(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157662
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】配送計画生成装置、および配送計画生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20230101AFI20231019BHJP
G06Q 10/047 20230101ALI20231019BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G06Q10/04 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067717
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 凌大
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】荷物の配送ルートを配送担当者間で平準化することで、配送の全体の実行時間を抑えつつ、配送担当者の作業負荷の偏りを抑制する配送計画を生成する。
【解決手段】配送範囲を所定の単位エリアに区切って、物品の配送先が割り当てられる複数の担当者それぞれの配送ルートの生成を行う配送計画生成装置は、1以上の配送先が含まれる単位エリアを繋いで特定される前記複数の担当者それぞれの配送ルートの生成と、当該複数の担当者それぞれの配送ルートに含まれる配送を平準化する処理とを繰り返し実行して前記複数の担当者それぞれの配送ルートを生成する際に用いられる設定項目をユーザに入力させる設定画面を提供する提供部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送範囲を所定の単位エリアに区切って、物品の配送先が割り当てられる複数の担当者それぞれの配送ルートの生成を行う配送計画生成装置であって、
1以上の配送先が含まれる単位エリアを繋いで特定される前記複数の担当者それぞれの配送ルートの生成と、当該複数の担当者それぞれの配送ルートに含まれる配送を平準化する処理とを繰り返し実行して前記複数の担当者それぞれの配送ルートを生成する際に用いられる設定項目をユーザに入力させる設定画面を提供する提供部を有する、
配送計画生成装置。
【請求項2】
前記設定画面は、前記配送ルートの生成と前記配送を平準化する処理を繰り返す最大計算時間を指定可能に構成される、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項3】
前記設定画面は、前記単位エリアのサイズを指定可能に構成される、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項4】
前記設定画面は、前記配送の平準化の対象を指定可能に構成される、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項5】
前記配送の平準化の対象は、配送件数、配送距離、配送時間のいずれかである、請求項4に記載の配送計画生成装置。
【請求項6】
前記設定画面は、前記配送の平準化の差分の許容値を指定可能に構成される、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項7】
前記提供部は更に、配送先の割り当て対象となる担当者、および期間を少なくとも設定可能な第2の設定画面を提供する、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項8】
前記第2の設定画面は、前記複数の担当者それぞれに対する平準化の結果の集計値を、平準化の項目ごとに表示可能に構成される、請求項7に記載の配送計画生成装置。
【請求項9】
前記提供部は更に、担当者に対して割り当てられた複数の配送先の配送ルートを、前記配送範囲の地図上に重畳して表示する第1の画面を提供する、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項10】
前記提供部は更に、担当者に対して割り当てられた複数の配送先の、前記単位エリアごとに集計した数を前記配送範囲の地図上に重畳して表示する第2の画面を提供する、請求項1に記載の配送計画生成装置。
【請求項11】
配送範囲を所定の単位エリアに区切って、物品の配送先が割り当てられる複数の担当者それぞれの配送ルートの生成を行う配送計画生成方法であって、
プロセッサとメモリが協働して、
1以上の配送先が含まれる単位エリアを繋いで特定される前記複数の担当者それぞれの配送ルートの生成と、当該複数の担当者それぞれの配送ルートに含まれる配送を平準化する処理とを繰り返し実行して前記複数の担当者それぞれの配送ルートを生成する際に用いられる設定項目をユーザに入力させる設定画面を提供する、
配送計画生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送対象となる複数の荷物の配送を支援する配送計画生成装置、および配送計画生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の配送計画を行う先行技術として、例えば、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、配送範囲をメッシュ法を利用して網目で分け、網目を最短距離条件を用いて一筆書きで繋げることで最適配送ルートを生成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、荷物の配送ルートを配送担当者間で平準化することで、配送の全体の実行時間を抑えつつ、配送担当者の作業負荷の偏りを抑制する配送計画を生成する配送計画生成装置、および配送計画生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、配送範囲を所定の単位エリアに区切って、物品の配送先が割り当てられる複数の担当者それぞれの配送ルートの生成を行う配送計画生成装置であって、1以上の配送先が含まれる単位エリアを繋いで特定される前記複数の担当者それぞれの配送ルートの生成と、当該複数の担当者それぞれの配送ルートに含まれる配送を平準化する処理とを繰り返し実行して前記複数の担当者それぞれの配送ルートを生成する際に用いられる設定項目をユーザに入力させる設定画面を提供する提供部を有する、配送計画生成装置を提供する。
【0006】
また、本開示は、配送範囲を所定の単位エリアに区切って、物品の配送先が割り当てられる複数の担当者それぞれの配送ルートの生成を行う配送計画生成方法であって、プロセッサとメモリが協働して、1以上の配送先が含まれる単位エリアを繋いで特定される前記複数の担当者それぞれの配送ルートの生成と、当該複数の担当者それぞれの配送ルートに含まれる配送を平準化する処理とを繰り返し実行して前記複数の担当者それぞれの配送ルートを生成する際に用いられる設定項目をユーザに入力させる設定画面を提供する、配送計画生成方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、荷物の配送ルートを配送担当者間で平準化して、配送の全体の実行時間を抑えつつ、配送担当者の作業負荷の偏りを抑制する配送計画を生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るシステム構成の例を示すブロック図
