(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157704
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231019BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/04 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067780
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】野田 明裕
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022BB09
3F022CC03
3F022EE02
3F022FF02
3F022JJ09
3F022KK01
3F022KK20
3F022LL07
3F022LL14
3F022LL31
3F022MM01
3F022MM03
3F022MM11
3F022MM51
3F522AA03
3F522BB01
3F522BB28
3F522BB32
3F522BB35
3F522BB36
3F522CC05
3F522CC06
3F522GG44
3F522GG45
3F522GG46
3F522JJ01
3F522JJ02
3F522JJ03
3F522JJ10
3F522KK02
3F522KK05
3F522KK06
3F522KK08
3F522LL11
3F522LL25
3F522LL63
(57)【要約】
【課題】荷物が載せられ、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成することができる搬送システムを提供する。
【解決手段】本発明の搬送システム1、100、200は、親パレット保管装置12、46と、親パレットPLaおよび子パレットPLbを搬送し、および/または、子パレットPLbを親パレットPLaに積載するよう構成された「複数のパレット搬送装置」(6、14、24、30、32、38、無人走行車V等)と、コントローラ18、26、50とを備え、コントローラは、「複数のパレット搬送装置」によって、子パレットPLbと空の親パレットPLaとを個別に搬送させると共に、搬送された空の親パレットPLaの上に子パレットPLbを載置させるよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子パレットを親パレットに載置して荷物を搬送するための搬送システムであって、
子パレットは、外部から搬入される荷物を載せるパレットであり、親パレットは、荷物が載せられた子パレットを載置して所定の工場内に搬送するパレットであり、
上記搬送システムは、
親パレットを所定の場所に保管する親パレット保管部と、
親パレットおよび子パレットを搬送し、および/または、子パレットを親パレットに積載するよう構成された複数のパレット搬送装置と、
上記複数のパレット搬送装置を制御するコントローラと、を備え、
上記コントローラは、上記複数のパレット搬送装置によって、外部から搬入される荷物が載った子パレットと空の親パレットとを個別に搬送させると共に、搬送された荷物が載った子パレットを空の親パレットの上に載置させるよう構成されている、ことを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
親パレットと荷物が載った子パレットとをそれぞれ保管するラックを備え、
上記複数のパレット搬送装置は、
上記ラックに保管された親パレットおよび子パレットを個別に搬送するためのスタッカクレーンと、
子パレットを親パレットに積層させるための親子パレット積み重ね装置と、を含み、
上記コントローラは、上記スタッカクレーンによって、上記ラックに保管された親パレットと荷物が載った子パレットとを、個別に且つ連続して、上記ラックから上記親子パレット積み重ね装置まで搬送させると共に、上記親子パレット積み重ね装置によって、荷物が載った子パレットを親パレットの上に載置させるよう構成されている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
上記親子パレット積み重ね装置は、親パレットおよび子パレットを個別に上下方向に搬送させて親子パレットを形成するパワースライダであり、
上記スタッカクレーンにより搬送された親パレットおよび子パレットが、直接、上記パワースライダに受け渡されるよう、上記パワースライダが上記スタッカクレーンに隣接して配置されている、請求項2に記載の搬送システム。
【請求項4】
上記複数のパレット搬送装置は、
上記親パレット保管部の近傍に配置され、荷物が載った子パレットを外部から搬入する搬入コンベヤと、
上記搬入コンベヤ上の荷物が載った子パレットを保持するために子パレットに係合する係合装置と、
上記親パレット保管部から上記係合装置まで親パレットを搬送するための無人走行車と、を含み、
上記コントローラは、上記無人走行車によって、空の親パレットを上記係合装置が保持している子パレットの真下まで搬送させ、上記無人走行車上で親子パレットを形成するよう構成されている、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項5】
上記搬送システムは、さらに、上記搬入コンベヤに近接して配置され、子パレットを外部へ搬出する搬出コンベヤを備え、
上記コントローラは、上記無人走行車により搬送される、荷物が取り除かれた親子パレットから、子パレットのみを上記搬出コンベヤで外部へ搬出させ、その後、上記無人走行車を、親パレットを載せた状態で上記係合装置が保持している子パレットの真下まで移動させるよう構成されている、請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
上記係合装置は昇降装置を備え、上記コントローラは、上記係合装置の昇降装置を作動させて、上記係合装置により保持されている子パレットを下降させ、これにより、上記無人走行車上で親子パレットを形成するよう構成され、または、
上記無人走行車はリフタを備え、上記コントローラは、上記無人走行車のリフタを作動させて親パレットを上昇させ、これにより、上記無人走行車上で親子パレットを形成するよう構成されている、請求項4または請求項5に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに係わり、特に、子パレットを親パレットに載置して荷物を搬送するための搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトにより親パレットに子パレットを載せるようにした搬送設備が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、所定の工場内の生産ラインに外部からの荷物を搬入する場合、外部から搬入される荷物をパレットに載せて自動倉庫で保管し、生産ラインで必要となったタイミングで、自動倉庫から生産ラインに供給することが行われている。また、外部から搬入される荷物を載せたパレットを、自動倉庫などに保管せずに、生産ラインに直接供給することも行われている。
