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特開2023-157725情報管理システム及び選択肢管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157725
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】情報管理システム及び選択肢管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/904 20190101AFI20231019BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231019BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231019BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20231019BHJP
【FI】
G06F16/904
G05B19/418 Z
G06Q50/04
G06F3/0482
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067807
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(72)【発明者】
【氏名】植木 浩貴
【テーマコード(参考)】
3C100
5B175
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA68
3C100BB01
3C100BB11
3C100CC02
5B175GA01
5E555AA03
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC17
5E555CB42
5E555CC03
5E555DB11
5E555FA00
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】マスタメンテナンス不要であり、かつ選択肢型項目間の連動した選択肢の絞り込み制御を行う。
【解決手段】実施形態の情報管理システムは、フィールドの項目名と項目値との組み合わせに対し、レコードを構成する複数のフィールド別に異なる選択肢IDをそれぞれ割り当て、選択肢マスタデータを生成する。また、自身のフィールドに対して他のフィールドの前記選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成する。関連選択肢マスタデータは、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分生成される。検索項目の選択肢として項目値を出力し、第1検索項目で選択肢が指定された場合に、指定された選択肢の選択肢IDを関連選択肢IDとして含む関連選択肢マスタデータを抽出し、抽出された関連選択肢マスタデータに紐付く選択肢IDの項目値を第2検索項目の選択肢として出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコードを構成するフィールドの項目名と項目値との組み合わせに対し、複数のフィールド別に異なる選択肢IDをそれぞれ割り当て、前記選択肢ID、前記項目名及び前記項目値を含む選択肢マスタデータを生成する第1処理と、自身のフィールドに対して他のフィールドの前記選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成するとともに、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分それぞれの前記関連選択肢マスタデータを生成する第2処理と、前記選択肢マスタデータ及び前記関連選択肢マスタデータを所定の記憶領域に登録する第3処理と、を遂行する第1制御部と、
各フィールドが検索項目として設定された検索画面に対し、検索項目の選択肢として前記項目値を出力するとともに、第1検索項目で選択肢が指定された場合に、前記指定された選択肢の選択肢IDを関連選択肢IDとして含む前記関連選択肢マスタデータを抽出し、抽出された前記関連選択肢マスタデータに紐付く前記選択肢IDの前記項目値を第2検索項目の選択肢として出力する第2制御部と、
を有することを特徴とする情報管理システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、
複数のレコードにおいて同じフィールドで前記項目値が異なる場合、異なる前記項目値の数分の前記選択肢マスタデータを生成するとともに、複数のレコードにおいて同じフィールドで前記項目値が同じである場合、フィールドの項目名と項目値との組み合わせが重複しないように前記選択肢マスタデータを生成する前記第1処理を遂行し、
前記第1制御部は、
