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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157695
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】シューズおよびシュータン
(51)【国際特許分類】
   A43B 19/00 20060101AFI20231019BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
A43B19/00
A43B23/02 101Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067768
(22)【出願日】2022-04-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】512299347
【氏名又は名称】株式会社ティーワン
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲也
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC14
4F050BC47
4F050BC49
4F050BG08
4F050JA13
4F050JA15
(57)【要約】
【課題】シュータン部を容易に交換可能にしたシューズおよびシュータンを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係るシューズは、足を挿入する第1開口および第1開口と連続し足の甲の部分に対向する第2開口を有するシューズ本体と、シューズ本体の内側で少なくとも第2開口を覆うように配置されるシュータン部と、を備え、シューズ本体は、第2開口の縁部分に設けられ紐を通す複数の紐通し孔を有し、シュータン部は、つま先側に設けられる少なくとも2つの固定用孔を有し、シュータン部はシューズ本体と分離して設けられ、シュータン部は、シューズ本体の内側に配置された状態で、紐通し孔と固定用孔とに紐を通すことでシューズ本体に取り付けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足を挿入する第1開口および前記第1開口と連続し足の甲の部分に対向する第2開口を有するシューズ本体と、
前記シューズ本体の内側で少なくとも前記第2開口を覆うように配置されるシュータンと、
を備え、
前記シューズ本体は、前記第2開口の縁部分に設けられ紐を通す複数の紐通し孔を有し、
前記シュータンは、少なくとも2つの固定用孔がつま先側に設けられたシュータン本体を有し、
前記シュータン本体は前記シューズ本体と分離して設けられ、
前記シュータン本体は、前記シューズ本体の内側に配置された状態で、前記紐通し孔と前記固定用孔とに前記紐を通すことで前記シューズ本体に取り付けられる、
シューズ。
【請求項2】
複数の前記紐通し孔は、つま先側に設けられる少なくとも2つの先端孔を含み、
前記シュータン本体は、前記先端孔と前記固定用孔とに前記紐を通すことで前記シューズ本体に取り付けられる、
請求項1に記載のシューズ。
【請求項3】
前記シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、
前記固定用孔は、前記表部材を貫通して設けられ、
前記裏部材は、前記固定用孔を裏側から覆う、
請求項1又は請求項2に記載のシューズ。
【請求項4】
前記シューズ本体は、
前記第1開口および前記第2開口が設けられたアッパー部と、
前記アッパー部の底側に設けられ前記アッパー部と一体に成形されたソール部と、を有し、
前記ソール部に固定されたブレードをさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載のシューズ。
【請求項5】
シューズ本体における足の甲の部分に対向する位置に配置されるシュータンであって、
少なくとも2つの固定用孔がつま先側に設けられたシュータン本体を備え、
前記シュータン本体は前記シューズ本体と分離して設けられ、
前記シュータン本体は、前記シューズ本体の内側に配置された状態で、前記シューズ本体を締める紐を前記固定用孔に通すことで前記シューズ本体に取り付けられる、
シュータン。
【請求項6】
前記シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、
前記固定用孔は、前記表部材を貫通して設けられ、
前記裏部材は、前記固定用孔を裏側から覆う、
請求項5に記載のシュータン。
【請求項7】
前記シュータン本体は、前記表部材と前記裏部材との間に設けられた芯部材を有し、
平面視において、前記芯部材を間に挟んで前記芯部材の左側と右側にそれぞれ1つ以上の前記固定用孔が設けられた、
請求項5又は請求項6に記載のシュータン。
【請求項8】
前記シュータン本体は、前記表部材と前記裏部材との間に設けられた芯部材を有し、
前記固定用孔は、平面視において前記芯部材よりもつま先側に設けられた、
