(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157624
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20231019BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067648
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 大樹
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270LA19
2H270LA20
2H270LA22
2H270LA24
2H270LA28
2H270LA70
2H270LA72
2H270LA90
2H270LA91
2H270LA92
2H270LB02
2H270LD03
2H270MA07
2H270MA19
2H270MB04
2H270MB12
2H270MB27
2H300RR02
2H300RR10
2H300RR21
2H300RR34
2H300RR37
2H300RR45
2H300RR50
2H300SS12
2H300SS14
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、トナーを用いて補正用パッチを形成する画像形成部20と、補正用パッチの色、濃度、または、トナー付着量を測定する測定部50と、測定部50の測定値に基づいて、補正用パッチの濃度が目標値となるように基準補正量を算出する算出部と、基準補正量よりも少ない第1補正量だけ画像形成部20の作像条件を補正する補正部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いて補正用パッチを形成する画像形成部と、
前記補正用パッチの色、濃度、または、トナー付着量を測定する測定部と、
前記測定部の測定値に基づいて、前記補正用パッチの濃度が目標値となるように基準補正量を算出する算出部と、
前記基準補正量よりも少ない第1補正量だけ前記画像形成部の作像条件を補正する補正部とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記補正用パッチが形成されてから前記作像条件が補正されるまでの期間における前記基準補正量の算出予定回数に応じて、前記第1補正量を決定する決定部をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記基準補正量を前記算出予定回数で割った値を前記第1補正量として決定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定部は、連続プリントの初期においては、前記基準補正量を前記算出予定回数で割った値よりも大きい値を前記第1補正量として決定する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記基準補正量が閾値を超える場合には、前記第1補正量は、前記基準補正量のうち前記閾値分である閾値内補正量に対して決定される第2補正量と、前記基準補正量のうち前記閾値を超える分である閾値外補正量に対して決定される第3補正量との合計値であり、
前記画像形成装置は、前記閾値内補正量と、前記補正用パッチが形成されてから前記作像条件が補正されるまでの期間における前記基準補正量の算出予定回数とに応じて前記第2補正量を決定し、今回の閾値外補正量から前回の閾値外補正量を差し引いた値を前記第3補正量として決定する決定部をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像形成装置は、画像形成モードから前記補正用パッチの濃度ムラを測定するムラ測定モードに切り替え可能であり、
前記画像形成装置は、前記ムラ測定モードにおける前記測定部の測定値に基づいて、前記閾値を設定する第1設定部をさらに備える、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成部は、連続プリントの初期に目標値算出用パッチを複数回形成し、
前記測定部は、前記目標値算出用パッチの各回の濃度を測定し、
前記画像形成装置は、前記目標値算出用パッチの前記複数回の濃度の代表値を前記目標値として設定する第2設定部をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記目標値算出用パッチのサイズは、前記補正用パッチのサイズよりも大きい、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記決定部により決定された前記第1補正量を色に影響を与える因子の変化に応じて調整する調整部をさらに備える、請求項2~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記因子は、画像のカバレッジを含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は現像器をさらに備え、
前記因子は、前記現像器内のトナーの帯電量を含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記因子は、前回のプリントが終了してから今回のプリントが開始されるまでの待機時間を含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記因子は、前記画像形成装置内の温度を含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記因子は、前記画像形成装置内の湿度を含む、請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項15】
コンピュータで実行される制御プログラムであって、前記制御プログラムは前記コンピュータに、
トナーを用いて補正用パッチを形成することと、
前記補正用パッチの色、濃度、または、トナー付着量を測定することと、
測定値に基づいて、前記補正用パッチの濃度が目標値となるように基準補正量を算出することと、
前記基準補正量よりも少ない第1補正量だけ画像形成の作像条件を補正することとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
連続プリント中の印刷物の色を安定させるために、色補正として、紙上の色の変化量に基づいて画像形成部の作像条件(以下、「画像形成条件」とも称する)を補正する技術が知られている。たとえば、特開2013-218034号公報(特許文献1)は、画像形成条件を段階的に補正していく画像形成装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2013-218034号公報に開示の画像形成装置では、補正量が調整用のパッチ画像から検出された「目的の補正量」に達するまで画像形成条件が段階的に補正されていく。そのため、極端に色が変化することを防ぐことができるとともに、色変動への補正の追随性も損なわれない。しかしながら、最終的に画像形成条件が「目的の補正量」だけ補正されることから、調整用のパッチ画像における濃度ムラの影響を受け、過補正となる可能性がある。
【0005】
本開示は、色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制可能な画像形成装置および制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従う画像形成装置は、トナーを用いて補正用パッチを形成する画像形成部と、補正用パッチの色、濃度、または、トナー付着量を測定する測定部と、測定部の測定値に基づいて、補正用パッチの濃度が目標値となるように基準補正量を算出する算出部と、基準補正量よりも少ない第1補正量だけ画像形成部の作像条件を補正する補正部とを備える。
【0007】
好ましくは、画像形成装置は、補正用パッチが形成されてから作像条件が補正されるまでの期間における基準補正量の算出予定回数に応じて、第1補正量を決定する決定部をさらに備える。
【0008】
好ましくは、決定部は、基準補正量を算出予定回数で割った値を第1補正量として決定する。
【0009】
好ましくは、決定部は、連続プリントの初期においては、基準補正量を算出予定回数で割った値よりも大きい値を第1補正量として決定する。
【0010】
好ましくは、基準補正量が閾値を超える場合には、第1補正量は、基準補正量のうち閾値分である閾値内補正量に対して決定される第2補正量と、基準補正量のうち閾値を超える分である閾値外補正量に対して決定される第3補正量との合計値である。画像形成装置は、閾値内補正量と、補正用パッチが形成されてから作像条件が補正されるまでの期間における基準補正量の算出予定回数とに応じて第2補正量を決定し、今回の閾値外補正量から前回の閾値外補正量を差し引いた値を第3補正量として決定する決定部をさらに備える。
【0011】
好ましくは、画像形成装置は、画像形成モードから補正用パッチの濃度ムラを測定するムラ測定モードに切り替え可能である。画像形成装置は、ムラ測定モードにおける測定部の測定値に基づいて、閾値を設定する第1設定部をさらに備える。
【0012】
好ましくは、画像形成部は、連続プリントの初期に目標値算出用パッチを複数回形成する。測定部は、目標値算出用パッチの各回の濃度を測定する。画像形成装置は、目標値算出用パッチの複数回の濃度の代表値を目標値として設定する第2設定部をさらに備える。
【0013】
好ましくは、目標値算出用パッチのサイズは、補正用パッチのサイズよりも大きい。
【0014】
好ましくは、画像形成装置は、決定部により決定された第1補正量を色に影響を与える因子の変化に応じて調整する調整部をさらに備える。
【0015】
好ましくは、因子は、画像のカバレッジを含む。
【0016】
好ましくは、画像形成装置は現像器をさらに備える。因子は、現像器内のトナーの帯電量を含む。
【0017】
好ましくは、因子は、前回のプリントが終了してから今回のプリントが開始されるまでの待機時間を含む。
【0018】
好ましくは、因子は、画像形成装置内の温度を含む。
【0019】
好ましくは、因子は、画像形成装置内の湿度を含む。
【0020】
本開示の他の局面に従うコンピュータで実行される制御プログラムは、コンピュータに、トナーを用いて補正用パッチを形成することと、補正用パッチの色、濃度、または、トナー付着量を測定することと、測定値に基づいて、補正用パッチの濃度が目標値となるように基準補正量を算出することと、基準補正量よりも少ない第1補正量だけ画像形成の作像条件を補正することとを実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態1における画像形成装置の概要を示す図である。
【
図2】実施の形態1における補正用パッチを説明するための図である。
【
図3】実施の形態1における目標値算出用パッチを説明するための図である。
【
図4】実施の形態1における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】方法B1による色補正が実施された場合の色の変化を示す図である。
【
図8】方法B2による色補正が実施された場合の色の変化を示す図である。
【
