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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157608
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】センサー
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20231019BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20231019BHJP
   G01P 15/09 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G01P15/08 102D
G01H17/00 Z
G01P15/09 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067620
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】武島 儀忠
(72)【発明者】
【氏名】吉原 弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】中山 由美子
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
(57)【要約】
【課題】ユーザーの簡易な操作によって、センサーの持ち運び時等に、検出用の素子(例えば、ピエゾ素子)が破損等することを防止すること。
【解決手段】センサー1は、検出用のピエゾ素子4と、ピエゾ素子4に接触した接触位置と、ピエゾ素子4と離間した離間位置とを、移動可能な錘5と、錘5を離間位置で固定する固定位置と、固定位置から退避した退避位置と、を移動可能なストッパー3と、を備える。ストッパー3は、バネ3cと、バネ3cと並べて配置され、バネ3cよりも筐体2の接触面側に位置し、筐体2の接触面に接触する鋼球3dと、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出用の素子と、
前記素子に接触した接触位置と、前記素子と離間した離間位置とを、移動可能な錘と、
前記錘を離間位置で固定する固定位置と、固定位置から退避した退避位置と、を移動可能なストッパーと、
を備えることを特徴とするセンサー。
【請求項2】
前記錘を内部に収容する筐体をさらに備え、
前記ストッパーは、前記筐体上において、固定位置と退避位置とを移動可能であり、
前記筐体は、前記ストッパーとの接触面に凹部を有し、
前記ストッパーは、
付勢部材と、
前記付勢部材と並べて配置され、前記付勢部材よりも前記筐体の接触面側に位置し、前記筐体の接触面に接触する球と、を有することを特徴とする請求項1に記載のセンサー。
【請求項3】
前記ストッパーは、移動方向と垂直な方向に延びる収容部を有し、
前記付勢部材と前記球とは、前記収容部の内部に収容されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサー。
【請求項4】
前記ストッパーは、移動方向と平行な方向に延びるベースを有し、
前記ストッパーの移動方向と平行な方向に延び、前記ストッパーを固定位置と退避位置とに導くためのレールをさらに備え、
前記ベースは、前記レール側に突出したボスを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項5】
前記ボスは、前記ストッパーが、固定位置から退避位置に移動するとき、前記錘から離間するまでに、前記レールに接触する位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のセンサー。
【請求項6】
前記錘は、
錘本体と、
前記ストッパーによって支持される被支持部と、
前記錘本体と前記被支持部とを接続する接続部と、を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項7】
前記被支持部の、前記接続部の延出方向と垂直な方向の大きさは、前記接続部よりも大きく、
前記ストッパーは、
前記接続部の延出方向と垂直な方向に延びるベースと、
前記ベースに設けられ、前記接続部の延出方向と垂直な方向に延び、前記接続部に対応した形状を有するスリットと、
を有することを特徴とする請求項6に記載のセンサー。
【請求項8】