請求項5又は請求項6に記載のシュータン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズおよびシュータンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スケート靴やスキー靴といったシューズは、選手の足へのフィッティングとともに、動きを確実に地面(氷面、雪面を含む)に伝え、地面からの反力を正確に足に返すことが重要である。また、足への負担軽減や耐久性も重要な要素となる。このようなシューズにおいては、シューズ本体とともに足の甲の部分を押さえるシュータン部も非常に重要な役目を果たす。
【0003】
特許文献1には、足の良好な保持性および外部からの衝撃に対する良好な保護性の夫々の機能を、使用の目的に応じて最適に選択し得る靴が開示される。この靴では、靴底と、足の甲を覆うべく靴底に装着された甲被部と、足を保持すべく甲被部に着脱自在に装着された着脱式の内部甲被部材とを有しており、用途により異なって構成された内部甲被部材を複数種類用意しておき、使用目的に応じてこれら複数種類の内部甲被部材の一つを選択して交換することができるよう構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-237005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シューズにおいて、足を踏み込んだり、蹴り出したり、ジャンプしたりする場合など、シュータンには足首から足の甲に向けての押圧力が加えられるとともに、シュータンからは押圧力に対する反発力が足に返されることになる。このようなシュータンへの押圧とシュータンから反発とは運動中に繰り返し行われるため、シュータンの特性は運動動作において非常に重要な要素の一つとなる。このため、選手には、好みの特性からなるシュータンを選択したいという要望がある。また、シュータンが劣化した場合、シューズ本体はそのまま利用してシュータンのみを交換できるようにすることも望まれる。
【0006】
本発明の目的は、シュータンを容易に交換可能にしたシューズおよびシュータンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るシューズは、足を挿入する第1開口および第1開口と連続し足の甲の部分に対向する第2開口を有するシューズ本体と、シューズ本体の内側で少なくとも第2開口を覆うように配置されるシュータンと、を備え、シューズ本体は、第2開口の縁部分に設けられ紐を通す複数の紐通し孔を有し、シュータンは、少なくとも2つの固定用孔がつま先側に設けられたシュータン本体を有し、シュータン本体はシューズ本体と分離して設けられ、シュータン本体は、シューズ本体の内側に配置された状態で、紐通し孔と固定用孔とに紐を通すことでシューズ本体に取り付けられる。
【0008】
このような構成によれば、シュータン本体がシューズ本体と分離して設けられていることから、シューズ本体に対してシュータン本体を交換可能にすることができる。また、シュータン本体は、つま先側に設けられる固定用孔に紐を通し、その紐をシューズ本体の紐通し孔に通して取り付けられるため、特別な固定部材を別途用意することなく、既存の紐を利用して汎用性高く交換可能となる。
【0009】
上記シューズにおいて、複数の紐通し孔は、つま先側に設けられる少なくとも2つの先端孔を含み、シュータン本体は、先端孔と固定用孔とに紐を通すことでシューズ本体に取り付けられる構成でもよい。これにより、シューズ本体のつま先側に設けられる先端孔と固定用孔とに紐を通すことで、シュータン本体のつま先側を固定し、足首側を自由にして取り付けることができる。
【0010】
上記シューズにおいて、シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、固定用孔は、表部材を貫通して設けられ、裏部材は、固定用孔を裏側から覆う構成でもよい。これにより、シュータン本体を取り付けるための紐が表部材と裏部材との間に挿通されることになり、シュータン本体の裏部材から紐が露出して足に当たることを防止できる。
【0011】
上記シューズにおいて、シューズ本体は、第1開口および第2開口が設けられたアッパー部と、アッパー部の底側に設けられアッパー部と一体に成形されたソール部と、を有し、ソール部に固定されたブレードをさらに備える構成でもよい。ソール部にブレードが固定されたシューズでは、足の力をブレードに伝えたり、ブレードからの反力が足に伝わったりする際、シュータン本体の機能が非常に重要となる。このようなシューズにおいてシュータン本体を容易に交換可能にすることで、シュータン本体の選択の幅が広がり、シューズの機能性向上が期待される。
【0012】
本発明の一態様に係るシュータンは、シューズ本体における足の甲の部分に対向する位置に配置されるシュータンであって、少なくとも2つの固定用孔がつま先側に設けられたシュータン本体を備え、シュータン本体はシューズ本体と分離して設けられ、シュータン本体は、シューズ本体の内側に配置された状態で、シューズ本体を締める紐を固定用孔に通すことでシューズ本体に取り付けられる。