図9】実施の形態1における画像形成装置による色補正の方法を説明するための図である。
【
図10】方法Aによる色補正が実施された場合の色の変化を示す図である。
【
図11】実施の形態1における画像形成装置による色補正の処理の概要を説明するための図である。
【
図12】実施の形態1における画像形成装置による作像条件の補正の一例を説明するための図である。
【
図13】実施の形態1における現像電位の変化の一例を示す図である。
【
図14】実施の形態1における画像形成装置による色補正の処理手順を示すフローチャートである。
【
図15】実施の形態2における第1補正量の一例を示す図である。
【
図16】実施の形態3における画像形成装置による色補正の処理の概要を説明するための図である。
【
図17】実施の形態4における画像形成装置による色補正の処理の概要を説明するための図である。
【
図18】実施の形態4における第1補正量の算出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0024】
[実施の形態1]
<A.画像形成装置の概要>
【0025】
図1から
図3を参照して、実施の形態1における画像形成装置の概要について説明する。
【0026】
図1は、実施の形態1における画像形成装置の概要を示す図である。
図1を参照して、実施の形態1における画像形成装置100は、給紙部10と、画像形成部20と、操作パネル30と、測定部50と、プロセッサ70とを備える。
【0027】
給紙部10は、収容している用紙SHを1枚ずつ搬送路5に送り出す。画像形成部20は、トナーを用いて用紙SHに画像を形成する。画像は、ユーザにより指定されたユーザ指定画像と、補正用パッチと、目標値算出用パッチとのうち少なくとも1つを含む。補正用パッチと、目標値算出用パッチとについては、詳細は後述するが、これらは、色別の階調パッチである。操作パネル30は、入力装置と、表示装置とが一体となったタッチパネルである。操作パネル30は、画像形成装置100の各種設定情報を受け付けるとともに、各種情報を通知する。
【0028】
測定部50は、発光ダイオードなどの発光素子と、フォトダイオードなどの受光素子とを内蔵した反射型の光学センサーである。目標値算出期間においては、測定部50は、用紙SHに形成されている目標値算出用パッチの濃度を測定し、測定結果をプロセッサ70へ出力する。プロセッサ70は、測定部50の測定結果に基づいて色補正における目標値を設定する。また、目標値算出期間終了後の色補正の期間においては、測定部50は、用紙SHに形成されている補正用パッチの濃度を測定し、測定結果をプロセッサ70へ出力する。プロセッサ70は、測定部50の測定結果に基づいて画像形成部20の作像条件を補正する。以下の説明において、画像形成部の作像条件を補正することを「補正を適用する」、または「補正量を適用する」とも称する。
【0029】
なお、測定部50は、用紙SHに形成されている補正用パッチまたは目標値算出用パッチの色を測定してもよい。また、測定部50は、用紙SHに形成されている補正用パッチまたは目標値算出用パッチのトナー付着量を測定してもよい。以下の説明においては、測定部50は、用紙SHに形成されている補正用パッチまたは目標値算出用パッチの濃度を測定するものとする。
【0030】
画像形成部20は、イエロー(Yellow)のトナー像を形成する作像ユニット15Yと、マゼンタ(Magenta)のトナー像を形成する作像ユニット15Mと、シアン(Cyan)のトナー像を形成する作像ユニット15Cと、キープレート(Key Plate)のトナー像を形成する作像ユニット15Kと、二次転写装置27と、クリーニング装置28と、定着装置29とを含む。以下の説明において、作像ユニット15Yと、作像ユニット15Mと、作像ユニット15Cと、作像ユニット15Kとを区別しない場合には、「作像ユニット15」と称する。
【0031】
作像ユニット15Yは、感光体21Yと、帯電装置22Yと、露光装置23Yと、現像器24Yと、一次転写装置25Yとを含む。作像ユニット15Mは、感光体21Mと、帯電装置22Mと、露光装置23Mと、現像器24Mと、一次転写装置25Mとを含む。作像ユニット15Cは、感光体21Cと、帯電装置22Cと、露光装置23Cと、現像器24Cと、一次転写装置25Cとを含む。作像ユニット15Kは、感光体21Kと、帯電装置22Kと、露光装置23Kと、現像器24Kと、一次転写装置25Kとを含む。
【0032】
以下の説明において、感光体21Yと、感光体21Mと、感光体21Cと、感光体21Kとを区別しない場合には、「感光体21」と称する。以下の説明において、帯電装置22Yと、帯電装置22Mと、帯電装置22Cと、帯電装置22Kとを区別しない場合には、「帯電装置22」と称する。以下の説明において、露光装置23Yと、露光装置23Mと、露光装置23Cと、露光装置23Kとを区別しない場合には、「露光装置23」と称する。以下の説明において、現像器24Yと、現像器24Mと、現像器24Cと、現像器24Kとを区別しない場合には、「現像器24」と称する。以下の説明において、一次転写装置25Yと、一次転写装置25Mと、一次転写装置25Cと、一次転写装置25Kとを区別しない場合には、「一次転写装置25」と称する。
【0033】
画像形成装置100は、以下のようにして画像を形成する。まず、帯電装置22は、感光体21全体にマイナスの電荷を帯びさせる。次いで、露光装置23は、マイナスの電荷を帯びた感光体21に、印刷用データに基づいてレーザ光を照射する。印刷用データは、ユーザ指定画像の画像データと、補正用パッチの画像データとを含む。レーザ光が照射された場所にはプラスの電荷が発生し、マイナスの電荷がなくなる。そのため、感光体21上に印刷用データの潜像が形成される。次いで、現像器24は、マイナスの電荷を帯びたトナーを感光体21に供給する。これにより、トナーが感光体21上のマイナスの電荷が帯びていない場所に付着し、潜像が可視化される。すなわち、印刷用データに基づくトナー像が感光体21上に形成される。
【0034】
次いで、一次転写装置25は、感光体21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト26に転写する。中間転写ベルト26が回転していることから、各色のトナー像が中間転写ベルト26上で重ね合わせられる。その結果、印刷用データに基づくトナー像が中間転写ベルト26上に形成される。
【0035】
二次転写装置27は、中間転写ベルト26上で重ね合わせられた各色のトナー像を用紙SHに転写する。クリーニング装置28は、用紙SHに転写されずに中間転写ベルト26に残っているトナーを回収する。定着装置29は、トナー像が転写された用紙SHに熱と圧力とを加えて、トナー像を用紙SHに定着させる。これにより、用紙SHへの画像の形成が完了し、その後、用紙SHは排紙トレイ18に排出される。
【0036】
なお、画像形成装置100は、カラー機に限られない。画像形成装置100は、モノクロ機でもよい。
【0037】
図2は、実施の形態1における補正用パッチを説明するための図である。補正用パッチPは、イエロー、マゼンタ、シアン、およびキープレートの色補正に用いられる色別の階調パッチである。
【0038】
補正用パッチP1は、イエローの階調パッチである。補正用パッチP2は、マゼンタの階調パッチである。補正用パッチP3は、レッド(Red)の階調パッチである。補正用パッチP4は、グリーン(Green)の階調パッチである。補正用パッチP5は、シアンの階調パッチである。補正用パッチP6は、ブラック(Black)の階調パッチである。補正用パッチP7は、ブルー(Blue)の階調パッチである。補正用パッチP8は、プロセスインク(Process Bk)の階調パッチである。
【0039】
以下の説明において、補正用パッチP1と、補正用パッチP2と、補正用パッチP3と、補正用パッチP4と、補正用パッチP5と、補正用パッチP6と、補正用パッチP7と、補正用パッチP8とを区別しない場合には、「補正用パッチP」と称する。
図2に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびキープレートの色補正に用いられる全ての補正用パッチPが1枚の用紙SHに形成されている。
【0040】
用紙SHは、図中の矢印の方向に搬送される。用紙SHは、最終的に断裁線CR1,CR2に沿って断裁される。補正用パッチPは、ユーザ指定画像Iが形成される用紙SH内の最終的に廃棄される領域、すなわち、断裁線CR1,CR2よりも外側の領域に形成される。
【0041】
補正用パッチPは、連続プリント中に繰り返し形成される。たとえば、補正用パッチPは、連続プリントの全ての用紙SHに形成されてもよいし、連続プリントの用紙SHの何枚かおきに形成されてもよい。
【0042】
なお、補正用パッチPは、ユーザ指定画像Iが形成される用紙SHとは異なる用紙に形成されてもよい。また、全ての補正用パッチPが1枚の用紙SHに入りきらない場合には、入りきらない補正用パッチPは次の用紙SHに形成されてもよい。
【0043】
図3は、実施の形態1における目標値算出用パッチを説明するための図である。目標値算出用パッチQは、色補正における目標値の算出に用いられる色別の階調パッチである。
【0044】
目標値算出用パッチQ1は、イエローの階調パッチである。目標値算出用パッチQ2は、マゼンタの階調パッチである。目標値算出用パッチQ3は、レッドの階調パッチである。目標値算出用パッチQ4は、グリーンの階調パッチである。目標値算出用パッチQ5は、シアンの階調パッチである。目標値算出用パッチQ6は、ブラックの階調パッチである。目標値算出用パッチQ7は、ブルーの階調パッチである。目標値算出用パッチQ8は、プロセスインクの階調パッチである。
【0045】
以下の説明において、目標値算出用パッチQ1と、目標値算出用パッチQ2と、目標値算出用パッチQ3と、目標値算出用パッチQ4と、目標値算出用パッチQ5と、目標値算出用パッチQ6と、目標値算出用パッチQ7と、目標値算出用パッチQ8とを区別しない場合には、「目標値算出用パッチQ」と称する。
図3に示す例では、イエロー、マゼンタ、シアン、およびキープレートの色補正における目標値の算出に用いられる全ての目標値算出用パッチQが1枚の用紙SHに形成されている。
【0046】
用紙SHは、図中の矢印の方向に搬送される。用紙SHは、最終的に断裁線CR1,CR2に沿って断裁される。目標値算出用パッチQは、ユーザ指定画像Iが形成される用紙SH内の最終的に廃棄される領域、すなわち、断裁線CR1,CR2よりも外側の領域に形成される。
【0047】
目標値算出用パッチQは、連続プリントの初期に画像形成部20により複数回形成される。たとえば、目標値算出用パッチQは、連続プリントの初期における全ての用紙SHに形成されてもよいし、連続プリントの初期における用紙SHの何枚かおきに形成されてもよい。
【0048】
なお、目標値算出用パッチQは、ユーザ指定画像Iが形成される用紙SHとは異なる用紙に形成されてもよい。また、全ての目標値算出用パッチQが1枚の用紙SHに入りきらない場合には、入りきらない目標値算出用パッチQは次の用紙SHに形成されてもよい。
【0049】
また、目標値算出用パッチQのサイズは、補正用パッチPのサイズと同じでもよいし、補正用パッチPのサイズよりも大きくてもよい。目標値算出用パッチQのサイズが補正用パッチPのサイズよりも大きい場合には、目標値算出用パッチQの濃度ムラの影響を抑えることができ、目標値の精度が高まる。
