これにより、透明原反20に紫外線吸収剤を添加した場合は、印刷絵柄層50や着色層40の褪色を抑制することができ、また透明原反20に造核剤を添加した場合には、透明原反20の耐傷性がさらに向上し透明原反20のさらなる薄膜化が可能となる。
【0090】
(7)透明熱接着性樹脂層である透明原反20は、透明スキン層21、透明コア層22、透明スキン層23の順に、2種3層の構成となるように、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を用いて押出し成形により製造された単層シートである。
透明原反20が単層シートであるため、化粧シート10は薄膜化が容易となる。
(8)透明スキン層21、23には、ナノサイズの造核剤が添加されている。
これにより、透明原反20の一層の薄膜化が可能となり、耐傷付き性能をさらに向上できる。
(9)透明コア層22には、紫外線吸収剤が添加されている。
これにより、印刷絵柄層50や着色層40の褪色を確実に抑制することができる。
【0091】
(10)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20の裏面側に、絵柄を印刷した印刷絵柄層、着色層、が順に形成され、透明原反20の表面側に、表面保護層が形成されている。
これにより、隠蔽性や意匠性を向上し、且つ曲げ加工性、耐候性、耐傷付性や清掃性といった物性の向上を図ることができる。
(11)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20の裏面側に、印刷絵柄層50と、着色層40と、プライマー層30とが順に形成されている。
これにより、化粧タックシート11、化粧材12の加工時において、剥離紙80や基材91との接着性を向上させることができる。
(12)透明熱可塑性樹脂層である透明原反20の表面側には、印刷絵柄層50と同調させたエンボス部が形成されている。
これにより、目的に見合った意匠性や性能を化粧シート10に付与することができる。
【0092】
(13)化粧シート10は、全体の比重が0.88以上1.3以下である
これにより、化石燃料由来のポリエチレン等を用いて形成した構成と同等程度の隠蔽性を化粧シート10に付与することができる。
(14)化粧シート10は、全体の厚みが50μm以上200μm以下の範囲内である。
これにより、化石燃料由来のポリエチレン等を用いて形成した構成と同等程度の隠蔽性を化粧シート10に付与することができる。
(15)化粧材12は、基材91と、基材91の少なくとも一方の面に積層された化粧シート10と、を備える。
これにより、化粧シートを植物由来の材料であるバイオマス由来のポリプロピレンを用いて形成した場合であっても、化粧材としての用途に適した物性を維持することができる化粧材を提供することが可能となる。
【0093】
[実施例]
本実施形態を参照しつつ、以下、実施例1及び2の化粧材と、比較例1から3の化粧材について説明する。
なお、本発明は、下記の実施例1及び実施例2に限定されるものではない。
【0094】
(実施例1)
実施例1は、単層シートである化粧シート10を下記の材料と手順で作製した。
第一に、透明原反20の透明コア層22には、バイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物、耐候剤をブレンドしたものを使用する。透明スキン層21には、ナノサイズの添加剤としての分散剤等を添加したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物を使用し、透明スキン層21:透明コア層22:透明スキン層21が、0.5:9:0.5の厚み比率になるように同時押出し、透明原反20の厚みを70μmとし、透明原反20を作製した。透明熱可塑性樹脂層である透明原反20全体のバイオマス度、すなわち化粧シート10のバイオマス度は、80%であった。
【0095】
第二に、コロナ放電処理を施した透明原反20の裏面側に、グラビア印刷法によりウレタン系樹脂で絵柄を印刷し、印刷絵柄層50を付与した後、2液ウレタン系樹脂で着色層40を付与した。
第三に、グラビア印刷法により固形分量が1g/m2となるように、ウレタン系樹脂を塗工し、プライマー層30を形成した。
【0096】
第四に、コロナ放電処理を施した透明原反20の表面側に、表面保護層60として、艶の低いアクリル系二液硬化型樹脂を、6μmの厚さになるよう塗布して第2表面保護層62を形成し、その上に同じ樹脂で艶を高くしたものを印刷絵柄層50と同調した絵柄で印刷した第1表面保護層61を形成した。
