(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157668
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】3Dメガネ、光学装置及び3次元画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/24 20200101AFI20231019BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G02B30/24
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067728
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】坂井 彰
(72)【発明者】
【氏名】箕浦 潔
【テーマコード(参考)】
2H088
2H199
【Fターム(参考)】
2H088EA07
2H088EA35
2H088HA17
2H088HA18
2H088JA09
2H199BA04
2H199BA29
2H199BA63
2H199BB10
2H199BB15
2H199BB43
2H199BB52
(57)【要約】
【課題】時分割で駆動される液晶パネルの観察者側に配置された場合に、クロストークを低減できる3Dメガネ、上記3Dメガネを備えた光学装置及び上記光学装置を備えた3次元画像表示装置を提供する。
【解決手段】右眼用偏光部と左眼用偏光部とを有する3Dメガネであって、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部は、それぞれ、偏光板と第一のλ/4板とを有し、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部の少なくとも一方は、上記偏光板よりも背面側に位相差層を有し、波長550nmにおける、上記右眼用偏光部の厚み方向の位相差と上記左眼用偏光部の厚み方向の位相差とが異なる3Dメガネ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右眼用偏光部と左眼用偏光部とを有する3Dメガネであって、
前記右眼用偏光部及び前記左眼用偏光部は、それぞれ、偏光板と第一のλ/4板とを有し、
前記右眼用偏光部及び前記左眼用偏光部の少なくとも一方は、前記偏光板よりも背面側に位相差層を有し、
波長550nmにおける、前記右眼用偏光部の厚み方向の位相差と前記左眼用偏光部の厚み方向の位相差とが異なる3Dメガネ。
【請求項2】
前記右眼用偏光部と前記左眼用偏光部のうち、波長550nmにおける厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth1、小さい方の位相差をRth2とすると、下記式(1)を満たす請求項1に記載の3Dメガネ。
|Rth1-Rth2|≧120nm (1)
(式中、Rth1>Rth2である。)
【請求項3】
前記右眼用偏光部及び前記左眼用偏光部は、それぞれ前記位相差層を有し、
前記右眼用偏光部が有する前記位相差層と前記左眼用偏光部が有する前記位相差層とは、波長550nmにおける厚み方向の位相差の正負が異なる請求項1又は2に記載の3Dメガネ。
【請求項4】
前記右眼用偏光部が有する前記位相差層及び前記左眼用偏光部が有する前記位相差層の一方は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が80nm~140nmのポジティブCプレートであり、他方は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が20nm~120nmのネガティブCプレートである請求項3に記載の3Dメガネ。
【請求項5】
前記右眼用偏光部及び前記左眼用偏光部のいずれか一方のみが、前記位相差層を有する請求項1又は2に記載の3Dメガネ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の3Dメガネと、前記3Dメガネの背面側に配置された液晶シャッター部とを備え、
前記液晶シャッター部は、時分割で駆動される液晶パネルと、前記液晶パネルよりも前記背面側に配置された第二のλ/4板とを有する光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学装置と、前記光学装置の背面側に配置された画像表示装置とを備え、
前記画像表示装置は一対の偏光板に挟持された画像表示用パネルを備える3次元画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、3Dメガネ、上記3Dメガネを備えた光学装置及び上記光学装置を備えた3次元画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体画像表示装置としては、時分割で画像を遮断する液晶セルを備えた表示装置に対して、偏光板及びλ/4板を備えた偏光素子を用いて立体画像(3D画像)を視認できる表示装置が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液晶セル、その前後に1対の偏光板を備えた液晶表示装置Iと、前記液晶表示装置Iの表示面と観察者の間に配設された、液晶セルを備えた時分割画像表示遮断機器IIと、を有する立体画像認識装置において、前記液晶表示装置Iは、表示側偏光板の偏光膜より表示側の領域を表示側偏光板保護領域としたときに、該表示側偏光板保護領域にλ/4板Aを有し、前記液晶表示装置Iの表示側偏光板の吸収軸とλ/4板Aの遅相軸のなす角度は35~55°又は125~145°であり、前記表示側偏光板保護領域が下記式(I)を満足し、かつ、前記表示側偏光板保護領域の380nmにおける吸光度が0.06以上であり、前記時分割画像表示遮断機器IIは、液晶セルと観察者の間に少なくとも1つの偏光板Cを有し、かつ、該偏光板Cと該液晶表示装置Iの間にλ/4板Bを有しており、前記液晶表示装置Iの表示側偏光板の吸収軸と前記時分割画像表示遮断機器IIの偏光板Cの吸収軸を直交又は平行に配置したときに、λ/4板Aとλ/4板Bの遅相軸は直交又は平行であることを特徴とする立体画像認識装置が開示されている。
(I):|Rth(550)|≦160nm
ここで、Rth(λ)は、波長λnmにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
3次元画像を表示する方法の一つに、液晶パネルを二枚積層した表示装置において、背面側の液晶パネルに右眼用及び左眼用画像を交互に表示し、右眼用及び左眼用画像の表示に合わせて観察者側の液晶パネル(アクティブリターダー)を時分割で制御し、偏光メガネ(3Dメガネ)を使用して右眼用及び左眼用画像を分離して視認させる方式が提案されている。このように、右眼及び左眼にそれぞれ別の画像を時分割で届けることで奥行きを感じさせる表示装置を、アクティブリターダー方式の3次元画像表示装置ともいう。
【0006】
上記アクティブリターダー方式の3次元画像表示装置では、左眼用の画像が右眼に混ざって視認されたり、右眼用の画像が左眼に混ざって視認されたりすることで奥行き感が損なわれる、いわゆるクロストーク現象が発生することがあった。
【0007】
上記特許文献1では、時分割画像表示遮断機器IIの液晶セルとして、液晶セルの位相差をλ/2条件に設定したECBモードの液晶セルを使用し、液晶セルのON/OFFとλ/4板Aとの組み合わせで出射される光の偏光状態を右円偏光と左円偏光とで切り替えている。本発明者らは、上記特許文献1に記載のλ/4板Bと偏光板Cで人の眼への透過及び非透過を切り替える方式を用いると、左右いずれかの眼で視野角が悪くなり、クロストークが発生してしまうことに着目した。