【0050】
本実施の形態においては、連続プリントの初期に目標値算出用パッチQが3回形成され、1回目から3回目までの目標値算出用パッチQの濃度に基づいて色補正における目標値が設定される。
【0051】
<B.画像形成装置100のハードウェア構成例>
図4は、実施の形態1における画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。画像形成装置100は、上述の給紙部10と、画像形成部20と、操作パネル30と、測定部50と、プロセッサ70とに加え、さらに通信インターフェイス40と、メモリーカードインターフェイス60と、メモリ80と、ストレージ90とを含む。給紙部10と、画像形成部20と、操作パネル30と、通信インターフェイス40と、測定部50と、メモリーカードインターフェイス60と、プロセッサ70と、メモリ80と、ストレージ90とはバス99を介して電気的に接続される。
【0052】
通信インターフェイス40は、画像形成装置100と外部装置との間のデータのやり取りを担当する。外部装置は、たとえば、ユーザが使用する端末装置である。一例として、通信インターフェイス40は、外部装置からユーザ指定画像Iの画像データを受信する。
【0053】
プロセッサ70は、たとえばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などで構成される。メモリ80は、たとえばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ90は、たとえばSSD(Solid State Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置で構成される。ストレージ90は、プログラム91を格納する。プログラム91は、画像形成装置100を制御するためのコンピュータ読取可能な命令を含む。プログラム91は、本開示における「制御プログラム」を含む。プロセッサ70は、ストレージ90に格納されているプログラム91をメモリ80に展開して実行することで、本実施の形態に従う各種処理を実現する。
【0054】
ストレージ90は、算出予定回数NTをさらに格納する。なお、算出予定回数NTについては、後述する。
【0055】
プログラム91は、メモリーカード60Aなどの記憶媒体に格納されて提供される。プログラム91は、メモリーカードインターフェイス60により、メモリーカード60Aから読み出されて画像形成装置100にインストールされる。
【0056】
プログラム91は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う画像形成装置100の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム91によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0057】
また、メモリーカード60Aに格納されたプログラム91を画像形成装置100にインストールする形態に代えて、配信サーバーなどからダウンロードしたプログラムを画像形成装置100にインストールしてもよい。
【0058】
<C.色補正の課題>
図5から
図8を参照して、色補正の課題について説明する。
【0059】
図5は、色補正の方法B1を示す図である。方法B1は、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の方法と比較される色補正の方法の一例である。
【0060】
用紙SHn(nは1以上の整数)は、連続プリント中のn枚目の用紙を示す。以下の説明において、用紙SHnを区別しない場合には、「用紙SH」と称する。用紙SHは、図中の矢印の方向に搬送される。
【0061】
図5に示す例では、1枚目の用紙SH1には、補正用パッチPと、ユーザ指定画像Iとが形成されている。また、
図5に示す例では、2枚目から26枚目の用紙SHには、ユーザ指定画像Iのみが形成されている。
図5においては、1枚目の用紙SH1に形成されている補正用パッチPを「1回目の補正用パッチP」と称する。
【0062】
方法B1では、1回分の補正用パッチPの濃度に基づいて補正量が算出され、当該補正量だけ画像形成部の作像条件が補正される。詳細には、測定された1回分の補正用パッチPの濃度が目標値となるように補正量が算出される。
【0063】
一例として、1回目の補正用パッチPが形成されると、まず、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように補正量が算出される。次いで、当該補正量だけ画像形成部の作像条件が補正される。
【0064】
図5に示す例では、1回目の補正用パッチPの形成後、初めて補正が適用されるタイミングは、1回目の補正用パッチPが形成されてから12枚目の用紙(図中の用紙SH13)への画像形成が開始されるタイミングである。すなわち、
図5に示す例では、1回目の補正用パッチPが形成されてから12枚目以降の用紙については、1回目の補正用パッチPに基づいて算出された補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。特許文献1に記載の技術が適用される場合でも、例えば、1回目の補正用パッチPの形成後、12枚目から14枚目の用紙(図中の用紙SH13、用紙SH14、および用紙SH15)への画像形成のタイミングで作像条件が段階的に補正され、15枚目の用紙(図中の用紙SH16)には、1回目の補正用パッチPに基づいて算出された補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。
【0065】
図6を参照して、方法B1による色補正が実施された場合の色の変化について説明する。
図6は、方法B1による色補正が実施された場合の色の変化を示す図である。
【0066】
色R1は、1回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R2は、1回目の補正用パッチPが形成されてから5枚目の用紙(
図5に示す用紙SH6)への画像形成時の色を示す。色R3は、1回目の補正用パッチPが形成されてから10枚目の用紙(
図5に示す用紙SH11)への画像形成時の色を示す。色R4は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(
図5に示す用紙SH16)への画像形成時の色を示す。色R5は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(
図5に示す用紙SH21)への画像形成時の色を示す。色R6は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(
図5に示す用紙SH26)への画像形成時の色を示す。
【0067】
色R4αは、方法B1による色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(
図5に示す用紙SH16)への画像形成時の色を示す。色R5αは、方法B1による色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(
図5に示す用紙SH21)への画像形成時の色を示す。色R6αは、方法B1による色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(
図5に示す用紙SH26)への画像形成時の色を示す。
【0068】
上述の通り、1回目の補正用パッチPが形成されてから12枚目以降の用紙については、1回目の補正用パッチPに基づいて算出された補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。そのため、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙へ画像形成が行われる際の色は色R4αであり、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙へ画像形成が行われる際の色は色R5αであり、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙へ画像形成が行われる際の色は色R6αである。色R4αは、色R4が色差D1だけ補正された色である。色R5αは、色R5が色差D1だけ補正された色である。色R6αは、色R6が色差D1だけ補正された色である。色差D1は、1回目の補正用パッチPの形成時における色R1と、目標となる色との色差である。
【0069】
図6に示す例では、補正後の色R4αおよび色R6αは目標となる色から大きくずれており、過補正が発生している。過補正が発生する理由は、各回で補正用パッチPの濃度がばらつくためである。一方で、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙への画像形成時には補正が適用されていることから、1回目の補正用パッチPが形成されてから補正が適用されるまでの時間は後述の方法B2と比べて短い。このように、1回分の補正用パッチPの濃度に基づいて、当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように補正量が算出される方法B1では、色変動への補正の追随性は良いが、補正用パッチPの濃度ムラの影響を受けて過補正となる可能性がある。
【0070】
図7は、色補正の方法B2を示す図である。方法B2は、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の方法と比較される色補正の方法の他の例である。
【0071】
用紙SHn(nは1以上の整数)は、連続プリント中のn枚目の用紙を示す。上述の通り、用紙SHnを区別しない場合には、「用紙SH」と称する。用紙SHは、図中の矢印の方向に搬送される。
【0072】
図7に示す例では、1枚目の用紙SH1と、6枚目の用紙SH6と、11枚目の用紙SH11とには、補正用パッチPと、ユーザ指定画像Iとが形成されている。また、
図7に示す例では、2枚目から5枚目、7枚目から10枚目、および12枚目から26枚目の用紙SHには、ユーザ指定画像Iのみが形成されている。
図7においては、1枚目の用紙SH1に形成されている補正用パッチPを「1回目の補正用パッチP」と称し、6枚目の用紙SH6に形成されている補正用パッチPを「2回目の補正用パッチP」と称し、11枚目の用紙SH11に形成されている補正用パッチPを「3回目の補正用パッチP」と称する。
【0073】
方法B2では、3回分の補正用パッチPの濃度に基づいて補正量が算出され、当該補正量だけ画像形成部の作像条件が補正される。詳細には、測定された3回分の補正用パッチPの濃度の平均値が目標値となるように補正量が算出される。
【0074】
一例として、1回目の補正用パッチPが形成されると、まず、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、2回目の補正用パッチPが形成されると、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、3回目の補正用パッチPが形成されると、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、測定された3回分の補正用パッチPの濃度の平均値が目標値となるように補正量が算出され、当該補正量だけ画像形成部の作像条件が補正される。
