(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157699
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】非接触充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231019BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231019BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20231019BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231019BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20231019BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20231019BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20231019BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231019BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20231019BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231019BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20231019BHJP
H01M 10/663 20140101ALI20231019BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20231019BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
H02J7/04 L
H02J7/10 L
H02J50/10
B60L53/12
B60L58/27
H01M10/46
H01M10/48 301
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/663
H01M10/615
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067772
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 謙太
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H031
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB02
5G503CA08
5G503CA20
5G503CB11
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030DD18
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC19
5H125BE02
5H125CD09
5H125DD02
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE41
(57)【要約】
【課題】給電電力を無駄なく利用する。
【解決手段】非接触充電装置は、受電コイルと、前記受電コイルが前記給電コイルに対して対向する位置にあるときに前記受電コイルと前記給電コイルとの間に位置するように車両に設けられるシャッター部と、複数の切替バルブと、を備え、前記シャッター部は、熱媒体が流通する内部流路と、前記受電コイルへの投影面積が変化するように開閉可能であり、前記給電コイルによる電磁誘導によって発熱し、発生した熱を、前記内部流路を流通する熱媒体に伝達可能な可動部と、を有し、前記複数の切替バルブは、前記バッテリの温度を調整する熱媒体が循環するバッテリ温調回路と、前記内部流路との接続のオンオフが可能であり、キャビンの空調に寄与する熱媒体が循環するキャビン空調回路と、前記内部流路との接続のオンオフが可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部の給電コイルから電磁場を介して電力を非接触で受電可能であり、受電した電力をバッテリに供給する車載の受電コイルと、
前記受電コイルが前記給電コイルに対して対向する位置にあるときに前記受電コイルと前記給電コイルとの間に位置するように車両に設けられるシャッター部と、
複数の切替バルブと、
を備え、
前記シャッター部は、
熱媒体が流通する内部流路と、
前記受電コイルへの投影面積が変化するように開閉可能であり、前記給電コイルによる電磁誘導によって発熱し、発生した熱を、前記内部流路を流通する熱媒体に伝達可能な可動部と、
を有し、
前記複数の切替バルブは、前記バッテリの温度を調整する熱媒体が循環するバッテリ温調回路と、前記内部流路との接続のオンオフが可能であり、キャビンの空調に寄与する熱媒体が循環するキャビン空調回路と、前記内部流路との接続のオンオフが可能である、非接触充電装置。
【請求項2】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記受電コイルが前記給電コイルから電力を非接触で受電可能な位置にあるとき、前記バッテリのSOC、前記バッテリの温度、および、前記キャビンの空調を行う要求の有無に基づいて、前記可動部の開度を制御すること、
を含む処理を実行する、請求項1に記載の非接触充電装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記受電コイルが前記給電コイルから電力を非接触で受電可能な位置にあるとき、前記バッテリのSOC、前記バッテリの温度、および、前記キャビンの空調を行う要求の有無に基づいて、さらに、前記複数の切替バルブのオンオフを制御すること、
を含む処理を実行する、請求項2に記載の非接触充電装置。
【請求項4】
制御装置を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記受電コイルが前記給電コイルから電力を非接触で受電可能な位置にあるとき、前記バッテリのSOC、前記バッテリの温度、および、前記キャビンの空調を行う要求の有無に基づいて、前記複数の切替バルブのオンオフを制御すること、
を含む処理を実行する、請求項1に記載の非接触充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両に搭載されているバッテリを、車両の外部から非接触で充電する技術が開示されている。このような非接触充電では、地面に給電コイルが設けられ、車両に受電コイルが設けられ、給電コイルから電磁場を介して非接触で電力が受電コイルに供給され、受電コイルに供給された電力によってバッテリが充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリには、バッテリの温度が低下すると、バッテリに入力可能な最大電力である入力可能最大電力が低下してしまう特性がある。これにより、例えば、給電コイルから電力が供給されても、入力可能最大電力が給電電力よりも小さい状態では、バッテリの充電が適切に行えず、給電電力の無駄が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、給電電力を無駄なく利用することが可能な非接触充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る非接触充電装置は、
車両の外部の給電コイルから電磁場を介して電力を非接触で受電可能であり、受電した電力をバッテリに供給する車載の受電コイルと、
前記受電コイルが前記給電コイルに対して対向する位置にあるときに前記受電コイルと前記給電コイルとの間に位置するように車両に設けられるシャッター部と、
複数の切替バルブと、
を備え、
前記シャッター部は、
熱媒体が流通する内部流路と、
前記受電コイルへの投影面積が変化するように開閉可能であり、前記給電コイルによる電磁誘導によって発熱し、発生した熱を、前記内部流路を流通する熱媒体に伝達可能な可動部と、
を有し、
前記複数の切替バルブは、前記バッテリの温度を調整する熱媒体が循環するバッテリ温調回路と、前記内部流路との接続のオンオフが可能であり、キャビンの空調に寄与する熱媒体が循環するキャビン空調回路と、前記内部流路との接続のオンオフが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給電電力を無駄なく利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる非接触充電システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、非接触充電装置が適用された車両の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、シャッター部の構成を示す平面図である。
【
図4】
図4は、シャッター部の構成を示す側面図である。
【
図5】
図5は、シャッター部による作用を説明する図である。
【
図6】
図6は、シャッター部による作用を説明する図である。
【
図7】
図7は、シャッター部による作用を説明する図である。
【
図8】