複数のレコードにおいて、自身のフィールドに対して他のフィールドの前記選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成する際、既に他のレコードに基づいて生成された関連選択肢マスタデータと同一であるか否かを判定し、同一であると判定された場合に、重複する前記関連選択肢マスタデータを生成しない前記第2処理を遂行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報管理システム。
【請求項3】
前記レコードは、製造実績データであり、製品の製造場所を示す第1フィールド、工程作業が行われるラインを示す第2フィールド、工程作業内容を示す第3フィールド、工程作業で使用される設備を示す第4フィールド、同一種類の製品別に付与される品番を示す第5フィールド、工程の開始日時を示す第6フィールド、及び前記開始日時に対応する終了日時を示す第7フィールドを少なくとも含んで構成されており、
前記第1制御部は、新たなレコードに対する前記第1処理、前記第2処理及び前記第3処理を、前記新たなレコードが製造実績データとして登録されるタイミング、または、所定の時間間隔毎のタイミングで遂行することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報管理システム。
【請求項4】
レコードを構成するフィールドの項目名と項目値との組み合わせに対し、複数のフィールド別に異なる選択肢IDをそれぞれ割り当て、前記選択肢ID、前記項目名及び前記項目値を含む選択肢マスタデータを生成する第1機能と、
自身のフィールドに対して他のフィールドの前記選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成するとともに、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分それぞれの前記関連選択肢マスタデータを生成する第1機能と、
前記選択肢マスタデータ及び前記関連選択肢マスタデータを所定の記憶領域に登録する第3機能と、
各フィールドが検索項目として設定された検索画面に対し、検索項目の選択肢として前記項目値を出力するとともに、第1検索項目で選択肢が指定された場合に、前記指定された選択肢の選択肢IDを関連選択肢IDとして含む前記関連選択肢マスタデータを抽出し、抽出された前記関連選択肢マスタデータに紐付く前記選択肢IDの前記項目値を第2検索項目の選択肢として出力する第4機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【請求項5】
レコードを構成するフィールドの項目名と項目値との組み合わせに対し、複数のフィールド別に異なる選択肢IDをそれぞれ割り当て、前記選択肢ID、前記項目名及び前記項目値を含む選択肢マスタデータを生成する第1処理部と、
自身のフィールドに対して他のフィールドの前記選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成するとともに、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分それぞれの前記関連選択肢マスタデータを生成する第2処理部と、
前記選択肢マスタデータ及び前記関連選択肢マスタデータを所定の記憶領域に登録する第3処理部と、を備え、
前記関連選択肢マスタデータは、各フィールドが検索項目として設定された検索画面に対し、前記項目値が選択肢として出力された第1検索項目で選択肢が指定された場合に、前記第1検索項目と連動した第2検索項目の選択肢を抽出するために参照され、前記第1検索項目で指定された選択肢の選択肢IDが前記関連選択肢IDとして設定された選択肢IDを抽出するために使用されることを特徴とする選択肢管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報検索における選択肢自動生成及び選択肢制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄積された情報を検索する検索画面では、検索項目に対して直接検索キーを入力する入力型項目と、いくつかの選択肢を表示し、その中から選択させる選択肢型項目とがある。