【0075】
図7に示す例では、1回目の補正用パッチPの形成後、初めて補正が適用されるタイミングは、1回目の補正用パッチPが形成されてから22枚目の用紙(図中の用紙SH23)への画像形成が開始されるタイミングである。すなわち、
図7に示す例では、1回目の補正用パッチPが形成されてから22枚目以降の用紙については、1回目から3回目までの補正用パッチPに基づいて算出された補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。
【0076】
図8を参照して、方法B2による色補正が実施された場合の色の変化について説明する。
図8は、方法B2による色補正が実施された場合の色の変化を示す図である。
【0077】
色R1は、1回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R2は、1回目の補正用パッチPが形成されてから5枚目の用紙(
図7に示す用紙SH6)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R2は、2回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R3は、1回目の補正用パッチPが形成されてから10枚目の用紙(
図7に示す用紙SH11)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R3は、3回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R4は、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(
図7に示す用紙SH16)への画像形成時の色を示す。色R5は、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(
図7に示す用紙SH21)への画像形成時の色を示す。
【0078】
色R6は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(
図7に示す用紙SH26)への画像形成時の色を示す。色R6αは、方法B2による色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(
図7に示す用紙SH26)への画像形成時の色を示す。
【0079】
上述の通り、1回目の補正用パッチPが形成されてから22枚目以降の用紙については、1回目から3回目までの補正用パッチPに基づいて算出された補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。そのため、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙へ画像形成が行われる際の色は色R6αである。色R6αは、色R6が色差D4だけ補正された色である。色差D4は、1回目の補正用パッチPの形成時における色R1と、目標となる色との色差D1、2回目の補正用パッチPの形成時における色R2と、目標となる色との色差D2、および、3回目の補正用パッチPの形成時における色R3と、目標となる色との色差D3の平均値である。
【0080】
図8に示すように、補正後の色R6αは目標となる色であり、過補正は発生していない。一方で、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙への画像形成時にはまだ補正が適用されていないことから、1回目の補正用パッチPが形成されてから補正が適用されるまでの時間は方法B1と比べて長い。このように、3回分の補正用パッチPの濃度に基づいて補正量が算出される方法B2では、過補正が抑制される一方で、色変動への補正の追随性が低下する。
【0081】
このように、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の方法と比較される色補正の方法(方法B1、方法B2)では、色変動への補正の追随性の確保と、過補正の抑制との両方を実現することが難しかった。すなわち、色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制することが、色補正における課題である。
【0082】
<D.画像形成装置100による色補正>
図9から
図14を参照して、実施の形態1における画像形成装置100による色補正について説明する。
【0083】
(d1:色補正の方法)
図9は、実施の形態1における画像形成装置による色補正の方法を説明するための図である。以下の説明において、画像形成装置100による色補正の方法を「方法A」と称する。
【0084】
図9を参照して、用紙SHn(nは1以上の整数)は、連続プリント中のn枚目の用紙を示す。上述の通り、用紙SHnを区別しない場合には、「用紙SH」と称する。用紙SHは、図中の矢印の方向に搬送される。
【0085】
図9に示す例では、1枚目の用紙SH1と、6枚目の用紙SH6と、11枚目の用紙SH11とには目標値算出用パッチQと、ユーザ指定画像Iとが形成されている。また、16枚目の用紙SH16と、21枚目の用紙SH21と、26枚目の用紙SH26と、31枚目の用紙SH31と、36枚目の用紙SH36と、41枚目の用紙SH41とには、補正用パッチPと、ユーザ指定画像Iとが形成されている。また、2枚目から5枚目、7枚目から10枚目、12枚目から15枚目、17枚目から20枚目、22枚目から25枚目、27枚目から30枚目、32枚目から35枚目、および37枚目から40枚目の用紙SHには、ユーザ指定画像Iのみが形成されている。
【0086】
本実施の形態においては、1枚目の用紙SH1に形成されている目標値算出用パッチQを「1回目の目標値算出用パッチQ」と称し、6枚目の用紙SH6に形成されている目標値算出用パッチQを「2回目の目標値算出用パッチQ」と称し、11枚目の用紙SH11に形成されている目標値算出用パッチQを「3回目の目標値算出用パッチQ」と称する。
【0087】
また、本実施の形態においては、16枚目の用紙SH16に形成されている補正用パッチPを「1回目の補正用パッチP」と称し、21枚目の用紙SH21に形成されている補正用パッチPを「2回目の補正用パッチP」と称し、26枚目の用紙SH26に形成されている補正用パッチPを「3回目の補正用パッチP」と称し、31枚目の用紙SH31に形成されている補正用パッチPを「4回目の補正用パッチP」と称し、36枚目の用紙SH36に形成されている補正用パッチPを「5回目の補正用パッチP」と称し、41枚目の用紙SH41に形成されている補正用パッチPを「6回目の補正用パッチP」と称する。
【0088】
本実施の形態においては、目標値算出期間において、目標値算出用パッチQが3回形成される。目標値算出期間において、1回目から3回目までの目標値算出用パッチQの濃度が測定部50により測定され、1回目から3回目までの目標値算出用パッチQの濃度の代表値が目標値として設定される。代表値は、平均値でもよいし、中央値でもよい。
【0089】
本実施の形態においては、目標値算出期間において設定された目標値と、色補正の期間に形成された補正用パッチPの濃度とに基づく方法Aによる色補正が行われる。詳細には、方法Aでは、補正用パッチPが形成される毎に当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように基準補正量が算出され、当該基準補正量よりも少ない第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。目標値とは、1回目から3回目までの目標値算出用パッチQの濃度の代表値である。第1補正量は、基準補正量を算出予定回数NT(
図4参照)で割った値である。
【0090】
算出予定回数NTとは、補正用パッチPが形成されてから作像条件が補正されるまでの期間において基準補正量の算出が予定されている回数である。
図9に示す例では、1回目の補正用パッチPが形成されてから作像条件が補正されるまでの期間において算出される基準補正量は、1回目の補正用パッチPに基づいて算出される基準補正量、2回目の補正用パッチPに基づいて算出される基準補正量、および3回目の補正用パッチPに基づいて算出される基準補正量である。したがって、
図9に示す例では、算出予定回数は3となる。
図9に示す例では、各回の補正用パッチPに基づいて算出される基準補正量の3分の1の量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。
【0091】
一例として、1回目の補正用パッチPが形成されると、第1補正量が決定され、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。詳細には、1回目の補正用パッチPが形成されると、まず、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように基準補正量が算出される。次いで、基準補正量の3分の1の量が第1補正量に決定される。次いで、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。
図9に示す例では、1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量が適用されるタイミングは、1回目の補正用パッチPが形成されてから12枚目の用紙(図中の用紙SH28)への画像形成が開始されるタイミングである。したがって、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(図中の用紙SH31)には、1回目の補正用パッチPの形成時における作像条件から1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。
【0092】
2回目の補正用パッチPが形成されると、再び第1補正量が決定され、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。詳細には、2回目の補正用パッチPが形成されると、まず、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように基準補正量が算出される。次いで、基準補正量の3分の1の量が第1補正量に決定される。次いで、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。
図9に示す例では、2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量が適用されるタイミングは、1回目の補正用パッチPが形成されてから17枚目の用紙(図中の用紙SH33)への画像形成が開始されるタイミングである。したがって、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(図中の用紙SH36)には、直近の作像条件から2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。すなわち、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(図中の用紙SH36)には、1回目の補正用パッチPの形成時における作像条件から1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量と、2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量とだけ補正された作像条件で画像が形成される。
