(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157764
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】事故救助支援サーバ装置、事故救助支援携帯端末及び事故救助支援プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/043 20220101AFI20231019BHJP
B63C 9/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H04L51/043
B63C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067879
(22)【出願日】2022-04-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】下田 宏輝
(72)【発明者】
【氏名】米澤 真也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】船員の落水等の事故(船舶衝突、エンジン故障、自動車事故及び転倒事故等も含む。)の救助を支援するにあたり、落水した船員等の具体的な状況及び周囲の船員等の具体的な行動を共有する事故救助支援サーバ装置、事故救助支援携帯位端末及び事故救助支援プログラムを提供する。
【解決手段】事故救助支援システムにおいて、クラウドサーバCSは、各ユーザーの位置及び事故有無の情報を各携帯端末U1、U2から取得する事故情報取得部CS1と、事故情報取得部CS1が取得した各ユーザー以外の情報取得ユーザーの位置及び事故有無の情報を、各携帯端末U1、U2へと通知する事故情報通知部CS2と、事故情報取得部CS1が各ユーザーのうち一ユーザーの事故発生の情報を各携帯端末U1、U2のうち一携帯端末から取得したときに、自ユーザーをホストとし、他ユーザーをゲストとするチャットルームを生成するチャット生成部CS3と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ユーザーの位置及び事故有無の情報を各携帯端末から取得する事故情報取得部と、
前記事故情報取得部が取得した前記各ユーザー以外の情報取得ユーザーの位置及び事故有無の情報を、前記各携帯端末へと通知する事故情報通知部と、
前記事故情報取得部が前記各ユーザーのうち一ユーザーの事故発生の情報を前記各携帯端末のうち一携帯端末から取得したときに、前記一ユーザーをホストとし前記一ユーザー以外の他ユーザーをゲストとするチャットルームを生成するチャット生成部と、
を備えることを特徴とする事故救助支援サーバ装置。
【請求項2】
前記一ユーザーに対して、前記チャットルームの参加権限を強制的に付与し、前記他ユーザーに対して、前記他ユーザーの位置が前記一ユーザーの位置から所定距離以内であるときに、前記チャットルームの参加権限を要求に応じて付与する参加権限付与部、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の事故救助支援サーバ装置。
【請求項3】
前記事故情報取得部が前記一ユーザーの事故救助済みの情報を前記一携帯端末から取得したときに、前記チャットルームを破棄するチャット破棄部、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の事故救助支援サーバ装置。
【請求項4】
自ユーザーの位置及び事故有無の情報をサーバ装置へと通知する事故情報通知部と、
前記サーバ装置から通知された前記自ユーザー以外の情報通知ユーザーの位置及び事故有無の情報を、自己の事故救助支援携帯端末の表示画面に表示する事故情報表示部と、
前記事故情報通知部が前記自ユーザーの事故発生の情報を前記サーバ装置へと通知したときに、前記自ユーザーをホストとし前記自ユーザー以外の他ユーザーをゲストとするチャットルームの参加権限を、強制的に前記サーバ装置から付与されるチャット機能部と、
を備えることを特徴とする事故救助支援携帯端末。
【請求項5】
自ユーザーの位置及び事故有無の情報をサーバ装置へと通知する事故情報通知部と、
前記サーバ装置から通知された前記自ユーザー以外の情報通知ユーザーの位置及び事故有無の情報を、自己の事故救助支援携帯端末の表示画面に表示する事故情報表示部と、
