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特開2023-157649発光素子アレイ、発光装置、及び検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157649
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】発光素子アレイ、発光装置、及び検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20231019BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20231019BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20231019BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20231019BHJP
   H01S 5/42 20060101ALN20231019BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/89
H01S5/042
H01S5/022
H01S5/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067689
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 大介
(72)【発明者】
【氏名】早川 純一朗
【テーマコード(参考)】
5F173
5J084
【Fターム(参考)】
5F173MF10
5F173MF40
5F173SA17
5F173SA27
5F173SA33
5F173SC10
5F173SE02
5F173SG03
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA07
5J084BA13
5J084BA40
5J084BB20
5J084CA03
5J084CA20
5J084CA31
5J084CA67
5J084EA01
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】複数の発光素子から発光される光の偏光成分を考慮しない場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【解決手段】発光素子アレイは、複数の発光素子を備え、発光した光の干渉が発生し得る発光素子が発光する光の偏光成分のうち、前記光の干渉が発生し得る発光素子が並ぶ第1方向と交差する第2方向の光の偏光成分の光強度が、前記第1方向の偏光成分の光強度よりも小さい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を備え、発光した光の干渉が発生し得る発光素子が発光する光の偏光成分のうち、前記光の干渉が発生し得る発光素子が並ぶ第1方向と交差する第2方向の光の偏光成分の光強度が、前記第1方向の偏光成分の光強度よりも小さい
発光素子アレイ。
【請求項2】
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子の発光素子間の距離が、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子以外の発光素子間の距離よりも短い
請求項1記載の発光素子アレイ。
【請求項3】
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記発光した光の干渉が抑制される制御の対象である発光素子以外の発光素子である
請求項1記載の発光素子アレイ。
【請求項4】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ発光タイミングで発光されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なるタイミングで発光され、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第1方向に配列された発光素子である
請求項3記載の発光素子アレイ。
【請求項5】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ波長の光を発光すると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる波長の光を発光し、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第1方向に配列された発光素子である
請求項3記載の発光素子アレイ。
【請求項6】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ駆動周波数で駆動されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる駆動周波数で駆動され、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第1方向に配列された発光素子である
請求項3記載の発光素子アレイ。
【請求項7】
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記発光した光の干渉が抑制される制御の対象である発光素子である
請求項1記載の発光素子アレイ。
【請求項8】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ発光タイミングで発光されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なるタイミングで発光され、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第2方向に配列された発光素子である
請求項7記載の発光素子アレイ。
【請求項9】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ波長の光を発光すると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる波長の光を発光し、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第2方向に配列された発光素子である
請求項7記載の発光素子アレイ。
