(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157710
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E05C 1/08 20060101AFI20231019BHJP
E05B 1/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
E05C1/08
E05B1/00 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067787
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】須藤 勝仁
(57)【要約】
【課題】玄関用の戸体本体を容易に開けることができる建具を提供すること。
【解決手段】建具1は、ハンドル26が取り付けられ開閉可能な玄関用の戸体本体3と、戸体本体3が閉位置に位置する場合に戸体本体3の戸先側の端面3aに対向して配置される対向部4と、戸体本体3又は対向部4に設けられ、ハンドル26と連動しないラッチ部7と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルが取り付けられ開閉可能な玄関用の戸体本体と、
前記戸体本体が閉位置に位置する場合に前記戸体本体の戸先側の端面に対向して配置される対向部と、
前記戸体本体又は前記対向部に設けられ、前記ハンドルと連動しないラッチ部と、を備える、建具。
【請求項2】
前記ラッチ部は、上下方向に延びる回転軸を中心に回転可能な円筒状のローラーラッチである、請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記対向部は、袖部、子扉又はドア枠である、請求項1又は2に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハンドルと連動してラッチを解除できる建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハンドルと連動してラッチを解除できる建具においては、ドア本体を開ける際に、ハンドルによりラッチを解除した後に、ドア本体を開ける必要があり、ドア本体を開ける際の操作が煩雑である。ドア本体が玄関用である場合には、ドア本体を開ける際の操作が煩雑であると、建物の出入口での出入りがスムーズにいかない可能性がある。よって、玄関用のドア本体(戸体本体)を容易に開けることができることが求められている。
【0005】
本開示は、玄関用の戸体本体を容易に開けることができる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ハンドルが取り付けられ開閉可能な玄関用の戸体本体と、前記戸体本体が閉位置に位置する場合に前記戸体本体の戸先側の端面に対向して配置される対向部と、前記戸体本体又は前記対向部に設けられ、前記ハンドルと連動しないラッチ部と、を備える、建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態の建具を室外側から見た状態を示す図である。
【
図2】一実施形態の建具のドア本体が開位置に位置している状態を示す斜視図である。
【
図3】袖部に設けられる手動施錠装置及びローラーラッチを示す斜視図である。
【
図4】ドア本体に設けられる錠受け部及びラッチ受け部を示す斜視図である。
【
図5】ローラーラッチがラッチ受け部に係合する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の建具の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明においては、ドア本体3及び袖部4の横方向を左右方向Xとする。左右方向Xは、ドア本体3の幅方向であり、袖部4の幅方向である。左右方向Xにおいて、一方側をX1側(
図1における右側)とし、他方側をX2側(
図1における左側)とする。
【0009】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の建具1は、建物に固定される枠体2と、枠体2内に開閉可能に配置されるドア本体3(戸体本体)と、枠体2の戸先側に配置される袖部4と、を備える。建具1は、建物の玄関用として設けられる。建具1は、手動錠装置5及び電気錠装置6により、施解錠を行うことが可能である。
【0010】
枠体2は、建物の開口部の四周に沿って設けられる。枠体2は、
図1及び
図2に示すように、横枠としての上枠21及び下枠22と、左右方向XのX1側に配置される縦枠23と、左右方向XのX2側に配置される縦枠24と、により矩形に枠組みされる。枠体2内には、ドア本体3及び袖部4が、幅方向に隣接して配置されている。ドア本体3は、左右方向XのX1側に配置されている。袖部4は、左右方向XのX2側に配置されている。