前記事故情報表示部が前記自ユーザー以外の他ユーザーの事故発生の情報を前記表示画面に表示したときに、かつ、前記自ユーザーの位置が前記他ユーザーの位置から所定距離以内であるときに、前記他ユーザーをホストとし前記自ユーザーをゲストとするチャットルームの参加権限を、要求に応じて前記サーバ装置から付与されるチャット機能部と、
を備えることを特徴とする事故救助支援携帯端末。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の事故救助支援携帯端末にインストールされ、前記事故救助支援携帯端末が備える各処理部の各処理ステップを実行するための事故救助支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船員の落水等の事故の救助を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
船員の落水(海中転落)の事故の発生を検知する技術が、特許文献1及び非特許文献1等に開示されている。特許文献1では、船員に装備される無線タグの通信不能に基づいて、船員の落水の事故の発生を検知している。非特許文献1では、船員に装備される携帯端末の水濡れに基づいて、船員の落水の事故の発生を検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】和田雅昭、「海中転落者のための救助支援システムの開発と評価」、情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)、情報処理学会、2006年、54巻、2006-UBI-011、pp.31-38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すると、各船員の落水の有無の情報を共有することができる。しかし、落水した船員の具体的な状況(本当に落水したかどうか、救助が必要であるかどうか、緊急度はどの程度であるか、及び、現状態はどのようであるか等。)を共有することができない。そして、周囲の船員の具体的な行動(救助に向かっているかどうか、救助に時間がどの程度かかるか、及び、救助に必要な道具は何か等。)を共有することができない。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、船員の落水等の事故(船舶衝突、エンジン故障、自動車事故及び転倒事故等も含む。)の救助を支援するにあたり、落水した船員等の具体的な状況及び周囲の船員等の具体的な行動を共有することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、サーバ装置は、一船員の落水等の発生の情報を取得したときに、一船員等をホストとし他船員等をゲストとするチャットルームを生成する。
【0008】
具体的には、本開示は、各ユーザーの位置及び事故有無の情報を各携帯端末から取得する事故情報取得部と、前記事故情報取得部が取得した前記各ユーザー以外の情報取得ユーザーの位置及び事故有無の情報を、前記各携帯端末へと通知する事故情報通知部と、前記事故情報取得部が前記各ユーザーのうち一ユーザーの事故発生の情報を前記各携帯端末のうち一携帯端末から取得したときに、前記一ユーザーをホストとし前記一ユーザー以外の他ユーザーをゲストとするチャットルームを生成するチャット生成部と、を備えることを特徴とする事故救助支援サーバ装置である。
【0009】
この構成によれば、落水した船員等がチャットルームを生成する余裕がないとしても、サーバ装置がチャットルームを自動的に生成することにより、落水した船員等の具体的な状況及び周囲の船員等の具体的な行動を共有することができる。
【0010】
また、本開示は、前記一ユーザーに対して、前記チャットルームの参加権限を強制的に付与し、前記他ユーザーに対して、前記他ユーザーの位置が前記一ユーザーの位置から所定距離以内であるときに、前記チャットルームの参加権限を要求に応じて付与する参加権限付与部、をさらに備えることを特徴とする事故救助支援サーバ装置である。
【0011】
この構成によれば、落水した船員等は、チャットルームを生成する余裕がないとしても、周囲の船員等に対して、具体的な状況を通知することができる。そして、周囲の船員等は、落水した船員等の近傍に位置しており、落水した船員等を早急に救助可能であれば、落水した船員等及び周囲の他船員等に対して、具体的な行動を通知することができる。
【0012】