【請求項10】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ駆動周波数で駆動されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる駆動周波数で駆動され、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第2方向に配列された発光素子である
請求項7記載の発光素子アレイ。
【請求項11】
前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、同じ発光区画に含まれる発光素子は同じ発光タイミングで発光され、
前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、異なる発光区画の発光素子である
請求項7記載の発光素子アレイ。
【請求項12】
請求項3~11の何れか1項に記載の発光素子アレイと、
光の干渉が抑制されるように前記発光素子アレイを駆動する駆動部と、
を備えた発光装置。
【請求項13】
請求項1~11の何れか1項に記載の発光素子アレイと、
前記発光素子アレイから検出対象物に対して発光された光の反射光を受光する複数の受光素子を備えた受光素子アレイと、
前記発光素子を駆動する駆動部と、
前記複数の受光素子の受光量から前記検出対象物を検出する検出部と、
を備えた検出装置。
【請求項14】
前記複数の発光素子から発光された光は、各々対応する前記受光素子で受光される
請求項13記載の検出装置。
【請求項15】
前記検出部は、タイムオブフライトにより前記検出対象物までの距離を検出する
請求項13又は請求項14記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子アレイ及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内面反射に起因する破損光に反応しない、深度を測定する方法であって、光を光源によって場面へ放射することと、破損光が画素に当たるが、前記画素の視野内の物体からの戻り光が前記画素に当たらない第1の期間の間に、前記画素に当たっている光に基づいて電荷を収集するように、前記画素の第1の電荷蓄積ユニットを制御することによって、破損光測定を行うことと、前記破損光測定に基づいて、前記破損光による影響を受けた1つ以上の測定から前記破損光からの寄与を除去することと、前記破損光からの前記寄与が除去された前記1つ以上の測定に基づいて、前記深度を判断することと、を含む方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-219400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数の発光素子から発光される光の偏光成分を考慮しない場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる発光素子アレイ、発光装置、及び検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る発光素子アレイは、複数の発光素子を備え、発光した光の干渉が発生し得る発光素子が発光する光の偏光成分のうち、前記光の干渉が発生し得る発光素子が並ぶ第1方向と交差する第2方向の光の偏光成分の光強度が、前記第1方向の偏光成分の光強度よりも小さい。
【0006】
第2態様に係る発光素子アレイは、第1態様に係る発光素子アレイにおいて、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子の発光素子間の距離が、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子以外の発光素子間の距離よりも短い。
【0007】
第3態様に係る発光素子アレイは、第1態様に係る発光素子アレイにおいて、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記発光した光の干渉が抑制される制御の対象である発光素子以外の発光素子である。
【0008】
第4態様に係る発光素子アレイは、第3態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ発光タイミングで発光されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なるタイミングで発光され、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第1方向に配列された発光素子である。
【0009】
第5態様に係る発光素子アレイは、第3態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ波長の光を発光すると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる波長の光を発光し、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第1方向に配列された発光素子である。
【0010】
第6態様に係る発光素子アレイは、第3態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ駆動周波数で駆動されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる駆動周波数で駆動され、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第1方向に配列された発光素子である。
【0011】
第7態様に係る検出装置は、第1態様に係る検出装置において、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記発光した光の干渉が抑制される制御の対象である発光素子である。
【0012】
第8態様に係る発光素子アレイは、第7態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ発光タイミングで発光されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なるタイミングで発光され、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第2方向に配列された発光素子である。
【0013】
第9態様に係る発光素子アレイは、第7態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ波長の光を発光すると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる波長の光を発光し、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第2方向に配列された発光素子である。
