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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157763
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】コンテナの組立方法及びコンテナ
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/06 20060101AFI20231019BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B65D88/06 A
B62B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067878
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】内海 良介
(72)【発明者】
【氏名】高木 智也
【テーマコード(参考)】
3D050
3E170
【Fターム(参考)】
3D050AA11
3D050BB04
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3E170AA27
3E170AB10
3E170BA10
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】コンテナを搭載して納品する車両に、より多くの台数のコンテナを搭載することができるコンテナの組立方法及びコンテナを提供する。
【解決手段】4本の柱部20へ上面視略矩形状の下部フレーム部10の四方の角部に有する凸部12を差し込んで取り付ける柱部取付ステップと、4本の柱部のうちの2本を1組とし、それぞれの組の柱部をパネル部30の差込部に差込んで取り付けるパネル部取付ステップと、4本の柱部へ略矩形状の天井フレーム部40の四方の角部に有する凸部を差し込んで取り付ける天井フレーム部取付ステップと、パネル部が取り付けられていない面に対して扉部60、70を取り付ける扉部取付ステップとを行うことにより、略密閉した直方体形状に組み立てるコンテナ1において、柱部取付ステップを行う場所へと、各部材を積み重ねて梱包し、車両に搭載して配送する配送ステップを含むものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4本の柱部のそれぞれの一端側に有する中空部へ、下面側に転動自在のキャスタを有するフレームにより形成される上面視略矩形状の下部フレーム部の、四方の角部のそれぞれに有する上方に向けた凸部を差し込んで取り付ける柱部取付ステップと、
前記柱部取付ステップで前記凸部のそれぞれを差し込んだ4本の柱部のうちの2本を1組とし、左側面側の1組の前記柱部と、右側面側の1組の前記柱部とのそれぞれを、略矩形状のパネル部の対向する2辺に有する差込部に差込んで取り付けるパネル部取付ステップと、
前記柱部取付ステップで前記凸部のそれぞれを差し込んだ4本の柱部の他端側に有する中空部へ、略矩形状のフレームにより形成される天井フレーム部の四方の角部のそれぞれの下面側に有する凸部をそれぞれ差し込んで取り付ける天井フレーム部取付ステップと、
前記天井フレーム部取付ステップの後に、前記パネル部が取り付けられていない正面側と背面側との2面に対して、開閉自在に扉部を取り付ける扉部取付ステップと、
を含み、
目的とする場所にて、前記柱部取付ステップと、前記パネル部取付ステップと、前記天井フレーム部取付ステップと、前記扉部取付ステップと、を行うことにより略密閉したコンテナを組み立てるコンテナの組立方法において、
前記柱部取付ステップを行う場所へと、前記下部フレーム部と、前記柱部と、前記パネル部と、前記天井フレーム部と、前記扉部とを、積み重ねて梱包し、車両に搭載して配送する配送ステップを含む
コンテナの組立方法。
【請求項2】
天井フレーム部取付ステップの後には、
下部フレーム部に有する凸部及び柱部と、天井フレーム部に有する凸部及び前記柱部と、のそれぞれの締結をボルトのみにより行い、
その後行う扉部取付ステップでは、扉部に取り付けた抜差し蝶番と、パネル部に取り付けた抜差し蝶番とを軸ピンにより接続して取り付ける
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテナの組立方法。
【請求項3】
目的とする場所にて、柱部取付ステップと、パネル部取付ステップと、天井フレーム部取付ステップと、扉部取付ステップと、を行うことでコンテナを組み立て、
前記組み立てたコンテナの一部が破損した場合に、
組み立てる前の状態へと分解する分解ステップを行い、
さらに前記分解ステップにて分解したコンテナを、再び略密閉したコンテナへと組み立てることが可能である
ことを特徴とする請求項2に記載のコンテナの組立方法。
【請求項4】
少なくとも両端側に中空である中空部を有する4本の柱部と、
上面視略矩形状の天井フレーム、及び前記天井フレームへと被せる板状の天井パネルとを含む天井フレーム部と、
上面視略矩形状の下部フレームの下面側に、転動自在のキャスタを有する下部フレーム部と、
略矩形状で、対向する2辺には前記柱部を差し込む差込部を有する少なくとも2枚のパネル部と、
略矩形状で、取手を取り付けた扉部と、
を備え、
さらに、前記天井フレームの下面側、及び前記下部フレームの上面側の、四方の角部のそれぞれには、前記柱部の両端側に有する中空部へと差し込む凸部を有し、
前記4本の柱部のそれぞれの一端側に有する中空部へ、前記下部フレームの四方の角部のそれぞれに有する凸部を差し込み、
前記下部フレームの四方の角部に有する凸部を差し込んだ前記4本の柱部のうちの2本を1組とし、左側面側の1組の前記柱部と、右側面側の1組の前記柱部とのそれぞれを、前記パネル部の対向する2辺に有する前記差込部に差し込んで取り付け、
前記4本の柱部のそれぞれの他端側に有する中空部へと、前記天井フレームの四方の角部のそれぞれに有する凸部を差し込み、略直方体形状に組み立てて、
前記略直方体形状の、前記パネル部が取り付けられていない正面側と背面側との2面に対して、前記扉部を前記パネル部の一辺へと開閉自在に取り付けることにより、略密閉したコンテナに組み立てることができる前記柱部、前記天井フレーム部、前記下部フレーム部、前記パネル部、及び前記扉部を、積み重ねて梱包し、目的とする場所へと配送する車両へと搭載する
ことを特徴とするコンテナ。
【請求項5】
下部フレームに有する凸部及び柱部と、天井フレームに有する凸部及び前記柱部と、のそれぞれの締結をボルトのみにより行い、
扉部を、前記扉部に取り付けた抜差し蝶番と、パネル部に取り付けた抜差し蝶番とを軸ピンにより接続して取り付ける
