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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157637
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】末端変性ポリイミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/10 20060101AFI20231019BHJP
【FI】
C08G73/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067671
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】592166137
【氏名又は名称】河村産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】田中 圭三
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】久保 慎弥
【テーマコード(参考)】
4J043
【Fターム(参考)】
4J043PA02
4J043PA04
4J043PB24
4J043QB15
4J043QB26
4J043SA06
4J043SA47
4J043SA54
4J043SA81
4J043SB01
4J043SB03
4J043TA22
4J043TA71
4J043UA022
4J043UA042
4J043UA121
4J043UA122
4J043UA131
4J043UA132
4J043UB021
4J043UB122
4J043UB152
4J043UB281
4J043UB301
4J043XA16
4J043YA06
4J043YB35
4J043ZA02
4J043ZA52
4J043ZB21
4J043ZB47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れた耐熱性、機械特性を有し、接着性にも優れた末端変性ポリイミドを提供する。
【解決手段】一般式(1)で示され、重量平均分子量が10,000~200,000の範囲にあることを特徴とする末端変性ポリイミドである。

(式(1)中、Rは、4価の有機基であり、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよく、Rは、芳香環を有する2価の有機基であり、Rは、基-O-又は基-N(R)-であり、Rはイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基を含む1価の置換基であり、nは、ポリイミドの重量平均分子量を10,000~200,000の範囲とすることのできる数である)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示され、重量平均分子量が10,000~200,000の範囲にあることを特徴とする末端変性ポリイミド。
【化3】

(式(1)中、
は、4価の有機基であり、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよく、
は、芳香環を有する2価の有機基であり、
は、基-O-又は基-N(R)-であり、
はイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基を含む1価の置換基であり、
nは、ポリイミドの重量平均分子量を10,000~200,000の範囲とすることのできる数である)
【請求項2】
有機溶媒に可溶であることを特徴とする請求項1に記載の末端変性ポリイミド。
【請求項3】
及び/又はRがフッ素を有する置換基で置換されている、請求項1記載の末端変性ポリイミド。
【請求項4】
が、トリアゾール基又はテトラゾール基を含む1価の置換基である、請求項1記載の末端変性ポリイミド。
【請求項5】
芳香族ジアミン、テトラカルボン酸二無水物及びイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基とアミノ基を含む末端変性用化合物から得られ、末端変性用化合物のモル量をAe(モル)、芳香族ジアミン化合物のモル量をAda(モル)、末端変性用化合物の重量をWe(g)、芳香族ジアミン化合物の重量をWda(g)、テトラカルボン酸二無水物の重量をWaa(g)として、下記式:
Mpi = Ae/{(We+Wda+Waa)-(Ae+2Ada)×18.015}×1,000,000
から求められる末端変性度Mpiが、10μモル/g以上である、請求項1記載の末端変性ポリイミド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子材料用途やディスプレイ用途等に好適に用いられる、優れた耐熱性、機械特性や接着性を兼ね備えた末端変性ポリイミドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは耐熱性に優れる高分子として、航空宇宙分野、電気絶縁分野、電子分野等の耐熱性や高信頼性が要求される幅広い分野で活用されている。ポリイミドの使用方法としては、フィルムの形態に製膜した後に接着剤を用いて他の基体と接合したり、フィルム化したポリイミド表面に蒸着やスパッタリング等の方法で銅等の金属薄膜を形成し、さらに必要により電解めっき等の方法で金属を厚付けしてポリイミド-金属の積層材料としたり、銅箔等の金属箔等の上にポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を塗膜し、さらに乾燥とイミド化を行うことで金属箔等の上にポリイミド層が形成された積層材料にしたりする等、他の基体、特に金属との接合を必要とする使用方法が多くの分野で用いられている。そのように金属等の他の基体と接合してポリイミドを用いる場合、ポリイミドと基体との接着強度が重要となるケースが多く、接着強度が低いとポリイミドと基体が剥離してしまい問題となることがあった。
【0003】
かかる問題点を解決するため、特許文献1には、ポリイミドの合成に用いるジアミン化合物としてジアミノポリシロキサンを用いたシロキサンポリイミドおよびそれを含有する耐熱性接着剤が提案されている。また、特許文献2には、ケトン基を有するポリイミド樹脂と少なくとも2つの第1級アミノ基を官能基として有する架橋ポリイミド樹脂と接着剤樹脂組成物が提案されている。さらに、特許文献3には、末端の原料ジアミン化合物由来のアミノ基濃度が特定の範囲にあり、フッ素原子を特定濃度で含有するポリイミド前駆体を含むポリイミド接着剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-307232号公報
【特許文献2】特開2013-1730号公報
