(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015776
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板
(51)【国際特許分類】
G01R 11/04 20060101AFI20230125BHJP
G01R 22/06 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
G01R11/04 Z
G01R22/06 130H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119753
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】酒井 晃
(57)【要約】
【課題】樹脂製の銘板の割れを回避することができる電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板を提供する。
【解決手段】電力量計の銘板の文字捺印方法は、樹脂製の銘板1の捺印部2a,2bにシール3a,3bを貼り付け、シール3a,3bに1回目の文字捺印を施し、検定有効期限の満了時にシール3a,3bを捺印部2a,2bから剥がし、シール3a,3bが剥がされた捺印部2a,2bに2回目の文字捺印を施す。薬品による捺印の除去がないため、銘板の割れを回避することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の銘板の捺印部にシールを貼り付け、
前記シールに1回目の文字捺印を施し、
電力量計の検定有効期限の満了時に前記シールを前記捺印部から剥がし、
前記シールが剥がされた前記捺印部に2回目の文字捺印を施す、
ことを特徴とする電力量計の銘板の文字捺印方法。
【請求項2】
樹脂製の銘板の捺印部にシート材を差し込み、
前記シート材に1回目の文字捺印を施し、
電力量計の検定有効期限の満了時に前記シート材を前記捺印部から取り外し、
前記シート材が取り外された前記捺印部に2回目の文字捺印を施す、
ことを特徴とする電力量計の銘板の文字捺印方法。
【請求項3】
樹脂製の銘板の捺印部と、
前記捺印部に貼り付けられ且つ1回目の文字捺印が施されたシールとを備え、
前記シールは、電力量計の検定有効期限の満了時に前記捺印部から剥がされ、
前記シールが剥がされた前記捺印部には2回目の文字捺印が施されることを特徴とする電力量計の銘板。
【請求項4】
樹脂製の銘板の捺印部と、
前記捺印部に差し込まれ且つ1回目の文字捺印が施されたシート材とを備え、
前記シート材は、電力量計の検定有効期限の満了時に前記捺印部から取り外され、
前記シート材が取り外された前記捺印部には2回目の文字捺印が施されることを特徴とする電力量計の銘板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変成器付電力量計の輸送時に、輸送箱内で変成器付電力量計と輸送箱とが擦れることで発生する静電気が、変成器付電力量計外部(プラスチック筐体)に帯電する。帯電した静電気の放電時に変成器付電力量計外部から変成器付電力量計内部に設けているアルミニウム製の銘板を経由して、静電気が電子部品に伝わり、電子部品が破壊するという不具合事象が発生することがある。
【0003】
不具合事象の対策として、アルミニウム製の銘板に樹脂製シートを両面テープで銘板裏側に貼り付けて、銘板と電子部品の間を絶縁することが考えられる。しかし、部品と貼付工数の増加によるコストアップや、経年劣化により両面テープが剥がれ落ちるリスクがある。このため、銘板の材料をアルミニウムから樹脂に変更することで、上記の課題は解決する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、銘板には、
図4(a)に示すように定格電流、乗率等を捺印する捺印部20a,20bがある。そして、
図4(b)に示すように、例えば、1回目の使用時の一次側定格電圧が27500V、一次側定格電流が20Aとした場合、捺印時には、捺印部20aに文字20を捺印し、捺印部20bに文字×100を捺印する。
【0006】
次に、
図4(c)に示すように、検定有効期限の満了時(7年後)には、アルコール等の薬品で捺印部20a,20bに捺印された文字を拭き取る。
【0007】
次に、
図4(d)に示すように、例えば、2回目の使用時の一次側定格電圧が27500V、一次側定格電流が50Aとした場合、捺印部20aに2回目の文字50を捺印し、捺印部20bに2回目の文字×1000を捺印する。この場合、樹脂に薬品を使用することで銘板にソルベントクラックが発生し、銘板が割れるおそれがある。樹脂製の銘板を使用するには、樹脂製の銘板の割れを回避する必要があった。
【0008】
本発明は、樹脂製の銘板の割れを回避することができる電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の電力量計の銘板の文字捺印方法は、樹脂製の銘板の捺印部にシールを貼り付け、前記シールに1回目の文字捺印を施し、電力量計の検定有効期限の満了時に前記シールを前記捺印部から剥がし、前記シールが剥がされた前記捺印部に2回目の文字捺印を施す、ことを特徴とする。
【0010】
請求項2の電力量計の銘板の文字捺印方法は、樹脂製の銘板の捺印部にシート材を差し込み、前記シート材に1回目の文字捺印を施し、電力量計の検定有効期限の満了時に前記シート材を前記捺印部から取り外し、前記シート材が取り外された前記捺印部に2回目の文字捺印を施す、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の電力量計の銘板は、樹脂製の銘板の捺印部と、前記捺印部に貼り付けられ且つ1回目の文字捺印が施されたシールとを備え、前記シールは、電力量計の検定有効期限の満了時に前記捺印部から剥がされ、前記シールが剥がされた前記捺印部には2回目の文字捺印が施されることを特徴とする。
