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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157652
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】燃焼装置および給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20231019BHJP
   F24H 15/296 20220101ALI20231019BHJP
   F24H 15/429 20220101ALI20231019BHJP
   F24H 15/124 20220101ALI20231019BHJP
   F24H 15/479 20220101ALI20231019BHJP
   G06F 8/65 20180101ALN20231019BHJP
【FI】
F23N5/24 101Z
F24H15/296
F24H15/429
F24H15/124
F24H15/479
G06F8/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067693
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中道 尚史
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA27
5B376CA51
5B376GA11
(57)【要約】
【課題】燃焼装置のガス電磁弁が意図せず開くことを防止する。
【解決手段】燃焼装置は、運転を制御する第1および第2ソフトウェアを格納するメモリと、第1または第2ソフトウェアを実行するマイクロコンピュータと、電力供給を受けて作動する負荷と、マイクロコンピュータからの出力に基づいて負荷を駆動する駆動回路と、抵抗とを備える。抵抗の一端は、マイクロコンピュータの入出力ポートと駆動回路の制御端子との間に接続されている。マイクロコンピュータから出力される第1論理レベルに対応する第1電圧値が駆動回路に与えられると、駆動回路は駆動する。マイクロコンピュータから出力される第2論理レベルに対応する第2電圧値が駆動回路に与えられると、駆動回路は停止する。第1ソフトウェアが第2ソフトウェアを更新する間、入出力ポートは入力ポートに設定される(S420)。抵抗の他の一端の電位は、第2電圧値に維持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置であって、
前記燃焼装置の運転を制御する第1ソフトウェアおよび第2ソフトウェアを格納するメモリと、
前記第1ソフトウェアまたは前記第2ソフトウェアを実行するマイクロコンピュータと、
電力供給を受けて作動する負荷と、
前記マイクロコンピュータからの出力に基づいて前記負荷を駆動する駆動回路と、
抵抗とを備え、
前記抵抗の一端は、前記マイクロコンピュータの入出力ポートと前記駆動回路の制御端子との間に接続されており、
前記マイクロコンピュータから出力される第1論理レベルに対応する第1電圧値が前記駆動回路に与えられた場合に前記駆動回路は駆動し、
前記マイクロコンピュータから出力される第2論理レベルに対応する第2電圧値が前記駆動回路に与えられた場合に前記駆動回路は停止し、
前記第1ソフトウェアが前記第2ソフトウェアを更新する間、前記入出力ポートは入力ポートに設定され、
前記抵抗の他の一端の電位は、前記第2電圧値に維持される、燃焼装置。
【請求項2】
前記第2電圧値の電位は、グランドである、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記第2電圧値の電位は、電源電圧である、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
燃焼部と、
前記燃焼部へ燃料を供給するための燃料弁とをさらに備え、
前記負荷は、前記燃料弁を含む、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の燃焼装置を備える、給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は燃焼装置に関し、より特定的には、燃焼装置で使用されるソフトウェアを制御する給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置は、組み込まれたソフトウェアを更新することにより機能を向上させることができる。ソフトウェアの更新に関し、たとえば、特開2020-112303号公報(特許文献1)は、「ソフトウェアの更新時に、燃焼部に燃料が供給されてしまうのを確実に防止することができるソフトウェア更新機能付き燃焼機器」技術を開示している。