【0008】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、時分割で駆動される液晶パネルの観察者側に配置された場合に、クロストークを低減できる3Dメガネ、上記3Dメガネを備えた光学装置及び上記光学装置を備えた3次元画像表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の一実施形態は、右眼用偏光部と左眼用偏光部とを有する3Dメガネであって、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部は、それぞれ、偏光板と第一のλ/4板とを有し、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部の少なくとも一方は、上記偏光板よりも背面側に位相差層を有し、波長550nmにおける、上記右眼用偏光部の厚み方向の位相差と上記左眼用偏光部の厚み方向の位相差とが異なる3Dメガネ。
【0010】
(2)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、上記右眼用偏光部と上記左眼用偏光部のうち、波長550nmにおける厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth1、小さい方の位相差をRth2とすると、下記式(1)を満たす3Dメガネ。
|Rth1-Rth2|≧120nm (1)
(式中、Rth1>Rth2である。)
【0011】
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部は、それぞれ上記位相差層を有し、上記右眼用偏光部が有する上記位相差層と上記左眼用偏光部が有する上記位相差層とは、波長550nmにおける厚み方向の位相差の正負が異なる3Dメガネ。
【0012】
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(3)の構成に加え、上記右眼用偏光部が有する上記位相差層及び上記左眼用偏光部が有する上記位相差層の一方は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が80nm~140nmのポジティブCプレートであり、他方は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が20nm~120nmのネガティブCプレートである3Dメガネ。
【0013】
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)又は(2)の構成に加え、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部のいずれか一方のみが、上記位相差層を有する3Dメガネ。
【0014】
(6)また、本発明の他の一実施形態は、上記(1)~(5)のいずれかに記載の3Dメガネと、上記3Dメガネの背面側に配置された液晶シャッター部とを備え、上記液晶シャッター部は、時分割で駆動される液晶パネルと、上記液晶パネルよりも上記背面側に配置された第二のλ/4板とを有する光学装置。
【0015】
(7)また、本発明の更に他の一実施形態は、上記(6)に記載の光学装置と、上記光学装置の背面側に配置された画像表示装置とを備え、上記画像表示装置は一対の偏光板に挟持された画像表示用パネルを備える3次元画像表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、時分割で駆動される液晶パネルの観察者側に配置された場合に、クロストークを低減できる3Dメガネ、上記3Dメガネを備えた光学装置及び上記光学装置を備えた3次元画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係る3Dメガネの一例の斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の第1例を示した断面模式図である。
【
図3】実施形態1に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の第2例を示した断面模式図である。
【
図4】実施形態1に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の第3例を示した断面模式図である。
【
図5】実施形態2に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の一例を示した断面模式図である。
【
図6】実施形態3に係る光学装置の一例を示した断面模式図である。
【
図7】実施形態3に係る光学装置の他の一例を示した断面模式図である。
【
図8】実施形態4に係る3次元画像表示装置の一例を示した断面模式図である。
【
図9】従来の3次元画像表示装置の一例を示した断面模式図である。
【
図10】実施例1で液晶シャッター部をOFFにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図11】実施例1で液晶シャッター部をONにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図12】実施例2で液晶シャッター部をOFFにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図13】実施例2で液晶シャッター部をONにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図14】実施例3で液晶シャッター部をOFFにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図15】実施例3で液晶シャッター部をONにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図16】実施例4で液晶シャッター部をOFFにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図17】実施例4で液晶シャッター部をONにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図18】比較例1で液晶シャッター部をOFFにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【
図19】比較例1で液晶シャッター部をONにした場合の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。なお、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。本発明の各態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよい。
【0019】
[用語の定義]
本明細書中、観察者側とは、3Dメガネ、光学装置及び3次元画像表示装置の使用態様において、観察者に近い側を意味し、背面側とは、上記観察者に対して観察者からより遠い側を意味する。
【0020】
本明細書中、方位とは、対象となる方向を各部材の表面上に射影したときの方向を意味し、基準となる方位との間のなす角度(方位角)で表現される。角度(方位角)は、各部材を観察者側(正面)から見たときに、反時計回りを正の角度、時計回りを負の角度とする。また、角度(方位角)は、各部材を平面視した状態で測定された値を表す。本明細書中、基準となる方位(φ=0°)は、3Dメガネ、光学装置及び3次元画像表示装置の使用態様において、3Dメガネ及び光学装置及び3次元画像表示装置の水平右方向に設定される。