【0011】
ドア本体3は、玄関用のドアである。ドア本体3は、玄関用であり、室内用のドア本体と比べて重量が重く、重量感を有する。ドア本体3は、左右方向XのX1側の縦枠23に設けられる丁番25の回転軸を中心に回転して開閉可能な開きドアである。ドア本体3は、閉じた状態から室外側に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。
【0012】
ドア本体3は、上下方向に長い略長方形の板状に形成されている。
図2に示すように、ドア本体3の室外側の表面には、室外側ハンドル26が取り付けられている。ドア本体3の室内側の表面には、室内側ハンドル27が取り付けられている。室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、ドア本体3の戸先側の端部寄りにおいて、上下方向に延びて形成される。
【0013】
室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、ドア本体3側が開放する略U字状に形成され、上端部及び下端部が、ドア本体3の室外側又は室内側の表面に接続されている。
【0014】
室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、ドア本体3を開閉する利用者(以下、「利用者」と言う)が把持して、ドア本体3を開閉する把持部を構成する。利用者は、室外側ハンドル26又は室内側ハンドル27を把持して、ドア本体3を押したり引いたりしてドア本体3を開閉することが可能である。
【0015】
室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、ドア本体3に動かない状態で固定される固定ハンドルである。室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、ドア本体3を開閉できるように、ドア本体3に対して動かない状態でドア本体3の室外側又は室内側の表面に固定されている。室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27には、ローラーラッチ7(ラッチ部)を解除する機構が設けられていない。例えば、従来から知られる技術として、ハンドルを握ることでラッチ部を解除できる機構を有する建具がある。これに対して、本実施形態においては、室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27は、いずれも、ハンドルを握ることでラッチ部を解除する機構を有していない。そのため、本実施形態の建具1においては、利用者が室外側ハンドル26又は室内側ハンドル27を握っても、ローラーラッチ7(ラッチ部)を解除できない。
【0016】
室外側ハンドル26は、
図2に示すように、上下方向に延びる握りバー261(縦部材)と、握りバー261の上端部及び下端部からドア本体3側に突出する一対の端部支持部262と、を有する。握りバー261は、ドア本体3の開閉の際に把持される。
【0017】
室内側ハンドル27は、室外側ハンドル26の構成と同様に、上下方向に延びる握りバー271(縦部材)と、握りバー271の上端部及び下端部からドア本体3側に突出する一対の端部支持部(図示せず)と、を有する。握りバー271は、ドア本体3の開閉の際に把持される。
【0018】
本実施形態においては、室外側ハンドル26の握りバー261及び室内側ハンドル27の握りバー271は、室内側又は室外側から見た場合に、例えば、ドア本体3の上下方向の長さの80%~100%の長さで、上下方向に延びる直線状に形成されている。
【0019】
袖部4は、
図1及び
図2に示すように、ドア本体3に隣接して枠体2内に配置されている。袖部4は、ドア本体3が閉位置に位置する場合において、ドア本体3の戸先側に配置されている。袖部4は、ドア本体3が閉位置に位置する場合に、ドア本体3の戸先側の端面3aに対向して配置される。
【0020】
袖部4は、左右方向XのX2側の縦枠24に設けられる丁番41の回転軸を中心に回転して開閉可能な子扉である。袖部4は、閉じた状態から室外側(
図1の紙面の手前側)に向けて回転する、いわゆる外開きで取り付けられる。袖部4は、通常時は、閉じた状態で固定されており、引っ越し等において大きな荷物を出し入れする際に枠体2内の開口部を大きく広げたい場合などに、開いた状態で使用される。
【0021】
袖部4には、2つの手動錠装置5と、電気錠装置6と、ローラーラッチ7(ラッチ部)と、が設けられている。2つの手動錠装置5は、袖部4において、上下に離間して設けられる。
【0022】
手動錠装置5は、