【0014】
第10態様に係る発光素子アレイは、第7態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、前記第1方向に配列された発光素子は同じ駆動周波数で駆動されると共に、前記第2方向に配列された発光素子は異なる駆動周波数で駆動され、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、前記第2方向に配列された発光素子である。
【0015】
第11態様に係る発光素子アレイは、第7態様に係る発光素子アレイにおいて、前記第1方向及び前記第2方向に配列された複数の発光素子のうち、同じ発光区画に含まれる発光素子は同じ発光タイミングで発光され、前記発光した光の干渉が発生し得る発光素子は、異なる発光区画の発光素子である。
【0016】
第12態様に係る発光装置は、第3態様~第11態様の何れかの態様に係る発光素子アレイと、光の干渉が抑制されるように前記発光素子アレイを駆動する駆動部と、を備える。
【0017】
第13態様に係る検出装置は、第1態様~第11態様の何れかの態様に係る発光素子アレイと、前記発光素子アレイから検出対象物に対して発光された光の反射光を受光する複数の受光素子を備えた受光素子アレイと、前記発光素子を駆動する駆動部と、前記複数の受光素子の受光量から前記検出対象物を検出する検出部と、を備える。
【0018】
第14態様に係る検出装置は、第13態様に係る検出装置において、前記複数の発光素子から発光された光は、各々対応する前記受光素子で受光される。
【0019】
第15態様に係る検出装置は、第13態様又は第14態様に係る検出装置において、前記検出部は、タイムオブフライトにより前記検出対象物までの距離を検出する。
【発明の効果】
【0020】
第1態様、第12態様、及び第13態様によれば、複数の発光素子から発光される光の偏光成分を考慮しない場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0021】
第2態様によれば、発光した光の干渉が発生し得る発光素子の発光素子間の距離が、発光した光の干渉が発生し得る発光素子以外の発光素子間の距離よりも長い場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0022】
第3態様によれば、発光した光の干渉が抑制される制御がされている発光素子よりも光の干渉が発生しやすい発光素子からの、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0023】
第4態様によれば、複数の発光素子のうち、一方の方向の干渉は発光タイミングで抑制しつつ、他方の方向の干渉は偏光成分を考慮し、両方向でのマルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0024】
第5態様によれば、複数の発光素子が全て同じ波長の光を発光する場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0025】
第6態様によれば、複数の発光素子が全て同じ駆動周波数で駆動される場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0026】
第7態様によれば、発光した光の干渉が発生し得る発光素子が、発光した光の干渉が抑制される制御の対象である発光素子である場合において、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0027】
第8態様によれば、第1方向及び第2方向に配列された複数の発光素子のうち、第1方向に配列された発光素子が同じ発光タイミングで発光されると共に、第2方向に配列された発光素子が異なるタイミングで発光される場合において、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0028】
第9態様によれば、複数の発光素子が全て同じ波長の光を発光する場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0029】
第10態様によれば、複数の発光素子が全て同じ駆動周波数で駆動される場合と比較して、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0030】
第11態様によれば、第1方向及び第2方向に配列された複数の発光素子のうち、同じ発光区画に含まれる発光素子が同じ発光タイミングで発光されると共に、異なる発光区画の発光素子が異なるタイミングで発光される場合において、マルチパスによる光の干渉を抑制することができる。
【0031】
第14態様によれば、発光素子と受光素子との対応が定まっていない場合と比較して、検出対象物を検出しやすくなる。
【0032】
第15態様によれば、検出対象物の三次元形状を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】計測装置の構成を示す概略構成図である。
図2】計測装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
図3】光源の平面図である。
図4】計測装置の回路図である。
図5】マルチパスについて説明するための図である。
図6】VCSELの偏光成分について説明するための図である。
図7】VCSELの偏光成分について説明するための図である。
図8】VCSELの偏光成分について説明するための図である。
図9】バンドパスフィルタを備えた受光部について説明するための図である。
図10】VCSELの偏光成分について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して開示の技術にかかる実施形態の一例を詳細に説明する。
【0035】
<第1実施形態>
【0036】
被計測物の三次元形状を計測する計測装置には、光の飛行時間による、いわゆるToF(Time of Flight)法に基づいて、三次元形状を計測する装置がある。ToF法では、計測装置の光源から光が出射されたタイミングから、照射された光が被計測物で反射して計測装置の三次元センサ(以下では、3Dセンサと表記する。)で受光されるタイミングまでの時間を計測し、被計測物までの距離を測定することで三次元形状を特定する。なお、三次元形状を計測する対象を被計測物と表記する。被計測物は、検出対象物の一例である。また、三次元形状を計測することを、三次元計測、3D計測又は3Dセンシングと表記することがある。
