IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝産業機器システム株式会社の特許一覧

特開2023-157617ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器
<>
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図1
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図2
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図3
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図4
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図5
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図6
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図7
  • 特開-ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157617
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/02 20060101AFI20231019BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20231019BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01F27/02 Z
H02B1/20 F
H02G3/04 087
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067636
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 千晶
(72)【発明者】
【氏名】山下 みどり
【テーマコード(参考)】
5E059
5G016
5G357
【Fターム(参考)】
5E059BB08
5E059BB17
5E059JK01
5E059JK02
5E059KK01
5G016DA29
5G357DA06
5G357DB01
5G357DC11
5G357DD06
5G357DE03
(57)【要約】
【課題】ケーブルの敷設が容易なケーブルダクトと電気機器とを提供し、電気機器の現地据え付け作業を容易にする。
【解決手段】ケーブルダクトは、側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口と、底部開口と、を有し、ケーブルを内部に収容するダクト本体と、前記ダクト本体に着脱可能に取り付けられて前記前部開口を開閉する前面カバーと、を備える。前部開口と、底部開口とは、互いに連通している。電気機器は、電気機器本体と、電気機器本体を収容する容器と、電気機器本体からリード線を引き出すブッシングと、ブッシングに接続されるケーブルを収容するケーブルダクトと、を備える。ケーブルダクトは、側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口と、底部開口と、を有し、ケーブルを内部に収容するダクト本体と、ダクト本体に着脱可能に取り付けられて前部開口を開閉する前面カバーと、を有し、前部開口と、底部開口とは、互いに連通している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に接続されるケーブルを内部に収容するケーブルダクトであって、
側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口と、底部開口と、を有し、ケーブルを内部に収容するダクト本体と、
前記ダクト本体に着脱可能に取り付けられて前記前部開口を開閉する前面カバーと、を備え、
前記前部開口と、前記底部開口とは、互いに連通している、
ケーブルダクト。
【請求項2】
前記ダクト本体は、前記前部開口と互いに連通した上部開口を有し、
前記ダクト本体に取り付けられて前記上部開口を開閉する上面カバーを備える、
請求項1に記載のケーブルダクト。
【請求項3】
前記ダクト本体は、上部ダクト本体と、前記上部ダクト本体の下方に配置される下部ダクト本体と、を含んで構成され、
前記前面カバーは、前記上部ダクト本体に形成された前記前部開口を開閉する上部前面カバーと、前記下部ダクト本体に形成された前記前部開口を開閉する下部前面カバーと、を含んで構成され、
前記下部ダクト本体は、使用状態において少なくとも上部の一部が前記上部ダクト本体の内部に挿入され、
前記下部ダクト本体は、前記上部前面カバーを取り外した状態で、前記上部ダクト本体から前方に向かって引き出し可能に構成されている、