【
図2】本発明の実施の形態1に係るメッシュを説明するための概念図
【
図3】本発明の実施の形態1に係る配送計画の集約を説明するための概念図
【
図4】本発明の実施の形態1に係る配送計画の手法を説明するための説明図
【
図5】本発明の実施の形態1に係る配送計画の手法を説明するための説明図
【
図6】本発明の実施の形態1に係る配送計画の手法を説明するための説明図
【
図7】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成処理のフローチャート
【
図8】本発明の実施の形態1に係る配送計画算出処理のフローチャート
【
図9】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図10】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図11】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図12】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置にて用いられるデータ構成の例を示す図
【
図13】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図14】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図15】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図16】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【
図17】本発明の実施の形態1に係る配送計画生成装置のUI画面の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(各実施の形態の内容に至る経緯)
上述した特許文献1では、メッシュ法を利用した単位エリアを対象として配送ルートの決定や必要な配送車両の車種や台数等の決定を自動的に行うことで配送コストの低減や配送の効率化を実現している。しかしながら、複数の配送担当者において、その作業負荷の偏りが生じ、その作業負荷の平準化を行うことまでは考慮されていない。実際の現場では、膨大な物品の配送を複数の配送担当者(ドライバ)で分担することになり、所定の配送範囲の最適配送ルートだけでは、ドライバごとの配送ルートの決定および各ドライバの配送件数量などを平準化することはできなかった。特に、メッシュの単位エリア内に何件の配送先が含まれるかは、状況に応じて異なるため、平準化の精度が低下してしまう。また、特許文献1では、各配送担当者が実際に配送を行う際に利用可能なUI画面などの利便性までは考慮されていない。
【0010】
また、各配送担当者のスケジュールやスキル、過去の作業実績などを考慮して配送計画を行うことまでは考慮されていなかった。そのため、ある時点での配送ルートを算出することは可能であるが、過去の作業実績などを反映させた作業分担までは特許文献1では実現できていなかった。
【0011】
そこで、以下の実施の形態では、配送担当者の作業を平準化し、配送の全体の実行時間を抑えつつ、配送担当者の作業負荷の偏りを抑制した配送計画を生成することが可能な配送計画生成装置、および配送計画生成方法の例を説明する。
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る配送計画生成装置、および配送計画生成方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1として、複数の荷物を配送する時の配送計画を策定(生成)する例について説明する。なお、本実施の形態において、配送計画とは、所定の期間内(例えば当日である1日の間)に、少なくとも1台の配送車両(例えば、トラック)を用いて、拠点から複数の配送先に荷物(物品)を配送する際の配送ルートの計画である。配送ルートは、複数ある配送先の走行順序に相当する。配送計画を生成する場合、例えば、道路コストに基づいて、その配送コストを下げるように決定される。
【0014】
[装置構成]
本実施の形態に係る配送計画生成装置100は、ネットワーク300を介して1または複数のクライアント端末200と通信可能に接続される。なお、配送計画生成装置100は、配送業者の拠点にてオンプレミス型のサーバ装置として構成されてもよいし、ネットワーク上にてクラウド型にて構成されてもよい。
【0015】
配送計画生成装置100は、処理部110、記憶部120、UI(User Interface)部130、および通信部140を含んで構成される。処理部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いて構成されるプロセッサであってよい。処理部110は、例えば、記憶部120に記憶された各種データベース(以下、DB)を参照したり、プログラムを読み出したりすることで、後述する各種機能を実現する。記憶部120は、各種データやプログラムなどを記憶するための記憶部であり、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの揮発性/不揮発性の記憶装置から構成されてよい。
【0016】
UI部130は、配送計画生成装置100の利用者による操作を受け付けたり、各種情報を出力したりするための部位である。UI部130は、ディスプレイやマウス、キーボードなどから構成されてもよい。通信部140は、ネットワーク300を介して外部装置と通信するためのインタフェースである。通信部140にて対応可能な通信規格は特に限定するものではなく、有線/無線も問わない。また、複数の通信規格に対応可能であってもよい。
【0017】
クライアント端末200は、配送担当者が配送作業の際に利用可能な端末装置であって、例えば、スマートフォンやタブレット端末、POS端末などのモバイル端末であってよい。また、クライアント端末200は、配送の際に利用する配送車両(以下、単に「車両」とも称する)などに備え付けられていてもよい。クライアント端末200は、処理部201、記憶部202、通信部203、UI部204、およびセンサ部205を含んで構成される。
【0018】
処理部201は、例えば、CPU、GPU、MPU、DSP、またはFPGAなどを用いて構成されてよい。処理部201は、例えば、記憶部202に記憶された各種データを参照したり、プログラムを読み出したりすることで、後述する各種機能を実現する。記憶部202は、各種データやプログラムなどを記憶するための記憶部であり、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ、またはSSD(Solid State Drive)などの揮発性/不揮発性の記憶装置から構成されてよい。
【0019】