また、本開示は、前記事故情報取得部が前記一ユーザーの事故救助済みの情報を前記一携帯端末から取得したときに、前記チャットルームを破棄するチャット破棄部、をさらに備えることを特徴とする事故救助支援サーバ装置である。
【0013】
この構成によれば、サーバ装置が落水した船員等の救助済みの情報を通知するとともに、サーバ装置がチャットルームを自動的に破棄することにより、落水した船員等の救助済みの情報及び周囲の船員等の行動が不要である旨を共有することができる。
【0014】
また、本開示は、自ユーザーの位置及び事故有無の情報をサーバ装置へと通知する事故情報通知部と、前記サーバ装置から通知された前記自ユーザー以外の情報通知ユーザーの位置及び事故有無の情報を、自己の事故救助支援携帯端末の表示画面に表示する事故情報表示部と、前記事故情報通知部が前記自ユーザーの事故発生の情報を前記サーバ装置へと通知したときに、前記自ユーザーをホストとし前記自ユーザー以外の他ユーザーをゲストとするチャットルームの参加権限を、強制的に前記サーバ装置から付与されるチャット機能部と、を備えることを特徴とする事故救助支援携帯端末である。
【0015】
この構成によれば、落水した船員等がチャットルームを生成する余裕がないとしても、サーバ装置がチャットルームを自動的に生成することにより、落水した船員等の具体的な状況及び周囲の船員等の具体的な行動を共有することができる。そして、落水した船員等は、チャットルームを生成する余裕がないとしても、チャットルームの参加権限を強制的に付与されるため、周囲の船員等に対して、具体的な状況を通知することができる。
【0016】
また、本開示は、自ユーザーの位置及び事故有無の情報をサーバ装置へと通知する事故情報通知部と、前記サーバ装置から通知された前記自ユーザー以外の情報通知ユーザーの位置及び事故有無の情報を、自己の事故救助支援携帯端末の表示画面に表示する事故情報表示部と、前記事故情報表示部が前記自ユーザー以外の他ユーザーの事故発生の情報を前記表示画面に表示したときに、かつ、前記自ユーザーの位置が前記他ユーザーの位置から所定距離以内であるときに、前記他ユーザーをホストとし前記自ユーザーをゲストとするチャットルームの参加権限を、要求に応じて前記サーバ装置から付与されるチャット機能部と、を備えることを特徴とする事故救助支援携帯端末である。
【0017】
この構成によれば、落水した船員等がチャットルームを生成する余裕がないとしても、サーバ装置がチャットルームを自動的に生成することにより、落水した船員等の具体的な状況及び周囲の船員等の具体的な行動を共有することができる。そして、周囲の船員等は、落水した船員等の近傍に位置しており、落水した船員等を早急に救助可能であれば、落水した船員等及び周囲の他船員等に対して、具体的な行動を通知することができる。
【0018】
また、本開示は、以上に記載の事故救助支援携帯端末にインストールされ、前記事故救助支援携帯端末が備える各処理部の各処理ステップを実行するための事故救助支援プログラムである。
【0019】
この構成によれば、以上に記載の効果を有するプログラムを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本開示は、船員の落水等の事故(船舶衝突、エンジン故障、自動車事故及び転倒事故等も含む。)の救助を支援するにあたり、落水した船員等の具体的な状況及び周囲の船員等の具体的な行動を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の事故救助支援システムの構成の概要を示す図である。
【
図2】本開示の事故救助支援システムの構成の詳細を示す図である。
【
図3】本開示の事故救助支援システムの落水情報の共有処理を示す図である。
【
図4】本開示の事故救助支援携帯端末の落水情報の表示処理を示す図である。
【
図5】本開示の事故救助支援システムの落水事故の救助処理を示す図である。
【
図6】本開示の事故救助支援携帯端末のチャットの書き込み処理を示す図である。
【
図7】変形例の事故救助支援システムの構成の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0023】
(本開示の事故救助支援システムの構成)
本開示の事故救助支援システムの構成の概要を
図1に示す。事故救助支援システムFは、クラウドサーバCS、落水検知ユニットU1、U2及び携帯端末P1、P2を備える。クラウドサーバCSは、携帯端末P1、P2と情報を交換する。落水検知ユニットU1及び携帯端末P1は、船舶V1から落水した船員C1に装備される。落水検知ユニットU2及び携帯端末P2は、船舶V2上に位置する船員C2に装備される。