前記被支持部は、前記接続部の延出方向において、前記筐体の外部に露出しており、
前記ベースの先端は、前記錘が接触位置に位置する状態で、前記接続部と対向し、前記接続部の延出方向において、前記被支持部と重なっており、
前記スリットの先端は、前記被支持部の外形に対応した形状であることを特徴とする請求項7に記載のセンサー。
【請求項9】
前記素子と前記錘とは、重力方向に並べて配置されており、
前記錘は、接触位置と離間位置とを重力方向と平行な第1方向に移動可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のセンサー。
【請求項10】
前記ストッパーは、固定位置と退避位置とを第1方向と垂直な第2方向に移動可能であることを特徴とする請求項9に記載のセンサー。
【請求項11】
検出用の素子と、
前記素子に接触した接触位置と、前記素子と離間した離間位置とを、移動可能な錘と、
前記錘を離間位置で固定する固定部材と、
前記固定部材による前記錘の固定の解除時に、前記固定部材に接触するスイッチと、
前記スイッチが、前記固定部材に接触しているときに、前記素子による検出を行う制御部と、
を備えることを特徴とするセンサー。
【請求項12】
前記制御部は、前記スイッチが、前記固定部材に接触していないときに、前記素子による検出を行わないことを特徴とする請求項11に記載のセンサー。
【請求項13】
前記素子は、ピエゾ素子であることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を検出するセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
振動を検出するセンサーにおいては、振動を検出するため、例えば、圧電体に加えられた力を、電圧に変換するピエゾ素子が用いられる。従来の振動を検出するセンサーにおいては、ピエゾ素子の感度を上げるために、錘により、ピエゾ素子に圧縮荷重がかけられている。図9(a)は、従来のセンサーを示す断面図である。図9(b)は、ピエゾ素子を示す図である。上述のとおり、錘により、ピエゾ素子に圧縮荷重がかけられているため、センサーの持ち運び時、又は、移動時に筐体に、筐体に衝撃が加わると、衝撃で錘がピエゾ素子に衝突する場合があり、衝突による衝撃が、ピエゾ素子の破損、又は、性能の変化へとつがながる可能性がある。なお、特許文献1には、ピエゾ素子(圧電素子)の破壊を防止するための発明が開示されている。
【0003】
上述した問題を解決するため、出願人は、特願2021-109776号を出願している。図10、及び、図11は、特願2021-109776号に係る発明のセンサーを示す断面図である。センサー101は、例えば、測定対象である道路の上に載置され、測定対象である道路で発生する振動を検出(測定)する。
【0004】
センサー101は、略円筒形状の筐体102を備えている。筐体102は、後述する錘105等を収容する。筐体102によって、センサー101の外形が構成されている。また、筐体102の下面(底面)には、下方に突出した略円筒形状の突出部102aが設けられている。また、突出部102aの先端には、センサー101を測定対象(例えば、道路)に接触させるための凸形状の接触部102bが設けられている。接触部102bに伝わる振動が、後述するピエゾ素子104に伝わることで、センサー101は、ピエゾ素子104により、振動を検出(測定)する。
【0005】
また、筐体102の下面(底面)からは、センサー101を支持するための脚部103が上下方向に延びている。脚部103は、例えば、上下方向に伸縮可能であり、センサー101は、脚部103が上下方向に伸縮することで、測定対象である道路に安定して設置可能となっている。
【0006】
ピエゾ素子104(検出用の素子)は、筐体102の内部に配置されている。具体的には、ピエゾ素子104は、筐体2の突出部2a内の底面(下面)上に配置されている。なお、ピエゾ素子104の形状は、図9(b)に示されているピエゾ素子と同様である。すなわち、ピエゾ素子104は、扁平な略円盤状である。ピエゾ素子104の上方には、ピエゾ素子104に圧縮荷重をかけるための錘105が配置されている。錘105は、圧縮荷重をかけることで、ピエゾ素子104に電圧を発生させるためのものである。錘105は、例えば、略円筒形状である。錘105の下半分以上は、突出部102a内に位置するが、錘105の上方は、突出部102aから突出している。ピエゾ素子104と錘105とは、上下方向、すなわち、重力方向に並べて配置されている。具体的には、ピエゾ素子104に、錘105の荷重がかかるように、ピエゾ素子104と錘105とは、重力方向に並べて配置されている。