【0005】
ここで、近年、クリーンな環境下での生産設備等を要する工場(たとえば食品製造ラインや医薬製造ラインや二次電池製造ライン等を備える工場)などでは、クリーンな環境を維持するために、外部から供給される材料や仕掛品などの荷物を載せたパレットを、よりクリーンな状態で工場に搬入させるよう要望がなされている。
【0006】
しかしながら、上述した、荷物を自動倉庫に一時保管する場合も直接工場に供給するいずれの場合も、荷物を載せた外部から搬入されるパレットは、外部の汚れが付着しているなど、クリーンな状態のパレットでない場合が多い。
【0007】
そのため、パレット上の荷物をきれいなパレットに載せ替えて運用する手法が考えられるが、作業者による作業が発生してしまい、荷物が多いほど、過大なコストがかかってしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、荷物が載せられ、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成することができる搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、子パレットを親パレットに載置して荷物を搬送するための搬送システムであって、子パレットは、外部から搬入される荷物を載せるパレットであり、親パレットは、荷物が載せられた子パレットを載置して所定の工場内に搬送するパレットであり、搬送システムは、親パレットを所定の場所に保管する親パレット保管部と、親パレットおよび子パレットを搬送し、および/または、子パレットを親パレットに積載するよう構成された複数のパレット搬送装置と、複数のパレット搬送装置を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、複数のパレット搬送装置によって、外部から搬入される荷物が載った子パレットと空の親パレットとを個別に搬送させると共に、搬送された荷物が載った子パレットを空の親パレットの上に載置させるよう構成されている、ことを特徴としている。
【0010】
このように構成された本発明によれば、荷物が載せられ、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成し、この親子パレットを工場内(生産ライン)に供給することができる。その結果、外部から搬入された子パレットが汚れていても、工場内を汚さずにクリーンな状態に保つことができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、親パレットと荷物が載った子パレットとをそれぞれ保管するラックを備え、複数のパレット搬送装置は、ラックに保管された親パレットおよび子パレットを個別に搬送するためのスタッカクレーンと、子パレットを親パレットに積層させるための親子パレット積み重ね装置と、を含み、コントローラは、スタッカクレーンによって、ラックに保管された親パレットと荷物が載った子パレットとを、個別に且つ連続して、ラックから親子パレット積み重ね装置まで搬送させると共に、親子パレット積み重ね装置によって、荷物が載った子パレットを親パレットの上に載置させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成し、この親子パレットを工場内(生産ライン)に供給することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、親子パレット積み重ね装置は、親パレットおよび子パレットを個別に上下方向に搬送させて親子パレットを形成するパワースライダであり、スタッカクレーンにより搬送された親パレットおよび子パレットが、直接、パワースライダに受け渡されるよう、パワースライダがスタッカクレーンに隣接して配置されている。
このように構成された本発明によれば、簡易な構成で、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成し、この親子パレットを工場内(生産ライン)に供給することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、複数のパレット搬送装置は、親パレット保管部の近傍に配置され、荷物が載った子パレットを外部から搬入する搬入コンベヤと、搬入コンベヤ上の荷物が載った子パレットを保持するために子パレットに係合する係合装置と、親パレット保管部から係合装置まで親パレットを搬送するための無人走行車と、を含み、コントローラは、無人走行車によって、空の親パレットを係合装置が保持している子パレットの真下まで搬送させ、無人走行車上で親子パレットを形成するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成し、この親子パレットを工場内(生産ライン)に供給することができる。
【0014】
また、本発明において、好ましくは、搬送システムは、さらに、搬入コンベヤに近接して配置され、子パレットを外部へ搬出する搬出コンベヤを備え、コントローラは、無人走行車により搬送される、荷物が取り除かれた親子パレットから、子パレットのみを搬出コンベヤで外部へ搬出させ、その後、無人走行車を、親パレットを載せた状態で係合装置が保持している子パレットの真下まで移動させるよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、荷物が工場に供給され、工場から戻ってきた無人走行車上の親子パレットから子パレットのみを外部に搬出した後に、無人走行車が、空の親パレットを近接した搬入コンベヤの係合装置の真下に搬送する。したがって、親パレットを親パレット保管部に戻さずに済む分、無人走行車の移動時間や移動エネルギを節約することができる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、係合装置は昇降装置を備え、コントローラは、係合装置の昇降装置を作動させて、係合装置により保持されている子パレットを下降させ、これにより、無人走行車上で親子パレットを形成するよう構成され、または、無人走行車はリフタを備え、コントローラは、無人走行車のリフタを作動させて親パレットを上昇させ、これにより、上記無人走行車上で親子パレットを形成するよう構成されている。
このように構成された本発明によれば、簡易な構成で、自動で、親子パレットを形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の搬送システムによれば、荷物が載せられ、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットを、自動で、クリーンな状態の親パレット上に載置して親子パレットを形成し、この親子パレットを工場内に供給して、工場内をクリーンな状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による搬送システムが適用された自動倉庫の概略構成を示す正面図である。
【
図2A】