【0021】
本明細書中、2つの直線(軸及び方向を含む)が互いに直交するとは、特に断りのない限り、平面視した状態で直交することを意味する。2つの直線(軸及び方向を含む)が平行であるとは、特に断りのない限り、平面視した状態で平行であることを意味する。本明細書中、2つの軸(方向)が互いに直交するとは、両者のなす角度(絶対値)が90±3°の範囲内であることを指し、好ましくは90±1°の範囲内であり、より好ましくは90±0.5°の範囲内であり、特に好ましくは90°(完全に直交)である。また、2つの軸(方向)が平行であるとは、両者のなす角度(絶対値)が0±3°の範囲内であることを指し、好ましくは0±1°の範囲内であり、より好ましくは0±0.5°の範囲内であり、特に好ましくは0°(完全に平行)である。
【0022】
本明細書中、面内位相差Reは、Re=(ns-nf)dで定義される。また、厚み方向位相差Rthは、Rth=(nz-(nx+ny)/2)dで定義される。そして、NZ係数(2軸性パラメータ)は、NZ=(ns-nz)/(ns-nf)で定義される。nsはnx、nyのうち大きい方を、nfは小さい方を指す。また、nx及びnyは、位相差層の面内方向の主屈折率を示し、nzは、面外方向、すなわち、位相差層の面に対して垂直方向の主屈折率を示し、dは、位相差層の厚みを示す。なお、本明細書中で主屈折率、位相差、NZ係数等の光学パラメータの測定波長は、特に断りのない限り550nmとする。
【0023】
本明細書中、2つの直線(軸、方向)が平行である又はパラレルニコルに配置されるとは、上記2つの直線の成す角が、0°±10°の範囲内、好ましくは0°±5°の範囲内、より好ましくは、0°±1°の範囲内であることを意味する。また、2つの直線(軸、方向)が直交する又はクロスニコルに配置されるとは、上記2つの直線の成す角が、90°±10°の範囲内、好ましくは90°±5°の範囲内、より好ましくは、90°±1°の範囲内であることを意味する。
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に記載された内容に限定されるものではなく、本発明の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。
【0025】
[実施形態1]
実施形態1に係る3Dメガネは、右眼用偏光部と左眼用偏光部とを有する3Dメガネであって、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部は、それぞれ、偏光板と第一のλ/4板とを有し、上記右眼用偏光部及び上記左眼用偏光部の少なくとも一方は、上記偏光板よりも背面側に位相差層を有し、波長550nmにおける、上記右眼用偏光部の厚み方向の位相差と上記左眼用偏光部の厚み方向の位相差とが異なる。
【0026】
図1は、実施形態1に係る3Dメガネの一例の斜視図である。
図1に示したように、実施形態1に係る3Dメガネ10は、右眼用偏光部11Rと、左眼用偏光部11Lと、支持部12とを備える。3Dメガネ10は、メガネのレンズに相当する部分に右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lを備えた偏光素子(偏光メガネ)である。
【0027】
右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lは、それぞれ、偏光板(第一の偏光板)と第一のλ/4板とを有し、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lの少なくとも一方は、第一の偏光板よりも背面側に位相差層を有する。右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lの少なくとも一方が、位相差層を有することで、波長550nmにおける、右眼用偏光部11Rの厚み方向の位相差と左眼用偏光部11Lの厚み方向の位相差を異ならせることができる。すなわち、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lに位相差が同一である位相差層が配置されたものは、本発明に含まれない。
【0028】
ここで、従来の3次元画像表示装置について、以下に
図9を用いて説明する。
図9は、従来の3次元画像表示装置の一例を示した断面模式図である。
図9に示したように、従来の3次元画像表示装置101として、背面側から順に画像表示装置40と粘着剤層50を介して観察者側に配置された液晶シャッター部20と備え、3Dメガネ110として、偏光板113を備え、右眼用偏光部111Rにλ/4板114Rが配置され、左眼用偏光部111Lにλ/4板114Lが配置された場合を例示する。なお、
図9では、右眼用偏光部111Rと左眼用偏光部111Lとで一つの偏光板113を共有する場合を例示したが、右眼用偏光部111Rと左眼用偏光部111Lとで個別に偏光板113が配置されてもよい。
【0029】
液晶シャッター部20は時分割で駆動され、液晶シャッター部20の観察者側に3Dメガネ110を配置することで、画像表示装置40に表示される画像を右眼と左眼とで交互に遮光する。本発明者らは、正面視では遮光が充分であっても、斜め方向から見た場合には、3Dメガネ110が備える偏光板113の吸収軸と、λ/4板114R及びλ/4板114Lの遅相軸と、液晶シャッター部20が備えるシャッター用液晶パネル21の遅相軸と、第二のλ/4板22との軸配置がずれることで、視野角特性が悪くなり充分に遮光されないことを見出した。例えば、右眼用の画像を表示しているときに、左眼用の画像が充分に遮光されていないと、左眼の画像も表示されてしまう現象(クロストーク)が発生してしまう。特に左右でシャッター用の液晶パネル21の遮光時の配向状態や偏光板の軸方位が異なる場合には、右眼と左眼とで視野角特性が異なることから、公知の視野角補償層を配置して視野角を補償しても、クロストークを低減することは困難であった。
【0030】
本発明では、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lの位相差の少なくとも一方に位相差層を配置し、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lの位相差を異ならせることで、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lの位相差を個別に調整することができる。その結果、3Dメガネの背面側に、後述する時分割で駆動される液晶パネルを備えた液晶シャッター部(アクティブリターダー)を配置した場合に、液晶シャッター部がOFFの状態での右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lのそれぞれの遮光性を高める、3D表示を行った場合のクロストークを低減することができる。
【0031】
図2は、実施形態1に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の第1例を示した断面模式図である。実施形態1では、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lが、それぞれ位相差層15R、15Lを有する場合について説明する。右眼用偏光部11Rが有する位相差層15Rと左眼用偏光部11Lが有する位相差層15Lとは、波長550nmにおける厚み方向の位相差の正負が異なる。位相差層15Rと位相差層15Lとで厚み方向の位相差の正負が異なることで、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lの位相差を個別に調整し、クロストークを低減することができる。
【0032】
