(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157686
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】消毒保管庫及び消毒保管システム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20231019BHJP
A47L 15/48 20060101ALI20231019BHJP
A47B 81/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A47L15/46 J
A47L15/46 G
A47L15/48
A47B81/04 C
A47B81/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067752
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】酒井 香雄
(72)【発明者】
【氏名】中西 智則
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DB01
3B082DC05
3B082EE01
3B082EE02
(57)【要約】
【課題】約1台分の最大消費電力に抑えつつ、複数の消毒保管庫を用いて対象物を効率的に加熱消毒可能な技術を提供する。
【解決手段】消毒保管庫10は、ヒータ27と、コントローラ33と、入出力回路35とを備える。ヒータ27は、庫内の保管物を加熱するように構成される。コントローラ33は、ヒータ27を制御するように構成される。入出力回路35は、外部の消毒保管庫である外部保管庫10Eからの信号を入力し、外部保管庫10E向けの信号を出力するように構成される。コントローラ33は、ヒータ27の動作に関する第一の通知信号を、入出力回路35を通じて外部保管庫10Eに出力する。コントローラ33は、入出力回路35を通じて外部保管庫10Eから入力される外部保管庫10Eのヒータの動作に関する第二の通知信号に基づき、自庫のヒータ27を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒保管庫であって、
庫内の保管物を加熱するように構成されるヒータである自己ヒータと、
前記自己ヒータを制御するように構成されるコントローラと、
外部の消毒保管庫である外部保管庫からの信号を入力し、前記外部保管庫向けの信号を出力するように構成される入出力回路と、
を備え、
前記コントローラは、
前記自己ヒータの動作に関する第一の通知信号を、前記入出力回路を通じて前記外部保管庫に出力し、
前記入出力回路を通じて前記外部保管庫から入力される前記外部保管庫が備えるヒータである外部ヒータの動作に関する第二の通知信号に基づき、前記自己ヒータを制御する消毒保管庫。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第二の通知信号に基づき、前記外部ヒータの停止を条件に、前記自己ヒータを作動させる請求項1記載の消毒保管庫。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記自己ヒータの作動中に所定の停止条件が満足されると、前記自己ヒータを停止させ、前記自己ヒータの停止を表す信号を前記第一の通知信号として前記外部保管庫に出力し、
前記自己ヒータの停止中に前記外部保管庫から前記第二の通知信号として前記外部ヒータの停止を表す信号が入力されたことを条件に、前記自己ヒータの作動を表す信号を前記第一の通知信号として前記外部保管庫に出力し、前記自己ヒータを作動させる請求項2記載の消毒保管庫。
【請求項4】
前記消毒保管庫は、庫内温度を検出するように構成される検出器を備え、
前記コントローラは、前記自己ヒータの作動中に前記検出器により検出された前記庫内温度が設定温度を超えると、前記停止条件が満足されたと判別し、前記自己ヒータを停止させる請求項3記載の消毒保管庫。
【請求項5】
前記コントローラは、前記自己ヒータの作動開始から設定時間が経過すると、前記停止条件が満足されたと判別し、前記自己ヒータを停止させる請求項3記載の消毒保管庫。
【請求項6】
前記コントローラは、加熱処理開始条件が満足されると、
前記第二の通知信号に基づき前記自己ヒータを作動させること及び前記停止条件が満足されると前記自己ヒータを停止させることの繰返しを含む加熱処理を開始し、
終了条件を満たすと、前記加熱処理を終了し、前記自己ヒータを停止状態に保持する請求項3記載の消毒保管庫。
【請求項7】
ユーザインタフェースを備え、
前記コントローラは、前記ユーザインタフェースを通じて運転指示が入力されると、前記入出力回路を通じて第一のインターロック信号を前記外部保管庫に出力し、
前記第一のインターロック信号に対する応答として、前記外部保管庫から第二のインターロック信号が前記入出力回路を通じて入力されると、前記加熱処理開始条件が満足されたと判別し、前記自己ヒータの作動を表す信号を前記第一の通知信号として前記外部保管庫に出力し、前記加熱処理を開始する請求項6記載の消毒保管庫。
【請求項8】
前記コントローラは、前記自己ヒータが停止中であるときに、前記ユーザインタフェースを通じた前記運転指示の入力なしに前記外部保管庫から前記第一のインターロック信号が入力されると、前記第二のインターロック信号を前記外部保管庫に出力し、前記外部ヒータの停止を条件に、前記加熱処理を開始する請求項7記載の消毒保管庫。
【請求項9】
消毒保管システムであって、
第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫を備え、
前記第一の消毒保管庫は、前記第一の消毒保管庫が備えるヒータの制御により、保管物を加熱する第一の加熱処理を実行するように構成され、
前記第二の消毒保管庫は、前記第二の消毒保管庫が備えるヒータの制御により、保管物を加熱する第二の加熱処理を実行するように構成され、
前記第一の加熱処理及び前記第二の加熱処理は、前記第一の消毒保管庫が備えるヒータと前記第二の消毒保管庫が備えるヒータとが同時には作動しないように、並列に実行される消毒保管システム。
【請求項10】
消毒保管システムであって、
第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫を備え、
前記第一の消毒保管庫及び前記第二の消毒保管庫のそれぞれは、請求項1~請求項8のいずれか一項記載の消毒保管庫であり、
前記第一の消毒保管庫及び前記第二の消毒保管庫のそれぞれが、互いに前記外部保管庫としての前記第二の消毒保管庫又は前記第一の消毒保管庫に前記第一の通知信号を出力し、前記外部保管庫からの前記第二の通知信号に基づき、前記自己ヒータを制御することにより、
前記第一の消毒保管庫及び前記第二の消毒保管庫が、交互に前記自己ヒータを作動させ、前記第一の消毒保管庫内の保管物及び前記第二の消毒保管庫内の保管物を交互に加熱する消毒保管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、消毒保管庫及び消毒保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務用の厨房機器として、食器類を消毒及び保管するための消毒保管庫が知られている。消毒保管庫は、収容された洗浄後の食器類を、加熱により消毒し乾燥させた後、次の使用機会まで食器類を保管する。消毒保管庫には、例えば電気式のヒータが設けられ、ヒータによる加熱により食器類が加熱消毒される。
【0003】
大規模な厨房施設では、大量の食器類を加熱消毒するために、消毒保管庫が複数設置される。複数の消毒保管庫は、個別に使用される。あるいは、複数の消毒保管庫は、直列接続される(例えば特許文献1参照)。
【0004】
複数の消毒保管庫が直列接続されたシステムでは、複数の消毒保管庫が、先頭の消毒保管庫に対する運転指示を契機に、順に加熱消毒を開始する。一つの消毒保管庫が加熱消毒を完了すると、次の消毒保管庫が加熱消毒を開始する。末尾の消毒保管庫の加熱消毒が終了すると、システム全体における加熱消毒が終了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多数の食器類を、複数の消毒保管庫に分散して格納し、これらの食器類を複数の消毒保管庫を用いて加熱消毒する場合、各消毒保管庫では、庫内温度を設定温度に制御するために、ヒータのオン/オフが繰り返される。これにより、庫内温度がおよそ一定に保持される。しかしながら、この場合には、庫内温度が設定温度を上回り、それによりヒータがオフに切り替えられてから、設定温度まで下降してヒータがオンに切り替えられるまでの期間が、ヒータの待ち時間になる。
【0007】