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図2B】
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図2C】
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図2D】
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図2E】
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図2F】
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態による搬送システムが適用された自動倉庫の概略構成を示す正面図である。
【
図4A】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4B】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4C】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4D】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4E】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4F】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4G】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4H】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4I】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4J】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図4K】
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態による搬送システムが適用された無人走行車および各ステーションの概略構成を示す平面図である。
【
図6A】
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
【
図6B】
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
【
図6C】
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
【
図6D】
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
【
図6E】
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
【
図6F】
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による搬送システムを説明する。
【0019】
まず、
図1により、本発明の一実施形態による搬送システムの概略構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による搬送システムが適用された自動倉庫の概略構成を示す正面図である。
まず、
図1に示すように、符号1は、本実施形態による搬送システムを示し、この搬送システム1は、自動倉庫2に適用される。
図1に示す自動倉庫2は、外部(自動倉庫および工場の外部であって、所定の荷物(材料や仕掛品など)が運ばれてくる外部)と工場(生産ライン)との境界に配置されている。
【0020】
自動倉庫2は、パレットPL(
図2参照)に載せられた荷物を格納可能であり、複数の棚段を備えた一対のラック4と、一対のラック4の間に設けられたスタッカクレーン6およびその通路8を有している。スタッカクレーン6は、ラック4に格納されたパレットPLを取り出し、または、後述するパワースライダ14にパレットPLを受け渡すスライドフォーク10を備える。
【0021】
なお、
図1では図示を省略するが、自動倉庫2は、荷物が載せられたパレットPL(子パレットPLb)を外部から搬入するための搬入コンベヤと、所定のパレットを外部へ搬出するための搬出コンベヤとを備える。搬入コンベアにより搬入された荷物が載せられたパレットPLは、スタッカクレーン6によりラック4に格納される。
【0022】
ここで、上述した搬入コンベヤにより外部から搬入される荷物を載せるパレットPLを子パレットPLbといい、本発明は、この外部からの子パレットPLbが汚れている、または、汚れている可能性が高いという前提で、後述するクリーンな状態の親パレットPLaに載せて(親子パレットPLcの状態で)子パレットPLbを搬送するものである。
【0023】
さらに、搬送システム1は、
図1に示すように、自動倉庫2の所定の棚段に配置されたパレットマガジン(以下、「PLマガジン」と呼ぶ)12を備える。このPLマガジン12は、汚れのないようにきれいな状態に維持された、クリーンな状態の空パレットPLa(以下、「親パレットPLa」と言う)を、たとえば10枚など、複数枚積んで保管する機能を有する。
【0024】
PLマガジン12は、具体的には、PLマガジン12に保管された複数枚の空のパレットPLaから、1枚の空の親パレットPLaを取り出す機能を有する。具体的には、このPLマガジン12は、10枚のパレットうちの上側の9枚を上方に持上げ、下側の残り1枚のパレットPLaをスタッカクレーン6のスライドフォーク10で下方からすくって取り出せるように構成されている。
【0025】
なお、変形例として、上述したPLマガジン12に代えて、または、PLマガジン12と共に、ラック4に、たとえば上下方向の間隔が狭い親パレットPLa用の棚段を形成し、スタッカクレーン6がこのような親パレットPLa用の棚段から1枚ずつ空の親パレットPLaを取り出すようにしてもよい。
【0026】
このような親パレットPLaは、荷物(材料や仕掛品など)Pが載せられた子パレットPLbを所定の工場内に供給するために用いられるパレットであり、本発明は、この親パレットPLaは、クリーンな状態が保たれ、子パレットPLbを積載して搬送するものである。
なお、各図において、便宜上、親パレットPLaと子パレットPLbとを区別できるように図示しているが、基本的には、親パレットPLaと子パレットPLbとは、同一形状のものである。なお、異なる形状であっても、親パレットPLaが子パレットPLbを積載することができるものであればよい。
【0027】
さらに、搬送システム1は、
図1に示すように、自動倉庫2内の下方段の一部分に設けられ、工場の床面と連続する面に設置されたパワースライダ14を備える。このパワースライダ14は、スタッカクレーン6に隣接するよう自動倉庫2内かつ工場の床面に配置され、スタッカクレーン6からパレットPLを直接受け渡されるようになっている。自動倉庫2の側面には、パワースライダ14を工場から隔てる安全扉が設けられる。