【0037】
ToF法には、直接法及び位相差法(間接法)がある。直接法は、ごく短時間だけ発光するパルス光を被計測物に照射し、その光が帰ってくるまでの時間を実測する方法である。位相差法は、パルス光を周期的に点滅させ、複数のパルス光が被計測物との間を往復するときの時間遅れを位相差として検出する方法である。本実施形態では、一例として位相差法により三次元形状を計測する。
【0038】
このような計測装置は、携帯型情報処理装置などに搭載され、アクセスしようとするユーザの顔認証などに利用されている。従来、携帯型情報処理装置などでは、パスワード、指紋、虹彩などにより、ユーザを認証する方法が用いられてきた。近年、セキュリティ性がより高い認証方法が求められるようになってきた。そこで、携帯型情報処理装置に三次元形状を計測する計測装置を搭載するようになってきた。つまり、アクセスしたユーザの顔の三次元像を取得し、アクセスすることが許可されているか否かを識別し、アクセスが許可されているユーザであることが認証された場合にのみ、自装置(携帯型情報処理装置)の使用を許可することが行われている。
【0039】
また、このような計測装置は、拡張現実(AR:Augmented Reality)など、継続的に被計測物の三次元形状を計測する場合にも適用される。
【0040】
以下で説明する本実施の形態で説明する構成、機能、方法等は、顔認証や拡張現実だけでなく、その他の被計測物の三次元形状の計測にも適用しうる。
【0041】
(計測装置1)
【0042】
図1は、三次元形状を計測する計測装置1の構成の一例を説明するブロック図である。
【0043】
計測装置1は、光学装置3と、制御部8とを備える。制御部8は、光学装置3を制御する。そして、制御部8は、被計測物の三次元形状を特定する三次元形状特定部81を含む。なお、計測装置1は、検出装置の一例である。また、制御部8は、検出部の一例である。
【0044】
図2は、制御部8のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御部8は、コントローラ12を備える。コントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)12A、ROM(Read Only Memory)12B、RAM(Random Access Memory)12C、及び入出力インターフェース(I/O)12Dを備える。そして、CPU12A、ROM12B、RAM12C、及びI/O12Dがシステムバス12Eを介して各々接続されている。システムバス12Eは、コントロールバス、アドレスバス、及びデータバスを含む。
【0045】
また、I/O12Dには、通信部14及び記憶部16が接続されている。
【0046】
通信部14は、外部装置とデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0047】
記憶部16は、フラッシュROM等の不揮発性の書き換え可能なメモリ等で構成され、後述する計測プログラム16A等を記憶する。CPU12Aは、記憶部16に記憶された計測プログラム16AをRAM12Cに読み込んで実行することによって、三次元形状特定部81が構成され、被計測物の三次元形状が特定される。
【0048】
光学装置3は、発光装置4と、3Dセンサ5とを備える。発光装置4は、配線基板10と、放熱基材100と、光源20と、光拡散部材30と、駆動部50と、保持部60と、キャパシタ70A、70Bとを備える。さらに、発光装置4は、駆動部50を動作させるために、抵抗素子6、キャパシタ7などの受動素子を備えてもよい。ここでは、抵抗素子6、キャパシタ7をそれぞれ2個備えるとする。また、2個のキャパシタ70A、70Bを表記したが、1個でもよい。なお、キャパシタ70A、70Bを区別しない場合はキャパシタ70と表記する。さらに、抵抗素子6及びキャパシタ7は、それぞれ1個であってもよく、複数であってもよい。ここでは、光源20、駆動部50及びキャパシタ70以外の、3Dセンサ5、抵抗素子6、キャパシタ7などの電気部品をそれぞれ区別しないで回路部品と表記することがある。なお、キャパシタは、コンデンサと呼ばれることがある。3Dセンサ5は、受光部の一例である。
【0049】
発光装置4の放熱基材100、駆動部50、抵抗素子6及びキャパシタ7は、配線基板10の表面上に設けられている。なお、図1では、3Dセンサ5は、配線基板10の表面上に設けられていないが、配線基板10の表面上に設けられていてもよい。
【0050】
光源20、キャパシタ70A、70B及び保持部60は、放熱基材100の表面上に設けられている。そして、光拡散部材30は、保持部60上に設けられている。ここでは、放熱基材100の外形と光拡散部材30の外形とが同じであるとしている。ここで、表面とは、図1の紙面の表側を言う。より具体的には、配線基板10においては、放熱基材100が設けられている方を表面、表側、又は表面側と言う。また、放熱基材100においては、光源20が設けられている方を表面、表側、又は表面側という。
【0051】
光源20は、複数の発光素子が二次元に配置された発光素子アレイとして構成されている(後述する図3参照)。発光素子は、一例として垂直共振器面発光レーザ素子VCSEL(Vertical Cavity Surface EmittingLaser)である。以下では、発光素子は、垂直共振器面発光レーザ素子VCSELであるとして説明する。そして、以下では、垂直共振器面発光レーザ素子VCSELをVCSELと表記する場合がある。光源20は放熱基材100の表面上に設けられているので、光源20は、放熱基材100の表面に対して垂直に、放熱基材100から離れる方向に光を出射する。つまり、発光素子アレイは、面発光レーザ素子アレイである。なお、光源20における複数の発光素子が二次元に配置されていて、光を出射する光源20の面を出射面と表記することがある。
【0052】
光拡散部材30は、光源20が出射した光が入射される。そして、光拡散部材30は、入射した光を拡散して出射する。光拡散部材30は、光源20及びキャパシタ70A、70Bを覆うように設けられている。つまり、光拡散部材30は、放熱基材100の表面上に設けられた保持部60により、放熱基材100上に設けられた光源20及びキャパシタ70A、70Bから予め定められた距離を離して設けられている。よって、光源20が出射する光は、光拡散部材30により拡散されて被計測物に照射される。つまり、光源20が出射した光は、光拡散部材30を備えない場合に比べ、光拡散部材30により拡散されてより広い範囲に照射される。