選択肢型項目の場合、予め用意された選択肢のマスタ情報を参照し、選択肢型項目に選択肢を表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-87188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日々蓄積される情報群に基づいて選択肢を自動で生成するとともに、選択肢型項目間の連動した選択肢の絞り込み制御を容易に行うことができる情報管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報管理システムは、レコードを構成するフィールドの項目名と項目値との組み合わせに対し、複数のフィールド別に異なる選択肢IDをそれぞれ割り当て、前記選択肢ID、前記項目名及び前記項目値を含む選択肢マスタデータを生成する第1処理と、自身のフィールドに対して他のフィールドの前記選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成するとともに、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分それぞれの前記関連選択肢マスタデータを生成する第2処理と、前記選択肢マスタデータ及び前記関連選択肢マスタデータを所定の記憶領域に登録する第3処理と、を遂行する第1制御部と、各フィールドが検索項目として設定された検索画面に対し、検索項目の選択肢として前記項目値を出力するとともに、第1検索項目で選択肢が指定された場合に、前記指定された選択肢の選択肢IDを関連選択肢IDとして含む前記関連選択肢マスタデータを抽出し、抽出された前記関連選択肢マスタデータに紐付く前記選択肢IDの前記項目値を第2検索項目の選択肢として出力する第2制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の情報管理システムで取り扱う情報の説明図である。
図2】第1実施形態の情報管理システムの機能構成図である。
図3】第1実施形態のレコードを説明するための図である。
図4】第1実施形態の製造実績データの一例を示す図である。
図5】第1実施形態の検索画面と各種検索項目の一例を示す図である。
図6】第1実施形態のレコードから生成される選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの一例を示す図である。
図7】第1実施形態の既生成のマスタデータとの関係で生成される選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの一例を示す図である。
図8】第1実施形態の選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成・登録タイミングの一例を示す図である。
図9】第1実施形態の選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成処理フローを示す図である。
図10】第1実施形態の検索画面を通じた選択肢要求に対する選択肢提供処理を含む情報処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、実施形態につき、図面を参照して説明する。
【0008】
上述のように、情報検索における選択肢型項目は、予め選択肢マスタを用意する必要がある。しかしながら、選択肢マスタの更新(追加、削除、修正等)メンテナンスには、非常に手間が掛かる課題がある。例えば、レコードを構成するフィールドの項目値が増減すると、その増減に応じて選択肢マスタを更新しなければならない。選択肢マスタの更新メンテナンスが遅延すると、新しいレコードに対する選択肢を提供できなかったり、検索結果が得られなかったりすることがある。
【0009】
特に、製造現場において日々蓄積される製造実績データは膨大な数であり、かつ選択肢として提供されるフィールドの項目値も様々であることから、選択肢マスタの更新メンテナンスに費やす労力が大きくなる。このため、選択肢マスタのメンテナンスが疎かになり、直接入力した方が早いといった事態も生じている。しかしながら、直接入力するにしても正しく検索キーを入力できないと、所望する情報を抽出できない。
【0010】
また、選択肢マスタのメンテナンスで大変なのが、選択肢型項目間の連動機能である。例えば、複数の選択肢型項目で構成された検索画面において、第1選択肢型項目で選択肢が指定された後に、第2選択肢型項目に提供される選択肢は、当該第1選択肢型項目で指定された選択肢に関連付いたものでなければならない。複数の選択肢型項目を含む検索画面では、検索項目間の連動性が求められ、検索項目1の選択肢Aに対して検索項目2の選択肢Bが関連付いているなどのリレーショナル情報をマスタ情報として保持する必要がる。
【0011】
このような従来の課題に対し、本実施形態の情報管理システムは、選択肢マスタのメンテナンス性を向上させると共に、選択肢型項目間の円滑な連動機能を提供し、検索結果が得られない状況を抑制可能な環境を実現する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る情報管理システムで取り扱う情報の説明図である。例えば、製品のライフサイクルは、経営層における製品の企画、設計等から始まり、製造現場層(工場)で製品が生産(製造)され、市場での製品の稼働、利用、保守(フィールド・製品利用)に至る。
【0013】