【特許文献3】特開2021-161285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリイミドの原料化合物の選択により、ポリイミドに接着性をもたらすことが検討されているが、特許文献1で提案されたシロキサンポリイミドは、通常用いられる芳香族ジアミン化合物を用いたポリイミドと比べて耐熱性が著しく劣るため、高温での使用や高温プロセスへの適用が制限されるとともに、未反応の環状シロキサンが被着体や他の部材を汚染するという問題があった。特許文献2で提案された架橋ポリイミド樹脂には脂肪族ジアミンが用いられており、やはり耐熱性が劣るという問題があった。特許文献3で提案されたポリイミド接着剤はポリイミド前駆体を主成分としていることから、イミド化のために高温での熱処理を必要とし、末端がアミノ基であることから熱処理の工程において変色や劣化が起こりやすいという問題があった。また、接着剤としての接着性能も十分とは言い難いものであった。
以上を鑑み、本発明の目的は、耐熱性、機械特性及び接着性に優れた末端変性ポリイミドを与えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ポリイミド樹脂の末端をイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基を有する置換基で変性することにより、ポリイミド樹脂の本来の耐熱性、機械特性や透明性を損なうことなく、ポリイミド樹脂の接着性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明によれば、以下に示す末端変性ポリイミドが提供される。
[1] 一般式(1)で示され、重量平均分子量が10,000~200,000の範囲にある末端変性ポリイミド。
【化1】

(式(1)中、
は、4価の有機基であり、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよく、
は、芳香環を有する2価の有機基であり、
は、基-O-又は基-N(R)-であり、
はイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基を含む1価の置換基であり、
nは、ポリイミドの重量平均分子量を10,000~200,000の範囲とすることのできる数である)
[2] 有機溶媒に可溶であることを特徴とする[1]に記載の末端変性ポリイミド。
[3]R及び/又はRがフッ素を有する置換基で置換されている、[1]に記載の末端変性ポリイミド。
[4]Rが、トリアゾール基又はテトラゾール基を含む1価の置換基である、[1]に記載の末端変性ポリイミド。
[5]芳香族ジアミン、テトラカルボン酸二無水物及びイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基とアミノ基を含む末端変性用化合物から得られ、末端変性用化合物のモル量をAe(モル)、芳香族ジアミン化合物のモル量をAda(モル)、末端変性用化合物の重量をWe(g)、芳香族ジアミン化合物の重量をWda(g)、テトラカルボン酸二無水物の重量をWaa(g)として、下記式:
Mpi = Ae/{(We+Wda+Waa)-(Ae+2Ada)×18.015}×1,000,000
から求められる末端変性度Mpiが、10μモル/g以上である、[1]に記載の末端変性ポリイミド。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、優れた耐熱性、機械特性を有し、接着性にも優れた末端変性ポリイミドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の末端変性ポリイミドは、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかで片側もしくは両側の末端が変性された、重量平均分子量が10,000~200,000の範囲にあるポリイミドである。
【0010】
1.原料
1.1.芳香族ジアミン化合物
本発明の末端変性ポリイミドの製造には芳香族ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物及び後述の末端変性用化合物が原料として使用される。使用される芳香族ジアミン化合物としては、合わせて用いられるテトラカルボン酸二無水物との反応により、ポリイミドを与える芳香族ジアミン化合物であれば、任意の芳香族ジアミン化合物を使用することができる。芳香族ジアミン化合物から2つのアミノ基を取り去った構造が、上記式(1)のRに対応する。Rすなわち芳香族ジアミンのアミノ基以外の構造は、芳香環を少なくとも一つ有していればその具体的な構造は制限されない。芳香環は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンのような芳香族炭化水素、ピリジン、インドールのようなヘテロ環であることができる。分子設計が容易であることから、芳香族炭化水素であることが好ましい。芳香族ジアミン化合物は、1つだけ芳香環を有していてもよく、2つ以上の芳香環が直接又は2価の基を介して連結していてもよい。2つの芳香環を連結する2価の基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキレン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基等が挙げられる。芳香族ジアミン化合物が有するアミノ基は、Rに対応する部分のどの箇所に結合していてもよい。2つ以上の芳香環を有する場合にはそれぞれの芳香環に1つずつアミノ基を有していてもよく、芳香環を連結する2価の基にアミノ基を有していてもよく、芳香環が有するアルキル基などの置換基上にアミノ基を有していてもよい。また、芳香環はハロゲン、ハロゲン化アルキル基等、アミノ基以外の置換基を有していてもよい。
【0011】
芳香族ジアミンとして具体的には、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエ-テル、4,4’-ジアミノジフェニルエ-テル、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(4-アミノフェニル)スルホン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェニル)スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エ-テル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エ-テル、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エ-テル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-トリフルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-フルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルなどが挙げられる。