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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157705
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231019BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231019BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G15/00 303
G03G15/08 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067781
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘文
【テーマコード(参考)】
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AA02
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077CA19
2H077DA08
2H077GA04
2H270KA13
2H270LA91
2H270LA99
2H270LB02
2H270LB08
2H270LD03
2H270LD10
2H270LD14
2H270LD15
2H270MA13
2H270MA40
2H270MB05
2H270MB06
2H270MB25
2H270MB28
2H270MB29
2H270MB32
2H270MB39
2H270MB41
2H270MB43
2H270MC33
2H270RA10
2H270RB01
2H270RC02
2H270RC03
2H270RC05
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC14
2H270RC16
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】適切に劣化トナー廃棄を実行し印刷される画像の品位を保つ。
【解決手段】画像形成装置1は、トナーにより画像を形成する画像形成部9と、主走査方向dmにおいて画像形成領域ARIを分割することによって形成された複数のエリアAR毎の印字率に基づく各エリア廃棄ドットカウント68を算出する廃棄ドットカウント算出部52と、エリアAR毎の各エリア廃棄ドットカウント増加量72と各エリア廃棄ドットカウント累計69とに基づいて、劣化トナー廃棄を実行する劣化トナー廃棄実行部53とを設ける。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤により画像を形成する画像形成部と、
主走査方向において画像形成領域を分割することによって形成された複数のエリア毎の印字率に基づくドットカウントを算出するドットカウント算出部と、
前記エリア毎の前記ドットカウントの増加量と前記ドットカウントの累積値とに基づいて、劣化トナー廃棄を実行する劣化トナー廃棄実行部と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記劣化トナー廃棄実行部は、
前記ドットカウントの累計値が所定の第1閾値に達した前記エリアは、前記エリア毎の前記ドットカウントの増加量に基づくことなく、前記劣化トナー廃棄を実行する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記劣化トナー廃棄実行部は、
前記ドットカウントの累計値が前記第1閾値に達していない場合、前記ドットカウントの増加量が所定の増加量閾値に達しており、且つ、前記ドットカウントの累積値が前記第1閾値よりも低い第2閾値に達している前記エリアは、前記劣化トナー廃棄を実行する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記劣化トナー廃棄実行部は、
前回の前記劣化トナー廃棄実行時から現在までの前記ドットカウントの増加量が前記増加量閾値に達しており、且つ、前記ドットカウントの累積値が前記第2閾値に達している前記エリアは、前記劣化トナー廃棄を実行する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ドットカウント算出部は、
前記画像形成領域全体の印字率に基づくドットカウントである全エリアドットカウントを算出し、
前記劣化トナー廃棄実行部は、
前記全エリアドットカウントの累計値が所定の全エリア閾値に達した場合、前記ドットカウントの増加量が前記増加量閾値に達しており、且つ、前記ドットカウントの累積値が前記第2閾値に達している前記エリアは、前記劣化トナー廃棄を実行する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記劣化トナー廃棄実行部は、
前記劣化トナー廃棄を実行すると判定した全ての前記エリアについて、互いに同じタイミングで前記劣化トナー廃棄を実行する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記劣化トナー廃棄実行部は、
前記画像形成部において感光ドラムへ劣化トナーを廃棄するよう制御する
請求項1に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、記録媒体に現像剤画像を転写して画像を形成する画像形成装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置においては、トナーを用いて印刷を繰り返すことで、印刷動作での印字画像に対し消費されるトナーの密度が十分でないことにより、トナーが高電圧に帯電した部材に長時間接触するため、画像形成ユニット内にある現像装置内に劣化トナーが発生する。この劣化トナーは画像の品位の低下を引き起こす要因であるため、画像形成装置は、現像装置内の劣化トナーを感光ドラムに吐き出し画像形成ユニット内の廃トナー回収容器に回収することにより、劣化トナー廃棄を行う(例えば、特許文献1参照)。また、印刷データの印字率が高い場合は、トナーが劣化する前に現像され劣化トナーが発生しにくいため、画像形成装置は、印刷データの印字率、すなわち印字で消費したトナー量に基づき、劣化トナー廃棄を実行することにより、劣化トナーの蓄積を防止する。ここで、印字率とは、1ページで見た場合、所定サイズの用紙の印刷可能ドット数に対する、印刷で使用されるドット数の比率である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-242394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置においては、条件によっては適切に劣化トナー廃棄が実行されず、印刷される画像の品位が保てない可能性があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、適切に劣化トナー廃棄を実行し印刷される画像の品位を保ち得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、現像剤により画像を形成する画像形成部と、主走査方向において画像形成領域を分割することによって形成された複数のエリア毎の印字率に基づくドットカウントを算出するドットカウント算出部と、エリア毎のドットカウントの増加量とドットカウントの累積値とに基づいて、劣化トナー廃棄を実行する劣化トナー廃棄実行部とを設けるようにした。
【0007】
これにより本発明は、今後劣化トナーが発生することが予想されるエリアの劣化トナー廃棄を予め行うことができ、実際に今後劣化トナーが発生したとしても、該エリアの画像の品位を保つことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切に劣化トナー廃棄を実行し印刷される画像の品位を保ち得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の全体構成を示す左側面図である。
図2】画像形成ユニットの構成を示す左側面図である。
図3】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図4】画像形成領域を示す図である。
図5】劣化トナー廃棄パターンを示す図である。
図6】エリアAR1のみの劣化トナー廃棄パターンを示す図である。
図7】印刷処理手順を示すフローチャートである。
図8】劣化トナー廃棄処理手順を示すフローチャートである。
図9】劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順を示すフローチャートである。
図10】劣化トナー廃棄処理手順及び劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順の説明に供する表(1)である。
図11】劣化トナー廃棄処理手順及び劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順の説明に供する表(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0011】
[1.画像形成装置の全体構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、カラー用電子写真式プリンタであり、紙葉状の媒体である用紙Pに対し所望のカラー画像を印刷する。この画像形成装置1は、略箱型の筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。画像形成装置1は、制御部40が全体を統轄制御する。また画像形成装置1は、コンピュータ装置等の上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部40は、この上位装置から印刷対象の画像を表す印刷ジョブが与えられると共に該印刷ジョブの印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0012】
筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する給紙カセット3が設けられている。給紙カセット3の前上方には、ピックアップローラ4が設けられている。ピックアップローラ4は、その下部を給紙カセット3内に収容された用紙Pの上面に当接させており、回転することにより、収容された用紙Pのうち上側の1枚を前方へ送り出す。
【0013】
筐体2内部には、用紙Pを搬送させる搬送路Wが形成されている。また筐体2内部には、複数の搬送ローラ5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g及び5h(以下ではまとめて搬送ローラ5とも呼ぶ)が設けられている。搬送ローラ5は、搬送路Wを挟んで互いに対向すると共に互いに当接する複数個のローラにより構成されており、それぞれ所定方向に回転することにより、搬送路W上にある用紙Pを搬送する。
【0014】
また筐体2内部には、複数個の媒体検知センサ6a、6b、6c、6d、6e、6f及び6g(以下ではまとめて媒体検知センサ6とも呼ぶ)が、搬送路Wに沿った複数箇所にそれぞれ設置されている。媒体検知センサ6は、搬送路Wにおける用紙Pの有無を検知して制御部40に通知する。これを基に制御部40は、搬送路Wの各媒体検知センサ6が設置された箇所における用紙Pの有無を認識すること、すなわち搬送路W上における用紙Pの位置を把握することができる。このため制御部40は、各媒体検知センサ6から得られる検知結果を基に、用紙Pの搬送や各モジュールの動作タイミング等を適宜制御しながら、該用紙Pにおける一方又は両方の紙面に対し、画像データに基づく画像を適切に印刷することができると共に、用紙搬送の遅れや紙詰まり等を検知できる。
【0015】
さらに筐体2内部には、温度湿度を測定する環境温度センサ7と、転写ベルト21(後述する)の温度を測定するベルトサーミスタ8とが設けられている。ベルトサーミスタ8により測定された温度は、筐体2内部の温度として使用される。
【0016】