そのため、消毒保管庫を一台ずつ順に作動させる手法では、複数の消毒保管庫に分散して格納された食器類の全てに対する加熱消毒が完了するまでに、長い時間を要する。一方、複数の消毒保管庫を同時に作動させると、施設における時間当たりの電力消費量が大きくなる。時間当たりの電力消費量の増大は、電気料金の増大につながる。
【0008】
そこで、本開示の一側面によれば、時間当たりの電力消費量を抑えつつ、複数の消毒保管庫を用いて対象物を効率的に加熱消毒可能な技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面によれば、消毒保管庫が提供される。消毒保管庫は、ヒータと、コントローラと、入出力回路とを備える。ヒータは、庫内の保管物を加熱するように構成されるヒータである。ここでは、消毒保管庫が備えるヒータのことを自己ヒータという。
【0010】
コントローラは、自己ヒータを制御するように構成される。入出力回路は、外部の消毒保管庫である外部保管庫からの信号を入力し、外部保管庫向けの信号を出力するように構成される。
【0011】
コントローラは、自己ヒータの動作に関する第一の通知信号を、入出力回路を通じて外部保管庫に出力する。コントローラは、入出力回路を通じて外部保管庫から入力される外部保管庫が備えるヒータである外部ヒータの動作に関する第二の通知信号に基づき、自己ヒータを制御する。
【0012】
本開示の一側面に係る消毒保管庫は、外部保管庫における外部ヒータの動作状況に応じて、自己ヒータを制御することができる。外部保管庫において加熱消毒に十分な庫内温度が実現されている環境では、外部ヒータの電力消費量が低下し得る、あるいは、外部ヒータが停止し、その電力消費量がゼロになり得る。
【0013】
コントローラは、第二の通知信号に基づき、例えば外部保管庫の庫内温度が再び加熱が必要な温度に下がるまでの期間において、外部ヒータの電力消費量が低下している又はゼロである環境で、自己ヒータの出力を上げて、又は、自己ヒータを作動させて、庫内の保管物の加熱消毒を行うことができる。
【0014】
本開示の一側面によれば、外部保管庫もまた、上述の消毒保管庫と同様に動作し得る。外部保管庫が、上述の消毒保管庫と同様に構成される場合、外部保管庫を含む複数の消毒保管庫のそれぞれは、互いに、第二の通知信号に基づき、自己以外の外部の消毒保管庫における電力消費量が低下している期間に、自己の保管物に対する加熱消毒を行うことができる。
【0015】
従って、本開示の一側面に係る消毒保管庫によれば、複数の消毒保管庫を用いて多数の対象物を加熱消毒する場合、施設での時間当たりの電力消費量を抑えつつ、多数の対象物を効率的に加熱消毒することができる。
【0016】
本開示の一側面によれば、コントローラは、第二の通知信号に基づき、外部ヒータの停止を条件に、自己ヒータを作動させるように構成されてもよい。本開示の一側面によれば、コントローラは、自己ヒータの作動中に所定の停止条件が満足されると、自己ヒータを停止させ、自己ヒータの停止を表す信号を第一の通知信号として外部保管庫に出力してもよい。
【0017】
本開示の一側面によれば、コントローラは、自己ヒータの停止中に外部保管庫から第二の通知信号として外部ヒータの停止を表す信号が入力されたことを条件に、自己ヒータの作動を表す信号を第一の通知信号として外部保管庫に出力し、自己ヒータを作動させてもよい。こうした通知信号の入出力によれば、複数の消毒保管庫間で同時にヒータが動作しないように、加熱消毒を行うことができる。
【0018】
本開示の一側面によれば、消毒保管庫は、庫内温度を検出するように構成される検出器を備えてもよい。コントローラは、自己ヒータの作動中に検出器により検出された庫内温度が設定温度を超えると、停止条件が満足されたと判別し、自己ヒータを停止させてもよい。こうした自己ヒータの制御によれば、過剰な加熱を抑えることができる。
【0019】
本開示の一側面によれば、コントローラは、自己ヒータの作動開始から設定時間が経過すると、停止条件が満足されたと判別し、自己ヒータを停止させてもよい。こうした自己ヒータの制御によれば、庫内を低温から加熱する場合に、長期間自己ヒータが作動することで、外部ヒータが長期間作動できなくなるのを抑制することができる。
【0020】
従って、複数の消毒保管庫間の庫内温度をおよそ揃える方式で、複数の消毒保管庫を、低温状態から段階的に加熱することができる。庫内が高温になるほど、周辺環境との温度差が大きくなることにより、庫内からの熱の発散も大きくなるため、このような方式で複数の消毒保管庫における加熱を行うことは、効率的な加熱に有意義である。
【0021】
本開示の一側面によれば、コントローラは、加熱処理開始条件が満足されると、第二の通知信号に基づき自己ヒータを作動させること及び停止条件が満足されると自己ヒータを停止させることの繰返しを含む加熱処理を開始してもよい。終了条件を満たすと、加熱処理を終了し、自己ヒータを停止状態に保持してもよい。
【0022】
このように加熱処理を行うことによれば、複数の消毒保管庫での加熱処理を、複数の消毒保管庫全体での時間当たりの電力消費量を抑えつつ、並行に行うことができる。一つの消毒保管庫内の庫内温度が加熱消毒に十分でありヒータが停止している期間に、別の消毒保管庫のヒータを作動させることができるので、複数の消毒保管庫を用いた加熱消毒を効率的に行うことができる。
【0023】
本開示の一側面によれば、ユーザインタフェースを備えてもよい。コントローラは、ユーザインタフェースを通じて運転指示が入力されると、入出力回路を通じて第一のインターロック信号を外部保管庫に出力してもよい。
【0024】
コントローラは、第一のインターロック信号に対する応答として、外部保管庫から第二のインターロック信号が入出力回路を通じて入力されると、加熱処理開始条件が満足されたと判別し、自己ヒータの作動を表す信号を第一の通知信号として外部保管庫に出力し、加熱処理を開始してもよい。
【0025】
インターロック信号の交換によれば、複数の消毒保管庫間で連動した加熱処理を、一つの消毒保管庫に対するユーザの運転指示に基づいて適切に行うことができる。例えば、外部保管庫が連動可能に接続されていることを確認しつつ、運転指示に基づく加熱処理を開始することができる。
【0026】
本開示の一側面によれば、コントローラは、自己ヒータが停止中であるときに、ユーザインタフェースを通じた運転指示の入力なしに外部保管庫から第一のインターロック信号が入力されると、第二のインターロック信号を外部保管庫に出力し、外部ヒータの停止を条件に、加熱処理を開始してもよい。
【0027】
本開示の一側面によれば、消毒保管システムが提供されてもよい。消毒保管システムは、第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫を備え得る。第一の消毒保管庫は、第一の消毒保管庫が備えるヒータの制御により、保管物を加熱する第一の加熱処理を実行するように構成され得る。
【0028】
第二の消毒保管庫は、第二の消毒保管庫が備えるヒータの制御により、保管物を加熱する第二の加熱処理を実行するように構成され得る。第一の加熱処理及び第二の加熱処理は、第一の消毒保管庫が備えるヒータと第二の消毒保管庫が備えるヒータとが同時には作動しないように、並列に実行され得る。このシステムによれば、約1台分の最大消費電力に抑えつつ、第一及び第二の消毒保管庫を用いて対象物を効率的に加熱消毒可能である。
【0029】
本開示の一側面によれば、第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫を備える消毒保管システムであって、第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫のそれぞれが、上述した消毒保管庫である消毒保管システムが提供されてもよい。
【0030】
第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫のそれぞれが、互いに外部保管庫としての第二の消毒保管庫又は第一の消毒保管庫に第一の通知信号を出力し、外部保管庫からの第二の通知信号に基づき、自己ヒータを制御し得る。これにより、第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫は、交互に自己ヒータを作動させ、第一の消毒保管庫内の保管物及び第二の消毒保管庫内の保管物を交互に加熱し得る。
【0031】
このシステムによれば、第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫が交互に自己ヒータを作動させることにより、複数の消毒保管庫での加熱消毒を、時間当たりの電力消費量を抑えて、並行に実行可能である。従って、このシステムによれば、時間当たりの電力消費量を抑えつつ、多数の対象物を効率的に加熱消毒可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】第一実施形態の消毒保管システムの構成を表す図である。