【0013】
このような構成によれば、シュータン本体がシューズ本体と分離して設けられていることから、シューズ本体に対してシュータン本体を交換可能にすることができる。また、シュータン本体は、つま先側に設けられる固定用孔に紐を通し、その紐をシューズ本体の紐通し孔に通して取り付けられるため、特別な固定部材を別途用意することなく、既存の紐を利用して汎用性高く交換可能となる。
【0014】
上記シュータンにおいて、シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、固定用孔は、表部材を貫通して設けられ、裏部材は、固定用孔を裏側から覆う構成でもよい。これにより、シュータン本体を取り付けるための紐がシュータン本体の表部材と裏部材との間に挿通されることになり、裏部材から紐が露出して足に当たることを防止できる。
【0015】
上記シュータンにおいて、シュータン本体は、表部材と裏部材との間に設けられた芯部材を有し、平面視において芯部材を間に挟んで芯部材の左側と右側にそれぞれ1つ以上の固定用孔が設けられていてもよい。これにより、シュータン本体をシューズ本体に取り付ける紐が芯部材を跨ぐようになり、シュータン本体を紐で固定する際、芯部材による補強が行われる。
【0016】
上記シュータンにおいて、シュータン本体は、表部材と裏部材との間に設けられた芯部材を有し、固定用孔は、平面視において芯部材よりもつま先側に設けられていてもよい。これにより、シュータン本体の紐による固定が、芯部材とは独立して行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シュータンを容易に交換可能にしたシューズおよびシュータンを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本実施形態に係るシューズを例示する斜視図である。
図2図2は、シュータンを例示する斜視図である。
図3図3は、シュータンの裏面を例示する斜視図である。
図4図4は、シュータンの構造を例示する模式斜視図である。
図5図5は、シュータンの取り付けについて例示する図である。
図6図6は、シュータンの取り付けについて例示する図である。
図7図7は、シュータンの取り付けについて例示する図である。
図8図8は、シュータンの取り付けについて例示する図である。
図9図9は、他の例のシュータンを例示する斜視図である。
図10図10は、他の例のシュータンの裏面を例示する斜視図である。
図11図11は、他の例のシュータンの構造を例示する模式斜視図である。
図12図12は、他の例のシュータンの取り付けについて例示する図である。
図13図13は、他の例のシュータンの取り付けについて例示する図である。
図14図14は、他の例のシュータンの取り付けについて例示する図である。
図15図15は、他の例のシュータンの取り付けについて例示する図である。
図16図16は、他の例のシュータンの取り付けについて例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。また、説明の便宜上、本実施形態では靴の左右における左足側を例として説明するが、右足側であっても同様である。
【0020】
(シューズ)
図1は、本実施形態に係るシューズを例示する斜視図である。
なお、本実施形態では、シューズ1としてスケート靴100を例として説明する。
本実施形態に係るスケート靴100は、シューズ本体10と、シュータン20と、ブレード2とを有する。シューズ本体10は、足を挿入する第1開口10h1および第1開口10h1と連続し足の甲の部分に対向する第2開口10h2を有する。スケート靴100においてシューズ本体10は、アッパー部101と、ソール部102とを有する。
【0021】
アッパー部101は足の形に対応して成形されており、足の周りを囲むような形状になっている。すなわち、アッパー部101は、つま先に対応した先端部分111、足の外側に対応した外側部分112、足の内側に対応した内側部分113、かかとに対応した後端部分114およびくるぶしから足首に対応した上方延出部分115を有し、これらが一体に成形されている。アッパー部101には足を入れる第1開口10h1が設けられ、第1開口10h1の前方から先端部分111にかけて第2開口10h2が設けられる。第1開口10h1および第2開口10h2は、足を入れる際にはアッパー部101を拡げやすく、また足を入れた状態ではアッパー部101を締めやすくするために設けられる。
【0022】
アッパー部101の第2開口10h2の縁部分には紐3を通す紐通し孔50が設けられる。紐通し孔50は、舌型に設けられた第2開口10h2の縁部分の両側に所定のピッチで複数設けられる。第2開口10h2の上方(足首部分に対応する箇所)にはフック40がカシメ41によって取り付けられる。紐通し孔50に紐3を通して締めて、紐3の端部をフック40に掛けて結ぶことにより、足の甲から足首の部分までしっかり締めて固定することができる。
【0023】