また筐体2内には、用紙Pの表面に印刷対象のカラー画像を印刷するようにして印刷画像を形成するための画像形成部9が設けられている。画像形成部9は、印刷画像のそれぞれ異なる色成分であるブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)を表す静電潜像を現像剤としてのトナーを用いて現像して印刷データに対応するトナー画像を形成する4個の画像形成ユニット10(画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10C)が、筐体2内の上端部に、前側(上流側)から後側(下流側)へ順に並ぶように配設されている。
【0017】
画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cは、静電潜像の現像に用いるトナーの色が異なるだけで同一に構成されている。このため以下では、画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cをまとめて画像形成ユニット10として説明する。図2に示すように、画像形成ユニット10は、トナーカートリッジ18、プリントヘッド11及び現像装置19により構成されている。
【0018】
トナーカートリッジ18は、現像装置19の上側に配され、トナーを収容しており、現像装置19に対し着脱可能に構成されている。現像装置19は、供給ローラ12、現像ローラ13、感光ドラム14、帯電ローラ15、クリーニングブレード16及びドラム廃トナー回収容器17が設けられている。
【0019】
プリントヘッド11は、LED(Light Emitting Diode)ヘッドであり、感光ドラム14の上側に隣接するように設けられ、左右方向に沿って複数のLED素子が整列配置されており、制御部40の制御に基づき各LED素子を点灯又は消灯させる。このプリントヘッド11は、負の電圧である帯電バイアス電圧が印加され帯電された感光ドラム14の表面を、印刷データに基づいて露光して静電潜像を形成する。
【0020】
供給ローラ12は、負の電圧である供給バイアス電圧が印加され、トナーカートリッジ18に収容されたトナーを現像ローラ13側へ供給する。帯電ローラ15は、感光ドラム14の表面を一様に負の電圧に帯電させる。現像ローラ13は、負の電圧である現像バイアス電圧が印加され、トナーを帯電させ、感光ドラム14上に形成された静電潜像上に静電的に付着させて、一定層厚のトナー画像を形成する。感光ドラム14は、静電潜像を担持し、また該静電潜像をトナーによって現像して得られるトナー画像を担持する。
【0021】
クリーニングブレード16は、ウレタンゴム製のブレードであり、感光ドラム14の回転方向において転写ローラ22(後述する)との当接位置よりも下流側において感光ドラム14に当接することにより、転写後に感光ドラム14の表面に残ったトナーを除去する。ドラム廃トナー回収容器17は、印刷工程及び後述する劣化トナー廃棄において、感光ドラム14に残留した残トナー及び廃トナーを回収し貯蔵する容器である。このドラム廃トナー回収容器17は現像装置19と一体型となっており、ドラム廃トナー回収容器17が満杯になった場合、現像装置19の交換が必要となる。また感光ドラム14の寿命が到来した場合も、現像装置19の交換が必要となる。
【0022】
また画像形成部9(図1)には、画像形成ユニット10Kの下から画像形成ユニット10Cの下に亘って、画像形成ユニット10K、10Y、10M及び10Cにより形成されたトナー画像を用紙Pの表面に転写する転写ユニット20が配置されている。転写ユニット20は、転写ベルト21、転写ローラ22、ベルトクリーニングブレード23及びベルト廃トナー回収容器24により構成されている。
【0023】
転写ベルト21は、無端状のベルトであり、用紙Pを上面に載せて後方へ搬送する。転写ローラ22(図2)は、転写ベルト21の内側において、4個の感光ドラム14に対応して4個が画像形成ユニット10に対向して回転可能に設けられており、正の電圧である転写バイアス電圧が印加されている。これにより転写ユニット20は、印刷画像の形成時、転写ベルト21によって搬送される用紙Pを転写ローラ22の表面の上側部分と、対応する4個の感光ドラム14の表面の下側部分との間に順に挟み込みながら、該転写ローラ22への転写バイアス電圧の印加により4個の感光ドラム14の表面上のトナー画像を用紙Pの表面に転写する。
【0024】
ベルトクリーニングブレード23は、ウレタンゴム製のブレードであり、転写ベルト21に当接することにより、劣化トナー廃棄において転写ベルト21によって搬送された廃トナーを掻き取って除去する。ベルト廃トナー回収容器24は、ベルトクリーニングブレード23によって転写ベルト21から除去された廃トナーを回収し貯蔵する容器である。このベルト廃トナー回収容器24は転写ユニット20と一体型となっており、ベルト廃トナー回収容器24が満杯になった場合、転写ユニット20の交換が必要となる。また転写ベルト21の寿命が到来した場合も、転写ユニット20の交換が必要となる。
【0025】
かかる構成において、画像形成ユニット10は、トナーカートリッジ18から現像装置19へトナーを供給する。続いて画像形成ユニット10は、感光ドラム14を回転させながら、帯電ローラ15により該感光ドラム14の表面を一様に帯電させ、プリントヘッド11により該感光ドラム14の表面を印刷データに基づいて露光して静電潜像を形成する。続いて画像形成ユニット10は、現像バイアス電圧を現像ローラ13に印加することにより、感光ドラム14上に形成された静電潜像上に、供給ローラ12により供給されたトナーを静電的に付着させてトナー画像を形成する。さらに画像形成ユニット10は、転写ベルト21によって搬送される用紙Pを転写ローラ22と感光ドラム14との間に挟み込み、感光ドラム14の表面上のトナー画像を用紙Pの表面に転写する。このようにして転写ユニット20は、用紙Pの表面に4色分のトナー画像を転写して、該トナー画像を転写した用紙Pを定着ユニット26に引き渡す。
【0026】
画像形成部9には、転写ユニット20の後方に、トナー画像を用紙Pの表面に定着させる定着ユニット26が配置されている。定着ユニット26は、上下方向のほぼ中央部に用紙Pを通すための用紙通路が形成されている。また定着ユニット26は、用紙通路の上側に回転可能に設けられた加熱ローラ27と、用紙通路の下側に回転可能に設けられた加圧ローラ28とを有している。これにより定着ユニット26は、印刷画像の形成時、転写ユニット20から表面にトナー画像が転写された用紙Pを用紙通路内に取り込んで、互いに逆回転している加熱ローラ27及び加圧ローラ28の間に挟み込む。そして定着ユニット26は、その用紙Pを、互いに逆回転している加熱ローラ27と加圧ローラ28との間で加熱しながら加圧することにより、該用紙Pの表面にトナー画像を定着させる。定着ユニット26は、用紙Pの表面に4色分のトナー画像を定着させて印刷画像を形成し、該印刷画像を形成した用紙Pを、上方の排出ユニット30又は下方の両面印刷ユニット31に受け渡す。
【0027】
かかる構成において画像形成装置1は、給紙カセット3に収められた用紙Pを搬送ローラ5a、5b及び5cにより画像形成部9に搬送する。画像形成部9は、転写ベルト21により用紙Pを搬送しながら、画像形成ユニット10により用紙P上にトナーを転写する。用紙Pは、転写ベルト21により定着ユニット26に搬送される。定着ユニット26は、用紙Pが通過する際、該用紙P上に載ったトナーを高温により用紙Pに定着させる。用紙Pは、搬送方向が切り替えられ、排出ユニット30へ搬送された後に媒体集積トレイ32へ排出されるか、又は両面印刷ユニット31へ搬送される。両面印刷ユニット31へ搬送された用紙Pは、画像形成部9へ再度搬送され用紙反対面の画像形成が行われ、定着ユニット26を再度通過した後に媒体集積トレイ32へ排出される。
【0028】
ところで、図4に示すように、画像形成装置1においては、主走査方向dm(左右方向)と、該主走査方向dmに直交する副走査方向ds(前後方向)とにおいて、所定の範囲に亘り、印刷結果において1ページ分の画像が形成可能な領域である画像形成領域ARIが設定されている。この画像形成領域ARIは、主走査方向dmの範囲が、プリントヘッド11の右端のLED素子から左端のLED素子までの範囲(以下では全エリアとも呼ぶ)と対応している。また、画像形成領域ARIが主走査方向dmに関し等間隔に例えば6分割された場合、分割されたそれぞれの領域を、エリアAR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6(以下ではまとめてエリアARとも呼ぶ)とする。
【0029】
[2.画像形成装置の制御構成]
図3に示すように、画像形成装置1は、制御部40、記憶部42、表示部44、入力部46、画像形成部9及び通信部48により構成されており、制御部40が画像形成装置1全体を統轄制御する。
【0030】
[2-1.制御部の構成]
制御部40は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、記憶部42のプログラム格納部81から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して種々の処理を行う。また制御部40は、印刷管理部50、劣化トナー廃棄実行チェック部51、廃棄ドットカウント算出部52、劣化トナー廃棄実行部53、廃棄ドットカウント更新部54及び廃棄ドットカウント管理部55を有している。
【0031】
印刷管理部50は、外部から印刷指示を受信すると、劣化トナー廃棄実行チェック部51に対し後述する劣化トナー廃棄処理を指示してから、印刷を実行し、その後、廃棄ドットカウント算出部52に対し廃棄ドットカウント算出を指示する。
【0032】
劣化トナー廃棄実行チェック部51は、後述する劣化トナー廃棄処理を実行することにより、各エリアARでの劣化トナー廃棄の実行要否を決定し、劣化トナー廃棄を実行すると決定したエリアARについての劣化トナー廃棄実行を劣化トナー廃棄実行部53に指示する。
【0033】
廃棄ドットカウント算出部52は、後述する全エリア廃棄ドットカウント64を算出し、該全エリア廃棄ドットカウント64を全エリア廃棄ドットカウント累計65に加算することにより、全エリア廃棄ドットカウント累計65を更新する。また廃棄ドットカウント算出部52は、後述する各エリア廃棄ドットカウント68を算出し、該各エリア廃棄ドットカウント68を各エリア廃棄ドットカウント累計69に加算することにより、各エリア廃棄ドットカウント累計69を更新する。
【0034】
劣化トナー廃棄実行部53は、廃棄ドットカウント算出部52により算出された全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83に達した場合において、劣化トナー廃棄実行チェック部51により指示されたエリアARの劣化トナー廃棄である各エリア劣化トナー廃棄を実行する。具体的に、劣化トナー廃棄実行部53は、帯電ローラ15によって帯電された感光ドラム14の表面に、例えば図6に示すような劣化トナー廃棄パターンPtdの静電潜像を形成するようなLED光をプリントヘッド11に指示する。図6は、エリアAR1においてのみ劣化トナー廃棄が実行される場合の劣化トナー廃棄パターンPtdである各エリア劣化トナー廃棄パターンPtd1を示している。各エリア劣化トナー廃棄パターンPtd1は、主走査方向dmに1、0、1、0……と繰り返す印字率(印刷Duty)が50[%]の静電潜像パターンが、主走査方向dmに関しエリアAR1においてのみ形成された状態となっている。すなわち、各エリア劣化トナー廃棄パターンPtd1における主走査方向dmの範囲は、画像形成領域ARIにおけるエリアAR1の主走査方向dmの範囲と同一となっている。このように、各エリア劣化トナー廃棄においては、画像形成領域ARIにおける選択されたエリアAR内の主走査方向dmの範囲に亘って劣化トナー廃棄パターンPtdが形成される。以下では、各エリア劣化トナー廃棄を、単に劣化トナー廃棄とも呼ぶ。
【0035】
ここで、印字率とは、用紙Pの1ページで見た場合、画像形成領域ARIにベタ画像が形成されるときの面積に対する実際に用紙Pに形成された画像の面積の比率であり、1つの印刷ジョブで見た場合、1つの印刷ジョブに含まれる全てのページの印字率の平均値である。換言すれば印字率とは、1ページで見た場合、用紙Pにおける所定面積内の領域の全面にドットが形成されたときの状態を100[%]とした場合における、用紙Pにおける所定面積内の領域の全面にドットが形成された場合に対する、実際に印刷されたドットのカウント値の割合である。このため、各エリアARにおける1つの印刷ジョブの印字率とは、1つの印刷ジョブに含まれる全てのページの各エリアの印字率の平均値である。