【0053】
ToF法により三次元計測を行う場合、光源20は、駆動部50により、例えば、100MHz以上で、且つ、立ち上り時間が1ns以下のパルス光(以下では、出射光パルスと表記する。)を出射することが求められる。なお、顔認証を例とする場合、光が照射される距離は10cm程度から1m程度である。そして、光が照射される範囲は、1m角程度である。なお、光が照射される距離を計測距離と表記し、光が照射される範囲を照射範囲又は計測範囲と表記する。また、照射範囲又は計測範囲に仮想的に設けられる面を照射面と表記する。なお、顔認証以外の場合など、被計測物までの計測距離及び被計測物に対する照射範囲は、上記以外であってもよい。
【0054】
3Dセンサ5は、複数の受光素子を備えた受光素子アレイを備え、光源20から光が出射されたタイミングから3Dセンサ5で受光されるタイミングまでの時間に相当する信号を出力する。
【0055】
例えば、3Dセンサ5の各受光素子は、光源20からの出射光パルスに対する被計測物からのパルス状の反射光(以下では、受光パルスと表記する。)を受光し、受光するまでの時間に対応する電荷を受光素子毎に蓄積する。3Dセンサ5は、各受光素子が2つのゲートとそれらに対応した電荷蓄積部とを備えたCMOS構造のデバイスとして構成されている。そして、2つのゲートに交互にパルスを加えることによって、発生した光電子を2つの電荷蓄積部の何れかに高速に転送する。2つの電荷蓄積部には、出射光パルスと受光パルスとの位相差に応じた電荷が蓄積される。そして、3Dセンサ5は、ADコンバータを介して、受光素子毎に出射光パルスと受光パルスとの位相差に応じたデジタル値を信号として出力する。すなわち、3Dセンサ5は、光源20から光が出射されたタイミングから3Dセンサ5で受光されるタイミングまでの時間に相当する信号を出力する。つまり、3Dセンサ5から、被計測物の三次元形状に対応した信号が取得される。なお、ADコンバータは、3Dセンサ5が備えてもよく、3Dセンサ5の外部に設けられてもよい。
【0056】
制御部8は、スイッチ素子SWをオンにすると共に駆動部50を駆動することにより光源20を発光させて被計測物に光を照射し、被計測物からの反射光を3Dセンサ5で受光させる。そして3Dセンサ5の受光量からToF法を用いて被計測物の三次元形状を計測する。
【0057】
以下、発光装置4を構成する光源20、光拡散部材30、駆動部50及びキャパシタ70A、70Bを説明する。
【0058】
(光源20の構成)
【0059】
図3は、光源20の平面図である。光源20は、複数のVCSELが二次元のアレイ状に配置されて構成されている。つまり、光源20は、VCSELを発光素子とする発光素子アレイとして構成されている。紙面の右方向をx方向、紙面の上方向をy方向とする。
【0060】
x方向及びy方向と直交する方向をz方向とする。なお、光源20の表面とは、紙面の表側、つまり+z方向側の面を言い、光源20の裏面とは、紙面の裏側、つまり-z方向側の面を言う。光源20の平面図とは、光源20を表面側から見た図である。
【0061】
さらに説明すると、光源20において、発光層(後述する活性領域206)として機能するエピタキシャル層が形成されている方を、光源20の表面、表側、又は表面側という。
【0062】
VCSELは、半導体基板上に積層された下部多層膜反射鏡と上部多層膜反射鏡との間に発光領域となる活性領域を設け、表面に対して垂直方向にレーザ光を出射させる発光素子である。このことから、VCSELは、端面出射型のレーザを用いる場合と比較し、二次元のアレイ化が容易である。光源20の備えるVCSELの数は、一例として、100個~1000個である。なお、複数のVCSELは、互いに並列に接続され、並列に駆動される。上記のVCSELの数は一例であり、計測距離や照射範囲に応じて設定されればよい。
【0063】
光源20の表面には、複数のVCSELに共通のアノード電極218(図4参照)が設けられている。光源20の裏面には、カソード電極214(図4参照)が設けられている。つまり、複数のVCSELは、並列接続されている。複数のVCSELを並列接続して駆動することで、VCSELを個別に駆動する場合と比較し、強度の強い光が出射される。
【0064】
ここでは、光源20は、表面側から見た形状(平面形状と表記する。以下同様とする。)が長方形であるとする。そして、-y方向側の側面を側面21A、+y方向側の側面を側面21B、-x方向側の側面を側面22A及び+x方向側の側面を側面22Bと表記する。側面21Aと側面21Bとが対向する。側面22Aと側面22Bとは、それぞれが側面21Aと側面21Bとをつなぐとともに、対向する。
【0065】
そして、光源20の平面形状における中心、つまりx方向及びy方向の中央を、中心Ovとする。
【0066】
(駆動部50及びキャパシタ70A、70B)
【0067】
光源20をより高速に駆動させたい場合は、ローサイド駆動するのがよい。ローサイド駆動とは、VCSELなどの駆動対象に対して、電流経路の下流側にMOSトランジスタ等の駆動素子を位置させた構成を言う。逆に、上流側に駆動素子を位置させた構成をハイサイド駆動と言う。
【0068】
図4は、ローサイド駆動により光源20を駆動する場合の等価回路の一例を示す図である。図4では、光源20のVCSELと、駆動部50と、キャパシタ70A、70Bと、電源82とを示す。なお、電源82は、図1に示した制御部8に設けられている。電源82は、+側を電源電位とし、-側を基準電位とする直流電圧を発生する。電源電位は、電源線83に供給され、基準電位は、基準線84に供給される。なお、基準電位は、接地電位(GNDと表記されることがある。図4では[G]と表記する。)であってよい。
【0069】
光源20は、前述したように複数のVCSELが並列接続されて構成されている。VCSELのアノード電極218(図3参照。図4では[A]と表記する。)が電源線83に接続される。
【0070】
図4に示すように、各VCSELと電源線83との間にスイッチ素子SWが設けられており、各スイッチ素子SWは、制御部8からの指令により駆動される。なお、各VCSELを個別に駆動する場合は、各スイッチ素子SWは個別にオンオフされる。また、複数のVCSELを同時に駆動する場合は、複数のVCSELに対応する各スイッチ素子SWは同時にオンオフされる。
【0071】
