(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157598
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】除雪機
(51)【国際特許分類】
E01H 5/09 20060101AFI20231019BHJP
E01H 5/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E01H5/09 B
E01H5/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067601
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000201766
【氏名又は名称】ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101351
【弁理士】
【氏名又は名称】辰巳 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】竹下 正敏
(57)【要約】
【課題】前後方向の重量バランスが適切な除雪機を提供する。
【解決手段】除雪機10は、車台12を含む。車台12の走行装置18a,18bはそれぞれ、前輪20a,20bと後輪22a,22bとクローラ24a,24bとを有する。前輪20a,20bは前輪軸26を介して連結され、後輪22a,22bは後輪軸28を介して連結される。エンジン38と除雪部40とを含む車体14が、チルト軸82a,82bを介して、揺動可能に車台12に連結される。除雪部40は、オーガ44およびブレード46を含む。チルト軸82a,82bは、前輪軸26と後輪軸28との間に設けられる。エンジン38からの動力を後輪軸28に伝達するためにエンジン38と後輪軸28との間に、自在継手64,66が設けられる。ハンドル16が車台12に取り付けられる場合、車体14とハンドル16とはアクチュエータ96を介して連結される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪と前記前輪および前記後輪に巻回されるクローラとを有する走行装置、前記前輪に接続される前輪軸、ならびに前記後輪に接続される後輪軸を含む車台と、
駆動源および前記駆動源の前方に設けられる除雪部を含み、前記車台に対して揺動可能な車体と、
前記車台および前記車体のいずれか一方に設けられるハンドルと、
前記駆動源からの動力を前記後輪軸に伝達するために前記駆動源と前記後輪軸との間に設けられる自在継手とを備える、除雪機。
【請求項2】
前記ハンドルは、前記車台に取り付けられ、
前記車体を前記車台に対して揺動させるために前記車体と前記ハンドルとを連結するアクチュエータをさらに含む、請求項1に記載の除雪機。
【請求項3】
複数の前記自在継手を含む、請求項1または2に記載の除雪機。
【請求項4】
前記除雪部は、オーガおよびブレードを含む、請求項1から3のいずれかに記載の除雪機。
【請求項5】
前記車体が前記車台に対して揺動するときの中心となるチルト軸をさらに含み、
前記チルト軸は、前記前輪軸と前記後輪軸との間に設けられる、請求項1から4のいずれかに記載の除雪機。
【請求項6】
側面視において、前記チルト軸の軸心が前記自在継手の回転中心近傍に配置される、請求項5に記載の除雪機。
【請求項7】
前記駆動源と前記自在継手との間に設けられる第1減速機と、前記自在継手と前記後輪軸との間に設けられる第2減速機とをさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の除雪機。
【請求項8】
側面視において、前記第1減速機が、前記前輪軸より後方かつ前記後輪軸より前方に配置される、請求項7に記載の除雪機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は除雪機に関し、より特定的には歩行型かつ投雪タイプの除雪機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術の一例として、特許文献1において歩行型かつ投雪タイプの除雪機が開示されている。この除雪機では、エンジンや走行装置などを設けた本機の前方に、オーガおよびブロアを有する除雪部が連設され、本機後部に操作部が配設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された除雪機において、除雪機能を向上させるために、ブレードを追加装着したり、オーガやブレードを大きくすると、オーガやブレードなどの除雪部の重量が増加する。除雪機の前方に配置される除雪部の重量が増加すると、除雪機の前後の重量バランスが変化し、除雪部をチルトアップしたとき等に影響を受けることが考えられる。しかしながら、特許文献1には、このような場合において除雪機の前後の重量バランスを適切に保つ構成につき記載されていない。