当該技術は「燃焼機器1の制御装置20は、第1のソフトウェアに基づいて制御処理を実行する第1制御部21と、第2のソフトウェアに基づいて制御処理を実行する第2制御部22とを含む。第2のソフトウェアは、第1のソフトウェアを新たなソフトウェアに更新する処理を第2制御部22に実行させるように構成されていると共に、第1のソフトウェアの更新処理の実行中に、燃焼部2への燃料供給路3を開閉する制御弁4を閉弁状態に維持する制御処理を第2制御部22に実行させるように構成されている」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソフトウェアを更新する間は、燃焼装置が作動しないことが求められる。他方、給湯装置のマイクロコンピュータ(マイコン)から意図しない信号が出力されて、給湯装置を作動させる恐れもある。たとえば、給湯装置の電磁弁、ファン、イグナイタまたはポンプが急に作動する場合がある。したがって、燃焼装置の意図しない作動を防止する技術が必用とされている。
【0005】
本開示は上述のような背景に鑑みてなされたものであって、ある実施の形態に従うと、ソフトウェアの更新時に燃焼装置の意図しない作動を防止する技術が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある実施の形態に従う燃焼装置は、燃焼装置の運転を制御する第1ソフトウェアおよび第2ソフトウェアを格納するメモリと、第1ソフトウェアまたは第2ソフトウェアを実行するマイクロコンピュータと、電力供給を受けて作動する負荷と、マイクロコンピュータからの出力に基づいて負荷を駆動する駆動回路と、抵抗とを備える。抵抗の一端は、マイクロコンピュータの入出力ポートと駆動回路の制御端子との間に接続されている。マイクロコンピュータから出力される第1論理レベルに対応する第1電圧値が駆動回路に与えられた場合に駆動回路は駆動する。マイクロコンピュータから出力される第2論理レベルに対応する第2電圧値が駆動回路に与えられた場合に駆動回路は停止する。第1ソフトウェアが第2ソフトウェアを更新する間、入出力ポートは入力ポートに設定される。抵抗の他の一端の電位は、第2電圧値に維持される。
【0007】
ある局面において、第2電圧値の電位は、グランドである。
ある局面において、第2電圧値の電位は、電源電圧である。
【0008】
ある局面において、燃焼部と、燃焼部へ燃料を供給するための燃料弁とをさらに備える。負荷は、燃料弁を含む。
【0009】
他の実施の形態に従うと、上記のいずれかの燃焼装置を備える給湯装置が提供される。
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】給湯装置100が適用される通信システムの構成例を示す概略図である。
図2】通信アダプタ150のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】給湯器110のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】ガス電磁弁51を閉じた状態に維持しつつメインマイコン10のファームウェアを書き換える場合に行なわれる処理の一例を表わすフローチャートである。
図5】ガス電磁弁51の開閉を制御する回路ブロック図の一部を模式的に表わした図である。
図6】ガス電磁弁51の開閉を制御する回路ブロック図の一部を模式的に表わした図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
<全体構成>
図1を参照して、本実施の形態に従う給湯装置100においてソフトウェアのアップデートを実現するための構成について説明する。図1は、燃焼装置を備える給湯装置100が適用される通信システムの構成例を示す概略図である。
【0013】
通信システム200は、給湯装置100と、通信機器3と、外部通信網4と、サーバ5と、ルータ6と、基地局7と、携帯端末装置8とを含む。通信システム200では、サーバ5による給湯装置100の遠隔管理および遠隔操作のために、通信機器3および外部通信網4を介して、給湯装置100とサーバ5とが通信接続される。
【0014】
給湯装置100は、給湯器110と、ユーザからの指示を受け付けるリモートコントローラ(以下、単に「リモコン」ともいう。)160と、通信アダプタ150とを含む。給湯器110からの湯は、複数の給湯口111に接続された配管を経由して、給湯先へ送出される。例えば、給湯先には、図示しないカランおよび浴槽が含まれる。あるいは、給湯先が、高温水を熱源とする暖房機(図示しない)を含むことにより、給湯装置100は、暖房機能を有する。
【0015】
給湯器110の内部には、回路基板115が装着される。回路基板115には、給湯器110を駆動および制御するためのコントローラ140が搭載される。コントローラ140によって、給湯器110に対する燃料ガスの供給等を制御するための電磁弁、および、当該燃料ガスと混合される空気を供給するための給気ファン等が制御される。