ことを特徴とする請求項4に記載のコンテナ。
【請求項6】
目的とする場所へと配送されたコンテナを、略密閉したコンテナへと組み立てた後に、
組み立てる前の状態へと分解し、
さらに再び略密閉した略直方体形状のコンテナへと組み立てることが可能である
ことを特徴とする請求項5に記載のコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給食センターのような大量の食器類や食缶等を使用する施設で、食器類や食缶等を収納して配送に用いるコンテナの組立方法及びコンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、食器を収納した食器篭や、食材を充填した食缶等を収納して配送に用いるコンテナとして、以下のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されたものは、給食センターで、食器を収納した食器篭や調理した食材を充填した食缶類を収納し、喫食を行う場所へと配送するために用いるコンテナである。また、喫食を行う場所で、喫食を終えた後の食器を収納した食器篭や食材を充填していた食缶類を回収して収納し、給食センターへと配送するために用いるコンテナである。
【0004】
コンテナの下部には複数のキャスタが取り付けられており、そのキャスタを転動させることにより、食器を収納した食器篭や食缶類を収納した状態のコンテナを車両へと搭載することができる。そして車両を移動させて、喫食を行う場所へとコンテナの配送を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-6324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたコンテナは、コンテナを製造する企業にて使用可能な状態に予め組み立てられてから給食センターへと納品された後に、喫食を行う場所へと配送して使用される。
【0007】
コンテナを給食センターへと納品するときには、1台の車両に搭載することのできるコンテナの数は限られている。例えば、一般的に給食センターで使用されるコンテナであれば、1台の10トントラックに10台のコンテナが搭載が可能なので、例えばある大型の給食センターで使用している台数である90台のコンテナを搭載して配送するためには、9台もの10トントラックが必要となる。
【0008】
このように、給食センターで必要とする台数のコンテナを給食センターへと納品するためには多くの車両を必要とし、その多くの車両により配送コストを押し上げてしまうという課題があった。
【0009】
本発明は、コンテナを搭載して納品する車両に、より多くの台数のコンテナを搭載することができるコンテナの組立方法及びコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係るコンテナの組立方法は、
4本の柱部のそれぞれの一端側に有する中空部へ、下面側に転動自在のキャスタを有するフレームにより形成される上面視略矩形状の下部フレーム部の、四方の角部のそれぞれに有する上方に向けた凸部を差し込んで取り付ける柱部取付ステップと、
前記柱部取付ステップで前記凸部のそれぞれを差し込んだ4本の柱部のうちの2本を1組とし、左側面側の1組の前記柱部と、右側面側の1組の前記柱部とのそれぞれを、略矩形状のパネル部の対向する2辺に有する差込部に差込んで取り付けるパネル部取付ステップと、
前記柱部取付ステップで前記凸部のそれぞれを差し込んだ4本の柱部の他端側に有する中空部へ、略矩形状のフレームにより形成される天井フレーム部の四方の角部のそれぞれの下面側に有する凸部をそれぞれ差し込んで取り付ける天井フレーム部取付ステップと、
前記天井フレーム部取付ステップの後に、前記パネル部が取り付けられていない正面側と背面側との2面に対して、開閉自在に扉部を取り付ける扉部取付ステップと、
を含み、
目的とする場所にて、前記柱部取付ステップと、前記パネル部取付ステップと、前記天井フレーム部取付ステップと、前記扉部取付ステップと、を行うことにより略密閉したコンテナを組み立てるコンテナの組立方法において、
前記柱部取付ステップを行う場所へと、前記下部フレーム部と、前記柱部と、前記パネル部と、前記天井フレーム部と、前記扉部とを、積み重ねて梱包し、車両に搭載して配送する配送ステップを含むことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係るコンテナは、
少なくとも両端側に中空である中空部を有する4本の柱部と、
上面視略矩形状の天井フレーム、及び前記天井フレームへと被せる板状の天井パネルとを含む天井フレーム部と、
上面視略矩形状の下部フレームの下面側に、転動自在のキャスタを有する下部フレーム部と、
略矩形状で、対向する2辺には前記柱部を差し込む差込部を有する少なくとも2枚のパネル部と、
略矩形状で、取手を取り付けた扉部と、
を備え、
さらに、前記天井フレームの下面側、及び前記下部フレームの上面側の、四方の角部のそれぞれには、前記柱部の両端側に有する中空部へと差し込む凸部を有し、
前記4本の柱部のそれぞれの一端側に有する中空部へ、前記下部フレームの四方の角部のそれぞれに有する凸部を差し込み、
前記下部フレームの四方の角部に有する凸部を差し込んだ前記4本の柱部のうちの2本を1組とし、左側面側の1組の前記柱部と、右側面側の1組の前記柱部とのそれぞれを、前記パネル部の対向する2辺に有する前記差込部に差し込んで取り付け、
前記4本の柱部のそれぞれの他端側に有する中空部へと、前記天井フレームの四方の角部のそれぞれに有する凸部を差し込み、略直方体形状に組み立てて、
前記略直方体形状の、前記パネル部が取り付けられていない正面側と背面側との2面に対して、前記扉部を前記パネル部の一辺へと開閉自在に取り付けることにより、略密閉したコンテナに組み立てることができる前記柱部、前記天井フレーム部、前記下部フレーム部、前記パネル部、及び前記扉部を、積み重ねて梱包し、目的とする場所へと配送する車両へと搭載する
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンテナの組立方法及びコンテナによれば、コンテナを搭載して納品する車両に、より多くの台数のコンテナを搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態のコンテナの、棚部を省略した全体的な構成を示す分解斜視図。
図2】上記コンテナを構成する下部フレームの構成を示す斜視図
図3】上記コンテナを構成する下部フレームカバーの構成を示す斜視図。
図4】上記コンテナを構成する下部パネルの構成を示す斜視図。
