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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157568
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ダイヘッド
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20231019BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067556
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】595038198
【氏名又は名称】株式会社ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】康井 義成
(72)【発明者】
【氏名】茶木原 雄司
(72)【発明者】
【氏名】坂田 芙美子
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA07
4F041BA12
4F041BA34
4F041CA03
4F041CA16
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA27
(57)【要約】

【課題】 簡単な構成でダイヘッド内における塗工材の流動と流路を規制し、膜厚の均一化、塗工膜内の粒子の均一化を図る。
【解決手段】 対向配置させた2つのブロック2,3のうちの一方のブロック2内に、外部から供給される塗工材を一次的に貯留させる空間部からなる第1貯留部11を形成し、一方のブロック2及び/又は他方のブロック3の対向面に、スロット5へ流入する塗工材を一次的に貯留させる空間部からなる第2貯留部12を吐出口6に沿ってスロット5の基端部に形成し、第1貯留部11と第2貯留部12を一方のブロック2内に形成された分配細管13により連通させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置させた2つのブロック間には塗工材を通液させるスロットが形成されており、前記スロットの開放先端部を吐出口とし、連続的に走行する基材に対して重力方向から塗工材を塗工する為のダイヘッドであって、
一方のブロック内には、外部から供給される塗工材を一次的に貯留させる空間部からなる第1貯留部が形成されており、前記一方のブロック及び/又は他方のブロックの対向面には、前記スロットへ流入する塗工材を一次的に貯留させる空間部からなる第2貯留部が前記吐出口に沿って前記スロットの基端部に連接されて形成されており、前記第1貯留部と第2貯留部は、前記一方のブロック内に形成された複数の分配細管により連通されていることを特徴とするダイヘッド。
【請求項2】
前記複数分配細管は一端を前記第1貯留部の深さ方向中間部に開口させ、他端を前記第2貯留部の深さ方向中間部または上部に開口させて、前記吐出口の長手方向に沿って配列形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に走行する基材に対して鉛直(重力)方向から塗工材をスロットダイ方式で塗布する塗工装置に搭載するダイヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットダイ方式の塗工装置のダイヘッドは、外部から供給された塗工材を一時的に貯留する空間としてのマニホールドと、このマニホールドから吐出口まで、塗工材を通液させるスリット部であるスロットを備えている。
【0003】
詳しくは、ダイヘッドは、2つのブロックを対向配置させて組み付けることでスロット部が構成されており、一方のブロック内にはマニホールドが形成され、塗工材を吐出口の延在方向、すなわち、塗工材の塗工幅方向に分配して、スロットを通して吐出口から基材上に一定幅に塗工材を吐出することにより、前記基材上に塗工膜を形成可能に構成されている。
【0004】
ここで、スロットダイ方式の塗工装置においては、スリット幅、塗工材の圧力分布、塗工材の流動などの種々の原因により塗工膜厚にばらつきが発生することはよく知られている事実である。
【0005】
例えば、マニホールドの塗工材が供給される給液部に近い吐出口部分と、遠い吐出孔部分とでは、塗工材の移動時間が相違し、塗工材の分散状態が異なってしまう。塗工材が粒子を含む塗工液であるような場合は、形成される塗工膜内の粒子が均一に分散されないという問題があった。
【0006】
そのため、従来から、この塗工膜厚のばらつきを是正するべく、例えば、特許文献1のように、塗工材の塗工幅方向においてスリット幅を調整し、吐出口から吐出される塗工材の吐出速度や吐出分布を均一にする技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-73927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この特許文献1に開示された技術は、ダイヘッドを構成する鉄系の鋼材からなる2つのブロック間に、アルミニウムや高分子材料などの柔らかい材料をシムとして挟み込み、前記2つのブロックをボルト、ナットなどの締結具で締め付ける度合いを調整することによってシムの潰し量を調整して、所望のスリット幅とする。
【0009】
しかしながら、この技術は、ダイヘッドのブロックを構成する材料の弾性変形による歪みを利用して塗工膜厚を調整する方法であるため、塗工幅方向の両端部における膜厚までも均一化することが困難であり、さらには、シムの経時的劣化の問題を含むものであった。
【0010】