【0007】
錘105の上方には、部材106が配置されている。部材106は、例えば、略円筒形状である。部材106の直径は、錘105の直径よりも大きくなっている。
【0008】
センサー101は、さらに、錘105を部材106に固定するための固定部材107を備える。固定部材107は、略円筒形状の第1部107aと、ベース部107aよりも直径が小さい略円筒形状の第2部107bと、を有する。第2部107bは、第1部107aから、第1部107aの延在方向に延びている。第2部107bの先端には、ネジ部107cが設けられている。
【0009】
部材106には、固定部材107を挿通するための貫通孔106aが設けられている。貫通孔106aは、固定部材107の外形に対応した形状となっている。また、部材106には、固定部材107を保持するための保持孔106bが設けられている。保持孔106bの先端には、固定部材107のネジ部107cに対応したネジ部6cが設けられている。
【0010】
錘105には、固定部材107の第2部107bが挿入される挿入孔105aが設けられている。挿入孔105aの一部には、固定部材107のネジ部107cに対応したネジ部105bが設けられている。
【0011】
特願2021-109776号に係る発明では、固定部材107により、錘105を部材106に固定することができる。この場合、ユーザーは、固定部材107を部材106の貫通孔106aに挿通し、さらに、固定部材107を錘105の挿入孔105aに挿入し、錘105の挿入孔105aのネジ部105bに、固定部材107のネジ部107cを螺合することで、錘105を部材106に固定することができる。
【0012】
また、錘105を固定部材107で部材106に固定しない場合は、固定部材107を部材106の保持孔106bに入れ、保持孔106bのネジ部106cに、固定部材107のネジ部107cを螺合することで、固定部材107を保持孔106bに保持させることで、固定部材107を紛失することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010-230459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特願2021-109776号に係る発明では、センサー101の使用時、錘105を持ち上げるための固定部材107(錘固定ネジ)は、図11に示す位置に配置される。これに対し、センサー101の持ち運び時、固定部材107は、図10に示す位置に配置され、錘105を持ち上げることで、ピエゾ素子104と錘105との間に隙間が設けられ、ピエゾ素子104に、直接、錘105の衝撃が加わらないようにしている。しかしながら、特願2021-109776号に係る発明では、操作上、固定部材107を締め込むことが手間であり、且つ、固定部材107を外したときに、固定部材107を紛失してしまう可能性がある。
【0015】
本発明の目的は、ユーザーの簡易な操作によって、センサーの持ち運び時等に、検出用の素子(例えば、ピエゾ素子)が破損等することを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の発明のセンサーは、検出用の素子と、前記素子に接触した接触位置と、前記素子と離間した離間位置とを、移動可能な錘と、前記錘を離間位置で固定する固定位置と、固定位置から退避した退避位置と、を移動可能なストッパーと、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明では、ストッパーは、錘を検出用の素子と離間した離間位置で固定する固定位置と、固定位置から退避した退避位置と、を移動可能である。このため、ユーザーは、センサーの持ち運び時等に、ストッパーを固定位置に移動させることで、ストッパーによって、錘を素子から離間した離間位置に固定することができる。従って、本発明によれば、ユーザーの簡易な操作によって、センサーの持ち運び時等に、検出用の素子が破損等することを防止することができる。
【0018】
第2の発明のセンサーは、第1の発明のセンサーにおいて、前記錘を内部に収容する筐体をさらに備え、前記ストッパーは、前記筐体上において、固定位置と退避位置とを移動可能であり、前記筐体は、前記ストッパーとの接触面に凹部を有し、前記ストッパーは、付勢部材と、前記付勢部材と並べて配置され、前記付勢部材よりも前記筐体の接触面側に位置し、前記筐体の接触面に接触する球と、を有することを特徴とする。