駆動部50は、nチャネル型のMOSトランジスタ51と、MOSトランジスタ51をオンオフする信号発生回路52とを備える。MOSトランジスタ51のドレイン(図4では[D]と表記する。)は、VCSELのカソード電極214(図4では[K]と表記する。)に接続される。MOSトランジスタ51のソース(図4では[S]と表記する。)は、基準線84に接続される。そして、MOSトランジスタ51のゲートは、信号発生回路52に接続される。つまり、VCSELと駆動部50のMOSトランジスタ51とは、電源線83と基準線84との間に直列接続されている。信号発生回路52は、制御部8の制御により、MOSトランジスタ51をオン状態にする「Hレベル」の信号と、MOSトランジスタ51をオフ状態にする「Lレベル」の信号とを発生する。
【0072】
キャパシタ70A、70Bは、一方の端子が電源線83に接続され、他方の端子が基準線84に接続されている。ここでは、キャパシタ70が複数ある場合には、複数のキャパシタ70は、並列接続される。つまり、図4では、キャパシタ70が2個のキャパシタ70A、70Bであるとしている。なお、キャパシタ70は、例えば電解コンデンサやセラミックコンデンサなどである。
【0073】
次に、ローサイド駆動である光源20の駆動方法を説明する。
【0074】
制御部8は、光源20を発光させる場合、スイッチ素子SWをオンする。
【0075】
まず、駆動部50における信号発生回路52の発生する信号が「Lレベル」であるとする。この場合、MOSトランジスタ51は、オフ状態である。つまり、MOSトランジスタ51のソース(図4の[S])-ドレイン(図4の[D])間には電流が流れない。よって、MOSトランジスタ51と直列接続されたVCSELにも、電流が流れない。つまり、VCSELは非発光である。
【0076】
このとき、キャパシタ70A、70Bは、電源82に接続されていて、キャパシタ70A、70Bの電源線83に接続された一方の端子が電源電位になり、基準線84に接続された他方の端子が基準電位になる。よって、キャパシタ70A、70Bは、電源82から電流が流れて(電荷が供給されて)充電される。
【0077】
次に、駆動部50における信号発生回路52の発生する信号が「Hレベル」になると、MOSトランジスタ51がオフ状態からオン状態に移行する。すると、キャパシタ70A、70Bと、直列接続されたMOSトランジスタ51及びVCSELとで閉ループが構成され、キャパシタ70A、70Bに蓄積されていた電荷が、直列接続されたMOSトランジスタ51とVCSELとに供給される。つまり、VCSELに駆動電流が流れて、VCSELが発光する。この閉ループが、光源20を駆動する駆動回路である。
【0078】
そして、駆動部50における信号発生回路52の発生する信号が再び「Lレベル」になると、MOSトランジスタ51がオン状態からオフ状態に移行する。これにより、キャパシタ70A、70Bと、直列接続されたMOSトランジスタ51及びVCSELとの閉ループ(駆動回路)が開ループになり、VCSELに駆動電流が流れなくなる。これにより、VCSELは、発光を停止する。すると、キャパシタ70A、70Bは、電源82から電荷が供給されて充電される。
【0079】
以上説明したように、信号発生回路52の出力する信号が「Hレベル」と「Lレベル」とに移行する毎に、MOSトランジスタ51がオンオフを繰り返し、VCSELが発光と非発光とを繰り返す。MOSトランジスタ51のオンオフの繰り返しは、スイッチングと呼ばれることがある。
【0080】
なお、本実施形態では、各VCSELで発光した光を受光する受光素子PDが予め特定されているものとする。すなわち、複数のVCSELから発光された光は、各々対応する受光素子PDで受光される。ここで、VCSELと受光素子PDとは、1対1、多対1、1体多、及び多対多の何れに対応していてもよい。なお、以下では説明を簡単にするためにVCSELと受光素子PDとが1対1に対応している場合について説明する。
【0081】
ところで、光源20からの光を被計測物に照射し、その反射光を受光して被計測物までの距離を測定する場合、マルチパスによる光の干渉という問題が生じる場合がある。例えば図5に示すように、光源20から出射された光は、被計測物28に直接入射して反射された直接光L1だけではない。例えば壁32等の障害物等によって反射し、複数の経路をたどってマルチパス光L2として3Dセンサ5で受光される場合がある。マルチパスによって、受光素子が直接光だけでなく本来受光すべきでない間接光も受光してしまうため、測定した距離の精度に影響が生じる場合がある。
【0082】
ここで、マルチパスによる光の干渉は、光が照射された壁32から反射する反射光のうち正反射(鏡面反射)した光、すなわち図5のz軸方向に沿った偏光成分の光が支配的となる。
【0083】
そこで、本実施形態では、光源20を、発光した光の干渉が発生し得るVCSELが発光する光の偏光成分のうち、光の干渉が発生し得るVCSELが並ぶ第1方向と交差する第2方向の光の偏光成分の光強度が、第1方向の偏光成分の光強度よりも小さい構成とする。
【0084】
例えば図6に示すように、x軸方向に等間隔で配置されたVCSEL間の距離がDx、y軸方向に等間隔で配置されたVCSEL間の距離がDyであり、Dx<Dyであったとする。この場合、y軸方向に並ぶVCSEL間よりも、x軸方向に並ぶVCSEL間で光の干渉が発生する可能性が高い場合がある。このように、発光した光の干渉が発生し得るVCSEL間の距離、すなわちx軸方向に並ぶVCSEL間の距離が、発光した光の干渉が発生し得るVCSEL以外のVCSEL、すなわちy軸方向に並ぶVCSEL間の距離よりも短い場合、y軸方向(第2方向)の偏光成分の光強度が、x軸方向(第1方向)の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。
【0085】
VCSELの偏光方向を制御する方法としては、例えば下記参考文献1~3に記載された方法を用いることができるが、これらに限られるものではない。
【0086】
(参考文献1)特許第5776825号公報
(参考文献2)特開2011-66125号公報
(参考文献3)特開2013-58687号公報
【0087】
このように、光源20は、光の干渉が発生し得るVCSELが並ぶy軸方向の偏光成分の光強度が、x軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように偏光方向が制御されているので、発光される光の偏光成分を考慮しない場合と比較して、マルチパスによる光の干渉が抑制される。
【0088】
<第2実施形態>
【0089】
次に、第2実施形態について説明する。
【0090】
第2実施形態では、発光した光の干渉が発生し得るVCSELが、発光した光の干渉が抑制される制御の対象であるVCSEL以外のVCSELである場合について説明する。
【0091】