ソール部102は、アッパー部101の底側に設けられる。ソール部102は、つま先部分121、かかと部分122および土踏まず部分123を有する。スケート靴100において、ソール部102は、アッパー部101と一体に成形されていてもよい。これにより、スケート靴100としてアッパー部101からソール部102にかけてシェル型のワンピース構造が構成される。ブレード2はソール部102にスクリュー(図示せず)によって固定される。
【0024】
シュータン20は、シューズ本体10(アッパー部101)の内側で少なくとも第2開口10h2を覆うように配置される。シュータン20が第2開口10h2を覆うように配置されることで、第2開口10h2を紐3で締める際、シュータン20によって足の甲への押圧力を分散させることができる。
【0025】
(シュータン)
次に、シュータン20について説明する。
図2は、シュータンを例示する斜視図である。
図3は、シュータンの裏面を例示する斜視図である。
図4は、シュータンの構造を例示する模式斜視図である。
シュータン20は、少なくとも2つの固定用孔20hがつま先側に設けられたシュータン本体201を有する。シュータン本体201はシューズ本体10と分離して設けられる。すなわち、シュータン本体201は、シューズ本体10に縫い付けられていないし、取り付け部材によって取り付けられてもいない。シュータン本体201は、シューズ本体10の内側に配置された状態で、紐通し孔50と固定用孔20hとに紐3を通すことでシューズ本体10に取り付けられる。
【0026】
シュータン本体201は、少なくとも表部材211と裏部材212とを合わせた構造を有する。表部材211には例えば皮革が用いられる。裏部材212には例えばメッシュ生地が用いられる。表部材211や裏部材212は特性の異なる材料を用いた複層構造であってもよい。例えば、足の甲の部分と接する裏部材212には、クッション材(ウレタンフォーム)などが含まれていてもよい。また、表部材211と裏部材212とは一体的に設けられていてもよい。
【0027】
表部材211と裏部材212との間に芯部材213が設けられる(図4参照)。芯部材213は、足の甲の上に配置される第1部分21と、第1部分21よりも上部に設けられ足首の前方に当たる第2部分22とを有する。芯部材213の第1部分21の幅は、第2部分22の幅よりも狭くなっており、中央に配置される。これにより、第1部分21の両脇には芯部材213が設けられず、剛性が低くなり、紐3を締めた際に第1部分21を足の甲にフィットさせやすくなる。一方、芯部材213の第2部分22の幅は、表部材211および裏部材212の幅とほぼ等しくなっている。これにより、第2部分22については全体の剛性が高まり、紐3を締めた際に芯部材213の第2部分22で足首の前方の全体をしっかり押さえることができる。
【0028】
芯部材213には、例えば繊維強化樹脂や、繊維強化樹脂とゴム素材との複数層構造が用いられる。芯部材213の強度特性によってシュータン20の機能性が変わる。ユーザは好みの機能を有するシュータン20を選択し、シューズ本体10に取り付けることができる。
【0029】
シュータン本体201に設けられる固定用孔20hは、平面視において芯部材213の両側に設けられている。すなわち2つの固定用孔20hは、シュータン本体201のつま先側において、芯部材213を間に挟んで芯部材213の左側と右側にそれぞれ設けられる。固定用孔20hは、表部材211から裏部材212まで貫通している。
【0030】
図5から図8は、シュータンの取り付けについて例示する図である。
シュータン本体201をシューズ本体10に取り付けるには、先ず、図5に示すように、紐3をシュータン本体201の2つの固定用孔20hに通す。例えば、紐3の両端をそれぞれシュータン本体201の裏側から固定用孔20hに通し、表側に出す。
【0031】
次に、図6に示すように、紐3の両端のそれぞれをシューズ本体10のつま先側の2つの紐通し孔50に通す。紐3の両端はシューズ本体10の内側から外側に向けて2つの紐通し孔50に通される。この状態で紐3の両端を引っ張ることで、シュータン本体201のつま先側がシューズ本体10の内側に取り付けられる。つま先側の2つの紐通し孔50は、本発明の先端孔の一例である。
【0032】
次に、図7から図8に示すように、紐3の両端を他の紐通し孔50に例えばクロスさせながら順次通して締めて行く。シューズ本体10に足を入れた状態で紐3を締め上げることで、シュータン20とともにシューズ本体10を足に固定することができる。なお、紐3の締め方は上記に限定されない。
【0033】
このように、シュータン本体201がシューズ本体10と分離して設けられていることから、シューズ本体10に対してシュータン本体201を好みのものに容易に交換可能となる。また、シュータン本体201は、つま先側に設けられる固定用孔20hに紐3を通し、その紐3をシューズ本体10の紐通し孔50に通して取り付けられるため、特別な固定部材を別途用意することなく、既存の紐3を利用して汎用性高く交換可能となる。さらに、シュータン本体201をシューズ本体10に取り付ける紐3が芯部材213を跨ぐようになり、シュータン本体201を紐3で固定する際、芯部材213による補強が行われる。すなわち、芯部材213のつま先側が紐3で押さえられるため、足首側から印加される力で芯部材213が曲げられたり、力が解放されて芯部材213の曲げが戻されたりする動作の支点が明確になって、芯部材213の特性を得やすくなる。