【0016】
給湯器110およびリモコン160は、通信線(例えば、2心通信線)170によって、通信アダプタ150に接続される。リモコン160は、ディスプレイ161および入力インターフェイス162を有する。ユーザは、ディスプレイ161の表示画面に従って入力インターフェイス162を操作することにより、湯張りや給湯設定温度等を設定することができる。例えば、リモコン160は浴室または台所に設けられる。なお、複数のリモコン160が使用されてもよい。このように、ユーザは、リモコン160を用いて、給湯装置100の各機能について、種々の設定を行なうことができる。
【0017】
通信アダプタ150は、通信機器3との間で所定の通信プロトコルで通信するための無線通信機能を有する。なお、通信アダプタ150は、リモコン160に内蔵される構成であってもよい。
【0018】
通信機器3は、一定範囲内に存在する機器を、外部通信網4を介してサーバ5に通信接続する機能を有する。例えば、通信機器3は、無線LAN(Local Area Network)ルータによって構成される。また、外部通信網4は、代表的には、インターネットである。
【0019】
通信機器3としては、無線LANルータに代えて有線LANルータを用いることもできる。この場合には、通信アダプタ150は、有線LANルータとの間で所定の通信プロトコルで通信するように構成される。
【0020】
サーバ5は、外部通信網4を介して、給湯装置100に対する遠隔制御(例えば、遠隔操作および遠隔監視)を管理するための機能を有する。通信アダプタ150は、無線通信によって通信機器3に通信接続されることで、外部通信網4を介して、サーバ5と通信できる。これにより、給湯装置100は、通信アダプタ150を中継機器として、サーバ5と通信接続されるので、給湯装置100およびサーバ5の間での双方向のデータ通信が実行される。
【0021】
サーバ5は、スマートフォンまたはタブレット端末等の携帯端末装置8と通信接続することもできる。携帯端末装置8が通信機器3と接続可能な範囲内に存在する場合には、無線通信によって通信機器3と接続されることにより、携帯端末装置8は、サーバ5と通信できる。携帯端末装置8が宅外等にある場合には、当該携帯端末装置8は、ルータ6または基地局7を介して外部通信網4に接続することによって、サーバ5と通信することができる。
【0022】
このように、ユーザは、リモコン160の操作の他、携帯端末装置8を用いて、通信機器3と接続可能な範囲の内部および外部の両方において、サーバ5とアクセスすることによって、給湯装置100に対する遠隔制御を行なうことができる。
【0023】
リモコン160および携帯端末装置8には、給湯装置100のアプリケーションプログラムをインストールすることができる。例えば、当該アプリケーションプログラムは、サーバ5からダウンロードされた後、インストールされる。
【0024】
これに加えて、給湯器110(コントローラ140)、リモコン160、および通信アダプタ150の各々には、当該各機器の動作を制御するためのプログラム(以下、「ファームウェア(F/W)」ともいう。)が記憶される。ファームウェアは、工場出荷時の段階で、当該時点でのバージョンのものが書き込まれる。また、サーバ5からの配信によって、異なるバージョンのファームウェアに書き換えることもできる。ある局面において、複数のファームウェアが、給湯器110、リモコン160または通信アダプタに格納され得る。
【0025】
<給湯装置の構成>
(通信アダプタ)
図2を参照して、通信アダプタ150の構成について説明する。図2は、通信アダプタ150のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。通信アダプタ150は、マイクロコンピュータ(以下、「マイコン」ともいう。)151と、通信ユニット152,153と、電源回路154と、メモリ155と、アンテナ157と、コネクタ158とを含む。コネクタ158には、図1に示された通信線170が接続される。
【0026】
マイコン151は、CPU(Central Processing Unit)151aおよびインターフェイス(I/F)151bを含む。通信ユニット152は、コネクタ158に接続された通信線170を経由して、給湯器110およびリモコン160との間で双方向にデータを送受信する。通信ユニット153は、アンテナ157を経由した無線通信によって、通信機器3との間で双方向にデータを送受信する。電源回路154は、コネクタ158に接続された通信線170から電力供給を受けて、通信アダプタ150内の各要素の動作電源電圧を生成する。
【0027】