【0005】
それゆえにこの発明の主たる目的は、前後方向の重量バランスが適切な除雪機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、前輪と後輪と前輪および後輪に巻回されるクローラとを有する走行装置、前輪に接続される前輪軸、ならびに後輪に接続される後輪軸を含む車台と、駆動源および駆動源の前方に設けられる除雪部を含み、車台に対して揺動可能な車体と、車台および車体のいずれか一方に設けられるハンドルと、駆動源からの動力を後輪軸に伝達するために駆動源と後輪軸との間に設けられる自在継手とを備える、除雪機が提供される。
【0007】
この発明では、車台の駆動軸を後輪軸にすることにより、駆動源を後輪軸に近づけるべく車体のより後方側に配置することができる。したがって、車体前方に設けられた除雪部の重量が大きい場合であっても、除雪機の前後の重量バランスを適切にできる。
【0008】
好ましくは、ハンドルは、車台に取り付けられ、当該除雪機は、車体を車台に対して揺動させるために車体とハンドルとを連結するアクチュエータをさらに含む。この場合、油圧シリンダなどのアクチュエータによって、ハンドルひいては車台に対して車体が揺動するので、除雪部が接地しているときと接地していないときとでハンドルの高さが変わらないため、操作者はハンドルを操作し易くなる。
【0009】
また好ましくは、当該除雪機は、複数の自在継手を含む。この場合、自在継手と連結する部材を自由な向きに配置できる。また、除雪部が車台に対して前後方向および左右方向など複数方向に揺動することもできる。
【0010】
さらに好ましくは、除雪部は、オーガおよびブレードを含む。この場合、除雪部がオーガとブレードとを含んで除雪部の重量が大きくなっても、除雪機の前後の重量バランスを適切にできる。
【0011】
好ましくは、当該除雪機は、車体が車台に対して揺動するときの中心となるチルト軸をさらに含み、チルト軸は、前輪軸と後輪軸との間に設けられる。この場合、チルト軸を前輪軸と同軸に設ける場合よりも、チルト軸を後輪軸に近づけるべく車体のより後方側に配置することができるので、除雪機の前後の重量バランスをさらに適切にできる。
【0012】
また好ましくは、側面視において、チルト軸の軸心が自在継手の回転中心近傍に配置される。この場合、側面視においてチルト軸の軸心を自在継手の回転中心と一致させるかまたは当該回転中心付近に配置することによって、自在継手の角度変位を小さくでき、伝達効率を向上できる。
【0013】
さらに好ましくは、当該除雪機は、駆動源と自在継手との間に設けられる第1減速機と、自在継手と後輪軸との間に設けられる第2減速機とをさらに含む。この場合、自在継手によって第1減速機と第2減速機との位置関係に柔軟に対応しつつ、駆動源からの動力を適宜減速して後輪軸に伝達することができる。
【0014】
好ましくは、側面視において、第1減速機が、前輪軸より後方かつ後輪軸より前方に配置される。この場合、第1減速機が前輪軸より後方かつ後輪軸より前方に配置されるので、除雪機の前後の重量バランスをさらに適切にできる。
【0015】
なお、この発明における各構成要素の位置関係は、水平面上に配置された除雪機の姿勢を基準にして定義される。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、前後方向の重量バランスが適切な除雪機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の一実施形態に係る除雪機の除雪部が接地している状態を示す側面図である。
【
図2】
図1の除雪機の要部を示す拡大側面図である。
【
図3】
図1の除雪機の要部を示す拡大正面図解図である。
【
図4】
図1の除雪機の要部を示す拡大平面図解図である。
【
図5】
図1の除雪機のチルトアップ時の状態を示す側面図である。
【
図6】この発明の他の実施形態に係る除雪機の除雪部が接地している状態を示す側面図である。
【
図7】
図6の除雪機のチルトアップ時の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
【0019】
この発明の実施形態における、前後、左右、上下とは、操作者が除雪機10に向かってハンドル16を把持する状態を基準とした前後、左右、上下を意味する。図中において、「Fr」は前方を示し、「Rr」は後方を示し、「R」は右方を示し、「L」は左方を示し、「U」は上方を示し、「Lo」は下方を示す。
【0020】