図5】上記コンテナを構成する柱部の構成を示し、(a)一方側を手前側に向けた斜視図、(b)は他方側を手前側に向けた斜視図。
図6】上記コンテナを構成するパネル部の構成を示す斜視図。
図7】上記コンテナを構成する天井フレーム及び天井パネルの構成を示す斜視図。
図8】上記コンテナを構成する扉部止めの構成を示す斜視図。
図9】上記コンテナを構成する棚部の構成を示し、(a)は棚の構成を示す斜視図、(b)は棚留めフレームの構成を示す斜視図。
図10】上記コンテナを構成する扉部の構成を示す斜視図。
図11】本発明の、梱包状態のコンテナを示す概略斜視図。
図12】上記コンテナの組み立てを終えた状態を示す斜視図。
図13】上記コンテナの組み立てを終えた状態であって、扉部を開けた状態を示す斜視図。
図14】上記コンテナを構成する右側面側の構成を示し、(a)は扉部を閉めた状態を示す斜視図、(b)は扉部を開けた状態を示す斜視図、(c)は扉部を開けた状態で、扉部止めで扉部を係止した状態を示す斜視図。
図15】本発明のコンテナを搭載する車両の荷台内を透過させた状態を示し、(a)は従来のコンテナを車両に搭載した状態を示す概略斜視図、(b)は本発明の梱包状態のコンテナを車両に搭載した状態を示す概略斜視図。
図16】上記コンテナを構成する下部フレームに下部フレームカバーを取り付ける状態を示す斜視図。
図17】上記コンテナを構成する下部フレームに下部フレームカバーを取り付ける状態を示し、(a)は左側面側のうち、背面側の状態を示す一部拡大斜視図、(b)は右側面側のうち、正面側の状態を示す一部拡大斜視図。
図18】上記コンテナを構成する下部フレームに下部パネルを取り付ける状態を示す斜視図。
図19】上記コンテナを構成する下部フレームに下部パネルを取り付ける状態を示し、(a)は左側面側のうち、背面側の状態を示す一部拡大斜視図、(b)は右側面側のうち、正面側の状態を示す一部拡大斜視図。
図20】上記コンテナを構成する下部フレームに柱部を取り付ける状態を示す斜視図。
図21】上記コンテナを構成する下部フレームに柱部を取り付ける状態を示し、(a)は左側面側のうち、背面側の状態を示す一部拡大斜視図、(b)は右側面側のうち、正面側の状態を示す一部拡大斜視図。
図22】上記コンテナを構成する柱部にパネル部を差し込んで取り付ける状態を示す斜視図。
図23】上記コンテナを構成する柱部に天井フレーム部を取り付ける状態を示す斜視図
図24】上記コンテナを構成する柱部に天井フレーム部を取り付ける状態を示し、(a)は左側面側のうち、背面側で柱部に天井フレームを取り付ける状態を示す一部拡大斜視図、(b)は右側面側のうち、正面側で柱部に天井フレームを取り付ける状態を示す一部拡大斜視図、(c)は右側面側のうち、正面側で柱部に天井フレームを取り付けた後に、天井パネルを被せた状態を示す一部拡大斜視図。
図25】上記コンテナを構成する柱部に棚留めフレームを取り付ける状態を示す斜視図。
図26】上記コンテナを構成する棚留めフレームに棚を取り付ける状態を示す斜視図。
図27】上記コンテナを構成する棚留めフレームに棚を取り付ける状態を示す、一部構成を省略した一部拡大斜視図。
図28】上記コンテナを構成するパネル部に扉部を取り付ける状態を示す斜視図。
図29】上記コンテナを構成する天井フレーム部に扉部止めを取り付ける状態を示す斜視図。
図30】上記コンテナを構成するクッション材を天井フレーム部及び下部フレーム部に取り付ける状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、
4本の柱部のそれぞれの一端側に有する中空部へ、下面側に転動自在のキャスタを有するフレームにより形成される上面視略矩形状の下部フレーム部の、四方の角部のそれぞれに有する上方に向けた凸部を差し込んで取り付ける柱部取付ステップと、
前記柱部取付ステップで前記凸部のそれぞれを差し込んだ4本の柱部のうちの2本を1組とし、左側面側の1組の前記柱部と、右側面側の1組の前記柱部とのそれぞれを、略矩形状のパネル部の対向する2辺に有する差込部に差込んで取り付けるパネル部取付ステップと、
前記柱部取付ステップで前記凸部のそれぞれを差し込んだ4本の柱部の他端側に有する中空部へ、略矩形状のフレームにより形成される天井フレーム部の四方の角部のそれぞれの下面側に有する凸部をそれぞれ差し込んで取り付ける天井フレーム部取付ステップと、
前記天井フレーム部取付ステップの後に、前記パネル部が取り付けられていない正面側と背面側との2面に対して、開閉自在に扉部を取り付ける扉部取付ステップと、
を含み、
目的とする場所にて、前記柱部取付ステップと、前記パネル部取付ステップと、前記天井フレーム部取付ステップと、前記扉部取付ステップと、を行うことにより略密閉したコンテナを組み立てるコンテナの組立方法において、
前記柱部取付ステップを行う場所へと、前記下部フレーム部と、前記柱部と、前記パネル部と、前記天井フレーム部と、前記扉部とを、積み重ねて梱包し、車両に搭載して配送する配送ステップを含む
コンテナの組立方法としたものである。
【0015】
このコンテナの組立方法によれば、例えば給食センターへと納品する車両にコンテナを搭載するとき、組み立て済みのコンテナを搭載するのではなく、構成する部材を積み重ねて梱包した梱包状態のコンテナとすることができる。
【0016】
そして、例えば車両の荷台内に、上下に組み合わせることにより上下間に空間を形成することのできるパレットを組み合わせることで、その形成した空間内に複数の梱包状態のコンテナを搭載することができ、コンテナを配送する車両に、より多くの台数を搭載し納品することができる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、
天井フレーム部取付ステップの後には、
下部フレーム部に有する凸部及び柱部と、天井フレーム部に有する凸部及び前記柱部と、のそれぞれの締結をボルトのみにより行い、
その後行う扉部取付ステップでは、扉部に取り付けた抜差し蝶番と、パネル部に取り付けた抜差し蝶番とを軸ピンにより接続して取り付ける
ことを特徴とするコンテナの組立方法としたものである。
【0018】
このコンテナの組立方法によれば、コンテナを組み上げるための締結部品をボルトとし、扉部をパネル部に取り付ける蝶番を抜差し蝶番として、特殊な工具がなくともコンテナが納品される場所にて容易に組み立てることができる。
【0019】
第3の発明は、第2の発明において、
目的とする場所にて、柱部取付ステップと、パネル部取付ステップと、天井フレーム部取付ステップと、扉部取付ステップと、を行うことでコンテナを組み立て、
前記組み立てたコンテナの一部が破損した場合に、
組み立てる前の状態へと分解する分解ステップを行い、
さらに前記分解ステップにて分解したコンテナを、再び略密閉したコンテナへと組み立てることが可能である