例えば図7に示すように、光源20を複数のバンク(発光区画)24に分割して、バンク毎に順次発光させる場合がある。図7の例では、1つのバンク24には、複数のVCSELがy軸方向に並んでいる。この場合、1つのバンク24に含まれる複数のVCSELは同時に駆動される。そして、x軸方向に沿って各バンク24のVCSELが順次駆動される。
【0092】
すなわち、y軸方向(第1方向)及びx軸方向(第2方向)に配列された複数のVCSELのうち、y軸方向に配列されたVCSELは同じ発光タイミングで発光されると共に、x軸方向に配列されたVCSELは異なるタイミングで発光されるよう、駆動部50により駆動される。
【0093】
この第2実施形態の場合、発光した光の干渉が発生し得るVCSELは、y軸方向に配列されたVCSELであり、x軸方向に配列されたVCSELは、発光した光の干渉が抑制される制御の対象であるVCSELである。従って、x軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。
【0094】
また、図8に示すように、光源20を、y軸方向及びx軸方向に配列された複数のVCSELのうち、y軸方向に配列されたVCSELは同じ波長Aの光を発光すると共に、x軸方向に配列されたVCSELは異なる波長B、Cの光を発光する構成とし、全てのVCSELを同時に駆動する場合がある。
【0095】
なお、この場合、図9に示すように、3Dセンサ5は、受光素子アレイ5A及びバンドパスフィルタ5Bを備えた構成とする。受光素子アレイ5Aは、複数の受光素子を備え、光源20から光が出射されたタイミングから3Dセンサ5で受光されるタイミングまでの時間に相当する信号を出力する。
【0096】
また、バンドパスフィルタ5Bは、波長A~CのVCSELの配置パターンに対応して、被計測物から反射された異なる波長A~Cの反射光を透過させる。すなわち、バンドパスフィルタ5Bは、波長Aの光を透過するフィルタ、波長Bの光を透過するフィルタ、及び波長Cの光を透過するフィルタが、図8の波長A~CのVCSELの配置パターンと同一パターンで配置されたバンドパスフィルタである。これにより、受光素子アレイ5Aは、バンドパスフィルタ5Bを介して、図8の波長A~CのVCSELの配置パターンと同一パターンの波長の光を受光する。
【0097】
この場合、発光した光の干渉が発生し得るVCSELは、y軸方向に配列されたVCSELであり、x軸方向に配列されたVCSELは、発光した光の干渉が抑制される制御の対象であるVCSELである。
【0098】
従って、この場合も、x軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。
【0099】
また、図8の例において、光源20を、波長に代えて駆動部50で駆動される際の駆動周波数が異なるVCSELを備えた構成とし、全てのVCSELを同時に駆動する場合がある。すなわち、y軸方向及びx軸方向に配列された複数のVCSELのうち、y軸方向に配列されたVCSELは同じ駆動周波数Aの光を発光すると共に、x軸方向に配列されたVCSELは異なる駆動周波数B、Cの光を発光する構成とする場合がある。この場合、発光した光の干渉が発生し得るVCSELは、y軸方向に配列されたVCSELであり、x軸方向に配列されたVCSELは、発光した光の干渉が抑制される制御の対象であるVCSELである。
【0100】
従って、この場合も、x軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。
【0101】
<第3実施形態>
【0102】
次に、第3実施形態について説明する。
【0103】
第3実施形態では、発光した光の干渉が発生し得るVCSELが、発光した光の干渉が抑制される制御の対象であるVCSELである場合について説明する。
【0104】
例えば第2実施形態では、図8に示すように、光源20を、y軸方向及びx軸方向に配列された複数のVCSELのうち、y軸方向に配列されたVCSELは同じ波長Aの光を発光すると共に、x軸方向に配列されたVCSELは異なる波長B、Cの光を発光する構成とした場合において、発光した光の干渉が発生し得るVCSELは、y軸方向に配列されたVCSELであり、x軸方向に配列されたVCSELは、発光した光の干渉が抑制される制御の対象であるVCSELであるとした。
【0105】
しかしながら、例えば、波長の差が少ない場合で、波長を変えるたけでは波長を変えたVCSEL同士の光の干渉の抑止効果が不十分である場合に、波長を変えて干渉抑制することと、偏光成分を調整して干渉抑制することの両方を行うことにより、より波長を変えて干渉を抑制するようにしてもよい。また、例えば波長AのVCSEL間のy軸方向(第1方向)の距離よりも、波長A、BのVCSEL間のx軸方向(第2方向)の距離の方が短い場合、発光した光の干渉が発生し得るVCSELが、x軸方向に配列されたVCSELとなる場合もあり得る。
【0106】
従って、この場合、y軸方向の偏光成分の光強度が、x軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。
【0107】
また、第2実施形態の場合と同様に、図8の例において、光源20を、波長に代えて駆動周波数が異なるVCSELを備えた構成とする場合がある。この場合も、発光した光の干渉が発生し得るVCSELが、x軸方向に配列されたVCSELとなる場合もあり得る。
【0108】
また、第2実施形態の場合と同様に、光源20を、波長に代えて発光タイミングが異なるVCSELを備えた構成とする場合がある。この場合も、発光した光の干渉が発生し得るVCSELが、x軸方向に配列されたVCSELとなる場合もあり得る。
【0109】
従って、この場合も、x軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。
【0110】
<第4実施形態>
【0111】
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態における光の干渉が抑制される制御対象の発光区画は、第1方向又は第2方向に沿った発光区画ではない。第2実施形態等では、発光した光の干渉が抑制される制御の対象のVCSELが第1方向又は第2方向に沿っている例を示したが、第4実施形態では、偏光成分を調整する方向を第1方向又は第2方向に分けることができない例について説明する。
【0112】
また、第4実施形態において、偏光成分の調整により光の干渉を抑制しようとする発光素子間の距離よりも、発光素子間の距離が長いその他の発光素子がある。言い換えると、偏光成分の調整により光の干渉を抑制しようとする発光素子間の距離は、その他の少なくとも一部の発光素子との距離よりも短い。
【0113】