図1の例において、経営管理側では、月にいくつ製品を市場に供給するかという観点で生産管理計画(製造現場に対する生産要求)を作成する。また、作成した生産管理計画に対する、資材・部品などの調達先を管理する調達管理、製品仕様に基づく製造パラメータ、製造レシピ等の計画・基準情報を管理する。
【0014】
そして、製造現場(工場)は、製造の計画及び実績を独自に管理する既設の製造管理システム(例えば、MES)を備えており、経営管理側で作成された生産管理計画に基づいて、生産指示及び入荷計画を作成し、既設のMESでこれらを管理する。MESは、作成された製造計画を保持し、製造工程(製造工程の設備機器、センサ機器などを含む)から上がってくる製造実績が入力され、製品の計画及び実績を管理する。
【0015】
製造実績エリアである製造現場は、各種製品の製造実績データを日々蓄積し、管理している。製造実績データは、製品の品質管理に利用されると共に、トレーサビリティの観点でも利用される。
【0016】
図2は、情報管理システム100の機能構成図である。情報管理システム100は、主に、製造実績エリアの製造実績データを蓄積、管理する。そして、管理機能の一部として、検索画面を通じた製造実績データ(製造実績レコード)の検索機能(データ検索機能部121B)を提供する。このとき、検索画面は、複数の検索項目を含んで構成され、少なくとも2つ以上の検索項目が選択肢型項目で構成される。選択肢マスタ管理部121Aは、選択型項目に対する選択肢の生成及び登録を行う。
【0017】
なお、検索画面に含まれる検索項目は、選択肢型項目以外にも、直接検索キーを入力する入力型項目が含まれる構成であってもよい。すなわち、複数の検索項目のうち、全てが選択肢型項目であってもよく、また、少なくとも2つ以上の選択肢型項目と入力型項目とが混在する態様であってもよい。
【0018】
情報管理システム100は、通信装置110、制御装置120、記憶装置130を含んで構成されている。
【0019】
通信装置110は、工場のMESや製造工程の設備機器、各種装置、センサ機器などに接続し、データ通信制御を行う。
【0020】
制御装置120は、情報管理部121及びデータ蓄積管理部122を備える。情報管理部121は、選択肢マスタ管理部121A(第1制御部に相当する)と、データ検索機能部121B(第2制御部に相当する)とを有する。
【0021】
記憶装置130は、製造実績データ131、マスタ情報132をそれぞれ記憶している。マスタ情報132は、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータを含んで構成されている。
【0022】
まず、本実施形態のデータ蓄積の仕組みについて説明する。図3は、記憶装置130に記憶される製造実績データのレコード例を示す図である。1レコードは、複数のフィールドで構成され、各フィールドは、項目名(カラム属性)が割り当てられ、対応する項目値が保持される。つまり、項目名と項目値の組み合わせが、フィールド毎に保持され、複数の異なるフィールドで1つのレコードが構成されている。なお、フィールドの並び順は任意である。
【0023】
製造実績データのレコード構成例として、第1フィールド(項目名:工場(製品の製造場所))、第2フィールド(項目名:ライン(工程作業が行われるライン))、第3フィールド(項目名:工程作業(工程作業内容を示す))、第4フィールド(項目名:設備(工程作業で使用される設備)、第5フィールド(項目名:品番(同一種類の製品別に付与される品番)、第6フィールド(項目名:開始日時(工程の開始日時)、第7フィールド(項目名:終了日時(開始日時に対応する終了日時)を少なくとも含んで構成することができる。なお、これらフィールド以外に、例えば、ロットNo、シリアルNoなどのフィールドを含むように構成することができ、1レコード中の各フィールドの構成は、任意である。
【0024】
項目名は、検索項目に対応し、項目値が選択肢に対応する。項目値は、図3に示すように、英字、数字、ハイフンやアンダーバーなどの各種記号、などの組み合わせであり、文字列で構成されている。なお、漢字やひらがな、カタカナなどの文字列を含んでもよく、また、英字、数字がそれぞれ単体で構成されてもよい。項目値として採用される文字列は、任意である。
【0025】
このようなレコードの器(データモデル)を用意し、データ蓄積管理部122は、製造実績エリアで収集される各種情報を、用意された器を則って製造実績レコードを生成し、製造実績データとして記憶することができる。
【0026】
また、データモデルの他の例としては、図4に示すレコード例がある。図4の例は、「主体物(Who)」、「対象物(Whome)」、「事象(What)」、「時間(When)」、「場所(Where)」、「状況(How)」(5W1H)から構成されるデータ構造定義を用い、製造実績エリアで収集される各種情報を構造化して生成された製造実績レコードである。このようなレコード構成であっても、各フィールドの項目名と項目値との組み合わせは、図3の例と同様に把握することができる。