【0036】
廃棄ドットカウント更新部54は、劣化トナー廃棄が実行されると、各エリア廃棄ドットカウント累計69から、今回劣化トナー廃棄で使用した分の各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85を減算することにより、劣化トナー廃棄を実行したエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69を更新する。
【0037】
廃棄ドットカウント管理部55は、劣化トナー廃棄実行直後の全てのエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69を各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71に保持する。
【0038】
[2-2.記憶部の構成]
記憶部42は、RAM(Random Access Memory)60、ROM(Read Only Memory)80、及びフラッシュメモリ(図示せず)を有している。
【0039】
[2-2-1.RAMの構成]
RAM60は、全エリアドットカウント61、印刷時ドラムカウント進み62、全エリア廃棄閾値ドットカウント63、全エリア廃棄ドットカウント64、全エリア廃棄ドットカウント累計65、各エリアドットカウント66、各エリア廃棄閾値ドットカウント67、各エリア廃棄ドットカウント68、各エリア廃棄ドットカウント累計69、各エリア廃棄実行フラグ70、各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71及び各エリア廃棄ドットカウント増加量72を有している。
【0040】
全エリアドットカウント61は、印刷による画像形成ユニット10毎の全エリアARにおけるドットカウントを示している。ドットカウントは、プリントヘッド11でドットが形成される際のドットの点灯数(画素数)である。換言すれば、ドットカウントとは、トナー量を、プリントヘッド11による露光単位であるドット単位の値に換算したものである。
【0041】
印刷時ドラムカウント進み62は、印刷による画像形成ユニット10毎のドラムカウントの進みを示している。ドラムカウントは、感光ドラム14の回転数(印刷距離)の測定値である。換言すればドラムカウントは、画像形成ユニット10毎の感光ドラム14の使用カウントである。このドラムカウントは、例えば、A4用紙が3枚連続して印刷された場合のドラム回転量を3分の1した値が1カウントとされる。
【0042】
全エリア廃棄閾値ドットカウント63は、画像形成ユニット10毎の全エリアARにおける廃棄閾値(全エリア劣化トナー廃棄スライス値82)におけるドットカウントを示している。全エリアドットカウントとしての全エリア廃棄ドットカウント64は、全エリアARにおける、劣化トナーの溜まり具合を示す、廃棄ドットカウントを示している。この全エリア廃棄ドットカウント64は、印刷毎に累計値である全エリア廃棄ドットカウント累計65に加算される。全エリア廃棄ドットカウント累計65は、全エリア廃棄ドットカウント64の累計値を示しており、印刷毎に全エリア廃棄ドットカウント64が加算される。
【0043】
各エリアドットカウント66は、印刷による画像形成ユニット10毎の各エリアARにおけるドットカウントを示している。各エリア廃棄閾値ドットカウント67は、各エリアARにおける廃棄閾値(各エリア劣化トナー廃棄スライス値84)におけるドットカウントを示している。各エリア廃棄ドットカウント68は、各エリアARにおける廃棄ドットカウントを示している。この各エリア廃棄ドットカウント68は、印刷毎に累計値である各エリア廃棄ドットカウント累計69に加算される。各エリア廃棄ドットカウント累計69は、各エリア廃棄ドットカウント68の累計値を示しており、印刷毎に各エリアARの各エリア廃棄ドットカウント68が加算される。
【0044】
各エリア廃棄実行フラグ70は、画像形成ユニット10毎の各エリアARにおける劣化トナー廃棄実行フラグを示している。この各エリア廃棄実行フラグ70は、初期値がOFFであり、劣化トナー廃棄が実行されるエリアARの各エリア廃棄実行フラグ70がONに変更されると共に、劣化トナー廃棄が実行された該エリアARの各エリア廃棄実行フラグ70がOFFに戻される。
【0045】
各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は、画像形成ユニット10毎の各エリアARにおける劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウントを示している。この各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は、劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが行われた直後の各エリア廃棄ドットカウント累計69の値が格納される。
【0046】
各エリア廃棄ドットカウント増加量72は、画像形成ユニット10毎の各エリアARにおける、現在の各エリア廃棄ドットカウント累計69から各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71が減算された値を示している。このため各エリア廃棄ドットカウント増加量72は、各エリアARにおける、前回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック直後から今回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック直前までの、各エリア廃棄ドットカウント累計69の増加量を示している。
【0047】
[2-2-2.ROMの構成]
ROM80は、プログラム格納部81の他に、全エリア劣化トナー廃棄スライス値82、全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83、各エリア劣化トナー廃棄スライス値84、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87を有している。
【0048】
全エリア劣化トナー廃棄スライス値82は、全エリアARにおける劣化トナー廃棄スライス値を示しており、後述する全エリア廃棄ドットカウント64を算出する際に劣化トナーを判定するための閾値として用いられる。またこの全エリア劣化トナー廃棄スライス値82は、ドラムカウントあたりの印刷Duty[%]を表す。
【0049】
全エリア閾値としての全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83は、全エリアARにおける劣化トナー廃棄実行ドットカウントを示しており、劣化トナー廃棄が実行されるか否かが判定される際の閾値として用いられる。具体的に、全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83に達するまでは劣化トナー廃棄は実行されず、全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83に達すると、劣化トナー廃棄実行チェック部51から指示されたエリアARの劣化トナー廃棄が廃棄ドットカウント算出部52により実行される。
【0050】
各エリア劣化トナー廃棄スライス値84は、各エリアARにおける劣化トナー廃棄スライス値を示しており、各エリア廃棄ドットカウント68が算出される際に劣化トナーを判定するための閾値として用いられる。またこの各エリア劣化トナー廃棄スライス値84は、ドラムカウントあたりの印刷Duty[%]を表す。
【0051】
各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85は、各エリアARにおける劣化トナー廃棄実行ドットカウントを示しており、各エリアARの劣化トナー廃棄が実行されるか否かが判定される際の閾値として用いられる。具体的に、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に達したエリアARの劣化トナー廃棄が実行される。
【0052】
廃棄ドットカウント増加量割合閾値86は、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に加えて、各エリアARの劣化トナー廃棄が実行されるか否かが判定される際の閾値として用いられる。具体的に、あるエリアARにおいて各エリア廃棄ドットカウント累計69<各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85である場合に、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の廃棄ドットカウント増加量割合閾値86の割合分未満である(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント増加量72/各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85<廃棄ドットカウント増加量割合閾値86である)場合、該エリアARの劣化トナー廃棄は実行されない。本実施の形態において廃棄ドットカウント増加量割合閾値86は、例えば40[%]に設定されている。
【0053】
廃棄ドットカウント累積割合閾値87は、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85と廃棄ドットカウント増加量割合閾値86とに加えて、各エリアARの劣化トナー廃棄が実行されるか否かが判定される際の閾値として用いられる。具体的に、あるエリアARにおいて各エリア廃棄ドットカウント累計69<各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85である場合に、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の廃棄ドットカウント累積割合閾値87の割合分未満である(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント累計69/各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85<廃棄ドットカウント累積割合閾値87である)場合、該エリアARの劣化トナー廃棄は実行されない。本実施の形態において廃棄ドットカウント累積割合閾値87は、例えば85[%]に設定されている。
【0054】
画像形成装置1は、あるエリアARにおける各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に達していない状態であっても、該エリアARにおいて、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の廃棄ドットカウント増加量割合閾値86の割合分以上(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント増加量72≧(各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の40[%]))であり、且つ、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の廃棄ドットカウント累積割合閾値87の割合分以上(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント累計69≧(各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の85[%]))であった場合、該エリアARの劣化トナー廃棄を実行する。
【0055】
[2-3.表示部、入力部、画像形成部及び通信部の構成]
表示部44は、例えば液晶表示パネルからなり、画像形成装置1の状態を表示する。入力部46は、例えばタッチセンサや操作キーボードからなり、使用者の入力操作を検知する。
【0056】
画像形成部9は、主に、トナーカートリッジ18、感光ドラム14、帯電ローラ15、プリントヘッド11、供給ローラ12、現像ローラ13、クリーニングブレード16、転写ローラ22及び定着ユニット26を有している。