【
図3】消毒保管庫の電気的構成を表すブロック図である。
【
図4】
図4A-4Dは、消毒保管庫間の信号入出力を説明する図(その1)である。
【
図5】
図5A-5Cは、消毒保管庫間の信号入出力を説明する図(その2)である。
【
図6】庫内温度の時間変化を、ヒータの切替タイミングと共に示すグラフである。
【
図7】コントローラが実行する第一制御処理を表すフローチャート(その1)である。
【
図8】コントローラが実行する第一制御処理を表すフローチャート(その2)である。
【
図9】コントローラが実行する信号切替処理を表すフローチャートである。
【
図10】コントローラが実行する第二制御処理を表すフローチャートである。
【
図11】コントローラが実行する交互運転処理を表すフローチャート(その1)である。
【
図12】コントローラが実行する交互運転処理を表すフローチャート(その2)である。
【
図13】
図13Aは、第二実施形態の消毒保管システムの構成を表すブロック図であり、
図13Bは、変形例の消毒保管システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
図1に示す本実施形態の消毒保管システム1は、同型の二つの消毒保管庫10,10Eが信号入出力可能に接続されたシステムである。
【0034】
以下では、二つの消毒保管庫10,10Eのうちの一方に注目し、注目する消毒保管庫10を、単に消毒保管庫10と表現し、他方を、外部保管庫10Eと表現する。外部保管庫10Eは、注目する消毒保管庫10から見て、外部の消毒保管庫であることを意味する。外部保管庫10Eは、以下に詳細を説明する消毒保管庫10と同様に構成される。
【0035】
消毒保管庫10と外部保管庫10Eとの間には、消毒保管庫10から出力される信号を、外部保管庫10Eへ入力するための第一の信号線群F1と、外部保管庫10Eから出力される信号を、消毒保管庫10に入力するための第二の信号線群F2と、が設けられる。
【0036】
第一の信号線群F1は、第一端が、消毒保管庫10の出力ポート群に接続され、第二端が、外部保管庫10Eの入力ポート群に接続されるように配線される。第二の信号線群F2は、第一端が、外部保管庫10Eの出力ポート群に接続され、第二端が、消毒保管庫10の入力ポート群に接続されるように配線される。
【0037】
第一の信号線群F1は、消毒保管庫10から出力されるインターロック信号を外部保管庫10Eに入力するための信号線F11と、消毒保管庫10から出力される加熱通知信号(以下、自機加熱通知信号という。)を外部保管庫10Eに入力するための信号線F12と、消毒保管庫10から出力される完了通知信号(以下、自機完了通知信号という。)を外部保管庫10Eに入力するための信号線F13と、消毒保管庫10から出力される連鎖運転信号を外部保管庫10Eに入力するための信号線F14とを備える。
【0038】
第二の信号線群F2は、外部保管庫10Eから出力されるインターロック信号を消毒保管庫10に入力するための信号線F21と、外部保管庫10Eから出力される加熱通知信号(以下、他機加熱通知信号という。)を消毒保管庫10に入力するための信号線F22と、外部保管庫10Eから出力される完了通知信号(以下、他機完了通知信号という。)を消毒保管庫10に入力するための信号線F23と、外部保管庫10Eから出力される連鎖運転信号を消毒保管庫10に入力するための信号線F24とを備える。ここでいう「自機」は、注目する消毒保管庫10に対応し、「他機」は、外部保管庫10Eに対応する。
【0039】
図2A及び
図2Bに示されるように、消毒保管庫10は、保管対象の食器類を収容するための収容空間20を筐体21の内側に備える箱型の保管庫であり、収容空間20に外側からアクセスするための両開き扉23を、筐体21の開口部に更に備える。
【0040】
両開き扉23は、二枚の扉23A,23Bが消毒保管庫10の左右両側に取り付けられたヒンジを介して回転することにより、中央から開くように設置される。食器類は、両開き扉23が開かれた状態で、作業者により収容空間20に格納される。具体的には、食器類は、洗浄された後、消毒及び乾燥のために、収容空間20に格納される。
【0041】
収容空間20は、両開き扉23が閉じられた状態で、通気路(図示せず)を除いてほぼ密閉される。収容空間20に格納された食器類は、両開き扉23が閉じられた状態で、加熱され、それにより乾燥を伴いながら消毒され、保管される。
【0042】
図2Aは、両開き扉23が閉じられた消毒保管庫10の外観を概略的に示す斜視図である。
図2Bは、両開き扉23が開かれた状態、特には、その両開き扉23の図示を省略した状態での消毒保管庫10の収容空間20の構成を表す正面図である。収容空間20は、棚25により区切られ、それにより消毒保管庫10は、多数の食器類を効率的に収容可能に構成される。
【0043】
消毒保管庫10は、筐体21の内側において収容空間20の左右両側に、ヒータ27を備え、収容空間20の上側にファン29を備える。ヒータ27は、電気式であり、抵抗加熱により収容空間20の空気に熱を加えるように配置される。ヒータ27により加熱された高温の空気は、ファン29から発生する気流により、収容空間20を循環する。これにより、収容空間20に収容された食器類は、加熱される。
【0044】
消毒保管庫10は、作業者からの操作を受け付けるために、筐体21の上部に、操作パネル31を備える。操作パネル31は、各種スイッチを備え、作業者から、温度の設定操作、連動モードの設定操作、及び運転指示を受け付け可能なユーザインタフェースとして機能する。操作パネル31は、設定温度Ts、庫内温度T、並びに、消毒保管庫10におけるその他の動作状態及び設定状態を表示するための表示部(図示せず)を更に備える。
【0045】
ここで説明する消毒保管庫10は、ヒータ27、ファン29、操作パネル31、及び収容空間20を一体にした一体型である。しかしながら、消毒保管庫10は、これに限定されず、庫内である収容空間20に対して加熱系が別体に構成された別体型でもよい。別体型(例えば天吊り型)では、食器類を格納した移動可能なコンテナの外側に設置された加熱装置、例えば天井に設置された加熱装置が、そこから延びるダクトを通じてコンテナに接続される。加熱装置は、ヒータ27、ファン29、及び操作パネル31を備えることができる。加熱装置からダクトを通じてコンテナの収容空間20に送り込まれた熱風が収容空間20において循環する。加熱消毒終了後には、ダクトが外される。これにより、コンテナは、食器類を収容したまま移動可能である。
【0046】
図3に示すように、消毒保管庫10は、ヒータ27、ファン29、及び操作パネル31に加えて、コントローラ33と、入出力回路35と、温度センサ37と、電源回路39とを備える。電源回路39は、電源ケーブルP0から入力される電力を用いて、消毒保管庫10内の各部に供給する電力を生成する。
【0047】
コントローラ33は、電源回路39からの電力供給を受けて動作し、操作パネル31を通じて入力される操作信号、及び、消毒保管庫10の外側から入出力回路35を通じて入力される信号に基づいた処理を実行し、消毒保管庫10内の各部を制御する。
【0048】
コントローラ33は、具体的に、プロセッサ33Aと、メモリ33Bとを備える。コントローラ33にて実行される処理は、具体的には、プロセッサ33Aが、メモリ33Bが記憶するコンピュータプログラムに従う処理を実行することにより実現される。
【0049】
入出力回路35は、外部保管庫10Eからの入力信号をディジタル信号としてコントローラ33に入力するように構成される入力回路と、コントローラ33からの制御信号に従って外部保管庫10E向けの信号を出力するように構成される出力回路とを備える。一例によれば、入出力回路35は、コントローラ33に組み込まれてもよい。
【0050】
入出力回路35は、信号線F11に接続され、インターロック信号を信号線F11に出力する出力ポートと、信号線F12に接続され、自機加熱通知信号を信号線F12に出力する出力ポートと、信号線F13に接続され、自機完了通知信号を信号線F13に出力する出力ポートと、信号線F14に接続され、連鎖運転信号を信号線F14に出力する出力ポートとを備える。
【0051】
入出力回路35は更に、信号線F21に接続され、信号線F21からのインターロック信号をコントローラ33に入力する入力ポートと、信号線F22に接続され、信号線F22からの他機加熱通知信号をコントローラ33に入力する入力ポートと、信号線F23に接続され、信号線F23からの他機完了通知信号をコントローラ33に入力する入力ポートと、信号線F24に接続され、信号線F24からの連鎖運転信号をコントローラ33に入力する入力ポートとを備える。