【0019】
本発明では、筐体は、ストッパーとの接触面に凹部を有する。また、ストッパーは、付勢部材と並べて配置され、付勢部材よりも筐体の接触面側に位置し、筐体の接触面に接触する球を有する。これにより、ユーザーが、ストッパーを退避位置から固定位置に移動させたときに、ストッパーの球と筐体の凹部とにより、クリック感を感じることができるため、ストッパーを移動させたことを認識することができる。
【0020】
第3の発明のセンサーは、第2の発明のセンサーにおいて、前記ストッパーは、移動方向と垂直な方向に延びる収容部を有し、前記付勢部材と前記球とは、前記収容部の内部に収容されていることを特徴とする。
【0021】
第4の発明のセンサーは、第1~第3のいずれかの発明のセンサーにおいて、前記ストッパーは、移動方向と平行な方向に延びるベースを有し、前記ストッパーの移動方向と平行な方向に延び、前記ストッパーを固定位置と退避位置とに導くためのレールをさらに備え、前記ベースは、前記レール側に突出したボスを有することを特徴とする。
【0022】
錘を検出用の素子から離間した離間位置で固定するためのストッパーを追加し、ストッパーを固定位置と退避位置とで移動可能とするためには、部品間の隙間が必要となる。このような隙間は、センサーによる測定時の不要な振動源となる可能性がある。本発明では、ストッパーのベースは、レール側に突出したボスを有する。これにより、ストッパーが、錘を固定位置で固定しないとき、すなわち、センサーによる測定時に、ボスにより、ストッパーがレールとは反対側に押し付けられるため、ストッパーの振動が防止される。このため、振動が測定に悪影響を及ぼすことが防止され、信頼性の高い測定が可能となる。
【0023】
第5の発明のセンサーは、第4の発明のセンサーにおいて、前記ボスは、前記ストッパーが、固定位置から退避位置に移動するとき、前記錘から離間するまでに、前記レールに接触する位置に設けられていることを特徴とする。
【0024】
ストッパーが、素子を固定している固定位置に位置している状態から、ユーザーが、ストッパーを移動に移動させると、錘が急に落下し、素子を破損する可能性がある。本発明では、ボスは、ストッパーが、固定位置から退避位置に移動するとき、錘から離間するまでに、レールに接触位置に設けられている。これにより、ストッパーが、錘から離れる前の段階で、ボスによりストッパーが押さえつけられるため、急な錘の落下が防止される。
【0025】
第6の発明のセンサーは、第1~第5のいずれかの発明のセンサーにおいて、前記錘は、錘本体と、前記ストッパーによって支持される被支持部と、前記錘本体と前記被支持部とを接続する接続部と、を有することを特徴とする。
【0026】
第7の発明のセンサーは、第6の発明のセンサーにおいて、前記被支持部の、前記接続部の延出方向と垂直な方向の大きさは、前記接続部よりも大きく、前記ストッパーは、前記接続部の延出方向と垂直な方向に延びるベースと、前記ベースに設けられ、前記接続部の延出方向と垂直な方向に延び、前記接続部に対応した形状を有するスリットと、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明では、被支持部の、接続部の延出方向と垂直な方向の大きさは、接続部よりも大きい。また、ストッパーのベースに設けられたスリットは、錘の接続部に対応した形状を有する。このため、ストッパーの固定位置において、スリット内に接続部が位置し、接続部とスリットの内壁とが接触したときに、スリットの周りのベースによって、錘の被支持部が支持され、錘は、素子から離間した離間位置において固定される。
【0028】
第8の発明のセンサーは、第7の発明のセンサーにおいて、前記被支持部は、前記接続部の延出方向において、前記筐体の外部に露出しており、前記ベースの先端は、前記錘が接触位置に位置する状態で、前記接続部と対向し、前記接続部の延出方向において、前記被支持部と重なっており、前記スリットの先端は、前記被支持部の外形に対応した形状であることを特徴とする。
【0029】
本発明では、スリットの先端は、被支持部の外形に対応した形状である。従って、ストッパーは、錘に触れないため、信頼性の高い測定が可能となる。
【0030】
第9の発明のセンサーは、第1~第8のいずれかの発明のセンサーにおいて、前記素子と前記錘とは、重力方向に並べて配置されており、前記錘は、接触位置と離間位置とを重力方向と平行な第1方向に移動可能であることを特徴とする。