【0057】
通信部48は、有線LAN(Local Area Network)方式又は無線LAN方式の無線ネットワーク通信を実行するインターフェイスであり、外部とデータの送受信等の通信を行う。
【0058】
[3.劣化トナー廃棄]
ここで、劣化トナー廃棄について説明する。画像形成ユニット10は、供給ローラ12及び現像ローラ13に負の電圧を印加させることにより、トナーカートリッジ18から供給されたトナーを感光ドラム14に移動させるが、一度電荷を受けたトナーは時間が経つにつれて劣化してしまう。また、高Duty印刷(すなわち用紙P全体の印字率が高い印刷)が多い場合、一度電荷を受けたトナーは速やかに印刷に使用されるため、トナーが劣化する前に使用される可能性が高い。一方、低Duty印刷(すなわち用紙P全体の印字率が低い印刷)が多い場合、一度電荷を受けたトナーが印刷に使用されるまでに時間がかかり、劣化してしまう可能性が高くなる。
【0059】
[3-1.全エリア劣化トナー廃棄]
まず、全エリア劣化トナー廃棄について説明する。本実施の形態においては、劣化トナー廃棄として全エリア劣化トナー廃棄は実際には実行されず、後述する各エリア劣化トナー廃棄が実行される。
【0060】
例えば、印刷Dutyが5[%]でA4用紙に印刷された場合のドットカウントを792ドットカウント(6,488,064ドット/8192)とする。この6,488,064ドットは、印刷Dutyが5[%]でA4用紙に印刷された場合の実際のドットカウントである。また8192は、2の13乗である。本実施の形態においては、実際のドットカウントを2の13乗で除算することにより、ドットカウントの値を792と小さくしている。
【0061】
そして、全エリア劣化トナー廃棄スライス値82をSとする。例えば、Aという印刷における全エリアドットカウント61をDとし、Aという印刷における印刷時ドラムカウント進み62をOとすると、廃棄ドットカウント算出部52は、Aという印刷における廃棄閾値(全エリア劣化トナー廃棄スライス値82)におけるドットカウント(全エリア廃棄閾値ドットカウント63)であるSL[%]を、SL[%]=792/5*S*Oの計算により算出可能である。
【0062】
これより、廃棄ドットカウント算出部52は、Aという印刷における全エリアARの廃棄ドットカウント(全エリア廃棄ドットカウント64)であるWLを、WL=SL[%]-Dの計算により算出可能である。
【0063】
例をあげると、
・全エリア劣化トナー廃棄スライス値82:S=1.5[%]
・Aという印刷での全エリアドットカウント61:D=95.04
・Aという印刷での印刷時ドラムカウント進み62:O=2
である場合、SL[%]=792/5*1.5*2=475.2となり、WL=475.2-95.04=380.16となる。
【0064】
つまり、このAという印刷における全エリア廃棄ドットカウント64は、380.16ドットカウントとなる。この全エリア廃棄ドットカウント64は、印刷毎に累計値である全エリア廃棄ドットカウント累計65に加算される。このため、全エリア廃棄閾値ドットカウント63に対して、Aという印刷での全エリアドットカウント61が大きければ、全エリア廃棄ドットカウント64はマイナスの値となり、全エリア廃棄ドットカウント累計65の値は小さくなる。一方、全エリア廃棄閾値ドットカウント63に対して、Aという印刷での全エリアドットカウント61が小さければ、全エリア廃棄ドットカウント64はプラスの値となり、全エリア廃棄ドットカウント累計65の値は大きくなる。
【0065】
また、全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83を、831ドットカウント(6,809,088ドット/8192の小数点第一位四捨五入)とする。この6,809,088ドットは、図5に示す劣化トナー廃棄パターンPtdのドットカウントである4992(dot)*1364(line)である。また8192は、2の13乗である。本実施の形態においては、上述したように、実際のドットカウントを2の13乗で除算することにより、ドットカウントの値を831と小さくしている。
【0066】
ここでは、全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83の831ドットカウントを全エリア劣化トナー廃棄の1単位とする。印刷前のタイミング等で劣化トナー廃棄実行チェック部51は、全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83に達しているか否かをチェックする。本実施の形態では全エリア劣化トナー廃棄は実行されないものの、仮に実行される場合は、もし全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83に達している場合、劣化トナー廃棄実行部53は、831ドットカウント分の全エリア劣化トナー廃棄を実行する。ここでは、図5に示したような、全てのエリアARに亘って感光ドラム14の主走査方向dmに1、0、1、0……と繰り返す印字率が50[%]の静電潜像パターンとする。
【0067】
[3-2.各エリア劣化トナー廃棄]
次に、各エリア劣化トナー廃棄について説明する。エリアARの分割数をnとし、各エリアARでの劣化トナーを判定するための閾値である各エリア劣化トナー廃棄スライス値84をS'とする。例えば、Aという印刷における各エリアドットカウント66をD'とし、Aという印刷における印刷時ドラムカウント進み62をOとすると、廃棄ドットカウント算出部52は、Aという印刷における廃棄閾値(各エリア劣化トナー廃棄スライス値84)におけるドットカウント(各エリア廃棄閾値ドットカウント67)であるSL[%]'を、SL[%]'=(792/5)/n*S'*Oの計算により算出可能である。
【0068】
これより、廃棄ドットカウント算出部52は、Aという印刷における各エリアARの廃棄ドットカウント(各エリア廃棄ドットカウント68)であるWL'を、WL'=SL[%]'-D'の計算により算出可能である。
【0069】
例をあげると、
・分割数:n=6(エリアAR1~エリアAR6)
・エリアAR1における各エリア劣化トナー廃棄スライス値84:S'=1.5[%]
・Aという印刷でのエリアAR1における各エリアドットカウント66:D'=15
・Aという印刷での印刷時ドラムカウント進み62:O=2
である場合、SL[%]'=792/5/6*1.5*2=79.2となり、WL'=79.2-15=64.2となる。
【0070】
つまり、このAという印刷における6分割されたエリアARの内のエリアAR1における各エリア廃棄ドットカウント68は、64.2ドットカウントとなる。この各エリア廃棄ドットカウント68は、印刷毎に累計値である各エリア廃棄ドットカウント累計69に加算される。上述した処理を各エリアAR分実施する。
【0071】
また、各エリアARでの各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85を、6,809,088ドット/8192/nとする。エリアARの分割数が6の場合は、nに6を代入し、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85を、138.5ドットカウント(6,809,088ドット/8192/6の小数点第二位四捨五入)とする。6,809,088ドット及び8192については上述した内容と同様である。
【0072】
ここでは、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウントを6分割時の劣化トナー廃棄の1単位とする。エリアAR1のみ劣化トナー廃棄を実行する場合、劣化トナー廃棄実行部53は、エリアAR1において138.5ドットカウント分の各エリア劣化トナー廃棄を実行する。ここでは、図6に示したような、感光ドラム14の主走査方向dmにおける、エリアAR1のみの範囲において、1、0、1、0……と繰り返す印字率が50[%]の静電潜像パターンとする。
【0073】
[4.印刷処理]
次に、制御部40による印刷処理の具体的な処理手順について、図7図8及び図9に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。画像形成装置1の電源が投入されると、制御部40は、記憶部42から印刷処理プログラムを読み出して実行することにより、印刷処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。ステップSP1において制御部40は、印刷管理部50により外部から印刷ジョブと共に印刷指示を受信し、ステップSP2へ移る。ステップSP2において制御部40は、印刷管理部50から劣化トナー廃棄実行チェック部51に対し、後述する劣化トナー廃棄処理を指示し、図8に示す劣化トナー廃棄処理手順SRT1を経て、劣化トナー廃棄が必要なエリアARに劣化トナー廃棄を実行し、ステップSP3へ移る。ステップSP3において制御部40は、印刷管理部50により印刷を開始し、ステップSP4へ移り、印刷管理部50により印刷を終了すると、ステップSP5へ移る。
【0074】
ステップSP5において制御部40は、印刷管理部50から廃棄ドットカウント算出部52に対し、画像形成ユニット10毎の今回の印刷における全エリアドットカウント61、各エリアドットカウント66及び印刷時ドラムカウント進み62を送出すると共に、廃棄ドットカウント算出の指示を出し、ステップSP6へ移り印刷処理手順RT1を終了する。
【0075】
廃棄ドットカウント算出部52は、全エリアドットカウント61及び印刷時ドラムカウント進み62に基づき、上述した全エリア劣化トナー廃棄における計算を行って全エリア廃棄ドットカウント64を算出し、該全エリア廃棄ドットカウント64を全エリア廃棄ドットカウント累計65に加算することにより、全エリア廃棄ドットカウント累計65を更新する。
【0076】
また同様に、廃棄ドットカウント算出部52は、各エリアドットカウント66及び印刷時ドラムカウント進み62に基づき、上述した各エリア劣化トナー廃棄における計算を行って各エリア廃棄ドットカウント68を算出し、該各エリア廃棄ドットカウント68を各エリア廃棄ドットカウント累計69に加算することにより、各エリア廃棄ドットカウント累計69を更新する。
【0077】
[4-1.劣化トナー廃棄処理]
次に、制御部40による劣化トナー廃棄処理の具体的な処理手順について、図8に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。制御部40は、印刷処理手順RT1(図7)におけるステップSP2において図8に示す劣化トナー廃棄処理手順SRT1を開始し、ステップSP11へ移る。ステップSP11において制御部40は、全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83以上である(すなわち、全エリア廃棄ドットカウント累計65≧全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83)か否かを画像形成ユニット10毎に劣化トナー廃棄実行チェック部51により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83未満であり1単位分までは溜まっていないため、劣化トナー廃棄を実行しないことを表し、このとき制御部40はステップSP16へ移り劣化トナー廃棄処理手順SRT1を終了し、印刷処理手順RT1(図7)におけるステップSP3へ移る。
【0078】