【0024】
本開示の事故救助支援システムの構成の詳細を
図2に示す。落水検知ユニットU1(U2)は、水環境センサU11(U21)及び落水検知装置U12(U22)を備える。携帯端末P1(P2)は、事故情報通知部P11(P21)、事故情報表示部P12(P22)及びチャット機能部P13(P23)を備える。携帯端末P1(P2)は、落水検知ユニットU1(U2)から、BlueTooth(登録商標)等を用いて情報を取得し、
図3及び
図5に示す事故救助支援プログラム(携帯端末P1(P2)の部分)を実行する。
【0025】
クラウドサーバCSは、事故情報取得部CS1、事故情報通知部CS2、チャット生成部CS3、参加権限付与部CS4及びチャット破棄部CS5を備える。クラウドサーバCSは、携帯端末P1、P2と、5G及びLTE(登録商標)等を用いて情報を交換し、
図3及び
図5に示す事故救助支援プログラム(クラウドサーバCSの部分)を実行する。
【0026】
本開示では、
図3及び
図4に示すように、各船員C1、C2の落水の有無の情報を共有することができる。そして、
図5及び
図6に示すように、落水した船員C1の具体的な状況(本当に落水したかどうか、救助が必要であるかどうか、緊急度はどの程度であるか、及び、現状態はどのようであるか等。)を共有することができる。さらに、
図5及び
図6に示すように、周囲の船員C2の具体的な行動(救助に向かっているかどうか、救助に時間がどの程度かかるか、及び、救助に必要な道具は何か等。)を共有することができる。
【0027】
(本開示の事故救助支援システムの落水情報の共有処理)
本開示の事故救助支援システムFの落水情報の共有処理を
図3に示す。本開示の事故救助支援携帯端末P2(P1もほぼ同様)の落水情報の表示処理を
図4に示す。
【0028】
落水検知ユニットU1(U2)において、水環境センサU11(U21)は、水濡れによる導通の有無又は水中における通信の可否等に基づいて、船員C1(C2)の水環境のデータを落水検知装置U12(U22)へと出力する(ステップS1-1(S1-2))。
【0029】
落水検知ユニットU1(U2)において、落水検知装置U12(U22)は、船員C1(C2)の水環境のデータ(フラグ0又は1)に基づいて、船員C1(C2)の落水の有無を検知する(ステップS2-1(S2-2))。そして、船員C1(C2)の落水の有無の情報を携帯端末P1(P2)へと通知する(ステップS3-1(S3-2))。
【0030】
携帯端末P1(P2)において、事故情報通知部P11(P21)は、船員C1(C2)の落水の有無の情報を落水検知ユニットU1(U2)から取得する(ステップS4-1(S4-2))。そして、船員C1(C2)の位置(GPS測位位置等)及び落水の有無の情報を、クラウドサーバCSへと通知する(ステップS5-1(S5-2))。
【0031】
クラウドサーバCSにおいて、事故情報取得部CS1は、船員C1(C2)の位置及び落水の有無の情報を、携帯端末P1(P2)から取得する(ステップS6)。そして、事故情報通知部CS2は、船員C1(C2)以外の他の船員C2(C1)の位置及び落水の有無の情報を、携帯端末P1(P2)へと通知する(ステップS7)。
【0032】
携帯端末P1(P2)において、事故情報表示部P12(P22)は、船員C1(C2)以外の他の船員C2(C1)の位置及び落水の有無の情報を、クラウドサーバCSから取得する(ステップS8-1(S8-2))。そして、船員C2(C1)の位置及び落水の有無の情報を、後述の表示画面に表示する(ステップS9-1(S9-2))。
【0033】
図4の左欄では、携帯端末P2の表示画面Dにおいて、船舶V2の位置を中心として、船舶V1の位置及び落水が発生していない旨の情報と、船舶V3の位置及び落水が発生していない旨の情報と、が表示されている。
図4の右欄では、携帯端末P2の表示画面Dにおいて、船舶V2の位置を中心として、船舶V1の位置及び落水が発生している旨の情報と、船舶V3の位置及び落水が発生していない旨の情報と、が表示されている。
【0034】
なお、携帯端末P2の表示画面Dにおいて、船舶V2の位置を中心として、救助範囲R(ステップS18の所定距離以内)のみで、船舶V1、V3の位置及び落水の有無の情報が表示されるように、クラウドサーバCSは通知すべき情報を取捨選択してもよい。