【0034】
(シュータンの他の例)
次に、シュータンの他の例について説明する。
図9は、他の例のシュータンを例示する斜視図である。
図10は、他の例のシュータンの裏面を例示する斜視図である。
図11は、他の例のシュータンの構造を例示する模式斜視図である。
シュータン20の他の例において、シュータン本体201の固定用孔20hは、平面視において芯部材213よりもつま先側に設けられている。すなわち、他の例のシュータン20においては、2つの固定用孔20hが芯部材213の前方に設けられており、芯部材213を間に挟む位置には設けられていない。また、他の例のシュータン20においては、固定用孔20hは、表部材211を貫通して設けられ、裏部材212には設けられていない。すなわち裏部材212は、固定用孔20hを裏側から覆う。
【0035】
図12から図16は、他の例のシュータンの取り付けについて例示する図である。
他の例におけるシュータン本体201をシューズ本体10に取り付けるには、先ず、図12に示すように、紐3をシュータン本体201の2つの固定用孔20hに通す。他の例においては、紐3の両端をそれぞれシュータン本体201の表側から左右の固定用孔20hに通す。固定用孔20hは表部材211のみを貫通し、裏部材212には設けられていないため、紐3は表側から表部材211と裏部材212との間に通される(図13参照)。
【0036】
次に、図14に示すように、紐3の両端のそれぞれをシューズ本体10のつま先側の2つの紐通し孔50に通す。シューズ本体10には、他の例におけるシュータン20の2つの固定用孔20hに対応してつま先側に2つの紐通し孔50が設けられている。紐3の両端はシューズ本体10の内側から外側に向けて2つの紐通し孔50に通される。この状態で紐3の両端を引っ張ることで、シュータン本体201のつま先側がシューズ本体10の内側に取り付けられる。
【0037】
次に、図15に示すように、紐3の両端を一つ上の紐通し孔50に通した後、図16に示すように、紐3の両端を他の紐通し孔50に例えばクロスさせながら順次通して締めて行く。シューズ本体10に足を入れた状態で紐3を締め上げることで、シュータン20とともにシューズ本体10を足に固定することができる。なお、紐3の締め方は上記に限定されない。
【0038】
このような他の例に係るシュータン20では、シュータン本体201を取り付けるための紐3が表部材211と裏部材212との間を挿通することになり、シュータン本体201の裏部材212から紐3が露出しない。これにより、紐3が足に当たることを防止できる。また、2つの固定用孔20hが芯部材213よりもつま先側に設けられているため、シュータン本体201の紐3による固定が、芯部材213とは独立して行われる。なお、シュータン本体201のシューズ本体10への取り付けにおいて、シューズ本体10の第2開口10h2を締める紐3とは別の紐を用いてもよい。これにより、シュータン20を交換する際、紐3を紐通し孔50から外すことなく、シュータン20を取り付けている別の紐だけを外せば、シュータン20を独立して着脱することができるようになる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、シュータン本体201を容易に交換可能にしたシューズ1およびシュータン20を提供することが可能となる。特に、スケート靴100のようなソール部102にブレード2が固定されたシューズ1では、足の力をブレード2に伝えたり、ブレード2からの反力が足に伝わったりする際、シュータン本体201の機能が非常に重要となる。このようなシューズ1においてシュータン本体201を容易に交換可能にすることで、シュータン本体201の選択の幅が広がり、シューズ1の機能性向上が期待される。また、シュータン20を交換可能にすることで、好みのシュータン20を取り付けてシューズ1のデザイン変化やアクセントを加えるといったファッション性を楽しむこともできる。
【0040】
なお、上記に本実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、上記ではシュータン本体201に2つの固定用孔20hが設けられた例を示したが、3つ以上の固定用孔20hが設けられていてもよい。また、本実施形態ではシューズ1をスケート靴100に適用する例を示したが、スキー靴、スノーボードブーツ、自転車用シューズ、ランニング用シューズ、登山用シューズ、トレッキングシューズ、スニーカーなど、スポーツ用シューズやその他のシューズにも適用可能である。また、前述の各実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0041】