請求項1に記載のケーブルダクト。
【請求項4】
前記上部ダクト本体は、前記前部開口の左右の縁部に上下方向に延びて形成され、前記上部前面カバーを締結可能なフランジ部を有し、
前記フランジ部の下端部の高さ位置は、前記ケーブルダクトの使用状態における前記下部ダクト本体の上端部の高さ位置よりも高く設定されている、
請求項3に記載のケーブルダクト。
【請求項5】
前記上部前面カバーは、下部に前方に向かって突出した段部と、前記段部の先端部から下方に向けて延びる下垂部と、を有し、
前記上部前面カバーを前記上部ダクト本体に装着しかつ前記下部前面カバーを前記下部ダクト本体に装着した状態で、
前記段部は、前記下部前面カバーの上端部を上方から覆っている、
前記下垂部は、前記下部前面カバーの上端部を前方から覆っている、
請求項3又は4に記載のケーブルダクト。
【請求項6】
電気機器本体と、
電気機器本体を収容する容器と、
前記電気機器本体からリード線を引き出すブッシングと、
前記ブッシングに接続されるケーブルを収容するケーブルダクトと、を備え、
前記ケーブルダクトは、
側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口と、底部開口と、を有し、ケーブルを内部に収容するダクト本体と、
前記ダクト本体に着脱可能に取り付けられて前記前部開口を開閉する前面カバーと、を有し、
前記前部開口と、前記底部開口とは、互いに連通している、
電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ケーブルダクト、及びケーブルダクト付き電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油入変圧器などの電気機器の口出しブッシングにケーブルを接続する場合、電気的露出部を無くして電気事故を防止し、口出しブッシングやケーブルを保護して損傷を防止するため等の目的から、ケーブルダクト構造が採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-26541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルも、ケーブルダクトも長尺で重量もあるため、ケーブルダクトへのケーブル敷設作業は作業者にとって容易ではない。
【0005】
そこで、ケーブルの敷設が容易なケーブルダクトを提供し、電気機器の現地据え付け作業を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のケーブルダクトは、電気機器に接続されるケーブルを内部に収容するケーブルダクトであって、側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口と、底部開口と、を有し、ケーブルを内部に収容するダクト本体と、前記ダクト本体に着脱可能に取り付けられて前記前部開口を開閉する前面カバーと、を備える。前記前部開口と、前記底部開口とは、互いに連通している。
【0007】
実施形態の電気機器は、電気機器本体と、電気機器本体を収容する容器と、前記電気機器本体からリード線を引き出すブッシングと、前記ブッシングに接続されるケーブルを収容するケーブルダクトと、を備える。前記ケーブルダクトは、側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口と、底部開口と、を有し、ケーブルを内部に収容するダクト本体と、前記ダクト本体に着脱可能に取り付けられて前記前部開口を開閉する前面カバーと、を有する。前記前部開口と、前記底部開口とは、互いに連通している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による電気機器の一例の概略構成を示す側面図
図2】一実施形態によるケーブルダクトの一例の概略構成を示す正面図
図3】一実施形態による電気機器の一例についてカバー部材を外して示す分解側断面図
図4】一実施形態によるケーブルダクトの一例についてカバー部材を外して示す正面図
図5】一実施形態による電気機器の一例についてカバー部材を外してケーブルを配設する過程の状態を示す縦断側面図
図6】一実施形態によるケーブルダクトの一例について下部ダクトを引き上げ位置に引き上げた状態で示す正面図
図7】一実施形態による電気機器の一例について下部ダクトを引き上げ位置に引き上げた状態で示す側面図
図8】一実施形態による電気機器の一例について下側の上部前面カバーを取り外して下部ダクトを引き出した状態で示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一の実施形態について図面を参照して説明する。図1において、電気機器1の設置面側つまり鉛直下側を電気機器1の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を電気機器1の上側とする。また、図1のケーブルダクト20側を電気機器1の前側とし、容器11側を電気機器1の後側とする。前後方向及び上下方向に直交する水平方向を左右方向とする。