【0093】
3回目の補正用パッチPが形成されると、再び第1補正量が決定され、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。詳細には、3回目の補正用パッチPが形成されると、まず、当該補正用パッチPの濃度が測定される。次いで、当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように基準補正量が算出される。次いで、基準補正量の3分の1の量が第1補正量に決定される。次いで、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。
図9に示す例では、3回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量が適用されるタイミングは、1回目の補正用パッチPが形成されてから22枚目の用紙(図中の用紙SH38)への画像形成が開始されるタイミングである。したがって、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(図中の用紙SH41)には、直近の作像条件から3回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。すなわち、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(図中の用紙SH41)には、1回目の補正用パッチPの形成時における作像条件から1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量と、2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量と、3回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量とだけ補正された作像条件で画像が形成される。
【0094】
以後、補正用パッチPが形成される毎に当該補正用パッチPの濃度が目標値となるように基準補正量が算出され、基準補正量の3分の1の量が第1補正量に決定され、第1補正量だけ画像形成部20の作像条件が補正される。
【0095】
図10を参照して、方法Aによる色補正が実施された場合の色の変化について説明する。
図10は、方法Aによる色補正が実施された場合の色の変化を示す図である。
【0096】
色R1は、1回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R2は、1回目の補正用パッチPが形成されてから5枚目の用紙(
図9に示す用紙SH21)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R2は、2回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R3は、1回目の補正用パッチPが形成されてから10枚目の用紙(
図9に示す用紙SH26)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R3は、3回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。
【0097】
色R4は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(
図9に示す用紙SH31)への画像形成時の色を示す。色R5は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(
図9に示す用紙SH36)への画像形成時の色を示す。色R6は、色補正が実施されない場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(
図9に示す用紙SH41)への画像形成時の色を示す。
【0098】
色R4αは、方法Aによる色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(
図9に示す用紙SH31)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R4αは、方法Aによる色補正が実施された場合の、4回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R5αは、方法Aによる色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(
図9に示す用紙SH36)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R5αは、方法Aによる色補正が実施された場合の、5回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。色R6αは、方法Aによる色補正が実施された場合の、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(
図9に示す用紙SH41)への画像形成時の色を示す。すなわち、色R6αは、方法Aによる色補正が実施された場合の、6回目の補正用パッチPの形成時における色を示す。
【0099】
上述の通り、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙(図中の用紙SH31)には、1回目の補正用パッチPの形成時における作像条件から1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量だけ補正された作像条件で画像が形成される。1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙(図中の用紙SH36)には、1回目の補正用パッチPの形成時における作像条件から1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量と、2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量とだけ補正された作像条件で画像が形成される。1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙(図中の用紙SH41)には、1回目の補正用パッチPの形成時における作像条件から1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量と、2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量と、3回目の補正用パッチPに基づいて算出された第1補正量とだけ補正された作像条件で画像が形成される。
【0100】
そのため、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙への画像形成時の色は色R4αであり、1回目の補正用パッチPが形成されてから20枚目の用紙への画像形成時の色は色R5αであり、1回目の補正用パッチPが形成されてから25枚目の用紙への画像形成時の色は色R6αである。色R4αは、色R4が色差D5だけ補正された色である。色差D5は、1回目の補正用パッチPの形成時における色R1と、目標となる色との色差の3分の1の色差である。色R5αは、色R5が色差D5と、色差D6とだけ補正された色である。色差D6は、2回目の補正用パッチPの形成時における色R2と、目標となる色との色差の3分の1の色差である。色R6αは、色R6が色差D5と、色差D6と、色差D7とだけ補正された色である。色差D7は、3回目の補正用パッチPの形成時における色R3と、目標となる色との色差の3分の1の色差である。
【0101】
図10に示すように、過補正は発生しておらず、補正後の色R6αは目標となる色である。また、1回目の補正用パッチPが形成されてから15枚目の用紙への画像形成時には補正が適用されていることから、1回目の補正用パッチPが形成されてから補正が適用されるまでの時間は、上述の方法B2よりも短い。このように、基準補正量よりも少ない第1補正量だけ色が補正される方法Aでは、色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制することができる。すなわち、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の方法では、色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制することができる。
【0102】
なお、
図9および
図10に示す例では、算出予定回数NTは3回であったが、算出予定回数NTはこれに限られず、2回以上であればよい。算出予定回数NTは、画像形成装置100の処理能力に依存する。処理能力とは、具体的には、補正用パッチPの濃度の測定処理、補正量の算出処理、および画像形成部20の作像条件を変更する処理等に関する能力である。
【0103】
(d2:色補正の処理の概要)
図11は、実施の形態1における画像形成装置による色補正の処理の概要を説明するための図である。画像形成装置100は、測定部50、ストレージ90、画像形成部20、算出部151、決定部152、補正部153、および第2設定部154を備える。算出部151、決定部152、補正部153、および第2設定部154は、上述のプロセッサ70がプログラム91を実行することにより実現される。
【0104】
目標値算出期間において、測定部50は、搬送されてきた用紙SHに形成されている目標値算出用パッチQの濃度を測定する。本実施の形態においては、測定部50は、1回目の目標値算出用パッチQの濃度と、2回目の目標値算出用パッチQの濃度と、3回目の目標値算出用パッチQの濃度とを測定する。第2設定部154は、1回目から3回目までの目標値算出用パッチQの濃度の測定値を測定部50から取得すると、1回目から3回目までの目標値算出用パッチQの濃度の代表値を目標値TGとして設定する。代表値は、平均値でもよいし、中央値でもよい。目標値TGは、ストレージ90に保存される。
【0105】
色補正の期間において、測定部50は、搬送されてきた用紙SHに形成されている補正用パッチPの濃度を測定する。
【0106】
算出部151は、補正用パッチPの濃度の測定値を測定部50から取得すると、ストレージ90から目標値TGを取得し、当該測定値に基づいて、補正用パッチPの濃度が目標値TGとなるように基準補正量STを算出する。
【0107】
決定部152は、補正用パッチPが形成されてから作像条件が補正されるまでの期間における基準補正量STの算出予定回数NTに応じて、第1補正量CA1を決定する。詳細には、決定部152は、基準補正量STを算出部151から取得すると、ストレージ90から算出予定回数NTを取得し、以下の式1を用いて第1補正量CA1を算出する。