【0052】
温度センサ37は、収容空間20に設置され、庫内温度Tとして、収容空間20の温度を検出するように構成される検出器である。
【0053】
続いて、
図4A-4D、
図5A-5D、及び
図6を用いて、本実施形態の消毒保管システム1が交互連動モードで動作するときの、消毒保管庫10,10E間の信号入出力、及び、ヒータ27の制御を、簡易に説明する。その後、
図7から
図12を用いて、これらの信号の入出力及びヒータ27の制御を実現するためにコントローラ33が実行する処理の詳細を説明する。
【0054】
本実施形態によれば、消毒保管庫10,10Eの操作パネル31に対する作業者の所定操作により、消毒保管庫10,10Eが単動モードから交互連動モードに移行する。単動モードは、消毒保管庫10,10Eが連動せず、消毒保管庫10,10Eのそれぞれが単独で動作して食器類を加熱消毒する消毒保管庫10,10Eの運転モードである。
【0055】
交互連動モードは、消毒保管庫10,10Eが交互に自己のヒータ27を排他的に作動させ、それにより消毒保管庫10,10Eで消費される最大消費電力を約1台分に抑えつつ、消毒保管庫10,10E間で並行して食器類を加熱消毒する消毒保管庫10,10Eの運転モードである。
【0056】
交互連動モードによれば、例えば消毒保管庫10の操作パネル31に対する作業者の操作により、運転指示が入力されると、
図4Aに示すように、消毒保管庫10が外部保管庫10Eに対するインターロック信号としてオン信号を出力する。このインターロック信号に対する応答により外部保管庫10Eからオン信号として出力されるインターロック信号が消毒保管庫10に入力される。インターロック信号は、連動用の信号に対応する。インターロック信号としてオン信号が入力されると、消毒保管庫10,10Eは、連動のために、操作パネル31からの全操作の受付を禁止する。
【0057】
信号線群F1,F2を伝搬するインターロック信号、加熱通知信号、完了通知信号、及び、連鎖運転信号は、オン信号又はオフ信号として出力される。これらの各信号は、初期状態でオフ信号である。オフ信号は、Lo信号又は0V信号に対応し、オン信号は、Hi信号又は0Vより大きい所定電圧(例えば5V)信号に対応する。
【0058】
消毒保管庫10は、外部保管庫10Eから入力されるインターロック信号がオフ信号からオン信号に切り替わると、
図4Bに示すように、自己の収容空間20に格納された食器類の加熱消毒のために、自機加熱通知信号として、自己のヒータ27の作動を示すオン信号を外部保管庫10Eに出力し、加熱消毒処理を開始する。
【0059】
外部保管庫10Eは、このオン信号に応じて、外部保管庫10Eのヒータ27を作動させないように動作する。このとき、外部保管庫10Eは、加熱通知信号として、外部保管庫10Eのヒータ27が停止中であることを示すオフ信号を消毒保管庫10に出力する。
【0060】
消毒保管庫10は、自機加熱通知信号としてオン信号を出力した後、他機加熱通知信号としてオフ信号が入力されていることを条件に、自己のヒータ27を作動させる。それにより、消毒保管庫10は、自己の収容空間20に収容された食器類を加熱する。
【0061】
その後、加熱消毒処理が所定条件を満足する段階まで進んだことを条件に、消毒保管庫10は、ヒータ27を停止させ、
図4Cに示すように、外部保管庫10Eに出力する自機加熱通知信号をオフ信号に切り替える。なお、ヒータ27の停止とファン29の停止は連動しておらず、ファン29は、収容空間20内の空気の循環のために、ヒータ27の停止中を含めて、加熱消毒処理の開始から終了まで回転し続ける。
【0062】
消毒保管庫10からの加熱通知信号がオフ信号に切り替わったことを条件に、外部保管庫10Eは、消毒保管庫10に出力する加熱通知信号をオン信号に切り替える。更に、外部保管庫10Eは、外部保管庫10Eのヒータ27、すなわち自己のヒータ27を作動させ、それにより、外部保管庫10Eは加熱消毒処理を開始する。
【0063】
その後、加熱消毒処理が所定条件を満足する段階まで進んだことを条件に、外部保管庫10Eは、外部保管庫10Eのヒータ27を停止させ、
図4Bに示すように、消毒保管庫10に出力する加熱通知信号をオフ信号に切り替える。
【0064】
外部保管庫10Eからの他機加熱通知信号がオフ信号に切り替わったことを条件に、消毒保管庫10は、外部保管庫10Eに出力する自機加熱通知信号をオン信号に切り替える。消毒保管庫10は更に、所定温度まで下がったことを条件に自己のヒータ27を作動させ、それにより、消毒保管庫10の収容空間20に収容された食器類を加熱する。
【0065】
消毒保管庫10及び外部保管庫10Eは、
図4B及び
図4Cに示す信号の入出力により、交互に自己のヒータ27を作動させ、それにより自己の収容空間20に収容された食器類に対する加熱消毒処理を段階的に実行する。
【0066】
そして、消毒保管庫10での加熱消毒処理が終了すると、消毒保管庫10は、
図4Dに示すように、外部保管庫10Eに出力する自機完了通知信号をオン信号に切り替える。これにより、消毒保管庫10は、外部保管庫10Eに対して加熱消毒処理の終了を通知する。このとき、外部保管庫10Eが加熱消毒処理を終了していない場合には、外部保管庫10Eから完了通知信号としてオフ信号が出力され、消毒保管庫10に入力されている。
【0067】
その後、外部保管庫10Eは、自己の加熱消毒処理が終了するまで、自己のヒータ27を作動させ、加熱消毒処理が終了すると、
図5Aに示すように、自己のヒータ27を停止させると共に、完了通知信号として、オン信号を消毒保管庫10に向けて出力する。
【0068】
その後、消毒保管庫10は、自機完了通知信号及び他機完了通知信号がオンに設定されていることを条件に、
図5Bに示すように、外部保管庫10Eに出力するインターロック信号をオフ信号に切り替える。これに応じて、外部保管庫10Eは、消毒保管庫10に出力するインターロック信号をオフ信号に切り替える。
【0069】
消毒保管庫10は、入力されるインターロック信号がオフ信号に切り替わったことを条件に、外部保管庫10Eに出力する連鎖運転信号を一時的にオン信号に切り替える。これに応じて、外部保管庫10Eは、連鎖運転信号として一時的にオン信号を消毒保管庫10に入力する。
【0070】
これにより、消毒保管庫10,10E間の交互連動モードによる食器類の加熱消毒は終了する。なお、連鎖運転信号は、後述するループ式の連動(
図13A及び
図13B参照)を実現するための信号である。連鎖運転信号の利用価値は、第二実施形態において一層明らかになる。
【0071】
上述した手法で消毒保管庫10は、加熱消毒処理の開始から終了までの過程で、複数回ヒータ27を停止させて、外部保管庫10Eにおけるヒータ27の作動を許可し、外部保管庫10Eのヒータ27が停止すると、自己のヒータ27を作動させる。
【0072】
このようにして消毒保管庫10,10Eは、交互に自己のヒータ27を作動させ、消毒保管庫10,10E内の食器類を交互に加熱する。これにより、消毒保管システム1は、複数の消毒保管庫10,10Eでの加熱消毒処理を、約1台分の最大消費電力に抑えつつ並列実行する。
【0073】
本実施形態によれば、加熱消毒処理の開始後、設定温度Ts以上で所定時間、庫内(すなわち収容空間20)が加熱されると、食器類の消毒が完了したとみなして、加熱消毒処理を終了する。例えば、設定温度90℃以上で60分以上、庫内が加熱されると、食器類の加熱消毒が完了したとみなす。
【0074】
消毒保管庫10は、自己のヒータ27による加熱により庫内温度Tが設定温度Tsを超えると、ヒータ27の作動を停止して、外部保管庫10Eにヒータ27の作動を許可する。外部保管庫10Eも同様に動作する。これにより、消毒保管庫10,10E間でヒータ27が交互に動作する。上述した加熱消毒処理が所定条件を満足する段階まで進んだことを条件に、ヒータ27を停止する動作は、庫内温度Tが設定温度Tsを超える、またはヒータ27の作動開始から設定時間が経過すると、ヒータ27の作動を停止する動作に対応する。
【0075】
消毒保管庫10,10Eは、このようなヒータ27のオン/オフにより、自己の庫内温度Tが設定温度Ts以上である時間が累積で所定時間を超えるなど、終了条件を満たすと、自己の加熱消毒処理を終了する。
【0076】
図6におけるグラフは、加熱消毒処理の開始からの庫内温度Tの時間変化を模式的に示すグラフである。
図6では更に、消毒保管庫10と外部保管庫10Eとの間でヒータ27の作動及び停止が切り替わるタイミングが、逆三角形記号で示される。白い逆三角形記号が、消毒保管庫10のヒータ27が作動する(すなわちオンになる)タイミングに対応し、黒い逆三角形記号が、外部保管庫10Eのヒータ27が作動するタイミングに対応する。
図6では、時刻ゼロで消毒保管庫10のヒータ27が作動する。