右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lのうち、波長550nmにおける厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth1、小さい方の位相差をRth2とすると、下記式(1)を満たすことが好ましい。
|Rth1-Rth2|≧120nm (1)
(式中、Rth1>Rth2である。)
【0033】
実施形態1において、右眼用偏光部11Rの位相差は、偏光板113とλ/4板114Rと位相差層15Rとを合わせた位相差である。左眼用偏光部11Lの位相差は、偏光板113とλ/4板114Lと位相差層15Lとを合わせた位相差である。右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lのうち、厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth1、小さい方の位相差をRth2とすると、Rth1からRth2を引いた値の絶対値が120nm以上であることでも、3D表示を行った場合のクロストークを低減させることができる。上記|Rth1-Rth2|は、例えば、150nm以下であることが好ましい。
【0034】
<第一の偏光板>
第一の偏光板13は、直線偏光板であることが好ましい。本明細書において、直線偏光板は、無偏光(自然光)、部分偏光又は偏光から、特定方向にのみ振動する偏光(直線偏光)を取り出す機能を有するものを意味する。第一の偏光板13は、吸収型偏光板であることが好ましい。
【0035】
吸収型偏光板とは、特定方向に振動する光を吸収し、それに垂直な方向に振動する偏光(直線偏光)を透過する機能を有するものである。吸収型偏光板は、透過軸と、上記透過軸と直交する吸収軸とを有する。
【0036】
上記吸収型偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムにヨウ素錯体(又は染料)等の異方性材料を、染色及び吸着させてから延伸配向させた偏光板(吸収型偏光板)等を用いることができる。なお、一般的には、機械強度及び耐湿熱性を確保するために、ポリビニルアルコールフィルムの両側にトリアセチルセルロースフィルム等の保護フィルムが積層された状態で実用に供される。
【0037】
<第一のλ/4板>
本明細書において、λ/4板は、少なくとも波長550nmの光に対して1/4波長(厳密には、137.5nm)の面内位相差を付与する位相差板をいい、120nm以上、150nm以下の面内位相差を付与するものであればよい。
【0038】
第一のλ/4板及び後述する位相差層15の材料としては特に限定されず、例えば、ポリマーフィルムを延伸したもの、液晶性材料の配向を固定したもの等を用いることができる。
【0039】
第一のλ/4板及び後述する位相差層15の形成方法は特に限定されない。ポリマーフィルムから形成される場合、例えば、溶剤キャスト法、溶融押出し法等を用いることができる。共押出し法により、複数の位相差層を同時に形成する方法を用いてもよい。所望の位相差が発現しさえすれば、無延伸であってもよいし、延伸が施されてもよい。延伸方法も特に限定されず、ロール間引張り延伸法、ロール間圧縮延伸法、テンター横一軸延伸法、斜め延伸法、縦横二軸延伸法の他、熱収縮性フィルムの収縮力の作用下に延伸を行う特殊延伸法等を用いることができる。また、液晶性材料から形成される場合、例えば、配向処理を施した基材フィルムの上に液晶性材料を塗布し、配向固定する方法等を用いることができる。所望の位相差が発現しさえすれば、基材フィルムに特別な配向処理を行わない方法や、配向固定した後、基材フィルムから剥がして別のフィルムに転写加工する方法等であってもよい。更に、液晶性材料の配向を固定しない方法を用いてもよい。また、非液晶性材料から形成される場合も、液晶性材料から形成される場合と同様の形成方法を用いてもよい。
【0040】
<位相差層>
位相差層15は、波長550nmにおける、厚さ方向のリタデーションの絶対値が10nm以上の値を有するものであり、好ましくは、20nm以上の値を有するものである。上記位相差は、例えば、デュアル・リターダー・ローテート方式のポーラリメータ(Axometrics社製、商品名:Axo-scan)を用いて測定することができる。
【0041】
右眼用偏光部11Rが有する位相差層15Rと左眼用偏光部11Lが有する位相差層15Lとは、波長550nmにおける厚み方向の位相差の正負が異なる。位相差層15R及び15Lは、Cプレート(ポジティブCプレート又はネガティブCプレート)であることが好ましい。位相差層15R及び15Lは、Cプレートである場合、位相差層15R、位相差層15R及び15Lの位相差は、厚み方向の位相差を差す。
【0042】
右眼用偏光部11Rが有する位相差層15R及び左眼用偏光部11Lが有する位相差層15Lの一方は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が80nm~140nmのポジティブCプレートであり、他方は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が20nm~120nmのネガティブCプレートであることが好ましい。このような態様とすることで、より効果的にクロストークを低減することができる。
【0043】
ポジティブCプレートは、3つの主屈折率nx、ny及びnzがnx=ny<nzの関係を満たす位相差層である。ネガティブCプレートは、3つの主屈折率nx、ny及びnzがnx=ny>nzの関係を満たす位相差層である。また、いずれのCプレートも、厳密にnx=nyでなくても良く、面内位相差(nx-ny)×dの値が5nm以下が好ましい。
【0044】
位相差層15Rと位相差層15Lのうち、波長550nmにおける厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth3、小さい方の位相差をRth4とすると、下記式(2)を満たすことが好ましい。下記|Rth3-Rth4|は、例えば、150nm以下であることが好ましい。
|Rth3-Rth4|≧120nm (2)
(式中、Rth3>Rth4である。)
【0045】
図2に示した第1例のように、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lとで、一つの第一の偏光板13が共有され、個別に第一のλ/4板14R、Lが配置されてもよい。第1例の場合、右眼用偏光部11Rに配置される第一のλ/4板14Rの遅相軸と、左眼用偏光部11Lに配置される第一のλ/4板14Lの遅相軸とは直交することが好ましい。また、第一の偏光板13の吸収軸と第一のλ/4板14Rの遅相軸との成す角度、及び、第一の偏光板13の吸収軸と第一のλ/4板14Lの遅相軸との成す角度は、45°±3°であることが好ましく、45°±1°の範囲内であることがより好ましく、45°であることが更に好ましい。
【0046】
図3は、実施形態1に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の第2例を示した断面模式図である。
図3に示した第2例のように、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lとで、それぞれ個別に第一の偏光板13R、13Lと第一のλ/4板14R、14Lとが配置されてもよい。第一の偏光板13R、第一の偏光板13Lの吸収軸は、上記第1例で説明した第一の偏光板13の吸収軸と同様に配置してもよい。第一のλ/4板14R、第一のλ/4板14Lは、上記第1例と同様に配置してもよい。
【0047】
図4は、実施形態1に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の第3例を示した断面模式図である。