【0010】
本実施形態の電気機器1は、油入変圧器である。なお、本実施形態では、電気機器1は三相変圧器であるが、これに限らない。電気機器1は、電気機器本体10と、容器11と、一又は複数この場合3つのブッシング12と、一又は複数この場合3つの支持部材13と、ケーブルダクト20とを備える。電気機器本体10は、変圧器本体である。容器11は、箱状に形成されて、内部に電気機器本体10を収容する。ブッシング12は、容器11の外側に突出して取り付けられて、電気機器本体10から延びるリード線を引き出す機能を有する。各ブッシング12には、地中に設けられたケーブルピットから立ち上げられたケーブル100が接続される。支持部材13は、容器11に取り付けられて、ケーブルダクト20及びケーブルダクト20に収容されたケーブル100の荷重を支える機能を有する。ケーブルダクト20は、筒状に形成されて、内部にケーブル100を収容する。
【0011】
ブッシング12は、容器11の上部に取り付けられている。この場合、ブッシング12は、容器11の上面部111から上方に突出して取り付けられている。なお、他の実施形態では、ブッシング12は、容器11の前面部112から前方に向けて突出して取り付けられていても良い。
【0012】
ブッシング12は、容器11の前寄りに取り付けられている。また、ケーブルダクト20は、容器11に対して前方に設けられている。なお、ブッシング12は、二次側ブッシングであり、ケーブルダクト20は、二次側ケーブルダクトである。電気機器1は、容器11のブッシング12と反対側この場合後ろ寄りに、図示しない一次ブッシングを備える。また、電気機器1は、ケーブルダクト20と反対側この場合容器11に対して後方に、図示しない一次ケーブルダクトを備える。
【0013】
ケーブルダクト20は、側面視倒L字形の箱状に形成されている。ケーブルダクト20は、設置面から上方に向けて鉛直方向に延びる鉛直部201と、鉛直部201の上部から水平方向この場合後方に向けて延びる水平部202と、を含んで構成される。電気機器1が設置現場に据え付けられた状態で、鉛直部201はケーブルピットの上方に配置される。また、水平部202の後部は、容器11の上面部111に上方から接続される。
【0014】
ケーブル100は、設置面に形成されたケーブルピットから鉛直部201内を上方に向かって引き延ばされ、更に水平部202内を後方に向かってブッシング12まで引き延ばされる。水平部202内部にはアダプタ14が設けられ、ケーブル100を支持する。鉛直部201内部には、クリート15と、一又は複数この場合3つのブラケット16と、一又は複数この場合3つのブラケット支え17とが設けられ、ケーブル100を支持する。
【0015】
支持部材13は、容器11の前面部112に取り付けられて、前方に向けて延びてケーブルダクト20の鉛直部201に接続されている。各支持部材13の高さ位置は、各ブラケット16及びブラケット支え17の高さ位置と概ね一致してしている。
【0016】
ケーブルダクト20は、ダクト本体21と、カバー部材として、一又は複数この場合3つの前面カバー22、23、24と、上面カバー25と、を有する。ダクト本体21は側面視倒L字形の箱状に形成され、ケーブルダクト20の主体を構成する。前面カバー22、23、24と、上面カバー25とは、ダクト本体21に着脱可能に取り付けられる。
【0017】
ダクト本体21は断面コの字型に形成され、前方、下方、及び上方に向けて開放している。また、ダクト本体21は、少なくとも上部の一部が背方に向けて開放している。ダクト本体21は、左壁部211と、右壁部212と、背壁部213と、前部開口214と、上部開口215と、上背部開口216と、底部開口217と、接続面218と、接続面開口219と、を有する。左壁部211と、右壁部212と、背壁部213と、接続面218とは、ダクト本体21の壁部を形成する。前部開口214と、上部開口215と、上背部開口216と、底部開口217と、接続面開口219とは、ダクト本体21の内部と外部とを連通する。
【0018】
左右の壁部211、212は、側面視倒L字形の板状であって、左右方向に対して垂直な面を形成する。背壁部213は、鉛直部201の背面を形成する。背壁部213は正面視矩形の板状であって、前後方向に垂直な面を形成する。背壁部213の上縁部の高さ位置は、左右の壁部211、212の上縁部の高さ位置よりも低く設定されている。
【0019】
前部開口214は、ダクト本体21の箱形状の前面に形成された開口であって、ダクト本体21を前方に向けて開放する。前部開口214は、ダクト本体21の上下方向の高さ寸法の全体に亘ってつまり設置面からダクト本体21の上縁部に亘って形成されている。また、本実施形態では、前部開口214は、ダクト本体21の左右方向の幅寸法の概ね全体に亘って形成されている。