図1を参照して、この発明の一実施形態に係る除雪機10は、車台12と、車台12に対して揺動可能な車体14と、車台12に取り付けられる操作用のハンドル16とを含む。
【0021】
図2~
図4をも参照して、車台12は、一対の走行装置18a,18b、前輪軸26および後輪軸28を含む。走行装置18aは、前輪20aと、後輪22aと、前輪20aおよび後輪22aに巻回されるクローラ24aとを含む。同様に、走行装置18bは、前輪20bと、後輪22bと、前輪20bおよび後輪22bに巻回されるクローラ24bとを含む。前輪20a,20bは、前輪軸26を介して連結され、後輪22a,22bは、後輪軸28を介して連結される。すなわち、前輪軸26の両端部には、一対の前輪20a,20bが接続され、後輪軸28の両端部には、一対の後輪22a,22bが接続される。
【0022】
前輪軸26および後輪軸28の走行装置18a側の端部同士は、ピボットアーム30aを介して連結され、前輪軸26および後輪軸28の走行装置18b側の端部同士は、ピボットアーム30bを介して連結される。ピボットアーム30aは、前輪軸26と後輪軸28とを連結するアーム本体32aと、アーム本体32aの前後方向略中央部から上方に延びるブラケット部34aとを含む。アーム本体32aの前後方向略中央部には、クローラ24aの上面に接触するように下方に延びるスライダ36aが取り付けられる。同様に、ピボットアーム30bは、前輪軸26と後輪軸28とを連結するアーム本体32bと、アーム本体32bの前後方向略中央部から上方に延びるブラケット部34bとを含む。アーム本体32bの前後方向略中央部には、クローラ24bの上面に接触するように下方に延びるスライダ36bが取り付けられる。
【0023】
車体14は、駆動源であるエンジン38と、エンジン38の前方に設けられる除雪部40とを含む。
【0024】
除雪部40は、オーガハウジング42、オーガ44、ブレード46、シュート48、インペラ軸50、およびオーガ軸52を含む。
【0025】
オーガハウジング42は、エンジン38および一対の走行装置18a,18bの前方に設けられ、オーガ44を覆う。ブレード46は、上下方向に揺動可能にオーガハウジング42に取り付けられる。シュート48は、オーガハウジング42の上部に接続される。インペラ軸50は、オーガハウジング42内に設けられる。インペラ軸50は、オーガハウジング42の幅方向中央部において前後方向に延び、かつオーガハウジング42の後部を貫通してフレームブラケット54(後述)内に至る。オーガハウジング42内において、インペラ軸50にはインペラ(図示せず)が取り付けられる。また、インペラ軸50の前端部には、ギアボックス(図示せず)を介してオーガ軸52が連結され、オーガ軸52にはオーガ44が取り付けられる。
【0026】
車体14はさらに、オーガハウジング42の後部に取り付けられるフレームブラケット54を含む。フレームブラケット54の上部には、エンジンマウント56が設けられる。エンジンマウント56の上部には、エンジン38が配置される。エンジン38は、クランクシャフト58が前後方向に延びるように設けられる。
【0027】
フレームブラケット54内の幅方向中央部には、第1減速機60が配置される。第1減速機60は、エンジン38の下方に設けられ、フレームブラケット54に装着される。第1減速機60は、側面視において、前輪軸26より後方かつ後輪軸28より前方に配置される。この実施形態では、第1減速機60は、HST(静油圧式無段変速機)からなる。後輪軸28の幅方向中央部には、第2減速機62が取り付けられる。この実施形態では、第2減速機62は、ウォームギアからなり、第1減速機60からの動力の伝達方向を直角方向に転換し、後輪軸28に伝達する。したがって、車台12に対して車体14を揺動させるチルト時には、第1減速機60は車体14とともに揺動するが、第2減速機62は車台12とともに揺動しない。第1減速機60と第2減速機62とは、2つの自在継手64,66および連結部68を介して連結される。すなわち、第1減速機60の出力端部に自在継手64が設けられ、第2減速機62の入力端部に自在継手66が設けられ、自在継手64と自在継手66とは、バー状の連結部68を介して連結される。このように、エンジン38からの動力を後輪軸28に伝達するために、エンジン38と後輪軸28との間に、複数の自在継手64,66および連結部68が設けられ、エンジン38と自在継手64との間に第1減速機60が設けられ、自在継手66と後輪軸28との間に第2減速機62が設けられ、2つの自在継手64,66の間に連結部68が設けられる。言い換えれば、チルト時に揺動する第1減速機60と揺動しない第2減速機62との間に、2つの自在継手64,66および連結部68が設けられる。また、第1減速機60、自在継手64、連結部68、自在継手66および第2減速機62は、前後方向において、前方からこの順番に連結されている。