通信部203は、ネットワーク300を介して外部装置と無線通信するためのインタフェースである。通信部203にて対応可能な通信規格は特に限定するものではない。センサ部205は、クライアント端末200の状態情報を検出するための1または複数のセンサから構成され、例えば、GPS(Global Positioning System)に代表されるGNSS(Global Navigation Satellite System)による位置センサ、磁気センサ、加速度センサ、撮影装置であるカメラなどを含んで構成されてよい。
【0020】
本実施の形態において配送計画生成装置100の処理部110は、道路コスト算出部111、配送コスト生成部112、配送計画算出部113、画面生成部114、DB管理部115、およびデータ連携部116を実装する。なお、機能ブロックの構成は一例であり、1のブロックの機能を更に詳細に分割してもよいし、複数のブロックの機能をまとめて構成してもよい。
【0021】
道路コスト算出部111は、配送ルートとして利用される道路のコストを算出する。配送コスト生成部112は、道路コストや配送対象の荷物のサイズなどに基づき、配送コストを算出する。配送計画算出部113は、配送コストや道路コストに基づき、荷物の配送計画を算出する。画面生成部114は、配送計画生成装置100やクライアント端末200に提供する各種UI画面を生成する。DB管理部115は、記憶部120に構成された各種DBの更新や管理を行う。データ連携部116は、配送計画に必要な各種情報を外部装置(クライアント端末200やその他の外部装置)から取得したり、提供したりする。
【0022】
本実施の形態において、配送計画生成装置100の記憶部120は、道路情報DB121、配送情報DB122、および担当者情報DB123を有する。なお、DBの構成は一例であり、1のDBを更に詳細に分割してもよいし、複数のDBをまとめて構成してもよい。
【0023】
道路情報DB121は、配送エリアの道路情報や地図情報を管理するためのデータベースである。道路情報や地図情報は、例えば、外部の地図サーバ(不図示)にアクセスして、最新の情報を取得することで更新されてよい。道路情報には、道路の形状の他、渋滞状況や通行可否の情報、過去の走行履歴などが含まれてもよい。これらの情報に基づいて、各道路のコストが定義される。配送情報DB122は、配送対象となる荷物の配送情報を管理するためのデータベースである。配送情報には、配送先、配送元、配送拠点、配送日時などが含まれてよい。担当者情報DB123は、配送担当者の情報を管理するためのデータベースである。担当者情報には、割り当てられた配送、担当者の配送履歴、勤務スケジュール、配送途中における現在位置、担当者の配送スキルなどが含まれてよい。
【0024】
なお、クライアント端末200から配送計画生成装置100を利用する場合、クライアント端末200が有するWebブラウザ(不図示)を用いて配送計画生成装置100へアクセスしてもよいし、クライアント端末200にインストールされた配送計画生成装置100に対応するアプリケーションを起動することで利用してもよい。また、配送計画生成装置100とクライアント端末200の機能の分担は、
図1の構成に限定するものではなく、配送計画生成装置100の機能の一部をクライアント端末200側で実施させるような構成であってもよい。
【0025】
[メッシュによる集約]
図2は、本実施の形態に係るメッシュによる集約を説明するための図である。
図2(a)のメッシュ210は集約前の状態を示し、
図2(b)のメッシュは集約後の状態を示す。ここでは、地図上に設定される6×6のメッシュ(計36個の単位エリア)の例を示す。なお、メッシュの1つの単位エリアの縦横のサイズは特に限定するものではなく、任意の矩形の値が設定されてよい。
図2において、1つの丸は、1つの配送先を示す。
図2(a)において、単位エリア211には3つの配送先が含まれる。また、単位エリア212には2つの配送先が含まれる。集約では、1の単位エリアに含まれる複数の配送先が含まれている場合に、単位エリアごとに配送先をまとめる(集約する)。例えば、
図2(a)の単位エリア211は、3つの配送先を集約することで、
図2(b)の単位エリア221のようになる。
図2において、集約された配送先は四角にて示している。同様に、
図2(a)の単位エリア212は、2つの配送先を集約することで、
図2(b)の単位エリア222のようになる。これにより、経路生成上の際の扱いを簡略化し、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0026】
図3は、本実施の形態に係るメッシュおよび経路生成の例を示す図である。
図2と同様、地図上に設定される6×6のメッシュの例を示す。
図3(a)は、集約前の状態を示す。
図3においての黒三角にて示す位置は、荷物の配送拠点(以下、単に「拠点」とも称する)を示す。また、その周辺に複数の配送先が丸にて示されている。ここでは、3つの種類の丸(実線、太線、破線)にて分類し、実線の丸が6個、太線の丸が5個、破線の丸が5個である例を示している。この3種類の丸は、3人の配送担当者それぞれの分担状況(割り当て)を示している。
【0027】
図3(b)は、
図3(a)のメッシュを2×2の単位エリアで調整した例を示している。この場合、3×3のメッシュとなる。
図3(b)において、2×2の単位エリアそれぞれに属する配送先の数が示されている。
【0028】
図3(c)は、
図3(b)の状態から、2×2の単位エリアにて配送先を集約した状態を示す。集約した状態を白三角にて示している。ここで集約した際の地図上の位置は、各配送先の中心位置であってもよいし、単位エリアの中心位置であってもよい。更に、
図3(c)において、配送拠点を起点として、集約された位置に対する配送経路を矢印にて示している。ここでは、最後の配送先から配送拠点までの戻りの経路は省略している。
【0029】
図3(d)は、
図3(a)の状態、すなわち、6×6のメッシュにおける1×1の単位エリアにて配送先を集約し、更に、配送拠点を起点として、集約された位置に対する配送経路を矢印にて示している。ここでは、最後の配送先から配送拠点までの戻りの経路は省略している。
【0030】
[配送計画]
本実施の形態では、配送計画の初期解を導出し、更にその初期解に対して3種類の改善方法および配送コストの最適化を適用することで、より適切な配送計画を決定する。配送コストの最適化は、例えば、2つの配送先間の走行経路を変更することで、配送コストを削減することが挙げられる。より具体的には、道路ごとにコスト(道路コスト)が異なるため、ある配送先から他の配送先へ向かう際に、どの道路を走行するかによって配送コストが異なる。いずれの道路を走行するかは、例えば、熟練ドライバの走行履歴に基づいて機械学習を行うことで決定されてもよいし、予め設定された道路コストに基づいて、公知のダイクストラ法により決定されてもよい。
【0031】
また、本実施の形態に係る配送計画の改善方法として、「置換」、「交換」、「移管」を例に挙げて説明する。置換は、配送先の順序を入れ替える処理である。交換は、複数の配送ルートの間で配送先を入れ替える処理である。移管は、別の配送ルートに配送先を移す処理である。