【0020】
上部開口215は、ダクト本体21の箱形状の上面に形成された開口であって、ダクト本体21を上方に向けて開放する。上部開口215は、ダクト本体21の前後方向の奥行き寸法の全体に亘ってつまりダクト本体21の前縁部から背縁部に亘って形成されている。
【0021】
上背部開口216は、水平部202の背面に形成された開口であって、ダクト本体21を背方に向けて開放する。上背部開口216は、水平部202の上下方向の高さ寸法の全体に亘ってつまり水平部202の上縁部から下縁部に亘って形成されている。
【0022】
底部開口217は、鉛直部201の下部に形成された開口であって、ダクト本体21を下方に向けて開放する。底部開口217は、鉛直部201の左右方向の幅寸法及び前後方向の奥行き寸法の概ね全体に亘って形成されている。
【0023】
前面カバー22、23、24は、ダクト本体21に着脱可能に取り付けられて前部開口214を開閉する。この場合、前面カバー22、23、24は、この順に上方から下方に向けて並んで配置される。上面カバー25は、ダクト本体21に着脱可能に取り付けられて上部開口215及び上背部開口216を開閉する。
【0024】
前部開口214と、上部開口215と、上背部開口216と、底部開口217とは、それぞれ連通している。つまり、前部開口214の下縁部と、底部開口217の前縁部とは接続されている。前部開口214の上縁部と、上部開口215の前縁部とは接続されている。上部開口215の後縁部と、上背部開口216の上縁部とは接続されている。そのため、図3に示すように前面カバー22、23、24と、上面カバー25とを外した状態で、ダクト本体21は、設置面から容器11の上面部111まで至る一繋がりの開口部を有する。すなわち、作業者は、障害物に妨げられることなく、ダクト本体21外部の任意の位置から、ダクト本体21の鉛直部201の下部から上部まで、また水平部202の前部から背部まで自由にアクセスすることができる。これにより、ケーブルピットから延びるケーブル100をブッシング12に接続する際に、作業者は図5に示すように単にケーブルピットからケーブル100を立ち上げて前部開口214及び上部開口215を通すことで、容易にダクト本体21の内部にケーブル100を配設することができる。
【0025】
また、ブッシング12に近い上背部開口216が形成されていることによって、ブッシング12へのケーブル100の接続が一層容易となる。更にまた、上背部開口216は、上部開口215と連通されているため、作業者や据え付け作業に用いる機器がブッシング12にアクセスすることができるスペースが拡がり、電気機器1の現地での据え付け作業が一層容易となる。
【0026】
ケーブルダクト20は、複数この場合2つのダクトに分解可能である。ケーブルダクト20は、上部ダクト20aと、下部ダクト20bとを含んで構成される。上部ダクト20aは、ケーブルダクト20の上部に位置し、鉛直部201の上部と、水平部202と、を含んで構成される。下部ダクト20bは、ケーブルダクト20の下部に位置し、鉛直部201の下部を含んで構成される。上部ダクト20aと、下部ダクト20bとは別体に構成されており、下部ダクト20bを上部ダクト20aから取り外すことが可能である。
【0027】
また、下部ダクト20bは、前後方向の奥行き寸法及び左右方向の幅寸法が上部ダクト20aの鉛直部201部分の奥行き寸法及び幅寸法よりも小さく設定されている。すなわち、下部ダクト20bの断面積は、上部ダクト20aの鉛直部201部分の断面積よりも小さく設定されている。ケーブルダクト20の使用状態において、下部ダクト20bは、少なくとも上部の一部が上部ダクト20aの内部に配置されている。すなわち、上部ダクト20aの下縁部において、上部ダクト20aと下部ダクト20bとは互いに水平方向に重なっている。
【0028】
また、下部ダクト20bは、上部ダクト20aの内部に一部が配置された状態で、図6及び図7の矢印のように上下方向に移動可能である。下部ダクト20bは、図6及び図7に示すように、下部ダクト20bの上部を上部ダクト20aの内部に更に引き上げた引き上げ位置で、図示しないボルトなどの固定具によって上部ダクト20aに固定することができる。これにより、ケーブルダクト20の輸送時に、ケーブルダクト20の上下方向の長さ寸法を縮めて小型化することができる。そのため、輸送時のケーブルダクト20の取り扱いが容易となる。また、作業者は、ケーブルダクト20を据え付ける際に、下部ダクト20bを引き上げ位置に固定した状態でケーブルピットを目視で確認しながら位置決めし、その後下部ダクト20bと上部ダクト20aとの固定を解除することができる。そして図6及び図7に示す矢印のように下部ダクト20bを下方移動させ、設置面まで降ろした設置位置に配置させる。これにより、ケーブルダクト20の位置決めが容易になる。また、下部ダクト20bは上下方向に移動可能であるため、凹凸や傾斜等によって容器11直下の設置面の高さ位置とケーブルダクト20直下の設置面の高さ位置とが一致していなくても、無理なくケーブルダクト20を設置面に密着させることができる。