【0027】
図5は、検索画面と各種検索項目の一例を示す図である。検索項目「ライン」は第1フィールド、検索項目「工程作業」は第2フィールド、検索項目「設備」は第3フィールド、検索項目「設備」は第4フィールド、検索項目「品番」は第5フィールドにそれぞれ対応している。検索項目「期間」は、第6フィールド及び第7フィールドに対応している。図5の例では、検索項目「期間」は、カレンダー機能を通じて日付を設定したり、直接日時を入力したりすることができる。検索項目「期間」以外は、マスタ情報に蓄積された選択肢マスタデータから抽出される選択肢を指定する選択肢型項目で構成されている。
【0028】
図6は、レコードから生成される選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの一例を示す図である。
【0029】
図6の例では、項目名「工場」、「ライン」、「工程作業」、「設備」、「品番」の5つの項目名と項目値との組み合わせを対象に、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータを生成する態様を例示している。なお、これら以外の項目名についても選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータを生成することができる。
【0030】
選択肢マスタ管理部121Aは、レコードを構成するフィールドの項目名と項目値との組み合わせに対し、複数のフィールド別に異なる選択肢IDをそれぞれ割り当る。例えば、選択肢ID:00001は、項目名「工場」とその項目値「F01」の組み合わせに対して割り当てられる。同様に、選択肢ID:00002は、項目名「ライン」とその項目値「L01」の組み合わせに対して割り当てられ、選択肢ID:00003は、項目名「工程作業」とその項目値「PRC01」の組み合わせに対して割り当てられる。また、選択肢ID:00004は、項目名「設備」とその項目値「E01」の組み合わせに対して割り当てられ、選択肢ID:00005は、項目名「品番」とその項目値「PN-01」の組み合わせに対して割り当てられる。
【0031】
選択肢マスタ管理部121Aは、選択肢ID、項目名及び項目値を含む選択肢マスタデータを生成する第1処理を行う。なお、図6の例において、選択肢マスタデータには、開始日時及び終了日時が含まれており、同じレコードから生成される各選択肢マスタデータは、同じ開始日時及び終了日時が保持されている。
【0032】
次に、選択肢マスタ管理部121Aは、関連選択肢マスタデータを生成する第2処理を行う。選択肢マスタ管理部121Aは、自身のフィールドに対して他のフィールドの選択肢IDを関連選択肢IDとして設定した関連選択肢マスタデータを生成する。このとき、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分それぞれの関連選択肢マスタデータを生成する。図6の例において、選択肢ID:00001に対し、他の選択肢IDが関連選択肢IDに設定された4つの関連選択肢マスタデータが生成されている。なお、選択肢関連IDは、関連選択肢マスタデータ別の識別IDである。
【0033】
第2処理は、各選択肢ID別に行われ、選択肢ID:00002に対し、選択肢ID:00001,00003,00004,00005の各関連選択肢マスタデータが生成される。選択肢ID:00003,00004,00005についても、図6に示すように同様に生成する。
【0034】
上述の第1処理及び第2処理を通じて生成された選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータは、所定の記憶領域である記憶装置130にマスタ情報132として登録される(第3処理)。
【0035】
図7は、既生成のマスタデータとの関係で生成される選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの一例を示す図である。
【0036】
図7の例は、図6で示した製造実績レコードAとは異なる製造実績レコードBに対し、上述の第1処理及び第2処理を行った場合の、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成例であり、図6で示した選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータが生成された後に、製造実績レコードBに対する第1処理及び第2処理が行われる態様を示している。
【0037】
図7に示すように、製造実績レコードBは、同じ工場、同じライン、同じ品番であるが、工程作業及び設備が異なる。つまり、同じラインに異なる工程作業、設備が備わっており、同じ品番の製品に対し、異なる工程作業、設備毎に製造実績レコードA,Bがそれぞれ生成され、蓄積されている。