【0028】
エンジン38のクランクシャフト58の出力端部(前端部)には、除雪用の駆動プーリ70と走行用の駆動プーリ72とが取り付けられる。インペラ軸50の入力端部(後端部)には、除雪用の従動プーリ(インペラプーリ)74が取り付けられ、第1減速機60の入力端部(前端部)には、走行用の従動プーリ76が取り付けられる。除雪用の駆動プーリ70と従動プーリ74とは、図示しないベルトによって連結される。また、走行用の駆動プーリ72と従動プーリ76とは、図示しないベルトによって連結される。
【0029】
したがって、インペラ軸50は、駆動プーリ70、従動プーリ74およびベルトを介してエンジン38に連結され、エンジン38の出力によって回転される。それに伴って、オーガ軸52を介してオーガ44が駆動され、集雪可能となるとともに、オーガ44によって集められた雪は、回転するインペラによって巻き上げられ、シュート48から投雪される。
【0030】
また、エンジン38は、駆動プーリ72、従動プーリ76およびベルトを介して第1減速機60に連結される。エンジン38からの出力は、第1減速機60および第2減速機62によって減速される。第2減速機62からの出力は、後輪軸28を介して、一対の後輪22a,22bひいては一対の走行装置18a,18bに伝達され、一対の走行装置18a,18bが駆動される。
【0031】
フレームブラケット54の左右両側面にはそれぞれ、たとえばボルト等の締結部材によって、軸受ハウジング78a,78bが取り付けられる。軸受ハウジング78a,78bにはそれぞれ、軸受80a,80bが収容される。チルト軸82a,82bはそれぞれ、軸受80a,80bによって回転可能に支持されるとともに、ピボットアーム30a,30bのブラケット部34a,34bに嵌合される。これにより、車体14は、フレームブラケット54の左右両側面に位置する2つのチルト軸82a,82bを介して、上下方向に揺動可能に車台12に連結される。チルト軸82a,82bは、前輪軸26と後輪軸28との間に設けられ、車体14が車台12に対して揺動するときの中心となる。側面視において、チルト軸82a,82bの軸心が自在継手64の回転中心近傍に配置される。この実施形態では、側面視において、チルト軸82a,82bの軸心と自在継手64の回転中心とが一致する。
【0032】
車台12に取り付けられるハンドル16は、エンジン38より下方から後方斜め上方に延びる。より具体的には、ハンドル16は、左右一対のハンドル本体84a,84bと、ハンドル本体84a,84bを連結するクロスメンバ86とを含む。また、車台12には、ハンドル取り付け用の一対のブラケット88a,88bが取り付けられる。ブラケット88a,88bはそれぞれ、筒状部90a,90bと、ブラケット本体92a,92bとを含む。筒状部90a,90bには、後輪軸28が挿通される。筒状部90aは、第2減速機62と後輪22aとの間に配置され、筒状部90bは、第2減速機62と後輪22bとの間に配置される。ブラケット本体92a,92bはそれぞれ、筒状部90a,90bの略中央部から後方斜め上方に延びる。ハンドル本体84a,84bの下端部がそれぞれ、ブラケット本体92a,92bに取り付けられる。
【0033】
このようなハンドル16には、ハンドル本体84a,84b間に位置するように操作部94が取り付けられる。操作部94によって、除雪機10の走行装置18a,18bや除雪部40等の動作が指示される。
【0034】
車体14を車台12に対して揺動させるために、車体14とハンドル16とは、たとえば油圧シリンダからなるアクチュエータ96を介して連結される。より具体的には、アクチュエータ96の上端部は、連結部98を介してハンドル16のクロスメンバ86に接続され、アクチュエータ96の下端部は、クロスメンバ100を介して、フレームブラケット54から後方に延びる一対の支持部102a,102bに接続される。アクチュエータ96は、操作部94を操作することによって駆動され、車体14は車台12に対して揺動可能となる。たとえば、チルトアップ時には、
図5に示すように、ハンドル16の高さ(位置)が
図1の状態と変わることなく、除雪部40が持ち上げられる。
【0035】
このような除雪機10によれば、自在継手64および/または自在継手66を用いることによってエンジン38からの動力を後輪軸28に円滑に伝達でき、車台12の駆動軸を後輪軸28にすることができる。そして、車台12の駆動軸を後輪軸28にすることにより、エンジン38を後輪軸28に近づけるべく車体14のより後方側に配置することができる。したがって、車体14前方に設けられた除雪部40の重量が大きい場合であっても、除雪機10の前後の重量バランスを適切にできる。また、後輪軸28を駆動軸とすることによって、前輪軸26は前輪20a,20bを支持するだけでよく、前輪軸26付近に駆動用部品を配置する必要はないので、除雪部40のオーガハウジング42に前輪軸26を近づけることができる。したがって、除雪機10の前後方向の全長を短くできる。