第五に、総厚80μmの化粧シート10のプライマー層30側に、接着剤(ジャパンコーティングレジン製BA-10L(硬化剤:BA-11B))を塗布して、化粧シート10と3mm厚のMDF板とを貼り合わせ、30~50℃でプレス機を用いて圧締し、化粧板にしたものを、実施例1の評価シートとした。
【0097】
(実施例2)
透明熱可塑性樹脂層である透明原反20の厚みを200μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例2の評価シートとした。
【0098】
(比較例1)
透明熱可塑性樹脂層である透明原反の厚みを40μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、比較例1の評価シートとした。
(比較例2)
透明熱可塑性樹脂層である透明原反の厚みを250μmとした。それ以外は、実施例1と同様にして、比較例1の評価シートとした。
(比較例3)
石油由来のポリプロピレンを用いて透明熱可塑性樹脂層である透明原反を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして、比較例3の評価シートを得た。比較例3は、透明原反においてバイオマス由来の材料を用いていないため、比較例3の評価シートにおける化粧シートのバイオマス度は0%であった。
【0099】
(性能評価、評価結果)
実施例1及び2の評価シート(化粧板)と、比較例1から3の評価シート(化粧板)に対し、それぞれ、「透明熱可塑性樹脂層(透明原反)の生産性」、「印刷適正」、「表面硬度」「加工適正」を評価した。評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。
【0100】
<透明熱可塑性樹脂層(透明原反)の生産性>
各実施例・比較例の評価シート(化粧板)における化粧シートについて、表面状態等の製膜性、フィッシュアイの有無、厚みムラの有無等といった不良度合を目視により判定した。不良がほとんどなく、石油由来のポリオレフィン樹脂で透明原反を形成した化粧シート(現行品)と遜色がない場合を「◎」、不良が存在し現行品より劣るが、生産には影響がない場合を「○」、生産に影響するほどの不良がある場合を「△」、生産不可の場合を「×」とした。なお、不良個所が平米あたりに1~2個程度である場合には「○」と判定した。
本実施例では、「○」を合格とした。
【0101】
<印刷適正>
各実施例・比較例の評価シート(化粧板)における化粧シートについて、着肉不良の有無、乾燥時の熱ジワの有無、テンションの調整状態などを目視により判定した。現行の化粧シートの印刷適正と遜色がない場合を「◎」、現行の印刷適正よりも劣るが、生産に影響がない場合を「○」、条件によっては生産に影響する程度の不良がある場合を「△」、生産不可の場合を「×」とした。
本実施例では、「△」を合格とした。
【0102】
<表面硬度>
JIS K5600-5-4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じた試験を行った。
各実施例・比較例の評価シート(化粧板)における化粧シートに対して鉛筆に荷重を付加した状態でスライドさせ、表面保護層に傷、艶変化などが生じるかを観察をした。
鉛筆の硬度(鉛筆硬度)が「4B」以上で表面保護層に傷・艶変化(凹みは除外)が生じた場合を「◎」、鉛筆硬度が「5B」以上で表面保護層に傷・艶変化が生じた場合を「〇」、鉛筆硬度が「5B」以上で表面保護層が抉れた場合または「6B」以上で傷が生じた場合を「△」、鉛筆硬度が「6B以上」で表面保護層が抉れた場合を「×」とした。
本実施例では、「○」を合格とした。
【0103】
<加工適正>
各実施例・比較例の評価シート(化粧板)について、Vカット加工を実施し、折り曲げ頂上部の外観状態を確認した。Vカット加工としては、評価シートにおいて化粧シートが張り付けられていない面側から基板(MDFボード)と化粧シートとを貼り合わせている境界まで、化粧シートにキズが付かないようにV型の溝を入れた。次に、化粧シートを貼付した面が山折りとなるようにして、評価シートを当該V型の溝に沿って90度まで折り曲げて、折り曲げ頂上部に白化やクラック等の異常がみられるかどうかを目視により判定した。異常が確認されず現行品の化粧シートを用いた化粧板と遜色がない場合を「◎」、部分的に異常が確認でき現行品より劣るが生産に問題がない場合を「〇」、目視で顕著な白化が確認できる場合を「△」、目視で顕著な割れが発生した場合を「×」とした。
本実施例では、「○」を合格とした。
【0104】
上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果を表1に示す。
【0105】
【0106】