【0031】
第10の発明のセンサーは、第9の発明のセンサーにおいて、前記ストッパーは、固定位置と退避位置とを第1方向と垂直な第2方向に移動可能であることを特徴とする。
【0032】
第11の発明のセンサーは、検出用の素子と、前記素子に接触した接触位置と、前記素子と離間した離間位置とを、移動可能な錘と、前記錘を離間位置で固定する固定部材と、前記固定部材による前記錘の固定の解除時に、前記固定部材に接触するスイッチと、前記スイッチが、前記固定部材に接触しているときに、前記素子による検出を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【0033】
本発明では、制御部は、スイッチが、固定部材に接触しているときに、素子による検出を行う。これにより、錘が素子に接触していない状態で、素子(センサー)による検出が行われないため、適正なデータが得られないことが防止される。
【0034】
第12の発明のセンサーは、第11の発明のセンサーにおいて、前記制御部は、前記スイッチが、前記固定部材に接触していないときに、前記素子による検出を行わないことを特徴とする。
【0035】
第13の発明のセンサーは、第1~第12のいずれかのセンサーにおいて、前記素子は、ピエゾ素子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ユーザーの簡易な操作によって、センサーの持ち運び時等に、検出用の素子が破損等することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態に係るセンサーを示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るセンサーを示す断面図である。
図3図2におけるストッパー付近の拡大図である。
図4】ストッパー付近の拡大斜視図である。
図5】ストッパー付近の拡大斜視図である。
図6】センサーの処理動作を示すフローチャートである。
図7】変形例に係るセンサーを示す断面図である。
図8】変形例に係るセンサーを示す断面図である。
図9】(a)は、従来のセンサーを示す断面図である。(b)は、ピエゾ素子を示す図である。
図10】特願2021-109776号の発明に係るセンサーを示す断面図である。
図11】特願2021-109776号の発明に係るセンサーを示す断面図である。
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1、及び、図2は、本発明の実施形態に係るセンサー1を示す断面図である。センサー1は、例えば、測定対象である道路の上に載置され、測定対象である道路で発生する振動を検出(測定)する。以下、図に示す方向を、上下方向(重力方向)、左右方向(水平方向)として説明する。なお、以下で説明する各部の形状、寸法等は、あくまでも例示であり、適宜、変更可能である。
【0039】
センサー1は、筐体2、ストッパー3、ピエゾ素子4、錘5等を備える。筐体2は、後述する錘5等を内部に収容する。筐体2によって、センサー1の外形が構成されている。筐体2は、筐体本体2aと、蓋体2bと、を有する。筐体本体2aの下面(底面)には、センサー1を測定対象(例えば、道路)に接触させるための略円錐形状の接触部2cが設けられている。接触部2cに伝わる振動が、後述するピエゾ素子4に伝わることで、センサー1は、ピエゾ素子4により、振動を検出(測定)する。筐体本体2aは、内部が中空であり、接触部2cを除くと、略円筒形状である。蓋体2bは、扁平な略円盤状であり、筐体本体2a上に載置されている。蓋体2bには、後述する錘5の被支持部5cを筐体2の外部に露出させるための孔2fが設けられている。
【0040】
ピエゾ素子4(検出用の素子)は、筐体2の内部に配置されている。具体的には、ピエゾ素子4は、筐体本体2a内の底面(下面)上に配置されている。なお、ピエゾ素子4の形状は、図9(b)に示されているピエゾ素子と同様である。すなわち、ピエゾ素子4は、扁平な略円盤状である。
【0041】
ピエゾ素子4の上方には、ピエゾ素子4に圧縮荷重をかけるための錘5が配置されている。錘5は、ピエゾ素子4に圧縮荷重をかけることで、ピエゾ素子4に電圧を発生させる。ピエゾ素子4と錘5とは、上下方向、すなわち、重力方向(第1方向)に並べて配置されている。錘5は、筐体2の内部において、図1に示す、ピエゾ素子4に接触した接触位置と、図2に示す、ピエゾ素子4と離間した離間位置とを、重力方向(上下方向、第1方向)に移動可能である。
【0042】