これらの芳香族ジアミン化合物は単独で用いてもよく、2種類以上の芳香族ジアミン化合物を使用してもよい。本発明のポリイミドは有機溶媒に可溶であることが好ましく、その観点から、2,2-ビス(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-(3-アミノフェニル)-2-(4-アミノフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔3-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-トリフルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3-ビス〔4-(4-アミノ-6-フルオロメチルフェノキシ)-α,α-ジメチルベンジル〕ベンゼン、3,3’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニルなどのフルオロ基を有する芳香族ジアミン化合物を使用することが好ましい。このようなフルオロ基を有する芳香族ジアミン化合物を用いることで、ポリイミドの耐熱性や機械特性を維持したまま、溶媒への溶解性がより向上する。
【0012】
1.2.テトラカルボン酸二無水物
本発明の末端変性ポリイミドの製造に使用されるテトラカルボン酸二無水物としては、上記芳香族ジアミン化合物と同様に、任意のものを使用できる。テトラカルボン酸二無水物から2つの酸無水物基を取り去った構造が、上記式(1)のRに対応する。Rすなわちテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基以外の部分は、具体的な構造は制限されない。Rの部分は、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素であってもよく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンのような芳香族炭化水素、ピリジン、インドールのようなヘテロ環であることもできる。分子設計が容易であることから、環式炭化水素を含む構造であることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物が有する酸無水物基は、Rに対応する部分のどの箇所に結合していてもよい。また、R部分はハロゲン、ハロゲン化アルキル基等、酸無水物基以外の置換基を有していてもよい。
【0013】
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、4,4’-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ジフタル酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,4-ヒドロキノンジベンゾエ-ト-3, 3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物などが例示される。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよく、二種類以上のテトラカルボン酸二無水物を使用してもよい。そして、良好な耐熱性、機械特性を維持したまま、溶媒への可溶性をより高める観点から、混合されるポリイミドの少なくともひとつには4,4’-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ジフタル酸二無水物など、フルオロ基を有するテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。
【0014】
1.3.末端変性用化合物
本発明の末端変性ポリイミドは、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基から選択される基により末端が変性されている。この末端変性基は、上記一般式(1)の基Rに対応する。ポリイミドの末端変性は、テトラカルボン酸二無水物由来の酸無水物基と反応可能な、イミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基から選択される基とアミノ基を有する化合物により行われる。これらの基は、アミノ基に直接結合していてもよく、2価のアルキレン基など、スペーサーとなる基を介して結合していてもよい。これらの基をポリイミドに導入するための化合物としては、2-アミノ-イミダゾール、1-(3-アミノプロピル)イミダゾール、5-アミノ-イミダゾール-4-カルボアミド、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、5-アミノテトラゾール等が使用できる。末端変性ポリイミド合成の行いやすさや接着性向上の観点から、トリアゾール基もしくはテトラゾール基を有する末端変性用化合物を用いることが好ましく、3-アミノ-1,2,4-トリアゾールを用いることが特に好ましい。
【0015】
2.末端変性ポリイミドの合成方法
本発明の末端変性ポリイミドは、芳香族ジアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物及び末端変性用化合物を原料として、末端変性用化合物とテトラカルボン酸二無水物由来の酸無水物基(以下、単に酸無水物基ともいう)との反応、ポリアミド酸への重合、イミド化反応により合成される。なお、末端変性用化合物と酸無水物基との反応はポリアミド酸への重合の前に行うこともポリアミド酸への重合の後に行うことも可能であり、さらには目的の末端変性ポリイミドさえ得ることができれば、イミド化反応の後に行うことも可能である。
【0016】
2.1.末端変性用化合物と酸無水物基との反応
末端変性用化合物と酸無水物基との反応は、本発明の末端変性ポリイミドの合成に用いられるテトラカルボン酸二無水物か、後述の方法で得られたテトラカルボン二無水物由来の酸無水物基を末端に有するポリアミド酸もしくはポリイミドの末端の酸無水物基と、末端変性用化合物中のアミノ基の反応である。これらの何れの方法でも、最終的に末端変性用化合物中のイミドゾール基、トリアゾール基もしくはテトラゾール基を末端に有する末端変性ポリイミドを得ることができ、反応の容易さから、末端変性用化合物と芳香族ジアミン化合物の両方が溶解した溶液中にテトラカルボン酸二無水物を投入して、末端変性用化合物と酸無水物基の反応と芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物の反応(ポリアミド酸への重合反応)を同時に進行させる方法が、効率的に反応させることができ好ましい。
【0017】