図8は、可動部の角度の決定方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、内部流路、バッテリ温調回路およびキャビン空調回路の接続関係を示す概略図である。
【
図15】
図15は、バッテリにおける電力の入出力特性を示す図である。
【
図17】
図17は、制御装置の動作の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
図1は、本実施形態にかかる非接触充電システム1の構成を示す概略図である。非接触充電システム1は、非接触充電装置10および給電設備12を含む。非接触充電装置10は、車両20に搭載される。
【0011】
車両20は、例えば、電気自動車またはハイブリッド電気自動車などであり、走行用の駆動源としてモータを含む。車両20は、バッテリ22を備える。バッテリ22は、例えば、リチウムイオンバッテリなどであり、充放電が可能な2次電池である。バッテリ22は、駆動源のモータに電力を供給する。
【0012】
給電設備12は、車両20の外部に設けられる。給電設備12は、給電コイル30、給電部32、設備通信部34および設備制御装置36を備える。給電コイル30は、走行路または駐車場などの地面に設置される。給電コイル30は、地中に埋設されてもよいし、給電コイルの少なくとも一部が地上に露出してもよい。また、例えば、交差点の停止位置において、走行路に沿って複数の給電コイル30が設置されてもよい。
【0013】
給電部32は、給電コイル30と電力供給源38とに接続されている。電力供給源38は、例えば、商用の電力系統である。給電部32は、電力供給源38から供給される商用周波数の電力を高周波の電力に変換し、高周波の電力を給電コイル30に供給する。給電コイル30は、給電部32を通じて供給された電力に従った電磁波を地上の空間に送出する。換言すると、給電コイル30に高周波の電力が供給されると、給電コイル30の周囲の電磁場が時間変化する。後述するが、給電コイル30の近くに受電コイル50があれば、給電コイル30の周囲の電磁場の時間変化に従った電力が受電コイル50に発生する。つまり、給電コイル30から送出された電磁波が受電コイル50で受信され、給電コイル30から受電コイル50に電力が供給される。以後、給電部32が給電コイル30に供給する電力、すなわち、給電コイル30から空間に送出される電磁波の電力を、給電電力という場合がある。設備通信部34は、給電設備12の周囲の車両20と通信することができる。
【0014】
設備制御装置36は、1つまたは複数のプロセッサ40と、プロセッサ40に接続される1つまたは複数のメモリ42とを備える。メモリ42は、プログラム等が格納されたROMおよびワークエリアとしてのRAMを含む。設備制御装置36のプロセッサ40は、メモリ42に含まれるプログラムと協働して、給電設備12全体を制御する。プロセッサ40は、プログラムを実行することで給電制御部44としても機能する。
【0015】
給電制御部44は、給電部32および給電コイル30を通じた給電の実行を制御する。例えば、給電制御部44は、設備通信部34を通じて、給電設備12の周囲の車両20に、給電設備12から車両20に給電可能な電力である給電電力の情報を送信する。給電設備12の周囲の車両20から確認応答があった場合、給電制御部44は、給電部32を制御して給電コイル30から電磁波を送出させる。
【0016】
車載の非接触充電装置10は、受電コイル50、コンバータ52およびシャッター部54を備える。
【0017】
受電コイル50は、例えば、車両20の底部における左右の前輪の間の位置および左右の後輪の間の位置にそれぞれ配置される。なお、
図1では、2つの受電コイル50が車両20に設けられているが、少なくとも1つ以上の受電コイル50が車両20に設けられていればよい。受電コイル50は、地面に対向するように配置されており、車両20が給電コイル30上に位置すると、給電コイル30に対向することとなる。受電コイル50は、給電コイル30から電磁場を介して非接触で電力を受電可能となっている。以後、受電コイル50が電磁場を介して受電する電力を、受電電力という場合がある。
【0018】
コンバータ52は、受電コイル50およびバッテリ22に電気的に接続される。コンバータ52は、受電コイル50で受電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ22に供給する。つまり、非接触充電装置10では、受電コイル50で受電された電力によってバッテリ22を充電することができる。
【0019】
シャッター部54は、受電コイル50よりも車両20の底面側に配置される。シャッター部54は、受電コイル50が給電コイル30に対して対向する位置にあるときに受電コイル50と給電コイル30との間に位置するように車両20に設けられる。シャッター部54は、受電コイル50に大凡平行に配置される。シャッター部54については、後に詳述する。
【0020】
図2は、非接触充電装置10が適用された車両20の構成を示すブロック図である。
図2で示すように、シャッター部54は、内部流路60、可動部62およびアクチュエータ64を有する。
【0021】
図3は、シャッター部54の構成を示す平面図である。
図4は、シャッター部54の構成を示す側面図である。
図3および
図4で示すように、シャッター部54は、内部流路60を形成するフレーム部70を有する。フレーム部70は、棒状の第1支柱部72aと、棒状の第2支柱部72bと、複数の円筒状の軸部74とからなり、はしご状に構成されている。
【0022】
より詳細には、第1支柱部72aおよび第2支柱部72bは、平行に配置される。軸部74の2つの端部のうちの一方の端部は、第1支柱部72aに接続されており、他方の端部は、第2支柱部72bに接続されている。軸部74は、第1支柱部72aおよび第2支柱部72bに対して垂直に延びている。複数の軸部74は、第1支柱部72aおよび第2支柱部72bの長手方向に間隔を空けて平行に配置されている。
【0023】
第1支柱部72a、第2支柱部72bおよび軸部74の内部には、長手方向に延びる内部流路60が形成されている。軸部74の一方の端部において、軸部74の内部流路60は、第1支柱部72aの内部流路60に連通している。軸部74の他方の端部において、軸部74の内部流路60は、第2支柱部72bの内部流路60に連通している。
【0024】
第1支柱部72aの一方の端部には、内部流路60が第1支柱部72aの外部に開口する第1連通口76aが形成されている。第1連通口76aとは反対側の端部は、閉塞されている。第2支柱部72bの一方の端部には、内部流路60が第2支柱部72bの外部に開口する第2連通口76bが形成されている。第2連通口76bとは反対側の端部は、閉塞されている。
【0025】
内部流路60には、熱媒体が流通する。熱媒体は、例えば、水などであるが、熱交換に寄与する任意の媒体であってもよい。例えば、第1連通口76aから第1支柱部72aの内部流路60に熱媒体が流入する。第1支柱部72aの内部流路60に流入した熱媒体は、軸部74の内部流路60を流通し、第2支柱部72bの内部流路60に移動する。第2支柱部72bの内部流路60の熱媒体は、第2連通口76bから流出する。なお、熱媒体は、第2連通口76bから流入して第1連通口76aから流出してもよい。
【0026】
可動部62は、軸部74ごとに設けられている。
図4の両矢印で示すように、可動部62は、軸部74に対して軸部74の軸周りに回転可能に連結されている。例えば、可動部62は、軸部74と同心であり、軸部74の外周側に位置する円筒部を有する。円筒部は、軸部74に対して軸部74の軸周りに回転することができる。
【0027】
可動部62は、軸部74から軸部74の径方向に延びるように構成されている。例えば、可動部62は、上述の円筒部に接続され、円筒部から軸部74の径方向に延びる板状の板部を有する。また、可動部62は、軸部74の長手方向に亘って広がっている。可動部62は、可動部62が連結されている軸部74と、当該軸部74に隣接する軸部74との間の空間を塞ぐように構成されている。
【0028】
フレーム部70は、受電コイル50の下方に位置し、受電コイル50に大凡平行に配置される。また、上述のように、可動部62は、軸部74に対して回転可能である。つまり、可動部62は、可動部62を受電コイル50へ投影したときの投影面積が変化するように、フレーム部70に対して開閉可能となっている。
【0029】
アクチュエータ64は、可動部62を軸部74に対して回転させる。換言すると、アクチュエータ64は、可動部62をフレーム部70に対して開閉させる。
【0030】
可動部62は、時間変化する磁束を可動部62が受けたときに、電磁誘導によって電流が発生し、発生した電流によって発熱する材料で構成される。すなわち、可動部62は、鉄を含む金属など、誘導加熱が適切に発生する材料で構成される。また、可動部62の厚さは、例えば、数mm程度とする。なお、可動部62の厚さは、誘導加熱が適切に発生する任意の厚さであってもよい。
【0031】
このように、可動部62が給電コイル30に対向配置され、給電コイル30から送出された電磁波が可動部62に到達すると、当該電磁波の時間変化する磁束によって可動部62に渦電流が生じて可動部62が発熱する。すなわち、可動部62は、給電コイル30による電磁誘導によって発熱する。可動部62は、発生した熱を、軸部74を通じて、内部流路60を流通する熱媒体に伝達可能な構成となっている。
【0032】
図5~
図7は、シャッター部54による作用を説明する図である。
図5~
図7では、受電コイル50が給電コイル30に対向する位置にある場合を示している。
図5~