1…シューズ,2…ブレード,3…紐,10…シューズ本体,10h1…第1開口,10h2…第2開口,20…シュータン,20h…固定用孔,21…第1部分,22…第2部分,40…フック,41…カシメ,50…紐通し孔,100…スケート靴,101…アッパー部,102…ソール部,111…先端部分,112…外側部分,113…内側部分,114…後端部分,115…上方延出部分,121…つま先部分,122…かかと部分,123…土踏まず部分,201…シュータン本体,211…表部材,212…裏部材,213…芯部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足を挿入する第1開口および前記第1開口と連続し足の甲の部分に対向する第2開口を有するシューズ本体と、
前記シューズ本体の内側で少なくとも前記第2開口を覆うように配置されるシュータンと、
を備え、
前記シューズ本体は、前記第2開口の縁部分に設けられ紐を通す複数の紐通し孔を有し、
前記シュータンは、少なくとも2つの固定用孔がつま先側に設けられたシュータン本体を有し、
前記シュータン本体は前記シューズ本体と分離して設けられ、
複数の前記紐通し孔は、つま先側に設けられる少なくとも2つの先端孔を含み、
前記先端孔は、前記第2開口の最もつま先側の縁よりも更につま先側に設けられており、
前記シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、
前記シュータン本体は、前記表部材と前記裏部材との間に設けられた芯部材を有し、
前記固定用孔は、平面視において前記芯部材よりもつま先側に設けられており、
前記シュータン本体は、前記シューズ本体の内側に配置された状態で、前記先端孔と前記固定用孔とに前記紐を通すことで前記シューズ本体に取り付けられる、
シューズ。
【請求項2】
前記固定用孔は、前記表部材を貫通して設けられ、
前記裏部材は、前記固定用孔を裏側から覆う、
請求項1に記載のシューズ。
【請求項3】
前記シューズ本体は、
前記第1開口および前記第2開口が設けられたアッパー部と、
前記アッパー部の底側に設けられ前記アッパー部と一体に成形されたソール部と、を有し、
前記ソール部に固定されたブレードをさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載のシューズ。
【請求項4】
シューズ本体における足の甲の部分に対向する位置に配置されるシュータンであって、
少なくとも2つの固定用孔がつま先側に設けられたシュータン本体を備え、
前記シュータン本体は前記シューズ本体と分離して設けられ、
前記シュータン本体は、前記シューズ本体の内側に配置された状態で、前記シューズ本体を締める紐を前記固定用孔に通すことで前記シューズ本体に取り付けられ
前記シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、
前記シュータン本体は、前記表部材と前記裏部材との間に設けられた芯部材を有し、
平面視において、前記芯部材を間に挟んで前記芯部材の左側と右側にそれぞれ1つ以上の前記固定用孔が設けられた、
シュータン。
【請求項5】
前記固定用孔は、前記表部材を貫通して設けられ、
前記裏部材は、前記固定用孔を裏側から覆う、
請求項4に記載のシュータン。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記シューズにおいて、複数の紐通し孔は、つま先側に設けられる少なくとも2つの先端孔を含み、先端孔は、第2開口の最もつま先側の縁よりも更につま先側に設けられており、シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、シュータン本体は、表部材と裏部材との間に設けられた芯部材を有し、固定用孔は、平面視において芯部材よりもつま先側に設けられており、シュータン本体は、シューズ本体の内側に配置された状態で、先端孔と固定用孔とに紐を通すことでシューズ本体に取り付けられる構成でもよい。これにより、シューズ本体のつま先側に設けられる先端孔と固定用孔とに紐を通すことで、シュータン本体のつま先側を固定し、足首側を自由にして取り付けることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
上記シュータンにおいて、シュータン本体は、少なくとも表部材と裏部材とを合わせた構造を有し、シュータン本体は、表部材と裏部材との間に設けられた芯部材を有し、平面視において芯部材を間に挟んで芯部材の左側と右側にそれぞれ1つ以上の固定用孔が設けられていてもよい。これにより、シュータン本体をシューズ本体に取り付ける紐が芯部材を跨ぐようになり、シュータン本体を紐で固定する際、芯部材による補強が行われる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記シュータンにおいて、固定用孔は、表部材を貫通して設けられ、裏部材は、固定用孔を裏側から覆う構成でもよい。これにより、シュータン本体を取り付けるための紐がシュータン本体の表部材と裏部材との間に挿通されることになり、裏部材から紐が露出して足に当たることを防止できる。