【0028】
パワースライダ14は、主に、2本の支柱16および各支柱16に設けられた昇降可能な爪部材(図示せず)で構成されている。なお、
図1は、パワースライダ14を側方から見た図であり、支柱16が1本のみ示されている。
爪部材は、各支柱16内に収容されるような閉位置と、この閉位置から各支柱16間に突出してパレットPLを支持する開位置との間で動作する。爪部材は、パレットPLの側面の上下方向ほぼ中間位置でパレットPLを支持するように、パレットPL内に突出してパレットPLを支持するものであり、ボールネジなどにより、上下方向に昇降する。そして、爪部材が下方まで移動することにより、パレットPLが、工場内(
図1で示す、「生産ライン側」)の床面上に降ろされる(下降して床面上に搬送される)ようになっている。この床面は、その内部がクリーンに保たれるべき所定の工場(たとえば食品製造ラインや医薬製造ラインや二次電池製造ライン等を備える工場)の床面である。
【0029】
搬送システム1は、スタッカクレーン6およびそのスライドフォーク10、パワースライダ14等の各動作を制御するコントローラ18(
図1にのみ示す)を備えている。スタッカクレーン6やパワースライダ14等は無線通信または有線通信によりコントローラ18から送信される制御信号に従って動作する。
【0030】
次に、
図2A乃至
図2Fにより、コントローラ18による搬送システム1の制御動作を説明する。
図2A乃至
図2Fは、
図1に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
まず、
図2Aに示すように、自動倉庫2のラック4には、荷物Pが載せられた子パレットPLbが、上述した搬入コンベヤやスタッカクレーン6などを介して予め格納されている。そして、スタッカクレーン6のスライドフォーク10によって、PLマガジン12から1枚の空の親パレットPLaが出庫され、その後、親パレットPLaは、
図2Aに示すようなパワースライダ14に隣接する位置まで降ろされる。
【0031】
次に、
図2Bに示すように、この親パレットPLaは、スタッカクレーン6のスライドフォーク10によってパワースライダ14に出庫され、パワースライダ14がそれを受け取る。このとき、親パレットPLaは、パワースライダ14の爪部材により保持される。
次に、
図2Cに示すように、パワースライダ14に保持された親パレットPLaは、その爪部材を下降させることにより、工場の床面に降ろされる(下降して床面上に搬送される)。
【0032】
次に、
図2Dに示すように、スタッカクレーン6が、ラック4に予め格納されていた、荷物Pを載せた子パレットPLbを出庫し、その後、子パレットPLbは、
図2Dに示すようなパワースライダ14に隣接する位置まで降ろされる。
次に、
図2Eに示すように、この子パレットPLbは、スタッカクレーン6のスライドフォーク10によってパワースライダ14に出庫され、パワースライダ14がそれを受け取る。このとき、子パレットPLbは、パワースライダ14の爪部材により保持される。
【0033】
次に、
図2Fに示すように、パワースライダ14に保持された子パレットPLbは、その爪部材を下降させることにより、床面に降ろされている親パレットPLa上に降ろされ(下降して親パレットPLa上に搬送され)、これにより、親パレットPLaに子パレットPLbが積載された親子パレットPLcが形成される。
親子パレットPLcが形成されると、工場の作業者が、たとえばハンドリフトで親子パレットPLcをすくって、親子パレットPLcを生産ラインまで搬送する。
以上の各工程により、外部からの荷物(材料や仕掛品など)Pが工場の生産ラインに供給される。
以降、ラック4に格納される子パレットPLbの数量などに応じて、
図2A~
図2Fに示す動作が繰り返される。
【0034】
なお、本実施形態の変形例として、スライドフォーク22に昇降機能を持たせて、所定の高さ位置に保持された子パレットPLbの下方で親パレットPLaを上昇させて親子パレットPLcを形成するようにしてもよい。この場合、まず、ラック4に予め格納されていた荷物Pを載せた子パレットPLbを、スタッカクレーン6により出庫すると共にスライドフォーク10によってパワースライダ14に出庫して、パワースライダ14の爪部材により所定の高さ位置に保持させる。次に、PLマガジン12に格納されていた1枚の空の親パレットPLaを、スタッカクレーン6により出庫すると共にスライドフォーク10によって子パレットPLbの下方の位置に移動させ、その後、スライドフォーク10の昇降機能により、親パレットPLaを上昇(搬送)させて子パレットPLbに下方から当接させる。次に、パワースライダ14の爪部材の子パレットPLbへの係合を解除して親子パレットPLcを形成するのである。すなわち、子パレットPLbが親パレットPLa上に載るまで、親パレットPLaを上方に搬送して積載動作が行われる。
【0035】
次に、
図3により、本発明の一実施形態による搬送システムの概略構成を説明する。
図3は、本発明の一実施形態による搬送システムが適用された自動倉庫の概略構成を示す正面図である。以下、上述した
図1および
図2と同様の構成については、同一の符号を用いる。
まず、
図3に示すように、符号100は、本実施形態による搬送システムを示し、この搬送システム100は、自動倉庫2に適用される。
図3に示す自動倉庫2は、外部と工場(生産ライン)との境界に配置されている。
【0036】
自動倉庫2は、
図1で示す実施形態と同様に、パレットPL(
図4参照)に載せられた荷物を格納可能であり、複数の棚段を備えた一対のラック4と、一対のラック4の間に設けられたスタッカクレーン6およびその通路8を有している。スタッカクレーン6は、ラック4に格納されたパレットPLを取り出し、または、後述するリフタステーション20にパレットPLを受け渡すスライドフォーク10を備える。
【0037】
なお、
図3では図示を省略するが、自動倉庫2は、ラック4に収納されるべき荷物が載せられたパレットPL(子パレットPLb)を外部から搬入するための搬入コンベヤと、その荷物が工場等に受け渡された後の空のパレットPL(子パレットPLb)を外部へ搬出するための搬出コンベヤとを備える。搬入コンベアにより搬入された荷物が載せられたパレットPLは、スタッカクレーン6によりラック4に格納される。
【0038】
ここで、上述した搬入コンベヤにより外部から搬入される荷物を載せるパレットPLを子パレットPLbといい、本発明は、この外部からの子パレットPLbが汚れている、または、汚れている可能性が高いという前提で、後述するクリーンな状態の親パレットPLaに載せて(親子パレットPLcの状態で)子パレットPLbを搬送するものである。
【0039】
さらに、搬送システム100は、
図3に示すように、自動倉庫2の所定の棚段に設けられたパレットマガジン(以下、「PLマガジン」と呼ぶ)12を備える。このPLマガジン12は、
図1の実施形態で説明したものと同一の装置であり、汚れのないようにきれいな状態に維持された、クリーンな状態の空パレットPLa(以下、「親パレットPLa」と言う)を、たとえば10枚など、複数枚積んで保管する機能を有する。