末端変性用化合物と酸無水物基との反応と、ポリアミド酸への重合反応を同時に進行させる場合、例えばN,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン等の溶媒に所定量の末端変性用化合物と芳香族ジアミン化合物を溶解させておき、そこに使用するテトラカルボン酸二無水物を投入することで、芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物によるポリアミド酸への重合反応が起こる一方で、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基もしくは重合が進行したポリアミド酸の末端の酸無水物基と末端変性用化合物のアミンとの反応が起こる。このようにして、末端変性用化合物と酸無水物基の反応及びポリアミド酸への重合反応が進行し、最終的に末端変性用化合物に由来するイミダゾール基、トリアゾール基もしくはテトラゾール基が末端にアミド酸の形で結合したポリアミド酸を得ることができ、末端がそのように変性されたポリアミド酸について後述のイミド化反応を行うことで、同時に末端変性用化合物とテトラカルボン酸二無水物との反応により生じたアミド酸のイミド化が起こり、本発明の末端変性ポリイミドが生成する。
【0018】
2.2.ポリアミド酸への重合
ポリアミド酸への重合は、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物による重付加反応であり、生成するポリアミド酸が可溶な溶媒への溶解下で行うことができる。その場合、前述のように、予め一部のテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基に末端変性用化合物を反応させておく、もしくは末端変性用化合物と酸無水物基との反応とポリアミド酸への重合反応を同時に進行させることも可能である。
【0019】
ポリアミド酸への重合に用いる溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン等の溶媒を好適に用いることができる。
【0020】
ポリアミド酸への重合反応は、攪拌装置を備えた反応容器で攪拌しながら行うことが好ましい。例えば、上記溶媒に所定量の芳香族ジアミン化合物を溶解させて、攪拌しながらテトラカルボン酸二無水物を投入して反応を行いポリアミド酸を得る方法、テトラカルボン酸二無水物を溶媒に溶解させて、攪拌しながら芳香族ジアミン化合物を投入して反応を行いポリアミド酸を得る方法、芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物を交互に投入して反応させてポリアミド酸を得る方法などが挙げられる。
【0021】
また、末端変性用化合物と酸無水物基との反応と同時に行わせる場合は、前述のように、所定量の芳香族ジアミン化合物と末端変性用化合物を溶解させておき、そこに所定量のテトラカルボン酸二無水物を投入する方法が簡便であり好ましい。
【0022】
ポリアミド酸への重合反応の温度については特に制約はないが、0~70℃の温度で行うことが好ましく、より好ましくは10~60℃であり、更に好ましくは20~50℃である。重合反応を上記範囲内で行うことで、着色が少なく透明性に優れたポリアミド酸を得ることが可能となる。
【0023】
また、ポリアミド酸への重合に使用する芳香族ジアミン化合物とテトラカルボン酸二無水物の使用量(モル比率)は、得られるポリアミド酸の末端を酸無水物基もしくは酸無水物基と反応した末端変性用化合物由来の置換基とするため、使用する芳香族ジアミン化合物のモル量に対して過剰のモル量のテトラカルボン酸二無水物を使用する。また、ポリアミド酸及びそのイミド化反応により得られるポリイミドの重合度をコントロールするために、テトラカルボン酸二無水物のモル量/芳香族ジアミン化合物のモル量(モル比率)を1.001~1.2の範囲で変化させることも可能である。そして、本発明の末端変性ポリイミドの重量平均分子量を10,000~200,000とするためには、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物のモル比率(テトラカルボン酸二無水物のモル量/芳香族ジアミン化合物のモル量)が1.005~1.2の範囲であることが好ましく、1.01~1.15であることがより好ましい。このようにテトラカルボン酸二無水物を適切な範囲で過剰に用いることで、得られるポリアミド酸の重合度を所定の範囲に安定させることができるとともに、テトラカルボン酸二無水物由来の酸無水物基をポリマーの末端に配置することができる。この場合、芳香族ジアミン化合物に対してテトラカルボン酸二無水物のモル比率が高いと得られるポリイミドの重合度が小さくなる傾向があり、モル比率が1に近いと得られるポリイミドの重合度が大きくなる傾向がある。
【0024】
また、本発明において酸無水物基と反応させる末端変性用化合物の使用量(モル量)は、重合反応に使用させるテトラカルボン酸二無水物中の酸無水物基のモル量(テトラカルボン酸二無水物中に2つの酸無水物基があることから、テトラカルボン酸二無水物のモル量の2倍)と芳香族ジアミン化合物のアミノ基のモル量(同様に芳香族ジアミン化合物のモル量の2倍)の差を上限として、末端変性されるポリイミドの割合を考慮して適宜決定することができる。従って、使用されるテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミン化合物、末端変性用化合物のモル量をコントロールすることで、得られる末端変性ポリイミドの重量平均分子量や後述の末端変性度をコントロールすることができる。
【0025】
生成するポリアミド酸溶液の濃度は、溶液の粘度を適正に保ち、その後の工程での取り扱いが容易になるよう、適切な濃度(例えば、10~40重量%程度)に整えることが好ましい。
【0026】
2.3.イミド化反応
本発明において、ポリアミド酸のイミド化反応は任意の方法で行うことが可能である。例えばポリアミド酸溶液の状態で熱イミド化や化学イミド化によりイミド化反応を行うことができ、さらには既に末端変性用化合物と反応させた後のポリアミド酸であれば、ポリアミド酸のワニスをフィルムや金属箔等に所定の厚みになるように塗布して、乾燥及び塗膜の状態で熱イミド化する方法でイミド化反応を行うことも可能である。それらのうち、ポリアミド酸溶液の状態で化学イミド化によりイミド化反応を行う方法が、イミド化反応の際の温度を低く抑えることができ、生成する末端変性ポリイミドの末端基の変質や分解が抑制されるという観点から好ましい。
【0027】
以下、本発明において好ましい形態であるポリアミド酸溶液の状態での化学イミド化反応について詳述する。
【0028】
ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の化学イミド化反応に用いられるイミド化剤としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水安息香酸などのカルボン酸無水物を用いることができ、コストや反応後の除去のしやすさの観点から無水酢酸を使用することが好ましい。使用するイミド化剤の当量は化学イミド化反応を行うポリアミド酸のアミド結合の当量以上であり、アミド結合の当量の1.1~5倍であることが好ましく、1.5~4倍であることがより好ましい。このようにアミド結合に対して少し過剰のイミド化剤を使用することで、比較的低温でも効率的にイミド化反応を行うことができる。