錘5は、錘本体5aと、接続部5bと、被支持部5cと、接触部5dと、を有する。錘本体5aは、略円筒形状である。被支持部5cは、ストッパー3によって支持される部分である。被支持部5cは、略円筒形状である。接続部5bは、錘本体5aと被支持部5cとを接続しており、上下方向(重力方向)に延びている。接続部5bは、略円筒形状である。ここで、被支持部5cの、接続部5bの延出方向(重力方向、上下方向)と垂直な方向(水平方向、左右方向)の大きさは、接続部5bよりも大きい。すなわち、被支持部5cの径は、接続部5bの径よりも大きい。接触部5dは、ピエゾ素子4と接触する部分であり、錘本体5aから下方向に突出している。
【0043】
錘5の被支持部5cと、接続部5bの一部とは、筐体2の外部に露出している。このため、センサー1のユーザーは、被支持部5cを持って、錘5を接触位置から離間位置へ持ち上げることが可能である。
【0044】
錘5が図1に示す接触位置に位置するとき、被支持部5cの下面と、蓋体2bの上面と、の間には、0.5~1.0mmの隙間が存在する。また、錘5が図2に示す離間位置に位置するとき、接触部5dの下面と、ピエゾ素子4の上面と、の間には、0.5~1.0mmの隙間が存在する。
【0045】
ストッパー3は、蓋体2b(筐体2)上で、図2に示す、錘5がピエゾ素子4から離間した離間位置で錘5を固定する固定位置と、図1に示す、固定位置から退避した退避位置と、を移動可能である。すなわち、ストッパー3は、錘5がピエゾ素子4から離間した離間位置で錘5を固定する。ストッパー3は、蓋体2b(筐体2)上で、固定位置と退避位置とを重力方向(第1方向、上下方向)と垂直な水平方向(第2方向、左右方向)に移動可能である。
【0046】
図3は、図2におけるストッパー3付近の拡大図である。図4、及び、図5は、ストッパー3付近の拡大斜視図である。ストッパー3は、ウォール3aと、ベース3bと、から構成されている。ウォール3aは、ストッパー3の移動方向(水平方向、左右方向)と垂直な方向(重力方向、上下方向)に延びる部分である。ベース3bは、移動方向と平行な方向(水平方向、左右方向)に延びる部分である。ウォール3aとベース3bとは、略垂直な関係にあり、ストッパー3は、側面視、略L字形状である。
【0047】
ウォール3aは、ベース3b側に膨出した、内部が中空の略円筒形状の収容部3iを有する。収容部3iの内部には、バネ3c(付勢部材)と鋼球3dとが収容されている。バネ3cと鋼球3dとは、重力方向(上下方向)に並べて配置されている。鋼球3dは、バネ3cよりも蓋体2b(筐体2)の接触面側に位置し、蓋体2b(筐体2)の接触面に接触する。収容部3iの上方から下方に向けて、ネジ3eは、収容部3iに螺合している。ネジ3eが、収容部3iに螺合することで、バネ3c及び鋼球3dは、収容部3iの内部にとどまっている。ネジ3eが螺合可能なように、収容部3iの内壁には、ネジが切られている。
【0048】
ここで、蓋体2b(筐体2)には、ストッパー3との接触面(上面)に凹部2d(窪み)が設けられている。このため、ストッパー3が、蓋体2b(筐体2)上を移動するときに、鋼球3dは、凹部2dと蓋体2bの平坦な部分とによって、上下方向に移動するが、バネ3cによって、蓋体2b側に押し付けられることで、ストッパー3を移動させるユーザーは、クリック感を感じることになる。
【0049】
また、蓋体2b(筐体2)のストッパー3との接触面(上面)は、蓋体2bの中心から外側(図1、及び、図2では、左側)に向けて、上方から下方に傾斜している。反対に、ストッパー3のベース3bの蓋体2bとの接触面(下面)は、蓋体2bの外側(図1、及び、図2では、左側)から中心に向けて、下方から上方に傾斜している。蓋体2bの傾斜角度と、ベース3bの傾斜角度とは、一致している。ストッパー3は、退避位置から固定位置に移動するとき、蓋体2bの傾斜に沿って、下方から上方にも移動する。
【0050】
また、ストッパー3のベース3bには、スリット3fが設けられている。スリット3fは、錘5の接続部5bの延出方向(重力方向、上下方向)と垂直な方向(水平方向、左右方向)に延びている。また、スリット3fは、接続部5bに対応した形状を有している。スリット3fの幅は、錘5の接続部5bの径と略同一である。上述したように、錘5において、被支持部5cの径は、接続部5bの径よりも大きい。このため、ストッパー3の固定位置において、スリット3内に接続部5bが位置し、スリット3fの内壁が、接続部5bに接触したとき、スリット3fの周囲のベース3bによって、被支持部5cが支持されることで、錘5は、ピエゾ素子4から離間した離間位置で固定される。