そこで、本発明は、簡単な構成でダイヘッド内における塗工材の流動と流路を規制し、膜厚の均一化、塗工材が粒子を含む塗工液であるような場合は、形成される塗工膜内の粒子の均一化を図ることを可能とするダイヘッドを提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のダイヘッドは、対向配置させた2つのブロック間には塗工材を通液させるスロットが形成されており、前記スロットの開放先端部を吐出口とし、連続的に走行する基材に対して重力方向から塗工材を塗工する為のダイヘッドであって、一方のブロック内には、外部から供給される塗工材を一次的に貯留させる空間部からなる第1貯留部が形成されており、前記一方のブロック及び/又は他方のブロックの対向面には、前記スロットへ流入する塗工材を一次的に貯留させる空間部からなる第2貯留部が前記吐出口に沿って前記スロットの基端部に連接されて形成されており、前記第1貯留部と第2貯留部は、前記一方のブロック内に形成された複数の分配細管により連通されていることを特徴とする。
【0012】
また、前記分配細管は一端を前記第1貯留部の深さ方向中間部に開口させ、他端を前記第2貯留部の深さ方向中間部または上部に開口させて、前記吐出口の長手方向に沿って配列形成されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成されたダイヘッドは、第1貯留部に供給される塗工材は、空間部内の底部に貯まり、その貯液量が分配配管の一端の開口位置まで至ると、塗工材は、分配配管を同じタイミング、同じ速度、同じ量で通り、対向配置された2つのブロック間に形成されている第2貯留部内に、吐出口の長手方向に沿う方向において略均一に流入する。
【0014】
第2貯留部に流入し、一次的に貯留される塗工材は、供給量と重力が相俟って、スロットを吐出口の長手方向に沿う方向において均一に通過し、吐出口から吐出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のダイヘッドによれば、簡単な構成でダイヘッド内における塗工材の流動と流路を規制し、膜厚の分布の均一化を図ることが可能となり、しかも、構成部材の経時的劣化の問題も生じ得ない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のダイヘッドの要部縦断面図
図2図1に示す本実施形態のダイヘッドの一方のブロックの要部拡大説明図
図3図1に示す本実施形態のダイヘッドの一方のブロックの対向面の構造説明図
図4図1に示す本実施形態のダイヘッドの一方のブロックの要部横断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のダイヘッド1の一実施形態について、図1乃至図4を用いて説明する。
【0018】
本実施形態のダイヘッド1は、連続的に走行する基材(不図示)に対して重力方向から塗工材を塗工する塗工装置(不図示)に用いられる。
【0019】
本実施形態のダイヘッド1は、図1に示すように、鋼材からなる2つのブロック2,3を備え、互いの一面を対向配置させ、ボルト等の締結具4で締結された構造体とされている。2つのブロック2,3間には塗工材を通液させるスロット5が形成され、スロット5の開放先端部は塗工材の吐出口6とされている。
【0020】
より具体的には、2つのブロック2、3のうちの一方のブロック2の内部には、供給口2aを通して外部から供給される塗工材を一次的に貯留させる円筒状の空間部からなる第1貯留部11が吐出口6に沿い、かつ、吐出口6と略同じ長さで形成されている。
【0021】
また、一方のブロック2の一面には、他方のブロック3の対向面との間に形成する空間を塗工材の流路とし、その下端部を吐出口6とするスロット5を構成する、凹状に掘り下げた段部5aが形成されている。さらに、一方のブロック2の前記一面には、スロット5へ流入する塗工材を一次的に貯留させる凹状の空間部からなる第2貯留部12が吐出口6に沿って形成され、スロット5の基端部と連接されて形成されている。詳しくは、図2に示すように、スロット5の基端部は第2貯留部12の底部に連接されて形成されている。
【0022】
そして、第1貯留部11と第2貯留部12は、一方のブロック2内に形成された分配細管13により通液可能に連通されている。本実施形態のダイヘッド1においては、分配細管13は一端を第1貯留部11の深さ方向中間部に開口させ、他端を第2貯留部12の深さ方向中間部または上部に開口させて、吐出口6の長手方向に沿って複数個が配列形成されている。
【0023】
このように構成された本実施形態のダイヘッド1は、第1貯留部11、分配細管13、並びに、第2貯留部12が、外部から供給された塗工材を吐出口6へ繋がるスロット5へ流入させる為のマニホールド10として作用することとなる。
【0024】
第1貯留部11に供給される塗工材は、空間部内の底部に貯まり、その貯液量が分配細管13の一端の開口位置まで至ると、塗工材は、分配細管13を同じタイミング、同じ速度、同じ量で通り、第2貯留部12内に、吐出口6の長手方向に沿う方向において略均一に流入する。
【0025】
連続的に走行する基材に対して鉛直(重力)方向から塗工材をスロットダイ方式で塗工する塗工装置に搭載される本実施形態のダイヘッド1においては、第2貯留部12に流入し、一次的に貯留される塗工材は、供給量と重力が相俟って、スロット5を吐出口6の長手方向に沿う方向において均一量を以て鉛直下向きに通過し、吐出口6からその長手方向に均一幅の塗工膜状に吐出される。
【0026】
このように、塗工材を吐出口6に沿う方向において同じタイミング、同じ速度、同じ量で供給することができれば、塗工材が粒子を含む塗工液であるような場合であっても、形成される塗工膜内の粒子を均一に分散させることが可能となる。
【0027】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【0028】
例えば、第2貯留部12やスロット5は、第1貯留部11が設設された一方のブロック2ではなく、他方のブロック3の一方のブロック2への対向面に形成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ダイヘッド
2 ブロック
2a 供給口
3 ブロック
4 締結具
5 スロット
5a 段部
6 吐出口
10 マニホールド
11 第1貯留部
12 第2貯留部
13 分配細管
図1
図2
図3
図4