【0029】
また、化学イミド化反応には、イミド化促進剤として、ピリジン、ピコリン、キノリン、イソキノリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族、芳香族又は複素環式第三級アミン類を使用することができる。このようなアミン類を使用することで、低温で効率的にイミド化反応を行うことができ、その結果イミド化反応時の着色を抑えることが可能となる。
【0030】
化学イミド化反応温度については特に制約はないが、10℃以上50℃未満で行うことが好ましく、15℃以上45℃未満で行うことがより好ましい。10℃以上50℃未満の温度で化学イミド化反応を行うことで、イミド化前のポリアミド酸の解裂が抑制され、重合度のコントロールが容易になるとともに、ポリイミドの着色が抑えられ、透明性に優れたポリイミドを得ることができる。
また、前述したように、末端変性化合物のアミノ基と酸無水物基との反応により生じたアミド酸は、ポリアミド酸のイミド化反応と同時にイミド化を行うことが可能である。
【0031】
3.ポリイミド粉体の製造
3.1.粉体化
ポリアミド酸の化学イミド化反応により得られた末端変性ポリイミド溶液中には反応溶媒のほかに無水酢酸等のイミド化剤やイミド化促進剤が含まれており、それらを取り除くためにポリイミドの粉体化及び洗浄を行うことができる。ポリイミドの粉体化は末端変性が完了したポリイミド溶液中にポリイミドの貧溶媒を加えてポリイミドを析出させて粉体を形成させる方法、ポリイミドの貧溶媒中にポリイミド溶液を投入して析出させる方法など任意の方法で行うことが可能であるが、ポリイミド溶液中にポリイミドの貧溶媒を加えてポリイミドを析出させて粉体を形成させる方法が簡便であり好ましい。貧溶媒を加えてポリイミドの析出・粉体化を行う場合、貧溶媒としては、ポリイミドを析出することができる任意の貧溶媒が使用でき、ポリイミド溶液の溶媒とは混和性であることが望ましいので、具体的には、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等を用いることができる。そして、貧溶媒としてメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等の低級アルコール系貧溶媒やそれらの混合溶媒を用いることで安定した形状のポリイミド粉体を収率良く得ることができ好ましい。
【0032】
貧溶媒によるポリイミドの析出・粉体化を行う場合、使用する貧溶媒の量はポリイミドの析出粉体化を行うのに十分な量を投入する必要があり、ポリイミドの構造、ポリイミド溶液の溶媒、ポリイミドの溶液濃度等を考慮して決定するが、通常はポリイミド溶液重量の0.5倍以上、好ましくはポリイミド溶液重量の0.8倍以上、より好ましくはポリイミド溶液重量の1倍以上の重量の貧溶媒を使用する。ポリイミド溶液を重量の0.5倍以上の重量の貧溶媒を使用することで、安定した形状のポリイミド粉体を高収率で得ることができる。また、通常はポリイミド溶液重量の10倍以下、好ましくはポリイミド溶液重量の7倍以下、より好ましくはポリイミド溶液重量の5倍以下、更に好ましくはポリイミド溶液重量の4倍以下の重量の貧溶媒を使用する。
【0033】
ポリイミドの粉体化を、上記のようにポリイミド溶液に貧溶媒を添加することで行う場合、ポリイミド溶液を攪拌しながら、貧溶媒を滴下する方法で行うことが好ましい。貧溶媒の拡散を容易にするため、ポリイミド溶液は予め10~40重量%程度の濃度に調整しておくことが望ましい。また、本発明により得られるポリイミド粉体の好ましい平均粒子径が0.02~0.8mmであるが、平均粒子径はポリイミド溶液への貧溶媒の添加速度によりコントロールすることができる。
【0034】
3.2.粉体の乾燥
前述の方法で得られた末端変性ポリイミド粉体の乾燥を行い、溶媒、イミド化剤、イミド化促進剤、貧溶媒等を除去する。乾燥は、ポリイミド粉体を予め濾過装置により濾別し、更に必要に応じて洗浄することにより、上記ポリイミドの溶媒、イミド化剤、イミド化促進剤をあらかた取り除いた後に行うことが、乾燥を効率的に行う上で好ましい。
【0035】
上記ポリイミド粉体の乾燥は、ポリイミド溶媒、イミド化剤、イミド化促進剤、貧溶媒等の残渣を除去することができれば任意の温度で行うことができるが、例えば上記貧溶媒にメタノール、エタノール、プロパノール等のヒドロキシ基を有する貧溶媒を用いた場合にいきなり100℃以上の温度で乾燥を行うと、ポリイミド中のカルボン酸基もしくは酸無水物基と上記貧溶媒が反応してエステル結合を生成してしまい、耐熱性の低下、着色更には分子量の低下といった問題を引き起こす可能性がある。従って乾燥工程は、100℃未満の温度と100~350℃の温度の2段階以上もしくは、100℃未満の温度から、100℃以上350℃以下の温度まで昇温させて行うことが好ましい。また、ポリイミド粉体の乾燥は、常圧で行ってもよく、減圧下で行っても差し支えない。
【0036】
4.末端変性ポリイミド
本発明の末端変性ポリイミドは、前述の方法により得られる一般式(1)で示されるポリイミドである。
【化2】

(式(1)中、R~Rは上記定義のとおりである。)
が、基-O-又は基-N(R)-であり、Rがイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基を含む1価の置換基であるので、本発明の末端変性ポリイミドは、分子の少なくとも一方の末端がイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの少なくとも一つの基を含む1価の置換基で変性されたポリイミドである。
【0037】
末端変性ポリイミドにおいて、末端変性用化合物に由来する置換基(以下、末端変性基ともいう)が導入される割合(以下、末端変性度ともいう)は、末端変性ポリイミド単位質量中の末端変性基のモル量(単位:モル/g)等で表すことが可能である。そして、本発明において、ポリアミド酸の状態で末端変性されている場合、ポリアミド酸の末端変性度並びにポリイミドの末端変性度は以下の数式にて算定される。
【0038】
(末端変性ポリアミド酸の末端変性度)
末端変性ポリアミド酸の合成に使用される末端変性用化合物のモル量をAe(モル)、芳香族ジアミン化合物のモル量をAda(モル)、テトラカルボン酸二無水物のモル量をAaa(モル)、末端変性用化合物の重量をWe(g)、芳香族ジアミン化合物の重量をWda(g)、テトラカルボン酸二無水物の重量をWaa(g)とすると、末端変性度Mpa(μモル/g)は以下の数式で示される。
Mpa = Ae/(We+Wda+Waa)×1,000,000
但し、Ae ≦ 2(Aaa-Ada)の関係をもつ場合に限る。
【0039】
(末端変性ポリイミドの末端変性度)