ことを特徴とするコンテナの組立方法としたものである。
【0020】
このコンテナの組立方法によれば、納品されたコンテナの一部が破損した場合に、破損した部材に代わる部材を取り寄せることで、納品された場所でコンテナを容易に分解して組み直し、コンテナを破損していない状態へと補修することができる。そして、コンテナの補修に必要な配送コストを低減することができる。
【0021】
第4の発明は、
少なくとも両端側に中空である中空部を有する4本の柱部と、
上面視略矩形状の天井フレーム、及び前記天井フレームへと被せる板状の天井パネルとを含む天井フレーム部と、
上面視略矩形状の下部フレームの下面側に、転動自在のキャスタを有する下部フレーム部と、
略矩形状で、対向する2辺には前記柱部を差し込む差込部を有する少なくとも2枚のパネル部と、
略矩形状で、取手を取り付けた扉部と、
を備え、
さらに、前記天井フレームの下面側、及び前記下部フレームの上面側の、四方の角部のそれぞれには、前記柱部の両端側に有する中空部へと差し込む凸部を有し、
前記4本の柱部のそれぞれの一端側に有する中空部へ、前記下部フレームの四方の角部のそれぞれに有する凸部を差し込み、
前記下部フレームの四方の角部に有する凸部を差し込んだ前記4本の柱部のうちの2本を1組とし、左側面側の1組の前記柱部と、右側面側の1組の前記柱部とのそれぞれを、前記パネル部の対向する2辺に有する前記差込部に差し込んで取り付け、
前記4本の柱部のそれぞれの他端側に有する中空部へと、前記天井フレームの四方の角部のそれぞれに有する凸部を差し込み、略直方体形状に組み立てて、
前記略直方体形状の、前記パネル部が取り付けられていない正面側と背面側との2面に対して、前記扉部を前記パネル部の一辺へと開閉自在に取り付けることにより、略密閉したコンテナに組み立てることができる前記柱部、前記天井フレーム部、前記下部フレーム部、前記パネル部、及び前記扉部を、積み重ねて梱包し、目的とする場所へと配送する車両へと搭載する
ことを特徴とするコンテナとしたものである。
【0022】
このコンテナによれば、例えば給食センターへと納品する車両にコンテナを搭載するとき、組み立て済みのコンテナを搭載するのではなく、構成する部材を積み重ねて梱包した梱包状態のコンテナとすることができる。
【0023】
そして、例えば車両の荷台内に、上下に組み合わせることにより上下間に空間を形成することのできるパレットを組み合わせることで、その形成した空間内に複数の梱包状態のコンテナを搭載することができ、コンテナを配送する車両に、より多くの台数を搭載し納品することができる。
【0024】
第5の発明は、第4の発明において、
下部フレームに有する凸部及び柱部と、天井フレームに有する凸部及び前記柱部と、のそれぞれの締結をボルトのみにより行い、
扉部を、前記扉部に取り付けた抜差し蝶番と、パネル部に取り付けた抜差し蝶番とを軸ピンにより接続して取り付ける
ことを特徴とするコンテナとしたものである。
【0025】
このコンテナによれば、コンテナを略直方体形状に組み上げるための締結部品をボルトとし、扉部をパネル部に取り付ける蝶番を抜差し蝶番として、特殊な工具がなくともコンテナが納品される場所にて容易に組み立てることができる。
【0026】
第6の発明は、第5の発明において、
目的とする場所へと配送されたコンテナを、略密閉したコンテナへと組み立てた後に、
組み立てる前の状態へと分解し、
さらに再び略密閉した略直方体形状のコンテナへと組み立てることが可能である
ことを特徴とするコンテナとしたものである。
【0027】
このコンテナによれば、納品されたコンテナの一部が破損した場合に、破損した部材に代わる部材を取り寄せることで、納品された場所でコンテナを容易に分解して組み直し、コンテナを破損していない状態へと補修することができる。そして、コンテナの補修に必要な配送コストを低減することができる。
【0028】
(実施形態1)
(コンテナの構成)
以下、本発明の一実施形態であるコンテナの組立方法及びコンテナについて、基本的な構成を説明する。
【0029】
図1に示すように、コンテナ1は、
コンテナ1の土台部分となり、下部に転動自在なキャスタ13を取り付けた下部フレーム部10と、
下部フレーム部10の四方の角部の上面側に計4本有する柱部20と、
柱部20へ差し込むことで取り付けるパネル部30と、
コンテナ1の天井部分となる天井フレーム部40と、
正面側と背面側とにそれぞれ取り付ける右扉部(扉部)60及び左扉部(扉部)70と、
図9に示す、コンテナ1の内部の収納空間2に食器を収納した食器篭や食缶類を載置して収納するための棚部50と、
により構成される。
【0030】
本実施形態においては、締結部材の一例として、一般的な工具により締結することのできるボルトを使用する。なお、その他にもファスナー等の専門的な工具を必要としない締結部材によって締結してもよい。
【0031】
(下部フレーム部)
まずは、下部フレーム部10について説明する。
【0032】
図1図4に示すように、下部フレーム部10は、
上面視略矩形状となるようフレームを溶接等により固着して組み合わせ、下面側に転動自在のキャスタ13を取り付けた下部フレーム11と、
下部フレーム11の左側面側及び右側面側とに、上方から取り付ける下部フレームカバー14と、
下部フレーム11に嵌め込む板状の、上面視略矩形状である下部パネル15と、
により構成される。
【0033】
図2に示すように、下部フレーム11は四方の角部に、上方に向けて突設する凸部12を有する。凸部12は上面視でコの字状となっており、万が一凸部12に水がかかったとしても排水する構造となっている。また、凸部12には、図5に示す柱部20にあけた取付孔24から締結部材、例えばボルトを挿入し、締めることができるメネジ孔12aを傾斜方向に並べてあけている。また、下部フレーム11は四方の角部に、後述するクッション材16を固定するためのメネジ孔11aを有する。
【0034】
図3に示すように、下部フレームカバー14の両端側には、下部フレーム11の四方の角部に有する凸部12へと挿入するための開口14aをあけている。また、下部フレームカバー14は角部に、後述するクッション材16を固定する締結部材を通すための取付孔14bを有する。
【0035】
図4に示すように、下部パネル15は、上面視で矩形状の板材の四辺を下方に折り曲げた部材で、四方の角部には下部パネル15を下部フレーム11に取り付けたときに、下部フレーム11の四方の角部に有する凸部12が干渉しないように設けた切り欠き部15aを有する。
【0036】
(柱部)
柱部20は、下部フレーム部10の四方の角部と、天井フレーム部40の四方の角部とを接続し、左側面側と右側面側とにパネル部30を取り付けるものである。