図7の矢印は、給電コイル30に電力が供給されることで給電コイル30の周囲に発生する磁束のイメージを示している。
【0033】
図5は、可動部62がフレーム部70に対して「全開」となっている場合を示している。「全開」とは、第1支柱部72aまたは第2支柱部72bの長手方向に対する可動部62の角度が、90°である場合に相当する。
図6は、可動部62がフレーム部70に対して「全閉」となっている場合を示している。「全閉」とは、第1支柱部72aまたは第2支柱部72bの長手方向に対する可動部62の角度が、0°である場合に相当する。
図7は、可動部62がフレーム部70に対して「全開」と「全閉」との間の任意の角度となっている場合の一例を示している。
図7では、第1支柱部72aまたは第2支柱部72bの長手方向に対する可動部62の角度が、45°である場合が例示されている。以後、
図7の場合を、便宜的に、可動部62が斜めとなっている場合ということがある。
【0034】
図5~
図7で示すように、受電コイル50は、受電コイルケース80に収容されている。受電コイルケース80は、シールド部82を介して車体84に取り付けられている。また、給電コイル30は、給電コイルケース86に収容されて地面に設置されている。
【0035】
図5、
図7で示すように、可動部62がフレーム部70に対して開く場合、可動部62は、フレーム部70に対して受電コイル50側に位置するように開く。なお、可動部62は、フレーム部70に対して受電コイル50とは反対側に開く構成としてもよい。
【0036】
図5で示すように、可動部62が全開となっている場合、可動部62を受電コイル50に投影したときの投影面積が最も小さくなる。この場合、給電コイル30により発生された磁束は、可動部62で遮られずに、フレーム部70の隙間を通って受電コイル50に到達する。この場合、受電コイル50は、給電コイル30から送出された電磁波の電力の多くを受電することができる。
【0037】
また、可動部62が全開となっている場合、磁束が可動部62にほとんど当たらないため、可動部62では、熱がほとんど発生しない。この場合、可動部62から内部流路60の熱媒体に熱が供給されない。
【0038】
図6で示すように、可動部62が全閉となっている場合、可動部62を受電コイル50に投影したときの投影面積が最も大きくなる。この場合、給電コイル30により発生された磁束の大部分が可動部62で遮られ、受電コイル50には磁束がほとんど到達しない。この場合、受電コイル50は、給電コイル30から送出された電磁波の電力を、あまり受電しないことになる。
【0039】
また、可動部62が全閉となっている場合、給電コイル30により発生された磁束が可動部62に当たることで、
図6の一点鎖線で示すように、可動部62に、渦電流88が発生する。可動部62に渦電流88が発生することで、可動部62が発熱し、発生した熱が内部流路60の熱媒体に伝達される。可動部62が全閉となっている場合、可動部62に当たる磁束が多いため、可動部62で多くの熱が発生する。この場合、内部流路60に多くの熱が伝達され、熱媒体の温度が高くなり易い。
【0040】
図7で示すように、可動部62が斜めとなっている場合、給電コイル30により発生された磁束の一部は、可動部62とフレーム部70の隙間を通って受電コイル50に到達する。受電コイル50は、当該隙間を通って受電コイル50に到達した磁束の量に対応する電力を受電することができる。当該隙間は、可動部62の角度が大きくなるに従って大きくなる。このため、可動部62の角度が大きいほど、受電コイル50が受電する電力が大きくなる。
【0041】
また、可動部62が斜めとなっている場合、給電コイル30により発生された磁束のうち、可動部62に当たる磁束もある。可動部62には、可動部62に当たった磁束の量に対応する渦電流88が発生する。可動部62では、渦電流88の大きさに対応する量の熱が発生する。発生した熱は、内部流路60の熱媒体に伝達され、熱媒体の温度が上昇する。このため、可動部62の角度が小さくなるに従って、可動部62に発生する熱の量が多くなり、熱媒体の温度が高くなり易い。
【0042】
このように、非接触充電装置10では、可動部62の角度に従って、すなわち、可動部62を受電コイル50に投影したときの投影面積に従って、受電コイル50が受電する電力を制限あるいは調整することができる。そして、非接触充電装置10では、給電コイル30から送出された電磁波の電力のうち、可動部62によって受電コイル50に伝達されない電力によって、熱媒体の温度を上昇させることができる。この熱媒体の熱は、後述するが、バッテリ22の温度の調整、および、車両20のキャビンの空調に利用される。
【0043】
図8は、可動部62の角度の決定方法の一例を示す図である。
図8の一点鎖線90は、第1支柱部72aまたは第2支柱部72bの長手方向を示す。
図8の一点鎖線92は、可動部62の延長方向を示す。
図8の角度θは、フレーム部70に対する可動部62の角度を示す。なお、理解の便宜のため、
図8では、可動部62の角度が0°のときの可動部62を、二点鎖線で例示している。
【0044】
ここで、
図8で示すように、可動部62の延長方向の長さを、長さLaとする。また、可動部62の角度が角度θのとき、可動部62における第1支柱部72aまたは第2支柱部72bの長手方向の長さを、長さLbとする。長さLbは、可動部62の角度が角度θのときの余弦に相当する(Lb=Lacosθ)。
【0045】
可動部62の角度が0°のとき、可動部62を受電コイル50に投影したときの投影面積は、長さLaに対応する。可動部62の角度が角度θのとき、可動部62を受電コイル50に投影したときの投影面積は、長さLbに対応する。すなわち、可動部62の角度が0°のときの投影面積を基準としたとき、可動部62の角度が角度θのときの投影面積は、長さLbを長さLaで除算した値(Lb/La)に対応する。
【0046】
上述のように、給電コイル30の給電電力に対する受電電力は、可動部62を受電コイル50に投影したときの投影面積に従う。このことから、長さLbを長さLaで除算した値(Lb/La)は、受電電力を給電電力で除算した値(受電電力/給電電力)に対応する。そうすると、可動部62の角度θについては、以下の式(1)によって導出することができる。
θ=arccos(受電電力/給電電力) ・・・(1)
【0047】
図2に戻って、車両20は、バッテリ温調回路100、キャビン空調回路102、複数の切替バルブ104およびキャビン空調スイッチ106を備える。バッテリ温調回路100は、バッテリ22の温度を調整する熱媒体が循環する熱回路である。以後、温度を調整することを、温調という場合がある。また、バッテリ22の温度を、バッテリ温度という場合がある。キャビン空調回路102は、車両20のキャビンの空調に寄与する熱媒体が循環する熱回路である。なお、空調は、空気調和の略である。
【0048】
シャッター部54の内部流路60は、1または複数の切替バルブ104を通じてバッテリ温調回路100に接続可能となっている。また、シャッター部54の内部流路60は、1または複数の切替バルブ104を通じてキャビン空調回路102に接続可能となっている。複数の切替バルブ104は、バッテリ温調回路100と、内部流路60との接続のオンオフが可能であり、キャビン空調回路102と内部流路60との接続のオンオフが可能である。
【0049】
キャビン空調スイッチ106は、キャビンの空調のオンオフを切り替える入力操作を受け付けるスイッチである。車両20の搭乗者の入力操作によって、キャビン空調スイッチ106がオン状態にされると、キャビンの空調が行われ、キャビン空調スイッチ106がオフ状態にされると、キャビンの空調が停止される。
【0050】
図9は、内部流路60、バッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の接続関係を示す概略図である。
図9で示すように、バッテリ温調回路100は、温調プレート110、バッテリ温調配管112、第1ポンプ114、第1ヒータ116、チラー120、バッテリ温調サブ配管122、圧縮機124、コンデンサ126および膨張弁128を有する。
【0051】
温調プレート110は、バッテリ22の下部に配置され、バッテリ22に接触している。バッテリ温調配管112は、温調プレート110から延びて、チラー120、第1ポンプ114、第1ヒータ116の順に経由して温調プレート110に戻るように設けられる。バッテリ温調配管112の内部には、熱媒体が流通する。熱媒体は、例えば、水などであるが、熱交換に寄与する任意の媒体であってもよい。
【0052】
温調プレート110は、バッテリ温調配管112を通じて供給される熱媒体と、バッテリ22との熱交換を行い、バッテリ22の温調を行う。第1ポンプ114は、バッテリ温調配管112内の熱媒体を循環させる。第1ヒータ116は、バッテリ22の電力を消費して、バッテリ温調配管112内の熱媒体を加熱する。
【0053】
チラー120には、バッテリ温調配管112が接続されているとともに、バッテリ温調サブ配管122も接続されている。バッテリ温調サブ配管122は、チラー120から延びて、圧縮機124、コンデンサ126、膨張弁128の順に経由してチラー120に戻るように設けられる。バッテリ温調サブ配管122の内部には、バッテリ温調配管112の内部の熱媒体とは別に、熱媒体が流通する。バッテリ温調サブ配管122内の熱媒体は、例えば、水などであるが、熱交換に寄与する任意の媒体であってもよい。
【0054】