図4の説明図に基づき、置換、交換、移管の具体例について、以下に説明する。なお、各配送先から経路が2ルートある場合、コストが高い方の経路が点線、コストが低い方の経路が実線で表している。
【0032】
(置換)
パターン1において、1台の配送車両により、拠点S→配送先D1→配送先D2→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。この場合、配送コスト(言い換えると、距離)は、「10+10+10=30」である。
【0033】
一方、パターン1において、1台の配送車両により、拠点S→配送先D1→配送先D3→配送先D2→配送先D4の配送順で配送が行われる置換が行われた配送計画を設定する。この場合、配送コストは、「15+10+15=40」である。したがって、置換前よりも大きい配送コストとなり、配送計画の解としては採用しない。
【0034】
また、パターン2において、1台の配送車両により、拠点S→配送先D1→配送先D2→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。この場合、配送コストは、「10+10+10=30」である。
【0035】
一方、パターン2において、1台の配送車両により、拠点S→配送先D1→配送先D3→配送先D2→配送先D4の配送順で配送が行われる置換が行われた配送計画を設定する。この場合、配送コストは、「5+10+5=20」である。したがって、配送コストを削減することができ、配送計画の解として採用される。
【0036】
(交換)
パターン3において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D2→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D6→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。この配送計画の場合、1台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「20+20=40」となる。
【0037】
一方、パターン3において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D6→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D2→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。この配送計画の場合、1台目の配送車両の配送コストは「15+10+0=25」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「20+25=45」となる。そのため、交換前よりも大きい配送コストとなり、配送計画の解としては採用しない。
【0038】
また、パターン4において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D2→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D6→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。この配送計画の場合、1台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「20+20=40」となる。
【0039】
一方、パターン4において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D6→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D2→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。この配送計画の場合、1台目の配送車両の配送コストは「5+10+0=15」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「15+20=35」となる。したがって、配送コストを削減することができ、配送計画の解として採用される。
【0040】
(移管)
パターン5において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D2→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D6→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。このパターン5の場合、1台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「20+20=40」となる。
【0041】
一方、パターン5において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D6→配送先D2→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。このパターン5の場合、1台目の配送車両の配送コストは「25+0=25」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+10+0=30」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「25+30=55」となる。そのため、移管前よりも大きい配送コストとなり、配送計画の解としては採用しない。
【0042】
また、パターン6において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D2→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D6→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。このパターン6の場合、1台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+0=20」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「20+20=40」となる。
【0043】
一方、パターン6において、1台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D1→配送先D3→配送先D4の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。また、2台目の配送車両に対し、拠点S→配送先D5→配送先D6→配送先D2→配送先D7→配送先D8の配送順で配送が行われる配送計画を設定する。このパターン6の場合、1台目の配送車両の配送コストは「5+0=5」となり、2台目の配送車両の配送コストは「10+10+10+0=30」となる。このとき、2台の配送車両の配送コストの総和は「5+30=35」となる。したがって、配送コストを削減することができ、配送計画の解として採用される。
【0044】
(従来手法によるメッシュでの課題)