【0040】
このような親パレットPLaは、荷物(材料や仕掛品など)Pが載せられた子パレットPLbを所定の工場内に供給するために用いられるパレットであり、本発明は、この親パレットPLaは、クリーンな状態が保たれ、子パレットPLbを積載して搬送するものである。
【0041】
さらに、搬送システム100は、
図3に示すように、自動倉庫2内の下方段の一部分に設けられたリフタステーション20を備える。このリフタステーション20は、スタッカクレーン6のスライドフォーク10からパレットPLが受け渡されるように、スタッカクレーン6に隣接して配置されている。
リフタステーション20は、パレットPLを持ち上げる機能を有し、これにより、後述する倉庫外のスライドフォーク22がパレットPLの下方に入り込めるようにしている。
また、リフタステーション20は、倉庫外のスライドフォーク22上にパレットPLが載るように、パレットPLを下降させる機能を有する。
【0042】
さらに、搬送システム100は、
図3に示すように、自動倉庫2に隣接した位置に、スライドフォーク22を備える。このスライドフォーク22は、スタッカクレーン6のスライドフォーク10と同様の機能を有するものであり、その機能により、リフタステーション20により保持されたパレットPLを、後述するパワースライダ24に受け渡す機能を有する。
【0043】
さらに、搬送システム100は、
図3に示すように、生産ライン側に設けられたパワースライダ24を備える。このパワースライダ24は、
図1を用いて説明した実施形態のパワースライダ14と同一の構成および同一の機能を有するので、ここでは、その説明を省略する。そして、パワースライダ24の爪部材が下方まで移動することにより、パレットPLが、工場内(
図3で示す、生産ライン側)の床面上に降ろされる(下降して床面上に搬送される)ようになっている。この床面は、その内部がクリーンに保たれるべき所定の工場(たとえば食品製造ラインや医薬製造ラインや二次電池製造ライン等を備える工場)の床面である。
【0044】
搬送システム100は、スタッカクレーン6およびそのスライドフォーク10、リフタステーション20、倉庫外のスライドフォーク22、パワースライダ24等の各動作を制御するコントローラ26を備えている。スタッカクレーン6やパワースライダ24等は無線通信または有線通信によりコントローラ26から送信される制御信号に従って動作する。
【0045】
次に、
図4A乃至
図4Kにより、コントローラ26による搬送システム100の制御動作を説明する。
図4A乃至
図4Kは、
図3に示す搬送システムの作動状態を説明するための図である。
まず、
図4Aに示すように、自動倉庫2のラック4には、荷物Pが載せられた子パレットPLbが、上述した搬入コンベヤやスタッカクレーン6などを介して予め格納されている。そして、スタッカクレーン6のスライドフォーク10によって、PLマガジン12から1枚の空の親パレットPLaが出庫され、その後、親パレットPLaは、
図4Aに示すような、リフタステーション20に隣接する位置まで降ろされる。
【0046】
次に、
図4Bに示すように、この親パレットPLaは、スタッカクレーン6のスライドフォーク10によってリフタステーション20に出庫され、上昇位置にあるリフタステーション20がそれを受け取り、保持する。
次に、
図4Cに示すように、上昇位置に保持された親パレットPLaの下方に、スライドフォーク22が横方向から延び、その後、リフタステーション20の昇降機能により、親パレットPLaが降ろされ、スライドフォーク22上に載せられる。
【0047】
次に、
図4Dに示すように、スライドフォーク22上に載せられた親パレットPLaは、横方向に延びていたスライドフォーク22を格納することにより、工場側へ移動する。
次に、
図4Eに示すように、スライドフォーク22が、パワースライダ24の方向に向けて横方向に延び、パワースライダ24が親パレットPLaを受け取る。このとき、親パレットPLaは、パワースライダ24の爪部材により保持され、その後、爪部材を上昇させて、親パレットPLaが上昇位置に保持される。
一方、
図4Eに示すように、スタッカクレーン6は、ラック4に予め格納されていた、荷物Pを載せた子パレットPLbを出庫し、その後、子パレットPLbは、
図4Eに示すようなリフタステーション20に隣接する位置まで降ろされる。
【0048】
次に、
図4Fに示すように、パワースライダ24により保持された親パレットPLaの下方では、スライドフォーク22が格納される。
一方、
図4Fに示すように、荷物Pが載った子パレットPLbは、スタッカクレーン6のスライドフォーク10により、上昇位置にあるリフタステーション20に受け渡される。
【0049】
次に、
図4Gに示すように、パワースライダ24により上昇位置に保持された親パレットPLaは、その爪部材を下降させることにより、工場の床面に降ろされる(下降して床面上に搬送される)。
一方、
図4Gに示すように、上昇位置に保持された子パレットPLbの下方には、スライドフォーク22が横方向から延び、その後、リフタステーション20の機能により、子パレットPLbがスライドフォーク22上に降ろされる。
【0050】
次に、
図4Hに示すように、スライドフォーク22上に載せられた子パレットPLbは、横方向に延びていたスライドフォーク22を格納することにより、工場側へ移動する。
次に、
図4Iに示すように、スライドフォーク22が、パワースライダ24の方向に向けて横方向に延び、パワースライダ24が子パレットPLbを受け取る。このとき、子パレットPLbは、パワースライダ24の爪部材により保持され、その後、爪部材を上昇させて、子パレットPLbが上昇位置に保持される。
なお、このとき、上述した
図4Aと同様に、スタッカクレーン6のスライドフォーク10によって、PLマガジン12から、次に使用される1枚の親パレットPLaが出庫され、
図4Iに示すような、リフタステーション20に隣接する位置まで降ろされる。
【0051】
次に、
図4Jに示すように、パワースライダ24により保持された子パレットPLbの下方では、スライドフォーク22が格納される。
一方、
図4Jに示すように、次に使用される親パレットPLaは、スタッカクレーン6のスライドフォーク10により、上昇位置にあるリフタステーション20に受け渡される。
【0052】
次に、
図4Kに示すように、パワースライダ24により保持された子パレットPLbは、その爪部材を下降させることにより、床面に降ろされている親パレットPLa上に降ろされ(下降して親パレットPLa上に搬送され)、これにより、親パレットPLaに子パレットPLbが積載された親子パレットPLcが形成される。
親子パレットPLcが形成されると、たとえば、工場の作業者がハンドリフトで親子パレットPLcをすくって、親子パレットPLcを生産ラインまで搬送する。
以上の各工程により、外部からの荷物(材料や仕掛品など)Pが工場の生産ラインに供給される。
以降、ラック4に格納される子パレットPLbの数量に応じて、
図4A~
図4Kに示す動作が繰り返される。
【0053】
以上、
図3、
図4A~