【0108】
(第1補正量CA1)=(基準補正量ST)/(算出予定回数NT)・・・(式1)
【0109】
補正部153は、第1補正量CA1を決定部152から取得すると、第1補正量CA1だけ画像形成部20の作像条件を補正する。詳細には、補正部153は、第1補正量CA1だけ画像形成部20の作像条件が補正されるよう、画像形成部20に作像条件の補正指示を出力する。画像形成部20は当該補正指示に従って作像条件を補正し、補正後の作像条件で画像を形成する。
【0110】
図12は、実施の形態1における画像形成装置による作像条件の補正の一例を説明するための図である。
図12を参照して、図中の「現在値Pv」は、測定部50により測定された補正用パッチPの濃度を示す。たとえば、測定部50により測定された補正用パッチPの濃度が目標値TGの10パーセント増しであったとする。このような場合には、補正部153は、現像器24の現像電位が10パーセント下がるよう画像形成部20に対し補正指示を出す。なお、補正部153は、階調カーブを合わせるようにγカーブを修正してもよい。また、補正部153は、階調データとしての3D-LUT(Three-Dimensional Look Up Table)のデータを修正してもよい。3D-LUTは、上述のストレージ90に保存されている。
【0111】
図13は、実施の形態1における現像電位の変化の一例を示す図である。
図13において、「パッチNo.」は、m回目(mは1以上の整数)の補正用パッチPを示す。
図13には、各回の補正用パッチPの形成時における「現像電位Vc」と、各回の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された「基準補正量ST」と、当該基準補正量STに基づいて算出された「第1補正量CA1」とが示されている。本実施の形態においては、算出予定回数NTが3回に設定されていることから、第1補正量CA1は基準補正量STの3分の1の値である。
【0112】
図9に示した例から分かるように、本実施の形態においては、第1補正量CA1の適用が開始される最初の補正用パッチPは4回目の補正用パッチPである。そのため、2回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vcと、3回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vcとは、1回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vc(-500V)のままである。
【0113】
4回目の補正用パッチPは、1回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1だけ補正された作像条件で形成される。そのため、4回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vc(-503.3V)は、直近の現像電位Vc(-500V)から1回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1(-3.3V)だけ補正された値である。
【0114】
また、5回目の補正用パッチPは、2回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1だけ補正された作像条件で形成される。そのため、5回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vc(-509.3V)は、直近の現像電位Vc(-503.3V)から2回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1(-6.0V)だけ補正された値である。
【0115】
また、6回目の補正用パッチPは、3回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1だけ補正された作像条件で形成される。そのため、6回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vc(-518.8V)は、直近の現像電位Vc(-509.3V)から3回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1(-9.5V)だけ補正された値である。
【0116】
また、7回目の補正用パッチPは、4回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1だけ補正された作像条件で形成される。そのため、7回目の補正用パッチPの形成時における現像電位Vc(-526.9V)は、直近の現像電位Vc(-518.8V)から4回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1(-8.1V)だけ補正された値である。
【0117】
(d3:処理手順)
図14は、実施の形態1における画像形成装置による色補正の処理手順を示すフローチャートである。
図14に示す色補正の処理は、上述のプロセッサ70により実行される。
【0118】
ステップS1において、プロセッサ70は、補正用パッチPまたは目標値算出用パッチQを検出したか否かを判定する。プロセッサ70は、測定部50から測定結果を受信した場合に補正用パッチPまたは目標値算出用パッチQを検出したと判定する。補正用パッチPまたは目標値算出用パッチQを検出した場合には(ステップS1においてYES)、プロセッサ70はステップS2へ処理を進める。
【0119】
ステップS2において、プロセッサ70は、目標値算出期間であるか否かを判定する。目標値算出期間である場合には(ステップS2においてYES)、プロセッサ70はステップS3へ処理を進める。一方、目標値算出期間ではない場合には(ステップS2においてNO)、プロセッサ70はステップS5へ処理を進める。
【0120】
ステップS3において、プロセッサ70は、目標値TGを決定し、ストレージ90に保存する。
【0121】
ステップS4において、プロセッサ70は、プリントが継続しているか否かを判定する。プリントが継続している場合には(ステップS4においてYES)、プロセッサ70はステップS1へ処理を戻す。一方、プリントが継続していない場合には(ステップS4においてNO)、プロセッサ70は色補正の処理を終了する。
【0122】
ステップS5において、プロセッサ70は、基準補正量STを算出する。
【0123】
ステップS6において、プロセッサ70は、第1補正量CA1を決定する。
【0124】
ステップS7において、プロセッサ70は、第1補正量CA1だけ画像形成部20の作像条件が補正されるよう、画像形成部20に対し作像条件の補正を指示する。
【0125】
ステップS7の後、プロセッサ70は、ステップS4へ処理を進める。
【0126】
このように、実施の形態1における画像形成装置100では、基準補正量STよりも少ない第1補正量CA1だけ画像形成部20の作像条件が補正される。また、第1補正量CA1は、1回分の補正用パッチPの濃度に基づいて算出される。そのため、早い段階から色補正が可能であるととともに、補正用パッチPの濃度ムラの影響を抑えることができる。したがって、実施の形態1における画像形成装置100は、色変動への補正の追随性を損ねることなく、過補正を抑制することができる。
【0127】
なお、色補正における目標値TGは、連続プリント開始前に行われるテストプリントの際に算出されてもよい。色補正における目標値TGが連続プリント開始前に行われるテストプリントの際に算出される場合には、まず、画像形成部20は、テストプリントの際に目標値算出用パッチQを複数回形成する。次いで、測定部50は、各回の目標値算出用パッチQの濃度を測定する。次いで、第2設定部154は、各回の目標値算出用パッチQの濃度を測定部50から取得し、取得した濃度の代表値を目標値TGとして設定する。また、色補正における目標値TGが連続プリント開始前に行われるテストプリントの際に算出される場合には、補正用パッチPは当該連続プリントの1枚目の用紙から形成されてもよい。
【0128】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値を第1補正量CA1として決定する場合について説明した。実施の形態2においては、連続プリントの初期においては、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値よりも大きい値を第1補正量CA1として決定する場合について説明する。なお、実施の形態2における画像形成装置は、
図4を参照して説明した画像形成装置100と同様のハードウェア構成を備えることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0129】
ここでは、実施の形態2における画像形成装置100による色補正の処理と、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の処理とで異なる点について説明する。実施の形態2における画像形成装置100による色補正の処理と、
図11を参照して説明した色補正の処理とで異なる点は、決定部152が第1補正量CA1の算出に使用する式である。
【0130】
実施の形態2において、決定部152は、基準補正量STを算出部151から取得すると、以下の式2を用いて第1補正量CA1を算出する。
【0131】
(第1補正量CA1)=(基準補正量ST)/(算出予定回数NT)×(増加率Z)・・・(式2)
【0132】
なお、実施の形態2における画像形成装置100の処理手順は、
図14を参照して説明した処理手順と同じであることから、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0133】
図15は、実施の形態2における第1補正量の一例を示す図である。
図15において、「パッチNo.」は、m回目(mは1以上の整数)の補正用パッチPを示す。
図15には、各回の補正用パッチPの形成時における「現像電位Vc」と、各回の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された「基準補正量ST」と、「増加率Z」と、基準補正量STに基づいて算出された「第1補正量CA1」とが示されている。なお、本実施の形態においても算出予定回数NTは3回とする。
【0134】
図15に示すように、本実施の形態においては、連続プリントの初期、たとえば、連続プリントが開始されてから3回目の補正用パッチPの形成が開始されるまでの間においては、「増加率Z」が1.0よりも大きい値に設定され、その後は、「増加率Z」が1.0に設定される。これにより、本実施の形態においては、連続プリントの初期に形成された補正用パッチPから算出される第1補正量CA1は、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値よりも大きい値に決定され、連続プリントの初期が終了した後に形成された補正用パッチPから算出される第1補正量CA1は、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値に決定される。
【0135】