図5は、従来手法によるメッシュでの改善(ここでは、移管)の流れを説明するための概念図である。
図5の左から順に処理が進むものとして説明する。ここでは2台の車両A、Bを例に挙げ、車両Aにはメッシュ数が3つの配送先(「1」~「3」)が割り当てられ、車両Bにはメッシュ数が5つの配送先(「4」~「8」)が割り当てられている。ここでは、1台の車両に1人の配送担当者が対応しているものとする。このとき、各配送先は、メッシュの単位エリアにて集約された状態のものを示している。また、矢印は配送順を示している。
【0045】
本例において、配送先「8」が車両Bから車両Aへ移管されたとする。このとき、車両Aでは、配送先「3」の次に配送先「8」が来るように配送順を設定したとする。この状態では、一見すると、車両A、Bいずれもメッシュ数が4つずつの割り当てが行われており、配送先が平準化されているように考えられる。しかし、配送先はメッシュの単位エリアで集約された結果であるため、本例の場合の実配送件数(配送先の総和)は、車両Aが4件、車両Bが6件となり、平準化は十分に行われていない。なお、ここでは移管を例に挙げて説明したが、交換についても同様の課題が生じ得る。
【0046】
(本実施の形態の手法によるメッシュでの改善)
上記のようなメッシュでの平準化の課題を鑑み、本実施の形態では、メッシュにて集約された配送先の件数を考慮して改善を行う。
図6は、本実施の形態に係る手法によるメッシュでの移管の流れを説明するための概念図である。
【0047】
図6の左から順に処理が進むものとして説明する。ここでは2台の配送車両A、Bを例に挙げ、配送車両Aにはメッシュ数が3つの配送先(「1」~「3」)が割り当てられ、車両Bにはメッシュ数が5つの配送先(「4」~「8」)が割り当てられている。このとき、各配送先は、メッシュの単位エリアにて集約された状態のものを示している。また、矢印は配送順を示している。配送先の横には、集約前の配送先の件数を示している。したがって、実際には、車両Aには3件の配送先が割り当てられており、車両Bには7件の配送先が割り当てられている。
【0048】
本例において、配送先、「7」および配送先「8」を車両Bから車両Aへ移管する。このとき、車両Aでは、配送先「3」の次に配送先「7」、その次に配送先「8」が来るように配送順を設定する。この状態では、一見すると、車両Aには配送先が5つのメッシュ数、車両Bには配送先が3つのメッシュ数割り当てられ、平準化が行われていないようにも考えられる。しかし、集約前の件数で考えると、本例の場合の実配送件数(配送先の総和)は、車両A、Bもいずれも配送先が5件となり、平準化が行われている。
【0049】
[配送計画生成処理]
図7は、本実施の形態に係る配送計画生成装置100により実行される配送計画生成処理のフローチャートである。本処理フローは、配送計画生成装置100の処理部110が記憶部120に格納されたプログラムやデータを読み出して実行することにより実現されてよい。ここでは説明を簡単にするために、各工程の処理主体を配送計画生成装置100としてまとめて記載する。
【0050】
配送計画生成装置100は、配送範囲に関する情報を受信して入力する(ステップS701)。配送範囲に関する情報は、地図上の地域や担当エリアを指定してもよいし、配送先の一覧情報を指定してもよい。また、配送範囲に関する情報は、クライアント端末200から受信してもよいし、UI部130を介して入力されてもよい。
【0051】
配送計画生成装置100は、ステップS701にて入力された情報に基づいて、道路情報DB121から道路情報を参照する(ステップS702)。道路情報DB121は適時更新され、その最新状態の道路情報が参照されてよい。
【0052】
配送計画生成装置100は、ステップS702にて参照した道路情報と、ステップS701にて入力された配送範囲に含まれる複数の道路に対応した道路コストをそれぞれ算出する(ステップS703)。道路コストは、予め規定されていてもよいし、渋滞や工事などの状況に応じて変更されてもよい。また、道路コストは、道路の形状や特徴、交通規制などに応じて、設定されてよい。
【0053】
配送計画生成装置100は、ステップS702にて参照した道路情報に基づいて、配送ルートを決定したい2つの配送先(拠点を含む)のノードを順次特定する(ステップS704)。
【0054】
配送計画生成装置100は、所定のアルゴリズムを用いて、順次特定された2つの配送先のノードを有する配送ルートを決定し、その決定された配送ルートに対応する配送コストを算出する(ステップS705)。配送ルートを決定するためのアルゴリズムは、例えば、公知のダイクストラ法を用いてよい。本実施の形態では、配送ルートは、
図3(c)や
図3(d)に示すように、複数の担当者それぞれに割り当てられた単位エリアごとに一筆書きとなるように決定される。
【0055】
配送計画生成装置100は、ステップS705にて決定された配送コストに基づいて、配送計画を算出する(ステップS706)。本工程の詳細については、
図8を用いて後述する。そして、本処理フローを終了する。
【0056】
(配送計画算出処理)
図8は、本実施の形態に係る配送計画算出処理のフローチャートである。本処理フローは、
図7のステップS706の工程に対応する。
【0057】
配送計画生成装置100は、
図7のステップS705にて決定された配送コストを用いて、配送計画の初期解を決定する(ステップS801)。配送計画の初期解は、ステップS705で決定された配送ルートおよび配送コストを含む配送計画である。なお、初期解は、上述したステップS705で決定された配送ルート及び配送コストを基にして、配送計画生成装置100やクライアント端末200の利用者が手動で策定した配送計画であってもよい。
【0058】
配送計画生成装置100は、現時点の解である配送計画を基に、上述した改善方法を、全ての配送先の組み合わせに対して順番に行う(ステップS802)。ここで、現時点の解は、ステップS801で決定された初期解、または、後段のステップS804で得られる改善できた解である。
【0059】
配送計画生成装置100は、改善候補の各車両に対して、配送するメッシュの中の実際の配送件数(すなわち、集約前の配送件数)を算出する(ステップS803)。
【0060】
配送計画生成装置100は、ステップS803にて算出した配送件数に対して、平準化条件が満たされているか否かを判定する(ステップS804)。平準化条件は、予め設定されているものとし、例えば、各車両の配送件数の差が所定の値(例えば、「1」)以内であるなどの条件が設定されてよい。平準化条件の設定例については後述する。平準化条件を満たす場合(ステップS804;YES)、配送計画生成装置100の処理はステップS805へ進む。一方、平準化条件を満たさない場合(ステップS804;NO)、配送計画生成装置100の処理はステップS802へ戻り処理を繰り返す。
【0061】
配送計画生成装置100は、ステップS802にて3種類の改善方法を全ての配送先の組み合わせに対して行った結果、配送計画を改善することができたか否かを判定する(ステップS805)。ここでの判定は、上述したように配送コストを下げることができたか否か基づいて行われる。改善できた場合(ステップS805;YES)、配送計画生成装置100の処理はステップS806へ進む。一方、改善できていない場合(ステップS805;NO)、配送計画生成装置100の処理はステップS807へ進む。