一方、ステップSP11において肯定結果が得られると、このことは、全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83以上であり1単位分は溜まっているため、劣化トナー廃棄が必要なエリアARに対し劣化トナー廃棄を実行する必要があることを表し、このとき制御部40はステップSP12へ移り、図9に示す劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2を経て、前回の劣化トナー廃棄時からの各エリア廃棄ドットカウント累計69の履歴のチェック処理を行うことにより、各エリアARでの劣化トナー廃棄の実行要否を決定し、ステップSP13へ移る。制御部40は、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2を実行することにより、劣化トナー廃棄を実行するエリアARの各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。ステップSP13において制御部40は、劣化トナー廃棄実行チェック部51から劣化トナー廃棄実行部53に対し、各エリア廃棄実行フラグ70がONの全てのエリアARについての劣化トナー廃棄を互いに同じタイミングで実行するように指示し、劣化トナー廃棄が完了すると、劣化トナー廃棄を実行したエリアARの各エリア廃棄実行フラグ70をOFFにし、ステップSP14へ移る。ここで、例えばエリアAR1のみ劣化トナー廃棄を実行する場合、画像形成装置1は、感光ドラム14の表面に図6に示すような劣化トナー廃棄パターンPtdの静電潜像を形成するようなLED光をプリントヘッド11から照射する。
【0079】
ステップSP14において制御部40は、廃棄ドットカウント更新部54により、各エリア廃棄ドットカウント累計69から、今回劣化トナー廃棄で使用した分の各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85を減算することにより、劣化トナー廃棄を実行したエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69を更新し、ステップSP15へ移る。
【0080】
ステップSP15において制御部40は、廃棄ドットカウント管理部55により、劣化トナー廃棄実行直後(すなわち劣化トナー廃棄の実行要否のチェック直後)の全てのエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69を各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71に保持し、ステップSP16へ移り劣化トナー廃棄処理手順SRT1を終了し、印刷処理手順RT1(図7)におけるステップSP3へ移る。この各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は、後述する劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)において使用される。
【0081】
[4-2.劣化トナー廃棄実行要否判定処理]
次に、制御部40による劣化トナー廃棄実行要否判定処理の具体的な処理手順について、図9に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。制御部40は、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)におけるステップSP12において図9に示す劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0082】
ステップSP21において制御部40は、画像形成ユニット10毎の全てのエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが完了したか否かを劣化トナー廃棄実行チェック部51により判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、全てのエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックは完了していないため、引き続きエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックを続行することを表し、このとき制御部40はステップSP22へ移る。
【0083】
ステップSP22において制御部40は、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85以上である(すなわち、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69>各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85である)か否かを画像形成ユニット10毎に劣化トナー廃棄実行チェック部51により判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85以上であり1単位分は溜まっているため、現在チェック中のエリアARは劣化トナー廃棄を実行する必要があることを表し、このとき制御部40はステップSP23へ移る。ステップSP23において制御部40は、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄実行フラグ70を劣化トナー廃棄実行チェック部51によりONにし、ステップSP21へ戻り、全てのエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが完了するまで上述した処理を繰り返す。
【0084】
一方、ステップSP22において否定結果が得られると、このことは、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85未満であり1単位分までは溜まっていないものの、現在チェック中のエリアARでの廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87を考慮した劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする必要があることを表し、このとき制御部40はステップSP24へ移る。ステップSP24において制御部40は、劣化トナー廃棄実行チェック部51により、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69から、現在チェック中のエリアARの各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71を減算し(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント累計69-各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71を計算し)、この差分を各エリア廃棄ドットカウント増加量72に格納し、ステップSP25へ移る。各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は、劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが前回行われた直後の時点における各エリア廃棄ドットカウント累計69である。このため、ステップSP24において劣化トナー廃棄実行チェック部51は、前回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック直後から今回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック時までの、各エリア廃棄ドットカウント累計69の増加量を算出することとなる。
【0085】
ステップSP25において制御部40は、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85(すなわち1単位分)の廃棄ドットカウント増加量割合閾値86(40[%])以上である(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント増加量72≧(各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の40[%]))か否かを画像形成ユニット10毎に劣化トナー廃棄実行チェック部51により判定する。ここで否定結果が得られると、各エリア廃棄ドットカウント増加量72は少ないため現在チェック中のエリアARの劣化トナー廃棄を実行する必要はないと判断し、このとき制御部40は、現在チェック中のエリアARにおける劣化トナー廃棄の実行要否のチェックを終了し、ステップSP21へ戻り、全てのエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが完了するまで上述した処理を繰り返す。
【0086】
一方、ステップSP25において肯定結果が得られると、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が多いため現在チェック中のエリアARの劣化トナー廃棄を実行する必要がある可能性があると判断し、このとき制御部40は、ステップSP26へ移る。ステップSP26において制御部40は、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85(すなわち1単位分)の廃棄ドットカウント累積割合閾値87(85[%])以上である(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント累計69≧(各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の85[%]))か否かを画像形成ユニット10毎に劣化トナー廃棄実行チェック部51により判定する。ここで否定結果が得られると、各エリア廃棄ドットカウント増加量72は多かったものの、まだ各エリア廃棄ドットカウント累計69は少ない(すなわち、現在チェック中のエリアARは廃棄ドットカウントが多くは溜まっていない状態である)ため現在チェック中のエリアARの劣化トナー廃棄を実行する必要はないと判断し、このとき制御部40は、現在チェック中のエリアARにおける劣化トナー廃棄の実行要否のチェックを終了し、ステップSP21へ戻り、全てのエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが完了するまで上述した処理を繰り返す。
【0087】
一方、ステップSP26において肯定結果が得られると、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が多く、且つ、各エリア廃棄ドットカウント累計69が多い(すなわち、現在チェック中のエリアARは廃棄ドットカウントが多く溜まっている状態である)ため、現在チェック中のエリアARの劣化トナー廃棄を実行する必要があると判断し、このとき制御部40は、ステップSP27へ移る。ステップSP27において制御部40は、現在チェック中のエリアARの各エリア廃棄実行フラグ70を劣化トナー廃棄実行チェック部51によりONにし、ステップSP21へ戻り、全てのエリアARの劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが完了するまで上述した処理を繰り返す。
【0088】
全てのエリアARにおいて劣化トナー廃棄の実行要否のチェックが完了すると、制御部40は、ステップSP21において肯定結果を得て、ステップSP28へ移り、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2を終了し、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)におけるステップSP13へ移る。
【0089】
[4-3.処理の具体的な流れ]
次に、上述した劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)及び劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)の処理の具体的な流れについて、図10及び図11を用いて説明する。この例は、1回の印刷において全エリア廃棄ドットカウント64が157.6ドットカウントずつ溜まる例である。またこの例は、各エリアARを詳細に見ると、1回の印刷において、各エリア廃棄ドットカウント68については、エリアAR1及びAR6は31ドットカウントずつ、エリアAR2、AR3及びAR4は27ドットカウントずつ、エリアAR5は14.6ドットカウントずつ溜まる例である。
【0090】
[4-3-1.6回目の印刷前]