【0029】
ケーブルダクト20が据え付けられた使用状態において、上部ダクト20aと水平方向に重なっている下部ダクト20bの上下方向の長さ寸法を示す重なり寸法は、設置面の状態にもよるが、例えば30mm~130mmの範囲内とすることができる。本実施形態では、上部ダクト20aと下部ダクト20bの重なり寸法は、約30mmとなっている。
【0030】
上部ダクト20aは、上部ダクト本体21aと、上部前面カバー22、23と、上面カバー25と、を含んで構成される。上部前面カバー22、23は、上部ダクト本体21aに着脱可能に取り付けられて、上部ダクト本体21aの前面に形成された上前部開口214aを開閉する。
【0031】
下部ダクト20bは、下部ダクト本体21bと、下部前面カバー24と、を含んで構成される。下部前面カバー24は、下部ダクト本体21bに着脱可能に取り付けられて、下部ダクト本体21bの前面に形成された下前部開口214bを開閉する。
【0032】
上部前面カバー22、23は、概ね同一面上に位置して、いわゆる面一の状態となっている。下部前面カバー24は、上部前面カバー22、23よりもダクト本体21の中心寄りつまりこの場合後方に位置する。なお、本実施形態では、上部前面カバー22、23は取り扱いの容易さの観点から2つに分割されているが、これに限らない。他の実施形態では、上部前面カバーは、分割されずに一体に構成されていても良いし、3つ以上に分割されていても良い。
【0033】
上部前面カバー22、23と、下部前面カバー24と、上面カバー25とは、それぞれ一又は複数この場合2つの取手26を有する。取手26は、各カバー22、23、24、25の形成する面からケーブルダクト20に関して外側に向かって突出して取り付けられている。作業者は、各カバー22、23、24、25をダクト本体21a、21bから取り外したり、取り付けたりする際に、取手26を把持して各カバー22、23、24、25を操作することができる。
【0034】
上部ダクト本体21aは、上部フランジ部27を有する。また、下部ダクト本体21bは、下部フランジ部28を有する。フランジ部27、28は、それぞれ上部ダクト本体21aの前部開口214a、及び下部ダクト本体21bの前部開口214bの左右の縁部に設けられている。また、おり、フランジ部27、28には、上下方向に並んで配置された複数の孔部29が形成されている。上部前面カバー22、23と、下部前面カバー24とは、ダクト本体21に装着された状態でそれぞれ孔部29と対応する位置に複数の孔部30を有している。ダクト本体21と前面カバー22、23、24は、孔部29、30を貫通するボルトなどの締結部材によって、フランジ部27、28に固定することができる。
【0035】
なお、上部ダクト本体21aは、上部開口215及び上背部開口216の左右の縁部に図示しないフランジを有している。当該フランジと、上面カバー25とは、上面カバー25をダクト本体21に装着した状態で対応する位置にそれぞれ孔部を有しており、上面カバー25は、当該フランジにボルトなどの締結部材によって固定することができる。
【0036】
上部フランジ部27は、上前部開口214aの左右の縁部に形成され、上下方向に細長く延びている。下部フランジ部28は、下前部開口214bの左右の縁部に形成され、上下方向に細長く延びている。フランジ部27、28は、前後方向に垂直な面を形成する。左右の上部フランジ部27の向かい合う辺同士の距離は、下部ダクト20bの左右方向の幅寸法よりも小さく設定されている。
【0037】
上部フランジ部27の下端部271の高さ位置は、上部ダクト本体21aの下縁部21a1の高さ位置よりも上方に設定されている。すなわち、上部ダクト本体21aの下縁部21a1には、上部フランジ部27が形成されていない。逆に言えば、上部フランジ部27は、下部において切り欠かれていると表現することもできる。更に、ケーブルダクト20が据え付けられた使用状態において、上部フランジ部27の下端部271の高さ位置は、下部ダクト本体21bの上縁部21b1の位置よりも高く設定されている。そのため、下部ダクト20bと上部ダクト20aとは水平方向に重なっているが、上部前面カバー23が取り外された状態で、下部ダクト20bは図8に示すように、前方に引き出すことができる。この場合、上部ダクト本体21aの下縁部21a1から上部フランジ部27の下端部271までの距離は、下部ダクト20bと上部ダクト20aとの重なり寸法よりも大きく設定されていればよく、例えば40mm~140mmの範囲内に設定することができる。本実施形態では、上部ダクト本体21aの下縁部21a1から上部フランジ部27の下端部271までの距離は、約50mmに設定されている。
【0038】