図4に示した第3例のように、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lとで、個別に第一の偏光板13R、Lが配置され、一つの第一のλ/4板14が共有されてもよい。第3例の場合、右眼用偏光部11Rに配置される第一の偏光板13Rの吸収軸と、左眼用偏光部11Lに配置される第一の偏光板13Lの吸収軸とは直交することが好ましい。また、第一のλ/4板14の遅相軸と第一の偏光板13Rの吸収軸との成す角度、及び、第一のλ/4板14の遅相軸と第一の偏光板13Lの吸収軸との成す角度は、45°±3°であることが好ましく、45°±1°の範囲内であることがより好ましく、45°であることが更に好ましい。
【0048】
なお、本明細書中、右眼用偏光部11Rに配置された第一の偏光板13Rと、左眼用偏光部11Lに配置された第一の偏光板13Lとを特に区別しない場合、単に第一の偏光板13ともいう。右眼用偏光部11Rに配置された第一のλ/4板14Rと、左眼用偏光部11Lに配置された第一のλ/4板14Lとを特に区別しない場合、単に第一のλ/4板14ともいう。
【0049】
<支持部>
支持部12としては、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lをそれぞれ観察者の右眼、左眼に合わせることができるものであれば特に限定されず、例えばメガネのフレームのように、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lを固定する枠(リム)を備え、観察者の耳にかける部材(テンプル)を備えてもよい。
【0050】
[実施形態2]
実施形態2に係る3Dメガネは、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lのいずれか一方のみが、位相差層を有する。
図6は、実施形態2に係る3Dメガネの右眼用偏光部及び左眼用偏光部の一例を示した断面模式図である。
図6では、左眼用偏光部11Lのみに位相差層(位相差層15L)を配置した場合を例示したが、右眼用偏光部11Rのみに位相差層を配置してもよい。
【0051】
右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lのうち、波長550nmにおける厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth1、小さい方の位相差をRth2とすると、下記式(1)を満たすことが好ましい。
|Rth1-Rth2|≧120nm (1)
(式中、Rth1>Rth2である。)
【0052】
右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lのいずれか一方のみが、位相差層を有する場合であっても、右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lのうち、厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth
1、小さい方の位相差をRth
2とすると、Rth
1からRth
2を引いた値の絶対値が120nm以上であることで、3D表示を行った場合のクロストークを低減させることができる。
図6の場合、右眼用偏光部11Rの位相差は、偏光板113とλ/4板114Rとを合わせた位相差である。左眼用偏光部11Lの位相差は、偏光板113とλ/4板114Lと位相差層15Lとを合わせた位相差である。上記|Rth
1-Rth
2|は、例えば、150nm以下であることが好ましい。
【0053】
右眼用偏光部11R及び左眼用偏光部11Lのいずれか一方のみに位相差層を配置する場合、上記位相差層は、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が80nm~140nmのポジティブCプレートであってもよいし、波長550nmにおける厚み方向の位相差の絶対値が20nm~120nmのネガティブCプレートであってもよい。
【0054】
実施形態2でも第一の偏光板13及び第一のλ/4板14について、実施形態1で説明した第1例~第4例のいずれも適用することができ、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lとで、一つの第一の偏光板13と一つの第一のλ/4板14が共有してもよいし、個別に第一の偏光板13及び/又は第一のλ/4板14が配置されてもよい。位相差層の軸配置は、実施形態1と同様に配置することができる。
【0055】
[実施形態3]
実施形態3に係る光学装置は、実施形態1又は2に記載の3Dメガネと、上記3Dメガネの背面側に配置された液晶シャッター部とを備え、上記液晶シャッター部は、時分割で駆動される液晶パネルと、上記液晶パネルよりも上記背面側に配置された第二のλ/4板とを有する。
【0056】
<液晶シャッター部>
図6は、実施形態3に係る光学装置の一例を示した断面模式図である。3Dメガネについては重複する説明は省略する。
図6に示したように、液晶シャッター部20は、液晶パネル21と、液晶パネル21よりも背面側に配置された第二のλ/4板22とを有する。以下、液晶シャッター部20は、アクティブリターダーともいい、液晶シャッター部20が有する液晶パネル21を、シャッター用液晶パネル21ともいう。
【0057】
液晶シャッター部20はON/OFFにより、液晶シャッター部20を透過する光の位相差を変化させる。液晶シャッター部20の背面に後述する画像表示装置40を配置し、画像表示装置40が前面側に直線偏光板を有する場合、液晶シャッター部20には直線偏光が入射される。上記直線偏光は、液晶シャッター部20はON/OFFにより、右回り又は左回りの円偏光として出射される。上記3Dメガネと合わせて観察することで、3D表示を行うことができる。
【0058】
本明細書では、光の進行方向に対向して光を観察した場合に、光波の電気変位ベクトルの振動方向が、光波の進行とともに時計回りに回転するものを右回りの円偏光といい、光波の進行とともに反時計回りに回転するものを左回りの円偏光という。また、円偏光は、完全な円偏光(楕円率(短軸/長軸)=1.00)のみならず、楕円率が0.90以上、1.00未満の楕円偏光も含むものとする。
【0059】
<シャッター用液晶パネル>
シャッター用液晶パネル21は、時分割で駆動される液晶パネルである。時分割で駆動されるとは、シャッター用液晶パネル21の偏光状態を一定時間毎に交互に切り替える駆動方法をいう。例えば、1/240~1/120秒毎に透過状態と遮状態光とが切り替わってもよい。
【0060】
シャッター用液晶パネル21の構成としては、例えば、第一の基板と、上記第一の基板に対向して配置された第二の基板と、上記第一の基及び上記第二の基板に挟持された液晶層(第一の液晶層)とを備える液晶パネルが挙げられる。第一の基板は、第一の液晶層側に向かって、第一の支持基板、第一の電極、第一の配向膜を備えてもよい。第二の基板は、第一の液晶層側に向かって、第二の支持基板、第二の電極、第二の配向膜を備えてもよい。
【0061】
シャッター用液晶パネル21は、液晶層の複屈折性を利用したECB(Electrically Controlled Birefringence)モードであることが好ましい。第一の電極と第二の電極との間に電圧を印加することで、第一の液晶層に含まれる液晶分子の配向を変化さることで、液晶層のリタデーションを変化させることができる。例えば、シャッター用液晶パネル21は、垂直配向モードであってもよく、電圧無印加状態における液晶分子の初期配向を、第一の基板及び第二の基板の表面に対して平行とし、電圧印加状態における液晶分子の初期配向を、第一の基板及び第二の基板の表面に対して垂直に配向(液晶層の厚み方向に沿って配向)させてもよい。本明細書中、上記電圧無印加状態とは、液晶層に電圧が印加されていない状態をいい、液晶分子の閾値未満の電圧が印加された状態も含む。上記電圧印加状態とは、液晶分子の閾値以上の電圧が印加された状態をいう。