1回目の印刷から印刷が繰り返されていくと、6回目の印刷前では、全エリア廃棄ドットカウント累計65は788ドットカウントであり全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83未満である(1単位分831ドットカウント溜まっていない)ため、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)におけるステップSP11において制御部40は否定結果を得る。
【0091】
[4-3-2.7回目の印刷前]
7回目の印刷前では全エリア廃棄ドットカウント累計65は945.6ドットカウントであり全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83(831ドットカウント)以上であるため、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)におけるステップSP11において制御部40は肯定結果を得て、ステップSP12へ移り、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)を開始する。
【0092】
まず制御部40は、エリアAR1の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR1の各エリア廃棄ドットカウント累計69は186ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント以上で1単位分溜まっているため、制御部40は、ステップSP22において肯定結果を得て、ステップSP23へ移り、エリアAR1の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。
【0093】
次に制御部40は、エリアAR2の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR2の各エリア廃棄ドットカウント累計69は162ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント以上で1単位分溜まっているため、制御部40は、ステップSP22において肯定結果を得て、ステップSP23へ移り、エリアAR2の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。エリアAR3及びAR4は、エリアAR2と各エリア廃棄ドットカウント累計69が同じであるため説明を省略する。
【0094】
次に制御部40は、エリアAR5の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR5の各エリア廃棄ドットカウント累計69は87.6ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント未満で1単位分溜まっていないため、制御部40は、ステップSP22において否定結果を得て、エリアAR5の各エリア廃棄実行フラグ70をOFFにしたままステップSP24へ移る。
【0095】
図11(A)に示すように、エリアAR5における現在の各エリア廃棄ドットカウント累計69は87.6ドットカウントであり、エリアAR5における各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は初期値の0であるため、ステップSP24において制御部40は、算出した差分である87.6-0=87.6ドットカウントを、エリアAR5における各エリア廃棄ドットカウント増加量72に格納する。
【0096】
ステップSP25において制御部40は、エリアAR5における各エリア廃棄ドットカウント増加量72をチェックする。ここでは、各エリア廃棄ドットカウント増加量72≧(各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の廃棄ドットカウント増加量割合閾値86(40[%]))である場合(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント増加量72/各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85≧廃棄ドットカウント増加量割合閾値86(40[%])である場合)、制御部40はステップSP25において肯定結果を得る。この結果、87.6/138.5=0.6324……≒63[%]であり、40[%]以上となっているため、制御部40はステップSP25において肯定結果を得て、ステップSP26へ移り、エリアAR5における各エリア廃棄ドットカウント累計69をチェックする。
【0097】
ここでは、各エリア廃棄ドットカウント累計69≧(各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の廃棄ドットカウント累積割合閾値87(85[%]))である場合(すなわち、各エリア廃棄ドットカウント累計69/各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85≧廃棄ドットカウント累積割合閾値87(85[%])である場合)、制御部40はステップSP26において肯定結果を得る。この結果、87.6/138.5=0.6324……≒63[%]であり、85[%]以上となっていないため、制御部40はステップSP26において否定結果を得る。このため制御部40は、エリアAR5の各エリア廃棄実行フラグ70はONにせずOFFのままにする。
【0098】
エリアAR6は、エリアAR1と各エリア廃棄ドットカウント累計69が同じであるため説明を省略する。この結果、制御部40は、7回目の印刷前にはエリアAR1、AR2、AR3、AR4及びAR6について劣化トナー廃棄を実行する。
【0099】
[4-3-3.11回目の印刷前]
続いて、印刷が繰り返されていくと、11回目の印刷前で、全エリア廃棄ドットカウント累計65が883.5ドットカウントとなり再度全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83(831ドットカウント)以上となったため、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)におけるステップSP11において制御部40は肯定結果を得て、ステップSP12へ移り、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)を開始する。
【0100】
まず制御部40は、エリアAR1の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR1の各エリア廃棄ドットカウント累計69は171.5ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント以上で1単位分溜まっているため、制御部40は、ステップSP22において肯定結果を得て、ステップSP23へ移り、エリアAR1の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。
【0101】
次に制御部40は、エリアAR2の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR2の各エリア廃棄ドットカウント累計69は131.5ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント未満で1単位分溜まっていないため、制御部40は、ステップSP22において否定結果を得て、エリアAR2の各エリア廃棄実行フラグ70をOFFにしたままステップSP24へ移る。
【0102】
図11(B)に示すように、エリアAR2における現在の各エリア廃棄ドットカウント累計69は131.5ドットカウントであり、エリアAR2における各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は23.5であるため、ステップSP24において制御部40は、算出した差分である131.5-23.5=108ドットカウントを、エリアAR2における各エリア廃棄ドットカウント増加量72に格納する。
【0103】
ステップSP25において制御部40は、エリアAR2における各エリア廃棄ドットカウント増加量72をチェックする。ここでは、108/138.5=0.7797……≒78[%]であり、40[%]以上となっているため、制御部40はステップSP25において肯定結果を得て、ステップSP26へ移り、エリアAR2における各エリア廃棄ドットカウント累計69をチェックする。
【0104】
ここでは、131.5/138.5=0.9494……≒94[%]であり、85[%]以上となっているため、制御部40はステップSP26において肯定結果を得る。このため制御部40は、ステップSP27においてエリアAR2の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。エリアAR3及びAR4は、エリアAR2と各エリア廃棄ドットカウント累計69が同じであるため説明を省略する。
【0105】
次に制御部40は、エリアAR5の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR5の各エリア廃棄ドットカウント累計69は146ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント以上で1単位分溜まっているため、制御部40は、ステップSP22において肯定結果を得て、ステップSP23へ移り、エリアAR5の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。エリアAR6は、エリアAR1と各エリア廃棄ドットカウント累計69が同じであるため説明を省略する。この結果、制御部40は、11回目の印刷前にはエリアAR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6について劣化トナー廃棄を実行する。
【0106】
[4-3-4.16回目の印刷前]
続いて、印刷が繰り返されていくと、16回目の印刷前で、全エリア廃棄ドットカウント累計65が840.5となり再度全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83(831ドットカウント)以上となったため、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)におけるステップSP11において制御部40は肯定結果を得て、ステップSP12へ移り、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)を開始する。
【0107】
まず制御部40は、エリアAR1の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR1の各エリア廃棄ドットカウント累計69は188ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント以上で1単位分溜まっているため、制御部40は、ステップSP22において肯定結果を得て、ステップSP23へ移り、エリアAR1の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。
【0108】
次に制御部40は、エリアAR2の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。エリアAR2の各エリア廃棄ドットカウント累計69は128ドットカウントであり、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85の138.5ドットカウント未満で1単位分溜まっていないため、制御部40は、ステップSP22において否定結果を得て、エリアAR2の各エリア廃棄実行フラグ70をOFFにしたままステップSP24へ移る。
【0109】
図11(C)に示すように、エリアAR2における現在の各エリア廃棄ドットカウント累計69は128ドットカウントであり、エリアAR2における各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は-7であるため、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)におけるステップSP24において制御部40は、算出した差分である128-(-7)=135ドットカウントを、エリアAR2における各エリア廃棄ドットカウント増加量72に格納する。