上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果、実施例1及び2の化粧シートは、表面硬度について、現行品の化粧シートを用いた比較例3と同等以上の優れた性能を示した。特に実施例1の化粧シートは、全ての評価試験に対して、比較例3と同等以上の優れた性能を示した。また、実施例2の化粧シートも、全ての評価試験に対して、化粧シートとしての用途に適した性能を示した。
つまり、実施例1および2の化粧シートは、バイオマス由来(植物由来)のポリプロピレンを用いた場合であっても、表面硬度の低下を抑制して化粧シートとしての用途に適した物性を維持することが可能であることが分かった。
一方、比較例1および2の化粧シートは、少なくとも一部の評価項目において不十分な性能を示した。
【0107】
また、例えば、本発明は以下のような構成を取ることができる。
(1)
少なくとも透明熱可塑性樹脂層を備え、
前記透明熱可塑性樹脂層の表面側及び裏面側のいずれにも、他のフィルムからなるラミネート層を有しない化粧シートであって、
前記透明熱可塑性樹脂層は、バイオマス由来のプロピレンを含むモノマーが重合したバイオマス由来のポリプロピレンを含む樹脂組成物で形成された樹脂層であることを特徴とする化粧シート。
(2)
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記透明熱可塑性樹脂層全体の質量に対し、前記バイオマス由来のポリプロピレンを5質量%以上含有する
ことを特徴とする上記(1)に記載の化粧シート。
(3)
前記透明熱可塑性樹脂層は、前記バイオマス由来のプロピレンを含み、0.90g/cm3以上0.96g/cm3以下の範囲内の密度を有する
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の化粧シート。
(4)
前記透明熱可塑性樹脂層は、引張弾性率が400МPa以上1800MPa以下の範囲内である
ことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(5)
前記透明熱可塑性樹脂層は、厚みが50μm以上200μm以下の範囲内である
ことを特徴とする上記(1)から(4)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(6)
前記透明熱可塑性樹脂層には、紫外線吸収剤またはナノサイズの造核剤のうち少なくとも一方が添加されている
ことを特徴とする上記(1)から(5)のいずれか1項に記載の化粧シート。(7)
前記透明熱可塑性樹脂層は、透明スキン層、透明コア層、透明スキン層の順に、2種3層の構成となるように、前記樹脂組成物を用いて押出し成形により製造された単層シートである
ことを特徴とする上記(1)から(6)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(8)
前記透明スキン層には、ナノサイズの造核剤が添加されている
ことを特徴とする上記(7)に記載の化粧シート。
(9)
前記透明コア層には、紫外線吸収剤が添加されている
ことを特徴とする上記(7)又は(8)に記載の化粧シート。
(10)
前記透明熱可塑性樹脂層の裏面側に、絵柄を印刷した印刷絵柄層、着色層が順に形成され、前記透明熱可塑性樹脂層の表面側に、表面保護層が形成されている
ことを特徴とする上記(1)から(9)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(11)
前記透明熱可塑性樹脂層の裏面側に、前記印刷絵柄層と、前記着色層と、プライマー層とが順に形成されている
ことを特徴とする上記(10)に記載の化粧シート。
(12)
前記透明熱可塑性樹脂層の表面側には、前記印刷絵柄層と同調させたエンボス部が形成されている
ことを特徴とする上記(10)又は(11)に記載の化粧シート。
(13)
全体の比重が、0.88以上1.3以下である
ことを特徴とする上記(1)から(12)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(14)
全体の厚みが50μm以上200μm以下の範囲内である
ことを特徴とする上記(1)から(13)のいずれか1項に記載の化粧シート。
(15)
基材と、
前記基材の少なくとも一方の面に積層された上記(1)から(14)のいずれか1項に記載の化粧シートと、を備えることを特徴とする化粧材。
【符号の説明】
【0108】
10 化粧シート
11 化粧タックシート
12 化粧材
20 透明原反
21 透明スキン層
22 透明コア層
23 透明スキン層
25 エンボス部
30 プライマー層
40 着色層
50 印刷絵柄層
60 表面保護層
70 粘着剤層
80 剥離紙
91 基材