圧縮機124は、チラー120側からバッテリ温調サブ配管122を通じて送入された気相の熱媒体を圧縮してコンデンサ126に送出する。コンデンサ126は、車両20の外部の空気と、圧縮機124で圧縮された熱媒体とを熱交換し、熱媒体の熱を車両20の外部に放出する。コンデンサ126内の熱媒体は、圧力が高い状態で冷却されるため、気相から液相に相転移する。
【0055】
膨張弁128は、コンデンサ126側から送入された熱媒体をチラー120側に噴霧する。噴霧された熱媒体は、圧力が急激に低下して気相に相転移する。熱媒体は、このような気化により温度が低下する。チラー120は、バッテリ温調サブ配管122内の熱媒体と、バッテリ温調配管112内の熱媒体とを熱交換し、バッテリ温調配管112内の熱媒体を冷却する。
【0056】
ここで、例えば、バッテリ温度が、温調の上限閾値と下限閾値との間にある場合、第1ポンプ114および圧縮機124は停止されており、第1ヒータ116によるバッテリ温調配管112内の熱媒体の加熱は行われない。この場合、温調プレート110によるバッテリ22の温調は停止されている。
【0057】
また、例えば、バッテリ温度が、温調の上限閾値を超えた場合、圧縮機124を駆動させることで、結果的に、バッテリ温調配管112内の熱媒体がチラー120によって冷却される。そして、第1ヒータ116による加熱を行わず、第1ポンプ114を駆動させることで、チラー120によって冷却されたバッテリ温調配管112内の熱媒体が温調プレート110に供給される。これにより、バッテリ温度の上昇が抑制される。
【0058】
また、例えば、バッテリ温度が、温調の下限閾値を超えた場合、圧縮機124は停止させておき、チラー120によるバッテリ温調配管112内の熱媒体の冷却は行わない。そして、第1ヒータ116によってバッテリ温調配管112内の熱媒体を加熱し、第1ポンプ114を駆動させることで、第1ヒータ116によって加熱された熱媒体が温調プレート110に供給される。これにより、バッテリ温度の低下が抑制される。
【0059】
図9で示すように、キャビン空調回路102は、キャビン空調配管140、ヒータコア142、第2ポンプ144および第2ヒータ146を有する。
【0060】
キャビン空調配管140は、ヒータコア142から延びて、第2ポンプ144、第2ヒータ146の順に経由してヒータコア142に戻るように設けられる。キャビン空調配管140の内部には、熱媒体が流通する。熱媒体は、例えば、水などであるが、熱交換に寄与する任意の媒体であってもよい。
【0061】
ヒータコア142には、ブロアなどから空気が送られる。ヒータコア142は、キャビン空調配管140を通じて供給される熱媒体と、空気との熱交換を行う。熱交換された空気は、キャビンに送られる。第2ポンプ144は、キャビン空調配管140内の熱媒体を循環させる。第2ヒータ146は、バッテリ22の電力を消費して、キャビン空調配管140内の熱媒体を加熱する。
【0062】
ここで、例えば、キャビン空調スイッチ106がオフ状態の場合、第2ポンプ144は停止されており、第2ヒータ146によるキャビン空調配管140内の熱媒体の加熱は行われない。また、ヒータコア142に空気を送るブロアも停止される。この場合、キャビンの空調は停止される。
【0063】
また、例えば、キャビン空調スイッチ106がオン状態の場合、第2ヒータ146によってキャビン空調配管140内の熱媒体を加熱し、第2ポンプ144を駆動させることで、第2ヒータ146によって加熱された熱媒体がヒータコア142に供給される。そして、ブロアを駆動させることで、ヒータコア142の熱媒体と熱交換されて暖められた空気がキャビンに送られる。
【0064】
次に、シャッター部54の内部流路60とバッテリ温調回路100との接続、および、シャッター部54の内部流路60とキャビン空調回路102との接続について説明する。
【0065】
車両20は、複数の切替バルブ104として、第1切替バルブ104a、第2切替バルブ104b、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dを有する。第1切替バルブ104a、第2切替バルブ104b、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dは、例えば、三方弁である。また、車両20は、第1バイパス配管150、第2バイパス配管152、第3バイパス配管154および第4バイパス配管156を有する。
【0066】
第1切替バルブ104aは、バッテリ温調配管112における温調プレート110とチラー120との間に設けられている。第2切替バルブ104bは、バッテリ温調配管112における第1切替バルブ104aとチラー120との間に設けられている。
【0067】
第1バイパス配管150は、内部流路60の第1連通口76aに接続されている。第1バイパス配管150は、第1連通口76aから延びており、第1切替バルブ104aに接続されている。
【0068】
第1切替バルブ104aの第1ポートは、バッテリ温調配管112における温調プレート110側に接続されている。第1切替バルブ104aの第2ポートは、バッテリ温調配管112におけるチラー120側に接続されている。第1切替バルブ104aの第3ポートは、第1バイパス配管150に接続されている。第1切替バルブ104aは、第1ポートと第2ポートとの間の流通を許可するとともに、第3ポートへの流通を遮断する状態と、第1ポートと第3ポートとの間の流通を許可するとともに、第2ポートへの流通を遮断する状態とを切り替え可能となっている。
【0069】
第2バイパス配管152は、内部流路60の第2連通口76bに接続されている。第2バイパス配管152は、第2連通口76bから延びており、第2切替バルブ104bに接続されている。
【0070】
第2切替バルブ104bの第1ポートは、バッテリ温調配管112における温調プレート110側に接続されている。第2切替バルブ104bの第2ポートは、バッテリ温調配管112におけるチラー120側に接続されている。第2切替バルブ104bの第3ポートは、第2バイパス配管152に接続されている。第2切替バルブ104bは、第1ポートと第2ポートとの間の流通を許可するとともに、第3ポートへの流通を遮断する状態と、第2ポートと第3ポートとの間の流通を許可するとともに、第1ポートへの流通を遮断する状態とを切り替え可能となっている。
【0071】
第3切替バルブ104cは、キャビン空調配管140における第2ポンプ144と第2ヒータ146との間に設けられている。第4切替バルブ104dは、キャビン空調配管140における第3切替バルブ104cと第2ヒータ146との間に設けられている。
【0072】
第3バイパス配管154は、第1バイパス配管150の途中に接続されている。第3バイパス配管154は、第1バイパス配管150から分岐して延びており、第3切替バルブ104cに接続されている。
【0073】
第3切替バルブ104cの第1ポートは、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側に接続されている。第3切替バルブ104cの第2ポートは、キャビン空調配管140における第2ヒータ146側に接続されている。第3切替バルブ104cの第3ポートは、第3バイパス配管154に接続されている。第3切替バルブ104cは、第1ポートと第2ポートとの間の流通を許可するとともに、第3ポートへの流通を遮断する状態と、第1ポートと第3ポートとの間の流通を許可するとともに、第2ポートへの流通を遮断する状態とを切り替え可能となっている。
【0074】
第4バイパス配管156は、第2バイパス配管152の途中に接続されている。第4バイパス配管156は、第2バイパス配管152から分岐して延びており、第4切替バルブ104dに接続されている。
【0075】
第4切替バルブ104dの第1ポートは、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側に接続されている。第4切替バルブ104dの第2ポートは、キャビン空調配管140における第2ヒータ146側に接続されている。第4切替バルブ104dの第3ポートは、第4バイパス配管156に接続されている。第4切替バルブ104dは、第1ポートと第2ポートとの間の流通を許可するとともに、第3ポートへの流通を遮断する状態と、第2ポートと第3ポートとの間の流通を許可するとともに、第1ポートへの流通を遮断する状態とを切り替え可能となっている。
【0076】
非接触充電装置10が適用された車両20では、第1切替バルブ104a、第2切替バルブ104b、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dの状態を制御することで、熱媒体の流路を切り替えることができる。
【0077】
【0078】
図10の例において、第1切替バルブ104aは、第1切替バルブ104aに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112における温調プレート110側とバッテリ温調配管112におけるチラー120側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第1切替バルブ104aは、第1切替バルブ104aに接続されている配管のうち、第1バイパス配管150への流通を遮断する状態となっている。第2切替バルブ104bは、第2切替バルブ104bに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112における温調プレート110側とバッテリ温調配管112におけるチラー120側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第2切替バルブ104bは、第2切替バルブ104bに接続されている配管のうち、第2バイパス配管152への流通を遮断する状態となっている。