メモリ155は、ROM(Read Only Memory)155aおよびRAM(Random Access Memory)155bを有する。ROM155aは、代表的には、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)によって構成され、通信アダプタ150のファームウェア、および、制御に用いるデータおよびプログラム等を記憶する。マイコン151は、起動処理時において、ROM155aに記憶されたファームウェアを読出してRAM155bに展開する。マイコン151は、RAM155bに展開されたプログラムを実行して通信アダプタ150の動作を制御する。なお、図2では、メモリ155およびマイコン151を別個の要素として表記したが、メモリ155の一部または全部について、マイコン151に内蔵する構成であってもよい。
【0028】
通信ユニット153は、通信機器3および外部通信網4を経由して、サーバ5とデータを送受信する。これにより、通信アダプタ150は、給湯装置100の運転情報を、定期的にサーバ5へ送信する。この結果、サーバ5は、通信アダプタ150を介して通信接続された、家庭、宿泊施設その他に設けられる給湯装置100の各種情報を収集および管理する。
【0029】
一方、サーバ5は、通信アダプタ150に対して、データを送信する。これにより、給湯装置100の遠隔操作サービスを提供できる。例えば、サーバ5、または、携帯端末装置8から、給湯装置100の所定の操作、例えば、給湯運転スイッチのオン/オフの切替操作および給湯設定温度の変更操作等を、外部通信網4経由で行なうことができる。
【0030】
通信システム200では、給湯装置100を構成する各構成機器のファームウェアの更新は、サーバ5からの配信によって自動的に実行される。例えば、通信アダプタ150の場合、サーバ5からダウンロードされたファームウェアがROM155aに記憶されることで、ファームウェアが更新される。
【0031】
<給湯器>
図3を参照して、ある実施の形態に従う給湯器110の構成について説明する。図3は、給湯器110のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。給湯器110は、回路基板115と、ガス電磁弁51と、バーナ52と、ガス供給管53とを含む。回路基板115は、コントローラ140と、表示器31と、駆動電源41と、電源遮断回路42と、電圧検知回路43と、電磁弁駆動回路44とを含む。
【0032】
コントローラ140は、メインマイクロコンピュータ(以下、「メインマイコン」とも称する。)10と、サブマイクロコンピュータ(以下、「サブマイコン」ともいう。)20とを含む。
【0033】
メインマイコン10は、給湯器110の外部に存在する外部装置(例えば、リモコン160、サーバ5等)と通信接続される。例えば、メインマイコン10は、通信線170を介してリモコン160と通信接続され、通信線170、通信アダプタ150、通信機器3および外部通信網4を介してサーバ5と通信接続される。メインマイコン10と、電磁弁駆動回路44と、ガス電磁弁51と、バーナ52とは、燃焼装置の一部を構成する。当該燃焼装置は、燃焼部(図示しない)をさらに備える。ガス電磁弁51は、当該燃焼部に対する燃料(ガス)の供給量を調整する燃料弁に相当する。
【0034】
一方、サブマイコン20は、外部装置と通信接続されておらず、メインマイコン10と通信接続される。すなわち、サブマイコン20は、リモコン160およびサーバ5等と直接通信することはできず、メインマイコン10とのみ通信可能に構成される。
【0035】
メインマイコン10は、CPU11と、インターフェイス回路12と、リセット回路13と、ROM14と、RAM15と、通信ユニット16とを含む。
【0036】
CPU11は、メインマイコン10の動作を制御し、プログラムに従って演算処理を実行する。ROM14は、例えば、EEPROMによって構成され、給湯器110の動作を制御するためのソフトウェア(すなわち、ファームウェア)、および、その他の制御に用いられるデータおよびプログラム等を記憶する。CPU11は、ROM14に記憶されたファームウェアを読み出してRAM15に展開し、展開されたプログラムを実行することにより、給湯器110の給湯運転を制御する。典型的には、ファームウェアは、工場出荷時の段階で、当該時点でのバージョンのものが書き込まれる。
【0037】
通信ユニット16は、外部装置(例えば、リモコン160およびサーバ5)と通信するための通信インターフェイスである。メインマイコン10は、通信ユニット16を用いて、外部装置と通信可能に構成される。そのため、メインマイコン10のメモリ(例えば、ROM14およびRAM15)に記憶されているファームウェアは、サーバ5からの配信によって、異なるバージョンのファームウェアに書き換え可能に構成される。例えば、サーバ5から送信される更新用ファームウェアがROM14に記憶されることで、ファームウェアが更新される。例えば、ファームウェアは、初回バージョンから、機能追加、あるいは、バグ修正等の目的で適宜バージョンアップされ得る。