詳細には、1回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1(-4.0V)は、1回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された基準補正量ST(-9.9V)の3分の1の値に増加率Z(1.2)を乗じた値である。
【0136】
また、2回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1(-6.6V)は、2回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された基準補正量ST(-18.0V)の3分の1の値に増加率Z(1.1)を乗じた値である。
【0137】
また、3回目以降の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1は、当該補正用パッチPの濃度に基づいて算出された基準補正量STの3分の1の値に増加率Z(1.0)を乗じた値である。
【0138】
このように、連続プリントの初期においては、決定部152は、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値よりも大きい値を第1補正量CA1として決定する。
【0139】
一般的に、連続プリントの初期においては、色が変動しやすい。なぜなら、現像器24内のトナーが入れ替わる速さや、現像器24内のトナーの帯電量や、画像形成装置100内の温度や湿度が変化するためである。
【0140】
たとえば、前回の連続プリントと、今回連続プリントとでユーザ指定画像Iが異なる場合には、前回の連続プリントと、今回の連続プリントとで、トナーの消費量を示す画像のカバレッジが異なる。そのため、連続プリントの初期においては、画像のカバレッジが変化しやすい。画像のカバレッジが変化すると、現像器24内のトナーが入れ替わる速さが変化する。現像器24内のトナーが入れ替わる速さが遅くなると、現像器24内のトナーの帯電量が上昇して現像性が変化することから、色が変動する。
【0141】
また、連続プリントの初期においては、現像器24内で現像剤の攪拌が開始されることから、現像器24内のトナーの帯電量が上昇しやすい。現像器24内のトナーの帯電量が上昇すると、現像性が変化することから、色が変動する。
【0142】
また、連続プリントの初期においては、定着温度の上昇や、画像形成装置100内の冷却ファンの動作の切り替え等に伴って画像形成装置100内の温度や湿度が変化しやすい。画像形成装置100内の温度や湿度が変化すると、色が変動する。
【0143】
実施の形態2では、色が変動しやすい連続プリントの初期において、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値よりも大きい値が第1補正量CA1として決定される。そのため、実施の形態2における画像形成装置100によれば、色変動への補正の追随性を向上させることができる。
【0144】
なお、
図15では、連続プリントの初期における増加率Zが第1補正量CA1の算出タイミングが早いほど大きい値に設定されているが、連続プリントの初期における増加率Zは第1補正量CA1の算出タイミングによらずに一律としてもよい。連続プリントの初期における増加率Zが第1補正量CA1の算出タイミングが早いほど大きい値に設定される場合には、色変動への補正の追随性が向上する。
【0145】
[実施の形態3]
実施の形態1においては、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値を第1補正量CA1として決定する場合について説明した。実施の形態3においては、連続プリント中に色に影響を与える因子が変化したことに応じて第1補正量CA1を調整する場合について説明する。
【0146】
図16は、実施の形態3における画像形成装置による色補正の処理の概要を説明するための図である。実施の形態3における画像形成装置100Aは、
図4を参照して説明した画像形成装置100と同様のハードウェア構成を備えることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0147】
一方で、実施の形態3における画像形成装置100Aによる色補正の処理は、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の処理と異なる。ここでは、実施の形態3における画像形成装置100Aによる色補正の処理と、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の処理とで異なる点について説明する。なお、実施の形態3における画像形成装置100Aの処理手順は、
図14を参照して説明した処理手順と同じであることから、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0148】
実施の形態3における画像形成装置100Aによる色補正の処理と、
図11を参照して説明した色補正の処理とで異なる点は、画像形成装置100Aが調整部155Aをさらに備える点である。調整部155Aは、上述のプロセッサ70がプログラム91を実行することにより実現される。
【0149】
調整部155Aは、決定部152により決定された第1補正量CA1を色に影響を与える因子の変化に応じて調整する。すなわち、調整部155Aは、決定部152が上記式1を用いて算出した第1補正量CA1を色に影響を与える因子の変化に応じて調整する。調整部155Aは、調整後の第1補正量CA1αを補正部153へ出力する。補正部153は、調整後の第1補正量CA1αを取得すると、調整後の第1補正量CA1αだけ画像形成部20の作像条件を補正する。
【0150】
色に影響を与える因子は、画像のカバレッジ、現像器24内のトナーの帯電量、前回のプリントが終了してから今回のプリントが開始されるまでの待機時間、画像形成装置100A内の温度、および画像形成装置100A内の湿度のうち少なくとも1つを含む。
【0151】
一例として、連続プリント中にユーザ指定画像Iのカバレッジが変化した場合には、調整部155Aは、第1補正量CA1を多くする。詳細には、調整部155Aは、補正用パッチPの形成時における画像のカバレッジと、当該補正用パッチPの濃度に基づいて算出された第1補正量CA1が適用される際の画像のカバレッジとを比較し、両者のカバレッジの差分が大きいほど、第1補正量CA1を多くする。
【0152】
他の例として、現像器24内のトナーの帯電量を測定する装置を画像形成装置100Aに設けておき、調整部155Aは、連続プリント中に現像器24内のトナーの帯電量が上昇すると、第1補正量CA1を多くしてもよい。
【0153】
他の例として、前回のプリントが終了してから今回のプリントが開始されるまでの待機時間を計測する装置を画像形成装置100Aに設けておき、調整部155Aは、待機時間が長いほど、第1補正量CA1を多くしてもよい。
【0154】
他の例として、画像形成装置100A内の温度を測定する装置を画像形成装置100Aに設けておき、調整部155Aは、連続プリント中に温度が大きく変化した場合には、第1補正量CA1を多くしてもよい。
【0155】
他の例として、画像形成装置100A内の湿度を測定する装置を画像形成装置100Aに設けておき、調整部155Aは、連続プリント中に湿度が大きく変化した場合には、第1補正量CA1を多くしてもよい。
【0156】
なお、第1補正量CA1をどの程度多くするかについては、実験結果を基に定められた値が画像形成装置100Aに予め設定されているものとする。
【0157】
一般的に、ユーザ指定画像Iのカバレッジが変化した場合には、色が変動しやすい。また、現像器24内のトナーの帯電量が上昇すると、現像性が変化することから、色が変動しやすい。また、待機時間が長いほど、現像器24内のトナーの帯電量が変化したり、画像形成装置100A内の温度や湿度が変化したりしやすい。現像器24内のトナーの帯電量や、画像形成装置100A内の温度や湿度が変化すると、色が変動しやすい。
【0158】
このように、実施の形態3では、色に影響を与える因子の変化に応じて第1補正量CA1が調整される。そのため、実施の形態3における画像形成装置100Aによれば、色変動への補正の追随性を向上させることができる。
【0159】
[実施の形態4]
実施の形態1においては、基準補正量STを算出予定回数NTで割った値を第1補正量CA1として決定する場合について説明した。実施の形態4においては、基準補正量STのうち閾値内補正量に対して決定される第2補正量と、基準補正量STのうち閾値外補正量に対して決定される第3補正量との合計値を第1補正量CA1として決定する場合について説明する。
【0160】
図17は、実施の形態4における画像形成装置による色補正の処理の概要を説明するための図である。実施の形態4における画像形成装置100Bは、
図4を参照して説明した画像形成装置100と同様のハードウェア構成を備えることから、同じ構成には同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0161】
一方で、実施の形態4における画像形成装置100Bは、画像形成モードから補正用パッチPの濃度ムラを測定するムラ測定モードに切り替え可能である点において、実施の形態1における画像形成装置100と異なる。また、実施の形態4における画像形成装置100Bによる色補正の処理は、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の処理と異なる。ここでは、実施の形態4における画像形成装置100Bによる色補正の処理と、実施の形態1における画像形成装置100による色補正の処理とで異なる点について説明する。
【0162】
実施の形態4における画像形成装置100Bによる色補正の処理と、
図11を参照して説明した色補正の処理とで異なる点は、画像形成装置100Bが決定部152に替えて決定部152Bを備え、かつ、第1設定部156Bをさらに備える点である。決定部152Bおよび第1設定部156Bは、上述のプロセッサ70がプログラム91を実行することにより実現される。
【0163】
ムラ測定モードにおいて、測定部50は、補正用パッチPが形成されている用紙SHが搬送されてくる毎に当該補正用パッチPの濃度を測定し、測定値を第1設定部156Bへ出力する。これにより、第1設定部156Bは、複数の測定値を取得する。
【0164】
第1設定部156Bは、ムラ測定モードにおける測定部50の測定値に基づいて、基準補正量STの閾値THを設定する。閾値THは、補正用パッチPの濃度ムラによりばらつくことが予想される基準補正量STの範囲に応じて設定される。
【0165】
一例として、第1設定部156Bは、測定部50から取得した複数の測定値を基に目標値TGとの差が最も大きい補正用パッチPの濃度を特定し、当該補正用パッチPの濃度が目標値TGとなるような補正量を算出する。第1設定部156Bは、当該補正量を閾値THとしてストレージ90に保存する。
【0166】
このような閾値THの設定により、算出部151により算出された基準補正量STが閾値TH以内である場合には、色変動の原因は補正用パッチPの濃度ムラであると判断できる。算出部151により算出された基準補正量STが閾値TH以内である場合には、基準補正量STは、補正用パッチPの濃度ムラによる色変動に対する補正量といえる。