図3に示すように、いずれも、フック状のデッド鎌部511を有するボックス錠部51と、先端に鍵穴521が形成されたシリンダー部52と、サムターン部(図示せず)と、を備える。
【0023】
ボックス錠部51、シリンダー部52及びサムターン部(図示せず)は、袖部4に設けられている。シリンダー部52は、袖部4の室外側に設けられる。サムターン部は、図示を省略するが、袖部4の室内側に設けられる。ボックス錠部51は、手動錠装置5により施解錠する場合と電気錠装置6により施解錠する場合とで共用される。
【0024】
デッド鎌部511は、袖部4の端面4aからドア本体3側に出没可能に設けられている。デッド鎌部511は、施錠時において先端が上方に突出する鎌形状に形成される。デッド鎌部511は、ドア本体3の戸先側の端面3aに設けられた錠受け部28(
図2及び
図4参照)に係合可能である。
【0025】
デッド鎌部511は、ドア本体3を開閉する利用者が、室外側からシリンダー部52の鍵穴521を回転させる操作を行うことにより、又は、室内側からサムターン部(図示せず)を回転させる操作を行うことにより、デッド鎌部511が突出してドア本体3の錠受け部28に係合して施錠される位置と、デッド鎌部511が収容されて錠受け部28からデッド鎌部511の係合が外れて解錠される位置とに、移動可能に構成される。デッド鎌部511は、シリンダー部52又はサムターン部が操作される以外にも、後述する電気錠装置6のモータ(図示せず)を駆動させることでも、ドア本体3の施解錠が可能である。
【0026】
電気錠装置6は、
図1及び
図2に示すように、袖部4に設けられている。電気錠装置6は、室外側認証部61と、モータ(図示せず)などの電気部品を有する施解錠駆動部(図示せず)と、制御部と、備える。室外側認証部61は、
図1に示すように、袖部4の室外側に露出して配置されている。
【0027】
室外側認証部61は、利用者が認証用の携帯機器を持参した状態で認証用ボタンを押した場合や、利用者が認証用のボタンを押して認証用のカードキーをかざした場合などに、認証信号を無線により受信して利用者を認証する。制御部(図示せず)は、電気錠装置6の室外側認証部61から送信される認証信号を判断して、所定の条件の場合に、モータ(図示せず)を駆動させる。これにより、ボックス錠部51のデッド鎌部511が操作されて、ドア本体3の施解錠が行われる。
【0028】
また、例えば、電気錠装置6が故障した場合には、利用者が手動錠装置5のシリンダー部52の鍵穴521に鍵を挿入して回転させることで、デッド鎌部511を移動させて、ドア本体3の施解錠を行うことができる。
【0029】
ローラーラッチ7は、
図3に示すように、袖部4のドア本体3側の端部において、上下方向に離れて配置される2つの手動錠装置5の間に配置される。
【0030】
ローラーラッチ7は、室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27と連動しないラッチである。本実施形態においては、室外側ハンドル26及び室内側ハンドル27には、ラッチ部を解除する機構は設けられていない。そのため、ローラーラッチ7が室外側ハンドル26又は室内側ハンドル27と連動していないため、ドア本体3が閉位置に位置している状態では、室外側ハンドル26又は室内側ハンドル27は、ローラーラッチ7を解除できない。例えば、利用者が室外側ハンドル26又は室内側ハンドル27を握っても、ローラーラッチ7を解除できない。
【0031】
ローラーラッチ7は、上下方向に延びる円筒状のローラー部71を有する。ローラー部71は、上下方向に延びる回転軸を中心に回転可能である。ローラー部71は、袖部4の端面4aにおいて、ドア本体3側に付勢された状態で設けられ、袖部4の端面4aから、ドア本体3側に出没可能である。
【0032】
ローラー部71は、ドア本体3を閉めている場合には、ドア本体3側に付勢されており、ドア本体3の戸先側の端面3aに設けられたラッチ受け部29(
図2及び
図4参照)に係合してドア本体3の閉状態を保持すると共に、ドア本体3を保持する力以上の力をドア本体3に掛けて開くと、ローラー部71の係合が解除されて、ドア本体3を開けることができる。ラッチ受け部29は、
図4及び
図5に示すように、ドア本体3の戸先側の端面3aから半円形状に凹んで形成され、上下方向に延びる。
【0033】
ドア本体3を室外側から開ける場合には、
図1に示す状態から、電気錠装置6又は手動錠装置5により解錠した後に、室外側ハンドル26を手前に引く。ドア本体3にドア本体3を保持する力以上の力を掛けると、ローラーラッチ7とラッチ受け部29との係合が外れて、
図2に示すように、ドア本体3を開けることができる。ドア本体3を閉める場合には、