【0037】
図5に示すように、柱部20は、
断面が矩形状で内部を中空とし、柱部20の対向する面で同じ位置となるように水平方向に並べて取付孔22をあけた柱部20の上部である上中空部(中空部)21と、
断面が矩形状で内部を中空とし、柱部20の対向する面で同じ位置となるよう、傾斜方向に並べて取付孔24をあけた柱部20の下部である下中空部(中空部)23と、
により構成される。
【0038】
取付孔24は、皿モミ孔として形成されている。
【0039】
柱部20には、対向する面の上段、中段、下段の三か所に後述する棚留めフレーム54を取り付けるためのメネジ孔20aをあけている。
【0040】
(パネル部)
パネル部30は、柱部20を差し込み、コンテナ1を組み立てたときに収納空間2の左側面と右側面とを形成するものである。
【0041】
図6に示すように、パネル部30は、
コンテナ1を組み立てたときに、把持してコンテナ1を操作するための把持部31aを嵌め込んだ略矩形状の板である側面パネル31と、
側面パネル31の対向する2辺に設けた、柱部20を差し込むことのできる筒状の差込部32と、
差込部32に有し、右扉部60及び左扉部70を取り付けるための第1の抜差し蝶番(抜き差し蝶番)33と、
により構成される。
【0042】
差込部32には、柱部20を差し込んだときに柱部20に有するメネジ孔20aと一致する位置に、取付孔32bをあけている。
【0043】
差込部32の下端側は、下部フレーム11に有する凸部12を差し込む際の差込開口32aとなる。また、差込部32の上端側は、天井フレーム41に有する凸部42を差し込む際の差込開口32aとなる。
【0044】
(天井フレーム部)
天井フレーム部40は、コンテナ1を組み立てたときに収納空間2の天井面を形成するものである。
【0045】
図7に示すように、天井フレーム部40は、
上面視略矩形状となるようフレームを溶接等により固着して組み合わせた天井フレーム41と、
天井フレーム41に被せる板状の天井パネル43と、
図8に示す扉部止め44と、
により構成される。
【0046】
図7に示すように、天井フレーム41は四方の角部に、下方に向けて突設する凸部42を有する。凸部42は底面視でコの字状となっている。コンテナ1を組み立てたときに、上面視で同じ位置となる下部フレーム11に有する凸部12と、天井フレーム41に有する凸部42とはコの字を同じ向きとしている。凸部42には、凸部42を柱部20の上中空部21に差し込んだときに、上中空部21に水平方向に並べてあけた取付孔22と一致する位置に、メネジ孔42aを水平方向に並べてあけている。
【0047】
天井パネル43は、上面視で略矩形状の板材の四辺を下方に折り曲げた部材で、天井フレーム41を覆うように被せることができる形状となっている。後述する扉部止め44及びクッション材16を取り付ける際に必要となる取付孔43aをあけている。
【0048】
図8に示す扉部止め44は、板状の止め板45と、天井フレーム41にあけたメネジ孔41aへと締結部材を挿入して固定することのできる取付孔を有する蝶番46と、後述する扉部60、70の係止棒61b、71bを係止するための止め板45の両端側にあけた留め孔45aと、を有する。
【0049】
(棚部)
棚部50は、収納空間2内に設けられ、コンテナ1に収納する食器を収納した食器篭や食缶類を載置するものである。
【0050】
図9に示すように、棚部50は、
3本の梁52の間に丸パイプ(横桟)53をわたした棚51と、
コンテナ1の収納空間2の内部で、棚51の梁52の端部を載置することで棚51を固定する棚留めフレーム54と、
により構成される。
【0051】
図9(a)に示すように、棚51は、3本の梁52を平行にわたし、両端に配置した梁52の対向する内側と、中央に配置した梁52の両側とにパイプ貫通孔52bをあけて丸パイプ53を貫通させて横桟とし、梁52と丸パイプ53とを溶接等により固着することにより構成している。
【0052】
図9(b)に示すように、棚留めフレーム54は、
コンテナ1を組み立てるときに、差込部32にあけた取付孔32b、及び柱部20にあけたメネジ孔20aに締結部材を挿入して締め、その締結部材に着脱自在に棚留めフレーム54を係止するためのダルマ孔54aと、
水平方向に突出し、棚51の梁52を載置して係止する棚係止部54bと、
を有する。
【0053】
また、棚係止部54bには、棚係止部54bに棚51の梁52を載置した後に、梁52にあけた取付孔52aへと締結部材を挿入して締めることにより、棚係止部54bに棚51を固定するメネジ孔54cをあけている。
【0054】
(扉部)
扉部60、70は、コンテナ1の正面側と背面側から収納空間2への食器を収納した食器篭や食缶類等の出し入れをするために、開閉自在に設けられるものである。
【0055】
図10に示すように、扉部60、70は、
正面側から見て右側、及び背面側から見て右側に取り付ける右扉部60と、
正面側から見て左側、及び背面側から見て左側に取り付ける左扉部70と、
により構成される。
【0056】
また、右扉部60は、
右扉部60のうち左側に位置し、取手部64の回転把持部64aを回転させることにより、上部に有する貫通孔61aを出入自在とした係止棒61bを有する正面視矩形状の第1の右扉部パネル(第1の扉部パネル)61と、
第1の右扉部パネル61と図示しない蝶番63により回動自在に接続された正面視矩形状の第2の右扉部パネル(第2の扉部パネル)62と、
第2の右扉部パネル62の右側の辺に取り付けた第2の抜差し蝶番(抜差し蝶番)65と、
により構成される。
【0057】
また、左扉部70は、
左扉部70のうち右側に位置し、取手部74の回転把持部74aを回転させることにより、上部に有する貫通孔71aを出入自在とした係止棒71bを有する正面視矩形状の第1の左扉部パネル(第1の扉部パネル)71と、
第1の左扉部パネル71と図示しない蝶番73により回動自在に接続された正面視矩形状の第2の左扉部パネル(第2の扉部パネル)72と、
第2の左扉部パネル72の左側の辺に取り付けた第2の抜差し蝶番(抜差し蝶番)75と、
により構成される。
【0058】
(梱包状態のコンテナ)
図11に示すように、コンテナ1は、コンテナ1を構成する各部材を下部フレーム11の上に積み重ねて梱包状態のコンテナ1aとする。梱包は、下部フレーム11の上に各部材を積み重ねた上で、移動可能なようにキャスタ13を露出させ、積み重ねた部材がずれないように樹脂フィルムを巻いて行う。
【0059】
なお、下部フレーム11の上に各部材を積み重ねて梱包状態のコンテナ1aとすることができるのであれば、積み重ねた部材をずれないようにするための樹脂フィルムは、他の部材としてもよい。例えば、板金を折り曲げることにより形成した箱や、樹脂バンド等を用いることが可能である。