【0110】
ステップSP25において制御部40は、エリアAR2における各エリア廃棄ドットカウント増加量72をチェックする。ここでは、135/138.5=0.9747……≒97[%]であり、40[%]以上となっているため、制御部40はステップSP25において肯定結果を得て、ステップSP26へ移り、エリアAR2における各エリア廃棄ドットカウント累計69をチェックする。
【0111】
ここでは、128/138.5=0.9241……≒92[%]であり、85[%]以上となっているため、制御部40はステップSP26において肯定結果を得る。このため制御部40は、ステップSP27においてエリアAR2の各エリア廃棄実行フラグ70をONにする。エリアAR3及びAR4は、エリアAR2と各エリア廃棄ドットカウント累計69が同じであるため説明を省略する。
【0112】
次に制御部40は、エリアAR5の劣化トナー廃棄の実行要否をチェックする。図11(C)に示すように、エリアAR5の各エリア廃棄ドットカウント累計69は80.5ドットカウントであり、エリアAR5における各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント71は7.5であるため、ステップSP24において制御部40は、算出した差分である80.5-7.5=73ドットカウントを、エリアAR5における各エリア廃棄ドットカウント増加量72に格納する。
【0113】
ステップSP25において制御部40は、エリアAR5における各エリア廃棄ドットカウント増加量72をチェックする。ここでは、73/138.5=0.5270……≒52[%]であり、40[%]以上となっているため、制御部40はステップSP25において肯定結果を得て、ステップSP26へ移り、エリアAR5における各エリア廃棄ドットカウント累計69をチェックする。
【0114】
ここでは、80.5/138.5=0.5812……≒58[%]であり、85[%]以上となっていないため、制御部40はステップSP26において否定結果を得る。このため制御部40は、エリアAR5の各エリア廃棄実行フラグ70はONにせずOFFのままにする。エリアAR6は、エリアAR1と各エリア廃棄ドットカウント累計69が同じであるため説明を省略する。この結果、制御部40は、16回目の印刷前にはエリアAR1、AR2、AR3、AR4及びAR6について劣化トナー廃棄を実行する。
【0115】
[5.効果等]
ここで、画像形成装置においては、例えばドラム回転数カウント値があるドラム回転数に達した等の所定のタイミングにおいて、各エリアにおける印字率を算出し、印字率が基準値よりも低いエリアの劣化トナー廃棄を実行することにより、画像形成領域全体での平均の印字率が高いものの主走査方向に関し局部的に印刷率が低くなる場合であっても、劣化トナー廃棄を実行することも考えられる。
【0116】
しかしながら、そのような画像形成装置の場合、所定のタイミングにおいて印字率を確認した際に、印字率が基準値よりも僅かに高い状態のエリアの劣化トナー廃棄は実行しない。このような、印字率が基準値よりも僅かに高い状態でぎりぎり基準値を下回っていないエリアでは、今後も同様の印刷をされた場合、早い段階で印字率が基準値よりも低くなる可能性が高い。
【0117】
しかしながら画像形成装置は、ドラム回転数カウント値があるドラム回転数に達した所定のタイミングが到来しない限り、各エリアにおける印字率を算出しない。このため画像形成装置は、前回の印字率の確認時において印字率が基準値よりも僅かに高い状態のエリアにおいて、劣化トナーが溜まった状態で次回の印字率の確認時まで印刷を続行してしまい、印刷される画像の品位を保てないおそれがあった。
【0118】
これに対し本実施の形態による画像形成装置1は、あるエリアARにおける各エリア廃棄ドットカウント累計69が第1閾値としての各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に達していない状態であっても、該エリアARにおいて、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に対する廃棄ドットカウント増加量割合閾値86の割合分の廃棄ドットカウント以上であり、且つ、各エリア廃棄ドットカウント累計69が、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に対する廃棄ドットカウント累積割合閾値87の割合分の廃棄ドットカウント以上であった場合、該エリアARの劣化トナー廃棄を実行するようにした。以下では、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に対する廃棄ドットカウント増加量割合閾値86の割合分の廃棄ドットカウントを増加量閾値とも呼び、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に対する廃棄ドットカウント累積割合閾値87の割合分の廃棄ドットカウントを、第1閾値よりも低い値である、第2閾値とも呼ぶ。
【0119】
このため画像形成装置1は、前回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェックからの画像形成装置1の使用傾向を考慮し、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に達していなくとも、現在から次回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェックまでの間に多くの劣化トナーが発生しそうなエリアARについては、予め劣化トナー廃棄を実行できる。これにより画像形成装置1は、今後劣化トナーが発生することが予想されるエリアARにおける劣化トナーを予め廃棄し、該エリアARにおいて次回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェックまでの間に劣化トナーが発生したとしても、画像の品位を保つことができる。
【0120】
また画像形成装置1は、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に達していないものの今後劣化トナーが発生することが予想されるエリアARに関しては、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85に達したエリアARと同じタイミングで、今回の劣化トナー廃棄の実行において予め劣化トナーを廃棄することができる。このため画像形成装置1は、可能な限り多くのエリアARの劣化トナー廃棄を、まとめて同じタイミングで実行できる。これにより画像形成装置1は、例えば1箇所のエリアARだけの劣化トナー廃棄を次回の印刷開始前に行う等、少数のエリアARのためだけに劣化トナー廃棄を行う時間を使用してしまい時間的な印刷効率を下げてしまうことを防止できる。
【0121】
ここで、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87の値を大きくするほど、劣化トナー廃棄を実行しなくなっていくものの、印刷に要する時間的な効率は保ちやすい。一方、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87の値を小さくするほど、印刷に要する時間的な効率は保ちにくくなるものの、劣化トナー廃棄を実行しやすくなっていく。また、画像形成装置1が劣化トナー廃棄を実行すると、画像の品位を保つことはできるものの、例えば感光ドラム14の回転による感光ドラム14等の劣化等、現像装置19内部の各部材の劣化は進んでしまうと共に、印刷を実行する前に劣化トナー廃棄を実行するための時間が必要となり、複数の印刷ジョブを連続的に印刷する際に要する時間が長くなり印刷を行う際の時間的な効率であるパフォーマンスは低下してしまう。このため、画像形成装置1は、行う必要性が低いと考えられるエリアARについては劣化トナー廃棄を行わないようにし、行う必要性が高い考えられるエリアARについてのみ劣化トナー廃棄を行う必要がある。このため画像形成装置1は、画像の品位、現像装置19内部の各部材の劣化や、パフォーマンスのバランスを考慮して、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87の値を設定することが好ましい。
【0122】
また画像形成装置1は、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85以上であるエリアARについては、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が増加量閾値以上であるかと、各エリア廃棄ドットカウント累計69が第2閾値以上であるかとを判定することなく、劣化トナー廃棄を実行するようにした。このため画像形成装置1は、各エリア廃棄ドットカウント累計69が各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85以上であるエリアARについては、余分な計算等を行うことなく、通常通り劣化トナー廃棄を実行できる。
【0123】
ここで、劣化トナー廃棄実行要否判定処理手順SRT2(図9)におけるステップSP26を省略し、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が増加量閾値以上であると判定しただけで、そのエリアARの劣化トナー廃棄を実行することも考えられる。しかしながら、その場合、印字率の高い状態が続き各エリア廃棄ドットカウント累計69が例えばマイナスの値等の小さい値になっているエリアARについて、前回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック時から今回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック時までの間でだけ急に各エリア廃棄ドットカウント累計69が増加した場合であっても、行う必要性が低いと考えられる劣化トナー廃棄を実行することになってしまう。
【0124】
これに対し画像形成装置1は、各エリア廃棄ドットカウント増加量72が増加量閾値以上であり、且つ、各エリア廃棄ドットカウント累計69が第2閾値以上であるエリアARの劣化トナー廃棄を実行するようにした。このため画像形成装置1は、行う必要性が低いと考えられるエリアARについては劣化トナー廃棄を行わないようにして現像装置19の劣化を抑止すると共に印刷効率を維持しつつ、行う必要性が高い考えられるエリアARについては劣化トナー廃棄を行うことにより画像の品位を保つことができる。
【0125】
さらに画像形成装置1は、各エリア廃棄実行フラグ70がONの全てのエリアARについての劣化トナー廃棄を互いに同じタイミングで実行するようにした。このため画像形成装置1は、各エリア廃棄実行フラグ70がONのエリアARについての劣化トナー廃棄を互いに異なるタイミングで実行する場合と比較して、各エリア廃棄実行フラグ70がONの全てのエリアARについての劣化トナー廃棄実行を完了させるまでに要する時間を短くでき、パフォーマンスを向上させ、複数の印刷ジョブを印刷する際に要する時間を短縮できる。
【0126】
以上の構成によれば画像形成装置1は、現像剤としてのトナーにより画像を形成する画像形成部9と、主走査方向dmにおいて画像形成領域ARIを分割することによって形成された複数のエリアAR毎の印字率に基づくドットカウントである廃棄ドットカウントとしての各エリア廃棄ドットカウント68を算出する廃棄ドットカウント算出部52と、エリアAR毎の廃棄ドットカウントの増加量である各エリア廃棄ドットカウント増加量72と、廃棄ドットカウントの累積値である各エリア廃棄ドットカウント累計69とに基づいて、劣化トナー廃棄を実行する劣化トナー廃棄実行部53とを設けるようにした。
【0127】
これにより画像形成装置1は、今後劣化トナーが発生することが予想されるエリアARの劣化トナー廃棄を予め行うことができ、実際に今後劣化トナーが発生したとしても、該エリアARの画像の品位を保つことができる。
【0128】