【0077】
図6において、実線は、消毒保管庫10の庫内温度Tの軌跡を表し、破線は、外部保管庫10Eの庫内温度Tの軌跡を表す。一点鎖線は、消毒保管庫10に収容された食器類の温度の軌跡を表し、二点鎖線は、消毒保管庫10Eに収容された食器類の温度の軌跡を表す。
【0078】
食器類の温度は、庫内温度に遅れて上昇する。ヒータ27が停止しても、そのヒータ27により加熱された高温の空気が循環して広がり、温度センサ37により庫内温度Tとして検出されるまでのタイムラグに起因して、庫内温度Tは、一時的に上昇し続ける。
【0079】
温度センサ37により検出される庫内温度Tが設定温度Tsを超えたときにヒータ27を停止させても、庫内温度Tはすぐには下がらず、食器類に対する加熱消毒は、循環する高温の空気を通じて継続される。すなわち、食器類に対する加熱消毒は、ヒータ27の停止によっても効果的に継続される。このようにヒータ27の停止から庫内温度Tが設定温度Ts未満となるには時間を要し、ヒータ27の停止後も収容空間20での食器類に対する加熱消毒は十分な温度で継続される。
【0080】
本実施形態では、この消毒保管庫10のヒータ27が停止している間に、外部保管庫10Eのヒータ27を作動させて、外部保管庫10Eの庫内温度Tを再び設定温度Tsを超える温度に上昇させる。すなわち、一つの消毒保管庫10内の庫内温度Tが加熱消毒に十分でありヒータ27が停止している期間に、別の消毒保管庫10Eのヒータ27を作動させる。
【0081】
従って、本実施形態では、約1台分の最大消費電力に抑えつつ、複数の消毒保管庫10,10E間で加熱消毒処理を並列実行することができ、複数の消毒保管庫10,10Eを順に加熱消毒処理するよりも短時間で効率的に加熱消毒することができる。
【0082】
続いて、交互連動モードにおいて、コントローラ33が実行する処理の詳細を、
図7-
図12を用いて説明する。交互連動モードでは、消毒保管庫10,10Eのうち、操作パネル31を通じて運転指示が入力された消毒保管庫が親機として機能し、他方が子機として機能する。
【0083】
すなわち、消毒保管庫10は、自己の操作パネル31から運転指示が入力されたときに親機として機能し、外部保管庫10Eの操作パネル31から運転指示が入力されたときに子機として機能する。
【0084】
交互連動モードによる消毒保管庫10,10Eでの加熱消毒処理は、運転指示が入力された親機からの働きかけにより、子機で開始される。
図4A-4D及び
図5A-5Cは、消毒保管庫10が親機として機能し、外部保管庫10Eが子機として機能するときの、信号の入出力を説明する。
【0085】
図7及び
図8は、主に親機としての機能を実現するためにコントローラ33が繰返し実行する第一制御処理を表すフローチャートであり、
図9は、子機としての機能を実現するためにコントローラ33が繰返し実行する信号切替処理を表すフローチャートである。
図10は、子機としての機能を実現するためにコントローラ33が繰返し実行する第二制御処理を表すフローチャートである。
図11及び
図12は、コントローラ33が、第一及び第二制御処理において実行する交互運転処理を表すフローチャートである。
【0086】
第一制御処理を開始すると、コントローラ33は、操作パネル31を通じて作業者から運転指示が入力されるか、あるいは、入出力回路35を通じて、信号線F24から連鎖運転信号としてオン信号が入力されるまで待機する(S110,S115)。
【0087】
運転指示が入力されると又は連鎖運転信号としてオン信号が入力されると(S110又はS115でYes)、コントローラ33は、完了フラグが値1にセットされているか否かを判断する(S120)。完了フラグは、加熱消毒処理が終了すると、値1にセットされ(S240)、その後、所定条件で値0にリセットされる(S180)。
【0088】
完了フラグが値1にセットされていないと判断すると(S120でNo)、コントローラ33は、インターロック信号としてオン信号を、入出力回路35を通じて信号線F11に出力する(S130)。このインターロック信号は、外部保管庫10Eに入力される。
【0089】
その後、コントローラ33は、S130で出力されるインターロック信号に対して外部保管庫10Eが応答することにより、信号線F21から入出力回路35を通じてインターロック信号としてオン信号が入力されると(S140でYes)、S210の処理を実行する(
図7参照)。一方、インターロック信号がオフ信号のままであると(S140でNo)、コントローラ33は、エラー情報を操作パネル31に表示し(S150)、第一制御処理を終了する。
【0090】
S210において、コントローラ33は、親機フラグを値1にセットする。親機フラグは、自庫が親機であるときに値1にセットされる。その後、
図11及び
図12に示す交互運転処理を実行する(S220)。
【0091】
交互運転処理(S220)は、終了条件が満足されるまで繰返し実行される。上述の加熱消毒処理は、交互運転処理を終了条件が満足するまで繰返し実行することに対応する(S220,S230)。
【0092】
交互運転処理を開始すると、コントローラ33は、温度センサ37により検出される現在の庫内温度Tが、設定温度Ts以下であるか否かを判断する(S310)。庫内温度Tが設定温度Tsを超えている場合には、自庫内のヒータ27を作動させず、庫内温度Tが設定温度Ts以下になるまで待機する。
【0093】
庫内温度Tが設定温度Ts以下になると(S310でYes)、コントローラ33は、他機加熱通知信号としてオフ信号が入力されているか否かを判断する(S320)。外部保管庫10Eのヒータ27が作動している場合、他機加熱通知信号としてオン信号が入力されるが、外部保管庫10Eのヒータ27が停止している場合には、他機加熱通知信号としてオフ信号が入力される。
【0094】
他機加熱通知信号としてオン信号が入力されている場合、コントローラ33は、S320において否定判断し、自庫内のヒータ27の停止状態を保持し、自機加熱通知信号としてオフ信号を継続的に出力する(S325)。
【0095】
一方、他機加熱通知信号としてオフ信号が入力されている場合、コントローラ33は、S320において肯定判断し、入出力回路35を通じて信号線F12に出力される自機加熱通知信号をオン信号に切り替える(S330)。
【0096】
その後も他機加熱通知信号としてオフ信号が継続的に入力されている場合(S340でYes)、コントローラ33は、自庫内の停止中のヒータ27を作動させて(S350)、庫内を加熱する。
【0097】
コントローラ33は、S350におけるヒータ27の作動開始から設定時間が経過するか、温度センサ37により検出される庫内温度Tが設定温度Tsを超えるまで、ヒータ27を継続的に作動させて、庫内の加熱を継続する。
【0098】
コントローラ33は、設定時間が経過したと判断すると(S360でYes)、自庫内のヒータ27を停止させた後(S370)、入出力回路35を通じて信号線F12に出力される自機加熱通知信号をオン信号からオフ信号に切り替える(S375)。その後、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F22から入力される他機加熱通知信号が所定時間オフ信号のままであるか否かを判断する(S380)。
【0099】
外部保管庫10Eにおける庫内温度Tが設定温度Ts以下に下がっていない場合、または、外部保管庫10Eにおいて加熱消毒処理が終了している場合、他機加熱通知信号はオフ信号のままであり得る。他機加熱通知信号がオフ信号のままである限り、外部保管庫10Eにおいてヒータ27の作動は開始されない。
【0100】
S380において他機加熱通知信号が所定時間オフ信号のままであると判断すると、コントローラ33は、S330の処理を実行する。すなわち、コントローラ33は、自機加熱通知信号をオン信号に切り替える(S330)。その後、コントローラ33は、他機加熱通知信号が依然としてオフ信号である場合(S340でYes)、S350以降の処理を実行する。
【0101】
S380において他機加熱通知信号がオフ信号からオン信号に切り替わったと判断すると、コントローラ33は、交互運転処理を終了する。
この他、コントローラ33は、自庫内のヒータ27の作動によって庫内温度Tが設定温度Tsを超えたと判断すると(S365でYes)、自庫内のヒータ27を停止させた後(S390)、S375での処理と同様、自機加熱通知信号をオン信号からオフ信号に切り替える(S395)。その後、コントローラ33は、交互運転処理を終了する。
【0102】
この他、S340において他機加熱通知信号としてオン信号が入力されていると判断すると、コントローラ33は、
図12に示すように、親機フラグが値1にセットされているか否かを判断する(S400)。
【0103】