【0036】
油圧シリンダなどのアクチュエータ96によって、ハンドル16ひいては車台12に対して車体14が揺動するので、除雪部40が接地しているときと接地していないときとでハンドル16の高さが変わらないため、操作者はハンドル16を操作し易くなる。
【0037】
除雪機10は、複数の自在継手64,66を含むので、自在継手64,66と連結する部材(この実施形態では、第1減速機60および第2減速機62)を自由な向きに配置できる。また、除雪部40が車台12に対して前後方向および左右方向など複数方向に揺動することもできる。
【0038】
除雪部40がオーガ44とブレード46とを含んで除雪部40の重量が大きくなっても、除雪機10の前後の重量バランスを適切にできる。
【0039】
チルト軸82a,82bは、前輪軸26と後輪軸28との間に設けられる。したがって、チルト軸82a,82bを前輪軸26と同軸に設ける場合よりも、チルト軸82a,82bを後輪軸28に近づけるべく車体14のより後方側に配置することができるので、除雪機10の前後の重量バランスをさらに適切にできる。
【0040】
側面視においてチルト軸82a,82bの軸心を自在継手64の回転中心と一致させるかまたは当該回転中心付近に配置することによって、自在継手64の角度変位を小さくでき、伝達効率を向上できる。
【0041】
自在継手64および/または自在継手66によって、第1減速機60と第2減速機62との位置関係に柔軟に対応しつつ、エンジン38からの動力を適宜減速して後輪軸28に伝達することができる。
【0042】
第1減速機60が前輪軸26より後方かつ後輪軸28より前方に配置されるので、除雪機10の前後の重量バランスをさらに適切にできる。
【0043】
第1減速機60と第2減速機62とは、自在継手64、連結部68および自在継手66を介して連結される。したがって、除雪機10の機種や機能に応じて第1減速機60および/または第2減速機62の機種が相違しても、適切なサイズの連結部68を用いることによって対応できる。
【0044】
チルトアップ時にハンドル16の高さ(位置)が変わらないので、操作者が前かがみになる姿勢を抑制でき、作業し易くなる。
【0045】
図6に、この発明の他の実施形態の除雪機10aを示す。
【0046】
除雪機10aでは、ハンドル16が、車台12ではなく車体14に取り付けられ、車体14に取り付けられるアクチュエータ96に代えて、車台12に取り付けられるアクチュエータ96aが用いられる。より具体的には、除雪機10aでは、一対の支持部102a、102bが取り付けられていないフレームブラケット54が用いられ、一対のブラケット88a,88bに代えて、ブラケット本体が短い一対のブラケット104が用いられる。除雪機10aでは、ハンドル16のハンドル本体84a,84bが、車体14のフレームブラケット54を挟むようにフレームブラケット54に取り付けられる。また、アクチュエータ96aの上端部は、連結部98を介してハンドル16のクロスメンバ86に接続され、アクチュエータ96aの下端部は、クロスメンバ106を介して、一対のブラケット104に接続される。
図7を参照して、除雪機10aでは、チルトアップ時にハンドル16の高さ(位置)が
図6の状態から変化する。除雪機10aのその他の構成については、除雪機10と同様であるので、重複する説明は省略する。
【0047】
除雪機10aによれば、チルトアップ時にハンドル16はエンジン38とともに後方に傾く。したがって、ハンドル16をエンジン38に近づけて車体14のフレームブラケット54に取り付けることができる。すなわち、ハンドル16の取付位置を、除雪機10の場合より前方にできる。したがって、除雪機10aの前後方向の全長をコンパクトにできる。
【0048】
なお、上述の実施形態では、2つの自在継手64,66を用いる場合について説明したが、これに限定されない。この発明は、1つまたは3つ以上の自在継手を用いる場合にも適用できる。
【0049】
駆動源は、エンジンに限定されず、電動モータであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10,10a 除雪機
12 車台
14 車体
16 ハンドル
18a,18b 走行装置
20a,20b 前輪
22a,22b 後輪
24a,24b クローラ
26 前輪軸
28 後輪軸
38 エンジン
40 除雪部
44 オーガ
46 ブレード
60 第1減速機
62 第2減速機
64,66 自在継手
68,98 連結部
82a,82b チルト軸
96,96a アクチュエータ