[6.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において画像形成装置1は、エリアAR毎の各エリア廃棄ドットカウント増加量72と各エリア廃棄ドットカウント累計69とに基づいて劣化トナー廃棄を実行する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、エリアAR毎の各エリア廃棄ドットカウント増加量72と各エリア廃棄ドットカウント累計69とに加えて、例えば、環境温度センサ7で測定した環境温度を考慮したり、印字率の履歴として、前々回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック時から前回の劣化トナー廃棄の実行要否のチェック時までの各エリアARにおける各エリア廃棄ドットカウント累計69の増加量を考慮したり、これから実施する印刷において発生する劣化トナーの量を考慮したりして、劣化トナー廃棄を実行しても良い。
【0129】
また上述した実施の形態において画像形成装置1は、ROM80における、全エリア劣化トナー廃棄スライス値82、全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83、各エリア劣化トナー廃棄スライス値84、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87の値を全ての画像形成ユニット10で同一にする場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、全エリア劣化トナー廃棄スライス値82、全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83、各エリア劣化トナー廃棄スライス値84、各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント85、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87の少なくとも一部の値を、全ての画像形成ユニット10で同一にしなくても良い。その場合、定着ユニット26の近傍に配置された画像形成ユニット10に収容されたトナーは、定着ユニット26が発する熱により劣化しやすい傾向にあるため、定着ユニット26との距離が近い画像形成ユニット10ほど、特に廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87の値を下げても良い。
【0130】
また画像形成装置1は、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87は一定にしたまま、各エリア廃棄ドットカウント増加量72に応じて全エリア劣化トナー廃棄スライス値82や各エリア劣化トナー廃棄スライス値84を変更しても良い。その場合、画像形成装置1は、画像形成装置1の使用状況に応じて適切な頻度で劣化トナー廃棄を実行できる。
【0131】
また画像形成装置1は、全エリア劣化トナー廃棄スライス値82や各エリア劣化トナー廃棄スライス値84は一定にしたまま、各エリア廃棄ドットカウント増加量72に応じて廃棄ドットカウント増加量割合閾値86や廃棄ドットカウント累積割合閾値87を変更しても良い。その場合も、画像形成装置1は、画像形成装置1の使用状況に応じて適切な頻度で劣化トナー廃棄を実行できる。
【0132】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、全エリア劣化トナー廃棄を実行しない場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、各エリア劣化トナー廃棄と共に、全エリア劣化トナー廃棄を実行しても良い。また画像形成装置1は、状況に応じて、全エリア劣化トナー廃棄と各エリア劣化トナー廃棄とを切り替えて実行しても良い。
【0133】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86を40[%]に、廃棄ドットカウント累積割合閾値87を85[%]に設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、廃棄ドットカウント増加量割合閾値86及び廃棄ドットカウント累積割合閾値87を他の種々の値としても良い。
【0134】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、画像形成領域ARIを主走査方向dmに関し等間隔に例えば6つのエリアARに分割する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、画像形成領域ARIを主走査方向dmに関し等間隔に5つ以下又は7つ以上の任意の個数のエリアARに分割しても良い。また、画像形成装置1は、画像形成領域ARIを主走査方向dmに関し等間隔に分割しなくても良い。
【0135】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、印刷処理手順RT1(図7)のステップSP3において印刷を行った後に、ステップSP5において、全エリア廃棄ドットカウント64を算出し全エリア廃棄ドットカウント累計65を更新すると共に、各エリア廃棄ドットカウント68を算出し各エリア廃棄ドットカウント累計69を更新する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、印刷処理手順RT1(図7)のステップSP3において印刷を行う前に、全エリア廃棄ドットカウント64を予め算出し全エリア廃棄ドットカウント累計65を更新すると共に、各エリア廃棄ドットカウント68を予め算出し各エリア廃棄ドットカウント累計69を更新しても良い。
【0136】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)のステップSP13において各エリア廃棄実行フラグ70がONの全てのエリアARについての劣化トナー廃棄を互いに同じタイミングで実行する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、各エリア廃棄実行フラグ70がONの全てのエリアARについての劣化トナー廃棄を互いに同じタイミングで実行せず、少なくとも一部のエリアARについて異なるタイミングで実行しても良い。
【0137】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)のステップSP11において全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83以上であると判定した場合に、ステップSP12へ移り、各エリアARでの劣化トナー廃棄の実行要否を決定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、劣化トナー廃棄処理手順SRT1(図8)のステップSP11において全エリア廃棄ドットカウント累計65が全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント83以上であるか否かを判定することなく、各エリアARでの劣化トナー廃棄の実行要否を決定しても良い。
【0138】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、1つの印刷ジョブ毎に印字率を算出する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、1つの印刷ページ毎に印字率を算出しても良い。
【0139】
さらに上述した実施の形態において画像形成装置1は、現像装置19の内部にドラム廃トナー回収容器17を有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、画像形成装置1は、現像装置19の内部ではなくトナーカートリッジ18の内部にドラム廃トナー回収容器17を有しても良い。その場合は、ドラム廃トナー回収容器17が満杯になったとき、トナーカートリッジ18の交換が必要となる。
【0140】
さらに上述した実施の形態においては、記憶部42を画像形成装置1の本体側に設ける場合について述べた。本発明はこれ限らず、記憶部42における、それぞれの画像形成ユニット10に関する値は、それぞれの画像形成ユニット10の記憶部に記憶しても良い。その場合、制御部40は、例えば、それぞれの画像形成ユニット10に設けられたRFID(Radio Frequency Identifier)等の無線タグと無線通信を行うことにより、画像形成ユニット10の記憶部から情報を取得すれば良い。
【0141】
さらに上述した実施の形態においては、LEDヘッドであるプリントヘッド11により感光ドラム14に潜像を書き込む画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばレーザーヘッド等、他の種々の方式のプリントヘッド11により潜像を書き込む画像形成装置1に本発明を適用しても良い。
【0142】
さらに上述した実施の形態においては、4色のトナーに対応した4つの画像形成ユニット10を有する画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、3色以下のトナーに対応した3つ以下の画像形成ユニット又は5色以上のトナーに対応した5つ以上の画像形成ユニット等、種々の個数の画像形成ユニットを有する画像形成装置に本発明を適用しても良い。
【0143】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成部としての画像形成部9と、ドットカウント算出部としての廃棄ドットカウント算出部52と、劣化トナー廃棄実行部としての劣化トナー廃棄実行部53とによって、画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる画像形成部と、ドットカウント算出部と、劣化トナー廃棄実行部とによって、画像形成装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明は、劣化したトナーを廃棄するプリンタで利用できる。
【符号の説明】
【0145】
1……画像形成装置、2……筐体、3……給紙カセット、4……ピックアップローラ、5……搬送ローラ、6……媒体検知センサ、7……環境温度センサ、8……ベルトサーミスタ、9……画像形成部、10……画像形成ユニット、11……プリントヘッド、12……供給ローラ、13……現像ローラ、14……感光ドラム、15……帯電ローラ、16……クリーニングブレード、17……ドラム廃トナー回収容器、18……トナーカートリッジ、19……現像装置、20……転写ユニット、21……転写ベルト、22……転写ローラ、23……ベルトクリーニングブレード、24……ベルト廃トナー回収容器、26……定着ユニット、27……加熱ローラ、28……加圧ローラ、30……排出ユニット、31……両面印刷ユニット、32……媒体集積トレイ、W……搬送路、40……制御部、42……記憶部、44……表示部、46……入力部、48……通信部、50……印刷管理部、51……劣化トナー廃棄実行チェック部、52……廃棄ドットカウント算出部、53……劣化トナー廃棄実行部、54……廃棄ドットカウント更新部、55……廃棄ドットカウント管理部、60……RAM、61……全エリアドットカウント、62……印刷時ドラムカウント進み、63……全エリア廃棄閾値ドットカウント、64……全エリア廃棄ドットカウント、65……全エリア廃棄ドットカウント累計、66……各エリアドットカウント、67……各エリア廃棄閾値ドットカウント、68……各エリア廃棄ドットカウント、69……各エリア廃棄ドットカウント累計、70……各エリア廃棄実行フラグ、71……各エリア劣化トナー廃棄チェック後廃棄ドットカウント、72……各エリア廃棄ドットカウント増加量、80……ROM、81……プログラム格納部、82……全エリア劣化トナー廃棄スライス値、83……全エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント、84……各エリア劣化トナー廃棄スライス値、85……各エリア劣化トナー廃棄実行ドットカウント、86……廃棄ドットカウント増加量割合閾値、87……廃棄ドットカウント累積割合閾値、AR……エリア、dm……主走査方向、ARI……画像形成領域、Ptd……劣化トナー廃棄パターン、Ptd1……各エリア劣化トナー廃棄パターン。

図1
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図11