末端変性ポリアミド酸のイミド化の過程において、アミド酸から水素2原子と酸素1原子が脱離してイミド基になること、末端変性用化合物と芳香族ジアミン化合物に由来するアミノ基が全てテトラカルボン酸二無水物由来の酸無水物基と反応した場合において、末端変性ポリアミド酸のアミド酸のモル量は末端変性用化合物と芳香族ジアミン化合物に由来するアミノ基のモル量と等しいことから、末端変性ポリイミドの末端変性度Mpi(μモル/g)は、以下の数式で示されるものである。なお、式中18.015は水素2モル及び酸素1モル分の合計の原子量である。
Mpi = Ae/{(We+Wda+Waa)-(Ae+2Ada)×18.015}×1,000,000
末端変性ポリイミドの末端変性度Mpi(μモル/g)は、10μモル/g以上であればよいが、接着力をより高めることができるため、20μモル/g以上であることが好ましく、30μモル/g以上であることがさらに好ましく、40μモル/g以上であることが特に好ましい。末端変性度は末端変性用化合物の量だけでなくポリイミドの重合度によっても変わるので、末端変性度の上限は特に制限されない。
【0040】
及びRは上記定義のとおりであるが、本発明の末端変性ポリイミドには、本発明の効果を損なわない範囲で、芳香族ジアミン化合物に由来する基又は酸無水物が開環して生成したカルボキシル基が末端に存在していてもよい。
【0041】
本発明の末端変性ポリイミドは、粉体、ワニス、塗膜、フィルム等の何れの形態をもとることができるが、その優れた耐熱性、機械特性及び接着性を発揮する上で、最終的な形態として、金属等の基体の上に形成された塗膜の形態で通常は使用される。
【0042】
本発明の末端変性ポリイミドの重量平均分子量は、10,000~200,000であり、好ましくは20,000~150,000、より好ましくは25,000~100,000である。重量平均分子量が10,000未満の場合は、ポリイミドの塗膜した際の機械特性が低下して、塗膜が脆くなり、クラックが入りやすくなるという問題が生じる虞がある。また、重量平均分子量が200,000を超える場合、ポリイミドを溶媒に溶解させてポリイミドワニスとした際の粘度が高くなってハンドリングを行い難くなり、それを防ぐためにワニス中のポリイミド濃度を低くすると、塗膜の厚みが薄くなるとともに、例えば段差のある基体に塗膜した場合のレベリング性が低下するという問題が生じることがある。
【0043】
また、本発明の末端変性ポリイミドは使用する好ましい最終形態が塗膜であるが、そのためには、例えばイミド化したポリイミド粉体を溶媒に溶解させてポリイミドワニスとした後、基体上に塗布しさらに乾燥してポリイミド塗膜とする、ポリイミドワニスからポリイミド塗膜を得る方法と、末端変性用化合物由来の置換基が導入されたイミド化前のポリアミド酸のワニスを基体上に塗布した後、乾燥及び熱イミド化を行ってポリイミド塗膜とする、ポリアミド酸ワニスからポリイミド塗膜を得る方法が考えられる。ポリアミド酸ワニスからポリイミド塗膜とする場合は、イミド化のために例えば300℃以上の高温の熱処理が必要となり、使用する基体の酸化や変色等が起こる虞があるため、より低温のプロセスでポリイミド塗膜を得ることができる予めイミド化されたポリイミドワニスの状態で塗膜することが好ましい。かかる観点から本発明の末端変性ポリイミドは有機溶媒に可溶であることが好ましい。本発明の末端変性ポリイミドの溶媒としては、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、アセトン、2-ブタノン、酢酸エチル等の溶媒が好適に使用できる。
【0044】
また、本発明の末端変性ポリイミドは、その片方もしくは両方の末端にイミダゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基の何れかの置換基を有するものであるが、実際にプロセスで使用されるポリイミド中のポリイミド分子の全てがそれらの置換基を有している必要はなく、本発明の末端変性ポリイミドの効果が発現できるレベルであれば、それらの置換基を含まないポリイミド分子が存在していても差し支えない。
【0045】
本発明の末端変性ポリイミドの原料として、フルオロ基を有する芳香族ジアミン化合物やフルオロ基を有するテトラカルボン酸二無水物を使用した場合、溶媒への溶解性を向上させるとともに、得られるポリイミド塗膜の透明性を向上させるという効果があり、例えば絶縁膜が透明であることを好まれるディスプレイ材料等にも好適に用いることが可能である。かかる観点から本発明の末端変性ポリイミドは膜厚25μmとした場合に、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。全光線透過率が80%以上であることにより、十分な光の透過率となり、ディスプレイ等の用途に好適に用いることができる。
【0046】
本発明の末端変性ポリイミドはそれ単独で用いても良く、末端変性していないポリイミドや他のポリマーとブレンドして使用することも可能であり、顔料、酸化防止剤等の添加剤を添加して使用することも可能である。
【実施例0047】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
(ポリイミドの重量平均分子量の測定方法)
1mg/mLの濃度のポリイミドのテトラヒドロフラン溶液を準備し、サイズ排除クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製HLC-8320GPC)を用いて、溶離液:テトラヒドロフラン(安定剤不含)、カラム:TSKgel SuperHM-M(2本直列)、検出器:示差屈折計、測定温度:40℃、流量:0.6mL/min、注入量:40μLの条件で測定した。分子量は、標準物質換算の相対分子量値により算出した(標準物質:標準ポリスチレン12点(分子量504~1,090,000)、検量線:3次近似曲線)。
【0049】
(ポリイミドの全光線透過率の測定方法)
(1)測定用ポリイミド膜サンプルの作成方法
下記実施例や比較例で作成した末端変性ポリイミドをアプリケータを用いて、平滑な厚み3mmの石英ガラス板上に乾燥後厚みが25μmとなるように製膜して、熱風オーブン内で、130℃で60分保持した後、130℃から260℃まで5℃/分で昇温し、更に260℃で10分間保持して乾燥して、石英ガラス上に膜形成されたまま測定用のポリイミド膜サンプルとした。
【0050】
(2)全光線透過率の測定
分光色彩計(コニカミノルタ株式会社製、CM-5)を用いて、ASTM E 1164に基づき、光源C、視野2°の条件で、前記石英ガラス上に形成された厚み25μmのポリイミド膜の全光線透過率を求めた。
【0051】
(ポリイミドのレベリング性の評価)