【0035】
また、船員C1が船舶V1から落水した直後において、携帯端末P1が船舶V1の位置及び落水が発生している旨の情報を通知してしまえば、船員C1が船舶V1から水没する最中において、携帯端末P1がクラウドサーバCSと通信不能であっても、クラウドサーバCSは船舶V1の位置及び落水が発生している旨の情報を既に取得している。
【0036】
(本開示の事故救助支援システムの落水事故の救助処理)
本開示の事故救助支援システムFの落水事故の救助処理を
図5に示す。本開示の事故救助支援携帯端末P2(P1もほぼ同様)のチャットの書き込み処理を
図6に示す。
【0037】
まず、船員C1が船舶V1から落水する段階について説明する。落水検知ユニットU1は、船員C1の水環境のデータ(フラグ0又は1)に基づいて、船員C1の落水の発生を検知する(ステップS10(S2-1と同様))。携帯端末P1は、船員C1の位置及び落水の発生の情報を、クラウドサーバCSへと通知する(ステップS11(S5-1と同様))。クラウドサーバCSは、船員C1の位置及び落水の発生の情報を、携帯端末P1から取得する(ステップS12(S6と同様))。携帯端末P2は、船員C1の位置及び落水の発生の情報を、表示画面Dに表示する(ステップS13(S9-2と同様))。
【0038】
次に、船員C1が船員C2に救助される段階について説明する。クラウドサーバCSにおいて、チャット生成部CS3は、船員C1をホストとし船員C2をゲストとするチャットルームを生成する(ステップS14)。ここで、ルームID、ルーム名、ホストID、ゲストID及び生成時間を設定する。よって、船員C1がチャットルームを生成する余裕がないとしても、クラウドサーバCSがチャットルームを自動的に生成することにより、船員C1の具体的な状況及び船員C2の具体的な行動を共有することができる。
【0039】
クラウドサーバCSにおいて、参加権限付与部CS4は、船員C1に対して、チャットルームの参加権限を強制的に付与する(ステップS15)。そして、携帯端末P1において、チャット機能部P13は、クラウドサーバCSから、チャットルームの参加権限を強制的に付与され、チャットの書き込みを実行する(ステップS16)。さらに、チャットルームから退出することができ、チャットルームに再参加することもできる。
【0040】
図6の右欄では、船員C1は、船員C2、C3に救助されたときに、「助かりました」とチャットに書き込んでいる。よって、船員C1は、チャットルームを生成する余裕がないとしても、船員C2、C3に対して、具体的な状況を通知することができる。
【0041】
携帯端末P2において、船員C2は、船員C1の落水の発生の表示を押下する(ステップS17、
図6の左欄の船員C2の指)。クラウドサーバCSにおいて、参加権限付与部CS4は、船員C2の位置が船員C1の位置から所定距離以内である旨を確認する(ステップS18、
図6の左欄の救助範囲R)。ここで、船員C2が船員C1のフレンドとして登録されていなくてもよく、船員C2が船員C1の救助範囲R内に位置してさえいればよい。
【0042】
クラウドサーバCSにおいて、参加権限付与部CS4は、船員C2に対して、チャットルームの参加権限を要求に応じて付与する(ステップS19)。ここで、船員C2が船員C1の落水の当初の状況を知るために、チャットログを送信する。そして、携帯端末P2において、チャット機能部P23は、クラウドサーバCSから、チャットルームの参加権限を要求に応じて付与され、チャットの書き込みを実行する(ステップS20)。さらに、チャットルームから退出することができ、チャットルームに再参加することもできる。
【0043】
図6の右欄では、船員C3は、船員C1が落水したときに、「大丈夫ですか」とチャットに書き込んでいる。そして、船員C2は、船員C3のチャットを受けて、「近いので、見に行きます」、「船舶が転覆、応援ください」とチャットに書き込んでいる。さらに、船員C3は、船員C2のチャットを受けて、「今向かいます、3分で到着」とチャットに書き込んでいる。よって、船員C2、C3は、船員C1の近傍に位置しており、船員C1を早急に救助可能であれば、船員C1~C3に対して、具体的な行動を通知することができる。
【0044】