【0062】
シャッター用液晶パネル21は、パッシブ駆動方式の液晶パネルであってもよいし、後述するアクティブマトリクス駆動の液晶パネルであってもよい。第一の液晶層への電圧無印加及び印加を切り替えることで、シャッター用液晶パネル21全体のリタデーションを一様に制御することが好ましい。パッシブ駆動方式では、例えば、第一電極、第二電極をそれぞれ格子状に配置する構成が挙げられる。パッシブ駆動方式は、後述するアクティブマトリクス駆動のように、画素毎にTFTのようなスイッチング素子を設けなくてもよいため、透過率を高め、かつ、製造コストを抑えることができる。
【0063】
第一の支持基板、第二の支持基板としては、例えば、ガラス基板、プラスチック基板等の絶縁基板が挙げられる。ガラス基板の材料としては、例えば、フロートガラス、ソーダガラス等のガラスが挙げられる。ブラスチック基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン等のプラスチックが挙げられる。
【0064】
第一の電極、第二の電極は、第一の基板及び第二の基板の全面に形成された薄膜状のベタ電極であってもよい。第一の電極、第二の電極は、透明電極であることが好ましい。例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の透明導電材料、又は、それらの合金を、スパッタリング法等により単層又は複数層で成膜して形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングを行うことで形成することができる。
【0065】
液晶分子は、下記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有するものが好ましい。なお、液晶分子の長軸の平均方向(ダイレクタ)が液晶層の遅相軸の方向となる。また、電圧が印加されていない状態(電圧無印加状態)における液晶分子の長軸の平均方向は、液晶分子の初期配向の方向ともいう。電圧無印加状態における液晶分子はホモジニアス配向してもよい。
Δε=(液晶分子の長軸方向の誘電率)-(液晶分子の短軸方向の誘電率) (L)
【0066】
電圧無印加状態において、第一の液晶層はλ/2板として作用することが好ましく、電圧印加状態においては、ポジティブCプレートとして作用することが好ましい。
【0067】
第一の配向膜、第二の配向膜は、配向膜は、液晶層における液晶分子の配向を制御する機能を有し、液晶層への印加電圧が閾値電圧未満(電圧無印加状態を含む)のときには、主に配向膜の働きによって液晶層中の液晶分子の配向が制御される。配向膜としては、特に限定されず、液晶パネルの分野で公知のものを用いることができる。
【0068】
<第二のλ/4板>
図6に示したように、シャッター用液晶パネル21の背面側には、第二のλ/4板22が配置されている。第二のλ/4板22としては、第一のλ/4板14と同様の材料で構成されるもの、同様の位相差を有すものを用いることができる。
【0069】
電圧無印加状態における上記第一の液晶層の液晶分子の配向方位(ダイレクタの向き)は、第一の液晶層の遅相軸ともいい、第二のλ/4板22の遅相軸は、第一の液晶層の遅相軸と直交するように配置されることが好ましい。
【0070】
図7は、実施形態3に係る光学装置の他の一例を示した断面模式図である。
図7に示したように、液晶シャッター部20は、3Dメガネの観察者側と反対側の面に粘着剤層50を介してされ、一体となっていてもよい。左眼用偏光部11Lに表示される画像を右眼で見た場合や、右眼用偏光部11Rに表示される画像を左眼で見た場合に生じるクロストークを低減することができる。
図7の場合、3Dメガネ10が光学装置30であるともいえる。3Dメガネ10は、シャッター用液晶パネル21を駆動させる駆動回路や、バッテリーを備えてもよい。
【0071】
上記粘着剤層としては、特に限定されず、例えば、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系等の樹脂材料や、ゴム材料が挙げられる。
【0072】
3Dメガネと接着されず、後述する
図8に示したように画像表示装置と一体となっていてもよい。3Dメガネと液晶シャッター部20とが離れた配置される場合、3Dメガネをかけた観察者が顔を傾けると、3Dメガネ10が備える第一の偏光板13の吸収軸と、第一のλ/4板14R及び第一のλ/4板14Lの遅相軸と、液晶シャッター部20が備えるシャッター用液晶パネル21の遅相軸との軸配置がずれることがあるが、左右の眼で異なる位相差層を配置していることから、遮光状態での斜め方向からの遮光性を高め、クロストークを低減することができる。
【0073】
<表示方法>
以下に、3Dメガネ10が
図2に示した第1例の構成を有する場合について、光学装置の遮光、透過について説明する。一例として、3Dメガネ10については、右眼用偏光部11Rに、第一のλ/4板14Rの遅相軸が-45°となるように配置され、左眼用偏光部11Lに、第一のλ/4板14Lの遅相軸が45°となるように配置された場合を例示する。光学装置30については、シャッター用液晶パネル21がECBモードであり、シャッター用液晶パネル21の背面に配置された第二のλ/4板22の遅相軸が-45°である場合を例示する。また、光学装置30の背面側に、後述する画像表示装置40を配置し、画像表示装置40の光学装置30側に配置される第二の偏光板42の吸収軸を、3Dメガネ10が備える第一の偏光板13の吸収軸と直交するように配置する場合を例示する。
【0074】
(電圧がOFFの場合)
液晶シャッター部20がOFFの場合について説明する。液晶シャッター部20がOFFの場合とは、シャッター用液晶パネル21の液晶層(以下、第一の液晶層ともいう)に電圧が印加されていない電圧無印加状態をいう。シャッター用液晶パネル21がECBモードの場合、電圧無印加状態では、第一の液晶層はλ/2板として作用する。第一の液晶層が、遅相軸が45°のλ/2板として作用する場合、液晶シャッター部20(第一の液晶層と、遅相軸が-45°である第二のλ/4板22との2層)は、遅相軸が45°のλ/4板として捉えることができる。
【0075】
右眼用偏光部11Rについては、液晶シャッター部20(第一の液晶層と第二のλ/4板22との積層体)の遅相軸と、第一のλ/4板14Rの遅相軸とは直交するため、位相差が互いにキャンセルされる。そのため、右眼用偏光部11Rでは、第二の偏光板42の吸収軸と第一の偏光板13の吸収軸との直交関係が維持されるため遮光される。
【0076】
左眼用偏光部11Lについては、液晶シャッター部20(第一の液晶層と第二のλ/4板22との積層体)の遅相軸と、第一のλ/4板14Lの遅相軸とは平行であるため、液晶シャッター部20(第一の液晶層と第二のλ/4板22)と第一のλ/4板14Lとは、足し合わせにより遅相軸角度が45°のλ/2板として機能する。そのため、左眼用偏光部11Lでは、画像表示装置40から出射され第二の偏光板42を透過した直線偏光は、上記λ/2板としての作用により+90°回転し、第一の偏光板13を透過する。
【0077】
(電圧がONの場合)