図5に示すように、ドア本体3を閉位置に移動させることで、ローラーラッチ7をラッチ受け部29に係合させる。これにより、ドア本体3を閉めることができる。ドア本体3が閉められた後に、電気錠装置6又は手動錠装置5により施錠される。
【0034】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の建具1は、室外側ハンドル26が取り付けられ開閉可能な玄関用のドア本体3と、ドア本体3が閉位置に位置する場合にドア本体3の戸先側の端面3aに対向して配置される袖部4と、袖部4に設けられ、室外側ハンドル26と連動しないローラーラッチ7と、を備える。
【0035】
これにより、建物の出入口に配置される玄関用のドア本体3を開ける際に、室外側ハンドル26によりラッチを解除する操作が必要ないため、玄関用のドア本体3を容易に開けることができる。また、室外側ハンドル26にローラーラッチ7と連動する機構を設けていないため、ドア本体3に対して動かない状態で固定される固定ハンドルとすることができる。また、室外側ハンドル26にローラーラッチ7と連動する機構を設けていないため、ドア本体3の内部にもローラーラッチ7と連動する機構を設ける必要がなく、室外側ハンドル26を、ドア本体3における自由な位置に自由な形状で設けることができる。これにより、室外側ハンドル26の配置の自由度及び形状の自由度が向上して、意匠性の高いハンドルとすることができる。
【0036】
本実施形態においては、室外側ハンドル26と連動しないローラーラッチ7により、ドア本体3を保持している。そのため、ドア本体3を開閉するだけでローラーラッチ7がラッチ受け部29に係脱される構造であるため、簡易な構成により、玄関用のドア本体3の開閉を容易に行うことができる。
【0037】
本実施形態においては、室外側ハンドル26は、上下方向に延びる握りバー261を有する。これにより、上下方向に延びる握りバー261を把持してドア本体3を開閉できるため、玄関用のドア本体3の開閉を容易に行うことができる。また、上下方向に延びる握りバー261を有するため、すっきりしたデザインの室外側ハンドル26とすることができ、意匠性を向上できる。
【0038】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0039】
例えば、前記実施形態においては、電気錠装置を備えた構成としているが、これに限定されず、電気錠装置を備えていなくてもよい。
【0040】
また、前記実施形態においては、ドア本体(戸体本体)及び袖部4を設けて、袖部4にラッチ部を設けたが、これに限定されない。例えば、ドア本体(戸体本体)及び袖部4を設けて、ドア本体(戸体本体)にラッチ部を設けてもよい。また、袖部を設けずに、ドア枠及びドア本体(戸体本体)のみを備え、ドア本体(戸体本体)にラッチ部を設けてもよい。また、袖部を設けずに、ドア枠及びドア本体(戸体本体)のみを備え、ドア枠にラッチ部を設けてもよい。
【0041】
また、前記実施形態においては、ハンドルと連動しないラッチ部を、ローラーラッチ7により構成した。しかし、これに限定されない。例えば、ラッチ部をマグネットラッチで構成してもよい。マグネットラッチは、ドア本体(戸体本体)を閉めた場合に磁力でドア本体3の閉状態を保持すると共に、磁力で保持する力以上の力をドア本体3に掛けると磁力の保持が解除されてドア本体3を開けることができるラッチである。
【0042】
また、前記実施形態においては、ハンドルと連動しないラッチ部を、ローラーラッチ7のようにドア本体(戸体本体)に力を掛けることにより解除できる構成としたが、これに限定されない。ラッチ部を解除する機構をハンドルには設けずに、例えば、ハンドルとは別にラッチ解除ボタンなどを設けることで、ラッチ解除ボタンを押した場合にラッチ部が解除される構成とすることで、ハンドルと連動しないラッチ部としてもよい。
【0043】
また、前記実施形態においては、袖部4を設けて、対向部を、袖部4としたが、これに限定されない。袖部4を設けなくてもよい。例えば、袖部4を設けない構成の場合、対向部を、枠体の縦枠や建物の壁により構成してもよい。この場合に、枠体の縦枠や建物の壁にラッチ部を設けてもよい。
【0044】
前記実施形態においては、対向部としての袖部4を開閉可能な子扉としたが、これに限定されない。対向部としての袖部4を開閉不能に構成してもよい。
【0045】
前記実施形態においては、ハンドルを上下方向に延びる縦部材を有するハンドルとした、これに限定されない。例えば、ハンドルを、ドア本体(戸体本体)の表面から突出するドアノブ状に形成してもよいし、ドア本体(戸体本体)の表面から凹んだ手掛けの形状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 建具、3 ドア本体(戸体本体)、4 袖部(対向部)、7 ローラーラッチ(ラッチ部)、26 室外側ハンドル(ハンドル)、261 握りバー(縦部材)