【0167】
一方、算出部151により算出された基準補正量STが閾値THを超える場合には、色変動の原因は補正用パッチPの濃度ムラと、補正用パッチPの濃度ムラ以外の因子とを含むと判断できる。算出部151により算出された基準補正量STが閾値THを超える場合には、基準補正量STのうち閾値TH分については、補正用パッチPの濃度ムラによる色変動に対する補正量といえ、基準補正量STのうち閾値THを超える分については、補正用パッチPの濃度ムラ以外の因子による色変動に対する補正量といえる。
【0168】
補正用パッチPの濃度ムラ以外の因子は、画像のカバレッジ、現像器24内のトナーの帯電量、前回のプリントが終了してから今回のプリントが開始されるまでの待機時間、画像形成装置100B内の温度、および画像形成装置100B内の湿度のうち少なくとも1つを含む。
【0169】
決定部152Bは、算出部151から基準補正量STを取得すると、まず、ストレージ90から算出予定回数NTと、閾値THとを取得する。次いで、決定部152Bは、第2補正量CA2と、第3補正量CA3とを算出し、第2補正量CA2と、第3補正量CA3との合計値を第1補正量CA1に決定する。
【0170】
なお、実施の形態4における画像形成装置100Bの処理手順は、
図14を参照して説明した処理手順と同じであることから、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0171】
次に、
図18および
図19を参照して、決定部152Bによる第1補正量CA1の算出方法について説明する。本実施の形態においても、算出予定回数NTは3回とする。
図18は、実施の形態4における第1補正量の算出方法を説明するための図である。
図19は、
図18に示す各種補正量の一例を示す図である。
【0172】
図18において、「基準補正量ST1」は1回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された基準補正量を示し、「基準補正量ST2」は2回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された基準補正量を示し、「基準補正量ST3」は3回目の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された基準補正量を示す。以下の説明において、基準補正量ST1、基準補正量ST2、および基準補正量ST3を区別しない場合には、「基準補正量ST」と称する。
【0173】
図19において、「パッチNo.」は、m回目(mは1以上の整数)の補正用パッチPを示す。
図19には、各回の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された「基準補正量ST」と、「閾値内補正量Wc」と、「第2補正量CA2」と、「今回の閾値外補正量Uc」と、「前回の閾値外補正量Up」と、「第3補正量CA3」と、「第1補正量CA1」とが示されている。
【0174】
図18および
図19においては、基準補正量ST1は3.0Vであり、基準補正量ST2は12.0Vであり、基準補正量ST3は14.0Vであるとする。また、
図18および
図19においては、閾値THは6.0Vとする。
【0175】
図18および
図19を参照して、閾値内補正量Wcは、基準補正量STのうち閾値TH以内の補正量を示す。基準補正量STが閾値TH以内である場合には、決定部152Bは、基準補正量STを閾値内補正量Wcに決定する。これに対し、基準補正量STが閾値THを超える場合には、決定部152Bは、閾値THを閾値内補正量Wcに決定する。
【0176】
図18および
図19に示す例では、基準補正量ST1における閾値内補正量Wcは3.0Vであり、基準補正量ST2における閾値内補正量Wcは6.0Vであり、基準補正量ST3における閾値内補正量Wcは6.0Vである。
【0177】
決定部152Bは、閾値内補正量Wcと、算出予定回数NTとに応じて第2補正量CA2を決定する。第2補正量CA2は、基準補正量STのうち閾値内補正量Wcに対して決定される補正量である。一例として、決定部152Bは、以下の式3を用いて第2補正量CA2を算出する。
【0178】
(第2補正量CA2)=(閾値内補正量Wc)/(算出予定回数NT)・・・(式3)
【0179】
図18および
図19に示す例では、1回目の補正用パッチPに基づいて算出された第2補正量CA2は1.0Vである。また、2回目の補正用パッチPに基づいて算出された第2補正量CA2と、3回目の補正用パッチPに基づいて算出された第2補正量CA2とはそれぞれ2.0Vである。
【0180】
閾値外補正量とは、基準補正量STのうち閾値THを超える分の補正量を示す。今回の閾値外補正量Ucは、今回の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された閾値外補正量を示す。基準補正量STが閾値TH以内である場合には、決定部152Bは、今回の閾値外補正量Ucをゼロに決定する。これに対し、基準補正量STが閾値THを超えている場合には、決定部152Bは、以下の式4を用いて今回の閾値外補正量Ucを算出する。
【0181】
(今回の閾値外補正量Uc)=(基準補正量ST)-(閾値TH)・・・(式4)
【0182】
図18および
図19に示す例では、基準補正量ST1における今回の閾値外補正量UcはゼロVであり、基準補正量ST2における今回の閾値外補正量Ucは6.0Vであり、基準補正量ST3における今回の閾値外補正量Ucは8.0Vである。
【0183】
前回の閾値外補正量Upは、前回の補正用パッチPの濃度に基づいて算出された閾値外補正量を示す。決定部152Bは、1回目の補正用パッチPに基づいて第1補正量CA1を算出する場合には、前回の閾値外補正量Upをゼロに決定する。また、決定部152Bは、2回目以降の補正用パッチPに基づいて第1補正量CA1を算出する場合であって、前回の基準補正量STが閾値TH以内である場合にも、前回の閾値外補正量Upをゼロに決定する。
【0184】
図18および
図19に示す例では、基準補正量ST1における前回の閾値外補正量UpはゼロVであり、基準補正量ST2における前回の閾値外補正量UpはゼロVであり、基準補正量ST3における前回の閾値外補正量Upは6.0Vである。
【0185】
決定部152Bは、以下の式5を用いて第3補正量CA3を算出する。第3補正量CA3は、基準補正量STのうち閾値外補正量に対して決定される補正量である。
【0186】
(第3補正量CA3)=(今回の閾値外補正量Uc)-(前回の閾値外補正量Up)・・・(式5)
【0187】
図18および
図19に示す例では、基準補正量ST1における第3補正量CA3はゼロVであり、基準補正量ST2における第3補正量CA3は6.0Vであり、基準補正量ST3における第3補正量CA3は2.0Vである。
【0188】
決定部152Bは、以下の式6を用いて第1補正量CA1を算出する。
【0189】
(第1補正量CA1)=(第2補正量CA2)+(第3補正量CA3)・・・(式6)
【0190】
図18および
図19に示す例では、1回目の補正用パッチPに基づいて算出される第1補正量CA1は1.0Vであり、2回目の補正用パッチPに基づいて算出される第1補正量CA1は8.0Vであり、3回目の補正用パッチPに基づいて算出される第1補正量CA1は4.0Vである。
【0191】
このように、実施の形態4においては、基準補正量STのうち閾値内補正量Wcに対して決定される第2補正量CA2は、閾値内補正量Wcよりも少ない値である。閾値内補正量Wcは、補正用パッチPの濃度ムラによる色変動に対する補正量である。第2補正量CA2は閾値内補正量Wcよりも少ない値であることから、過補正が抑制される。
【0192】
また、基準補正量STのうち閾値外補正量に対して決定される第3補正量CA3は、今回の閾値外補正量Ucから前回の閾値外補正量Upを差し引いた値である。閾値外補正量は、補正用パッチPの濃度ムラ以外の因子による色変動に対する補正量である。閾値外補正量に対して決定される第3補正量CA3には、今回の閾値外補正量Ucから前回の閾値外補正量Upを差し引いた値をさらに減算した値ではなく、今回の閾値外補正量Ucから前回の閾値外補正量Upを差し引いた値をそのまま採用することから、色変動への補正の追随性が損なわれることを防ぐことができる。
【0193】
また、第3補正量CA3として、今回の閾値外補正量Ucではなく、今回の閾値外補正量Ucから前回の閾値外補正量Upを差し引いた値が採用されることから、過補正が抑制される。
【0194】
なお、上記説明において、閾値THはムラ測定モードにおける測定部50の測定値に基づいて設定されるものとしたが、実験結果を基に定められた閾値THが画像形成装置100Bに予め設定されていてもよい。閾値THが画像形成装置100Bに予め設定されている場合には、画像形成装置100Bは、画像形成モードからムラ測定モードに切り替えできなくてもよい。
【0195】
また、連続プリントの初期において、決定部152Bは、閾値内補正量Wcを算出予定回数NTで割った値よりも大きい値を第2補正量CA2として決定してもよい。
【0196】
[その他の実施の形態]
実施の形態2と実施の形態3とを組み合わせてもよい。
【0197】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0198】
5 搬送路、10 給紙部、15,15C,15K,15M,15Y 作像ユニット、18 排紙トレイ、20 画像形成部、21,21C,21K,21M,21Y 感光体、22,22C,22K,22M,22Y 帯電装置、23,23C,23K,23M,23Y 露光装置、24,24C,24K,24M,24Y 現像器、25,25C,25K,25M,25Y 一次転写装置、26 中間転写ベルト、27 二次転写装置、28 クリーニング装置、29 定着装置、30 操作パネル、40 通信インターフェイス、50 測定部、60 メモリーカードインターフェイス、60A メモリーカード、70 プロセッサ、80 メモリ、90 ストレージ、91 プログラム、99 バス、100,100A,100B 画像形成装置、151 算出部、152,152B 決定部、153 補正部、154 第2設定部、155A 調整部、156B 第1設定部、A,B1,B2 方法、CA1 第1補正量、CA2 第2補正量、CA3 第3補正量、CR1,CR2 断裁線、D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7 色差、I ユーザ指定画像、NT 算出予定回数、P,P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8 補正用パッチ、Pv 現在値、Q,Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8 目標値算出用パッチ、R1,R2,R3,R4,R5,R6 色、SH,SH1,SH6,SH11,SH13,SH16,SH21,SH23,SH26,SH28,SH31,SH33,SH36,SH38,SH41,SHn 用紙、ST,ST1,ST2,ST3 基準補正量、TG 目標値、TH 閾値、Uc 今回の閾値外補正量,Up 前回の閾値外補正量、Vc 現像電位、Wc 閾値内補正量、Z 増加率。