【0079】
すなわち、
図10の例では、シャッター部54の内部流路60が、第1切替バルブ104aおよび第2切替バルブ104bによってバッテリ温調回路100から切り離されている。このため、この例では、バッテリ温調配管112内の熱媒体は、シャッター部54を経由することなく、バッテリ温調配管112に沿った流路で循環する。
【0080】
また、
図10の例において、第3切替バルブ104cは、第3切替バルブ104cに接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側とキャビン空調配管140における第2ヒータ146側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第3切替バルブ104cは、第3切替バルブ104cに接続されている配管のうち、第3バイパス配管154への流通を遮断する状態となっている。第4切替バルブ104dは、第4切替バルブ104dに接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側とキャビン空調配管140における第2ヒータ146側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第4切替バルブ104dは、第4切替バルブ104dに接続されている配管のうち、第4バイパス配管156への流通を遮断する状態となっている。
【0081】
すなわち、
図10の例では、シャッター部54の内部流路60が、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dによってキャビン空調回路102から切り離されている。このため、この例では、キャビン空調配管140内の熱媒体は、シャッター部54を経由することなく、キャビン空調配管140に沿った流路で循環する。
【0082】
なお、
図10の例では、バッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の両方で熱媒体が循環する例を説明した。しかし、バッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102のいずれか一方において熱媒体が循環し、他方において熱媒体の循環が停止されてもよいし、両方において熱媒体の循環が停止されてもよい。
【0083】
図11の例において、第1切替バルブ104aは、第1切替バルブ104aに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112における温調プレート110側と第1バイパス配管150との間の流通を許可する状態となっている。一方、第1切替バルブ104aは、第1切替バルブ104aに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112におけるチラー120側への流通を遮断する状態となっている。第2切替バルブ104bは、第2切替バルブ104bに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112におけるチラー120側と第2バイパス配管152との間の流通を許可する状態となっている。一方、第2切替バルブ104bは、第2切替バルブ104bに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112における温調プレート110側への流通を遮断する状態となっている。
【0084】
また、第3切替バルブ104cは、第3切替バルブ104cに接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側とキャビン空調配管140における第2ヒータ146側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第3切替バルブ104cは、第3切替バルブ104cに接続されている配管のうち、第3バイパス配管154への流通を遮断する状態となっている。第4切替バルブ104dは、第4切替バルブ104dに接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側とキャビン空調配管140における第2ヒータ146側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第4切替バルブ104dは、第4切替バルブ104dに接続されている配管のうち、第4バイパス配管156への流通を遮断する状態となっている。
【0085】
すなわち、
図11の例では、シャッター部54の内部流路60が、第1切替バルブ104aおよび第2切替バルブ104bによってバッテリ温調回路100と接続されている。この例では、内部流路60の第2連通口76bから送出された熱媒体は、第2バイパス配管152および第2切替バルブ104bを通じてバッテリ温調配管112に送られる。バッテリ温調配管112に送られた熱媒体は、チラー120、第1ポンプ114、第1ヒータ116、温調プレート110、第1切替バルブ104a、第1バイパス配管150の順に移動し、第1連通口76aを通じて内部流路60に戻る。このことから、可動部62から内部流路60の熱媒体に伝達された熱は、熱媒体の循環によって温調プレート110に伝達され、温調プレート110によるバッテリ22の温調に寄与する。
【0086】
なお、
図11の例では、キャビン空調回路102については、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dによって内部流路60から切り離されている。そして、
図11の例では、第2ポンプ144が停止されており、キャビン空調配管140内の熱媒体が循環していない。
【0087】
図12の例では、第1切替バルブ104a~第4切替バルブ104dのそれぞれの切替バルブ104の状態が、
図11の例と同じとなっている。すなわち、
図12の例では、キャビン空調回路102が、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dによって内部流路60から切り離されている。そして、
図12の例では、内部流路60がバッテリ温調回路100に接続されていても、キャビン空調配管140内の熱媒体がキャビン空調回路102内だけで循環している。
【0088】
図13の例において、第3切替バルブ104cは、第3切替バルブ104cに接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側と第3バイパス配管154との間の流通を許可する状態となっている。一方、第3切替バルブ104cは、第3切替バルブ104cが接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ヒータ146側への流通を遮断する状態となっている。第4切替バルブ104dは、第4切替バルブ104dに接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ヒータ146側と第4バイパス配管156との間の流通を許可する状態となっている。一方、第4切替バルブ104dは、第4切替バルブ104dが接続されている配管のうち、キャビン空調配管140における第2ポンプ144側への流通を遮断する状態となっている。
【0089】
また、第1切替バルブ104aは、第1切替バルブ104aが接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112における温調プレート110側とバッテリ温調配管112におけるチラー120側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第1切替バルブ104aは、第1切替バルブ104aに接続されている配管のうち、第1バイパス配管150への流通を遮断する状態となっている。第2切替バルブ104bは、第2切替バルブ104bに接続されている配管のうち、バッテリ温調配管112における温調プレート110側とバッテリ温調配管112におけるチラー120側との間の流通を許可する状態となっている。一方、第2切替バルブ104bは、第2切替バルブ104bに接続されている配管のうち、第2バイパス配管152への流通を遮断する状態となっている。
【0090】
すなわち、
図13の例では、シャッター部54の内部流路60が、第3切替バルブ104cおよび第4切替バルブ104dによってキャビン空調回路102と接続されている。この例では、内部流路60の第2連通口76bから送出された熱媒体は、第2バイパス配管152、第4バイパス配管156および第4切替バルブ104dを通じてキャビン空調配管140に送られる。キャビン空調配管140に送られた熱媒体は、第2ヒータ146、ヒータコア142、第2ポンプ144、第3切替バルブ104c、第3バイパス配管154、第1バイパス配管150の順に移動し、第1連通口76aを通じて内部流路60に戻る。このことから、可動部62から内部流路60の熱媒体に伝達された熱は、熱媒体の循環によってヒータコア142に伝達され、キャビンの空調に寄与する。
【0091】
なお、
図13の例では、バッテリ温調回路100については、第1切替バルブ104aおよび第2切替バルブ104bによって内部流路60から切り離されている。そして、
図13の例では、第1ポンプ114が停止されており、バッテリ温調配管112内の熱媒体が循環していない。
【0092】
図14の例では、第1切替バルブ104a~第4切替バルブ104dのそれぞれの切替バルブ104の状態が、
図13の例と同じとなっている。すなわち、