図4Kを用いて説明したような積載動作を行う本実施形態では、パワースライダ24による親パレットPLaと子パレットPLbの積み重ね動作と、スタッカクレーン6による親パレットPLaおよび子パレットPLbの搬送動作とを同時に並行して行うことができ、これにより、より短時間で多数の荷物(P)を所定の工場側に出庫することができる。
【0054】
なお、本実施形態の変形例として、上述した倉庫外のスライドフォーク22に昇降機能を持たせる一方、上述したパワースライダ24の開閉機構付き爪部材の昇降機能を無くしてもよい。この場合、昇降機構無しパワースライダ(24)の係合爪で子パレットPLbを保持した後、スライドフォーク(22)を伸ばして親パレットPLaを子パレットPLbの下方まで搬送すると共に、スライドフォーク(22)の昇降機能によって、その親パレットPLaを上昇(搬送)させて親子パレットPLcを形成することができる。すなわち、子パレットPLbが親パレットPLa上に載るまで、親パレットPLaを上方に搬送して積載動作が行われる。
【0055】
次に、
図5により、本発明の一実施形態による搬送システムが適用された無人走行車および各ステーションの概略構成を説明する。
図5は、本発明の一実施形態による搬送システムが適用された無人走行車および各ステーションの概略構成を示す平面図である。
図5は、本発明による搬送システムを、所定のルートを自動走行すると共にパレットPLを搬送可能な無人走行車V(AGV:Automated Guided Vehicle)を備える走行システムに適用した例を示す図である。
図5に示すように、符号200は、本実施形態による搬送システムを示し、この搬送システム200は、外部(搬送システムおよび工場の外部であって、所定の荷物(材料や仕掛品など)が運ばれてくる外部)と工場(生産ライン)との境界に配置されている。
【0056】
搬送システム200は、無人走行車Vと、無人走行車Vが走行するエリアAと、このエリアAに外部から子パレットPLbを搬入する搬入コンベヤ30と、エリアA内に設けられ、搬入コンベヤ30の終端部に設けられた子パレット積載ステーション(以下、「子PL積載ステーション」という)32と、この子PL積載ステーション32に隣接して設けられた子パレット取り外しステーション(以下、「子PL取り外しステーション」という)34と、この子PL取り外しステーション34から外部に子パレットPLbを搬出する搬出コンベヤ36と、を備える。
【0057】
まず、エリアAは、搬入コンベヤ30と工場(生産ライン)の間に配置され、所定の壁部材37で仕切られた、無人走行車Vが走行するエリアである。このエリアAの奥側(
図5における「生産ライン側」)には、工場(たとえば食品製造ラインや医薬製造ラインや二次電池製造ライン等を備える工場)の生産ラインが設けられ、この生産ラインは、エリアAと接続されている。
【0058】
次に、無人走行車Vは、パレットPLを載せて運搬する自動走行車であり、エリアA内の所定の走行ラインL上を自動で走行する。本実施形態では、無人走行車Vは、パレットPLを昇降させるリフタLF(
図6参照)を有している。
【0059】
次に、搬入コンベヤ30は、外部から搬入される、荷物(材料や仕掛品など)Pが載った子パレットPLbを、エリアA内の子PL積載ステーション32に搬送する装置である。
【0060】
次に、子PL積載ステーション32は、後述するパワースライダ38(
図6参照)を備える。子PL積載ステーション32は、後述するように、無人走行車Vが運んできた親パレットPLa上に、パワースライダ38を用いて子パレットPLbを載せて、親子パレットPLcを形成するステーションである。親子パレットPLcは、無人走行車Vにより、エリアAの奥側の生産コンベヤに供給される。
【0061】
次に、子PL取り外しステーション34は、工場(生産ライン)に荷物が供給された後、工場側から無人走行車Vに載せられて戻ってきた親子パレットPLc(子パレット上の荷物が無い状態の親子パレットPLc)を、親パレットPLaと子パレットPLbとに分離するステーションである。この子PL取り外しステーション34で分離された空の子パレットPLbは、搬出コンベヤ36により外部に搬送される。
【0062】
一方、この子PL取り外しステーション34において、子パレットPLbが分離され、空となった親パレットPLaは、工場に搬送すべき子パレットPLbが子PL積載ステーション32に存在する場合には、無人走行車Vにより、子PL積載ステーション32に運ばれる。すなわち、この場合、無人走行車Vは、隣接する子PL積載ステーション32に移動する。
他方、工場に搬送すべき子パレットPLbが子PL積載ステーション32に存在しない場合には、空となった親パレットPLaは、無人走行車Vにより、後述する親パレット段積みマガジン46に搬送される。
【0063】
ここで、搬入コンベヤ30により外部から搬入される荷物Pを積載するパレットPLを子パレットPLbといい、本発明は、この外部からの子パレットPLbが汚れている、または、汚れている可能性が高いという前提で、後述するクリーンな状態の親パレットPLaに載せて(親子パレットPLcの状態で)子パレットPLbを搬送するものである。
【0064】
次に、
図5に示すように、搬送システム200は、親パレットバッファステーション(以下、「親PLバッファステーション」という)44と、親パレット段積みマガジン(以下、「親PL段積みマガジン」という)46と、親パレット段ばらしマガジン(以下、親PL段ばらしマガジン)という)48と、を備える。
【0065】
まず、親PLバッファステーション44は、汚れのないようにきれいな状態に維持された、クリーンな状態の空パレットPLa(以下、「親パレットPLa」と言う)を、たとえば10枚など複数枚積んで、仮置き保管するステーションである。
【0066】
次に、親PL段積みマガジン46は、子PL積載ステーション32において子パレットPLbが分離された後、たとえば別の搬送指示が割り付けられた場合、無人走行車V上の親パレットPLaを、親PL段積みマガジン46の親パレット群に段積み(たとえば10枚まで)するためのステーションである。この親PL段積みマガジン46では、複数段の親パレットPLaを上方に持上げた後、無人走行車V上の親パレットPLaをその下方に格納し、その後、持上げられていた複数段の親パレットPLaを下降させ、段積みするよう構成されている。
【0067】
次に、親PL段ばらしマガジン48は、汚れのないようにきれいな状態に維持された、クリーンな状態の親パレットPLaを、たとえば10枚など、複数枚積んで保管する機能を有するマガジンである。
親PL段ばらしマガジン48は、具体的には、親PL段ばらしマガジン48に保管された複数枚の親パレットPLaから1枚のパレットPLaを取り出して、無人走行車V上に載せる機能を有する。たとえば、この親PL段ばらしマガジン48は、1枚のパレットPLaを無人走行車Vに受け渡すことができるように、10枚のパレットうちの上側の9枚を上方に持上げ、下側の残り1枚のパレットPLaを無人走行車V上に載せる。
【0068】