上部前面カバー22、23は、それぞれ下縁部に段部221、231と、下垂部222、232とを有する。段部221、231は、上部前面カバー22、23の形成する面の下縁部から前方に向けて延びている。下垂部222、232は、それぞれ段部221、231の先端部から下方に向けて延びている。
【0039】
下垂部222の下縁部の高さ位置は、下側の上部前面カバー23の上縁部の高さ位置よりも低く設定されている。下垂部232の下縁部の高さ位置は、下部前面カバー24の上縁部の高さ位置よりも低く設定されている。下垂部251の下縁部の高さ位置は、上側の上部前面カバー22の上縁部の高さ位置よりも低く設定されている。
【0040】
換言すると、下側の上部前面カバー23の上縁部の高さ位置は、上側の上部前面カバー22の段部221の高さ位置よりも低く、下垂部222の下縁部の高さ位置よりも高く設定されている。下部前面カバー24の上縁部の高さ位置は、下側の上部前面カバー23の段部231の高さ位置よりも低く、下垂部232の下縁部の高さ位置よりも高く設定されている。
【0041】
これにより、各カバー22、23、24が上部ダクト本体21a及び下部ダクト本体21bに取り付けられた状態で、下側の上部前面カバー23の上縁部は、上側の上部前面カバー22の段部221及び下垂部222によって上方及び前方から覆われる。また、下部前面カバー24の上縁部は、下側の上部前面カバー23の段部231及び下垂部232によって上方及び前方から覆われる。また、上面カバー25は、前縁部に下垂部251を有する。上面カバー25と上部前面カバー22が上部ダクト本体21aに取り付けられた状態で、上部前面カバー22の上縁部は上面カバー25の下垂部251によって前方から覆われる。従って、前面カバー22、23、24と上部ダクト本体21a及び下部ダクト本体21bとの隙間から雨水や虫などが内部に侵入することが抑制される。
【0042】
ここで、従来例のケーブルダクトとして、筒状に形成された下部ダクトを上方向に持ち上げ、地面から出ているケーブルを下部ダクトの底部開口から内部に引き通してケーブルダクトに配設するものが知られている。この場合、下部ダクトに長さが数メートルあるケーブルを少しずつ引き通す作業は煩わしい。また、ダクトの前面にヒンジ回動式の扉が設けられて作業者が内部にアクセス可能としているダクトが知られているが、ダクトには扉が収まる矩形の枠部があるため、ダクト本体の外部の任意の位置からダクト本体の内部に自由にアクセスすることができない。そのため、長尺のケーブルを少しずつダクト本体に引き入れてダクトの内部に通す必要があるが、このような作業はやはり煩わしい。
【0043】
これに対して、以上説明した本実施形態によれば、ケーブルダクト20は、電気機器1に接続されるケーブル100を内部に収容する。ケーブルダクト20は、ダクト本体21と、前面カバー22、23、24と、を備える。ダクト本体21、側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口214と、底部開口217と、を有し、ケーブル100を内部に収容する。前面カバー22、23、24は、ダクト本体21に着脱可能に取り付けられて前部開口214を開閉する。前部開口214と、底部開口217とは、互いに連通している。
【0044】
換言すると、前部開口214の下縁部は底部開口217の前縁部に接続されている。これにより、作業者は、設置面からケーブル100を立ち上げるだけで、底部開口や枠部等の中を苦労して引き通すことなく、容易にダクト本体21内部にケーブル100を収容することができる。そのため、ケーブル100の敷設が容易となり、電気機器としての変圧器の現地据え付け作業が容易となる。
【0045】
ダクト本体21は、前部開口214と互いに連通した上部開口215を有する。ケーブルダクト20は、ダクト本体21に取り付けられて上部開口215を開閉する上面カバー25を備える。
【0046】
これにより、設置面からブッシング12の取付け面までを外部に露出することができる。すなわち、各カバー22、23、24、25を外した状態で、作業者は、設置面からブッシング12が配置された接続面218まで、枠部等に遮られることなくケーブル100をダクト本体21に挿入することができる。そのため、ケーブル100の敷設が更に容易となり、電気機器としての変圧器の現地据え付け作業が一層容易となる。
【0047】
ここで、下部ダクト20bと上部ダクト20aとを合わせた上下方向の高さ寸法は、数mに及ぶ。したがって、工場から据え付け現場まで、ケーブルダクト20を組み立てた状態で輸送することは困難である。そのため、下部ダクト20bと上部ダクト20aとを取り外して輸送することがある。その場合、上部ダクトに扉を受け入れる枠部が形成されている場合、上部ダクトを分解しないと下部ダクトを取り外したり、内部に再び収容したりすることができない。
【0048】