厚みが25μmのポリイミドフィルム上に、導体となる厚み18μmの銅層が形成された回路基板用CCLを準備し、導体用銅を回路幅20μm、回路間隔20μmとなるように直線状に回路基板に回路を形成した。次に各実施例及び比較例で記載されたポリイミド粉体をGBLに溶解させて作成したポリイミドワニスを0.1g/cmの量となるように回路が形成された回路基板上に塗布し、130℃で30分、260℃で10分の乾燥を行った。その後、各実施例及び比較例で作成されたポリイミドが塗布された回路基板の断面を観察して、基材のポリイミドフィルム、導体回路、塗布して設けたポリイミド層からなる回路基板の導体部分の高さT1(μm)と、基材のポリイミドフィルムと塗布して設けたポリイミドからなる回路基板の導体のない部分の高さT2(μm)を測定し、その差(T1-T2)をレベリング性の指標として評価した。
【0052】
(ポリイミドの接着性の評価)
各実施例及び比較例で作成したポリイミドのγ-ブチロラクトン溶液を、アプリケータを用いて厚み12μmの電解銅箔(福田金属箔粉工業製、CF-T9D-SV-12)のマット面に乾燥後のポリイミド厚みが約25μmになるように塗布して、130℃で60分間乾燥し、その後5℃/分の昇温速度で260℃まで昇温し、260℃で10分間保持して、銅箔とポリイミドの2層構造の銅-ポリイミド積層体を作成した。
【0053】
次に、ドライフィルムレジストラミネート、露光、ドライフィルムレジスト現像、銅エッチング、ドライフィルムレジスト剥離、純水洗浄、乾燥により、銅箔が1mm幅×150mm長になるようにエッチング加工を行って、接着力測定用サンプルとした。次いで、銅と反対側のポリイミド面を両面テープを用いて厚さ1mmのステンレス板に固定し、90°剥離にて1mm幅の銅をポリイミドから引き剥がして銅とポリイミドの間の引き剥がし強度を求め、ポリイミドの接着性の評価とした。
【0054】
本実施例で使用する略号は以下のとおりである。
TFMB:2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル
BAPP-F:2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン
6FDA:4,4’-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル)ジフタル酸二無水物
BPDA:3,4,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
2AI:2-アミノ-1H-イミダゾール
ATA:3-アミノ-1,2,4-トリアゾール
ASTA:3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール
5AT:5-アミノテトラゾール
DMAC:N,N-ジメチルアセトアミド
GBL:γ-ブチロラクトン
【0055】
(実施例1)
攪拌装置と攪拌翼を備えたガラス製の2Lのセパラブルフラスコに、溶媒DMAC448g、末端変性用化合物であるATA0.841g(0.0100モル)及び芳香族ジアミン化合物であるTFMB64.047g(0.2000モル)を入れて攪拌し、ATA及びTFMBをDMAC中に溶解させた。次いで、セパラブルフラスコ内を攪拌しながら、窒素気流下で、テトラカルボン酸二無水物である6FDA93.290g(0.2100モル)を10分程度かけて投入し、そのまま温度が20~40℃の温度範囲となるように調整しながら6時間攪拌を続けて、TFMBと6FDAの反応によるポリアミド酸への重合反応とATAと酸無水物基との反応を同時に行った。反応に用いたテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、ATAで変性されたポリアミド酸としての末端変性度(末端変性置換基のモル数/ポリアミド酸の重量)は63.2μモル/gであった。
【0056】
得られた末端変性されたポリアミド酸溶液にイミド化促進剤としてピリジン(以下「Py」と表記することがある)15.82gを加えて、ポリアミド酸溶液を攪拌しながら30~40℃の温度範囲に保ち、そこにイミド化剤として、無水酢酸(以下「AN」と表記することがある)163.34g(1.60モル)を約10分間かけてゆっくりと滴下しながら投入し、その後更に液温を30~40℃に保って12時間攪拌を続けて化学イミド化反応を行って、末端変性ポリイミド溶液を得た。ポリアミド酸のイミド化に伴い、ポリイミドとしての末端変性度(末端変性置換基のモル数/ポリイミドの重量)は66.3μモル/gと算定された。
【0057】
次に、得られたイミド化剤及びイミド化促進剤を含む末端変性ポリイミド溶液500gを、攪拌装置と攪拌翼を備えた3Lのセパラブルフラスコに移し変え、120rpmの速度で攪拌しながら15~25℃の温度に保ち、そこにメタノール750gを10g/分の速度で滴下させて、ポリイミドの析出を行った。
【0058】
次にセパラブルフラスコの内容物を、吸引濾過装置により濾別し、更に500gのメタノールを用いて洗浄・濾別した。
【0059】
その後、濾別したポリイミド粉体を局所排気装置のついた乾燥機を用いて、50℃で24時間乾燥させ、更に260℃で2時間乾燥させて、残りの揮発成分を除去して、トリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は49,000であった。ポリイミド粉体のH NMRを測定したところ、ATAのアミノ基に由来するδ=5.9ppmのシグナルが消失し、トリアゾール環の水素に由来するδ=7.4、11.9ppmのシグナルがそれぞれ8.8、14.5ppmにシフトしていることが確認された。トリアゾール環のシグナルの低磁場側へのシフトは、ATAがポリアミド酸のカルボニル基とイミドを形成したことに由来していると考えられ、ポリイミド粉体の末端変性が完了していることを示している。
【0060】
次に得られた末端変性ポリイミド粉体20gを80gのGBLに溶解させて末端変性ポリイミドワニスとし、上述の方法により、石英ガラスに25μmの厚みになるように塗膜したポリイミドの全光線透過率は90%であった。
【0061】
また、銅箔に塗膜して得られたポリイミド塗膜と銅箔の接着力は0.9kN/mと強固に接着しており、回路上に形成した塗膜のレベリング性は3μmと優れていることが確認された。
【0062】
(実施例2)
実施例1において、使用するDMACの量を448gから443gに、ATAの量を0.841g(0.0100モル)から0.504g(0.0060モル)に、6FDAの量を93.290g(0.2100モル)から91.513g(0.2060モル)に変更した以外は実施例1と同様に行い、ATA由来のトリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.03であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は79,000であった。
【0063】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は91%で、銅箔への接着力は0.7kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも2μmと良好な結果が得られた。