【0038】
そして、製造実績レコードA,Bには、フィールドの項目名及び項目値の組み合わせにおいて、同じ組み合わせが存在する。そこで、選択肢マスタ管理部121Aは、前出の製造実績レコードAで生成された選択肢マスタデータを、製造実績レコードBにも紐付けるようにし、重複する選択肢マスタデータを生成しないようにする。選択肢マスタ管理部121Aは、製造実績レコードBに対する第1処理において、既に生成された選択肢マスタデータの項目名と項目値との組み合わせと同じフィールドの項目名及び項目値の組み合わせが存在するか否かを判別し、同じ組み合わせが存在する場合、重複する選択肢IDとして、新たに選択肢マスタデータを生成しないように制御する。図7の例において、選択肢ID:00001,00002,00005が、重複する選択肢IDと判別され、生成されない。
【0039】
一方、項目名「工程作業」と項目値「PRC02」の組み合わせと、項目名「設備」と項目値「E02」の組み合わせは、選択肢マスタデータに重複する組み合わせが存在しないので、製造実績レコードBに対する第1処理によって、選択肢ID:00006,00007のぞれぞれの選択肢マスタデータが生成される。製造実績レコードBは、選択肢ID:00001,00002,00006,00007,00005の選択肢マスタデータを紐付く。
【0040】
このとき、選択肢ID:00001,00002,00005は、製造実績レコードA,Bに共通して紐付いている。そのため、製造実績レコードA,Bの双方を包含するように、選択肢マスタ管理部121Aは、これらの選択肢マスタデータの開始日時及び終了日時を、製造実績レコードBの開始日時又は終了日時に応じて更新する。図7の例では、選択肢ID:00001,00002,00005の各選択肢マスタデータの終了日時が、製造実績レコードBの終了日時に更新されている。
【0041】
関連選択肢マスタデータを生成する第2処理においても同様であり、自身のフィールドに対して他のフィールドの選択肢IDを関連選択肢IDとして設定した関連選択肢マスタデータを生成するが、選択肢ID:00001,00002,00005相互の各関連選択肢マスタデータは、製造実績レコードAで生成された関連選択肢マスタデータと重複するので生成しない。
【0042】
したがって、選択肢マスタ管理部121Aは、製造実績レコードBの選択肢ID:00001,00002,00006,00007,00005の選択肢マスタデータを対象に、自身のフィールドを基準として他のフィールド数分それぞれの関連選択肢マスタデータを生成する。このとき、選択肢マスタ管理部121Aは、製造実績レコードBに対する第2処理において、既に生成された関連選択肢マスタデータの選択肢IDと関連選択肢IDとの組み合わせと同じ組み合わせが存在するか否かを判別し、同じ組み合わせが存在する場合、重複する関連選択肢マスタデータを新たに生成しないように制御する。
【0043】
一方、選択肢ID:00006,00007のそれぞれに対する選択肢ID:00001,00002,00005の関連選択肢マスタデータは、製造実績レコードAによって生成されておらず、マスタ情報132として登録されていないので、図7に示すように、各関連選択肢マスタデータが生成される。
【0044】
また、選択肢ID:00001は、選択肢ID:00006,00007が関連選択肢IDとして設定された各関連選択肢マスタデータが生成され紐付いている。一方、選択肢ID:00006は、選択肢ID:00001,00002,00007,00005のそれぞれの組み合わせに応じた関連選択肢マスタデータが生成され、紐付く。同様に、選択肢ID:00007は、選択肢ID:00001,00002,00006,00005のそれぞれの組み合わせに応じた関連選択肢マスタデータが生成され、紐付く。
【0045】
このように本実施形態の選択肢マスタ管理部121Aは、上述の第1処理において、同じフィールドで項目値が異なる場合、異なる項目値の数分の選択肢マスタデータを生成するとともに、複数のレコードにおいて同じフィールドで項目値が同じである場合、フィールドの項目名と項目値との組み合わせが重複しないように選択肢マスタデータを生成する。また、上述の第2処理において、自身のフィールドに対して他のフィールドの選択肢IDが関連選択肢IDとして設定された関連選択肢マスタデータを生成する際、既に他のレコードに基づいて生成された関連選択肢マスタデータと同一であるか否かを判定し、同一であると判定された場合に、重複する関連選択肢マスタデータを生成しないように制御する。
【0046】
図8は、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成・登録タイミングの一例を示す図である。図9は、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成処理フローを示す図である。
【0047】