親機フラグが値1にセットされていると判断すると(S400でYes)、コントローラ33は、自機加熱通知信号としてオン信号を信号線F12に出力した状態のまま、他機加熱通知信号がオフ信号に切り替わるまで待機する(S410)。他機加熱通知信号がオフ信号に切り替わると(S410でYes)、コントローラ33は、自庫内のヒータ27を作動させ(S420)、S360以降の処理を実行する。
【0104】
一方、親機フラグが値1にセットされていないと判断すると(S400でNo)、自機加熱通知信号をオン信号からオフ信号に切り替えた後(S430)、S320以降の処理を実行する。
【0105】
これにより、消毒保管庫10は、親機でない場合、外部保管庫10Eでのヒータ27の作動を優先させて、自庫内のヒータ27の作動を、外部保管庫10Eにおいてヒータ27が停止するまで保留する。
【0106】
このような交互運転処理を、コントローラ33は、交互運転処理の繰返しに関する終了条件が満足されるまで、S220(
図8参照)において繰返し実行する。そして、終了条件が満足されると(S230でYes)、コントローラ33は、完了フラグを値1にセットし、交互運転処理の繰返しを終了する(S240)。これにより、交互運転処理の繰返しによって行われる加熱消毒処理を終了する。完了フラグが値1にセットされていることは、加熱消毒処理の終了を意味する。
【0107】
終了条件は、食器類が十分に加熱消毒される条件に対応する。具体的には、終了条件は、加熱消毒処理を開始してからの、庫内温度Tが設定温度Ts以上である時間の累積が予め定められた時間を超える、または庫内温度Tが最初に設定温度Tsを超えてから予め定められた時間を超えると満足される。例えば、庫内温度Tが90度以上である時間の累積が加熱消毒処理の開始から60分を超える、または庫内温度Tが最初に90度を超えてから60分を超えると満足される。
【0108】
その後、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F13に出力する自機完了通知信号をオフ信号からオン信号に切り替える(S250)。更に、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F23から入力される他機完了通知信号がオン信号に切り替わるまで待機する(S260)。
【0109】
他機完了通知信号がオン信号に切り替わると(S260でYes)、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F11に出力するインターロック信号をオフ信号に切り替える(S270)。
【0110】
コントローラ33は更に、S270での処理により、入出力回路35を通じて信号線F21から入力されるインターロック信号がオフ信号に切り替わったかどうかを判断する(S280)。
【0111】
入力されるインターロック信号がオフ信号に切り替わったと判断すると(S280でYes)、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F14に出力する連鎖運転信号をオン信号に切り替えた後(S290)、第一制御処理を終了する。
【0112】
一方、入力されるインターロック信号がオフ信号に切り替わらないと判断すると(S280でNo)、コントローラ33は、所定のエラー処理を実行した後(S295)、第一制御処理を終了する。
【0113】
S290において、出力する連鎖運転信号をオン信号に切り替えると、これに外部保管庫10Eが応答して、信号線F24から入出力回路35を通じて連鎖運転信号としてオン信号が入力される。
【0114】
第一制御処理の繰返し実行により、コントローラ33は、入力される連鎖運転信号がオン信号に切り替わると、S115の処理で肯定判断する。このとき通常、完了フラグが値1にセットされていることから、コントローラ33は、S120で肯定判断し、S160の処理を実行する。
【0115】
S160において、コントローラ33は、親機フラグが値1にセットされているか否かを判断する。コントローラ33は、S290の処理を実行した直後の第一制御処理では、通常、S115及びS120で肯定判断し、更に、S160においても肯定判断する。
【0116】
親機フラグが値1にセットされていると判断すると(S160でYes)、コントローラ33は、リセット処理を実行する(S180)。リセット処理において、コントローラ33は、完了フラグ及び親機フラグを値0にリセットする。これにより、コントローラ33は、完了通知信号をオフ信号に初期化する。
【0117】
本実施形態によれば、リセット処理により、インターロック信号が所定時間以上オフ信号に維持されることを合図として、外部保管庫10Eもまた、完了フラグ及び親機フラグをリセットし、完了通知信号をオフ信号に初期化する。
【0118】
S160において、コントローラ33は、親機フラグが値1にセットされていないと判断すると、入出力回路35の信号線F24に出力する連鎖運転信号を一時的にオン信号に切り替えた後(S170)、第一制御処理を終了する。
【0119】
S170の処理は、消毒保管庫10が子機である場合に実行される。外部保管庫10Eも消毒保管庫10と同様に第一制御処理を実行する。このため、消毒保管庫10が親機であり外部保管庫10Eが子機である場合、消毒保管庫10がS290の処理にてオン信号に切り替えた連鎖運転信号に応じて、子機である外部保管庫10Eが、S115,S120,S160の処理を経て、S170で消毒保管庫10に出力する連鎖運転信号をオン信号に切り替える。
【0120】
また、外部保管庫10Eから消毒保管庫10への連鎖運転信号がオン信号に切り替わることにより、消毒保管庫10は、S115,S120,S160の処理を経て、S180で、リセット処理を実行する。これにより、連鎖運転は終了する。
【0121】
続いて、コントローラ33が繰返し実行する信号切替処理の詳細を、
図9を用いて説明する。コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F21から入力される親機によって能動的にオン/オフされるインターロック信号に応じて、入出力回路35を通じて信号線F11に出力するインターロック信号をオン/オフするために、信号切替処理を実行する。別例として、信号切替処理は、コントローラ33が関与することなく、入出力回路35に含まれる回路構成により実現されてもよい。
【0122】
図9に示す信号切替処理によれば、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F21からインターロック信号としてオン信号が入力されている場合(S510でYes)、入出力回路35を通じて信号線F11に出力されるインターロック信号をオン信号に設定する(S530)。
【0123】
一方、コントローラ33は、入力されるインターロック信号がオフ信号である場合には(S510でNo)、入出力回路35を通じて信号線F11に出力されるインターロック信号をオフ信号に設定する(S540)。コントローラ33は、このような信号切替処理によって、入力されるインターロック信号のオン/オフに応じて、出力するインターロック信号をオン/オフする。
【0124】
続いて、コントローラ33が繰返し実行する第二制御処理の詳細を、
図10を用いて説明する。第二制御処理の実行は、親機フラグが値1にセットされているとき禁止され、親機フラグが値0にリセットされている期間、すなわち自庫が子機である場合に限って実行される。
【0125】
第二制御処理を開始すると、コントローラ33は、自庫内のヒータ27が停止している状況において、信号線F21から入力されるインターロック信号及び信号線F22から入力される他機加熱通知信号の両者がオン信号となるまで待機する(S610,S620,S630)。
【0126】
自庫内のヒータ27が停止している状態で、入力されるインターロック信号及び他機加熱通知信号がオン信号になると(S630でYes)、コントローラ33は、自庫が運転可能であるか否かを判断し(S640)、自庫が運転可能ではないと判断すると(S640でNo)、完了フラグを値1にセットし、更には、入出力回路35を通じて信号線F13に出力する自機完了通知信号をオン信号に切り替えて(S645)、第二制御処理を終了する。
【0127】
一方、コントローラ33は、自庫が運転可能であると判断すると(S640でYes)、信号線F22から入力される他機加熱通知信号がオフ信号に切り替わるまで待機する(S650)。
【0128】
他機加熱通知信号がオフ信号に切り替わると(S650でYes)、コントローラ33は、第一制御処理と同様に、
図11及び
図12に示す交互運転処理を実行する(S660)。コントローラ33は、交互運転処理を、第一制御処理と同様に終了条件が満足されるまで繰返し実行する。
【0129】