液晶シャッター部20がONの場合について説明する。液晶シャッター部20がONの場合とは、シャッター用液晶パネル21の液晶層(第一の液晶層)に電圧が印加された状態をいう。シャッター用液晶パネル21がECBモードの場合、電圧印加状態では、液晶分子がシャッター用液晶パネル21の面内方向に対して垂直に配向するため、第一の液晶層はポジティブCプレートとして作用する。ポジティブCプレートは、光軸が法線方向と一致し、面内遅相軸が定義されないことから、正面視では存在しないものと扱うことができる。そのため、液晶シャッター部20(第一の液晶層と第二のλ/4板22との積層体)は、遅相軸が-45°のλ/4板として捉えることができる。
【0078】
右眼用偏光部11Rについては、第一の液晶層と第二のλ/4板22との積層体の遅相軸と、第一のλ/4板14Rの遅相軸とは平行であるため、液晶シャッター部20(第一の液晶層と第二のλ/4板22)と第一のλ/4板14Lとは、足し合わせにより遅相軸角度が-45°のλ/2板として機能する。そのため、右眼用偏光部11Rでは、画像表示装置40から出射され第二の偏光板42を透過した直線偏光は、上記λ/2板としての作用により-90°回転し、第一の偏光板13を透過する。
【0079】
左眼用偏光部11Lについては、液晶シャッター部20(第一の液晶層と第二のλ/4板22との積層体)の遅相軸と、第一のλ/4板14Lの遅相軸とは直交するため、位相差が互いにキャンセルされる。そのため、左眼用偏光部11Lでは、第二の偏光板42の吸収軸と第一の偏光板13の吸収軸との直交関係が維持されるため遮光される。
【0080】
このように、液晶シャッター部20の電圧をON及びOFFに切り替えることで、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lから観察者の眼に入る画像を切り替えることができ、3D表示(3次元立体表示)を行うことができる。
【0081】
上記では3Dメガネが、
図3に示した第3例の構成を有する場合、
図4に示した第4例の構成を有する場合についても、液晶シャッター部20の電圧をON/OFFとすることで、3次元立体表示を行うことができる。
【0082】
[実施形態4]
実施形態4に係る3次元画像表示装置は、実施形態3に記載の光学装置と、上記光学装置の背面側に配置された画像表示装置とを備え、上記画像表示装置は一対の偏光板に挟持された画像表示用パネルを備える。
【0083】
図9は、実施形態4に係る3次元画像表示装置の一例を示した断面模式図である。
図9では、3Dメガネ10の観察者側と反対側に、間隔を空けて液晶シャッター部20が配置されており、液晶シャッター部20の背面側に粘着剤層50により画像表示装置40が貼り合わせられている。上述の
図7に示したように、3Dメガネと液晶シャッター部20とが一体となっている場合は、液晶シャッター部20の背面に間隔を空けて画像表示装置40が配置されてもよい。画像表示装置40は背面側にバックライトユニット44を備えてもよい。
【0084】
画像表示装置40は、右眼用の画像と左眼用の画像とを交互に表示することが好ましい。右眼用の画像と左眼用の画像とは、上述の液晶シャッター部20が有するシャッター用液晶パネル21の透過状態と遮光状態の切り替わりと連動して表示されることが好ましく、3Dメガネの右眼用偏光部11Rが透過しているときに右眼用の画像が表示され、左眼用偏光部11Lが透過しているときに左眼用の画像が表示されることで、立体表示を行うことができる。
【0085】
<画像表示用パネル>
画像表示用パネル41は、液晶パネルであることが好ましい。画像表示用パネル41の配向モードは特に限定されず、電圧無印加状態に液晶層中の液晶分子が基板面に対して平行に配向する、FFS(Fringe Field Switching)モードやIPS(In Plane Switching)モード等の横電界方式であってもよいし、電圧無印加状態に液晶層中の液晶分子が基板面に対して垂直に配向する、垂直配向(VA:Vertical Alignment)等の縦電界方式であってもよい。
【0086】
画像表示用パネル41は、例えば、第三の基板と、上記第三の基板に対向して配置された第四の基板と、上記第三の基及び上記第四の基板に挟持された液晶層(第二の液晶層)とを備える。第三の基板がTFT基板であり、第四の基板がカラーフィルター基板であってもよい。
【0087】
第三の基板がTFT基板である場合、第二の液晶層側に向かって、第三の支持基板、第三の電極、第三の配向膜を備えてもよい。上記TFT基板は、例えば、第三の支持基板上に、互いに直交したゲート線とソース線とが、格子を形成するように配設され、その交点近傍には、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が設けられる。ゲート線とソース線とに囲まれた領域が画素を形成し、各画素には、ドレイン電極を介してTFTに接続された画素電極が設けられる。画像表示用パネル41の駆動方法は、特には限定されず、例えば一般に行われているアクティブマトリクス駆動方式を用いることができる。
【0088】
第四の基板がカラーフィルター基板である場合、第二の液晶層側に向かって、第四の支持基板、第四の配向膜を備えてもよい。カラーフィルター基板は、例えば、第四の支持基板と、ブラックマトリクスと、ブラックマトリクスにより隔てられたカラーフィルターとを有する。カラーフィルター―は、例えば、赤色、緑色及び青色のカラーフィルターを含む。カラーフィルター、ブラックマトリクスとしては、液晶表示装置の分野で通常用いられるものを用いることができる。
【0089】
画像表示用パネル41が横電界方式の液晶パネルである場合、TFT基板に画素電極と絶縁層を介して第四電極(対向電極)が設けられ、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層に横電界(フリンジ電界を含む)を印加することで表示を行う。画像表示用パネル41が縦電界方式の液晶パネルである場合、カラーフィルター基板に第四の電極(対向電極)が設けられ、画素電極及び共通電極の間に電圧を印加して液晶層の厚み方向に縦電界を印加することで表示を行う。
【0090】
第三及び第四の支持基板としては、上記第一及び第二の支持基板と同様のものを用いることができる。第三及び第四の配向膜としては、上記第一及び第二の配向膜と同様のものを用いることができる。第三及び第四の電極としては、上記第一及び第二の電極と同様の材料を用いることができる。
【0091】
第二の液晶層としては、液晶表示装置の分野で通常用いられるものを用いることができる。第二の液晶層は、液晶分子を含有する。上記液晶分子は、上記式(L)で定義される誘電率異方性(Δε)が正の値を有してもよいし、負の値を有してもよい。
【0092】
<第二及び第三の偏光板>
第二の偏光板42及び第三の偏光板43は、直線偏光板であることが好ましい。第二の偏光板42及び第三の偏光板43は、吸収型偏光板であってもよいし、反射型偏光板であってもよいし、吸収型偏光板と反射型偏光板の積層体であってもよい。第二の偏光板42、第三の偏光板43としては、第一の偏光板13と同様のものを用いることができる。第二の偏光板42及び第三の偏光板43は、互いに吸収軸が直交したクロスニコルに配置される。
【0093】
反射型偏光板とは、特定方向に振動する光を反射し、それに垂直な方向に振動する偏光(直線偏光)を透過する機能を有するものである。反射型偏光板は、透過軸と、上記透過軸と直交する反射軸とを有する。本明細書中、偏光板として反射型偏光板を用いた場合は、「吸収軸」は「反射軸」と読み替える。
【0094】
反射型偏光板としては、二種類の樹脂からなる共押出しフィルムを1軸延伸して得られる反射型偏光板(例えば、日東電工社製のAPCFや3M社製のDBEF)、金属ワイヤーの細線を周期的に配列させた反射型偏光板(所謂ワイヤーグリッド偏光板)等が挙げられる。
【0095】
画像表示装置40の光学装置30側に配置される第二の偏光板42の吸収軸は、3Dメガネ10が備える第一の偏光板13の吸収軸と直交するように配置されることが好ましい。