図8に示すように、選択肢マスタ管理部121Aは、新たなレコードが製造実績データとして登録されるタイミング、または、所定の時間間隔毎のタイミングで、新たなレコードに対する第1処理、第2処理及び第3処理(選択肢マスタデータ、関連選択肢マスタデータの生成、及びこれらの登録)を行うように構成することができる。
【0048】
つまり、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成及び登録は、生成されたレコードが蓄積されるタイミングをトリガーに行うことができ、前者は、レコードの登録(蓄積)に対して選択肢マスタのメンテナンスをリアルタイムで行い、後者は、所定の周期、例えば、数秒置き、数分置きなどの所定の時間間隔毎にメンテナンスを行う。
【0049】
このように製造実績データがレコードとして蓄積された後(S101)、選択肢マスタ管理部121Aは、上述した所定のタイミングで選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの生成処理を行い(S102,第1処理及び第2処理)、生成した選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータの登録処理を行う(S103,第3処理)。
【0050】
図10は、検索画面を通じた選択肢要求に対する選択肢提供処理を含む情報処理のフローチャートを示す図である。
【0051】
データ検索機能部121Bは、登録された選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータを用いた、検索画面における各検索項目への選択肢提供処理を行い、検索条件に基づく製造実績データの抽出処理を行う。
【0052】
図5に示した検索画面を一例に説明すると、例えば、検索者は、検索項目「ライン」の選択肢ボタン(黒三角アイコン)を選択する。データ検索機能部121Bは、検索項目「ライン」の選択肢要求を受け付け(S110)、受け付けた選択肢要求の検索項目以外に連動する他の検索項目で選択肢が選択済みか否かを判定する(S111)。検索項目「ライン」以外の検索項目では選択肢が選択されていないと判別されると、データ検索機能部121Bは、選択肢マスタデータのみを対象に、項目名が「ライン」の選択肢IDを抽出し、抽出した選択肢IDの項目値を、選択肢として出力する(S112)。
【0053】
検索者は、検索項目「ライン」の次に、検索項目「工程作業」の選択肢ボタン(黒三角アイコン)を選択したとする。データ検索機能部121Bは、検索項目「工程作業」の選択肢要求を受け付け(S110)、受け付けた選択肢要求の検索項目以外に連動する他の検索項目で選択肢が選択済みか否かを判定する(S111)。この場合、検索項目「工程作業」以外に検索項目「ライン」で選択肢が選択されているので、データ検索機能部121Bは、選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータに基づいて、選択肢の抽出処理を行う。
【0054】
具体的には、データ検索機能部121Bは、検索項目「ライン」で指定された選択肢の選択肢IDを関連選択肢IDとして含む、検索項目「工程作業」に紐付く関連選択肢マスタデータを抽出する(S113)。つまり、項目名が「工程作業」として生成された選択肢マスタデータに紐付く関連選択肢マスタデータにおいて、関連選択肢IDに検索項目「ライン」で指定された選択肢の選択肢IDが関連選択肢IDとして含まれるものを全て抽出する。そして、抽出された関連選択肢マスタデータに紐付く選択肢IDの項目値を検索項目「工程作業」の選択肢として出力する(S114)。
【0055】
例えば、図6及び図7のレコードを一例に説明すると、検索項目「ライン」で選択肢「L01(選択肢ID:00002)」が指定されている状態で、検索項目「工程作業」に出力される選択肢は、選択肢ID:00002が関連選択肢IDとして設定された選択肢ID:00003,00006を抽出される。したがって、データ検索機能部121Bは、「PRC01」と「PRC02」を検索項目「工程作業」の選択肢として出力し、表示する。
【0056】
データ検索機能部121Bは、不図示の検索実行ボタンが選択されると(S115)、検索項目で指定された選択肢、又は/及び直接入力された入力データを検索条件(検索キー)として、製造実績データ131を参照し、該当する製造実績データ131を抽出し、所定の画面を通じて検索結果を出力、表示する(S116)。また、検索実行ボタンを選択せず、終了操作が行われた場合は、検索機能の制御を終了する(S117)。
【0057】
なお、本実施形態では、製造実績データを蓄積・管理する情報管理システム100の1つの機能として、選択肢マスタ管理部121A及びデータ検索機能部121Bが含まれる態様を例に上げたが、選択肢マスタ管理部121Aは、選択肢管理装置として、情報管理システムに対するAPIなどの選択肢管理アプリケーションのように提供することができる。