ここで、親PL段ばらしマガジン48から無人走行車Vに載せられる親パレットPLaは、荷物(材料や仕掛品など)Pが積載された子パレットPLbを所定の工場内に供給するために用いられるパレットであり、本発明では、この親パレットPLaは、クリーンな状態が保たれ、子パレットPLbを載せて搬送するものである。
なお、親PL段ばらしマガジン48に保管されている親パレット群は、所定のタイミングで、無人走行車Vによって、親PL段積みマガジン46から搬送されてきたものである。
【0069】
搬送システム200は、上述した無人走行車VおよびそのリフタLF、搬入コンベヤ30、子PL積載ステーション32およびそのパワースライダ38、子PL取り外しステーション34、搬出コンベヤ36、親PL段積みマガジン46、親PL段ばらしマガジン48等の各動作を制御するコントローラ50(
図5にのみ図示する)を備えている。それらの無人走行車Vや子PL積載ステーション32等は無線通信または有線通信によりコントローラ50から送信される制御信号に従って動作する。
【0070】
次に、
図6A乃至
図6Fにより、コントローラ50による搬送システム200の制御動作を説明する。
図6A乃至
図6Fは、
図5に示す搬送システムの子パレット積載ステーションにおける作動状態を説明するための図である。
まず、
図6A乃至
図6Fにより、子PL積載ステーション32が備えるパワースライダ38の構成を説明する。パワースライダ38は、
図6A乃至
図6Fに示すように、主に、2本の支柱40および各支柱40に設けられた昇降可能な爪部材42で構成されている。爪部材42は、各支柱40内に収容されるような閉位置と、この閉位置から各支柱40間に突出してパレットPLを支持する開位置との間で動作する。爪部材42は、パレットPLの側面の上下方向ほぼ中間位置でパレットPLを支持するように、パレットPL内に突出してパレットPLを支持するものであり、ボールネジなどにより、上下方向に昇降する。
【0071】
次に、子PL積載ステーション32における親子パレットPLcの形成動作を説明する。
まず、
図6Aに示すように、搬入コンベヤ30により荷物Pを載せた子パレットPLbが、子PL積載ステーション32に到着する。
次に、
図6Bに示すように、到着した子パレットPLbの側面にパワースライダ38の爪部材42が差し込まれ(開位置にされ)、子パレットPLbが保持される。
次に、
図6Cに示すように、爪部材42が上昇し、子パレットPLbが、搬入コンベヤ30より所定距離だけ離れた上昇位置に保持される。
次に、
図6Dに示すように、その上昇位置に保持された子パレットPLbの下方(真下)に、親パレットPLaを載せた無人走行車Vが進入する。親パレットPLaは、無人走行車VのリフタLFに載せられている。
次に、
図6Eに示すように、パワースライダ38の爪部材42が下降し、子パレットPLbが、無人走行車V上の親パレットPLa上に降ろされる(下降して親パレットPLa上に搬送される)。
次に、
図6Fに示すように、子パレットPLbを保持していた爪部材42が引き抜かれ(閉位置にされ)、無人走行車V上で親子パレットPLcが形成される。
【0072】
すなわち、
図6A乃至
図6Fに示すように、(汚れている可能性のある)子パレットPLbを上方に持上げられた状態で待機させ、その下方に(クリーンな状態の)親パレットPLaを載せたリフタ付き無人走行車Vを送り込み、パワースライダ38の爪部材42を下降させ、爪部材42の子パレットPLbへの係合を解除して、子パレットPLbを親パレットPLaに載せるように搬送する。これにより、荷物Pが載せられた親子パレットPLcが形成される。この親子パレットPLcを無人走行車Vによって搬送することにより、荷物Pを載せた親子パレットPLcが工場内の生産コンベヤに供給される。
【0073】
なお、本実施形態の変形例として、無人走行車VのリフタLFの作動により親パレットPLaを上昇(搬送)させて親子パレットPLcを形成するようにしてもよい。この場合、まず、荷物Pを載せた子パレットPLbを、搬入コンベヤ30により子PL積載ステーション32まで搬送させる。次に、たとえば、搬入コンベヤ30上の子パレットPLbの下方に親パレットPLaを進入させるための隙間が空くような所定の高さ位置となるまで、子パレットPLbを爪部材42の昇降機能により上昇させると共にその高さ位置で保持させる。次に、その子パレットPLbの下方に、親パレットPLaを載せた無人走行車Vを進入させた後、リフタLFにより親パレットPLaを上昇(搬送)させて子パレットPLbに下方から当接させる。次に、爪部材42の子パレットPLbへの係合を解除して、無人走行車V上で親子パレットPLcを形成するのである。すなわち、子パレットPLbが親パレットPLa上に載るまで、親パレットPLaを上方に搬送して積載動作が行われる。
【0074】
次に、本発明の実施形態およびその変形例による搬送システムの作用効果を説明する。
まず、本実施形態およびその変形例による搬送システム1、100、200は、子パレットPLbを親パレットPLaに載せて荷物Pを搬送するための搬送システムであって、子パレットPLbは、外部から搬入される荷物Pを積載するパレットであり、親パレットPLaは、荷物Pが積載された子パレットPLbを載置して所定の工場(たとえば食品製造ラインや医薬製造ラインや二次電池製造ライン等を備える工場)内に搬送するパレットであり、搬送システム1、100、200は、親パレットPLaを所定の場所に保管する親パレット保管部(パレットマガジン12、親パレット段ばらしマガジン48、親パレット用のラック棚)と、親パレットPLaおよび子パレットPLbを搬送し、および/または、子パレットPLbを親パレットPLaに積載するよう構成された「複数のパレット搬送装置」(スタッカクレーン6、パワースライダ14、24、リフタステーション20、スライドフォーク22、無人走行車V、搬入コンベヤ30、子パレット積載ステーション32、パワースライダ38等)と、これらの「複数のパレット搬送装置」を制御するコントローラ18、26、50と、を備え、コントローラは、上述した「複数のパレット搬送装置」によって、外部から搬入される荷物Pが載った子パレットPLbと空の親パレットPLaとを個別に搬送させると共に、搬送された空の親パレットPLaの上に子パレットPLbを載置させるよう構成されている。
このような構成による搬送システム1、100、200によれば、荷物Pが載せられ、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットPLbを、自動で、クリーンな状態の親パレットPLa上に載置して親子パレットPLcを形成し、この親子パレットPLcを工場内(生産ライン)に供給することができる。その結果、外部から搬入された子パレットPLbが汚れていても、工場内を汚さずにクリーンな状態に保つことができる。
【0075】
なお、本発明における、親パレットPLaおよび子パレットPLbを搬送しおよび/または子パレットPLbを親パレットPLaに積載するよう構成された「複数のパレット搬送装置」とは、
図1および
図2に示す実施形態およびその変形例では、スタッカクレーン6と、親子パレット積み重ね装置であるパワースライダ14とからなる複数の装置を意味する。