【0012】
請求項4の電力量計の銘板は、樹脂製の銘板の捺印部と、前記捺印部に差し込まれ且つ1回目の文字捺印が施されたシート材とを備え、前記シート材は、電力量計の検定有効期限の満了時に前記捺印部から取り外され、前記シート材が取り外された前記捺印部には2回目の文字捺印が施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、3の発明によれば、薬品による捺印の除去がないため、銘板にソルベントクラックが発生するリストがなく、樹脂製の銘板の割れを回避することができる。このため、2回目の使用が可能となる。
【0014】
請求項2、4の発明によれば、請求項1の発明に比べ、シート材の取り付け位置のズレを気にしなくても良いため、作業効率が良い。また、シールの糊残りがないため、2回目に綺麗に捺印できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の銘板の捺印部にシールを貼り付けてシールに1回目の文字捺印を施す方法を示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る電力量計の銘板の捺印部の左右の引掛部にシート材の凸部を差し込むことを示す図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る電力量計の銘板の捺印部の左右の引掛部にシート材の凸部が差し込まれた状態で1回目の捺印を施す方法を示す図である。
【
図4】従来の電力量計の銘板の捺印部への1回目の捺印と2回目の捺印の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、アルコール等の薬品で捺印部を拭き取ることなく捺印文字の変更が可能な樹脂製の銘板の文字捺印方法及び銘板を提供する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力量計の銘板の捺印部にシールを貼り付けてシールに1回目の捺印を施す方法を示す図である。
図1に示す銘板1は、ポリカーボネート、アクリル等の樹脂製からなる。銘板1の下部には、変成器付複合計器と印字されている。
【0019】
銘板1の右上部には文字を捺印すべき捺印部2a,2bが設けられている。次に、
図1(b)に示すように、捺印部2a,2bにシール3a,3bが貼り付けられる。
【0020】
さらに、
図1(c)に示すように、捺印部2a,2bに貼り付けられたシール3a,3bの上に1回目の文字捺印を行う。この例ではシール3aに20と捺印され、シール3bに×100と捺印される。
【0021】
次に、文字捺印してから7年後、即ち、電力量計の検定有効期限の満了時に、
図1(d)に示すように、捺印部2a,2bからシール3a,3bを剥がす。すると、捺印が除去され、
図1(e)に示すように、2回目の文字捺印前の状態となる。
【0022】
次に、
図1(f)に示すように、捺印部2a,2bの上に2回目の文字捺印を行う。この例では捺印部2aに50と捺印され、捺印部2bに×1000と捺印される。
【0023】
このように第1の実施形態に係る電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板によれば、薬品による捺印の除去がないため、銘板1にソルベントクラックが発生するリストがなく、樹脂製の銘板1の割れを回避することができる。このため、2回目の銘板1の使用が可能となる。
【0024】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板は、第1の実施形態では、シール3a,3bを用いたが、
図2(a)に示すように、シート材4を用いたことを特徴とする。シート材4は、ポリエステル、ポリカーボネート等の樹脂製からなる。
【0025】
図2(b)に示すように、シート材4は、長方形の薄板からなる。シート材4には、長方形の長手方向の端部には凸部4aが形成されている。樹脂製の銘板1aの捺印部2a,2bの長手方向の左右2箇所には細長い穴部からなる引掛部1bが形成されている。
【0026】
図2(b)に示すように、シート材4を撓ませて凸部4aを捺印部2a,2bの左右2箇所の引掛部1bに差し込むと、
図3(a)に示すように、捺印前の状態となる。
【0027】
次に、
図3(b)に示すように、捺印部2a,2bに差し込まれたシート材4の上に1回目の文字捺印を行う。
【0028】
次に、文字捺印してから7年後、即ち、電力量計の検定有効期限の満了時に、
図3(c)、
図3(d)に示すように、シート材4の凸部4aを中心側に押して撓ませ、シート材4を捺印部2a,2bの引掛部1bから取り外す。すると、
図2(e)に示すように、2回目の文字捺印前の状態となる。
【0029】
次に、
図2(f)に示すように、捺印部2a,2bの上に2回目の文字捺印を行う。この例では捺印部2aに50と捺印され、捺印部2bに×1000と捺印される。
【0030】
このように第2の実施形態に係る電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板によれば、第1の実施形態に係る電力量計の銘板の文字捺印方法及び銘板に比べ、シート材4の取り付け位置のズレを気にしなくても良いため、作業効率が良い。また、シール3a,3bの糊残りがないため、2回目に綺麗に文字捺印できる。
【0031】
なお、本発明の第1の実施形態および第2の実施形態の銘板の文字捺印方法及び銘板に限定されるものではない。第1の実施形態および第2の実施形態の銘板の文字捺印方法及び銘板では、捺印する箇所は銘板の右上部の捺印部と記載したが、左上の定格負荷のX.XXとしている箇所も捺印とする場合がある。この箇所についてもシール又はシート材に変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1,1a 銘板
1b 引掛部
2a,2b,20a,20b 捺印部
3a,3b シール
4 シート材
4a,4b 凸部