終了条件が満足されると(S670でYes)、コントローラ33は、完了フラグを値1にセットし、交互運転処理の繰返しを終了する(S680)。これにより、交互運転処理の繰返しによって段階的に行われる加熱消毒処理を終了する。この子機での加熱消毒処理は、操作パネル31からの運転指示なしに、入力されるインターロック信号がオン信号に切り替わり、他機加熱通知信号がオン信号に切り替わったことを条件に、この他機加熱通知信号がオフ信号に切り替わった後に開始される。
【0130】
S680の処理を終了した後、コントローラ33は、入出力回路35を通じて信号線F13に出力する自機完了通知信号をオン信号に切り替え(S690)、第二制御処理を終了する。
【0131】
以上に説明した本実施形態の消毒保管システム1によれば、第一の消毒保管庫及び第二の消毒保管庫に対応する消毒保管庫10,10Eが同一構成にされる。消毒保管庫10,10Eのそれぞれが、互いに第一の通知信号としての自機加熱通知信号を出力し、相手の消毒保管庫10E,10から入力される第二の通知信号としての他機加熱通知信号に基づき、自己のヒータ27を制御する。
【0132】
これにより、消毒保管庫10,10Eは、互いのヒータ27の動作状況に基づき、自己のヒータ27を制御する。消毒保管庫10,10Eは、互いのヒータ27の停止を条件に、自己のヒータ27を作動させることにより、交互に、自己のヒータ27を作動させ、消毒保管庫10,10E内の保管物である食器類を交互に加熱する。この交互加熱の繰返しにより、消毒保管庫10,10Eは、食器類の加熱消毒を、約1台分の最大消費電力に抑えて並列実行する。
【0133】
第一の比較例として、複数の消毒保管庫10,10Eが連動せず、同時に加熱消毒処理を実行する場合には、消毒保管システム1での時間当たりの電力消費量が、ヒータ27の同時加熱により、非常に高くなる。
【0134】
第二の比較例として、複数の消毒保管庫10,10Eのそれぞれが、順に加熱消毒処理を開始から終了まで継続的に実行し、その間において他の消毒保管庫が加熱消毒処理を実行しない場合には、複数の消毒保管庫10,10Eを含む消毒保管システム1全体における加熱消毒処理がすべて終了するまでに時間を要する。
【0135】
上述したように、加熱消毒に十分な庫内温度が実現されている環境では、加熱消毒処理の途中でもヒータ27は停止する。本実施形態によれば、このような外部保管庫10Eにおけるヒータ27の停止中に、消毒保管庫10のヒータ27が作動する。
【0136】
従って、本実施形態のような交互のヒータ27のオン/オフによる加熱消毒処理の並列実行は、複数の消毒保管庫10,10Eのそれぞれで順に加熱消毒処理を実行する場合よりも、複数の消毒保管庫10,10E全体における加熱消毒処理を短時間で終了することができる。
【0137】
本実施形態では、コントローラ33は、加熱消毒処理の開始条件が満足されると(S140でYes又はS650でYes)、設定温度Ts以上の加熱が累積で所定時間を超えるなど、終了条件を満たすまで、他機加熱通知信号に基づきヒータ27を作動させること及び停止条件が満足されるとヒータ27を停止させることの繰返しを含む加熱消毒処理を開始する(S220,S660)。設定温度Ts以上の加熱が累積で所定時間を超えるなど、終了条件を満たすことを条件に(S230でYes、S670でYes)、加熱消毒処理を終了しヒータ27を停止状態に保持する。
【0138】
特にコントローラ33は、自庫内のヒータ27の作動中に所定の停止条件が満足されると、ヒータ27を停止させ、自機加熱通知信号として、ヒータ27の停止を表すオフ信号を、入出力回路35を通じて外部保管庫10Eに出力する。
【0139】
コントローラ33は、ヒータ27の停止中に外部保管庫10Eから他機加熱通知信号として外部保管庫10Eでのヒータ27の停止を表すオフ信号が入力されたことを条件に、自庫内のヒータ27を作動させ、自機加熱通知信号として、ヒータ27の作動を表すオン信号を外部保管庫10Eに出力する。こうした通知信号の入出力によれば、複数の消毒保管庫10,10E間で同時にヒータ27が動作しないように、加熱消毒を行うことができる。
【0140】
本実施形態では、コントローラ33が、自庫内のヒータ27の作動中に温度センサ37により検出された庫内温度Tが設定温度Tsを超えると、停止条件が満足されたとして、ヒータ27を停止する(S390)。こうしたヒータ27の制御によれば、加熱目的に対して過剰な加熱を抑えることができる。
【0141】
コントローラ33は、ヒータ27の作動開始から設定時間が経過した場合にも、停止条件が満足されたと判別し、ヒータ27を停止させる(S370)。こうしたヒータ27の制御によれば、庫内を低温から加熱する場合に、長期間ヒータ27が作動することで、外部保管庫10Eのヒータ27が長時間作動しなくなるのを抑制することができる。
【0142】
従って、本実施形態によれば、複数の消毒保管庫10,10E間の庫内温度Tをおよそ揃えるような方式で、複数の消毒保管庫10,10Eを、低温状態から段階的に加熱することができる。庫内が高温になるほど、周辺環境との温度差が大きくなることにより、庫内からの熱の発散も大きくなるため、このような方式で複数の消毒保管庫10,10Eにおける加熱を行うことは、効率的な加熱に有意義である。
【0143】
また、本実施形態では、コントローラ33が、ユーザインタフェースとしての操作パネル31を通じて運転指示が入力されると、入出力回路35を通じてインターロック信号(オン信号)を外部保管庫10Eに出力する。
【0144】
コントローラ33は、このインターロック信号(オン信号)に対する応答として、外部保管庫10Eからインターロック信号(オン信号)が入出力回路35を通じて入力されると、加熱消毒処理開始条件が満足されたと判別し(S140でYes)、自機加熱通知信号を外部保管庫10Eに出力し、加熱消毒処理を開始する。
【0145】
本実施形態によれば、信号切替処理(
図9参照)の実行によって、親機からインターロック信号としてオン信号が入力されると子機がインターロック信号としてオン信号を出力する。しかしながら、子機は、自己のヒータ27が停止中であり、連動可能な状態であるときに限って、S510で肯定判断して、親機からのインターロック信号に応答するように、インターロック信号の出力をオン信号に切り替える構成にされてもよい。
【0146】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態の消毒保管システム2の構成を、
図13Aを用いて説明する。本実施形態の消毒保管システム2は、第一実施形態の消毒保管庫10と同型の四つの消毒保管庫101,102,103,104が設けられた構成にされる。
【0147】
消毒保管庫101,102のペアは、第一実施形態の消毒保管庫10,10Eのペアに対応し、第一実施形態の消毒保管システム1と略同じ消毒保管システム1Aを構成する。消毒保管システム1Aの消毒保管システム1との相違点は、消毒保管庫101の入力ポート群に第二端が接続される信号線F21,F24の第一端が、消毒保管庫102ではなく、消毒保管庫104の出力ポート群に接続されることである。また、消毒保管庫102の出力ポート群に第一端が接続される信号線F21,F24の第二端が、消毒保管庫101ではなく消毒保管庫103の入力ポート群に接続されることである。
【0148】
消毒保管システム1Aでは、信号線F11,F12,F13,F14を含む信号線群F31、及び、信号線F22,F23を含む信号線群F32が、消毒保管庫101と消毒保管庫102と間に配線され、信号線F21,F24を含む信号線群F33が、消毒保管庫104と消毒保管庫101との間に配線され、信号線F21,F24を含む別の信号線群F43が、消毒保管庫102と消毒保管庫103との間に配線される。
【0149】
同様に、消毒保管庫103,104のペアは、第一実施形態の消毒保管庫10,10Eのペアに対応し、第一実施形態の消毒保管システム1と略同じ消毒保管システム1Bを構成する。
【0150】
消毒保管システム1Bの消毒保管システム1との相違点は、消毒保管庫103の入力ポート群に第二端が接続される信号線F21,F24の第一端が、消毒保管庫104ではなく、消毒保管庫102の出力ポート群に接続されることである。また、消毒保管庫104の出力ポート群に第一端が接続される信号線F21,F24の第二端が、消毒保管庫103ではなく消毒保管庫101の入力ポート群に接続されることである。
【0151】
消毒保管システム1Bでは、信号線F11,F12,F13,F14を含む信号線群F41、及び、信号線F22,F23を含む信号線群F42が、消毒保管庫103と消毒保管庫104と間に配線され、信号線F21,F24を含む信号線群F43が、消毒保管庫103と消毒保管庫102との間に配線され、信号線F21,F24を含む別の信号線群F33が、消毒保管庫104と消毒保管庫101との間に配線される。