【0051】
また、ストッパー3のベース3bは、水平部3aの幅方向に延出した鍔3gを有する。鍔3gは、ベース3bよりも薄い部分である。鍔3gは、ベース3bの幅方向両側に設けられている。鍔3g(ベース3b)の、後述するレール2e側の面(上面)には、レール2e側に突出したボス3hが設けられている。ボス3hは、ストッパー3が、固定位置から退避位置に移動するとき、錘5から離間するまでに、レール2eに接触する位置に設けられている。
【0052】
蓋体2b(筐体2)の上面には、上述のレール2eが設けられている。レール2eは、ストッパー3を、錘5を固定する固定位置と、固定位置から退避した退避位置と、に導くためのものである。レール2eは、ストッパー3の移動方向と平行な方向(水平方向、左右方向)に延びている。レール2eは、鍔3gに対応して、鍔3gの上方に2つ設けられている。ストッパー3は、鍔3gの上方に位置するレール2eと、蓋体2bの上面と、に挟まれている。
【0053】
上述したように、錘5の被支持部5cは、接続部5bの延出方向(重力方向、上下方向)において、筐体2の外部に露出している。また、ベース3bの先端は、錘5が接触位置に位置する状態で、接続部2bと対向しており、接続部5bの延出方向(重力方向、上下方向)において、被支持部5cと重なっている。そして、スリット3fの先端は、被支持部3cの外形に対応した形状である。すなわち、スリット3fの先端は、ベース3bが被支持部5cと接触しないように、テーパー形状となっている。
【0054】
図10、及び、図11に示す特願2021-109776号に係る発明では、ピエゾ素子104に接触する錘105を固定部材107(ねじ)で上げ下げすることによって、測定時には、錘105をピエゾ素子104に接触させ、持ち運び時には、錘105をピエゾ素子104に非接触としている。これには、ピエゾ素子104を保護する目的がある。しかしながら、人的ミス等により、固定部材107を取り忘れて、測定が行われた場合、錘105がピエゾ素子104に接触しておらず、ピエゾ素子104に荷重がかけられていないため、適正なデータが得られない。
【0055】
適正なデータが得られないという課題を解決するため、本実施形態では、センサー1は、さらに、スイッチ6を備えている。スイッチ6は、ストッパー3(固定部材)による錘5の固定の解除時に、ストッパー3に接触する。すなわち、スイッチ6は、ストッパー3が、退避位置にあるとき、図1に示すように、ストッパー3に接触する。スイッチ6は、ストッパー3が接触することによって、オンの状態となる。センサー1は、さらに、図示しないマイクロコンピューター(制御部)を備えている。マイクロコンピューターは、スイッチ6が、オンの状態のとき、すなわち、ストッパー3に接触しているときに、ピエゾ素子4による検出(測定)を行う。一方で、マイクロコンピューターは、スイッチ6が、オフの状態のとき、すなわち、ストッパー3に接触していないときに、ピエゾ素子4による検出(測定)を行わない。
【0056】
スイッチ6が、オンの状態のとき、すなわち、ストッパー3に接触しているとき、ストッパー3は、錘5を固定していないため、錘5は、ピエゾ素子4に接触していることになる。
【0057】
図6は、センサー1の処理動作を示すフローチャートである。マイクロコンピューターは、ピエゾ素子4と錘5とが接触しているか否か、すなわち、スイッチ6がオンであるか否かを判断する(S1)。マイクロコンピューターは、ピエゾ素子4と錘5とが接触している、すなわち、スイッチ6がオンであると判断した場合(S1:Yes)、センサー1を測定開始可能な状態に制御する(S2)。一方で、マイクロコンピューターは、ピエゾ素子4と錘5とが接触していない、すなわち、スイッチ6がオフであると判断した場合(S1:No)、センサー1を測定開始不可能な状態に制御する(S3)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態では、ストッパー3は、錘5をピエゾ素子4と離間した離間位置で固定する固定位置と、固定位置から退避した退避位置と、を移動可能である。このため、ユーザーは、センサー1の持ち運び時等に、ストッパー3を固定位置に移動させることで、ストッパー3によって、錘5をピエゾ素子4から離間した離間位置に固定することができる。従って、本実施形態によれば、ユーザーの簡易な操作によって、センサー1の持ち運び時等に、ピエゾ素子4が破損等することを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態では、筐体2は、ストッパー3との接触面に凹部2dを有する。また、ストッパー3は、バネ3cと並べて配置され、バネ3cよりも筐体2の接触面側に位置し、筐体2の接触面に接触する鋼球3dを有する。これにより、ユーザーが、ストッパー3を退避位置から固定位置に移動させたときに、ストッパー3の鋼球3dと筐体2の凹部2dとにより、クリック感を感じることができるため、ストッパー3を移動させたことを認識することができる。