これに対し、本実施形態によれば、ダクト本体21は、上部ダクト本体21aと、上部ダクト本体21aの下方に配置される下部ダクト本体21bと、を含んで構成される。前面カバー22、23、24は、上部ダクト本体21aに形成された前部開口214aを開閉する上部前面カバー22、23と、下部ダクト本体21bに形成された前部開口214bを開閉する下部前面カバー24と、を含んで構成される。下部ダクト本体21bは、使用状態において少なくとも上部の一部が上部ダクト本体21aの内部に挿入される。下部ダクト本体21bは、上部前面カバー23を取り外した状態で、上部ダクト本体21aから前方に向かって引き出し可能に構成されている。
【0049】
これにより、上部ダクト本体21aを分解することなく、下部ダクト本体21bを上部ダクト本体21aから取り外すことができる。したがって、ケーブルダクト20の敷設作業が更に容易になる。
【0050】
上部ダクト本体21aは、前部開口214aの左右の縁部に上下方向に延びて形成されたフランジ部27を有する。フランジ部27は、上部前面カバー22、23を締結可能に構成されている。フランジ部27の下端部271の高さ位置は、ケーブルダクト20の使用状態における下部ダクト本体21bの上端部の高さ位置よりも高く設定されている。
【0051】
すなわち、上部ダクト本体21aの上部フランジ部27の下部に切り欠きが設けられている。そのため、作業者は、上部が上部ダクト本体21a内に挿入されている下部ダクト20bを、上部ダクト本体21aを分解することなく取り外すことができる。これにより、簡単な構造により、下部ダクト20bの上部ダクト本体21aへの着脱を可能にする。したがって、ケーブルダクト20の敷設作業が一層容易になる。
【0052】
なお、フランジ部27、28には、締結部材を貫通させて上部前面カバー22、23及び下部前面カバー24を締結可能な孔部29が形成されている。上部前面カバー22、23及び下部前面カバー24には、締結部材を貫通させてフランジ部27、28に締結可能な孔部30が形成されている。
【0053】
ここで、ケーブルダクト20を含んだ電気機器1は屋外に設置されることが多い。そのため、上部前面カバー22、23と上部ダクト本体21aとの間、及び下部前面カバー24と下部ダクト本体21bとの間から、雨水等が入り込んでしまう虞がある。
【0054】
これに対し、上部前面カバー22、23は、下縁部から前方に向かって延びる段部221、231と、前記段部の先端部から下方に向けて延びる下垂部222、232と、を有する。上部前面カバー23を上部ダクト本体21aに装着しかつ下部前面カバー24を下部ダクト本体21bに装着した状態で、段部231は、下部前面カバー24の上縁部を上方から覆う。下垂部232は、下部前面カバー24の上縁部を前方から覆う。
【0055】
これにより、雨水や異物等が下部前面カバー24と下部ダクト本体21bとの間から、ダクト内部に入り込むことを抑制することができる。したがって、ダクト本体21の前面の全体に亘って開口を形成し、敷設作業を容易にしつつ、雨水などによるケーブル100の劣化を抑制することができる。
【0056】
本実施形態の電気機器1は、電気機器本体10と、容器11と、ブッシング12と、ケーブルダクト20と、を備える。容器11は、電気機器本体10を収容する。ブッシング12は、電気機器本体10からリード線を引き出す。ケーブルダクト20は、ブッシング12に接続されるケーブル100を収容する。ケーブルダクト20は、ダクト本体21と、前面カバー22、23、24と、を有する。ダクト本体21は、側面視倒L字形の箱状に形成され、前部開口214と、底部開口217と、を有し、ケーブル100を内部に収容する機能を有する。前面カバー22、23、24は、ダクト本体21に着脱可能に取り付けられて前部開口214を開閉する。前部開口214と、底部開口217とは、互いに連通している。
【0057】
なお、本実施形態では、ケーブルダクト20は二次側のケーブル100を収容する二次側ケーブルダクトであるが、これに限らない。他の実施形態では、ケーブルダクト20は一次側のケーブルを収容する一次ケーブルダクトであっても良いし、一次側と二次側との両方のケーブルダクトの構造をケーブルダクト20のように構成しても良い。
【0058】
以上、本発明の一の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…電気機器、10…電気機器本体、11…容器、12…ブッシング、20…ケーブルダクト、20a上部ダクト、20b…下部ダクト、21…ダクト本体、21a…上部ダクト本体、21b…下部ダクト本体、214…前部開口、215…上部開口、216…上背部開口、217…底部開口、22…上部前面カバー(前面カバー)、23…上部前面カバー(前面カバー)、221、231…段部、222、232…下垂部、24…下部前面カバー(前面カバー)、25…上面カバー、27…上部フランジ部(フランジ部)、28…下部フランジ部(フランジ部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8