次に、船員C1が船員C2に救助済みの段階について説明する。落水検知ユニットU1は、船員C1の電源ボタンの長押し等に基づいて、船員C1の落水の救助済みを検知する(ステップS21(S2-1と同様))。携帯端末P1は、船員C1の位置及び落水の救助済みの情報を、クラウドサーバCSへと通知する(ステップS22(S5-1と同様))。クラウドサーバCSは、船員C1の位置及び落水の救助済みの情報を、携帯端末P1から取得する(ステップS23(S6と同様))。携帯端末P2は、船員C1の位置及び落水の救助済みの情報を、表示画面Dに表示する(ステップS24(S9-2と同様))。
【0045】
クラウドサーバCSにおいて、チャット破棄部CS5は、チャットルームを破棄する(ステップS25)。よって、クラウドサーバCSが船員C1の救助済みの情報を通知するとともに、クラウドサーバCSがチャットルームを自動的に破棄することにより、船員C1の救助済みの情報及び船員C2の行動が不要である旨を共有することができる。
【0046】
(変形例の事故救助支援システムの構成)
変形例の事故救助支援システムの構成の概要を
図7に示す。
図1~6では、携帯端末は、落水検知ユニットから船舶V1での落水の発生の情報を取得し、携帯端末とクラウドサーバCSとは、船舶V1~V3の位置の情報及び船舶V1での落水の発生の情報をやり取りする。さらに、クラウドサーバCSは、船舶V1をホストとするチャットルームを生成し、船舶V2、V3は、救助範囲R内に位置する船舶V1の救助に向かう。
【0047】
図7(a)では、
図1~6の変形例として、携帯端末は、船員から船舶V1での衝突の発生の情報を入力され、又は、船舶V1から衝突の発生の情報を取得し、携帯端末とクラウドサーバCSとは、船舶V1~V3の位置の情報及び船舶V1での衝突の発生の情報をやり取りする。さらに、クラウドサーバCSは、船舶V1をホストとするチャットルームを生成し、船舶V2、V3は、救助範囲R内に位置する船舶V1の救助に向かう。
【0048】
図7(b)では、
図1~6の変形例として、携帯端末は、船員から船舶V1でのエンジン故障の情報を入力され、又は、船舶V1からエンジン故障の情報を取得し、携帯端末とクラウドサーバCSとは、船舶V1~V3の位置の情報及び船舶V1でのエンジン故障の情報をやり取りする。さらに、クラウドサーバCSは、船舶V1をホストとするチャットルームを生成し、船舶V2、V3は、救助範囲R内に位置する船舶V1の救助に向かう。
【0049】
図7(c)では、
図1~6の変形例として、携帯端末は、運転者から自動車V1での事故の情報を入力され、又は、自動車V1から事故の情報を取得し、携帯端末とクラウドサーバCSとは、自動車V1~V3の位置の情報及び自動車V1での事故の情報をやり取りする。さらに、クラウドサーバCSは、自動車V1をホストとするチャットルームを生成し、自動車V2、V3は、救助範囲R内に位置する自動車V1の救助に向かう。
【0050】
図7(d)では、
図1~6の変形例として、携帯端末は、歩行者C1から転倒の情報を入力され、又は、内蔵された加速度センサから転倒の情報を取得し、携帯端末とクラウドサーバCSとは、歩行者C1~C3の位置の情報及び歩行者C1の転倒の情報をやり取りする。さらに、クラウドサーバCSは、歩行者C1をホストとするチャットルームを生成し、歩行者C2、C3は、救助範囲R内に位置する歩行者C1の救助に向かう。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示の事故救助支援サーバ装置、事故救助支援携帯端末及び事故救助支援プログラムは、船員の落水等の事故(船舶衝突、エンジン故障、自動車事故及び転倒事故等も含む。)の救助を支援することができる。つまり、本開示では、落水した船員等の具体的な状況(本当に落水したかどうか、救助が必要であるかどうか、緊急度はどの程度であるか、及び、現状態はどのようであるか等。)を共有することができる。そして、本開示では、周囲の船員等の具体的な行動(救助に向かっているかどうか、救助に時間がどの程度かかるか、及び、救助に必要な道具は何か等。)を共有することができる。
【符号の説明】
【0052】
F:事故救助支援システム
CS:クラウドサーバ
V1、V2、V3:船舶、自動車
C1、C2、C3:船員、歩行者
U1、U2:落水検知ユニット
P1、P2:携帯端末
U11、U21:水環境センサ
U12、U22:落水検知装置
P11、P21:事故情報通知部
P12、P22:事故情報表示部
P13、P23:チャット機能部
CS1:事故情報取得部
CS2:事故情報通知部
CS3:チャット生成部
CS4:参加権限付与部
CS5:チャット破棄部
D:表示画面
R:救助範囲