【0060】
また、錘5をピエゾ素子4から離間した離間位置で固定するためのストッパー3を追加し、ストッパー3を固定位置と退避位置とで移動可能とするためには、部品間の隙間が必要となる。このような隙間は、センサー1による測定時の不要な振動源となる可能性がある。本実施形態では、ストッパー3のベース3bは、レール2e側に突出したボス3hを有する。これにより、ストッパー3が、錘5を固定位置で固定しないとき、すなわち、センサー1による測定時に、ボス3hにより、ストッパー3がレール2eとは反対側に押し付けられるため、ストッパー3の振動が防止される。このため、振動が測定に悪影響を及ぼすことが防止され、信頼性の高い測定が可能となる。
【0061】
また、ストッパー3が、ピエゾ素子4を固定している固定位置に位置している状態から、ユーザーが、ストッパー3を移動に移動させると、錘5が急に落下し、ピエゾ素子4を破損する可能性がある。本実施形態では、ボス3hは、ストッパー3が、固定位置から退避位置に移動するとき、錘5から離間するまでに、レール2eに接触する位置に設けられている。これにより、ストッパー3が、錘5から離れる前の段階で、ボス3hによりストッパー3が押さえつけられるため、急な錘5の落下が防止される。
【0062】
また、本実施形態では、被支持部5cの、接続部5bの延出方向と垂直な方向の大きさは、接続部5bよりも大きい。また、ストッパー3のベース3bに設けられたスリット3fは、錘5の接続部5bに対応した形状を有する。このため、ストッパー3の固定位置において、スリット3f内に接続部5bが位置し、接続部5bとスリット3fの内壁とが接触したときに、スリット3fの周りのベース3bによって、錘5の被支持部5cが支持され、錘5は、ピエゾ素子4から離間した離間位置において固定される。
【0063】
また、本実施形態では、スリット3fの先端は、被支持部5cの外形に対応した形状である。従って、ストッパー3は、錘5に触れないため、信頼性の高い測定が可能となる。
【0064】
また、本実施形態では、マイクロコンピューターは、スイッチ6が、ストッパー3に接触しているときに、ピエゾ素子4による検出を行う。これにより、錘5がピエゾ素子4に接触していない状態で、ピエゾ素子4(センサー1)による検出が行われないため、適正なデータが得られないことが防止される。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0066】
上述の実施形態においては、スイッチ6は、ストッパー3(固定部材)による錘5の固定の解除時に、ストッパー3に接触するようになっている。固定部材として、ストッパー3に替えて、例えば、ネジを用いてもよい。図7、及び、図8は、固定部材としてネジ203を用いた場合の変形例に係るセンサー201を示す断面図である。図7に示すように、ネジ203は、錘205に螺合することで、錘5をピエゾ素子4と離間した離間位置で固定する。また、図8に示すように、ネジ203による錘5の固定が解除されると、錘5は、ピエゾ素子4に接触する接触位置に位置する。
【0067】
スイッチ206は、図8に示すように、ネジ203による錘205の固定の解除時に、ネジ203に接触する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、振動を検出するセンサーに好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0069】
1、201 センサー
2 筐体
2a 筐体本体
2b 蓋体
2d 凹部
3 ストッパー(固定部材)
3a ウォール
3b ベース
3c バネ(付勢部材)
3d 鋼球
3f スリット
3i 収容部
4、204 ピエゾ素子(検出用の素子)
5、205 錘
5a 錘本体
5b 接続部
5c 被支持部
6 スイッチ
203 ネジ(固定部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11