第4実施形態では、図10に示すように、光源20が二次元状に発光区画24~27を含む9区画に区分けされ、各発光区画に複数のVCSELが二次元状に配置された構成の場合について説明する。
【0114】
図10の例の場合、y軸方向(第1方向)及びx軸方向(第2方向)に配列された複数のVCSELのうち、同じ発光区画24に含まれるVCSELは同じ発光タイミングで発光される。ここで、配列の上では、発光区画24のVCSELのうち、発光区画25の光と干渉が発生しやすいVCSELは、VCSEL24―b1、24-b2、24-abであり、発光区画26の光と干渉が発生しやすいVCSELは、VCSEL24―a1、24-a2、24-abといえる。そのため、VCSEL24―b1、b2はx軸方向に配列された発光区画25との間で光の干渉が生じるので、y軸方向の偏光成分の光強度が、x軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで構成し、VCSEL24―a1、a2はy軸方向に配列された発光区画26との間で光の干渉が生じるので、x軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで構成してもよい。また、発光区画24のすぐ後に発光区画25が発光し、発光区画26の発光は発光区画27よりも後、という場合は、発光区画24と区画25の干渉のみを考慮して、発光区画24のVCSELの全てについて、y軸方向の偏光成分の光強度が、x軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで構成してもよい。また、VCSEL24-abは、より干渉が起こりやすそうな発光区画に対して偏光方向が制御されたVCSELとしてもよいし、偏光方向を制御しないVCSELとしてもよい。なお、図10の場合は、1つの発光区画に9個のVCSELが含まれる例を示したが、1つの発光区画に100以上のVCSELを含む構成としてもよい。このようにVCSELの個数が多くなった場合には、偏光方向を制御しないVCSELの影響度合いは減る。
【0115】
また、図10の例において、発光区画24内での干渉が減るように偏光方向を制御してもよい。x軸方向に配列された発光区画24間で光の干渉が生じる場合は、y軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。また、y軸方向に配列された発光区画24間で光の干渉が生じる場合は、x軸方向の偏光成分の光強度が、y軸方向の偏光成分の光強度よりも小さくなるように、偏光方向が制御された複数のVCSELで光源20を構成する。なお、図10の例では、発光区画の光の干渉が抑制される例として、発光区画24と発光区画25等、発光区画毎の発光タイミングが異なる例を示したが、発光区画毎に波長を異ならせたり、発光区画毎に駆動周波数を異ならせたりしてもよい。
【0116】
以上、実施の形態を説明したが、本開示の技術は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。
【0117】
例えば、本実施形態では被計測物までの距離を測定することにより被計測物の三次元形状を特定する場合について説明したが、例えば予め定めた距離以内に被計測物が存在するか否かを検出するだけでもよい。
【0118】
また、本実施形態では第1方向及び第2方向の双方に複数のVCSELが配列された発光素子アレイの例を示したが、例えば一方の方向にのみ複数のVCSELが配列された構成の発光素子アレイに開示の技術を適用してもよい。また、第4実施形態では、複数のVCSELからなる発光区画が第1方向及び第2方向の双方に複数のVCSELが配列された発光素子アレイの例を示したが、一方の方向にのみ発光区画が配列された構成の発光素子アレイ、例えば、図10の例において発光区画24、区画25、発光区画27のみで構成された発光素子アレイに開示の技術を適用してもよい。
【0119】
また、本実施形態では、三次元形状を計測する計測装置に開示の技術を適用する例を説明したが、その中でも或る方向の干渉が予め予想できる構成に開示の技術を適用してもよい。例えば、車の外部に計測装置を取り付けて走行時の前方の障害物との距離を測定する等の場合において、路面からのマルチパスが懸念される場合に、計測装置の取り付ける取り付け方向を踏まえて、路面に対して水平方向を第2方向として、路面に垂直な方向を第1方向とするとよい。そのように構成すると、特に雨の日の路面からの反射度合いが変わり、急にマルチパスが多くなった場合でも、影響が抑制される。
【0120】
また、VCSEL同士が光ファイバー等の光導波路に入る光通信に開示の技術を適用してもよい。複数のVCSELが別々の光ファイバーに入る場合、別の光ファイバーに入るVCSELを、光の干渉が抑制された発光素子とみなしてもよい。その場合、同じ光ファイバーに入る他のVCSELとの間で、干渉が起こりにくくなるように偏光成分を制御するとよい。
【0121】
また、被計測物の三次元形状を計測する制御部8を専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)で構成し、光学装置3に組み込んだ構成としてもよい。この場合、光学装置3単体で被計測物までの距離が測定される。
【0122】
なお、本実施形態では、計測プログラム16Aが記憶部16にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る計測プログラム16Aを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係る計測プログラム16Aを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係る計測プログラム16Aを、通信部14に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【0123】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0124】
また上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 計測装置
3 光学装置
4 発光装置
5 3Dセンサ
5A 受光素子アレイ
5B バンドパスフィルタ
8 制御部
10 配線基板
12 コントローラ
20 光源
28 被計測物
50 駆動部
81 三次元形状特定部
A~H 発光素子
PD 受光素子
SW スイッチ素子
VCSEL 垂直共振器面発光レーザ素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10