【0038】
インターフェイス回路12は、CPU11の指示に従って、サブマイコン20、電源遮断回路42、電圧検知回路43および電磁弁駆動回路44と各種データおよび信号等を通信する。リセット回路13は、サブマイコン20から出力されるリセット信号の入力を受け付けると、メインマイコン10を停止させる。
【0039】
サブマイコン20は、CPU21と、インターフェイス回路22と、リセット回路23と、ROM24と、RAM25とを含む。CPU21は、サブマイコン20の全体を制御し、プログラムに従って演算処理を実行する。ROM24は、各種データおよびプログラム等を記憶する。CPU21は、ROM24に記憶されたプログラムを読出してRAM25に展開し、展開されたプログラムを実行する。
【0040】
インターフェイス回路22は、CPU21の指示に従って、メインマイコン10、表示器31、および電源遮断回路42と各種データおよび信号等を通信する。リセット回路23は、CPU21の指示に従って、リセット信号をメインマイコン10に出力する。
【0041】
メインマイコン10およびサブマイコン20からは、それぞれインターフェイス回路12,22を介して電源遮断信号が出力される。電源遮断信号は、電源遮断回路42に入力される。電源遮断回路42は、駆動電源41から電磁弁駆動回路44に至る回路に挿入されており、ガス電磁弁51に供給される電圧を遮断する。
【0042】
電磁弁駆動回路44は、主として、たとえば、ガス電磁弁51に駆動電圧を供給する電源ライン(図示しない)を開閉するリレー接点(図示しない)と、当該リレー接点を制御するためのリレーコイル(図示しない)と、当該リレーコイルへの通電と遮断とを切り換えるスイッチング素子とにより構成される。当該スイッチング素子として、たとえば、FET(Field Effect Transistor)、バイポーラトランジスタ等が用いられる。スイッチング素子の制御端子(たとえば、FETの場合はゲート、バイポーラトランジスタの場合はベース)には、メインマイコン10からの制御信号が入力可能に構成される。
【0043】
ガス電磁弁51は、常時閉形式であるため、電源遮断回路42が機能してガス電磁弁51に供給されていた電圧が遮断されると、ガス電磁弁51が閉じてバーナ52へのガス供給管53からのガスの供給が停止する。電源遮断回路42と電磁弁駆動回路44との間には電圧検知回路43が設けられており、電圧検知回路43の信号は、メインマイコン10のインターフェイス回路12に入力される。
【0044】
上記のように、メインマイコン10およびサブマイコン20から出力される電源遮断信号は電源遮断回路42に入力される。電源遮断回路42は、メインマイコン10およびサブマイコン20のいずれか一方から出力される電源遮断信号の入力を受け付けると、駆動電源41からの通電を遮断するように構成される。この場合、ガス電磁弁51に供給される電圧が遮断されてバーナ52に対するガスの供給が停止する。
【0045】
駆動電源41からの通電が遮断されたか否かは、電圧検知回路43の信号をメインマイコン10が確認することによって判別できる。電圧検知回路43は、電磁弁駆動回路44に電力を供給されているか否かを判定する回路であり、バーナ52に対する燃料供給の有無を間接的に知るための回路である。
【0046】
ここで、上記のように、メインマイコン10には外部装置と通信するための通信ユニット16が含まれているため、ROM14に格納される、給湯器110の動作を制御するためのファームウェアは、遠隔で更新することができる。
【0047】
<制御構造>
図4を参照して、本実施の形態に従う給湯器110の制御構造について説明する。図4は、ガス電磁弁51を閉じた状態に維持しつつメインマイコン10のファームウェアを書き換える場合に行なわれる処理の一例を表わすフローチャートである。以下の例では、給湯器に格納されている二つのソフトウェア(第1ソフトウェアAと第2ソフトウェアB)が燃焼機器を制御する場合が示される。第1ソフトウェアAは、第2ソフトウェアBのファームアップ(書き換え)を実行する。第1ソフトウェアAは、請求項に記載の第1ソフトウェアの一実施例である。第2ソフトウェアBは、請求項に記載の第2ソフトウェアの一実施例である。
【0048】
第1ソフトウェアAが第2ソフトウェアBを書き換えている間、燃料供給路の開閉が可能な制御弁(たとえば、ガス電磁弁51)を安全のため閉じておく(閉弁する)必要がある。そこで、メインマイコン10は、以下のような処理を実行する。
【0049】
ステップS410にて、メインマイコン10のCPU11は、ROM14に格納されている第1ソフトウェアAを起動する。
【0050】