【0060】
(組立状態のコンテナ)
図12に示すように、梱包状態のコンテナ1aの梱包を解き、後述する本発明のコンテナ1の組立方法を構成する各種ステップを経ることにより組み立てを終えたコンテナ1は、略直方体形状で、右扉部60及び左扉部70を閉めることによりコンテナ1の収納空間2を略密閉した状態とすることができる構成となっている。
【0061】
図10に示す右扉部60及び左扉部70は、取手部64、74の回転把持部64a、74aを把持して回転することにより、第1の右扉部パネル61及び第1の左扉部パネル71の上部に有する貫通孔61a、71aを貫通して突出する係止棒61b、71bが出入自在とされている。
【0062】
そのため、図12に示すように扉部60、70を閉めるときには、図10に示す回転把持部64a、74aを把持して回転し、係止棒61b、71bを第1の右扉部パネル61及び第1の左扉部パネル71の中に入れた状態とする。
【0063】
右扉部60及び左扉部70を閉めた後に、回転把持部64a、74aを把持して回転することにより係止棒61b、71bを貫通孔61a、71aから突出させて、図示しない天井フレーム41の下部に有する係止穴へと挿入して扉部60、70を係止させ、閉めた状態とすることができる。
【0064】
図13に示すように、右扉部60及び左扉部70を開くときには、回転把持部64a、74aを把持して回転することにより、係止棒61b、71bを第1の右扉部パネル61及び第1の左扉部パネル71の中に入れた状態として、天井フレーム41の下部に有する係止穴から抜き、右扉部60及び左扉部70を手前に引く。
【0065】
また、右扉部60及び左扉部70を開けたときには、コンテナ1の右側面側と左側面側とに取り付けた扉部止め44により、右扉部60及び左扉部70を係止して固定することができる。
【0066】
図14(a)に示す右扉部60及び左扉部70を閉めた状態から、図14(b)に示すように、手前に引いた右扉部60及び左扉部70を図示しない蝶番63、73により2つに折りたたんで右側面側と左側面側とでパネル部30に密接させることで、右扉部60及び左扉部70を開けた状態とすることができる。
【0067】
そして、図14(c)に示すように、扉部止め44を鉛直方向に立てた状態から水平方向に倒すことにより、扉部止め44の留め孔45aに第1の右扉部パネル61及び第1の左扉部パネル71の上部に有する貫通孔61a、71aから突出させた係止棒61b、71bを挿入することができる。これにより、扉部止め44の留め孔45aで右扉部60及び左扉部70の係止棒61b、71bを係止し、右扉部60及び左扉部70を開いた状態で固定することができる。
【0068】
(コンテナの組立方法)
次に、コンテナ1の組立方法について説明する。
【0069】
コンテナ1の組立方法は、
下部フレーム部10の上に、柱部20と、パネル部30と、天井フレーム部40と、棚部50と、右扉部60及び左扉部70とを、積み重ねた上で梱包する梱包ステップS1と、
梱包ステップS1により梱包した梱包状態のコンテナ1aを、車両Vに搭載して納品する場所へと配送する配送ステップS2と、
梱包状態のコンテナ1aの梱包を解き、下部フレーム11に下部フレームカバー14及び下部パネル15を取り付ける下部フレーム部組立ステップS3と、
4本の柱部20へと、下部フレーム11の四方の角部のそれぞれに有する凸部12をそれぞれ差し込んで取り付ける柱部取付ステップS4と、
パネル部30へ、柱部取付ステップS4で下部フレーム11に取り付けた柱部20を差し込んで取り付けるパネル部取付ステップS5と、
パネル部取付ステップS5で、パネル部30を取り付けた柱部20へ、天井フレーム41の四方の角部に有する凸部42をそれぞれ差し込んで取り付け、天井パネル43を被せる天井フレーム部取付ステップS6と、
コンテナ1の内部の収納空間2内に棚部50を取り付ける棚部取付ステップS7と、
開閉自在となるよう右扉部60及び左扉部70を、パネル部30へと取り付ける扉部取付ステップS8と、
下部フレーム部10及び天井フレーム部40にクッション材16を取り付けるクッション材取付ステップS9と、
コンテナ1を個々の部材へと分解する分解ステップS10と、
により構成される。
【0070】
(梱包ステップ)
最初に行う、梱包ステップS1について説明する。
【0071】
図11に示すように、図1及び図9に示すコンテナ1の各部材を下部フレーム11の上に積み重ねた上で、移動可能なようにキャスタ13を露出させ、積み重ねた部材がずれないように樹脂フィルムを巻いて梱包し、梱包状態のコンテナ1aとする。
【0072】
これにより、コンテナ1を小さくまとめたコンパクトな構成とすることができる。さらに、そのようにコンパクトな構成とした状態でキャスタ13を転動させて移動させることを可能としているため、梱包状態のコンテナ1aの移動を容易とすることができる。
【0073】
(配送ステップ)
梱包ステップS1の次に行う、配送ステップS2について説明する。
【0074】
図15(b)に示すように、図11に示す梱包状態のコンテナ1aを車両Vに搭載する。
【0075】
図15(a)は従来のコンテナC、つまりコンテナを製造する企業で組み立てて搭載し、納品する場所へと配送する場合の車両Vの状態を示している。従来のコンテナCは組み立てられているため、車両Vには所定の台数、例えば10台しか従来のコンテナCを搭載することはできない。
【0076】
図15(b)は本発明の梱包状態のコンテナ1aを車両Vに搭載し、納品する場所へと配送する車両Vの状態を示している。コンテナ1は納品する場所にて組み立てるため、車両Vの荷台内で上下に組み合わせることにより上下間に空間を形成することのできる公知のパレットを組み合わせることで、その形成した空間内に梱包状態のコンテナ1aを所定の台数、例えば30台搭載することができる。
【0077】
そして、コンテナ1を納品する場所にて、車両Vから梱包状態のコンテナ1aを順次降ろし、キャスタ13を転動させて組み立て場所まで移動させる。
【0078】
これにより、従来のコンテナCを組み立てた状態で配送する場合に比較して、車両Vにより多くの台数の梱包状態のコンテナ1aを搭載し、梱包状態のコンテナ1aを搭載するための車両Vを少なくすることができる。
【0079】
(下部フレーム部組立ステップ)
配送ステップS2の次に行う、下部フレーム部組立ステップS3について説明する。
【0080】
まずは、配送ステップS2で納品する場所まで移動させた梱包状態のコンテナ1aの梱包を解く。
【0081】
次に、図16及び図17に示すように、下部フレームカバー14の開口14aへ下部フレーム11の凸部12を差し込むように、下部フレーム11に下部フレームカバー14を取り付ける。