図14の例では、バッテリ温調回路100が、第1切替バルブ104aおよび第2切替バルブ104bによって内部流路60から切り離されている。そして、
図14の例では、内部流路60がキャビン空調回路102に接続されていても、バッテリ温調配管112内の熱媒体がバッテリ温調回路100内だけで循環している。
【0093】
図2に戻って、車両20は、車両通信部170、温度センサ172、電圧センサ174、電流センサ176および制御装置180を備える。
【0094】
車両通信部170は、車両20の外部の任意の通信機器と通信することができる。例えば、車両通信部170は、給電設備12の設備通信部34と通信することができる。
【0095】
温度センサ172は、バッテリ温度を検出する。電圧センサ174は、バッテリ22の入出力端子の電圧を検出する。電流センサ176は、バッテリ22の入出力端子に流れる電流を検出する。
【0096】
制御装置180は、1つまたは複数のプロセッサ182と、プロセッサ182に接続される1つまたは複数のメモリ184とを備える。メモリ184は、プログラム等が格納されたROMおよびワークエリアとしてのRAMを含む。
【0097】
メモリ184には、設定マップ186が予め記憶されている。設定マップ186には、可動部62の開度の情報および内部流路60の接続に関する情報が設定されている。なお、設定マップ186には、内部流路60の接続に関する情報と、各々の切替バルブ104の状態との関連付けが設定されていてもよい。設定マップ186については、後に詳述する。
【0098】
プロセッサ182は、メモリ184に含まれるプログラムと協働して、車両20の各部を制御する。また、プロセッサは、プログラムを実行することで、受電管理部190、シャッター制御部192および切替バルブ制御部194としても機能する。
【0099】
受電管理部190は、受電コイル50を通じた受電に関する管理を行う。例えば、受電管理部190は、車両通信部170を通じて給電設備12と通信し、給電コイル30の給電電力の情報を取得することができる。また、受電管理部190は、受電コイル50が給電コイル30から電力を非接触で受電可能な位置にあるかの判定を行う。
【0100】
また、受電管理部190は、バッテリ22のSOC(State Of Charge)の導出を適宜行ってもよい。なお、SOCは、満充電容量に対する現在の充電容量を百分率で表したものであり、バッテリ22の充電率を示す。また、受電管理部190は、温度センサ172により検出されたバッテリ温度を適宜取得してもよい。
【0101】
また、受電管理部190は、キャビン空調スイッチ106がオン状態とされた場合、キャビン空調フラグをオン状態とし、キャビン空調スイッチ106がオフ状態とされた場合、キャビン空調フラグをオフ状態としてもよい。キャビン空調フラグは、キャビンの空調を行う要求があるか否かを示す。キャビン空調フラグは、例えば、メモリ184に記憶され、キャビン空調フラグの状態が変更されるまで維持される。
【0102】
シャッター制御部192は、受電コイル50が給電コイル30から電力を非接触で受電可能な位置にあるとき、バッテリ22のSOC、バッテリ温度、および、キャビンの空調を行う要求の有無に基づいて、可動部62の開度を制御する。なお、可動部62の開度を制御するとは、可動部62の角度を制御することに相当する。
【0103】
例えば、シャッター制御部192は、設定マップ186を参照して可動部62の角度を導出する。また、シャッター制御部192は、バッテリ温度に基づいて、受電可能な受電電力を導出し、受電電力および給電電力に基づいて、上述した式(1)により、可動部62の角度を導出してもよい。シャッター制御部192は、可動部62の角度が導出された角度となるように、シャッター部54のアクチュエータ64を駆動させる。
【0104】
切替バルブ制御部194は、受電コイル50が給電コイル30から電力を非接触で受電可能な位置にあるとき、バッテリ22のSOC、バッテリ温度、および、キャビンの空調を行う要求の有無に基づいて、複数の切替バルブ104のオンオフを制御する。なお、切替バルブ104のオンオフとは、第1切替バルブ104a~第4切替バルブ104dにおける各々の状態を切り替える、換言すると、流通を許可するポートと流通を遮断するポートとの組み合わせを切り替えることに相当する。
【0105】
例えば、複数の切替バルブ104の各々には、切替バルブ104をオンオフさせるアクチュエータが設けられる。切替バルブ制御部194は、設定マップ186を参照して、各々の切替バルブ104の状態を決定する。切替バルブ制御部194は、各々の切替バルブ104の状態が決定した状態となるように、アクチュエータを駆動させる。
【0106】
図15は、バッテリ22における電力の入出力特性を示す図である。
図15のTBは、バッテリ温度を示す。
図15のWinは、バッテリ22に入力可能な最大電力である入力可能最大電力を示す。また、
図15のWoutは、バッテリ22から出力可能な最大電力である出力可能最大電力を示す。バッテリ温度TBに対する入力可能最大電力Winの特性と、バッテリ温度TBに対する出力可能最大電力Woutの特性は、大凡同じ推移を示す。
【0107】
図15で示すように、バッテリ温度には、バッテリ22の種類ごとに、入出力を適切に行うことができる適正範囲がある。バッテリ22の温度が、当該温度範囲の下限温度TLより低温になるに従って、入力可能最大電力Winおよび出力可能最大電力Woutが低下する。同様に、バッテリ22の温度が、当該温度範囲の上限温度THより高温になるに従って、入力可能最大電力Winおよび出力可能最大電力Woutが低下する。
【0108】
ここで、例えば、給電コイル30から給電電力Wsが出力されるとする。温度Tbは、下限温度TLより低い温度において、給電電力Wsと入力可能最大電力Winとの交点に対応する温度である。温度Tcは、上限温度THより高い温度において、給電電力Wsと入力可能最大電力Winとの交点に対応する温度である。
【0109】
図15で示すように、バッテリ温度TBが、下限温度TLより低い温度であっても、温度Tb以上であれば、給電電力Wsのすべてを受電してバッテリ22に入力することができる。しかし、バッテリ温度TBが、温度Tbより低い場合、入力可能最大電力Winが給電電力Wsより低くなっているため、給電電力Wsを受電しても、給電電力Wsのすべてをバッテリ22に入力することができない。
【0110】
また、上述の低温の場合と同様に、バッテリ温度TBが上限温度THより高い温度であっても、温度Tc以下であれば、給電電力Wsのすべてを受電してバッテリ22に入力することができる。しかし、バッテリ温度TBが、温度Tcより高い場合、入力可能最大電力Winが給電電力Wsより低くなっているため、給電電力Wsを受電しても、給電電力Wsのすべてをバッテリ22に入力することができない。
【0111】
そこで、非接触充電装置10では、入力可能最大電力Winが給電電力Wsより低い場合、可動部62の開度を調整することで、受電電力が入力可能最大電力Winと大凡等しくなるように受電電力を制限する。そうすることで、受電電力のすべてをバッテリ22に入力することができる。
【0112】
さらに、非接触充電装置10では、給電電力Wsのうち可動部62によって遮られた電力は、可動部62で熱に変換され、発生された熱は、内部流路60内の熱媒体に伝達される。そして、非接触充電装置10では、内部流路60内の熱媒体に伝達された熱を、バッテリ温調回路100における温調プレート110に伝達させることができ、バッテリ22の温調に寄与させることができる。また、非接触充電装置10では、内部流路60内の熱媒体に伝達された熱を、キャビン空調回路102におけるヒータコア142に伝達させることができ、キャビンの空調に寄与させることもできる。
【0113】
このように、非接触充電装置10では、バッテリ温度が適正範囲から外れていたとしても、給電電力Wsを無駄なく利用することができる。
【0114】
また、
図15のWhは、第1ヒータ116または第2ヒータ146で熱媒体を加熱するために必要な最低電力であるヒータ最低電力を示す。温度Taは、下限温度TLより低い温度において、ヒータ最低電力Whと出力可能最大電力Woutとの交点に対応する温度である。
【0115】
図15で示すように、バッテリ温度TBが、温度Ta以上であれば、第1ヒータ116または第2ヒータ146で消費される電力をバッテリ22から出力することができる。しかし、バッテリ温度TBが温度Taより低い場合、出力可能最大電力Woutがヒータ最低電力Whより低くなっているため、第1ヒータ116または第2ヒータ146で消費される電力をバッテリ22から出力することができない。
【0116】
そこで、非接触充電装置10では、バッテリ温度TBが温度Ta未満の状態で、受電コイル50が給電コイル30から電力を非接触で受電可能な位置にあるとき、給電電力の少なくとも一部が可動部62によって遮られるように可動部62が制御される。そうすると、可動部62によって遮られた電力は、可動部62で熱に変換され、発生された熱は、内部流路60内の熱媒体に伝達される。そして、非接触充電装置10では、内部流路60内の熱媒体に伝達された熱を、バッテリ温調回路100における温調プレート110に伝達させることができ、バッテリ22の温調に寄与させることができる。また、非接触充電装置10では、内部流路60内の熱媒体に伝達された熱を、キャビン空調回路102におけるヒータコア142に伝達させることができ、キャビンの空調に寄与させることもできる。
【0117】