【0058】
例えば、製造実績データを蓄積・管理する情報管理システムが、ネットワークを通じて独立した選択肢管理装置(選択肢マスタ管理部121A)に接続し、選択肢管理装置が情報管理システムの製造実績データを参照して選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータを生成する。生成された選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータは、マスタ情報132として、情報管理システムに提供され、データ検索機能部121Bにより、検索機能を提供できるように構成することができる。このように本実施形態の選択肢マスタのメンテナンス機能及び選択肢マスタの提供機能は、製造実績データを蓄積・管理する情報管理システムに対して内的に又は外的に設けることができる。
【0059】
以上、実施形態について説明したが、本実施形態のレコードは、製造実績データに限られない。例えば、品質検査実績(品番、工程、設備、検査項目など)、部材受入実績(部品品番、サプライヤ、受入検査項目など)、設備保全実績(設備、保全種別、保全項目など)のデータを蓄積・管理する情報管理システムにも、上述の選択肢マスタ管理機能等を適用することができる。
【0060】
また、上述の品質検査実績、部材受入実績、設備保全実績などの各データも、製造実績データ同様に、図4に示したデータモデル、すなわち、図4に示したデータ構造定義を用い、収集される各種情報を構造化して生成されたレコード構成とすることができる。なお、本実施形態の選択肢マスタのメンテナンス機能及び選択肢マスタの提供機能は、上述したデータモデルによるデータの蓄積・管理でなくても適用可能であるが、同じデータモデルを適用したデータの蓄積・管理に対して本実施形態の選択肢マスタ管理機能を適用することで、選択肢の流用が可能となる。例えば、異なる業務(例えば、製造と設備保全)が同じモノの見方ができる、というメリットがある。
【0061】
また、リレーショナルデータベース(RDB)のレコード形式以外にも、KVS(Key-Value Store)構造のデータにも適用可能である。KVSのデータストア形式は、KeyとValueを組み合わせる構造であり、この組み合わせが、上述のフィールドの項目名と項目値に対応する。例えば、KEYが「工場:F01_ライン:01」のValueは「L01」、KEYが「工場:F01_工程作業:PRC01」のValueは「PRC01」のように保持され、各KEYを項目名、それに対応する項目値がValueとなる。したがって、上述の選択肢マスタの生成及び登録処理を適用して選択肢マスタデータ及び関連選択肢マスタデータを生成、登録することができる。
【0062】
また、上述の情報管理装置100を構成する各機能は、プログラムによって実現可能であり、各機能を実現するために予め用意されたコンピュータプログラムが補助記憶装置に格納され、CPU等の制御部が補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置に読み出し、主記憶装置に読み出された該プログラムを制御部が実行することで、各部の機能を動作させることができる。
【0063】
また、上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された状態で、コンピュータに提供することも可能である。コンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD-ROM等の光ディスク、DVD-ROM等の相変化型光ディスク、MO(Magnet Optical)やMD(Mini Disk)などの光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスクやリムーバブルハードディスクなどの磁気ディスク、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、SDメモリカード、メモリスティック等のメモリカードが挙げられる。また、本発明の目的のために特別に設計されて構成された集積回路(ICチップ等)等のハードウェア装置も記録媒体として含まれる。
【0064】
なお、本発明の実施形態を説明したが、当該実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
100 情報管理システム
110 通信装置
120 制御装置
121 情報管理部
121A 選択肢マスタ管理部
121B データ検索機能部
122 データ蓄積管理部
130 記憶装置
131 製造実績データ
132 マスタ情報(選択肢マスタデータ、関連選択肢マスタデータ)
図1
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図10