【0062】
配送計画生成装置100は、改善できた解を現時点での解とする(ステップS806)。そして、配送計画生成装置100の処理はステップS802へ戻り、処理を繰り返す。
【0063】
配送計画生成装置100は、現時点での解を最終の配送計画として出力を行う(ステップS807)。ここでの出力は、配送計画の画面を生成して、配送計画生成装置100のUI部130にて出力してもよいし、クライアント端末200へ通知してもよい。そして、本処理フローを終了する。
【0064】
なお、本処理フローの途中にて、配送計画算出処理が開始されてから予め設定された時間が経過した場合には、その時点での解を配送計画として出力し、本処理フローを終了する。この場合、途中で中断した旨の画面を表示してよい。また、ここでの時間の設定例については後述する。
【0065】
[UI画面]
以下、本実施の形態において、配送計画生成装置100にて生成された配送計画に基づいて構成されるUI画面の構成例について説明する。各UI画面は、例えば、配送計画生成装置100の画面生成部114にて生成され、配送計画生成装置100のUI部130、または、クライアント端末200のUI部204にて表示されて提供される。
【0066】
図9は、配送計画を行う際に利用される設定画面900の構成例を示す。設定画面900は、例えば、
図7のステップS701の工程にて表示される。入力フォーム901は、配送先データを指定するための項目である。入力フォーム901は、入力可能な配送先データをリスト表示して受付可能に構成してもよいし、所定の格納先を指定することで受け付けてもよい。配送先データは、例えば、配送先の情報、荷物の情報などを含んで構成される一覧データであり、ステップS701の配送範囲に関する情報に対応する。配送担当者設定ボタン902は、各配送担当者に関する設定を行うためのボタンである。配送担当者設定ボタン902が押下された場合、
図11に示す設定画面1100に遷移する。デフォルト設定ボタン903は、配送計画を行う際に用いられる各種パラメータのデフォルト値を設定するためのボタンである。デフォルト設定ボタン903が押下された場合、
図10に示す設定画面1000に遷移する。
【0067】
図10は、配送計画を行う際に利用する各種パラメータを設定するための設定画面1000の構成例を示す。入力フォーム1001は、現時点を基準として、最大計算時間を設定するための項目である。入力フォーム1001にて指定された時間を最大として、配送計画が生成される。通常、配送計画の生成の際には、一定の処理時間を要するため、ここで上限値を設定しておき、上限値を超えた場合には、配送計画の生成処理を打ち切り、その時点での解を配送計画とする。入力フォーム1002は、メッシュにおける単位エリアの最大メッシュ幅(すなわち、単位エリア)を設定するための項目である。本実施の形態では、縦横が同じサイズである矩形の単位エリアを用いる。入力フォーム1001、1002は、例えば、テキスト入力が可能なように構成されてよい。
【0068】
入力フォーム1003は、平準化対象となるパラメータを指定するための項目である。
図8にて示した処理の例では、平準化対象として「配送件数」を例に挙げて説明した。しかし、平準化対象はこれに限定するものではない。例えば、平準化対象として、「配送件数」、「配送件数(単位エリア)」、「配送距離」、「配送時間」などが用いられてよい。また、「配送件数」もしくは「配送件数(単位エリア)」に対して、「配送距離」、「配送時間」などを組み合わせて用いられてもよい。したがって、入力フォーム1003では、これらをリスト表示して受付可能に構成されてよい。なお、上記の例において「配送件数」は集約前の配送件数を平準化の対象とする場合を指し、「配送件数(単位エリア)」は集約後の配送件数を平準化の対象とする場合を指す。
【0069】
入力フォーム1004は、平準化を行った場合の各割り当ての差分(ズレ)の許容値を指定するための項目であり、入力フォーム1003にて指定された設定に応じて、選択可能な値が切り替えられる。例えば、入力フォーム1003にて「配送件数」や「配送件数(単位エリア)」が指定された場合、入力フォーム1004では、「5件」、「10件」、「15件」などをリスト表示して受付可能に構成されてよい。同様に、入力フォーム1003にて「配送距離」が指定された場合、入力フォーム1004では、「5km」、「10km」、「15km」などをリスト表示して受付可能に構成されてよい。同様に、入力フォーム1003にて「配送時間」が指定された場合、入力フォーム1004では、「5分」、「10分」、「15分」などをリスト表示して受付可能に構成されてよい。もしくは、許容値は、比率(「5%」、「10%」、「15%」など)にて設定可能なように構成されてもよい。また、許容値は、3以上の配送担当者を対象として平準化を行う場合には、割り当てが最大の配送担当者と最小の配送担当者との差を対象としてよい。
【0070】
決定ボタン1005は、設定画面1000にて入力された各設定値をデフォルト設定として確定するためのボタンである。キャンセルボタン1006は、設定画面1000にて入力された各設定値を破棄するためのボタンである。決定ボタン1005およびキャンセルボタン1006が押下された場合には、設定画面900に遷移するように構成されてよい。
【0071】
図11は、平準化を行うための設定画面1100の構成例を示す。入力フォーム1101は、配送計画における配送開始時刻を指定するための項目である。入力フォーム1102は、配送計画の作成のための実行時間を指定する。
図10の入力フォーム1001と同様、ここで指定された時間を最大処理時間として、配送計画生成処理が実行される。
【0072】
入力フォーム1103は、配送人数、すなわち、平準化を行う対象の人数が表示される項目である。配送担当者リスト1104は、配送担当者に関する情報が一覧形式にて表示され、各項目に対して入力可能なように構成される。項目「No.」は、配送担当者を一意に識別するための識別情報を示す。項目「担当者」は、配送担当者の名称を示す。項目「デリバリスキル」は、配送担当者の配送スキルを示し、ここでは、数値が大きいほど熟練の配送担当者であるものとして設定する。また、項目「デリバリスキル」は、表示/非表示を切り替え可能に構成してもよい。
【0073】
項目「シフト」は、各配送担当者の業務を行う時間帯を示す。ここでは一時間単位で示しているが、更に大きな期間または小さな期間にて表示可能なように構成してもよい。また、項目「シフト」は、スライドバーなどで表示範囲を切り替えることで、更なる時間帯を表示させるような構成であってもよい。項目「配送」は、平準化を行う対象の配送担当者を指定するための項目であり、選択された場合にチェックが示される。ここで選択された配送担当者の数が入力フォーム1103にて表示される。項目「配送比率」は、選択した複数の配送担当者それぞれに対して割り当てる配送比率を指定するための項目である。配送比率の合計は100(%)となる。
【0074】