【0152】
このように消毒保管システム2は、第一実施形態の消毒保管システム1と同様の消毒保管システム1A,1Bがループ状に接続された構成にされる。消毒保管システム2では、上述した信号線群F31、信号線群F43、信号線群F41、及び、信号線群F33が、インターロック信号及び連鎖運転信号の伝送路のループを構成する。
【0153】
この消毒保管システム2では、消毒保管庫101の操作パネル31を通じて作業者が運転指示を入力すると、連鎖運転信号の機能により、消毒保管システム1Aの消毒保管庫101,102において加熱消毒処理が実行された後、消毒保管システム1Bの消毒保管庫103,104において加熱消毒処理が実行される。このようにして、消毒保管システム1A,1Bが連鎖的に加熱消毒処理を実行する。
【0154】
具体的に、消毒保管庫101の操作パネル31を通じて運転指示が入力されると、消毒保管庫101は、インターロック信号としてオン信号を出力する。このインターロック信号(オン信号)は、上記ループに沿って伝播するように、順に消毒保管庫102,103,104に入力され、更に消毒保管庫101に入力される。
【0155】
このインターロック信号(オン信号)の入力を契機に、消毒保管庫101は、S140において肯定判断し、後続処理を実行する。これにより、消毒保管庫101,102では、第一実施形態の消毒保管システム1と同様に、交互運転処理の繰返しにより、加熱消毒処理が並列実行される。
【0156】
消毒保管庫101,102の両者において加熱消毒処理が終了すると、消毒保管庫101からインターロック信号としてオフ信号が出力され(S270)、更に消毒保管庫101から連鎖運転信号としてオン信号が出力される(S290)。消毒保管庫102は、このオン信号の入力に応じて(S115でYes)、連鎖運転信号としてオン信号を出力する(S170)。
【0157】
この連鎖運転信号(オン信号)の入力を受けて、消毒保管庫103は、S115で肯定判断し、S120で否定判断して、S130においてインターロック信号としてオン信号を出力する。これにより、オン信号としてのインターロック信号が再び上記ループを伝播する。
消毒保管庫103は、この伝播によりインターロック信号(オン信号)の入力を受け、S140において肯定判断し、交互運転処理の繰返しによる加熱消毒処理を開始する。これに伴って、消毒保管庫104も、交互運転処理の繰返しによる加熱消毒処理を、消毒保管システム1と同様に、消毒保管庫103,104間でヒータ27を交互に作動させるように実行する。
【0158】
このようにして、消毒保管庫103,104において加熱消毒処理が並列実行される。消毒保管庫103,104の両者において加熱消毒処理が終了すると、消毒保管庫103からインターロック信号としてオフ信号が出力され(S270)、更に消毒保管庫103から連鎖運転信号としてオン信号が出力される(S290)。このオン信号の入力に応じて消毒保管庫104が、連鎖運転信号としてオン信号を出力する(S170)。
【0159】
この連鎖運転信号(オン信号)の入力を受けて、消毒保管庫101は、S115で肯定判断する。このとき、消毒保管庫101では、既に加熱消毒処理が終了しており、完了フラグが値1にセットされているので、消毒保管庫101は、S120で肯定判断し、更にS160で肯定判断して、リセット処理を実行する(S180)。
【0160】
これにより、インターロック信号及び連鎖運転信号がオフ信号に切り替えられ、完了フラグ及び親機フラグは値0にリセットされる。更に、インターロック信号が所定時間以上オフ信号に維持されることを合図として、インターロック信号の伝送路にあるすべての消毒保管庫102,103,104が、完了フラグ及び親機フラグをリセットし、各種信号をオフ信号に初期化する。
【0161】
このように第二実施形態では、第一実施形態の消毒保管庫10と同一構成の消毒保管庫101,102,103,104が
図13Aに示すように接続されることで、消毒保管庫101,102間及び消毒保管庫103,104間で最大消費電力を約1台分に抑えて加熱消毒処理を並列実行することができると共に、消毒保管庫101,102を含む消毒保管システム1Aと、消毒保管庫103,104を含む消毒保管システム1Bとの間で、順に加熱消毒処理を実行することができる。
【0162】
特に、消毒保管システム1Aと消毒保管システム1Bとの間においてはインターロック信号及び連鎖運転信号の伝送路として、ループ状の伝送路が設けられていることから、消毒保管システム1Aの消毒保管庫101及び消毒保管システム1Bの消毒保管庫103のいずれに対する運転指示の入力であっても、消毒保管システム1A及び消毒保管システム1Bにおいて連鎖的に加熱消毒処理が実行される。
【0163】
このように本実施形態の消毒保管システム2によれば、作業者からの一つの運転指示によって、多数の消毒保管庫101,102,103,104に、約1台分の最大消費電力で加熱消毒処理を実行させることができ、効率的に食器類を加熱消毒することができる。
【0164】
[その他]
以上に、第一及び第二実施形態の消毒保管システム1,2を説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採り得る。
【0165】
例えば、第二実施形態の消毒保管庫101-104の接続方式を採用すれば、
図13Bに示すように、消毒保管システム1A,1Bに加えて、更なる消毒保管システム1Cを追加した合計6台の消毒保管庫101,102,103,104,105,106を備える消毒保管システム3を構成することができる。
【0166】
消毒保管システム3において、消毒保管庫105と消毒保管庫106との間に配線された信号線群F51,F52は、消毒保管庫103と消毒保管庫104との間に配線された信号線群F41,F42に対応し、消毒保管庫104と消毒保管庫105との間に配線された信号線群F53は、消毒保管庫102と消毒保管庫103との間に配線された信号線群F43に対応する。
【0167】
消毒保管システム2において、消毒保管庫101と消毒保管庫104との間に配線される信号線群F33は、消毒保管システム3において、消毒保管庫101と消毒保管庫106との間に配線される。この接続方式を採用すれば、6台を超える多数の消毒保管庫を用いて効率的に連動可能な消毒保管システムを構成することも可能である。なお、これら消毒保管システム2および3は、交互連動モードに移行した消毒保管庫のペアで構成された消毒保管システムであるが、これに限定されず、単機で連動可能な消毒保管庫が混在する消毒保管システムでもよい。
【0168】
この他、上述の消毒保管システム1では、約1台分の最大消費電力に抑えるために、消毒保管庫10と消毒保管庫10Eとの間で交互にヒータ27が動作するが、時間当たりの電力消費量が予め設定された上限を超えない範囲内において、これらのヒータ27は、同時動作してもよい。
【0169】
例えば、ヒータ27に入力される電流が、ヒータ27の作動開始と共に徐々に上昇し、ヒータ27の停止前に徐々に下降する場合には、消毒保管庫10におけるヒータ27の停止直前に、消毒保管庫10Eにおけるヒータ27の作動を開始しても、時間当たりの電力消費量は抑えられる。このようにヒータ27を重複作動させれば、消毒保管庫10,10Eの両者において加熱消毒が完了するのに要する時間を短くすることが可能である。同様の概念は、消毒保管システム2,3に対しても適用され得る。
【0170】
消毒保管庫10は、外部管理システム(例えば、施設の電力消費量をコントロールするデマンドコントロールシステム)の制御によって運転を待機または一時停止し得る。外部管理システムは、消毒保管庫10を待機または一時停止させることにより、他の厨房機器(例えば洗浄装置や加熱調理装置等)を優先的に運転させることができる。消毒保管庫10は、他の厨房機器の運転が終了して自己の運転を再開する場合、一時停止していた間に下がった庫内温度Tを一時停止した時点の温度まで復帰させてから、残りの運転時間を再開することができる。
【0171】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0172】
1,1A,1B,1C,2,3…消毒保管システム、10,10E…消毒保管庫、20…収容空間、21…筐体、23…両開き扉、25…棚、27…ヒータ、29…ファン、31…操作パネル、33…コントローラ、33A…プロセッサ、33B…メモリ、35…入出力回路、37…温度センサ、39…電源回路、101,102,103,104,105,106…消毒保管庫、F1,F2…信号線群、F11,F12,F13,F14…信号線、F21,F22,F23,F24…信号線、F31,F32,F33…信号線群、F41,F42,F43…信号線群、F51,F52,F53…信号線群、P0…電源ケーブル。