このように、非接触充電装置10では、バッテリ温度TBが、第1ヒータ116で消費される電力をバッテリ22から出力することができない低温であっても、可動部62で発生した熱によってバッテリ温度を上昇させることが可能となる。また、非接触充電装置10では、バッテリ温度TBが、第2ヒータ146で消費される電力をバッテリ22から出力することができない低温であっても、キャビンの空調を行うことが可能となる。
【0118】
図16は、設定マップ186の一例を示す図である。
図16で示すように、設定マップ186では、キャビン空調フラグ、SOCおよびバッテリ温度の組み合わせごとに、可動部62の開度および内部流路60の接続態様が設定されている。
【0119】
図16において、「可動部:○○」は、可動部の開度を示す。「調整」は、「全開」と「全閉」との間の任意の開度に調整することを示す。この「調整」の場合、シャッター制御部192は、現在のバッテリ温度から入力可能最大電力を導出し、その入力可能最大電力を、受電可能な受電電力とする。シャッター制御部192は、その受電電力と、給電電力とを用いて、可動部の角度を導出する。
【0120】
また、「接続:△△」は、内部流路60の接続態様を示す。「接続:バッテリ」は、複数の切替バルブ104の状態を、内部流路60とバッテリ温調回路100とが接続された状態とすることを示す。つまり、「接続:バッテリ」は、
図11または
図12で示す接続態様に相当する。
【0121】
「接続:キャビン」は、複数の切替バルブ104の状態を、内部流路60とキャビン空調回路102とが接続された状態とすることを示す。つまり、「接続:キャビン」は、
図13または
図14で示す接続態様に相当する。
【0122】
「接続:なし」は、複数の切替バルブ104の状態を、内部流路がバッテリ温調回路およびキャビン空調回路の両方から切り離された状態とすることを示す。つまり、「接続:なし」は、
図10で示す接続態様に相当する。
【0123】
「SOC≧閾値」の「閾値」は、バッテリ22の充電が必要であるか否かを判定する基準に相当する。すなわち、「SOC≧閾値」は、バッテリ22の充電が必要ないことを示している。「SOC<閾値」は、バッテリ22の充電が必要であることを示している。また、
図16のTa、TbおよびTcは、
図15のTa、TbおよびTcと同じである。
【0124】
図16で示すように、キャビン空調フラグがオンであり、SOC≧閾値であり、かつ、TB<Taである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60はキャビン空調回路102と接続される。可動部62が全閉とされる理由は、バッテリ22の充電が必要ないからである。内部流路60がキャビン空調回路102と接続される理由は、キャビンの空調が要求されており、バッテリ22の温調よりもキャビンの空調を優先するからである。これにより、給電電力の大部分が可動部62で熱に変換されて、その熱がキャビンの空調に寄与する。
【0125】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC≧閾値であり、かつ、Ta≦TB<Tbである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60はバッテリ温調回路100と接続される。可動部62が全閉とされる理由は、バッテリ22の充電が必要ないからである。また、この場合、バッテリ温度TBが温度Taより高いため、第2ヒータ146で消費される電力をバッテリ22から出力させ、第2ヒータ146の熱によってキャビンの空調を行う。
【0126】
また、バッテリ温度TBが温度Tbより低いため、第1ヒータ116で消費される電力までは、バッテリ22から出力できないおそれがある。そこで、内部流路60をバッテリ温調回路100と接続させている。これにより、給電電力の大部分が可動部で熱に変換されて、その熱がバッテリ22の温調に寄与する。なお、可動部62の熱による加熱よりも第2ヒータ146による加熱の方が、エネルギーロスが少ないと考えられるため、バッテリ22の温調よりもキャビンの空調を優先して第2ヒータ146を使用している。
【0127】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC≧閾値であり、かつ、Tb≦TB<Tcである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60はキャビン空調回路102と接続される。この場合、給電電力のほとんどが可動部62で遮られて熱に変換され、その熱がキャビンの空調に寄与する。
【0128】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC≧閾値であり、かつ、Tc≦TBである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60はキャビン空調回路102と接続される。この場合、給電電力のほとんどが可動部62で遮られて熱に変換され、その熱がキャビンの空調に寄与する。
【0129】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC<閾値であり、かつ、TB<Taである場合、キャビンの空調が要求されており、かつ、充電が必要であるため、可動部62は「調整」とされ、内部流路60はキャビン空調回路102と接続される。この場合、可動部62によって受電電力を入力可能最大電力に制限することで、TB<Taであっても、バッテリ22の充電を適切に行うことができる。また、給電電力のうち可動部62で遮られた分が熱に変換され、その熱がキャビンの空調に寄与するため、給電電力を、無駄なく利用することができる。
【0130】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC<閾値であり、かつ、Ta≦TB<Tbである場合、可動部62は「調整」とされ、内部流路60はバッテリ温調回路100と接続される。Ta≦TBであるため、第2ヒータ146で消費される電力をバッテリ22から出力させ、第2ヒータ146の熱によってキャビンの空調を行う。また、充電が必要であり、TB<Tbであるため、可動部62によって受電電力を入力可能最大電力に制限することで、バッテリ22の充電を適切に行うことができる。また、給電電力のうち可動部62で遮られた分が熱に変換され、その熱がバッテリ22の温調に寄与するため、給電電力を、無駄なく利用することができる。
【0131】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC<閾値であり、かつ、Tb≦TB<Tcである場合、可動部62は「全開」とされ、内部流路60はキャビン空調回路102と接続される。Tb≦TB<Tcであるため、第2ヒータ146で消費される電力をバッテリ22から出力させ、第2ヒータ146の熱によってキャビンの空調を行う。また、Tb≦TB<Tcであるため、給電電力よりも入力可能最大電力が高いことから、可動部62は全開とされる。可動部62が全開であることから、可動部62にほとんど熱が発生しないと推定されるが、キャビン空調フラグがオンであることから、内部流路60は、念のため、キャビン空調回路102に接続される。
【0132】
キャビン空調フラグがオンであり、SOC<閾値であり、かつ、Tc≦TBである場合、可動部62は「調整」とされ、内部流路60はキャビン空調回路102と接続される。充電が必要であり、Tc≦TBであるため、可動部62によって受電電力を入力可能最大電力に制限することで、バッテリ22の充電を適切に行うことができる。また、給電電力のうち可動部62で遮られた分が熱に変換され、その熱がキャビンの空調に寄与するため、給電電力を、無駄なく利用することができる。
【0133】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC≧閾値であり、かつ、TB<Taである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60はバッテリ温調回路100と接続される。充電が必要ないため、可動部62は全閉とされる。また、TB<Taであるため、給電電力のほとんどが可動部62で遮られて熱に変換され、その熱がバッテリ22の温調に寄与する。
【0134】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC≧閾値であり、かつ、Ta≦TB<Tbである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60はバッテリ温調回路100と接続される。充電が必要ないため、可動部62は全閉とされる。また、TB<Tbであるため、給電電力のほとんどが可動部62で遮られて熱に変換され、その熱がバッテリ22の温調に寄与する。
【0135】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC≧閾値であり、かつ、Tb≦TB<Tcである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60の接続は「なし」とされる。充電が必要ないため、可動部62は全閉とされる。また、Tb≦TB<Tcであり、キャビン空調フラグがオフであるため、バッテリ22の温調およびキャビンの空調を、可動部62の熱で補充しなくてもよいことから、内部流路60はバッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の両方から切り離される。