設定項目1105は、平準化結果としての配送予測の期間を表示するための項目である。本例では、「配送」、「今日」、「今週」、「今月」、および任意の期間が設定可能なように構成されている。ここでは、「今月」が選択され、平準化ボタン1106が押下された結果、その平準化の結果として、今月の配送担当者ごとの「配送件数」、「勤務時間」、「配送距離」がグラフ1107、1108、1109にて表示される。期間に過去が含まれる場合には、その一部が実績として集計される。なお、設定項目1105にて「配送」が選択され、平準化ボタン1106が押下された場合、設定画面900の入力フォーム901にて指定された配送先データのみを対象として、平準化処理およびグラフ1107、1108、1109の表示が行われる。この場合、配送担当者リスト1104にて選択された、すなわち、平準化の対象となっている配送担当者のみをグラフにて表示してよい。
【0075】
図12は、各配送担当者の配送に関するデータの構成例を示す。ここでのデータには、項目「ID」、「配送開始時刻」、「配送終了時刻」、「担当者」、「配送時間」、「距離」、および「件数」が含まれる。本データは、配送済みであれば履歴データであってもよいし、未配送であれば予定データとして構成されてもよい。設定項目1105にて、「今日」、「今週」、「今月」、もしくは任意の期間が選択された場合に、その実績としてグラフの集計を行う際に用いられる。本データは、配送先の割り当て時や配送完了時などに適時更新され、配送情報DB122や担当者情報DB123などにて管理されてよい。なお、履歴データの構成は一例であり、これに限定するものではない。例えば、グラフの生成に要するデータであれば、他の項目が含まれてよい。
【0076】
図13は、設定項目1105にて「配送」が選択され、平準化ボタン1106が押下されることで、本実施の形態に係る平準化処理が行われた結果を示すUI画面の構成例を示す。
図13(a)は、平準化処理の結果、平準化が正常に行われた場合に表示されるUI画面1300の例を示す。
図13(b)は、平準化処理の結果、平準化が正常に行われなかった場合に表示されるUI画面1310の例を示す。
【0077】
ここでは、平準化のパラメータとして、
図10に示す設定画面1000にて以下のパラメータを指定して用いた例を示す。これらのパラメータは、画面上にて平準化処理の結果と併せて表示される。
【0078】
平準化対象:件数(実配送件数)
配送担当者:2人(配送担当者A、配送担当者B)
最大計算時間:30分
メッシュ幅:100m
誤差:2件
【0079】
図13(a)のUI画面1300に結果1301に示すように、各配送担当者に平準化されて割り当てられた件数の誤差は1件であり、平準化のパラメータである2件以下となっている。そのため、平準化は正常に行われたものとして表示されている。決定ボタン1302は、今回の平準化結果を採用する場合に押下されるボタンである。再計算ボタン1303は、再度、平準化処理を行わせる場合に押下されるボタンである。
【0080】
一方、
図13(b)のUI画面1310に結果1311に示すように、各配送担当者に平準化されて割り当てられた件数の誤差は4件であり、平準化のパラメータである2件以上となっている。そのため、平準化は正常に行われていないものとして表示されている。また、計算時間が30分となっており、平準化のパラメータである30分と同じ値となっているため、平準化処理が途中で打ち切られたことを示している。決定ボタン1312は、今回の平準化結果を採用する場合に押下されるボタンである。再計算ボタン1313は、再度、平準化処理を行わせる場合に押下されるボタンである。
【0081】
図14、
図15は、平準化処理の結果を表示するためのUI画面1400の構成例であり、例えば、管理者が操作する配送計画生成装置100のUI部130にて表示される画面である。例えば、
図13のいずれかのUI画面にて決定ボタンが押下された場合にUI画面1400に遷移してよい。
【0082】
図14は、メッシュの単位エリアにおいて配送先を個別に示した表示例(通常モード)を示している。UI画面1400には、地
図1401に対して、設定されたメッシュの単位エリアを示す破線1402が重畳して示される。割り当て情報1403は、各配送担当者(本例では、配送担当者A、Bの2名)の平準化処理の結果を示す。決定ボタン1404は、平準化結果を確定し、各配送担当者に通知する際に押下されるボタンである。再計算ボタン1405は、再度、平準化処理を行わせる場合に押下されるボタンである。モード切替ボタン1406は、
図15に示す表示例(メッシュモード)と切り替えるためのボタンである。
【0083】
UI画面1400において、アイコン1407は、配送担当者の位置を示す。本例では、配送担当者A、Bが同じ位置にいるものとし、「×2」として示されている。配送担当者(より具体的には、クライアント端末200)の移動に伴って、アイコン1407の位置も変化してよい。アイコン1408は、配送先の位置を示し、ハッチングを付して表示されている。例えば、アイコン1408を操作することで、対応するより詳細な配送情報(例えば、配送先の住所など)が表示されてもよい。アイコン1408内の数字は、配送順を示す。アイコン1409は、アイコン1408と同様、配送先の位置を示し、ここでは異なる配送担当者に割り当てられているため、ハッチングとは異なる表示形式(本例では白抜き)となっている。
【0084】
図15は、メッシュの単位エリアごとに集計した状態での表示例(メッシュモード)を示している。単位エリアごとに属する配送先を集計して示す。UI画面1500には、地
図1501に対して、設定されたメッシュを示す実線1502が重畳して示される。割り当て情報1503は、各配送担当者(本例では、配送担当者A、Bの2名)の平準化処理の結果を示す。決定ボタン1504は、平準化結果を確定し、各配送担当者に通知する際に押下されるボタンである。再計算ボタン1505は、再度、平準化処理を行わせる場合に押下されるボタンである。モード切替ボタン1506は、
図14に示す表示例(通常モード)と切り替えるためのボタンである。
【0085】
UI画面1500において、アイコン1507は、配送担当者の位置を示す。本例では、配送担当者A、Bが同じ位置にいるものとし、「×2」として示されている。配送担当者(より具体的には、クライアント端末200)の移動に伴って、アイコン1507の位置も変化してよい。アイコン1508は、単位エリアに属する配送先の集計結果(「(×)」にて示す)および配送順を示し、ハッチングを付して表示されている。例えば、アイコン1508を操作することで、対応するより詳細な配送情報(例えば、配送先の住所など)の一覧が表示されてもよい。アイコン1509は、アイコン1508と同様、配送先の位置を示し、ここでは異なる配送担当者に割り当てられているため、異なる表示形式(本例では白抜き)となっている。
【0086】
図16、
図17は、平準化処理の結果を表示するためのUI画面の構成例であり、例えば、配送担当者Aが操作するクライアント端末200のUI部204にて表示される画面である。ここでは便宜上、
図16に示すUI画面1600を第1の画面とも記載し、
図17に示すUI画面1700を第2の画面とも記載する。なお、本実施の形態の説明において、「第1」、「第2」とは、異なる構成要素を区別して説明する際に用いているに過ぎず、特定の構成要素に限定して解釈することを意図するものではない。例えば、