【0096】
<バックライトユニット>
バックライトユニット44としては、特に限定されず、液晶表示装置の分野で通常用いられるものを使用することができる。画像表示用パネル41の表示領域と重畳する位置に光源が配置された直下型のバックライトであってもよいし、導光板と、上記導光板の端部に沿って光源が配置されたエッジライト型のバックライトであってもよい。
【実施例0097】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明の効果を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0098】
(実施例1~3)
実施例1~3は、
図8に示した、3Dメガネと、液晶シャッター部と、画像表示装置を備えた3次元画像表示装置であり、3Dメガネとして
図2に示した実施形態1の第1例で示した構成を有する。実施例1~3の3Dメガネは、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lとで、一つの第一の偏光板13が共有される。観察者側から順に、右眼用偏光部11Rは、第一の偏光板13、第一のλ/4板14R及び位相差層15Rがこの順で配置され、左眼用偏光部11Lは、第一の偏光板13、第一のλ/4板14L及び位相差層15Lがこの順で配置される。
【0099】
液晶シャッター部のシャッター用液晶パネルとしては、ECBモードの液晶パネルとし、液晶層に含まれる液晶分子は、誘電率異方性が正(Δε=7.0)のポジ型液晶とした。上記ECBモードの液晶パネルとしては、一対の基板に液晶層が挟持され、各基板の上記液相層と対向する側に、電極及び配向膜が形成されたパネルが挙げられる。
【0100】
第一の偏光板13、第二の偏光板42、第三の偏光板の軸方位は、それぞれ90°、0°、90°とした。右眼用偏光部11Rに配置される第一のλ/4板14Rの遅相軸を-45°、左眼用偏光部11Lに配置される第一のλ/4板14Lの遅相軸を45°とした。
なお、基準となる方位(0°)は、3Dメガネを観察者側から見た場合の水平右方向とした。
【0101】
実施例1~3で用いた各部材の位相差をそれぞれ表1~3に示した。表1~3及び後述する表4及び5中の面内位相差Re、厚み方向位相差Rthは、下記式により求められる。
面内位相差Re=(nx-ny)×d
厚み方向位相差Rth=(nz-(nx+ny)/2)d
nx及びny:位相差層の面内方向の主屈折率を示し、nzは、面外方向、すなわち、液晶層の面に対して垂直方向の主屈折率を示し、dは、液晶層の厚みを示す。上記nx>nyであり、nxの軸方位を遅相軸といい、nyの軸方位を進相軸という。
【0102】
表1~3及び後述する表4及び5中、シャッター用液晶パネルの面内位相差は、電圧無印加状態における液晶層の面内位相差であり、軸方位は、電圧無印加状態における液晶層の遅相軸(液晶分子の初期配向方位)である。偏光板については、吸収軸の軸方位を示した。位相差層については、遅相軸の軸方位を示した。ポジティブCプレート及びネガティブCプレートは、光軸が法線方向と一致し、面内遅相軸が定義されないため、軸方位は「-」と記載した。
【0103】
右眼用偏光部と左眼用偏光部のうち、波長550nmにおける厚み方向の位相差が大きい方の位相差をRth1、小さい方の位相差をRth2とすると、実施例1~4の|Rth1-Rth2|は、それぞれ、150nm、130nm、140nm、120nmとした。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
(実施例4)
実施例4は、3Dメガネの構成が異なる点以外は、実施例1と同様の構成を有する。実施例4では、3Dメガネとして
図5に示した実施形態2の構成とした。実施例4の3Dメガネは、右眼用偏光部11Rと左眼用偏光部11Lとで、一つの第一の偏光板13が共有される。観察者側から順に、右眼用偏光部11Rは、第一の偏光板13及び第一のλ/4板14Rがこの順で配置され、左眼用偏光部11Lは、第一の偏光板13、第一のλ/4板14L及び位相差層15Lがこの順で配置される。実施例4で用いた各部材の位相差を表4に示した。
【0108】
【0109】
(比較例1)
比較例1は、3Dメガネの構成が異なる点以外は、実施例1と同様の構成を有する。比較例1では、3Dメガネとして
図9に示した構成とした。比較例1の3Dメガネは、右眼用偏光部111Rと左眼用偏光部111Lとで、一つの偏光板113が共有され、右眼用偏光部111Rは第一のλ/4板114Rを有し、左眼用偏光部111Lは第一のλ/4板114Lを有する。比較例1で用いた各部材の位相差を表5に示した。
【0110】
【0111】
(輝度の計算)
実施例1~4及び比較例1に関し、液晶シャッター部の電圧無印加状態(OFF)と電圧印加状態(ON)とでの、右眼及び左眼の輝度を計算した。上記輝度の計算は、液晶光学シミュレーター(シンテック社製、商品名:LCD-MASTER)を用い、極角を0~80°、方位角を0~360°で変化させたときの輝度を計算した。上記輝度は、画像表示装置が点灯した状態(バックライトが点灯し、かつ画像表示用パネルが白表示状態)で計算した。上記極角は、3Dメガネの観察者側の表面の法線方向を0°とし、上記法線方向と測定方向とのなす角度を意味する。なお本計算は、光源の配光特性が全方位で100ntとしているため、実質的に透過率を計算しているのと同一である。
【0112】
結果を
図10~
図19に示した。
図10及び
図11は、実施例1の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図であり、液晶シャッター部をOFFにした場合を
図10に、ONにした場合を
図11に示した。
図12及び
図13は、実施例2の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図であり、液晶シャッター部をOFFにした場合を
図12に、ONにした場合を
図13に示した。
図14及び
図15は、実施例3の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図であり、液晶シャッター部をOFFにした場合を
図14に、ONにした場合を
図15に示した。
図16及び
図17は、実施例4の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図であり、液晶シャッター部をOFFにした場合を
図16に、ONにした場合を
図17に示した。
図18及び
図19は、比較例1の右眼と左眼の輝度視野角を示したコンター図であり、液晶シャッター部をOFFにした場合を
図18に、ONにした場合を
図19に示した。なお、コンター図は明るさを示す等高線図であり、数値が高いほど透過率が高いことを示す。
【0113】
まず、比較例1について検討した。
図18の右眼の遮光時及び
図19の左眼の遮光時に着目すると、斜め方向に(
図18では略45°、135°、225°、315°、
図19では略30°、120°、210°,300°)で輝度が高くなっていた。これは、斜め方向において遮光が不充分であることを表しており、クロストークが発生したことが分かる。
【0114】
次に、実施例1~4について検討した。実施例1については、
図10の右眼の遮光時及び
図11の左眼の遮光時に着目した。実施例2については、
図12の右眼の遮光時及び
図13の左眼の遮光時に着目した。実施例3については、
図14の右眼の遮光時及び
図15の左眼の遮光時に着目した。実施例4については、
図16の右眼の遮光時及び
図17の左眼の遮光時に着目した。実施例1~4のいずれについても、比較例1と比べて、遮光時の斜め方向からの透過率が低く、光り漏れが抑制されており、クロストークが低減されたことが確認できた。