ステップS420にて、CPU11は、ガス電磁弁51の開閉を制御するためのポートを入力モードに設定する。当該ポートがハイインピーダンスとなり、ガス電磁弁51を開く信号の出力が禁止される。
【0051】
ステップS430にて、CPU11は、第1ソフトウェアAを用いて第2ソフトウェアBのファームアップ(ファームウェアの更新)を実行する。
【0052】
ステップS440にて、CPU11は、第2ソフトウェアBの更新の完了を検知すると、更新された第2ソフトウェアBを起動する。
【0053】
ステップS450にて、CPU11は、ガス電磁弁51の開閉を制御するためのポートを出力モードにして、Low出力で初期化する。
【0054】
ステップS460にて、CPU11は、第2ソフトウェアBを実行して、通常制御を実行する。その後、CPU11は、燃焼要求を検出すると、燃焼運転を開始する。
【0055】
図5および図6を参照して、ガス電磁弁51の開閉を制御する場合の動作について説明する。図5および図6は、それぞれ、ガス電磁弁51の開閉を制御する回路ブロック図の一部を模式的に表わした図である。
【0056】
図5に示されるように、メインマイコン10のポート(図示しない)は、電磁弁駆動回路44のゲートに電気的に接続されている。当該ポートとゲートとの間には、グランド630に接続された抵抗620が接続されている。グランド630は、たとえば回路基板115の回路グランドであり、必ずしも、接地(アース)電位である必要はない。ある局面において、メインマイコン10が、当該ポートからの出力(矢印610)をオフ(0V)とすることで、FETをオフにして、ガス電磁弁51の開閉状態を閉弁とする。
【0057】
図6を参照して、別の局面において、メインマイコン10が、当該ポートを、入力モード(ハイインピーダンス)とすると、ゲートレベルがLowに落ち、FETがオフになり、ガス電磁弁51が閉じられる。
【0058】
このように、ガス電磁弁51の開閉を制御するためのポートを出力モードではなく、入力モードとすることにより、ガス電磁弁51の開閉を制御するための信号がメインマイコン10から出力されなくなり、また、当該信号が意図しない外乱等によりHighになる事態も生じない。これにより、ガス電磁弁51を確実に閉弁できるので、ファームウェアの更新中に燃料ガスが給湯器110に供給されるといった事態の発生を防止できる。
【0059】
なお、開示された技術思想の適用範囲は、ガス電磁弁51に限られない。たとえば、当該技術思想は、灯油その他の液体燃料の供給を制御する流量調整弁に対しても適用され得る。
【0060】
なお、図6に例示された回路構成は、プルダウン抵抗を有するが、他の局面に従う回路構成が、メインマイコン10の当該ポートが入力モードとされた場合に、電磁弁駆動回路44がガス電磁弁51の閉止状態を維持できる構成であれば、プルダウン抵抗に代えてプルアップ抵抗を有するものであってもよい。
【0061】
また、当該技術思想は、電磁弁以外にも適用され得る。たとえば、他の局面において、給気ファン、イグナイタ(点火装置)、ポンプ等にも適用され得る。
【0062】
以上のようにして、本実施の形態に従う給湯装置は、ガス電磁弁51を駆動するためのFETのゲート端子をグランドと接続するような抵抗が存在する回路構成を備えている。給湯装置は、ソフトウェアの更新が完了するまで、ガス電磁弁51その他の駆動回路に接続されているメインマイコン10のポートを入力モードとする。当該駆動回路はハイインピーダンスとなり、信号は当該ポートからFETに出力されなくなるので、FETはガス電磁弁51を駆動しない。これにより、ガス電磁弁51が意図せず開くことが防止される。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
3 通信機器、4 外部通信網、5 サーバ、6 ルータ、7 基地局、8 携帯端末装置、10 メインマイコン、12,22 インターフェイス回路、13,23 リセット回路、14,24,155a ROM、15,25,155b RAM、16,152,153 通信ユニット、20 サブマイコン、31 表示器、41 駆動電源、42 電源遮断回路、43 電圧検知回路、44 電磁弁駆動回路、51 ガス電磁弁、52 バーナ、53 ガス供給管、100 給湯装置、110 給湯器、111 給湯口、115 回路基板、140 コントローラ、150 通信アダプタ、151 マイコン、154 電源回路、155 メモリ、157 アンテナ、158 コネクタ、160 リモコン、161 ディスプレイ、162 入力インターフェイス、170 通信線、200 通信システム、610 矢印、620,820,920,1020 抵抗、630,830,930,1030 グランド、810 駆動回路、910,1010 制御回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6