図13のいずれかのUI画面にて決定ボタンが押下された場合に、平準化結果としての配送計画を配送担当者Aが所持するクライアント端末200に通知することで、UI画面1600が表示されてよい。
【0087】
図16は、配送担当者Aに割り当てられた配送先を個別に表示した例(通常モード)を示している。UI画面1600には、地
図1601に対して、設定されたメッシュを示す破線1602が重畳して示される。割り当て情報1603は、配送担当者Aに対して割り当てられた配送に関する情報を示す。ここでの情報としては、配送件数、走行距離、配送に要する予定時間などが示されている。モード切替ボタン1604は、
図17に示す表示例(メッシュモード)と切り替えるためのボタンである。
【0088】
UI画面1600において、アイコン1605は、配送担当者Aの位置を示す。配送担当者A(より具体的には、クライアント端末200)の移動に伴って、アイコン1605の位置も変化してよい。アイコン1606は、配送先の位置を示す。例えば、アイコン1606を操作することで、対応するより詳細な配送情報(例えば、配送先の住所など)が表示されてもよい。アイコン1606内の数字は、配送順を示す。配送経路1607は、割り当てられた各配送先に対する配送経路を示す。本経路は、上述したように配送コストに基づいて導出される。
【0089】
図17は、メッシュの単位エリアごとに集計した状態での表示例(メッシュモード)を示している。単位エリアごとに属する配送先を集計して示す。UI画面1700には、地
図1701に対して、設定されたメッシュを示す実線1702が重畳して示される。割り当て情報1703は、配送担当者Aに対して割り当てられた配送に関する情報を示す。ここでの情報としては、配送件数、走行距離、配送に要する予定時間などが示されている。モード切替ボタン1704は、
図16に示す表示例(通常モード)と切り替えるためのボタンである。
【0090】
UI画面1700において、アイコン1705は、配送担当者Aの位置を示す。配送担当者A(より具体的には、クライアント端末200)の移動に伴って、アイコン1705の位置も変化してよい。アイコン1706は、単位エリアに属する配送先の集計結果(「(×)」にて示す)および配送順を示す。例えば、アイコン1706を操作することで、対応するより詳細な配送情報(例えば、配送先の住所など)の一覧が表示されてもよい。
【0091】
以上、本実施の形態に係る配送計画生成装置100は、1以上の配送先が含まれる単位エリアを繋いで特定される複数の担当者それぞれの配送ルートの生成と、当該複数の担当者それぞれの配送ルートに含まれる配送を平準化する処理とを繰り返し実行して複数の担当者それぞれの配送ルートを生成する際に用いられる設定項目をユーザに入力させる設定画面(例えば、設定画面900、設定画面1000、設定画面1100)を提供する画面生成部114を有する。
【0092】
これにより、荷物の配送ルートを配送担当者間で平準化して、配送の全体の実行時間を抑えつつ、配送担当者の作業負荷の偏りを抑制する配送計画を生成することが可能となる。
【0093】
また、設定画面1000は、配送ルートの生成と配送を平準化する処理を繰り返す最大計算時間を指定可能に構成される。
【0094】
これにより、処理負荷の高い平準化処理を実行する場合でも、所望の処理時間にて打ち切ることが可能となり、必要以上に長い処理の実行を抑制することが可能となる。
【0095】
また、設定画面1000は、単位エリアのサイズを指定可能に構成される。
【0096】
これにより、所望の単位エリアのサイズにて配送先の集約処理を行うことが可能となり、配送ルートの生成処理を任意の粒度で行って、処理負荷を軽減することが可能となる。
【0097】
また、設定画面1000は、配送の平準化の対象を指定可能に構成される。
【0098】
これによりに所望の対象を平準化の対象として指定可能となる。
【0099】
また、配送の平準化の対象は、配送件数、配送距離、配送時間のいずれかである。
【0100】
これにより、単位エリアごとの配送件数、配送距離、配送時間のいずれかを指定して平準化を行わせることが可能となる。
【0101】
また、設定画面1000は、配送の平準化の差分の許容値を指定可能に構成される。
【0102】
これにより、所望の精度、許容範囲にて平準化を実行させることが可能となる。
【0103】
また、画面生成部114は更に、配送先の割り当て対象となる担当者、および期間を少なくとも設定可能な設定画面1100を提供する。
【0104】
これにより、所望の担当者や期間を指定して配送ルートの生成や平準化を行わせることが可能となる。
【0105】
また、設定画面1100は、複数の担当者それぞれに対する平準化の結果の集計値を、平準化の項目ごとに表示可能に構成される。
【0106】
これにより、平準化の結果の集計値、および、配送実績の集計値を容易に把握可能と市、状況に応じた平準化を実行させることが可能となる。
【0107】
また、画面生成部114は更に、担当者に対して割り当てられた複数の配送先の配送ルートを、配送範囲の地図上に重畳して表示するUI画面1600を提供する。
【0108】
これにより、配送担当者は、自身に対して平準化して割り当てられた配送ルートを容易に把握することが可能となり、配送時の利便性を向上させることが可能となる。
【0109】
また、画面生成部114は更に、担当者に対して割り当てられた複数の配送先の、単位エリアごとに集計した数を配送範囲の地図上に重畳して表示するUI画面1700を提供する。
【0110】
これにより、配送担当者は、自身に対して平準化して割り当てられた配送を単位エリアごとに簡略化して把握することが可能となる。
【0111】
また、本開示は、上述した実施の形態の装置の機能を実現するプログラムを、ネットワークあるいは各種記憶媒体を介して装置に供給し、この装置内のコンピュータが読み出して実行するプログラム及び記憶媒体も適用範囲である。
【0112】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に相当し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本開示は、複数の荷物の配送において、配送先までの道路の状況に応じて最適な荷物の配送計画の策定を効果的に支援し、それぞれの荷物を配送する配送担当者の負担を相当に軽減する配送計画生成装置、および配送計画生成方法として有用である。
【符号の説明】
【0114】
100…配送計画生成装置
110…処理部
111…道路コスト算出部
112…配送コスト生成部
113…配送計画算出部
114…画面生成部
115…DB管理部
116…データ連携部
120…記憶部
121…道路情報DB
122…配送情報DB
123…担当者情報DB
130…UI部
140…通信部
200…クライアント端末
201…処理部
202…記憶部
203…通信部
204…UI部
205…センサ部
300…ネットワーク
900、1000、1100…設定画面
1300、1310、1400、1500、1600、1700…UI画面