また、本発明における、親パレットPLaおよび子パレットPLbを搬送しおよび/または子パレットPLbを親パレットPLaに積載するよう構成された「複数のパレット搬送装置」とは、
図3および
図4に示す実施形態およびその変形例では、スタッカクレーン6と、親子パレット積み重ね装置であるパワースライダ24、リフタステーション20およびスライドフォーク22とからなる複数の装置を意味する。
また、本発明における、親パレットPLaおよび子パレットPLbを搬送しおよび/または子パレットPLbを親パレットPLaに積載するよう構成された「複数のパレット搬送装置」とは、
図5および
図6に示す実施形態およびその変形例では、搬入コンベヤ30と、無人走行車Vと、子パレットPLbに係合する係合装置であるパワースライダ38とからなる複数の装置を意味する。
【0076】
また、自動倉庫2に適用された搬送システム1、100では、親パレットPLaと荷物が載った子パレットPLbとをそれぞれ保管するラック4を備え、上述した「複数のパレット搬送装置」は、ラック4に保管された親パレットPLaおよび子パレットPLbを個別に搬送するためのスタッカクレーン6と、子パレットPLbを親パレットPLaに積層させるための親子パレット積み重ね装置(パワースライダ14、24、リフタステーション20、スライドフォーク22)と、を含み、コントローラ18、26は、スタッカクレーン6によって、ラック4に保管された親パレットPLaと荷物が載った子パレットPLbとを、個別に且つ連続して、ラック4から親子パレット積み重ね装置(14、24、20、22)まで搬送させると共に、親子パレット積み重ね装置(14、24、20、22)によって、荷物が載った子パレットPLbを親パレットPLaの上に載置させるよう構成されている。
このような構成による搬送システム1、100によれば、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットPLbを、自動で、クリーンな状態の親パレットPLa上に載置して親子パレットPLcを形成し、この親子パレットPLcを工場内(生産ライン)に供給することができる。
【0077】
また、自動倉庫2に適用された搬送システム1、100では、親子パレット積み重ね装置は、親パレットPLaおよび子パレットPLbを個別に上下方向に搬送させて親子パレットPLcを形成するパワースライダ14であり、スタッカクレーン6により搬送された親パレットPLaおよび子パレットPLbが、直接、パワースライダ14に受け渡されるよう、パワースライダ14がスタッカクレーン6に隣接して配置されている。
このような構成による搬送システム1、100によれば、簡易な構成で、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットPLbを、自動で、クリーンな状態の親パレットPLa上に載置して親子パレットPLcを形成し、この親子パレットPLcを工場内(生産ライン)に供給することができる。
【0078】
また、無人走行車システムに適用された搬送システム200では、上述した「複数のパレット搬送装置」は、親パレット保管部(親パレット段ばらしマガジン48)の近傍に配置された、荷物Pが載った子パレットPLbを外部から搬入する搬入コンベヤ30と、搬入コンベヤ30上の荷物Pが載った子パレットPLbを保持するために子パレットPLbに係合する係合装置(子パレット積載ステーション32のパワースライダ38)と、親パレット保管部(48)から係合装置(38)まで親パレットPLaを搬送するための無人走行車Vと、を含み、コントローラ50は、無人走行車Vによって、空の親パレットPLaを係合装置(38)が保持している子パレットPLbの真下まで搬送させ、無人走行車V上で親子パレットPLcを形成するよう構成されている。
このような構成による搬送システム200によれば、外部から搬入される汚れている可能性がある子パレットPLbを、自動で、クリーンな状態の親パレットPLa上に載置して親子パレットPLcを形成し、この親子パレットPLcを工場内(生産ライン)に供給することができる。
【0079】
また、無人走行車システムに適用された搬送システム200は、さらに、搬入コンベヤ30に近接して配置され、子パレットPLbを外部へ搬出する搬出コンベヤ36を備え、コントローラ50は、無人走行車Vにより搬送される、荷物(P)が取り除かれた空の親子パレットPLcから、子パレットPLbのみを搬出コンベヤ36で外部へ搬出させ、その後、無人走行車Vを、親パレットPLaを載せた状態で係合装置(38)が保持している子パレットPLbの真下まで移動させるよう構成されている。
このような構成による搬送システム200によれば、荷物Pが工場に供給され、工場から戻ってきた無人走行車V上の親子パレットPLcから子パレットPLbのみを外部に搬出した後に、無人走行車Vが、空の親パレットPLaを近接した搬入コンベヤ30の係合装置(38)の真下に搬送する。したがって、親パレットPLaを親パレット保管部(48)に戻さずに済む分、無人走行車Vの移動時間や移動エネルギを節約することができる。
【0080】
また、無人走行車システムに適用された搬送システム200では、無人走行車VはリフタLFを備え、コントローラ50は、無人走行車VのリフタLFを作動させて親パレットPLaを上昇(搬送)させ、これにより、無人走行車V上で親子パレットPLcを形成するよう構成され、または、係合装置(38)は昇降可能であり、コントローラ50は、係合装置(38)の昇降装置を作動させて、係合装置(38)により保持されている子パレットPLbを下降(搬送)させ、これにより、無人走行車V上で親子パレットPLcを形成するよう構成されている。
このような構成による搬送システム200によれば、簡易な構成で、親子パレットPLcを形成することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、100、200 搬送システム
2 自動倉庫
4 ラック
6 スタッカクレーン(パレット搬送装置)
8 クレーン通路
10 スタッカクレーンのスライドフォーク(パレット搬送装置)
12 パレットマガジン(親パレット保管装置、親パレット保管部)
14、24 パワースライダ(パレット搬送装置、親子パレット積み重ね装置)
16 支柱
18、26 コントローラ
20 リフタステーション(パレット搬送装置、親子パレット積み重ね装置)
22 スライドフォーク(パレット搬送装置、親子パレット積み重ね装置)
30 搬入コンベヤ(パレット搬送装置)
32 子パレット積載ステーション(パレット搬送装置、係合装置)
34 子パレット取り外しステーション
36 搬出コンベヤ
38 パワースライダ(パレット搬送装置、係合装置)
40 支柱
42 パワースライダの爪部材
44 親パレットバッファステーション
46 親パレット段積みマガジン
48 親パレット段ばらしマガジン(親パレット保管装置、親パレット保管部)
50 コントローラ
A 無人走行車の走行エリア
P 荷物
PL パレット
PLa 親パレット
PLb 子パレット
PLc 親子パレット
V 無人走行車(パレット搬送装置)
L 無人走行車の走行ライン
LF 無人走行車のリフタ