【0064】
(実施例3)
実施例1において、使用するDMACの量を448gから461gに、ATAの量を0.841g(0.0100モル)から1.682g(0,0200モル)に、6FDAの量を93.290g(0.2100モル)から97.733g(0.2200モル)に変更した以外は実施例1と同様に行い、ATA由来のトリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.10であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は31,000であった。
【0065】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は91%で、銅箔への接着力は0.9kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも2μmと良好な結果が得られた。
【0066】
(実施例4)
実施例1において、使用する末端変性用化合物をATA0.841g(0.0100モル)からASTA1.161g(0.0100モル)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、ASTA由来のトリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は49,000であった。
【0067】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は90%で、銅箔への接着力は0.7kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも2μmと良好な結果が得られた。
【0068】
(実施例5)
実施例1において、使用する末端変性用化合物をATA0.841g(0.0100モル)から5AT0.851g(0.0100モル)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、5AT由来のテトラゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は49,000であった。
【0069】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は90%で、銅箔への接着力は0.8kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも3μmと良好な結果が得られた。
【0070】
(実施例6)
実施例1において、使用する末端変性用化合物をATA0.841g(0.0100モル)から2AI0.831g(0.0100モル)に変更した以外は、実施例1と同様に行い、2AI由来のイミダゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は49,000であった。
【0071】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は90%で、銅箔への接着力は0.6kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも2μmと良好な結果が得られた。
【0072】
(実施例7)
実施例1において、使用するDMACの量を448gから439gに変更し、テトラカルボン酸二無水物として、6FDA91.513g(0.2060モル)の代わりに、6FDA83.961g(0.1890モル)及びBPDA6.179g(0.0210モル)を使用した以外は実施例1と同様に行い、ATA由来のトリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は47,500であった。
【0073】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は90%で、銅箔への接着力は0.8kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも3μmと良好な結果が得られた。
【0074】
(実施例8)
実施例1において、使用するDMACの量を448gから470gに変更し、芳香族ジアミン化合物として、TFMB64.047g(0.2000モル)の代わりに、TFMB51.238g(0.1600)及びBAPP-F20.738g(0.0400モル)を使用した以外は実施例1と同様に行い、ATA由来のトリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は48,300であった。
【0075】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は90%で、銅箔への接着力は0.8kN/mと良好であった。また、レベリング性の評価でも3μmと良好な結果が得られた。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、末端変性用化合物を使用せず、テトラカルボン酸二無水物と末端変性用化合物との反応を行わなかった以外は実施例1と同様に行い、末端変性されていないポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.05であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は49,500であった。
【0077】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、全光線透過率は90%と良好であったが、銅箔への接着力は0.1kN/mと低いものであった。
【0078】
(比較例2)
実施例1において、使用するDMACの量を448gから436gに変更し、6FDAの量を91.513g(0.2060モル)から89.292g(0.2010モル)に変更した以外は実施例1と同様に行い、ATA由来のトリアゾール基で末端変性されたポリイミド粉体を得た。使用したテトラカルボン酸二無水物/芳香族ジアミン化合物のモル比率は1.005であり、得られたポリイミド粉体の重量平均分子量は210,000であった。
【0079】
得られた末端変性ポリイミド粉体について、実施例1と同様に評価を行ったところ、光線透過率は91%と良好であったが、銅箔への接着力は0.2kN/mと低いものであった。これは、ポリイミドの重量平均分子量が210,000と大きく、そのため末端変性度が低くなって、末端基の効果が十分に発現しなかったためと推測される。
【0080】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係る末端変性ポリイミドを用いれば、優れた耐熱性、機械特性、接着性を有し、レベリング性にも優れたポリイミド膜、特にディスプレイ用途や電子材料用途に好適に用いられるポリイミド膜を製造することができ、産業上の価値は極めて高い。