【0136】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC≧閾値であり、かつ、Tc≦TBである場合、可動部62は「全閉」とされ、内部流路60の接続は「なし」とされる。充電が必要ないため、可動部62は全閉とされる。また、Tc≦TBであり、キャビン空調フラグがオフであるため、バッテリ22の温調およびキャビンの空調を、可動部62の熱で補充しなくてもよいことから、内部流路60はバッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の両方から切り離される。
【0137】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC<閾値であり、かつ、TB<Taである場合、可動部62は「調整」とされ、内部流路60はバッテリ温調回路100と接続される。この場合、可動部62によって受電電力を入力可能最大電力に制限することで、TB<Taであっても、バッテリ22の充電を適切に行うことができる。また、給電電力のうち可動部62で遮られた分が熱に変換され、その熱がバッテリ22の温調に寄与するため、給電電力を、無駄なく利用することができる。
【0138】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC<閾値であり、かつ、Ta≦TB<Tbである場合、可動部62は「調整」とされ、内部流路60はバッテリ温調回路100と接続される。この場合、可動部62によって受電電力を入力可能最大電力に制限することで、TB<Tbであっても、バッテリ22の充電を適切に行うことができる。また、給電電力のうち可動部62で遮られた分が熱に変換され、その熱がバッテリ22の温調に寄与するため、給電電力を、無駄なく利用することができる。
【0139】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC<閾値であり、かつ、Tb≦TB<Tcである場合、可動部62は「全開」とされ、内部流路60の接続は「なし」とされる。充電が必要であるため、可動部62は全開とされる。また、Tb≦TB<Tcであり、キャビン空調フラグがオフであるため、バッテリ22の温調およびキャビンの空調を、可動部62の熱で補充しなくてもよいことから、内部流路60はバッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の両方から切り離される。
【0140】
キャビン空調フラグがオフであり、SOC<閾値であり、かつ、Tc≦TBである場合、可動部62は「全開」とされ、内部流路60の接続は「なし」とされる。充電が必要であるため、可動部62は全開とされる。また、Tc≦TBであり、キャビン空調フラグがオフであるため、バッテリ22の温調およびキャビンの空調を、可動部62の熱で補充しなくてもよいことから、内部流路60はバッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の両方から切り離される。
【0141】
図17は、制御装置180の動作の流れを説明するフローチャートである。制御装置180の受電管理部190は、所定周期で訪れる所定の割込みタイミングとなると、
図17で示す一連の処理を実行する。
【0142】
所定の割込みタイミングとなると、まず、受電管理部190は、任意の給電設備12から、当該給電設備12の給電コイル30による給電電力の情報を示す給電情報を受信したかを判定する(S10)。給電情報は、例えば、給電が可能であることを示す情報を含んでもよいし、給電が可能である場合にどの程度の給電電力であるかを示す情報を含んでもよい。
【0143】
給電情報を受信した場合(S10におけるYES)、自車両の近傍に給電設備12があると推定されるため、受電管理部190は、自車両が給電設備12から受電可能な位置にあるかを判定する。例えば、受電管理部190は、受電コイル50の受電電力が閾値以上である場合、自車両が受電可能な位置にあると判定してもよい。なお、受電可能な位置にあるかの具体的な判定は、この例に限らない。例えば、受電管理部190は、GPSなどを利用して判定してもよい。
【0144】
給電情報を受信していない場合(S10におけるNO)、自車両の近傍に給電設備12がないと推定されるため、受電管理部190は、ステップS12の処理に進む。また、自車両が受電可能な位置にないと判定した場合(S11におけるNO)、適切に受電できる状態ではないと推定されるため、受電管理部190は、ステップS12の処理に進む。
【0145】
ステップS12において、受電管理部190は、可動部62を全閉とする(S12)。これにより、受電を行わないときに、受電コイル50をシャッター部54によって保護することができる。
【0146】
ステップS12の次に、受電管理部190は、切替バルブ104を初期状態にし(S13)、一連の処理を終了する。切替バルブ104の初期状態は、例えば、内部流路60がバッテリ温調回路100およびキャビン空調回路102の両方から切り離された状態とする。
【0147】
また、自車両が受電可能な位置にあると判定した場合(S11におけるYES)、受電コイル50が給電コイル30から電力を非接触で受電可能な位置にあると推定されるため、受電管理部190は、ステップS20以降の処理を行う。
【0148】
ステップS20において、受電管理部190は、温度センサ172により検出される現在のバッテリ温度を取得する(S20)。受電管理部190は、電圧センサ174により検出される現在のバッテリ22の電圧に基づいて、現在のSOCを導出する(S21)。受電管理部190は、現在のキャビン空調フラグをメモリ184から読み出して取得する(S22)。
【0149】
次に、シャッター制御部192は、設定マップ186を参照し、現在のバッテリ温度、現在のSOC、および、現在のキャビン空調フラグから、可動部62の開度を導出する(S23)。設定マップ186を参照した結果、可動部62が「調整」とされた場合には、シャッター制御部192は、現在のバッテリ温度から入力可能最大電力を導出する。シャッター制御部192は、入力可能最大電力を受電電力とし、その受電電力と、給電情報により取得された給電電力とから、可動部62の角度を導出する。導出された角度が開度に相当する。
【0150】
そして、シャッター制御部192は、導出された開度となるように、アクチュエータ64によって可動部62を開閉させる(S24)。
【0151】
次に、切替バルブ制御部194は、設定マップ186を参照し、現在のバッテリ温度、現在のSOC、および、現在のキャビン空調フラグから、内部流路60の接続態様を決定する(S25)。
【0152】
そして、切替バルブ制御部194は、内部流路60の接続態様が、決定された接続態様となるように、各々の切替バルブ104をオンオフさせ(S26)、一連の処理を終了する。
【0153】
例えば、内部流路60をバッテリ温調回路100と接続させるように決定されたとする。この例では、切替バルブ制御部194は、第1切替バルブ104aを、バッテリ温調配管112の温調プレート110側と第1バイパス配管150との間の流通を許可する状態にさせる。切替バルブ制御部194は、第2切替バルブ104bを、バッテリ温調配管112のチラー120側と第2バイパス配管152との間の流通を許可する状態にさせる。切替バルブ制御部194は、第3切替バルブ104cを、キャビン空調回路102の第2ポンプ144側と第3バイパス配管154との間の流通を許可する状態にさせる。切替バルブ制御部194は、キャビン空調回路102の第2ヒータ146側と第4バイパス配管156との間の流通を許可する状態にさせる。
【0154】
以上のように、本実施形態の非接触充電装置10は、可動部62を含む。可動部62は、受電コイル50への投影面積が変化するように開閉可能であり、給電コイル30による電磁誘導によって発熱し、発生した熱を、内部流路60を流通する熱媒体に伝達可能となっている。また、本実施形態の非接触充電装置10は、複数の切替バルブ104を含む。複数の切替バルブ104は、バッテリ温調回路100と内部流路60との接続のオンオフが可能であり、キャビン空調回路102と内部流路60との接続のオンオフが可能である。
【0155】
これにより、本実施形態の非接触充電装置10では、給電電力よりも入力可能最大電力が小さい状態であっても、可動部62に開度を調整することで、受電電力を入力可能最大電力に制限することができる、バッテリ22の充電を適切に行うことが可能となる。
【0156】
また、本実施形態の非接触充電装置10では、給電電力のうち可動部62に遮られた分は、可動部62により熱に変換され、その熱は、内部流路60に伝達される。そして、本実施形態の非接触充電装置10では、複数の切替バルブ104により、バッテリ温調回路100と内部流路60とが接続されると、内部流路60に伝達された熱は、バッテリ温調回路100に移動し、バッテリ22の温調に寄与することができる。また、本実施形態の非接触充電装置10では、複数の切替バルブ104により、キャビン空調回路102と内部流路60とが接続されると、内部流路60に伝達された熱は、キャビン空調回路102に移動し、キャビンの空調に寄与することができる。
【0157】
したがって、本実施形態の非接触充電装置10によれば、給電電力を無駄なく利用することができる。
【0158】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0159】
10 非接触充電装置
20 車両
22 バッテリ
30 給電コイル
50 受電コイル
54 シャッター部
60 内部流路
62 可動部
100 バッテリ温調回路
102 キャビン空調回路
104 切替バルブ
180 制御装置
182 プロセッサ
184 メモリ