【0082】
図18及び図19に示すように、下部フレームカバー14を取り付けた下部フレーム11へ下部パネル15を取り付ける。取り付けの際には、下部パネル15の切り欠き部15aを、下部フレーム11の四方の角部に有する凸部12の内側に位置させて取り付けるため、締結部材により固定しなくとも、下部フレーム11から下部パネル15を脱落させることなくコンテナ1を使用することができる。
【0083】
(柱部取付ステップ)
下部フレーム部組立ステップS3の次に行う、柱部取付ステップS4について説明する。
【0084】
図20に示すように、柱部20の一端側となる下中空部23に、下部フレーム11の四方の角部に有する凸部12を差し込む。図21に示すように、柱部20の下中空部23へ下部フレーム11の凸部12を差し込むときに、柱部20の下中空部23の取付孔24は、下部フレーム11の凸部12に有するメネジ孔12aと合う位置に設けられている。そのため、柱部20の取付孔24へと締結部材を挿入してメネジ孔12aに締結し、下部フレーム11の凸部12に柱部20を固定することができる。
【0085】
また、柱部20の下中空部23にあけている取付孔24と、凸部12にあけたメネジ孔12aとは、傾斜方向に並べてあけている。そのため、取付孔24と、下部フレーム11の凸部12のメネジ孔12aとを合わせるように、柱部20の下中空部23へ凸部12を差し込むことにより、断面が矩形状である柱部20を意図した方向に向けることができる。
【0086】
これにより、もし柱部20として角パイプの溶接管を使用した場合、柱部20の長手方向には溶接による継ぎ目が形成されているが、この継ぎ目を凸部12のコの字状の開放された部分に位置させることができる。そして、柱部20の下中空部23へと凸部12をスムーズに差し込むことができる。その上、柱部20の下中空部23と凸部12とを面で当接させることができ、締結強度を向上させることができる。
【0087】
また、取付孔24は皿モミ孔として形成しているため、締結部材として皿ビスを用いることにより、締結するだけで、締結部材と取付孔24とメネジ孔12aとの中心を揃え、所望する位置に柱部20を容易に固定することができる。また、皿ビスの頭を取付孔24内に埋没させることができるため、柱部20を後述するパネル部30へと差し込む際には、スムーズに差し込むことができる。
【0088】
さらに、パネル部30の差込部32が柱部20の取付孔24を覆い隠すように被さるため、万が一締結部材が緩んだとしても脱落することがなく、使用中のコンテナ1が意図せず分解することを抑制することできる。
【0089】
(パネル部取付ステップ)
柱部取付ステップS4の次に行う、パネル部取付ステップS5について説明する。
【0090】
図22に示すように、柱部取付ステップS4で下部フレーム11の凸部12のそれぞれを差し込んだ4本の柱部20のうちの右側面側と左側面側それぞれで2本を1組とし、1組の柱部20をパネル部30の有する差込部32の下端側の開口部分である差込開口32aに差し込んで、2枚のパネル部30を取り付ける。
【0091】
(天井フレーム部取付ステップ)
パネル部取付ステップS5の次に行う、天井フレーム部取付ステップS6について説明する。
【0092】
図23に示すように、柱部取付ステップS4で下部フレーム11の凸部12のそれぞれを差し込んだ4本の柱部20の上中空部21へ、天井フレーム41の四方の角部に有する凸部42をそれぞれ差し込む。
【0093】
図24(a)及び図24(b)に示すように、このとき、パネル部取付ステップS5でパネル部30の差込部32に差し込んだ柱部20の上中空部21及び取付孔22は、パネル部30の差込部32の上端側の差込開口32aから露出するよう構成している。これにより、柱部20の取付孔22へと締結部材を挿入してメネジ孔42aに締結し、柱部20に天井フレーム41の凸部42を固定することができる。
【0094】
図24(c)に示すように、柱部20の上中空部21に天井フレーム41の凸部42を差し込んだ後に、天井パネル43を天井フレーム41に被せる。天井パネル43は、柱部20の上中空部21の取付孔22を覆い隠すように被さるため、柱部20と天井フレーム41とを固定する締結部材を保護し、万が一にも、締結部材の頭に物品が接触して締結部材を緩めてしまう、又は再度締結部材を締結することができなくなる等の問題を回避することができる。
【0095】
(棚部取付ステップ)
天井フレーム部取付ステップS6の次に行う、棚部取付ステップS7について説明する。
【0096】
図25に示すように、コンテナ1の差込部32にあけた取付孔32b、及び柱部20にあけたメネジ孔20aに締結部材を挿入して締め、締めた締結部材に棚留めフレーム54を取り付ける(図27参照)。
【0097】
具体的には、パネル部30の差込部32にあけた取付孔32b、及び柱部20にあけたメネジ孔20aへと締結部材を挿入して締める。そして、締めた締結部材の頭を、図9(b)に示す棚留めフレーム54の両端にあけたダルマ孔54aへと挿入して係止し、棚留めフレーム54を取り付ける。
【0098】
図25に示すように、本実施形態ではコンテナ1の内部の収納空間2内に、棚留めフレーム54を上段、中段、下段のそれぞれ右側面側と左側面側に取り付ける。
【0099】
図26に示すように、棚留めフレーム54を取り付けたコンテナ1の内部の収納空間2内へ棚51を取り付ける。具体的には、図27に示すように、棚留めフレーム54に有する棚係止部54bへと、棚51の梁52の端部を載置する。そして、梁52の端部に設けた取付孔52aへと締結部材を挿入してメネジ孔54cに締結し、棚係止部54bに棚51を固定する。
【0100】
(扉部取付ステップ)
棚部取付ステップS7の次に行う、扉部取付ステップS8について説明する。
【0101】
図28に示すように、パネル部30に取り付けた第1の抜差し蝶番33へと、右扉部60及び左扉部70に取り付けた第2の抜差し蝶番65、75を、図示しない軸ピン34を介して取り付ける。
【0102】
図29に示すように、右扉部60及び左扉部70をコンテナ1に取り付けた後に、コンテナ1の開口をふさぐように閉める。そして、扉部止め44の蝶番46の取付孔、天井パネル43の取付孔43a、及び天井フレーム41のメネジ孔41aへと締結部材を挿入して締め、扉部止め44を、天井パネル43及び天井フレーム41に固定する。
【0103】
(クッション材取付ステップ)
扉部取付ステップS8の次に行う、クッション材取付ステップS9について説明する。
【0104】
図30に示すように、天井パネル43の四方の角部へとクッション材16を当接させ、クッション材16の取付孔16a、天井パネル43の取付孔43a、及び天井フレーム41のメネジ孔41aへと締結部材を挿入して締め、クッション材16を天井パネル43及び天井フレーム41に固定する。
【0105】
次に、下部フレーム11及び下部フレームカバー14の四方の角部へとクッション材16を当接させ、クッション材16の取付孔16a、下部フレームカバー14の取付孔14b、及び下部フレーム11のメネジ孔11aへと締結部材を挿入して締め、クッション材16を下部フレームカバー14及び下部フレーム11に固定する。
【0106】
以上のステップにより、梱包状態のコンテナ1aをコンテナ1に組み立てることができる。
【0107】
(分解ステップ)
最後に、コンテナ1の一部が破損した場合等に行う、分解ステップS10について説明する。
【0108】
図1図25及び図26に示すように、コンテナ1は各部材を差し込む、若しくは締結部材を挿入し、締めて固定することにより組み立てることができるため、特殊な工具を必要とすることなく、コンテナ1が納品され、使用する場所にて再び個々の部材へと分解することができる。
【0109】
これにより、組み立てたコンテナ1の一部が破損した場合に、破損した部材と交換する部材を取り寄せることで、コンテナ1を使用する場所でコンテナ1を容易に分解して破損した部分を交換し、組み直して、コンテナ1を破損していない状態へと補修することができる。そして、コンテナ1の補修を工場等へと配送することなく、コンテナ1を使用する場所にてコンテナ1の補修を行い、コンテナ1の補修に必要な配送コストを低減することができる。
【0110】
また、図16に示すように、下部フレーム11の左側面側及び右側面側に取り付ける下部フレームカバー14の長手方向で中央部分となる箇所は、下部フレーム11を構成するフレームとの間に隙間を形成するよう構成している。
【0111】
これは、図12に示すコンテナ1を操作するための把持部31aをコンテナ1の左側面側及び右側面側に取り付けているためであり、把持部31aを把持してコンテナ1を押して走行させたときに、真っ先に施設や物品に接触しやすい下部フレームカバー14を変形させてクッションとするためである。
【0112】
その下部フレームカバー14も、分解ステップS10によりコンテナ1を分解し、新品である下部フレームカバー14へと交換することを容易として、コンテナ1を安全に使用するとともに、コンテナ1を走行させる場所や施設の破損を抑制することができる。
【0113】
なお、本実施形態では、柱部取付ステップS4とパネル部取付ステップS5にて、柱部20を下部フレーム11に取り付けた後、パネル部30に柱部20を差し込んで取り付けたが、パネル部30に柱部20を予め取り付けて一体にしたものを、下部フレーム11に取り付けるようにしてもよい。
【0114】
具体的には、予め4本の柱部20を2枚のパネル部30の差込部32へ差し込んでおき、柱部20の下中空部23の取付孔24が露出する所定の位置で柱部20をパネル部30に仮止めし、柱部20とパネル部30とを一体にしておく。
【0115】
仮止めの方法としては、例えば、柱部20及びパネル部30の所定の位置に別途仮止め用のメネジ孔、取付孔を設けて締結部材により締結してもよいし、粘着テープ等で柱部20をパネル部30に仮に固定してもよい。
【0116】
そして、パネル部30に仮止めした柱部20の下中空部23に、下部フレーム11の凸部12を差し込んだ後、柱部20の下中空部23の取付孔24へと締結部材を挿入して凸部12のメネジ孔12aに締結し、下部フレーム11に、パネル部30と一体となった柱部20を固定する。そして、仮止めを解除する。
【0117】
これにより、本実施形態のように下部フレーム11に柱部20を取り付けた後に、柱部20をパネル部30に差し込む場合と比較して、コンテナ1を組み立てるための作業工数を削減することができる。さらに、下部フレーム11に取り付けた柱部20よりも高い位置にパネル部30を持ち上げる必要がなく、安全かつ容易にコンテナ1を組み立てることができる。
【0118】
また、梱包ステップS1のときに、パネル部30に柱部20を予め取り付けて一体にしておくことで、梱包状態のコンテナ1aを柱部20の占有する体積分だけ、さらにコンパクトな構成とすることができる。
【0119】
なお、本実施形態に示したコンテナ1の構成は一例である。コンテナ1を梱包状態とすることができ、納品された及び使用する場所で組み立てと分解をすることができ、給食センターと喫食を行う場所との間で、食器を収納した食器篭や食缶類を配送することができるのであれば、部材を追加又は削除してもよい。例えば、コンテナ1の内部にパネルを追加する、右扉部60及び左扉部70の構成を追加若しくは削除する、等が可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 コンテナ
1a 梱包状態のコンテナ
2 収納空間
10 下部フレーム部
11 下部フレーム
11a メネジ孔
12 凸部
12a メネジ孔
13 キャスタ
14 下部フレームカバー
14a 開口
14b 取付孔
15 下部パネル
15a 切り欠き部
16 クッション材
16a 取付孔
20 柱部
20a メネジ孔
21 上中空部(中空部)
22 取付孔
23 下中空部(中空部)
24 取付孔
30 パネル部
31 側面パネル
31a 把持部
32 差込部
32a 差込開口
32b 取付孔
33 第1の抜差し蝶番(抜差し蝶番)
34 軸ピン
40 天井フレーム部
41 天井フレーム
41a メネジ孔
42 凸部
42a メネジ孔
43 天井パネル
43a 取付孔
44 扉部止め
45 止め板
45a 留め孔
46 蝶番
50 棚部
51 棚
52 梁
52a 取付孔
52b パイプ貫通孔
53 丸パイプ(横桟)
54 棚留めフレーム
54a ダルマ孔
54b 棚係止部
54c メネジ孔
60 右扉部(扉部)
61 第1の右扉部パネル(第1の扉部パネル)
61a 貫通孔
61b 係止棒
62 第2の右扉部パネル(第2の扉部パネル)
63 蝶番
64 取手部
64a 回転把持部
65 第2の抜差し蝶番(抜差し蝶番)
70 左扉部(扉部)
71 第1の左扉部パネル(第1の扉部パネル)
71a 貫通孔
71b 係止棒
72 第2の左扉部パネル(第2の扉部パネル)
73 蝶番
74 取手部
74a 回転把持部
75 第2の抜差し蝶番(抜差し蝶番)

C 従来のコンテナ
V 車両
S1 梱包ステップ
S2 配送ステップ
S3 下部フレーム部組立ステップ
S4 柱部取付ステップ
S5 パネル部取付ステップ
S6 天井フレーム部取付ステップ
S7 棚部取付ステップ
S8 扉部取付ステップ
S9 クッション材取付ステップ
S10 分解ステップ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30